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中医協 費-1-2
5 . 8 . 2
中央社会保険医療協議会
費用対効果評価専門部会
意見陳述資料
2023年8月2日
日本医療機器産業連合会(JFMDA) 日本医療機器テクノロジー協会(MTJAPAN)
米国医療機器・IVD工業会(AMDD) 欧州ビジネス協会(EBC)医療機器・IVD委員会
登録
医療機器2品目の評価を終えて
制度化以降に評価が終了した2品目の事例において、医療機
⚫
器の特性に起因する評価および運用上の課題が顕在化した
現在の費用対効果評価制度では、医療機器が社会に提供す
⚫
る多様な価値を反映できない
2品目の評価結果と医療機器の特性を改めてご説明したうえで、
⚫
課題に対する改善要望を申し述べたい
あわせて、7月12日費用対効果評価専門部会にて提示された
⚫
「費用対効果評価専門組織意見書」に対する業界の見解につ
いても申し述べたい
2
医療機器の特性に応じた評価のあり方について検討を進める
必要性に言及された専門組織に感謝する
日本の制度環境に即した医療機器の分析ならびに評価のあり方が確立され
⚫
ることに期待する
医療機器の特性について十分な理解を担保する観点から、検討過程に業界
⚫
が関与できるようにしていただきたい
➢ 費用対効果評価専門組織意見書 ➢ 「医療技術の費用対効果評価」(福田研究班)にお
いて指摘された考慮すべき事項
「これまで費用対効果評価の対象となった医
•
「RCT のような比較試験が実施しにくい」
•
療機器については、事例を踏まえつつ、医療
「今後明確なエビデンスを示す研究が実施される
機器の特性に応じた評価のあり方について検 •
ことを求めている」
討を進める必要があるのではないか。」
「習熟カーブがどう影響するかを検討することも重
•
要」
「高額な医療機器を用いる技術の場合には、機
•
器の設置に係る費用をどう扱うかも課題」
「わが国においても今後このような点を考慮した
•
評価の実施および活用⽅法の議論が必要と思
われる」
出所:2021 年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(政策科学総合研究事
業)「医薬品・医療機器等の費用対効果評価における公的分析と公的意思
決定方法に関する研究」2021年度総括研究報告書(研究代表 福田敬)
2022年3月
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/
出所:中医協 費用対効果評価専門部会 令和5年7月12日 資料1 202101016A-sonota1.pdf 3
異なる比較対照について、その構造的特性から高い蓋然性を以て
追加的有用性が見込める場合でも、費用最小化分析となりうる
【品目1】Expedium Verse Fenestrated Screwシステム (脊椎内固定器具)
保険収載時はチャレンジ申請を行い、最終的アウトカムである再手術率を有意に低下させるデータを
⚫
示すことで、「構造等における工夫により」「合併症の発生が減少する」ことが「客観的に示されている」と
して、改良加算(ハ)5%が認められた
一方、費用対効果評価で指定された比較対照品については比較研究がないことから、「現時点では
⚫
追加的有用性についてのエビデンスに乏しく(中略)費用最小化分析は妥当」とされた
(中医協5.6.14 総ー3)
異なる品目に対しても構造特性や優越性の程度から、高い蓋然性をもって追加的有用性が見込める
⚫
場合であっても、エビデンスが認められないのであれば、世界的に比較試験が少ない植込み型医療機器
は間接比較が困難なことから、多くの場合に費用最小化分析となることが想定される
出所:中医協総会 令和3年12月8日資料 総ー1-1 4
公的分析が行った追加の解析について
詳細な説明と丁寧な議論がないと、見解の相違がなくならない
【品目2】Micra 経カテーテルペーシングシステム(Micra AV)(植込み型リードレス心臓ペースメーカ)
保険収載時は「効果発現のため」の「作用機序が類似材料と大きく異なる」「臨床上有用な新規の機序を
⚫
有する」に該当するとして、有用性加算(イ)10%が認められた。
(下図参照)
費用対効果評価においては、植込み後12か月以降のQOL値が測定されていないことから、植込み後12
⚫
か月以降のQOL値差分はないとする公的分析が採用された。
(中医協5.6.14 総ー3)
企業はQOL値に差分に繋がる事象として、慢性期合併症発生率の低減に加え、経静脈ペースメーカ患者
⚫
の行動制限や不安感の低減等の様々な要素について説明した。公的分析はそれらの影響を分析レポート
提出後に確認したとのことだが、どのような確認を行ったかを企業へ説明し、質問する機会がなかった。
医療機器の特性としてデータが存在しないことが多いなか、医療機器の有用性を評価する上で、直接的な
⚫
データのみだけでなく、蓋然性に基づく仮定についても慎重な議論が必要である。公的分析が追加の解析を
行った場合はより詳細な説明と丁寧な議論が必要なのではないか。
5
出所:中医協総会 令和3年10月13日資料 総ー3-1
分析実施企業の考え方
医療機器が社会に提供する価値を評価に反映させるため、資源と知見を活
⚫
用し、できる限りの工夫をして分析を行っている
現状のプロセスでは下記が困難
⚫
企業が理解を深める
–
公的分析班およびC2Hが有する科学的知見
•
本邦の制度環境における評価⽅針
•
公的分析班およびC2Hに理解していただく
–
対象品目の臨床環境とそれがアウトカムに及ぼす影響
•
対象品目のエビデンスの状況
•
どのような分析が実現可能か、公的分析班と丁寧な議論を重ねて分析を行
⚫
いたい
6
医療機器の特性と費用対効果評価への影響
