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中医協 総-4-1
8 . 8 . 5
最適使用推進ガイドライン
スラタデノツレブ
(販売名:テロメライシン注)
~根治切除及び化学放射線療法の適応とならない食道癌~
令和8年8月
厚生労働省
目次
目次....................................................................................................................................................... 1
1.はじめに ........................................................................................................................................ 2
2.本品の特徴、作用機序 ................................................................................................................ 3
3.臨床成績 ........................................................................................................................................ 4
4.施設について .............................................................................................................................. 10
5.投与対象となる患者 .................................................................................................................. 12
6.投与に際して留意すべき事項 .................................................................................................. 13
1
1.はじめに
再生医療等製品の有効性・安全性の確保のためには、添付文書等に基づいた適正な使用
が求められる。さらに、近年の科学技術の進歩により革新的な新規作用機序を示す再生医
療等製品が承認される中で、これらの再生医療等製品を真に必要な患者に提供することが
喫緊の課題となっており、経済財政運営と改革の基本方針2016(平成28年6月2日閣議決定)
においても革新的医薬品等の使用の最適化推進を図ることとされている。
新規作用機序を示す再生医療等製品は、薬理作用や安全性プロファイルが既存の医薬品
等と明らかに異なることがある。このため、有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積す
るまでの間、当該再生医療等製品の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用
するとともに、副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件を満たす
医療機関で使用することが重要である。
したがって、本ガイドラインでは、開発段階やこれまでに得られている医学薬学的・科
学的見地に基づき、以下の再生医療等製品の最適な使用を推進する観点から必要な要件、
考え方及び留意事項を示す。本ガイドラインは国内外での使用実績等の最新の知見に基づ
き、適宜必要な改定を行う。
なお、本ガイドラインは、独立行政法人医薬品医療機器総合機構、公益社団法人日本臨
床腫瘍学会、一般社団法人日本癌治療学会、特定非営利活動法人日本食道学会、一般社団
法人日本遺伝子細胞治療学会、一般社団法人日本消化器病学会の協力のもと作成した。
対象となる再生医療等製品:テロメライシン注(一般的名称:スラタデノツレブ)
対象となる効能、効果又は性能:根治切除及び化学放射線療法の適応とならない食道癌
対象となる用法及び用量又は使用方法:放射線療法との併用において、通常、成人には1回あたり1 mL(1×1012 vp)を概
ね2週間間隔で計3回、上部消化管内視鏡下で腫瘍内投与する。腫瘍の大きさ・数
