費-2-1 費用対効果評価制度における検証のための会議 議論のとりまとめについて(厚労科研発表)本文
費用対効果評価専門部会 第78回 / 2026-09-09 開催 / 11ページ
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中医協 費-2-1
8 . 9 . 9
医薬品等の費用対効果評価制度における検証のための会議
議論のとりまとめ
令和8年9月7日
目次
1 はじめに
(1)本会議の開催に係る経緯
(2)本会議で取り扱う論点について
2 議論の内容
(1)比較技術に対する健康アウトカム指標での改善の評価における科学的根拠について
(2)ICERの不確実性への考慮について
(3)比較対照技術の臨床的妥当性について
(4)その他の議論
3 まとめ
1 はじめに
(1) 本会議の開催に係る経緯
令和8年度費用対効果評価制度改革の骨子において、関係業界からの意見等を踏まえ、
半年程度の技術的な議論を行うこととされたことを踏まえ、「医薬品・医療機器等の費用
対効果評価制度における公的分析の体制、分析ガイドラインの改定及び客観的検証のため
の研究」(研究代表者:福田敬、国立保健医療科学院保健医療経済評価研究センター セ
ンター長。以下「研究班」という。)において、令和8年5月から医療経済学者、医療統
計家、臨床専門家、製造販売業者、国立保健医療科学院及び公的分析班(以下「公的分析」
という。)の代表者による検討を実施した。
(2) 本会議で取り扱う論点について
本会議では、これまでの費用対効果評価制度の運用実績を踏まえ、制度運用上の課題と
して指摘された事項について技術的観点から議論した。具体的には、
・比較技術に対する健康アウトカム指標での改善(以下「『健康アウトカムの改善』」と
いう。)の評価における科学的根拠
・増分費用効果比(以下「ICER」という。)の不確実性の取扱い
・比較対照技術の選定方法
を主な論点として取り上げた。検証にあたっては、製造販売業者及び公的分析の双方から、
各論点の概要及び個別品目に関する説明を受けるとともに、評価結果が導かれた背景や分
析手法の妥当性について議論を行うこととした。
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2 議論の内容
(1)比較技術に対する健康アウトカム指標での改善の評価における科学的根拠について
上記論点について、製造販売業者委員より以下のような課題が提示され、公的分析より
追加の説明が行われた。その上で、委員が議論を行った。
ア 製造販売業者から提示された課題
○ 薬価算定と費用対効果評価における有用性評価の相違
• 薬価算定では、新規作用機序、高い有効性・安全性、治療方法の改善、製剤上の工夫
や利便性等が評価される一方、費用対効果評価では、比較技術に対する健康アウトカ
ムの改善がデータにより示されているかどうかが評価される。
• 新規作用機序、投与間隔の延長、利便性及びアドヒアランスの改善等は、臨床的意義
が期待される一方、承認時の臨床試験では健康アウトカムへの影響を直接把握するこ
とが困難な場合がある。
• 薬事承認時の試験デザイン、評価項目又は対象集団が費用対効果評価の分析枠組みと
一致しない場合、「『健康アウトカムの改善』が示されていない」のではなく、評価時
点で「『健康アウトカムの改善』を示すデータが存在しない」場合がある。
○ 『健康アウトカムの改善』が示されず、費用増加となった分析対象集団を含む品目の
価格調整
• 『健康アウトカムの改善』が示されず、比較技術より費用が増加する品目について価
格調整の範囲を拡大する場合、評価時点でデータが十分に成熟していないことや、一
部集団において検出力が不足していることも価格引下げにつながり得るのではない
か。
• 薬価に含まれる加算には、健康アウトカムの改善に対する評価だけでなく、希少疾病、
小児、先駆的開発等への政策的インセンティブもある。『健康アウトカムの改善』が
示されていないことのみをもって、これらを含む価格全体を調整することが妥当かを
検討する必要があると考えられる。
○ 薬価制度と費用対効果評価制度の整合性
• 費用対効果評価制度は薬価制度を補完する仕組みであるため、『健康アウトカムの改