医薬品 特定保険医療材料 費用対効果評価への影響
• 約9兆円 • 約1兆円
• 高額品目数: • 高額区分数: • 製品ごとに試験を実施する余力
市場規模
500億円以上13品目 50億円以上約30区分 が小さい
• 製品数:約16,000製品 • 製品数:1200機能区分約20万製品
• 銘柄別方式 • 機能区分別方式
(個別品目ごとに償還価格を (同様の機能を有する類似製品群に
• 短期間に製品が置き換わるため、
価格算定ルール 設定) 同一の償還価格を設定)
比較研究を行いにくい
→革新性を評価しやすい一方、 →価格競争が誘発され、
価格競争は起こりにくい 製品の置き換わりが起こりやすい
• 多種多様な要素技術からなる
• 基本的に薬理作用を有する 工業製品 • RCTによる優越性などに限らず、
開発プロセス 科学物質 • 臨床使用時に「モノの効果」+ 個別にリスクアセスメントが行われ
• 評価方法が基本的に確立 「使用者の技量」 る(参考資料1)
• 決まった開発プロセス・評価方法がない
イノベーションの • 改良・改善が中心 • 比較試験を必ずしも要しない
• 新規機序が中心
⽅向性 (軽量化、操作性向上等) (参考資料2)
• 医師の技術に影響を受ける
• 患者自身が服用、
使用⽅法 • 主に医師等が使用 • 海外と使用方法が異なる場合が
または医療機関での投薬
ある
出所:「令和2 年度厚生労働省医政局経済課委託事業医療機器・体外診断用医薬品 の保険適用に関するガイドブック」および「薬事政策」PMDA方眞美,
7
2018年10月」を基に一部改変
制度及び運用上の課題および改善要望(全体像)
分 総
企 公 価
析 合
業 的 格
前 的
分 分 決
協 評
析 析 定
議 価
A) C2H・公的分析班とのコミュニ
ケーションについて
B) 分析の流れについて
C) 総合的評価について
D) 価格調整について
E) 分析および評価の実施について
8
A:C2H・公的分析班とのコミュニケーションについて (1/2)
【課題】
1. 分析前協議の内容と時間が限られており、限られたエビデンスでどのような分析手法や
パラメータの推定方法が受け入れられるのか確認できないまま、企業分析を行うことに
なる
⚫ 分析前協議の内容が以下のように決まっており、協議の時間がない
• 第1回:製造業者による以下の説明と質疑応答 ①対象疾患・品目の概要、②主な臨床試験の
概要と結果、③諸外国のHTAの結果、④提案する分析枠組み、⑤その他相談事項(各10~15
分程度)
• 第2回:C2Hからの見解と質疑応答
• 第3回:未合意事項
2. 公的分析の報告書提示から専門組織3までの期間が短く、十分な内容の確認ができ
ない
3. 公的分析班との質疑応答が書面のみのため、公的分析班の考えを企業が適切に理
解することや、企業分析の真意を公的分析班に理解していただくことが困難
9
A:C2H・公的分析班とのコミュニケーションについて (2/2)
【改善要望】
① 比較試験が存在しないことが明らかな場合など、必要に応じて分析前協議の対象と時間を拡大
して、想定されるエビデンスや検討しているパラメータの推定方法について協議させていただきたい
② 事実確認等を目的として、専門組織2・3の前に公的分析の結果を確認できる機会をいただきた
い
③ 公的分析班との直接的なやりとりを可能としていただきたい(電話での問い合わせを含む)
⚫ 分析手法やエビデンスの適切性に関する質問
⚫ 公的分析班からの質問・指摘事項に対する企業の説明
① ② ②
専門組織1 専門組織2
公的分析 専門組織3
分析前 分析の 企業分析
企業分析 による 再分析 総合的
協議 枠組みの 及び検証
検証 評価
決定 の確認
③
10
B:分析の流れについて
【課題】
1. 公的分析による検証を経て、指摘を受けた企業分析の課題に対処し企業が分析をや
り直しても、再提出することができない
2. 分析前協議の時点では認識されなかった課題が公的分析レビューで明らかになるなど
丁寧な説明が必要な場合でも、3月(90日)の期間内に公的分析を完了させる必
要があるため、十分な説明の時間をとれない可能性がある
【改善要望】
① 公的分析の指摘を踏まえて企業分析をやり直した場合、再提出することを可能として
いただきたい
② 公的分析の指摘に対して丁寧な議論ができるよう、必要に応じて公的分析期間の延
長を検討できるようにしていただきたい
11
C:総合的評価について (1/2)
【課題】
◼ 医療機器のエビデンスの実情が考慮されずに評価が行われるため、医療機器が患者
にもたらす価値が適切に評価されない
⚫ 医療機器では臨床試験がほとんどなく、あっても単群試験が多いことから、エビデンスが不足す
るため「追加的有用性がない」と評価されることが多くなるとみられる
(参考資料1, 2, 3)
⚫ 臨床試験が少ないため十分なQOL値のデータがなく、ICERの不確実性が高い
(参考資料4)
⚫ 低侵襲手術の特徴にはQOL値に直接影響を及ぼさない便益によるものが多い
(参考資料5)
12
C:総合的評価について (2/2)
【改善要望】
保険適用希望においては高い蓋然性をもって臨床的有用性が認められたにも関わら
ず、費用対効果評価においてはエビデンスが不足するものについて、価格調整におけ
る配慮の要否について総合的評価で審議いただきたい
⚫ 該当要件(案)
➢ 保険適用希望の際に比較した技術と費用対効果評価の比較対照技術が異なり、かつ、保険適
用希望の際に比較した技術以外の十分な臨床データが存在しない場合
➢ 単群試験の臨床データにより加算を取得した品目であって、その単群試験以外の臨床データが存
在しないために、ICERの算出が困難な場合(医療機器の有用性加算のイやハなど)
➢ 十分なQOL値のデータが存在しないために、ICERの不確実性が高い場合