によって1回あたり2 mL(2×1012 vp)まで増量することができる。
製 造 販 売 業 者:オンコリスバイオファーマ株式会社
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2.本品の特徴、作用機序
テロメライシン注(一般的名称:スラタデノツレブ、以下、「本品」という)は、ヒ
トテロメラーゼ逆転写活性酵素(以下、「hTERT」という)遺伝子プロモーター制御
下でE1A遺伝子及びE1B遺伝子を同時に発現するようにE1領域が改変された遺伝子組換
えアデノウイルスを主成分とする再生医療等製品である。腫瘍内に投与された本品が
hTERTを高発現する腫瘍細胞に感染すると、本品に搭載されたウイルス複製開始遺伝子
群がhTERT遺伝子プロモーター制御下で発現し、本品が腫瘍内で増殖することによって
腫瘍細胞を溶解し、抗腫瘍効果を示すことが期待される。
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3.臨床成績
3.1 国内第Ⅰ相試験(TL04001試験)
標準的治療の適応とならない進行食道癌患者を対象に、放射線療法との併用時の本品の安
全性等を検討することを目的とした非盲検非対照試験が、国内2施設で実施された。主な選
択・除外基準は、表1のとおりであった。
表 1 主な選択・除外基準
同意取得時の年齢が満20歳以上90歳未満の患者。
原発巣又は転移巣が組織学的又は細胞診により食道癌と診断された患者。ただし、頸部食道癌
患者は除く。
直視下、内視鏡、超音波下又は経皮的に穿刺可能で対象病変に対する本品の局所注入が可能な
選択基準
患者。なお、本品の投与は原発巣だけでなく、転移巣にも投与可能とする。
ベースライン時のPSが 0~2の患者。
外科的切除を受けることが困難又は拒否した患者。
標準的な化学放射線療法を受けることが困難又は拒否した患者。
活動性で治療を要する重複がん(同時性重複がん及び無病期間が5年以内の異時性重複がん)
を有している患者。ただし、治癒と判断される上皮内癌及び皮膚癌は重複がんに含めない。
除外基準
免疫チェックポイント阻害剤等の治療歴がある患者。
対象病変に対する放射線療法の治療歴がある患者。
本試験は、スクリーニング期間(本品の1回目投与日前の21日間)、治療期間(本品の1
回目投与後43日間)及び安全性観察期間(治療期間終了後84日間)から構成された。
本品の用法及び用量又は使用方法は、低用量群では1回あたり本品1×1011 vp、高用量群
では1回あたり本品1×1012 vpをDay 1、Day 18及びDay 32の計3回腫瘍内投与することとされ
た1)。放射線療法は、Day 4から治療期間終了(Day 43)まで、2.0 Gy/日、週5回、放射線治
療装置により実施された(総照射線量:60 Gy)。
登録された6例全例に本品が投与され、安全性及び有効性解析対象とされた。本試験では
用量制限毒性の発現は認められなかったため、最大耐量は1×1012 vp又はそれ以上の用量と
考えられた。
安全性について、有害事象は6/6例(100%、低用量群3/3例、高用量群3/3例)に認められ、
複数例に認められた有害事象は、発熱5/6例(83.3%、低用量群2/3例、高用量群3/3例)、リ
ンパ球数減少5/6例(83.3%、低用量群3/3例、高用量群2/3例)、食道炎2/6例(33.3%、低用
量群2/3例、高用量群0/6例)、体重減少(33.3%、低用量群1/3例、高用量群1/3例)であり、
そのうち、発熱5/6例、リンパ球数減少5/6例はいずれも本品との因果関係が否定されなかっ
た。Grade 3以上の有害事象は、4/6例(66.6%、低用量群3/3例、高用量群1/3例)に認められ、
リンパ球数減少4/6例(66.6%、低用量群3/3例、高用量25群1/3例)、低ナトリウム血症1/6
例(16.7%、低用量群1/3例、高用量群0例)、膀胱癌1/6例(16.7%、低用量群1/3例、高用量
1) 投与部位は、最も腫瘍径が大きな病変又は治験責任医師により最も治療を要すると判断された病変から1つ
を選択することとされた。なお、選択された病変に本品全量を投与できない場合、本品の残液を2番目の病
変に限り投与することを可能とした。複数の病変に投与された場合においても、1回あたりの投与量は、低
用量群では1×1011 vp、高用量群では1×1012 vpを超えないこととされた。
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群0例)であり、そのうち、リンパ球数減少は全例で本品との因果関係が否定されなかった。
重篤な有害事象は、低用量群でのみ1例(膀胱癌)が認められ、本品との因果関係は否定さ