善』の科学的な評価方法と、その結果を薬価に反映する方法は、区分しつつも一体的
に検討する必要があると考えられる。
• 薬価算定時に評価された有用性が費用対効果評価でどのように考慮されたかを明確
にする必要があると考えられる。
イ 公的分析からの追加説明
○ 公的分析における『健康アウトカムの改善』の評価基準
• 『健康アウトカムの改善』は、原則として臨床的な有効性、安全性及び健康関連QO
L等の健康アウトカムに基づき評価する。
• 新規作用機序、投与方法、投与間隔、利便性及びアドヒアランス等は中間的な指標で
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あり、これらが治療継続、症状改善、イベント抑制又はQOL向上等につながること
が示された場合には、『健康アウトカムの改善』として考慮し得る。
• 『健康アウトカムの改善』の評価は統計学的有意差のみで機械的に判断するものでは
なく、効果量、検出力、不確実性、対象患者及びエビデンスの質を踏まえ、費用対効
果評価専門組織(以下「専門組織」という。)で総合的に判断されている。
• リアルワールドデータも費用対効果評価に使用し得るが、患者選択、交絡、データベ
ースの特性、日本の臨床実態への外挿可能性等を確認する必要がある。
○ 『健康アウトカムの改善』を示す責任の所在
• 『健康アウトカムの改善』を示すためのデータを提出する役割は、基本的には製造販
売業者側にあり、公的分析は製造販売業者から提出されたデータ及び分析結果をレビ
ューし、必要に応じて再分析を行う立場である。
• データが不十分又は存在しないことに伴う不確実性を国民や保険者が一方的に負担
することは適切でなく、必要なエビデンスが示されない場合は「『健康アウトカムの
改善』が示されていない」と評価することになる。
• 「『健康アウトカムの改善』がない」ことを積極的に証明することは困難であり、学
術的に正確な表現は「『健康アウトカムの改善』が示されていない」である。
○ 評価のあり方と評価結果の活用の区別
• 『健康アウトカムの改善』をどのようなエビデンス及び基準で評価するかは、学術的
妥当性及び国際的標準との整合性に係る技術的課題である。
• 一方、その評価結果を薬価調整等にどのように反映するかは、日本の医療保険制度及
び薬価制度を踏まえた政策的課題であり、両者を区分して議論する必要がある。
• 薬価算定上の有用性と費用対効果評価における『健康アウトカムの改善』は、共通す
る要素があるものの、必ずしも一致する概念ではない。
ウ 会議での議論
○ 上記の議論をうけて、委員より以下のような意見があった。
• ドイツ・フランスのように『健康アウトカムの改善』を価格に反映する制度と、英国
のように『健康アウトカムの改善』を独立して価格に直接連動させない制度がある中、
日本で評価結果をどのように活用するのか、明確にする必要があるのではないか。
• 臨床医は、価格の高い新薬には既存治療を上回る有用性があると受け止める可能性が
あり、『健康アウトカムの改善』が明確に示されていない場合には、誤解を招くおそ
れがある。
• ドイツ・フランスを参考に、『健康アウトカムの改善』を「示されている」「示されて
いない」の二区分だけでなく、エビデンスの確実性や改善の程度に応じて、段階的に
評価する手法について研究してはどうか。
• 健康アウトカムの直接的改善に加え、投与方法や利便性の大きな改善を、どのような
条件で『健康アウトカムの改善』として評価するかも、論点になる。
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• 『健康アウトカムの改善』を念頭に置いたデータ取得を治験段階や薬事承認後も進め
るとともに、リアルワールドデータを含め、必要なエビデンスについて関係者が早期
に相談できる仕組みが重要である。
• 新型コロナウイルス感染症のように臨床実態が短期間で大きく変化する場合につい
ては、通常時とは異なる評価ルールを検討する必要があるのではないか。
• 費用対効果評価終了後に新たなエビデンスが得られた場合には、再指定できる仕組み
があるため、この仕組みを活用して再評価することが望ましい。
