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中医協 総-6-2
8 . 5 . 1 3
最適使用推進ガイドライン
ラグネプロセル
(販売名:アムシェプリ®)
~レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効
果が得られないパーキンソン病患者の運動症状の改善~
令和8年5月
厚生労働省
1
目次
1.はじめに ......................................................................... 3
2.本品の特徴、作用機序 ............................................................. 5
3.臨床成績 ......................................................................... 6
4.施設について .................................................................... 11
5.移植対象となる患者 .............................................................. 14
6.移植に際して留意すべき事項 ...................................................... 16
2
1.はじめに
再生医療等製品の有効性・安全性の確保のためには、添付文書等に基づいた適正な使用が求
められる。さらに、近年の科学技術の進歩により、革新的な新規作用機序を有する再生医療等
製品が承認される中で、これらの再生医療等製品を真に必要とする患者に適切に提供すること
が喫緊の課題となっており、経済財政運営と改革の基本方針 2016(平成 28 年6月2日閣議決
定)においても、革新的医薬品等の使用の最適化推進を図ることとされている。
新規作用機序を有する再生医療等製品は、薬理作用や安全性プロファイルが既存の医薬品等
と明らかに異なることがある。このため、有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積されるま
での間、当該再生医療等製品の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとと
もに、副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件を満たす医療機関で使
用することが重要である。
したがって、本ガイドラインでは、開発段階やこれまでに得られている医学薬学的・科学的
見地に基づき、以下の再生医療等製品の最適な使用を推進する観点から必要な要件、考え方及
び留意事項を示す。
なお、本ガイドラインは、独立行政法人医薬品医療機器総合機構、一般社団法人日本脳神経外
科学会、一般社団法人日本定位・機能神経外科学会、一般社団法人日本パーキンソン病・運動
障害疾患学会、一般社団法人日本神経学会、一般社団法人日本神経治療学会、一般社団法人日
本再生医療学会の協力のもと作成した。
なお、本品に関する臨床試験成績は限られていること及びそれを踏まえた条件及び期限付承
認であることから、製造販売後臨床試験において有効性及び安全性の更なる評価が行われる。
対象となる再生医療等製品:アムシェプリ®(一般名:ラグネプロセル)
対象となる効能、効果又は性能:レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られ
ないパーキンソン病患者の運動症状の改善
対象となる用法及び用量又は使用方法:
1 本品の移植
通常、成人には、非自己iPS 細胞由来ドパミン神経前駆細胞として片側あたり 5.4×106個
を目標として、定位脳手術により、両側の被殻に移植する。頭蓋骨の小孔1箇所を通る3つ
の投与経路から、1投与経路あたり約1.8×106個を1~2 mm間隔で6~9箇所に分けて移植
する。注入速度は約0.1 μL/秒とする。
2 本品に対する免疫反応の抑制を目的とした本品移植前後のタクロリムス水和物の投与方