れた。死亡に至った有害事象及び本品の投与中止、中断又は延期に至った有害事象は認め
られなかった。
有効性について、本品の投与開始後18週までの治療対象病変の縮小効果は、完全奏効
(以下、「CR」という)が4/6例(66.7%、低用量群3/3例、高用量群1/3例)に認められた。
本品の投与開始後18週までの固形癌の治療効果判定のためのガイドライン ver.1.1に基づく
最良総合効果は、CRが2/6例(33.3%、低用量群1/3例、高用量群1/3例)、部分奏効(以下、
「PR」という)が1/6例(16.7%、低用量群1/3例)及びnon-CR/non-PDが3/6例(50.0%、低
用量群1/3例、高用量群2/3例)であった。
3.2 国内第Ⅱ相試験(OBP101JP試験)
根治切除及び化学放射線療法の適応とならない局所進行食道癌患者(臨床病期(以下、
「cStage」という)Ⅱ/Ⅲ)を対象に、放射線療法との併用時の本品の有効性及び安全性を
検討することを目的とした非盲検非対照試験(目標症例数:37例2))が、国内17施設で実
施された。
主な選択・除外基準は、表2のとおりであった。
2) 主要評価項目である中央判定による本品の投与開始後24週までのL-CR率の期待値を52%と仮定し、閾値
30.2%に対する仮説検定を実施する上で、有意水準片側5%の下、検出力を80%とするために必要な症例数と
して、cStageⅡで21例、cStageⅢで14例(計35例)と設定した。
5
表 2 主な選択・除外基準
同意取得時の年齢が満20歳以上の患者。
食道原発巣の内視鏡下生検によって組織学的に食道癌(扁平上皮癌、腺癌等)と診断されてお
り、局所注入可能な病変を有する患者。
食道病変(原発巣、食道壁内転移、上皮伸展)の中心が胸部食道内に存在する。ただし、病変
の中心が食道胃接合部から口側2 cmのラインよりも肛門側に存在する場合は不適格とした。
選択基準
食道病変は単発、多発は問わない。
頸胸腹部CTにて遠隔転移のない、UICC-TNM第8版における扁平上皮癌のcT1N2、cT2-3N0-2又
は腺癌のcT1N1、cT2-3N0-1である。
ベースライン時のPSが0~2。
根治切除及び化学放射線療法の対象とならない患者。
活動性で治療を要する重複がん(同時性重複がん及び無病期間がベースラインから3年以内
の異時性重複がん)を有している。ただし、予後に影響しないと判断される上皮内癌、咽頭
癌、喉頭癌、皮膚癌及び治療を要さない前立腺癌は、活動性の重複がんに含めない。また、
完全切除された、3年相対生存率が95%以上相当の病理病期のがん*1の既往も活動性の重複が
除外基準
んに含めない。
食道癌に対する化学療法の治療歴がある患者。
免疫チェックポイント阻害剤の治療歴がある患者。
頸部、胸部及び上腹部病変に対する放射線療法の治療歴があり、照射野が本試験の照射野と重
複する患者。
*1:①胃癌(腺癌[一般型]):0-Ⅰ期、②結腸癌(腺癌):0-Ⅰ期、③直腸癌(腺癌):0-Ⅰ期、④乳癌(非
浸潤性乳管癌、非浸潤性小葉癌):0期、⑤乳癌(浸潤性乳管癌、浸潤性小葉癌、Paget病):0–ⅡA期、⑥
子宮体癌(類内膜腺癌、粘液性腺癌):Ⅰ期、⑦前立腺癌(腺癌):Ⅰ–Ⅱ期、⑧子宮頸癌(扁平上皮
癌):0期、⑨甲状腺癌(乳頭癌、濾胞癌):Ⅰ–Ⅲ期、⑩腎細胞癌(淡明細胞癌、嫌色素性細胞癌):Ⅰ
期、その他粘膜内癌相当病変、以上病期分類は、原則としてUICC-TNM第8版による。
本試験は、スクリーニング期間(本品の1回目投与日(ベースライン)前の21日間)、評
価期間(本品の1回目投与後24週間)及び追跡期間(本品の1回目投与24週後から18カ月間
後まで)から構成された。
本品の用法及び用量又は使用方法は、上部消化管内視鏡下で1回あたり1×1012 vp/mL、1
~2 mLの本品を約2週間間隔(Day 1、Day 18及びDay 32)で計3回腫瘍内投与することとさ
れた。本品の毎回の総投与液量は腫瘍の大きさ及び数によって決定することとされ3)、本
品の1カ所あたりの投与液量は0.2 mLを目安とし、腫瘍全体が三次元的にカバーされるよう
3) 当初、食道癌に対して上部消化管内視鏡下で腫瘍内に投与可能な液量、投与に要する時間及び内視鏡処置に
患者が耐えられる時間を考慮して、1回あたり1 mL投与と設定された。その後、当該用量での忍容性が確認
された後には、サイズの大きな腫瘍又は複数の病変を有する患者にも十分な薬液量を注入できるように、
担当医の判断によって本品を1~2 mLの間で調節可能とされた。最初の3例において、1回目投与液量が1 mL
を超える場合、1例目の患者の1回目投与開始後8日目までの初期安全性を確認し、2例目(初回投与液量が1