• 新たなエビデンスが得られた品目については、再指定となるH3区分を活用して事後
的に評価する方法が考えられるが、これまでH3区分で再評価された品目がないこと
に鑑みると基準を明確化してはどうか。
• 薬価制度ではドラッグラグ・ロス対策やイノベーション評価、財政面、患者アクセス
向上など様々な価値が加味されている一方、費用対効果評価制度は比較技術に対する
健康アウトカム改善以外の価値を十分に評価することには、一定の限界がある点を理
解する必要があるのではないか。
• 薬価制度における有用性加算の要件となっている有用性を、費用対効果評価の中でど
う評価するかは、今後研究として取り組む必要があるのではないか。
(2)ICERの不確実性への考慮について
上記論点について、製造販売業者委員より以下のような課題が提示され、公的分析より
追加の説明が行われた。その上で、委員が議論を行った。
ア 製造販売業者から提示された課題
○ 現在の階段方式によるICERの区分では、価格調整時の不確実性を吸収し切れてい
ない。
• 国際的なガイドラインや学術的知見では、ICERの点推定値のみではなく、不確実
性を含めて総合的に評価し意思決定を行うことが推奨されている。
• 現行制度では、価格調整区分の判定に基本分析のICER(点推定値)が主として用
いられており、不確実性が十分反映されていないのではないか。
• ICERの閾値区分が価格調整率に直結するため、わずかな数値差で価格調整結果が
大きく変化し得る。
○ 前提の違いによってICERが乖離し、意思決定を左右しうる。
• 企業分析と公的分析では、比較対照技術、アウトカム、モデル構造等の設定の違いに
より、ICERの結果が大きく異なる場合がある。
• 現行の確率的感度分析では、パラメータの不確実性は評価できる一方で、比較対照技
術の選定等に起因する構造的な不確実性は十分に評価できないことがある。
• こうした前提条件の相違により価格調整区分が変化する事例もあり、不確実な状況下
での意思決定の在り方を検討すべきではないか。
○ シナリオ分析が価格調整で考慮されない。
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• 分析ガイドラインでは、分析の設定が一意に定まらず結果に影響を及ぼす場合には、
複数のシナリオによる分析を実施することとされている。
• 実際の評価ではシナリオ分析の結果が示されても、価格調整の判断に反映される事例
は限定的であり、最終的には基本分析の結果が採用されることが多いのではないか。
• シナリオ分析によって示された不確実性についても、価格調整における意思決定の際
に一定程度考慮すべきではないか。
イ 公的分析からの追加説明
○ 公的分析における不確実性の評価
• 不確実性には、パラメータ推定誤差に起因するものと、比較対照技術や対象集団等の
分析設定に起因するものがある。
• 不確実性が結果に大きな影響を与える場合には、評価対象技術に有利となる設定も含
めて検討し、分析結果の頑健性を確認している。
• 専門組織では、不確実性を踏まえた上で分析結果をどのように解釈すべきかについて
検討を行っている。
○ 感度分析を用いた分析結果の頑健性の確認
• 不確実性の影響や分析結果の頑健性を確認するため、感度分析を実施している。
• 感度分析では、パラメータや分析設定を変更した場合の結果への影響を検証し、結果
の安定性を評価している。
• 不確実性が大きい事例については、追加分析や複数回の専門組織による審議を含め、
通常より丁寧な検討を実施している。
○ 評価結果の解釈と意思決定における取扱い
• 一般に、不確実性が大きい分析結果は誤った意思決定につながるリスクが高いため、
慎重な解釈が求められる。
• 海外では不確実性を踏まえて、結果をより厳格に解釈する例がみられる。日本の費用
対効果評価制度では基準値の変更等は行わず、専門組織で不確実性を含めて総合的に
評価している。
• 感度分析等の結果は専門組織における定性的な考慮要素として活用され、最終的には
ベースケースを中心に評価結果が整理されている。
ウ 会議での議論
○ 上記の議論をうけて、委員より以下のような意見があった。
• 公的分析と企業分析の結果が異なる場合には、専門組織以外に、手続や判断の妥当性