法
通常、初期にはタクロリムスとして1回0.03~0.15 mg/kgを1日2回、移植日の朝から経
口投与する。以後、目標血中トラフ濃度を 5~10 ng/mL とし、血中トラフ濃度をモニタリ
ングしながら投与量を調節する。
拒絶反応が認められた場合は、目標血中トラフ濃度を10~20 ng/mLとする。
3
投与開始後1年を目安に、以後12週間かけて漸減し投与を中止するが、必要に応じて投与
期間を延長する。
製 造 販 売 業 者 :住友ファーマ株式会社
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2.本品の特徴、作用機序
アムシェプリ(一般名:ラグネプロセル、以下「本品」)は非自己iPS細胞由来ドパミン神経前
駆細胞(以下「本細胞」)を構成細胞(有効成分)とする再生医療等製品である。
本品は、線条体の被殻に移植された後、ドパミン(以下「DA」)を合成・分泌するDA神経細胞
に分化・成熟する。失われたDA神経細胞が補充されることで、移植部位近傍のDA量が増加する。
また、補充されたDA神経細胞により、投与されたレボドパの取込み・代謝能力が回復しDA量が
増加する。このような本品の原理・メカニズムを踏まえ、本品がDA神経として機能することでパ
ーキンソン病(以下「PD」)患者の運動症状の改善が期待される。
パーキンソン病モデルラットである 6-ヒドロキシドパミン傷害免疫不全ラットの線条体に本
細胞を移植したところ、病態の指標であるメタンフェタミン誘発異常回転行動が改善した。また、
移植した細胞が脳内で生着し、DA神経細胞に分化していることが確認された。非臨床安全性試験
として実施した一般毒性試験(観察期間26週間)、造腫瘍性試験(観察期間39週間)、一般毒性
及び造腫瘍性複合型試験(観察期間52週間)及び奇形腫形成試験(観察期間26週間)では、本
細胞に関連した毒性変化及び造腫瘍性は認められなかった。
上記の知見を踏まえ、薬物治療のみでは症状のコントロールが困難になっているが、レボドパ
製剤に対する反応性が完全には失われていない PD 患者を対象に臨床試験を実施した結果、一定
の有効性が示唆され、安全性及び忍容性が確認された。ただし、現時点で得られている本品の有
効性及び安全性に関するデータは限られており、再生医療等製品の条件及び期限付承認制度に基
づいて承認が得られる段階である。本品の有効性の検証及びさらなる安全性の確認のため、製造
販売後承認条件評価として製造販売後臨床試験及び全例を対象とした使用成績調査を実施し、製
造販売後も継続して評価を行う。
5
3.臨床成績
レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病患者の運
動症状の改善について、承認時に評価を行った臨床試験の成績を示す。
3.1 第Ⅱ相試験(IACT16049-01試験)
薬物治療のみでは症状のコントロールが困難になっているが、レボドパ製剤に対する反応性
が完全には失われていないPD患者(目標症例数7例)を対象に、本品の安全性及び有効性を検
討することを目的とした非盲検非対照国内試験(IACT16049-01試験)が、1施設で実施され
た。主な選択・除外基準は表1のとおりであった。
表1 主な選択・除外基準
MDS PDの臨床診断基準(Mov Disord 2015; 30: 1591-601)に準じて、PD(臨床的確定例又
は臨床的ほぼ確実例)と診断されている
既存の薬物治療では症状のコントロールが十分に得られていない
同意取得時の年齢が50歳以上70歳未満である
PDの罹病期間が5年以上である
オンとオフの状態を有する(MDS-UPDRS Part Ⅲ及び症状日誌の評価より確認する)
オフ時のH&Y重症度分類が3度以上である
選択基 オン時のH&Y重症度分類が3度以下である
準 抗PD薬休薬時のL-dopa反応性が30%以上である
DATスキャンにおいて、基底核領域でPDに特徴的な低下パターンを認める
登録前7日以内の臨床検査にて、以下の臓器機能を有する
好中球:2,000/μL以上
血小板:5.0×104/μL以上
AST、ALT:施設基準上限値の3.0倍以下
総ビリルビン:施設基準上限値の1.5倍以下