➢ QOL値に直接影響を及ぼさない便益により加算が認められている場合(医療機器の有用性加
算のイなど)
(参考資料6)
(参考)英国NICEでは閾値の緩和を検討する条件として、「『終末期における延命治療』(End of life)の条件を満
たす場合」、「技術の革新性が基本分析におけるQALY で十分に捉えられていない場合」、および「ICER
の不確実性程度」を挙げている
(参考資料7)
13
D:価格調整について
【課題】
◼ 費用最小化分析では 「価格調整における配慮が必要とされたもの」であっても配慮が
行われない
(参考資料8)
• 「価格調整における配慮が必要とされたもの」については価格調整係数を決めるICERの閾値が緩和されて
いるが、費用最小化分析ではICERが算出されない
• 分析手法の違いによって必要な配慮が行われない場合があるのは望ましくない
【改善要望】
費用最小化分析の価格調整係数に「価格調整における配慮が必要とされたもの」の
区分を設定して、価格調整係数を緩和していただきたい
費用最小化分析の価格調整係数(案)
価格調整係数
ICERの区分 別に定める条件
β γ θ
下記に該当しないもの 0.1 0.1 0.5
比較対照技術に対し効果が同等であり、
かつ費用が増加するもの
価格調整における配慮が必要とされたもの 0.4 0.4 0.67
参照: 特定保険医療材料の保険償還価格算定の基準について 別表9(令和4年2月9日)
14
E:分析および評価の実施について (1/2)
【課題】
1. 医療機器の費用対効果分析は技術的難易度が高く、社外人材の質的・数的制約
があることから、社内人材が少ない企業では分析の遂行が不可能な場合がある
• 諸外国のHTAでも医療機器の費用対効果分析の経験が少ないことから、業界およびアカデミアを通じて医
療機器の分析ノウハウが蓄積されていない
(参考)臨床試験が限られる、習熟カーブの影響があるなどの理由から、イギリス、フランスでは医療機器のHTAは有効
性・安全性の評価を中心としたものとなっている(参考資料9)
• 患者背景を調整した間接比較が求められるため、費用対効果分析、疫学、データ分析などのスペシャリスト
のチームが必要となるが、求められる水準の知識・経験をもつ人材が限られる
• 材料価格は銘柄別ではないことから、機器の費用データを適切に解析するには診療報酬請求と臨床使用に
関する深い理解が必要となるが、医療機器の特性を理解しているベンダーが少なく、キャパシティの制約がある
【改善要望】
(次ページのプロセスフロー図および参考資料10を参照)
① 「分析実施に必要な人員が不足する場合」についても「分析不能」としてご審議いただ
きたい
※ 費用対効果評価未経験の企業にはプロセスの詳細を理解しづらいため、プロセスフロー図を含む説明資料をご用意いただきたい
15
プロセスフロー図の例:分析中断、評価中止及び分析再開に係る部分
(赤字の番号は参考資料10に対応)
評価中止のプロセス 分析中断・再開のプロセス
品目指定後 分析前協議~専門組織(i)を想定 数年後を想定(⑫は直後の可能性あり)
⑮
データ集
追加 積され
分析実施 分析実施 データ集積
分析再
製 ⑥ 分析人員 ① ④ ⑯ 積 デー され タ集 ず ⑲ データ集 開可能
造 販 売 販 大 販 売 幅 売 停 減 額 止 少 が 、 の よ 不 り分 足 析 に 不 よ デ り 足 ー 分 タ 等 析 の に 分 分 を理 析 析 由 不 を行 に 能 ⑫ 分 不 析 可 再 能 開 分 期 積 析 間 され 中 延 ず 断 長
困難(分 困難(分 データ収 で分析再
業 等 析不能) 析不能) わない 集の見 開
者 込みなし
⑧ ⑩ ② ⑪
分析再開
評価中止を 評価中止 分析不能を 分析中断を
までの期間 分析実施
申し出 を通知 申し出 申し出
を通知
国
立 不合意 分析可能
保
健
医 ⑦ ③
療 評価中 分析可
科 止判断 否判断
学
院
合意 分析不可
・
公 ⑧ ②
的
評価中止を 分析中断を
分
申し出 申し出
析
⑤ ⑭⑱
⑩ 公的分析の ⑨ 最も低い価格
費 結果を用いて 調整係数を
用 評価継続 評価案を策 分析継続 決定
対 定
効 ⑩ 追加 ⑨ ⑫⑯ ⑲ ⑮
果
審議 審議 審議 審議 審議 審議
評
価
⑨⑪ ⑳
専 ⑩ ⑬⑰ ⑮
門 分析中断・ 分析中断
分析再開・
組 評価中止 データ集積 評価中止 延長・
分析期間
織 に要する期 延長期間
間
16
E:分析および評価の実施について (2/2)
【課題】
2. 費用対効果分析のための試験実施を企業が決断できるプロセスになっていない。
• H3区分の指定基準に「費用対効果評価終了後に~評価に重要な影響を与える知見が得られた」もの
(いわゆる再評価)があるが、C2Hの意見に基づいた指定のみとなっており、企業が自ら希望して指定される
プロセスがない
• 上市後に積極的にエビデンスの創出や専門的人材の配置などの投資を行っても、再評価の機会がないと投
資回収できない
【改善要望】
② H3の指定プロセスに企業の申し出によるものを追加していただきたい
たとえば、対象品目の指定基準に以下を追加してはどうか
⚫
➢ 費用対効果評価終了後に製造販売業者又は国立保健医療科学院から評価に重要な影響を与え
る知見が得られたと申し出があり、費用対効果評価専門組織において再評価が適当と判断されたもの
なお、数年後に再評価を行う際には、機能区分内に複数の製品が含まれたり、他の機能区分と統合(合理
⚫
化)されたりしている可能性があることから、価格調整方法については改めて検討が必要と考える
17
費用対効果評価専門組織意見書に対する
医療機器業界の見解 (1/2)
【専門組織の意見:A(4)その他】
• 費用対効果評価に係る評価及び価格調整においては、全体の費用を比較して効果の評価を行っているが、価
