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〈参考1〉医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会 報告書

医療用医薬品の流通改善に関する懇談会 第36回 / 2023-12-21 開催 / 39ページ

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参考1 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた 総合対策に関する有識者検討会 報告書 令和5年(2023 年)6月9日 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会 はじめに .................................................................. 2 第1章 医薬品産業を取り巻く現下の諸課題 .................................... 3 1.1 足下で顕在化している供給不安 ...................................... 3 1.1.1 後発品産業構造上の課題 ...................................... 3 1.1.2 薬価基準制度上の課題 ........................................ 6 1.1.3 サプライチェーン上の課題 .................................... 7 1.2 創薬力の低下とドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの懸念 ................. 9 1.2.1 日本の創薬力の低下 .......................................... 9 1.2.2 ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの懸念 ........................ 13 1.2.3 薬価基準制度上の課題 ....................................... 15 1.3 医薬品流通における課題 .......................................... 19 1.3.1 薬価基準制度と医薬品流通の変遷 ............................. 19 1.3.2 医薬品取引と医薬品卸売販売業者の実態 ........................ 21 第2章 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた対策の方向性 ...................... 24 2.1 医薬品の安定供給の確保に向けて ................................... 24 2.1.1 後発品産業構造の見直し ..................................... 24 2.1.2 薬価基準制度における対応 ................................... 25 2.1.3 サプライチェーンの強靱化 ................................... 26 2.2 創薬力の強化、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消 ................ 27 2.2.1 創薬力の強化 .............................................. 27 2.2.2 ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消 ........................ 29 2.2.3 薬価基準制度における対応 ................................... 31 2.3 適切な医薬品流通に向けた取組 ..................................... 33 その他の課題 ............................................................. 35 おわりに ................................................................. 36 1 はじめに ○ 「最新技術を駆使して開発された医薬品や、使いなれている医薬品が医療現場に確実 に供給される」ことは日本において長年の間、当然のものとして考えられてきた。 ○ しかしながら、令和2年(2020 年)末に発覚した後発医薬品(以下「後発品」とい う。)