eGFR:60 mL/min/1.73 m2以上
頭部MRIにおいて、症候性の器質的病変が認められる
認知症又は認知症のリスクが高いと判断される
以下のいずれかの合併症を有する
悪性新生物
てんかん
精神疾患(鬱病、双極性障害、統合失調症等)
除外基 その他、重篤な合併症(脳血管障害、心疾患、慢性呼吸器疾患、コントロール不良の
準 高血圧、糖尿病等)
以下のいずれかの既往を有する
悪性新生物
てんかん
脳出血
精神疾患(鬱病、双極性障害、統合失調症等)
淡蒼球手術、視床手術、脳深部刺激手術
IACT16049-01試験における各患者の治験期間は、一次登録1)から最終観察日までとされた。
二次登録1)からタクロリムスの投与終了日又は治験中止判定日までが治験治療期間とされ、本
品移植から24カ月まで2)が観察期間とされた。
1) スクリーニングを実施し適格性が確認されたときが一次登録、再度の検査、観察及び調査を行い適格性が確認
されたときが二次登録とされた。本品は二次登録から28日以内に移植された。
2) 1例目については両側移植後24カ月までが観察期間とされた。
6
用法及び用量又は使用方法は、片側あたり本品2.4×106個を、全身麻酔下、定位脳手術シス
テムを用いて両側被殻に単回移植することとされた。1例目の患者は、安全性を考慮して、片側
の被殻のみに本品が移植され、移植後6カ月時点で、効果安全性評価委員会において安全性に
重大な問題がないことが確認された後、対側にも本品が移植された。2例目以降の患者には両側
被殻に本品が同時移植された。また、治験の途中で用量が変更され、4例目以降の患者には片側
あたり本品4.2~5.4×106個が移植された(1~3例目が低用量群、4~7例目が高用量群とされ
た)。
また、生体内での本品の生着を目的として、本品移植日の朝から52週間タクロリムスを経口
投与することとされた。タクロリムスは1回0.03~0.15 mg/kg(標準用量として0.06 mg/kg)
を1日2回投与で開始し、目標血中濃度をトラフ値で5~10 ng/mLの範囲として用量を調節
し、52週間の投与後は、12週間かけて漸減することとされた。
IACT16049-01試験には、8例が一次登録され、このうち本品を移植する前に治験責任医師の
判断で治験を中止した1例を除く7例が二次登録された。7例全例に本品が移植され、安全性解
析対象集団とされた。そのうち、両側同時に本品を移植された6例が有効性解析対象集団とさ
れた。
また、IACT16049-01試験では、本品移植時のタクロリムスの有効性及び安全性も同時に検討
された。当該検討はIACT16049-02試験として実施された。
【有効性】
有効性解析対象集団(低用量群2例、高用量群4例)において、副次評価項目であった抗パ
ーキンソン病薬を規定された時間休薬したpractically defined off状態(以下、「オフ時」)
でのMDS-Unified Parkinson’s Disease Rating Scale(以下、「MDS-UPDRS」) Part Ⅲ合計ス
コアは、表2のとおりであった。
表2 主な患者背景及び本品移植後24カ月のMDS-UPDRS Part Ⅲ合計スコア
症例 年齢注1) レボドパ反 Hoehn and 本品 Practically defined off状態での
応性(%)注 Yahr 投与量 MDS-UPDRS Part III合計スコア
2) 重症度分 ベース 移植後 変化量注5)
類注3) ライン注4) 24カ月
1 60代前半 89.7 4/2 低用量 34 23 −11
2 60代前半 67.3 5/2 低用量 55 50 −5
3 60代前半 57.4 5/2 高用量 71 39 −32
4 60代後半 75.8 5/2 高用量 59 64 5
5 50代後半 68.0 3/2 高用量 52 55 3
6 50代後半 67.0 3/2 高用量 34 17 −17
平均値±標準偏差 50.8±14.6 41.3±18. −9.5±13.8
5
注1)本品移植時の年齢を示し、50代後半は56~60歳、60代前半は61~65歳、60代後半は66~70歳で
ある
注2)ベースライン時のpractically defined off状態での値