格調整の際には、当該品目の有用性加算等の範囲で実施しており、現状では、評価時点における分析対象と
価格調整として反映する対象の範囲が異なることとなっている。諸外国の事例も参考にしながら、価格調整の
対象範囲のあり方について検討する必要があるのではないか。
(中医協 費用対効果評価専門部会 令和5年7月12日 資料1)
【業界の見解】
機器では評価は現状2品目のみであり事例が十分ではないため、拙速な価格調整対
象の拡大は行うべきではない。
⚫ 医療機器の評価について、評価側が課題を認識してこれから解決策を検討するとしている
段階で、加算を9割削減するだけでなく、類似品よりも低い価格に下げる可能性がある制
度に変えることは、日本はイノベーションを否定するというメッセージを発することになり、日本
市場における開発優先度の低下が懸念される。
18
費用対効果評価専門組織意見書に対する
医療機器業界の見解 (2/2)
【専門組織の意見:B 分析体制の充実に関する事項】
• 公的分析に携わる人員を確保するためには、公的分析の結果が研究実績として扱って欲しいとの希望が多く、
令和4年度骨子においても公的分析結果等の論文化に係る取扱いについては検討することとしている。現在、
国立保健医療科学院において、報告書としてホームページに公開されている分析結果を論文形式で公的刊行
物等に掲載することを検討しており、こうした取り組みを進めていくべきではないか。
• 引き続き、厚生労働省において、関係学会等に対する周知や人材育成並びに分析体制への支援を行い、公
的分析班に携わる人材の確保及び組織の充実に努めていくべきではないか。
(中医協 費用対効果評価専門部会 令和5年7月12日 資料1)
【業界の見解】
公的分析の体制を充実させる方向性については賛同したうえで、さらなる質向上のた
めの踏み込んだ取り組みを期待する。
⚫ C2Hのホームページに公開されている分析結果を論文形式で公的刊行物等に掲載する場
合は、公的分析結果だけでなく、企業提出の分析結果(公開分)も掲載いただきたい。
⚫ 公的分析と企業分析双方の質向上の観点から、公開された分析結果に基づく意見交換
の場を設けていただきたい。限られた期間内に行う分析であることからミスを生じうる可能性
も念頭においたうえで、評価結果を覆すことはないとの前提に立ち、より良い分析のあり⽅
について議論できる場を希望する。
19
制度及び運用上の課題に対する改善要望(まとめ)
A) C2H・公的分析班との ① 比較試験が存在しないことが明らかな場合など、必要に応じて分析前協議の対象と時
間を拡大して、想定されるエビデンスや検討しているパラメータの推定方法について協
コミュニケーションについて 議させていただきたい
② 事実確認等を目的として、専門組織2・3の前に公的分析の結果を確認できる機会を
いただきたい
③ 公的分析班との直接的なやりとりを可能としていただきたい
B) 分析の流れについて ① 公的分析の指摘を踏まえて企業分析をやり直した場合、再提出することを可能として
いただきたい
② 公的分析の指摘に対して丁寧な議論ができるよう、必要に応じて公的分析期間の延
長を検討できるようにしていただきたい
C) 総合的評価について 保険適用希望においては高い蓋然性をもって臨床的有用性が認められたにも関わら
ず、費用対効果評価においてはエビデンスが不足するものについて、価格調整における
配慮の要否について総合的評価で審議いただきたい
D) 価格調整について 費用最小化分析の価格調整係数に「価格調整における配慮が必要とされたもの」の
区分を設定して、価格調整係数を緩和していただきたい
E) 分析および評価の実施 ① 「分析実施に必要な人員が不足する場合」についても「分析不能」としてご審議いただ
きたい
について
② H3の指定プロセスに企業の申し出によるものを追加していただきたい
機器では評価は現状2品目のみであり事例が十分ではないため、拙速な価格調整対
◆ 専門組織の意見に対す
象の拡大は行うべきではない
る見解 公的分析の体制を充実させる方向性については賛同したうえで、さらなる質向上のた
めの踏み込んだ取り組みを期待する。
20
おわりに
本制度の改変により、日本市場にとってネガティブなメッセージを
⚫
発することがないよう慎重な議論をお願いしたい
費用対効果分析の体制構築や質向上に取り組む企業を後押
⚫
しするプロセスにしていただきたい
一方、分析に不慣れな企業にとっては過度な負担とならないよう
⚫
ご配慮いただきたい
多様な価値を評価に反映できるよう、医療機器の特性に応じた
⚫
評価のあり方の検討に業界としても貢献したい
21
別添
Ⅰ. 費用対効果評価専門組織意見書に対する
医療機器業界の見解
Ⅱ. 参考資料
22
Ⅰ.費用対効果評価専門組織意見書に
対する医療機器業界の見解
23
Ⅰ. 費用対効果評価専門組織意見書に対する
医療機器業界の見解(全体像)
意見書の項目 業界の見解
1 A 分析方法に関する事項について 分析対象集団および比較対照技術の設定にあたっては、
(1)分析対象集団及び比較対照技術の設定 俯瞰的な視点での検討を求める。
2 (2)費用対効果の品目指定 対象品目の選定手順の明確化にあたっては、俯瞰的な視
点での検討を求める。
3 (3)分析プロセスの見直しについて 専門組織における審議については、より踏み込んだ見直し
が必要と考える。
4 (4)その他 機器の適切な評価ができない現状、拙速な価格調整対
象の拡大は行うべきではない。
5 (4)その他 介護保険の取り扱いについて引き続き研究を行うことに賛
同する。
6 (4)その他 費用対効果評価の結果を、診療ガイドライン等への反映を
念頭に関係学会に情報提供する場合は、慎重な対応を
求める。
7 (4)その他 医療機器の特性に応じた評価のあり方を検討することに賛
同する。
8 B 分析体制の充実に関する事項 公的分析の体制を充実させる方向性については賛同したう