mLを超える投与を受ける患者)の投与を開始することとされた。なお、初期安全性が確認されるまでは、1
回目投与時の投与液量を、2回目以降の投与時に増量することはできないこととされた。
6
5カ所以上に投与することとされた4)。放射線療法5)は、Day 4から治療期間終了(Day 43)
まで、2.0 Gy/日、週5回、放射線治療装置により実施された(総照射線量:60 Gy)。
登録された37例全例に本品が投与され、安全性解析対象集団とされた。うち、本品の2回
目投与前に同意撤回となり投与開始後の腫瘍評価を受けなかった1例を除く36例が最大の解
析対象集団(以下、「FAS」という)とされ、有効性解析対象集団とされた。
安全性解析対象集団の37例のうち、本品の投与開始後24週までに中止した症例は11例
(治験担当医師の判断が4例、病勢進行が4例、同意撤回が2例、死亡が1例)であった。本
品の投与開始後18カ月までに中止した症例は29例(治験担当医師の判断が6例、病勢進行が
13例、同意撤回が2例、死亡が5例、追跡期間の不能が2例、その他が1例)であった。安全
性解析対象集団の37例の観察期間の中央値[範囲](日)は264[17, 558]であった。
有効性について、本試験の主要評価項目は、中央判定によるL-CR率とされた。局所完全
奏効(以下、「L-CR」という)判定を含む中央判定による局所治療効果の最良総合効果は、
「内視鏡による原発巣の治療効果判定規準」(食道癌取扱い規約 第11版. 金原出版株式会
社; 2015.p68-69)に基づき、表3の基準を用いて判定された。
表3 内視鏡による原発巣の治療効果判定基準
L-CR
本品投与病変に対し、以下の(1)~(4)の所見をすべて満たす場合。
(1) 腫瘍性病変を示唆する内視鏡所見がすべて消失している*1。
(2) 治療前に原発巣が存在していた部位の内視鏡生検にて病理組織学的に癌が認められない。
(3) 内視鏡検査にて、全食道が観察可能である。
(4) 活動性食道炎を示唆する内視鏡所見(平坦なびらん性変化、白苔)がない。
L-CRのうち、4週以上の間隔で連続2回以上のL-CRが得られた場合には、confirmed L-CRとした。
なお、上記(1)、(3)、(4)の所見を満たすものの、内視鏡生検が実施されなかったために、(2)を満たさな
い症例について、内視鏡中央判定委員会ではClinical L-CRと判定する。
局所著効(以下、「L-RR」という)
原発巣完全奏効ではない(L-CRの定義を満たさない)が、治療前と比較すると腫瘍量が著明に減少し、肉眼
形態に寄らず、病変の壁深達度がT1相当に縮小している場合に内視鏡的に原発巣RRと判定し、生検結果は問
わない。治療前の壁深達度がT1(T1a、T1b)の場合は、腫瘍量が 90 %以上に縮小している場合に内視鏡的
に原発巣RRと判定。
L-non CR/non PD
原発巣が完全奏効ではない(L-CRの定義を満たさない)、かつ明らかに増大していない(局所進行(以下、
「L-PD」という)の定義を満たさない)場合。食道癌取扱い規約第11版に基づき、内視鏡による原発巣PRの
客観的判定は困難であるため、定義しない。ただし、内視鏡画像中央判定委員会による判定については、食
道癌取扱い規約第12版に基づき、L-RRの補足評価により判定した。
L-PD
治療開始前、あるいは治療開始以降に評価された最良の所見と比較して、腫瘍が明らかに増大している場合、
4) 投与部位は、毎回の投与時に治療を要すると治験責任医師又は治験分担医師により判断された病変を選択す
ることとされ、毎回同一の病変に対して投与を行う必要はないこととされた。ただし、リンパ節転移巣へ
の投与は不可とされた。1回目投与以後、すべての腫瘍が消失した又は観察できない場合は、前回と同様の
部位に少なくとも5カ所(計1 mL)の投与を行うこととされた。
5) 照射野は、原発巣と転移リンパ節を含む治療照射野を含む範囲と設定された。なお、原則として予防照射は
行わないが、患者の全身状態により予防照射を行うことが可能と判断される場合には行ってもよいとされ
た。
7
又は腫瘍の増大に伴う食道狭窄が増悪している場合。
*1:凹凸不整のあるびらん性変化、潰瘍性病変又は明らかな隆起(粘膜下腫瘤様隆起を含む)は、「腫瘍性
病変を示唆する内視鏡所見」と判定し、病変が認められた場合はL-CRと判定しなかった。一方、瘢痕、
狭窄、ヨード不染(ヨード淡染(表面わずかに染色される)を含む)又は生検にて癌陰性の肉芽様小突
起は、「腫瘍性病変を示唆する内視鏡所見」と判定せず、L-CRと判定した。
中央判定による局所治療効果の最良総合効果は、表4のとおりであった。本試験の主要評