注3)ベースライン時のpractically defined off状態での値/オン時の値
注4)本品移植前の二次登録時
注5)本品移植後24カ月時のベースラインからの変化量
7
(1) オフ時MDS-UPDRS Part III合計スコア
オフ時のMDS-UPDRS Part Ⅲ合計スコアについて、有効性解析対象集団の6例中4例で著効3)
と判断された。移植後24カ月に著効とならなかった2例(高用量群:症例4、症例5)のうち1
例(症例5)は、移植後18カ月まで改善が認められていたが、移植後24カ月に+3となり悪化
した。もう1例(症例4)は移植後4週にスコアが上昇し、以降は移植後24カ月まで低下した
が、ベースラインからの変化量は+5となり悪化した。
(2) 移植細胞の生着及び機能評価
有効性解析対象集団6例における[18F]FDOPAの集積が本品の移植部位である被殻に定性的に
確認された。移植後24カ月において、被殻でのKi値は6例中5例でベースラインから増加し
ており、また、被殻/尾状核比4)は6例全例でベースラインから増加した。
また、生着の判定は、IACT16049-02試験において移植後12カ月及び24カ月時点で行われ
た。客観性を担保するため、評価時期までに得られたMRI画像及びPET画像([18F]FDOPA及び
[18F]GE1805))を用いて、被殻での生着の有無を脳神経内科医及び放射線科医による合議の上
で判定された。有効性解析対象集団6例全例で、移植後12カ月及び24カ月のいずれの時点で
も被殻に生着ありと判定された。
(3) 累積拒絶反応抑制率(非発現率)
IACT16049-02試験における主要評価項目とされた本品移植後12週及び12カ月の累積拒絶反
応抑制率(非発現率)6)について、いずれの時点においても累積拒絶反応抑制率(非発現率)は
100%(6/6例)であり、有効性解析対象の6例全例で拒絶反応なしと判定された。
【安全性】
IACT16049-01試験の主要評価項目は、(1)有害事象の発現頻度と程度及び(2)移植後24カ
月における脳内の移植片増大(3 cm3を超える)7)の有無(MRI)とされた。主要評価項目の結果
は、以下のとおりであった。
3) 事前に治験実施計画書において、偽手術又は標準治療でのオフ時のMDS-UPDRS Part Ⅲの1~2年間の推移に
係る以下の報告に基づき、ベースラインから移植後24カ月にオフ時のMDS-UPDRS Part Ⅲ合計スコアの5点
以上の改善を著効、0~4点の改善を有効と定義した。
・ドパミン神経細胞移植を検討した臨床試験(Ann Neurol. 2003; 54: 403-14、N Engl J Med 2001; 8;
344: 710-9)では変化なし又は悪化。
・DBSを検討した臨床試験(Lancet Neurol 2010; 9: 581-91)では変化なし。
4) 本品を移植していない尾状核に対する本品を移植した被殻でのKi値の比。
5) 活性化ミクログリアに発現するとされるtranslocator proteinに対するアンタゴニスト。神経炎症反応の
評価に使用された。
6) 本品移植後12週間及び12カ月間に拒絶反応が一度もなかった症例の割合。
7) 日本脳神経外科学会のガイドライン(脳卒中合同ガイドライン委員会. 脳卒中治療ガイドライン2009)で被
殻出血の手術適応となる血腫量は31 cm3以上とされていることを踏まえ、移植片が直線的に増大すると仮定
しても20年後に移植片が31 cm3を超えないよう、2年後では3.1 cm3を限界点とする基準が設定された。
8
(1)有害事象の発現頻度と程度
有害事象の発現割合は100%(7/7例)、本品の副作用の発現割合は14.3%(1/7例)、その他
治験治療に関連のある有害事象の発現割合は71.4%(5/7例)であった。2例以上に認められた
有害事象は適用部位そう痒感[4例(低用量群2例、高用量群2例、以降同順)]、腎機能障害
[3例(2例、1例)]、閉所恐怖症[2例(2例、0例)]、転倒、尿潜血陽性[各2例(0
例、2例)]、齲歯、悪心、創合併症、ジストニア[各2例(1例、1例)]であった(表
3)。
表3 有害事象の発現割合
MedDRA/J v26.1 低用量群 高用量群 全体
(3例) (4例) (7例)