えで、質向上のための踏み込んだ取り組みを期待する。
24
出所:中医協 費用対効果評価専門部会 令和5年7月12日 資料1
費用対効果評価専門組織意見書に対する医療機器業界の見解
専門組織の対応案 業界の見解
• 比較対照技術のあり方について検討が必 分析対象集団および比較対照技術の設定にあ
要ではないか。例えば、比較対照技術とし たっては、俯瞰的な視点での検討を求める。
て、積極的な治療を行わずに症状緩和の
① ガイドラインに則って分析対象集団と比較対
みを行う治療(Best supportive care
A(1)
照技術を決めてから分析を行うと、データ不足
等)も含め、最も妥当性のある評価結果
分析対象集団
で分析不能となったり、追加的有用性がなく
を採用できる方策の検討が必要ではない
及び
なったりすることがある。エビデンスが極めて限
か。
比較対照技術の
定的なことが明らかな場合は、分析の枠組み
設定
• 分析不能となった要因(例:単なるデー を決める際に、エビデンスのない分析対象集
タ不足なのか、希少疾患によるデータ不 団や比較対照技術を設定しないように考慮
足)も踏まえて、取り扱いを明確化すべき する必要があるのではないか。
ではないか。
• 対象品目の具体的な選定の手順を明確 対象品目の選定手順の明確化にあたっては、俯
化するとともに、今後の検証対象の増加 瞰的な視点での検討を求める。
に対応できるよう、運営体制について検討
① 医療機器は同一機能区分内に複数の製品
する必要があるのではないか。
A(2) が含まれることがあり、上市後数年が経過して
費用対効果の から品目指定を行うと、当該品目の市場拡
品目指定 大によるものか判断できない可能性がある。
② 企業が自ら手上げして指定されることも可能
としていただきたい。
25
出所:中医協 費用対効果評価専門部会 令和5年7月12日 資料1
費用対効果評価専門組織意見書に対する医療機器業界の見解
専門組織の対応案 業界の見解
• 令和4年度改定による見直しの影響に関す 専門組織における審議については、より踏み込
る検証については、引き続き事例の集積を進 んだ見直しが必要と考える。
めることとし、運用上で明確にすべき事項が
① 公的分析レビュー後の双方向のやりとりが
あった場合には、個別の事例ごとに対応を検
可能になれば、企業と公的分析班の見解
討することとしてはどうか。
の違いを残したまま専門組織の審議にか
• 今後、専門組織において充実した審議に資 けることが減り、分析結果を分かりやすく提
するよう、専門組織に提出される分析結果を 示できるようになることが期待できる。
踏まえた意見を分かりやすく示すことができる
よう、様式などの見直しについて検討する必
A(3)
要があるのではないか。
分析プロセスの見
直しについて
26
出所:中医協 費用対効果評価専門部会 令和5年7月12日 資料1
費用対効果評価専門組織意見書に対する医療機器業界の見解
専門組織の意見 業界の見解
• 費用対効果評価に係る評価及び価 機器の適切な評価ができない現状、拙速な価格調整
格調整においては、全体の費用を比 対象の拡大は行うべきではない。
較して効果の評価を行っているが、価
⚫ 保険適用時のエビデンスと評価は長年の経験で
格調整の際には、当該品目の有用
安定感と相場感が共有されているが、費用対効
性加算等の範囲で実施しており、現
果では2例ともその評価を否定する結果となった。
状では、評価時点における分析対象
と価格調整として反映する対象の範 ⚫ しかも医療機器の評価について、評価する側が課
囲が異なることとなっている。諸外国 題を認識して解決策をこれから検討すると言ってい
の事例も参考にしながら、価格調整 る段階で、加算を9割削減するだけでなく、類似品
A(4) の対象範囲のあり方について検討す よりも低い価格に下げる可能性がある制度に変え
その他 る必要があるのではないか。 るというのは、日本はイノベーションを否定するという
メッセージを発することになり、開発優先度の低下
が懸念される。
27
出所:中医協 費用対効果評価専門部会 令和5年7月12日 資料1
費用対効果評価専門組織意見書に対する医療機器業界の見解
専門組織の意見 業界の見解
• 介護費用の取り扱いについては、国立保健 介護保険の取り扱いについて引き続き研究を
医療科学院において諸外国での取組みなど 行うことに賛同する。
の情報収集を行っているが、具体的な事例
A(4)
が少なく参考となる情報は限定的となってい
その他
る。我が国の介護データーベースの使用実績
も少なく、データ蓄積期間も短いことから、引
き続き研究を行う必要があるのではないか。
• 費用対効果評価の結果については、診療ガ 費用対効果評価の結果を、診療ガイドライン
イドライン等の作成の参考となるよう、関係学 等への反映を念頭に関係学会に情報提供す
会や関係機関に対して情報提供を行い、反 る場合は、慎重な対応を求める。
映できるようにしていく必要があるのではない
① 診療ガイドライン等を管掌する関係学会
か。
に情報提供を行う場合は、公的分析結
果の内容、エビデンスの採用理由、モデル
A(4)
分析の考え方、EQ-5D等の特性等につ
その他
いて、公的分析班から関係学会や関係
機関に丁寧な説明を行っていただくことを
強く希望する。特に企業分析と公的分析
に見解の相違がある場合、関係学会から
企業に問い合わせがあっても適切な回答
ができず、混乱を来すことが予想される。
28
出所:中医協 費用対効果評価専門部会 令和5年7月12日 資料1
費用対効果評価専門組織意見書に対する医療機器業界の見解
専門組織の意見 業界の見解
• これまで費用対効果評価の対象と 医療機器の特性に応じた評価のあり方を検討すること
なった医療機器については、事例を に賛同する。