を確認する仕組みは考える余地があるか。
• 構造的不確実性など、階段方式では十分に吸収しきれない不確実性について、どのよ
うに評価し意思決定につなげるかが重要な課題ではないか。
• 日本の費用対効果評価制度は価格調整を目的としており、保険償還の可否も判断する
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英国の制度とは異なるため、NICEと同様の組織を設けるべきかどうかは別の議論
である。
• 議事録の公開が評価完了後に行われることから、企業は、専門組織の議論をすぐに知
ることができない。企業が専門組織の議論を傍聴したり、議論に参加したりすること
はできないか。
• 後治療の取扱いについては、分析結果に影響を与え得る重要な前提であり、必要に応
じてリアルワールドデータも活用しながら、分析における取扱いを明確にすることが
重要ではないか。
• 費用対効果評価では、長期的な予後予測や医療費への反映、健康アウトカムを、短期
的な実測データを用いて推計するため、一定の不確実性を伴う。その中で、パラメー
タの推定誤差に伴う不確実性と、モデルの構造や前提条件を変えたことによる構造的
な不確実性は、感度分析やシナリオ分析を用いて、結果の頑健性を確認している。
• 専門組織では、不確実性のあるデータや分析結果を踏まえて、どのように結果を解釈
して判断に至ったかを、製造販売業者、医療関係者、国民に分かりやすく示すことが
重要である。
(3)比較対照技術の臨床的妥当性について
上記論点について、製造販売業者委員より以下のような課題が提示され、公的分析より
追加の説明が行われた。その上で、委員が議論を行った。
ア 製造販売業者から提示された課題
○ 現行の比較対照技術の選定方法では、臨床実態との乖離が生じる場合がある
• 分析ガイドラインでは、評価対象技術の導入時点で臨床的に幅広く使用され、かつ評
価対象技術に代替されると想定される技術のうち、治療効果がより高いものを比較対
照技術として選定することが原則とされている。
• 一方で、比較対照技術を原則として単一に定める現行の運用では、実際の臨床現場に
おける治療選択を十分に反映できない場合がある。
• 比較対照技術はICER算出の起点となることから、比較対照技術の選定によって評
価結果が大きく左右される可能性がある。
○ 複数の比較対照技術の活用に関する課題
• 諸外国では、臨床実態に応じて複数の比較対照技術を設定して評価を行う事例がみら
れる。
• 比較対照技術が複数存在する場合に、単一の技術を選定することで臨床実態との乖離
が生じる場合には、複数の比較対照技術を設定することも検討すべきではないか。
• 臨床実態をより適切に反映した評価を行う観点から、比較対照技術の選定方法につい
て柔軟な運用を検討すべきではないか。
○ 比較対照技術の臨床的妥当性の確保
• 臨床実態と整合しない比較対照技術が設定されることを避けるため、比較対照技術の
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選定に当たり、臨床的妥当性をより重視すべきではないか。
• 比較対照技術の選定に関する判断について、関連学会等の第三者的な専門家の関与を
求める仕組みを設けてはどうか。
• 比較対照技術の選定過程における透明性や納得性の向上が重要ではないか。
イ 公的分析からの追加説明
○ 比較対照技術の選定における基本的な考え方
• 比較対照技術は、分析ガイドラインに基づき、臨床的に幅広く使用され、評価対象技
術によって代替されると想定される技術のうち、治療効果がより高いものを選定して
いる。
• 「臨床的に幅広く使用されている」とは、必ずしも市場シェアを意味するものではな
く、診療ガイドライン等において標準的な治療として位置付けられていることを含む
概念である。
• 公的分析では、比較対照技術の選定に当たり、「置き換わる技術」であることよりも
治療効果の大きさを重視している。
○ 複数の比較対照技術の設定に関する考え方
• 日本の費用対効果評価制度では、一つの品目に対して一つの価格調整結果を導く必要
があるため、各分析対象集団において比較対照技術を一つに定める運用としている。