器官別大分類(SOC) 例数(%) 例数(%) 例数(%)
基本語(PT)
血液およびリンパ系障害
貧血 0 1(25.0) 1(14.3)
耳および迷路障害
耳鳴 1(33.3) 0 1(14.3)
回転性めまい 0 1(25.0) 1(14.3)
眼障害
硝子体浮遊物 0 1(25.0) 1(14.3)
胃腸障害
腹部不快感 1(33.3) 0 1(14.3)
上腹部痛 1(33.3) 0 1(14.3)
齲歯 1(33.3) 1(25.0) 2(28.6)
下痢 0 1(25.0) 1(14.3)
悪心 1(33.3) 1(25.0) 2(28.6)
嘔吐 1(33.3) 0 1(14.3)
一般・全身障害および投与部位の状態
適用部位そう痒感 2(66.7) 2(50.0) 4(57.1)
悪寒 0 1(25.0) 1(14.3)
不快感 0 1(25.0) 1(14.3)
発熱 1(33.3) 0 1(14.3)
治療用製品効果減弱 1(33.3) 0 1(14.3)
肝胆道系障害
肝機能異常 1(33.3) 0 1(14.3)
高ビリルビン血症 0 1(25.0) 1(14.3)
感染症および寄生虫症
結膜炎 0 1(25.0) 1(14.3)
膀胱炎 1(33.3) 0 1(14.3)
爪の皮膚糸状菌症 1(33.3) 0 1(14.3)
上咽頭炎 1(33.3) 0 1(14.3)
副鼻腔炎 0 1(25.0) 1(14.3)
細菌性結膜炎 0 1(25.0) 1(14.3)
傷害、中毒および処置合併症
転倒 0 2(50.0) 2(28.6)
肋骨骨折 0 1(25.0) 1(14.3)
気脳体 0 1(25.0) 1(14.3)
術後高血圧 0 1(25.0) 1(14.3)
創傷 0 1(25.0) 1(14.3)
創合併症 1(33.3) 1(25.0) 2(28.6)
臨床検査
C-反応性蛋白増加 1(33.3) 0 1(14.3)
γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加 1(33.3) 0 1(14.3)
9
MedDRA/J v26.1 低用量群 高用量群 全体
(3例) (4例) (7例)
器官別大分類(SOC) 例数(%) 例数(%) 例数(%)
基本語(PT)
体重減少 0 1(25.0) 1(14.3)
尿潜血陽性 0 2(50.0) 2(28.6)
頭部磁気共鳴画像 0 1(25.0) 1(14.3)
筋骨格系および結合組織障害
関節痛 1(33.3) 0 1(14.3)
背部痛 1(33.3) 0 1(14.3)
腰部脊柱管狭窄症 0 1(25.0) 1(14.3)
筋緊張 1(33.3) 0 1(14.3)
神経系障害
ジスキネジア 0 1(25.0) 1(14.3)
ジストニア 1(33.3) 1(25.0) 2(28.6)
頭痛 1(33.3) 0 1(14.3)
感覚鈍麻 0 1(25.0) 1(14.3)
精神障害
不安 0 1(25.0) 1(14.3)
閉所恐怖症 2(66.7) 0 2(28.6)
幻嗅 0 1(25.0) 1(14.3)
腎および尿路障害
緊張性膀胱 0 1(25.0) 1(14.3)
頻尿 0 1(25.0) 1(14.3)
腎機能障害 2(66.7) 1(25.0) 3(42.9)
呼吸器、胸郭および縦隔障害
鼻漏 1(33.3) 0 1(14.3)
皮膚および皮下組織障害
脱毛症 0 1(25.0) 1(14.3)
湿疹 1(33.3) 0 1(14.3)
血管障害
起立性低血圧 0 1(25.0) 1(14.3)
末梢冷感 0 1(25.0) 1(14.3)
製品の問題
医療機器破損 1(33.3) 0 1(14.3)
高度の有害事象は認められず、中等度のジスキネジアが1例(高用量群の症例F)に発現し
た。本事象の転帰は未回復であったが、本品とは関連なしと判断された。その他の事象はいず
れも軽度であった。死亡、重篤な有害事象及び移植片摘除に至った有害事象は認められなかっ
た。
タクロリムスの副作用の発現割合は42.9%(3/7例)であった。2例以上に認められた副作用
は、腎機能障害2例であった。その他は、肝機能異常、γ-グルタミルトランスフェラーゼ増