踏まえつつ、医療機器の特性に応じ
① 日本の制度環境に即した医療機器の分析ならび
た評価のあり方について検討を進める
に評価のあり方が確立されることに期待する
必要があるのではないか。
② 医療機器の特性について十分な理解を担保する
観点から、検討過程に業界が関与できるようにし
ていただきたい
A(4)
その他
29
出所:中医協 費用対効果評価専門部会 令和5年7月12日 資料1
費用対効果評価専門組織意見書に対する医療機器業界の見解
専門組織の意見 業界の見解
• 公的分析に携わる人員を確保するためには、 公的分析の体制を充実させる方向性について
公的分析の結果が研究実績として扱って欲 は賛同したうえで、質向上のための踏み込んだ
しいとの希望が多く、令和4年度骨子におい 取り組みを期待する。
ても公的分析結果等の論文化に係る取扱
① 国立保健医療科学院のホームページに公
いについては検討することとしている。現在、
開されている分析結果を論文形式で公的
国立保健医療科学院において、報告書とし
刊行物等に掲載する場合は、公的分析
てホームページに公開されている分析結果を
結果だけでなく、企業提出の分析結果
論文形式で公的刊行物等に掲載することを
(公開分)も掲載いただきたい。
検討しており、こうした取り組みを進めていくべ
B
きではないか。 ② 公的分析と企業分析双方の質向上のた
分析体制の
めに、公的分析結果および企業提出の分
充実に関する
• 引き続き、厚生労働省において、関係学会
析結果の事後的なピアレビューを可能とし
事項
等に対する周知や人材育成並びに分析体
ていただきたい。限られた期間内に行った
制への支援を行い、公的分析班に携わる人
分析であることからミスがあった可能性も念
材の確保及び組織の充実に努めていくべきで
頭においたうえで、評価結果を覆すことは
はないか。
ないとの前提に立ち、より良い分析のあり
方について議論できる場を希望する。
30
出所:中医協 費用対効果評価専門部会 令和5年7月12日 資料1
Ⅱ. 参考資料
31
参考資料1
医療機器はその特性により、比較試験の実施が困難
手術手技を含む治療では、倫理上の 低侵襲性等の効果が明確な場合、
⚫ ⚫
問題からプラセボ対照試験の実施が 無作為化すると試験の実施が困難と
困難*1 なる
手術の場合、試験デザインの工夫によ 患者リクルートや症例集積が困難
– –
り被験者負担を軽減することが困難
患者の同意が得られなかったり、
–
• 例:上乗せ試験、置き換え試験、 割付後の脱落が多かったりする
早期離脱・レスキュー治療、
現場の医療者からの抵抗が大きい
–
短期的なプラセボ群設定、
治験審査委員会が承認しない
実薬治療のランダム化による中止 –
比較試験を実施するにはシャム手術
–
(偽手術)*2が必要となる場合がある
【例】
が、シャム手術のような試験デザインの
倫理的妥当性については専門家の間
でもコンセンサスを得られていない
開胸手術と小開胸手術を無作為化すると
患者の同意を得られない
提供:エドワーズライフサイエンス(株)
*1 「プラセボ対照試験の現状と考え方」 PMDA科学委員会 プラセボ対照試験に関する専門部会. 2016年3月9日
*2 シャム手術(偽手術):患部切除や組織再建などの本来なすべき外科的医療行為を行わずに、麻酔と皮膚切開を施す見せかけの手術 32
参考資料2
医療機器の薬事承認では臨床試験を求められないことが多い
「新医療機器」と「改良医療機器(臨床あ 製品改良が頻回なため、評価対象に選
⚫ ⚫
り)」は年38~65品目程度で、年103~ 定されるか分からない品目も含め、費用対
155品目ある新医薬品の半数以下 効果分析のために比較試験を実施するこ
とは非現実的
「改良医療機器(臨床なし)」と「後発医
⚫
療機器」は年323~502品目で、臨床あり
の10倍近い
新規承認品目数
180 1200
160
155
1000
140
137
131
126 126
120 800 805
100 109 103 108 731 705
80 65 600 502 635 483 497 485 620 461 466 638 415
59
60 48 49 400 323
44 44 44
40 43 41 38 351 329 344 332 283 273 277 299 164 285
38 36 33 36 31 27 200
20
22 10 13 18 11 8 13 11 151 154 153 153 178 193 138 159
0 0
H27年度H28年度H29年度H30年度 R1年度 R2年度 R3年度 R4年度 H27年度H28年度H29年度H30年度 R1年度 R2年度 R3年度 R4年度
(2015) (2016) (2017) (2018) (2019) (2020) (2021) (2022) (2015) (2016) (2017) (2018) (2019) (2020) (2021) (2022)
新医療機器 改良医療機器 新医薬品 改良医療機器 後発医療機器 後発医療用医薬品
(臨床あり) (臨床なし)
出所:PMDA 業務実績報告書(令和元年度、令和4年度)数値データ集
33
参考資料3
医療機器はその特性から、研究の質に課題があると評価されやすい
費用対効果評価の分析ガイドライン(第3版)の関連個所の記載
医療機器の場合、以下の理
⚫
5 追加的有用性
由から「研究の質に課題があ
5.2 (略)比較対照技術に対するRCTのシステマティックレビュー(Systematic
る」との評価になりやすい
review: SR)を実施し、追加的有用性の有無を評価する。適切なものであれば公開され
RCTがない ていない臨床研究や治験の結果等を含めてよい。
•
観察研究やレジストリーデータの
• 5.3 (略)適切なものが存在しない場合、(略)アウトカムを比較した非RCT(観察研