• 複数の比較対照技術を設定した場合には、複数の分析結果の取扱いや重み付けが課題
となるほか、企業及び公的分析双方の分析負担が増大する。
• 一方で、病態や患者集団ごとに分析対象集団を分割することで、実質的に複数の比較
対照技術を評価に反映できる場合がある。
○ 現行の運用の妥当性
• 比較対照技術は分析開始前に企業との協議を経て決定しており、分析結果を見た後の
恣意的な選択を防止している。
• 諸外国でも複数の比較対照技術を用いた分析が行われているが、最終的には評価機関
がベースケース分析を選定し、一つの分析結果に基づいて意思決定を行っている。
• 比較対照技術を一つに定めるという点では日本と諸外国で共通する部分があり、主な
違いは、その決定を分析前に行うか、評価段階で行うかにある。
ウ 会議での議論
○ 上記の議論をうけて、委員より以下のような意見があった。
• 費用対効果評価における比較対照技術の選定は、制度の目的や運用を踏まえて考える
必要があり、価格調整を目的とする日本の制度においては、導入可否の判断を前提と
する諸外国の考え方をそのまま適用することは適切ではない。
• 諸外国においても複数の比較対照技術を用いた分析が行われる場合があるものの、価
格決定や意思決定の段階では、最終的にベースケース分析を定める必要があり、日本
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の運用もその考え方と大きく異なるものではない。
• 分析前協議や専門組織における議論の過程で、代替可能性、治療効果、使用実態及び
患者集団の考え方について、より丁寧に説明することが重要である。
• 同じ適応で使われる医薬品が複数ある場合、縦軸に費用、横軸に効果をプロットする
費用対効果平面の中に計算結果を書き、費用対効果が一番良いものを選定する効率性
フロンティアという考え方がある。分析ガイドラインでは、この考え方に基づいて比
較対照技術を選定するよう記載しているのではないか。
• 患者ごとに複数の治療法が使い分けられているのであれば、費用対効果評価において、
サブグループとして分けるべきである。
(4)その他の議論
上記の論点以外に、以下のコメントがあった。
○ 費用対効果評価において、介護費用を評価するにあたって、要介護度と費用の関連デ
ータもあり、医療介護レセプトが整備されている日本では、諸外国と比較してエビデン
スが出しやすいと考えられる。
○ 製造販売業者及び公的分析による費用対効果分析の質を継続的に向上させる観点か
ら、医療経済評価に関する専門人材の育成、企業内における分析人材の確保や育成、大
学等との連携及び関係者間の情報共有を進めることが重要である。
3 まとめ
○ 費用対効果を検討するにあたっては、評価対象技術の比較技術に対する『健康アウト
カムの改善』がデータによって示されているか否かを、まず評価することとなっている。
『健康アウトカムの改善』は、健康アウトカムに基づき、学術的妥当性及び国際的標準
との整合性を確保して評価することが基本である。一方、『健康アウトカムの改善』の
評価にあたっては、薬価算定時の有用性との違い、データ不足、アドヒアランス及びリ
アルワールドデータの取扱い、利便性並びに評価区分のあり方等に留意すべきといった
意見や、新たなエビデンスが得られた場合の再評価の活用を推進すべきといった意見も
あった。また、必要に応じて「『健康アウトカムの改善』が示されていない」と判断し
た理由やその根拠を適切に提示することも考えられた。
○ 現行制度ではICERは一定の不確実性があることを踏まえ、ICERの区分で幅を
持たせて価格調整率を決定してきた。ICERの不確実性については、構造的不確実性
を含め、分析結果の頑健性を確認した上で評価することが基本である。一方、基本分析
におけるICERの点推定値を用いること等について留意が必要であるといった意見
もあった。
○ 費用対効果評価制度では、評価対象技術の比較対照技術に対する効果と費用の差を用
いて評価している。比較対照技術については、分析ガイドラインに基づき、治療効果が
より高いものを一つ選定することが原則的な考え方である。一方、臨床現場において複