加、爪の皮膚糸状菌症、膀胱炎各1例であった。重症度はいずれも軽度で、腎機能障害及び爪
の皮膚糸状菌症の各1例が未回復であった以外は回復であった。死亡、重篤な有害事象及び投
与中止に至った有害事象はなかった。投与量の減量に至った有害事象は腎機能障害の1例で、
投与開始後243日に発現し、転帰は未回復であった。
(2)移植後24カ月における脳内の移植片増大(3 cm3を超える)の有無(MRI)
本品移植後の移植片体積について、7例全例で本品移植後24カ月に左右それぞれで3 cm3超え
る脳内の移植片の増大は認められなかった。
10
4.施設について
本品は、定位脳手術により脳への局所投与を行う製品であることから、PDの診断及び治療並び
に定位脳手術に十分な経験及び知識を有する医師が、本品に関する十分な知識を有した上で、術
後合併症等に対して適切な対応ができる十分な設備及び体制の整った施設で使用する必要があ
る。したがって、本品を使用する施設の要件を規定した。
4.1. 本品の移植及び移植後の経過観察を行う施設の要件
本品では条件及び期限付承認制度に基づく製造販売後承認条件評価として、検証的位置づけと
なる製造販売後臨床試験を実施するため、製造販売後臨床試験実施期間中は、本品の取扱いに特
に精通した医療機関で、適切な患者に移植及び治療が実施される必要がある。また、有効期間(製
造所における構成細胞の洗浄開始後31時間)内に、輸送、細胞調製、手術を完了する必要がある
ことも考慮し、本品の移植は原則以下の A に定めた要件のすべてを満たす施設において、また、
移植後の経過観察を移植施設とは別の施設で行う場合には、B に定めた要件のすべてを満たす施
設において行うものとする。
加えて、製造販売後臨床試験では[18F]FDOPA PET検査を実施するため、自施設又は連携施設
で[18F]FDOPA PET検査の実施体制を有する必要がある。また、オフ時のMDS-UPDRSスコアを評
価できる必要がある。
また、製造販売後臨床試験の患者登録後においても、本品の安全性・有効性を評価するため
に課せられている使用成績調査を実施することを踏まえ、同様の要件とする。
A. 移植施設
以下の①~③の全てを満たす施設で本品を移植する。
①-1
(1) 以下のいずれかに該当すること。
特定機能病院
大学附属病院(脳神経外科に係る診療科を有する場合に限る。)
日本脳神経外科学会の基幹施設又は連携施設、若しくは日本定位・機能神経外科学会
の認定施設
(2) 下記のすべてに該当する施設であること。
定位脳手術の実施が可能な医療体制及び設備を備えている。
MRI検査が可能である。
本品の安全性・有効性の評価を適切に実施することが可能である。
運動合併症を呈する進行期を含むパーキンソン病の病態及び症状、経過と予後、診断、
治療及び不具合・副作用発現時の対応に十分な経験及び知識を有し、適切な患者選択
(5 項参照)及び術後の薬剤調整を含めた管理が適切に実施できる日本脳神経外科学
会認定専門医及び日本神経学会認定神経内科専門医がそれぞれ 1 名以上配置されてい
る。
11
タクロリムス水和物の添付文書等を踏まえ、血中トラフ濃度に基づく用量調節及びタ
クロリムス水和物に関連する有害事象発現時の対応を適切に行う能力を有する医師が
配置されていること。
①-2 治療(移植)の責任者の配置
運動合併症を呈する進行期を含むパーキンソン病の病態及び症状、経過と予後、診断、治
療及び不具合・副作用発現時の対応に十分な知識と経験を有し(表4のすべてに該当)、製造
販売業者が実施する、本品の使用にあたっての講習を修了した医師が、添付文書及び情報提
供資材等により本品の作用機序、臨床試験成績等を十分に理解したうえで、本品に関する治
療の責任者として配置されていること。
表4 治療(移植)の責任者に関する要件
医師免許取得後4年以上の脳神経外科学の臨床研修を行っており、うち、3年以上は、
脳神経外科治療の臨床経験があること8)。ただし、医師免許取得後2年の初期研修期
間を除く。
日本定位・機能神経外科学会が定める機能的定位脳手術技術認定相当の経験(5 例以
上)を有していること。
② 院内の再生医療等製品に関する情報管理の体制について
再生医療等製品に関する情報管理に従事する担当者が配置され、製造販売業者からの情報