再解析は患者背景の調整が不 究等) のSRを実施し、追加的有用性を評価する。ただし、研究の質(研究デザイン、群間
十分となりやすい での患者背景の差異、統計解析手法、サンプル数や施設数等)について十分に説明しな
ければならない。
単群試験が多く、間接比較が困
•
難 5.4 (略)協議の上で適切と判断されれば、既存の観察研究やレジストリーデータなどを
再解析した結果をもって、追加的有用性の有無を評価してもよい。ただし、研究の質(研究
「研究の質に課題がある」と費
⚫ デザイン、群間での患者背景の差異、統計解析手法、サンプル数や施設数等)について十
用最小化分析となりやすい 分に説明しなければならない。
5.6 単群試験しか存在しない場合は、評価対象技術と比較対照技術それぞれについての
SRに基づき、間接比較を実施する。
5.7.4 間接比較を行う場合は、間接比較を可能とする前提条件(疾患、重症度、患者
背景等の異質性や試験の同質性など)についても十分に説明しなければならない。
5.8 (略)研究の質に課題があると判断されるものの治療効果が劣っているとは考えられ
ない場合には、評価対象技術のアウトカムが比較対照技術と同等であるという前提で、
「6.」の分析を実施する。
6 分析手法
6.3.2 「5.」の分析により、追加的有用性が示されていないものの、アウトカムは同等と考え
られる場合には、比較対照技術と費用を比較する(いわゆる「費用最小化分析(Cost-
minimization analysis :CMA)」)。このとき、結果は費用削減あるいは費用増加とする。
34
参考資料4
臨床試験が少ないため、分析に使用可能な
QOLデータが少ない
日常診療ではQOLの測定は行われないため、レジストリに診療アウトカムは集積されて
⚫
も、QOL値は集積されない
データは当該技術の分析のみならず、比較対照となる時にも必要となる
⚫
PMDAは臨床試験による市販前評価から、レジストリ等のReal World Evidenceを
⚫
活用した市販後評価にシフトしており、今後さらにQOLデータの取得が困難となると予
想される
35
参考資料5
ICERに過度に依存した評価では
低侵襲手術が患者にもたらす価値を十分に反映できない
医療機器の特徴の一つである低侵襲手術では、一般的に認識される周術期のベネ
⚫
フィットが大きい一方、QOL値として補足することが難しいため、ICERを用いた分析で
は十分な評価ができない
低侵襲性がもたらす価値のうち、次の 一方、次のような身体・精神・生活上
– –
ものはICERに反映される のベネフィットはEQ-5Dでは測定が困
難なため、ICERには十分に反映され
入院日数や合併症の削減
•
ない
・・・医療費の削減
手術に対する恐怖の軽減
•
短期的な痛みや不安の低下
•
・・・QOL値の上昇
休業・体力低下等による収入減少・
•
支出増加の抑止
スポーツができないことによるアイデン
•
ティティ喪失や機会損失の抑止
目立つところに残る手術の傷跡による
•
コンプレックスの軽減
36
参考資料6
有用性系加算の対象
出所:令和4年度保険医療材料制度改革の概要(厚生労働省保険局医療課)
37
参考資料7
諸外国における費用対効果の閾値設定の動向
(研究分担者 池田俊也 国際医療福祉大学)
3.英国
英国NICE では、Technology Appraisal において永らく20,000 ポンド~30,000 ポンド/QALY と、幅を持たせた閾値が使用され
ていた。2013 年4 月の「Guide to the methods of technologyappraisal 2013」では、閾値を20,000 ポンドよりも緩和する
ことを検討する条件として、1、推計された増分費用効果比(ICER)の不確実性程度、2、健康関連QOL の変化の評価が不十
分であり、そのため得られる健康上の有用性を誤って表現している可能性、3、技術の革新性が基本分析におけるQALY で十分に捉
えられていない場合、4、「終末期における延命治療」(End of life)の条件を満たす場合、5、NHS の非健康目標に関連する側面、
の5 点を挙げている。
「終末期における延命治療」の条件には、その治療法の平均余命が短く、通常24 ヶ月未満であること、その治療が、現在のNHS の治
療と比較して、通常、少なくとも3 ヶ月の平均値の延命を提供する見込みがあること、などが含まれていた。
2020 年11 月6 日に「The NICE methods of health technology evaluation: the case for change」が公表され、これま
でのガイダンスの変更が提案された。この中で、重症度に応じて閾値を緩和するための閾値緩和係数(modifier)を導入することが提案
された。
QALY 不足量は、ある疾患を持つ人々が現在の治療によって残りの生涯に得られると期待されるQALY の合計から、同じ年齢と性別に
分布する一般集団が得られると期待されるQALY の合計を差し引いたものとして計算される。現在の治療で期待されるQALYs は、
NHS で確立された診療で得られるQALYs の合計のことである。QALY 不足割合は、その疾患と共に生きる人々が失う、人生の質と長
さを含む将来の健康の割合を表す。これはQALY 不足量を、「同じ年齢と性別の分布を持つ一般集団が残りの生涯に期待される
QALY」で割って算出される。
この提案に対し同年10 月13 日までコンサルテーションが行われ、これを踏まえ2022 年1 月31日に 「NICE health technology
evaluations:the manual」が公表された。本マニュアルでは、標準的な閾値は20,000 ポンド~30,000 ポンド/QALY として上で、