価項目の主解析である本品の投与開始後24週までのL-CR率[90%CI6)](%)は41.7[27.7,
56.7](15/36例)であり、90%CIの下限が事前に設定した閾値30.2%7)を下回り、閾値に対
する統計的有意差は認められなかった。本品の投与開始後24週までの主要評価項目及び副
次評価項目の解析結果が得られた後に、探索的に、本品の投与開始後18カ月までの主要評
価項目及び副次評価項目の解析が計画された。中央判定による18カ月間の試験期間全体を
通してのL-CR率[90%CI](%)は50.0[35.3, 64.7](18/36例)であった。
表4 局所治療効果の最良総合効果(OBP101JP 試験、FAS、中央判定)
例数(%)
24週 18カ月
36例 36例
L-CR 15(41.7) 18(50.0)
Clinical L-CR*1 2(5.6) 1(2.8)
L-RR*2 4(11.1) 4(11.1)
L-non CR / non PD 15(41.7) 13(36.1)
L-PD 0 0
NE 0 0
L-CR率[90%CI*3](%) 41.7[27.7, 56.7] 50.0[35.3, 64.7]
*1:表3に基づきClinical L-CRと判定された症例は、L-CRには含まれていない。
*2:表3に基づきL-RRと判定された症例は、L-non CR / non PDには含まれていない。
*3:Clopper-Pearson法
安全性について、10%以上に認められた有害事象は、表5のとおりであった。
表5 10%以上に認められた有害事象及び副作用(OBP101JP 試験、安全性解析対象集団)
6) Clopper-Pearson法。
7) OBP101JP試験の対象とされた、根治切除及び化学放射線療法の適応とならない食道癌患者に対しては、放
射線療法が単独で実施されている。放射線単独療法によるCR率で報告されている本邦における日本食道学
会食道癌全国登録データにおける2009~2011年登録患者データより、当該患者のCR率はcStageⅡ及びⅢの
患者数比(6:4)を考慮して30.2%と算出された。CR率とL-CR 率は同様と考えられたことから、本試験の
閾値L-CR率は30.2%と設定された。
8
例数(%)
PT
有害事象 副作用*1
MedDRA ver. 27.1
全Grade Grade 3以上 全Grade Grade 3以上
全体 36(97.3) 26(70.3) 26(70.3) 16(43.2)
発熱 23(62.2) 1(2.7) 19(51.4) 1(2.7)
リンパ球数減少 21(56.8) 16(43.2) 14(37.8) 11(29.7)
食道炎 13(35.1) 1(2.7) 1(2.7) 0
放射線肺臓炎 9(24.3) 3(8.1) 0 0
体重減少 9(24.3) 0 1(2.7) 0
便秘 9(24.3) 0
食欲減退 7(18.9) 0 2(5.4) 0
白血球数減少 6(16.2) 0 4(10.8) 0
放射線性食道炎 6(16.2) 0 0 0
リンパ球減少症 5(13.5) 4(10.8) 4(10.8) 3(8.1)
放射線皮膚損傷 5(13.5) 0 0 0
皮膚乾燥 5(13.5) 0 0 0
胸水 5(13.5) 0 0 0
AST増加 4(10.8) 0 0 0
嘔吐 4(10.8) 0 2(5.4) 0
頭痛 4(10.8) 0 2(5.4) 0
不眠症 4(10.8) 0 1(2.7) 0
*1:放射線療法ではなく本品との因果関係が否定されなかった事象。
死亡に至った有害事象は、1/37例(2.7%、急性呼吸窮迫症候群)に認められ、併用治療
である放射線療法に関連した副作用と判断され、本品との因果関係は否定された。
重篤な有害事象は、12/37例(32.4%)に認められ、放射線肺臓炎10.8%(4/37例)、放射
線胃腸炎、気管支肺アスペルギルス症、縦隔炎、細菌性肺炎、急性呼吸窮迫症候群、誤嚥
性肺炎、食道潰瘍、食道炎、胃癌、貧血、不安定狭心症、心不全、脳梗塞及び腎不全各
2.7%(1/37例)であった。重篤な有害事象のうち、治験治療との因果関係が否定されなか
った事象は、放射線肺臓炎10.8%(4/37例)、放射線胃腸炎、縦隔炎、急性呼吸窮迫症候群、
食道潰瘍、食道炎及び不安定狭心症各2.7%(1/37例)であった。そのうち、縦隔炎及び食
道潰瘍各1例は本品との因果関係が否定されず、放射線肺臓炎4例、放射線胃腸炎、食道潰
瘍、食道炎、縦隔炎、不安定狭心症及び急性呼吸窮迫症候群各1例は放射線療法との因果関
係が否定されなかった。
本品の投与中断又は延期に至った有害事象は3/37例(8.1%)に認められ、回転性めまい、
誤嚥性各1/37例(2.7%)であった。本品との因果関係はいずれも否定された。本品の投与