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数の治療選択肢が存在する場合には、比較対照技術を一つに定めることについて臨床実
態との関係が問われ得ることや、選定理由が十分伝わりにくい場合があることについて
留意が必要であるといった意見もあった。
○ いずれにおいても、費用対効果評価専門組織の決定は、各論点について企業分析と公
的分析の内容を踏まえ、より確からしい分析方法の選択によって行われており、一定の
妥当性はあるとされつつも、議論の透明性やプロセスについては、一部改善の余地があ
ると考えられた。
○ これらを踏まえて、さらに議論の透明性を改善する観点から、
• 製造販売業者の専門組織への出席機会を増やすこと
• 製造販売業者と公的分析を実施する国立保健医療科学院の協議機会を増やすこと
• 新規の重要な知見が得られた際における要望の仕組みの活用を推進すること
について、今後検討が必要と考えられる。
○ 他の論点についても、引き続き将来的な費用対効果評価制度改革に係る議論の中で検
討されることが望まれる。
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(参考資料)
医薬品等の費用対効果評価制度における検証のための会議の開催経緯
開催日時等 議題
第1回 〇座長及び座長代理の選出
(令和8年5月25日) 〇厚労省から制度の説明
〇検証で議論する内容についての確認
第2回 ○新任委員の紹介
(令和8年6月16日) ○分析ガイドラインの説明
○『健康アウトカムの改善』の科学的根拠 議論や論点のサ
マリー
○公的分析における『健康アウトカムの改善』評価について
○各品目における評価1
第3回 ○ICERの不確実性 論点とサマリー
(令和8年7月13日) ○公的分析における不確実性の取り扱いについて
○各品目における評価2
○比較対照技術の臨床的妥当性 論点とサマリー
○公的分析における比較対照の取り扱いについて
○各品目における評価3
第4回 ○議論のとりまとめについて1
(令和8年8月4日)
第5回 ○議論のとりまとめについて2
(令和8年8月18日)
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医薬品等の費用対効果評価制度における検証のための会議
構成員等名簿
(敬称略・五十音順)
氏 名 所属・役職
○ 池田 俊也 国際医療福祉大学医学部公衆衛生学 教授
宇田 晃仁 米国研究製薬工業協会 HTAタスクフォース副委員長
江﨑 稔 国立がん研究センター中央病院肝胆膵外科 科長
大曲 貴夫 国立国際医療研究センター 副院長
川﨑 洋平 埼玉医科大学RAセンター 教授
後藤 励 慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科 教授
齋藤 信也 岡山医療専門職大学 学長
新谷 歩 大阪公立大学大学院医学研究科医療統計学 教授
国立保健医療科学院保健医療経済評価研究センター
白岩 健
上席主任研究官
薄井 紀子 東京慈恵会医科大学腫瘍・血液内科 客員教授
◎ 中村 洋 慶應義塾大学大学院経営管理研究科 教授
山口 拓洋 東北大学大学院医学系研究科医学統計学分野 教授
日本製薬工業協会産業政策委員会産業振興部会
湯淺 晃
費用対効果評価対応チームリーダー
※ ◎は座長、○は座長代理
オブザーバー
氏 名 所属・役職
飯野 崇 欧州製薬団体連合会アクセス・薬価委員会 委員長
五十嵐 中 慶應義塾大学大学院経営管理研究科 特任教授
川上 純一 浜松医科大学医学部附属病院薬剤部 教授・薬剤部長
田宮菜奈子 筑波大学医学医療系ヘルスサービスリサーチ分野 特任教授
西川 和彦 米国医療機器・IVD工業会保険委員会 HTAWGリーダー
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この資料について
出典:厚生労働省ホームページ (https://www.mhlw.go.jp/)
当サイトが保存しているのは、PDFから取り出した文字だけです。 これは言葉で探せるようにするためのもので、 厚生労働省が公表した資料そのものではありません。 図表・画像・レイアウトは失われています。
正確な内容は、必ず厚生労働省のPDFをご確認ください。