表1に示すように、QALY 不足量とQALY 不足割合で評価された重症度に応じてQALY に調整係数を乗じ、閾値を緩和することとし
ている。QALY 不足量が12~18 の場合は調整係数を1.2、QALY 不足量が18 以上の場合は調整係数を1.7 とする。また、QALY
不足割合が0.85~0.95の場合は調整係数を1.2、QALY 不足量が0.95 以上の場合は調整係数を1.7 とする。いずれにも当ては
まる場合には調整係数は大きい方が採用される。
なお、Technology appraisal ではなくHighly specialized technology で評価される医療技術については、100,000 ポンド
/QALY の閾値が適用される。
38
出所: 2021 年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(政策科学総合研究事業)「医薬品・医療機器等の費用対効果評価における公的分析と公的意思決定方法に関する研究」2021年度総括
研究報告書(研究代表 福田敬)2022年3月
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202101016A-buntan1_0.pdf
参考資料8
出所: 「令和4年度診療報酬改定の概要 費用対効果評価制度」(令和4年3月4日版)厚生労働省保険局医療課
39
参考資料9
医療技術の費用対効果評価
(福田 敬 国立保健医療科学院)
諸外国の費用対効果評価制度では医薬品を中心に実施されており、高額な医療機器を用いる医療技
術の評価は主に有効性・安全性の観点から実施されている。イギリスのNICE においては、以前はTA のプ
ログラムで外科的処置についても費用対効果を含む評価が試みられていたものの、近年では有効性・安
全性を評価するIPG での評価に移行している。フランスでも有効性・安全性の評価に留まっている。この中
で、オーストラリアのMSAC においては、費用対効果を含む評価を実施しており、興味深い。いずれの国に
おいてもまず有効性・安全性についてのエビデンスレビューを実施しているが、ここで議論されているのが、こ
のような医療技術に関して従来の方法と比較する臨床試験が限られている点である。医薬品の場合と異
なり、RCT のような比較試験が実施しにくい(特にblind 下で行うことができない)ことなどが影響している
ものと考えられる。そのため、どの国においても今後明確なエビデンスを示す研究が実施されることを求めて
いるが具体的な方法などは示されていない。また、これも医薬品の場合と異なり、医療技術においては習
熟カーブ(learning curve)の影響も議論されている。特に手術のような手技の場合にはこの点は大きく
影響するものと考えられる。従来の方法との比較が適切に行われることとともに、実際の臨床の場面を想
定して、習熟カーブがどう影響数するかを検討することも重要である。さらに、特に高額な医療機器を用い
る技術の場合には、機器の設置に係る費用をどう扱うかも課題となる。設置に係る費用の位置づけは国
によって違いがあるが、仮に機器の設置自体は特別な財源で行い、通常の診療においては運営費用だけ
の負担であれば、機器そのものの費用は考える必要がないが、設置するための費用まで考慮すると、手技
を1件実施するための平均費用は年間の実施件数に依存することになるため、これにより費用対効果も
影響されることになると考えられる。わが国においても今後このような点を考慮した評価の実施および活用
方法の議論が必要と思われる。
出所:2021 年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(政策科学総合研究事業)「医薬品・医療機器等の 費用対効果評価における公的分析と公的意思決定方法に
関する研究」2021年度総括研究報告書(研究代表 福田敬)2022年3月
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202101016A-sonota1.pdf
40
参考資料10-i
分析中断、評価中止及び分析再開に係る通知該当部分
①
②
① ③
①と②の間に追加
「また、製造販売業者に ③ ④
おいて費用対効果分析
⑤
の実施に必要な人員が
不足する場合には、製
造販売業者は対象品
⑥ ⑦
目の「分析不能」を申し
出ることができる。この際、 ⑧
製造販売業者は自らが
保有し、分析のために必
要となるデータを提供し
②
て公的分析の実施に協
⑧
力することとし、費用対 ⑨ ⑩
効果専門組織は、公的
分析結果のみを用いて
費用対効果評価案を ⑨ ⑩
策定するか、対象品目
⑪
は最も小さな価格調整
係数に該当するものとみ
なして価格調整を行うか
を審議する。」
出所: 医薬品、医療機器及び再生医療等製品の費用対効果評価に関する取扱いについて(令和4年2月9日)
41
参考資料10-ii
分析中断、評価中止及び分析再開に係る通知該当部分
⑨
⑩
⑪
⑨⑩⑪
⑫
⑬
⑭
出所: 医薬品、医療機器及び再生医療等製品の費用対効果評価に関する取扱いについて(令和4年2月9日)
42
参考資料10-iii
分析中断、評価中止及び分析再開に係る通知該当部分
⑮
⑮
⑯
⑰
⑱
⑲
⑳
出所: 医薬品、医療機器及び再生医療等製品の費用対効果評価に関する取扱いについて(令和4年2月9日)
43
この資料について
出典:厚生労働省ホームページ (https://www.mhlw.go.jp/)
当サイトが保存しているのは、PDFから取り出した文字だけです。 これは言葉で探せるようにするためのもので、 厚生労働省が公表した資料そのものではありません。 図表・画像・レイアウトは失われています。
正確な内容は、必ず厚生労働省のPDFをご確認ください。