中止に至った有害事象は認められなかった。
9
4.施設について
食道癌の治療及び上部消化管内視鏡診療に関する十分な知識及び経験を有する医師が、
本品の臨床試験成績及び有害事象等の知識を十分に習得した上で、食道癌の治療に係る体
制が整った医療機関において使用される必要がある。そのため、本品納入前に、製造販売
業者による講習を実施し、医療従事者向け資材を用いて、本品の適正使用に関する情報を
提供する。
以上から、以下①~③のすべてを満たす施設において使用する必要がある。
①施設について
①-1 下記の(1)~(3) のすべてに該当する施設であること。
(1) 下記のいずれかに該当し、かつ食道癌に対する放射線療法が実施可能な施設であるこ
と。
厚生労働大臣が指定するがん診療連携拠点病院等(都道府県がん診療連携拠点病
院、地域がん診療連携拠点病院、地域がん診療病院など)
特定機能病院
都道府県知事が指定するがん診療連携病院(がん診療連携指定病院、がん診療連
携協力病院、がん診療連携推進病院など)
外来化学療法室を設置し、外来腫瘍化学療法診療料1、外来腫瘍化学療法診療料2
又は外来腫瘍化学療法診療料3の施設基準に係る届出を行っている施設
抗悪性腫瘍剤処方管理加算の施設基準に係る届出を行っている施設
(2) 遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物多様性の確保に関する法律(以下、
「カルタヘナ法」という)に基づく第一種使用規程(名称:ヒトテロメラーゼ遺伝子
プロモーター制御下にE1AおよびE1B遺伝子を同時に発現するようにE1領域が改変さ
れたヒトアデノウイルス5型(OBP-301))に従って、本品を適切に取扱い、また患者
への説明を行うためのチーム医療体制が整備されていること。
(3) 本品の有効性及び安全性に関する情報を収集するため、本品に課せられている製造販
売後調査を適切に実施することが可能であること。
①-2 食道癌の診断、治療及び不具合・副作用発現時の対応並びに上部消化管内視鏡診療に関
する十分な知識と経験を有し、製造販売業者が提供する本品の使用にあたっての講
習を修了した医師が、本品を用いた治療の責任者として配置されていること。具体的
には、下記の(1)及び(2)を満たす医師が治療の責任者として配置されていること。
(1) 下記のいずれかに該当すること。
医師免許取得後2年の初期研修を修了した後に5年以上のがん治療の臨床研修を
行っていること。うち、2年以上は、がん薬物療法を主とした臨床腫瘍学の研修
を行っていること。
医師免許取得後2年の初期研修を修了した後に、消化器癌のがん薬物療法を含む
5年以上の消化器外科学の修練を行っていること。
10
医師免許取得後2年の初期研修を修了した後に4年以上の臨床経験を有している
こと。うち、3年以上は、消化器癌のがん薬物療法を含む消化器病学の臨床研修
を行っていること。
(2) 下記のすべての要件に該当すること。
食道癌の治療及び上部消化管内視鏡診療に必要な学識・技術を習得しているこ
と。
製造販売業者による本品の適正使用に関する講習を受講し、資材の内容を十分
理解していること。
カルタヘナ法を十分に理解し、施設内における第一種使用規程に従った取扱い
が実施できること。
② 院内の再生医療等製品に関する情報管理の体制について
再生医療等製品に関する情報管理に従事する担当者が配置され、製造販売業者からの情
報窓口、有効性・安全性等に関する情報の管理及び医師等に対する情報提供、不具合・副作用
が発生した場合の報告に係る業務等が速やかに行われる体制が整っていること。
③ 不具合・副作用への対応について
③-1 施設体制に関する要件
重篤な不具合・副作用が発生した際に、24時間対応が可能な当該施設又は連携施設にお
いて、発現した副作用に応じて入院管理が可能であり必要な検査の結果が適時得られ、直
ちに対応可能な体制が整っていること。
③-2 医療従事者による不具合・副作用への対応に関する要件
食道癌の診療に携わる専門的な知識及び技能を有する医療従事者が不具合・副作用のモ
ニタリングを含め主治医と情報を共有できる協力体制が整備されていること。なお、その
体制について、患者とその家族に十分に周知されていること。
③-3 不具合・副作用の診断や対応に関して
不具合・副作用に対して、当該施設又は連携施設の専門性を有する医師と連携(副作用
の診断や対応に関して指導及び支援を受けられる条件にあること)し、直ちに適切な処置
ができる体制が整っていること。
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5.投与対象となる患者