窓口、有効性・安全性等に関する情報の管理及び医師等に対する情報提供、不具合・副作用
が発生した場合の報告(製造販売業者への報告を含む)に係る業務等が速やかに行われる体
制が整っていること。
③ 不具合・副作用への対応について
③-1 施設体制に関する要件
重篤な不具合・副作用が発生した際に、24時間診療体制の下、当該施設又は連携施設におい
て、発現した副作用に応じて入院管理及び必要な検査の結果が当日中に得られ、直ちに対応
可能な体制が整っていること。
③-2 医療従事者による不具合・副作用への対応に関する要件
本品の治療を受けたパーキンソン病患者の診療に携わる医療従事者(脳神経内科医、脳神経
外科医、放射線科医等)が不具合・副作用のモニタリングを含め情報を共有できる体制が整
備されていること。また、その体制について、患者とその家族に十分に周知されていること。
③-3 不具合・副作用の診断や対応に関する要件
8) 一般社団法人日本脳神経外科学会専門医認定制度における受験資格要件となっている。
12
不具合・副作用に対して、当該施設又は連携施設の専門性を有する医師と連携(副作用の診
断や対応に関して指導及び支援を受けられる条件にあること)し、直ちに適切な処置ができ
る体制が整っていること。
B. 移植後の経過観察を行う施設
移植後の経過観察については、本品の移植を実施した施設で実施することが望ましいが、医師
が患者の状態を踏まえて可能と判断した場合においては、本品の移植を行った施設とは別の施設
においても経過観察を行うことを可能とする。ただし、下記の①と②の要件を満たす施設である
こと。
① 下記の(1), (2)の全てに該当する施設であること。
(1) 本品移植時の患者情報等の共有も含め、本品の移植を行った施設と連携していること。
(2) 下記の全ての要件を満たす施設であること。
MRI検査が可能である。
本品の安全性・有効性の評価を適切に実施することが可能である。
再生医療等製品に関する情報管理に従事する担当者が配置され、製造販売業者か
らの情報窓口、有効性・安全性等に関する情報の管理及び医師等に対する情報提
供、不具合・副作用が発生した場合の報告(製造販売業者への報告を含む)に係
る業務等が速やかに行われる体制が整っている。
4.1 A.「移植施設」の②院内の再生医療等製品に関する情報管理の体制につい
て及び③不具合・副作用への対応についての要件をすべて満たす。
タクロリムス水和物の添付文書等を踏まえ、血中トラフ濃度に基づく用量調節及
びタクロリムス水和物に関連する有害事象発現時の対応を適切に行う能力を有
する医師が配置されていること。
② 移植後の経過観察に関する責任者の配置
運動合併症を呈する進行期を含むパーキンソン病の病態及び症状、経過と予後、診断、治
療及び不具合・副作用発現時の対応に十分な知識と経験を有し(表5のすべてに該当)、添
付文書及び情報提供資材等により本品の作用機序、臨床試験成績等を十分に理解した医師
が、本品に関する治療の責任者として配置されていること。
表5 治療の経過観察の責任者に関する要件
日本神経学会認定神経内科専門医であること。
5 年以上のパーキンソン病の診断、治療等の専門医療の臨床経験を有していること。
ただし、医師免許取得後2年の初期研修期間を除く。
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5.移植対象となる患者
【有効性に関する事項】
レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病患者にお
いて、本品の一定の有効性が期待される。
【安全性に関する事項】
下記に該当する患者については、本品の投与が禁忌・禁止とされていることから、投与を行わ
ないこと。
本品の投与歴のある患者
本品の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
【患者選択について】
① 本品の効能、効果又は性能に関連する注意においては、「本品は、運動症状を呈し、レボドパ
含有製剤に対する忍容性及び治療反応性を有する患者に使用すること」とされていることから、
下記の主な製造販売後臨床試験における適格基準を参考に、運動合併症を呈する進行期を含む