標準的な内視鏡的切除や化学療法が推奨される患者等については、最新の食道癌診療ガ
イドライン(日本食道学会編)等を参照すること。
【有効性に関する事項】
① 下記の患者で本品の有効性が確認されている。
根治切除及び化学放射線療法の適応とならない食道癌
② 下記に該当する患者は本品の対象とはならない。
頸部、胸部及び上腹部病変に対する放射線療法の治療歴があり、当該治療歴におけ
る照射野が本品適用対象の照射野と重複する患者。
他の抗悪性腫瘍剤との併用投与となる患者。
cStage 0の患者のうち、標準的な内視鏡的切除が推奨される患者。
cStageⅣBの患者のうち、通過障害がなく、標準的な化学療法が推奨される患者。
③ 適応患者の選択にあたっては、下記について考慮すること。
cStageⅡ及びⅢ以外のcStageの患者は、国内第Ⅱ相試験(OBP101JP試験)に組み
入れられていないため、cStageⅡ及びⅢ以外のcStageの患者への投与については、
臨床上の必要性を十分に検討すること。
【安全性に関する事項】
下記に該当する患者については、本品の投与が禁忌・禁止とされていることから、投与を
行わないこと。
本品の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
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6.投与に際して留意すべき事項
① 添付文書に加え、製造販売業者が提供する資材等に基づき、本品の特性及び適正使用の
ために必要な情報を十分に理解してから使用すること。
② 本品に関する臨床試験成績は限られていること及び上部消化管内視鏡診療下で本品の投与が
行われることのリスクを含めた本品の正確な情報について、患者又は家族へ説明し、同意を
得た上で投与すること。
③ 本品の投与後の放射線療法について、臨床試験ではDay 4から治療期間終了(Day 43)
まで、2.0 Gy/日、週5回、総照射線量60 Gyであり、臨床試験での照射頻度及び照射量
(図1)を参考に照射すること。
図1 本品の投与後の放射線療法のスケジュール
④ 国内第Ⅱ相試験(OBP101JP試験)において、3回を超える投与の経験はないため、3回
を超える本品投与に関する有効性及び安全性については評価されていない。そのため、
患者の状態等によって放射線療法の実施が延期となった場合でも投与回数は3回を上限
とすること。
⑤ 主な不具合・副作用のマネジメントについて
本品投与による免疫反応等に伴う症状として本品投与後早期から高頻度に発熱があら
われるため、患者の状態を十分に観察すること。
血球減少(リンパ球数減少、白血球数減少)があらわれることがあるため、定期的に
血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。
食道穿孔があらわれることがあることから、患者の状態を十分に観察し、発現した場
合には適切な処置を行うこと。
【カルタヘナ第一種使用規程について】
本品は、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物多様性の確保に関する法律に基
づく第一種使用規程の承認を受けた遺伝子組換え生物等を含む製品である(名称:ヒトテ
ロメラーゼ遺伝子プロモーター制御下にE1AおよびE1B遺伝子を同時に発現するようにE1
領域が改変されたヒトアデノウイルス5型(OBP-301))。以下、承認を受けた第一種使用
規程に従い、適切に使用・管理・廃棄すること。
本品の原液の保管
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(1)本品の原液は、容器に密封された状態で遺伝子組換え生物等である旨を表示し、治
療施設内の適切に管理された冷凍庫あるいは適切に温度管理された容器内におい
て保管する。
本品の調製及び保管
(2)本品の原液を希釈せずに投与する場合、原液の投与準備は、治療施設の他の区画と
明確に区別された作業室内での本品のエアロゾルの飛散を最小限に留める方策を
講じて行い、作業室内での本品の拡散を最小限に留める。
(3)投与準備済みの原液は、容器に入れ、漏出しない状態で保管する。
本品の原液の希釈液の調製及び保管
(4)本品の原液の希釈液の調製は、治療施設の他の区画と明確に区別された作業室内で、
エアロゾルの飛散を最小限に留める方策を講じて行い、作業室内での本品の拡散
を最小限に留める。
(5)原液の希釈液は、容器に入れ、漏出しない状態で保管する。
運搬
(6)本品の治療施設内での運搬は、漏出させない措置を執って行う。
患者への投与
(7)本品の投与は、治療施設の他の区画と明確に区別された治療室内で、患者の腫瘍内
に直接注入することにより行う。投与時は、治療室内での本品の拡散を最小限に
留める。
投与後の患者からの排出等の管理
(8)投与後、投与部位から排出される本品の環境への拡散が最小限となるよう、ドレッ
シング材等による被覆を行う等、医師の判断により必要とされる期間対策を講じ
る。
(9)本品の投与後、排出等の管理が不要となるまでの期間、患者の排泄物等から第三者
への本品の伝播を最小限とするために、本品の投与を受ける患者に適切な指導を
行う。
(10)本品の投与後、原則排出等の管理が不要となるまでの期間、患者が当該治療施設
以外の医療施設(以下「外部医療施設」という。)での治療を受けることを避け
るよう、患者に適切な指導を行う。
(11)本品の投与を受けた患者がやむを得ず外部医療施設で治療を受ける場合には、外
部医療施設に第一種使用等の承認を受けた遺伝子組換え生物等が投与された患者
であることが情報提供されるよう、当該患者に適切な指導を行う。
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(12)投与されたOBP-301の排出等の挙動が投与法ごとに明らかになるまで、排出
の懸念がある排泄物等(血液、尿、唾液、糞便及びドレッシング材等)につ
いて、本品の排出等の検査を経時的に実施する。8)
(13)本品の予期しない増殖又は伝播が疑われた場合には、血液、体液、分泌物又は排
泄物等に対する本品の有無を確認するために必要な検査を行う。
患者検体の取扱い
(14)患者から採取した検体は、治療施設及び外部医療施設(以下「施設等」という。)
の規定に従って取り扱う。
(15)本品の投与後、排出等の管理が不要となるまでの期間、検体の検査が外部の受託
検査機関(以下「検査機関」という。)に委託される場合は、本品が漏出しない
容器に入れ、施設等から検査機関へ運搬する。運搬は、第一種使用規程の承認を
受けている遺伝子組換え生物等が投与された患者の検体である旨を情報提供して
行う。検体は検査機関の規定に従って取り扱う。
(16)検体の廃棄は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)に基
づいて施設等又は検査機関で定められた医療廃棄物の管理に係る規程(以下、
「医療廃棄物管理規程」という。)に従って行う。
感染性廃棄物等の処理
(17)本品の原液の廃棄は、医療廃棄物管理規程に従って行う。
(18)本品の原液の廃棄を感染性廃棄物処理業者に委託する場合には、本品の原液は、
漏出しない容器に入れた上で他の医療廃棄物と区別して保管し、感染性廃棄物処
理業者へ運搬し、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300
号)の別表第1の4の項に定める感染性廃棄物(以下「感染性廃棄物」という。)
として廃棄する。運搬は、第一種使用規程の承認を受けている遺伝子組換え生物
等を含む廃棄物である旨を情報提供して行う。
(19)本品の原液の希釈液並びに本品が付着した可能性のある機器及び器材の廃棄は、
医療廃棄物管理規程に従って行う。再利用する機器及び器材においては、不活化
処理を行い、十分に洗浄する。
(20)本品の原液の希釈液、検体等の廃棄を感染性廃棄物処理業者に委託する場合には、
本品の原液の希釈液及び検体等は漏出しない容器に入れ、本品が付着した可能性
のある機器及び器材は、二重袋等に厳重に封じ込めた状態で、感染性廃棄物処理
業者へ運搬し、感染性廃棄物として廃棄する。
(21)患者が自宅等で用いたドレッシング材等は、二重袋等に厳重に封じ込めた状態で
8)本品の投与法(食道癌における内視鏡下で腫瘍内投与)については、OBP-301の排出等の挙動が既に明らかと
なっているため、本項の「投与法ごとに明らかになるまで」には該当せず、本項に基づく経時的な排出等の検
査は要しない。
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廃棄する。
(22)治療施設外で保管された未開封の本品を廃棄する場合は、密封された状態で高圧
蒸気滅菌処理、焼却処理等の不活化処理を行い、廃棄する。
以上
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この資料について
出典:厚生労働省ホームページ (https://www.mhlw.go.jp/)
当サイトが保存しているのは、PDFから取り出した文字だけです。 これは言葉で探せるようにするためのもので、 厚生労働省が公表した資料そのものではありません。 図表・画像・レイアウトは失われています。
正確な内容は、必ず厚生労働省のPDFをご確認ください。