パーキンソン病の病態及び症状、経過と予後、診断、治療に精通し、添付文書及び情報提供資
材等を通じて本品の作用機序、臨床試験成績等を十分に理解した日本神経学会神経内科専門医
と日本脳神経外科学会専門医が、慎重にベネフィットとリスクのバランスを検討した上で、本
品の移植対象の選択を行うこと。また、臨床試験において 70 歳超の患者への移植の経験はな
く、また、製造販売後臨床試験においても年齢層別に設定したコホートで有効性の検証を行う
ことも踏まえると、70 歳超の患者への移植については有益性と危険性をより慎重に評価した
上で移植すること。
パーキンソン病と診断され、罹病期間が5年以上の者
既存の薬物療法ではパーキンソン病の運動症状のコントロールが十分に得られていない者
MDS-UPDRS Part 3 及び/又は症状日誌からオンとオフの状態を有する者
オフ時のH&Y重症度分類が2度以上の者
オン時のH&Y重症度分類が3度以下の者
抗パーキンソン病薬休薬時(practically defined off)のレボドパ反応性が30%以上であ
る者
②治療前の評価において下記の主な製造販売後臨床試験における除外基準に該当する患者につ
いては、本品の投与は推奨されないが、他の治療選択肢がない場合に限り、慎重に本品を使用
することを考慮できる。
既存の薬物療法では、日常生活に支障のあるジスキネジアが持続する者
出血傾向又は凝固機能異常がある者
タクロリムス又は併用薬剤(レボドパ、カルビドパ、MRI 造影剤等)に対し、禁忌である者
又は併用禁忌の薬剤を中止できない者
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金属を含む医療機器(MRI 適合性が確認された製品を除く)の植え込み又は留置、閉所恐怖
症などがあり、MRI や陽電子断層撮像法(PET)等必要な画像検査が実施できない者
以下のいずれかの合併症又は既往症を有する者
- 悪性新生物(ただし、同意取得前5 年以前に治癒したと判断された者を除く)
- てんかん
- 精神疾患(うつ病、双極症、統合失調症など)又は類似の精神症状
- その他、重篤な合併症(脳血管障害、心疾患、慢性呼吸器疾患、コントロール不良の
高血圧及び糖尿病など)
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6.移植に際して留意すべき事項
① 添付文書に加え、製造販売業者が提供する資材等に基づき、本品の特性及び適正使用のため
に必要な情報を十分に理解して使用すること。
② 本品の使用に当たっては、疾病の治療における本品の必要性とともに、本品の有効性及び安
全性その他本品の適正な使用のために必要な事項を、患者に対して説明し、その同意を得て、
本品を投与すること。
③ 本品はiPS細胞由来の製品であり、本品の投与によって移植片の増大や腫瘍形成が起こる理
論的リスクを完全には否定できない。さらに目的外細胞の増殖等による移植片の増大や腫瘍
形成によって、神経脱落症状があらわれる可能性も否定できない。そのため、投与後はMRI
等の適切な観察を定期的に実施するとともに、必要に応じて適切な処置を実施すること。な
お、MRI検査の頻度については、製造販売後臨床試験では移植翌日、移植後12 週、6ヵ月、
12 ヵ月、16 ヵ月、18 ヵ月及び 24 ヵ月であり、その後は使用成績調査として製造販売後臨
床試験での検査頻度を参考に定期的に検査を実施すること。
④ 本品の投与によって、ドパミン分泌過剰による精神症状や不随意運動、行動異常があらわれ
る可能性があるため、患者の状態を十分に観察すること。
⑤ 原材料及び製造工程で使用する成分に対してアレルギー素因のある患者では、過敏症があら
われる可能性がある。
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この資料について
出典:厚生労働省ホームページ (https://www.mhlw.go.jp/)
当サイトが保存しているのは、PDFから取り出した文字だけです。 これは言葉で探せるようにするためのもので、 厚生労働省が公表した資料そのものではありません。 図表・画像・レイアウトは失われています。
正確な内容は、必ず厚生労働省のPDFをご確認ください。