企業の不祥事を端緒とした一連の供給不安や、いわゆるドラッグ・ラグ/ドラッ グ・ロス1と呼ばれている事象が顕在化した結果、国民に必要な医薬品が届かないとい う保健衛生上極めて重大な問題が生じている。 ○ こうした事象の背景には、特定の企業による不祥事や開発力の低下といった個別の要 因だけではなく、日本の医薬品産業を取り巻く環境及び制度並びにこれらを起因とす る産業全体における課題が大きく影響していると考えられる。 ○ このような問題意識の下、日本の医療水準の維持及び向上のために必要な「革新的な 医薬品や医療ニーズの高い医薬品の日本への早期上市」、「医薬品の安定供給」を確保 する観点から、現状の課題を踏まえ、流通や薬価制度、産業構造の検証などの幅広い 議論を行うため、「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討 会」(以下「本検討会」という。)を立ち上げることとしたものである。 ○ 本検討会における計 13 回にわたる議論の結果をとりまとめたので、以下のとおり報 告する。政府においては、当該報告を踏まえ、必要な政策の検討を速やかに行い、実 施されることを期待する。 1 ドラッグ・ラグとは、欧米では承認されているが日本では承認されていない医薬品が発生している事 象のことをいい、このうち、特に日本での開発に着手されていない事象をドラッグ・ロスという。 2 第1章 医薬品産業を取り巻く現下の諸課題 1.1 足下で顕在化している供給不安 ○ 医薬品は、国民の健康及び生命を守る重要な物資であり、その供給が途絶えてしまう ことは、国民生活に重大な影響を及ぼしかねない。日本では、これまで、品質の確保 された医薬品が、安定的に供給されてきた。しかしながら、近年になって、日本にお いて医薬品は安定的に供給されるという『神話』は、崩壊の危機に瀕している。 ○ 日本製薬団体連合会の調査によれば、令和4年(2022 年)8月末現在、医薬品全体 の 28.2%に当たる 4,234 品目が出荷停止又は限定出荷2の状況にある。内訳をみると、 先発品(長期収載品を含む。)が 300 品目(約7%)であるのに対し、後発品は 3,808 品目(約 90%)、と後発品を中心として、医薬品全体に少なからず影響が及んでいる状 況にある(後発品の全品目 9,292 品目のうち、約 41%が出荷停止等となっている)。 ○ しかも、経年変化でみると、この供給不安の状況については、改善するどころか、令 和3年(2021 年)8月末時点から、出荷停止又は限定出荷となっている状況が継続し ており3、国民の医薬品へのアクセスという観点からは極めて深刻な事態となっている。 ○ 現下の供給不安の背景には様々な要素や要因があると考えられるが、大きくは、後発 品の産業構造上の課題、薬価基準制度上の課題、そしてサプライチェーン4上の課題が 考えられる。これらに加え、令和2年(2020 年)からの新型コロナウイルス感染症の 感染拡大による一部の医薬品への需要増加が供給不安に拍車をかけたと考えられる。 各課題は相互に関係しており供給不安の原因を複雑化しているが、以下において、そ れぞれの課題について詳述する。 1.1.1 後発品産業構造上の課題 ○ 現在足下で広がっている医療用医薬品の供給不安は、令和3年(2021 年)2月に実 施された小林化工株式会社の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等 に関する法律(以下「薬機法」という。)違反への行政処分以降、後発品企業による薬 機法違反が相次ぎ発生し、これに伴い違反企業の製品について出荷停止が行われたこ とが端緒となっている。 ○ この一連の行政処分については、各企業における誤ったガバナンスや不十分な教育、 過度な出荷優先の姿勢、バランスを欠いた人員配置などが、製造管理及び品質管理上 の管理不備やコンプライアンス違反につながったことが直接的な原因と指摘されてい る。 2 新規受注の制限や、受注量の抑制を通して出荷量を調整すること。 3 令和4年(2022 年)8月末時点では、医薬品全体 15,036 品目のうち、28.2%に当たる 4,234 品目 が欠品・出荷停止又は限定出荷の状況にあった。内訳をみると、後発品 9,292 品目のうち、3,808 品 目(約 41.0%)、先発品(長期収載品を含む)4,689 品目のうち、300 品目(約 6.4%)、それぞれ欠 品・出荷停止又は限定出荷の状況にあった。 4 原材料などの調達、生産、在庫管理、配送、販売、消費までのプロセス全体を指す。 3 ○ また、違反企業の製品が出荷停止となることに伴い、当該製品と同一成分規格にある 他社製品に発注のしわ寄せが発生し、当該企業では在庫の消尽を防止するために限定 的な出荷とすることで、結果的に、出荷停止が行われている品目の数倍もの品目につ いて限定出荷が行われている状況にある。こうした法令違反による出荷停止を受けて、 いわば巻き込まれ事故として限定出荷が行われていることについては、当該企業の製 造能力の不足のほか、政府において、後発品企業に対し、薬価収載後少なくとも5年 間の安定供給や必要な在庫の確保を義務づけている5ことが、供給不安の中で在庫消尽 を防ぐために、逆に限定出荷に走らせたのではないかと指摘されているところである。 ○ これらの背景には、これまで政府において後発品の数量シェア目標を掲げ、その使用 促進策を進める中で、必ずしも上記のような企業の状況が十分に考慮されてこなかっ たことが、結果として、安定的かつ機動的な生産体制の確保につながっていなかった こともその一つとして考えられる。 ○ 加えて、後発品企業での製造工程の複雑化や業務量の増大といった製造実態の変化に 対して、製造所への立入検査などにより、それらの問題をチェックする各都道府県の 薬事監視の体制は必ずしも十分に機能しているとは言い難く、また、国と都道府県の 薬事監視の情報共有を含めた連携体制も十分に整備されていない状況にあった。 ○ 以下において、後発品の使用促進策が進められる中で構築されていった、後発品産業 特有の産業構造上の課題について記載する。 (産業構造の現状)6 ○ 政府においては、平成19年(2007年)より後発品の数量シェア7に係る目標を定め、 使用促進策を早急に進めてきた。その結果、後発品は、今や品目数では医療用医薬品 全体の約半数を占め、国民の医療に欠かせないものとなっており、約 190 社が約 11,000 品目の後発品を供給している。 ○ 後発品を供給する約 190 社のうち、後発品を 100 品目以上供給している企業は 30 社 であり、50 品目未満の企業は 148 社ある。これを数量シェアで見ると、上位8社で後 発品市場の 50%を占め、残りの 50%を 185 社で分け合っており、後発品を供給する先 発品企業も含まれているものの、後発品産業は、品目数や供給数量が少ない企業が多 いという特徴があると考えられる。 5 「後発医薬品の安定供給について」(平成 18 年3月 10 日付医政発 0310003 号厚生労働省医政局長通 知) 6 産業が抱える課題として、産業全体に見られる傾向を示すものである。 7 財政健全化や国民負担軽減を目的として、「経済財政改革の基本方針 2007」において、後発品の数量 シェア 30%以上という目標が設定された後、段階的に目標数値が引き上げられ、「経済財政改革の基 本方針 2015」では 80%以上、「経済財政改革の基本方針 2021」において、全ての都道府県で令和5 年度(2023 年度)末までに 80%以上にすることとされた。これらの目標の下、後発品の使用促進は、 平成25 年(2013 年)9月においては46.9%、令和4年(2022 年)9月においては 79.0%と着実に 進んできており、医療費の適正化において一定の効果を上げてきた。 数量シェア(使用割合)=(後発品の数量)÷(後発品がある先発品の数量+後発品の数量) 4 ○ これは諸外国と比較しても、日本は 10 億円未満の売上規模の後発品企業が 67%を占 めるのに対して、米国では 33%、英国では 11%となっており、日本の後発品企業の1 社当たりの売上げ規模は小さい傾向にある8。 (少量多品目生産) ○ 後発品企業においては、以下の要因により、結果として多くの企業が新規後発品を上 市し、1社当たりの製造販売品目数が多品目となり、少量多品目生産が広がったと考 えられる。 ・ 後発品の新規収載時の薬価については、収載直後は比較的収益性が高いため、多 くの後発品企業が新規薬価収載を希望し、製造販売品目数の増加が進んだこと。 ・ 平成 17 年(2005 年)施行の薬事法改正により、医薬品製造の委受託が可能となっ たとことと併せて、後発品の共同開発が認められることとなり、開発コストが低廉 化した。これにより、新規収載品が上市しやすくなり、同成分同規格の製品が多数 の企業から製造販売されるようになったこと。また、政府においても、新規収載品 を上市しようとする企業に対し、一定の製造能力を求める等の供給量を担保させる 取組を行ってこなかったこと。 ・ 後発品は医療上必要な医薬品として広く使用されている中で、市場から容易に撤 退することはできず、後発品を製造販売する企業は、薬価収載後少なくとも5年間 の安定供給を義務づけられており、少量であっても、医療上の必要性がある限り供 給継続が求められていること。 ○ 小規模で、生産能力も限定的な企業が多い後発品企業における少量多品目生産におい ては、事前準備や洗浄等の工程が増加することによる製造工程の複雑化に伴う製造の 非効率に加え、以下のデメリットが指摘されている9。 ・ 管理業務の増大につながり、人員配置や教育研修など、製造所の生産全体を管理 監督する体制のリソース不足につながること。 ・ 製造工程の管理上の不備や汚染等による品質不良のリスクの増大につながること。 ・ 常に製造キャパシティの限界に近い稼働状況であるため、緊急増産等の柔軟な対 応は困難であること。 ○ このようなリスクに対しては、製造品目の増加に応じた人員配置や、製造管理及び品 質管理に必要な教育研修などの管理監督体制の強化等が必要となるが、それらが十分 に整備されていなかった企業における製造管理や品質管理の不備による法令違反や品 質不良の発生が、供給問題の原因の一つとなったと考えられる。 ○ さらに、前述のとおり、製造所への立入検査などによりそれらの問題をチェックする 各都道府県の薬事監視についても、徹底が図られているとは言い難い状況にあった。 8 令和5年(2023 年)2月 16 日 日本製薬工業会会長会見資料 p10 9 医薬品の不正製造事例の再発防止及び富山県の医薬品産業に対する信頼回復の方策についてのとりま とめ(令和3年(2021 年)7月 13 日富山県薬事審議会医薬品製造・品質管理専門部会) 5 (低収益構造) ○ 限られた生産体制下での少量多品目生産という非効率な生産構造の下で製造された後 発品は、後述する薬価下落の影響も受け、その収益性が低くなる傾向にある。 ○ また、こうした収益構造の中で、一部の後発品企業は早期に市場を退出する実態もあ り、結果的に市場に残った企業が低薬価での供給継続を行うこととなり、企業間での 不公平も指摘されている。 ○ 後発品企業では、こうした低収益を補うため、先発品の特許切れがあると、新規収載 品を再び上市する傾向にあり、このことが品目数の増加につながるとともに、少量多 品目生産の構造を更に強くするという悪循環を生じさせている。 ○ また、少量多品目生産の影響等により、製造余力はほとんどない状況にあることに加 え、複雑な製造計画の中で、緊急増産等の柔軟な対応も困難な状況にあり、結果とし て、現下の供給不安の改善に時間を要することにもつながっていると考えられる。 ○ このような後発品の低収益構造は、以下に記載する後発品の①流通慣行や②製品特性 に起因していると考えられる。 (①流通慣行) ○ 後発品企業自らがシェア獲得のため値引きして販売することや、流通取引において、 「総価取引」の際の調整弁として使用されることにより、取引価格が下落し、それが 市場実勢価格とされることで、薬価改定の都度、その下落を反映する形で薬価が引き 下げられている。 (②製品特性) ○ 後発品同士は同じ有効成分、同じ効能・効果を有するという特性上、価格以外で差別 化しにくい10ことから、自社の品目を他の企業より多く販売するための価格競争が繰り 返されることとなる。 1.1.2 薬価基準制度上の課題 (薬価の下落) ○ 薬価は、原則として市場実勢価格に合わせる形で改定が行われており、これまでも恒 常的に価格が下落してきた中で、上記のような流通慣行や製品特性により、後発品の 薬価は早期に下落する傾向にあった。 ○ この薬価の下落が、後発品企業の経営を圧迫し、新規収載品の上市による更なる少量 多品目生産や、安定供給に資する生産設備等への投資を困難にさせることにつながっ ていると指摘されている。 10 一部の後発品においては、服用性や調剤性を工夫した製剤開発が行われている(例:口腔崩壊錠の 開発、苦味マスキング、新剤形や新規格の追加など)。 6 ○ また、薬価を下支えする制度として、最低薬価、不採算品再算定及び基礎的医薬品と いった制度が導入されているが、適用要件などにより、対象となる医薬品が限定され ているなどの課題が指摘されている。 ○ 具体的には、最低薬価が設定されていない剤形区分があることや、不採算品再算定に ついては2年に一度の適用ではコスト増の薬価への反映に時間を要すること、基礎的 医薬品については薬価収載後長期間経過した品目に限られること等が挙げられる。 (その他安定供給に配慮が必要な品目) ○ 後発品以外においても、生物由来製品(血液製剤等)や輸液等については、製造方法 や原料の特殊性、製造工程が多段階であり大規模な設備を必要とすること等から、後 発品企業の参入が難しく、少数の企業のみで安定供給を担っている。 ○ これらの製品は、上記のような特殊性により、製造の合理化が難しいこと等から、現 行の薬価を下支えする制度の活用等、安定供給を担保するための配慮が求められる。 1.1.3 サプライチェーン上の課題 (サプライチェーンの断絶リスク) ○ 安定供給に係るもう一つの大きな要因として、サプライチェーン上にある様々なリス クの顕在化が挙げられる。医薬品の製造開発過程においては、世界的にも水平分業が 進展しており、これは経済合理には合致する一方で、同時に、不安定な国際情勢の下 では、医薬品供給の観点からは、地政学上のリスクにもつながっている。 ○ 例えば、日本においては、後発品を中心に、その原薬や原材料の調達において、中国 や韓国といった国々に依存している度合いが高くなっているが、特に、後発品につい ては、収益確保のため、より安価な原料を海外に依存しており、約半数は海外から輸 入した原薬を使用している11。また、バイオ医薬品についても、製造に高度な技術と工 程管理が必要であるため、製造工程を海外に依存している事例が多く、近年急速に輸 入が増加し大幅な輸入超過となっている。 ○ このことは、これらの国々の事情による供給停止のリスクや、あるいは昨今見られる ように、為替変動や物価高騰等に伴うリスクを高めることにつながっている。 ○ 抗菌薬の一つであるセファゾリンについては、今や国内で原材料や原薬の製造が行わ れておらず、原材料については、そのほぼ全てを中国に依存している状況にあり、令 和元年(2019 年)に中国の原材料を生産する工場での製造トラブルにより出荷が停止 され、これがセファゾリンの供給不安につながって、医療現場では手術を延期せざる を得ない事態が発生したことは記憶に新しい。 ○ さらに、日本国内の医薬品製造に係る規格基準や試験の根拠として使用される日本薬 局方に定められた規格等が、海外の薬局方と異なることにより、医薬品の安定供給に 影響している事例も報告されている。また、前述の少量生産により原薬の調達量が少 11 後発品の約半数は輸入した原薬を用いており、その主要な調達先は、韓国(21.7%)、中国 (21.0%)、インド(12.0%)、イタリア(12.0%)となっている。(令和3年(2021 年)3月後発 医薬品使用促進ロードマップに関する報告書(厚生労働省医政局経済課委託事業)) 7 なくなることによる、原薬の調達価格の上昇や、原薬製造業者における供給先として の優先順位の低下なども課題として指摘されている。 ○ こうした原薬や原材料の調達段階を中心としたグローバルサプライチェーンの断絶化 の動きだけでなく、国内のサプライチェーンにおいても、製薬企業において在庫管理 を行っていた倉庫の火災により、特定品目やその同一成分規格の品目に供給不安が生 じるといった事態も発生している。 ○ このようなサプライチェーンが断絶することにより供給不安につながるリスクについ ては、一義的には医薬品を供給する製薬企業において事業継続計画(BCP)という形で 対策が求められる。 ○ しかしながら、現下の後発品の供給問題のように、当該リスクの背景は、様々あるが、 公定価格により価格転嫁が困難である等の制度的又は構造的な要因により、一企業だ けではリスクへの十分な対処が困難な場合があると考えられる。リスクが顕在化した 場合、医療への影響を考慮し、いわば医療安全保障という観点から公的関与が求めら れる。 (サプライチェーン情報の共有化に向けた現状の取組) ○ 医薬品は安定的な供給が行われることが求められるが、上記のサプライチェーンの断 絶など何らかの事情により、出荷停止又は限定出荷が行われる場合がある。その際に は、医療上の必要性に応じて、代替薬の使用や他の製薬企業による増産対応、買い占 め等による在庫の偏在防止等の取組が必要となるが、こうした取組を適切かつ効果的 に実施するためには、その前提として、一連のサプライチェーン情報について流通関 係者間での適切な共有が重要である。 ○ また、医薬品の 28.2%が出荷停止や限定出荷となっている現状において、一元的か つ十分な情報提供がなされていないことが、先々に不安を抱く医療関係者からの注文 の増加を招き、このことが更なる限定出荷につながっているという実態も指摘されて いる。 ○ こうした状況に対して、現状では、平時から出荷停止又は限定出荷のおそれがある場 合には、製薬企業に対して、供給再開の見通しや代替薬又は代替治療等に関して情報 提供を行うよう指導が行われている12ほか、足下の供給不安に対しては、日本製薬団体 連合会において、医療用医薬品全体の出荷状況の調査及び公表が定期的に行われてい る。 ○ しかしながら、供給側の情報に限定されていることに加え、その情報の公表も現在は 1ヶ月ごとであり、在庫の偏在等を防止するための一連のサプライチェーン情報の共 有という観点からは、必ずしも必要な情報が迅速に共有されているとは言い難い状況 にある。 12 「医療用医薬品の供給不足に係る適切な情報提供について」(令和2年 12 月 18 日付医政経発 1218 第3号厚生労働省医政局経済課長通知) 8 1.2 創薬力の低下とドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの懸念 1.2.1 日本の創薬力の低下 (世界の潮流と日本の現状) ○ 世界の医薬品市場を俯瞰すると、日本起源の医薬品の品目数の減少や、それらの医薬 品の世界市場シェア(売上高)の低下など、日本の医薬品産業の国際競争力の低下が 見て取れる状況にある。 ○ 具体的には、医療用医薬品の売上額世界上位 100 品目のうち日本起源のものが 12 品 目(2003 年)から 9 品目(2020 年)に減少し、日本起源の品目の世界市場シェア13 (売上高)は 12.1%(2000 年)から、9.8%(2019 年)に低下している。 ○ また、国内市場における売上シェアについても、外資系企業が内資系企業を上回る状 況14となっており、貿易収支では、輸入超過による赤字が拡大15している。 ○ これらの現状を踏まえ、日本では、「医薬品産業ビジョン 2021」、「健康医療戦略」と いった医薬品産業が向かうべきビジョンや戦略を打ち出してきたが、産業育成やグロ ーバル展開の観点が不足しており、関係する中長期的な KPIも示されていないと指摘さ れている。 ○ この点、諸外国においては、具体的な定量目標も含めた戦略が打ち出されている。例 えば、英国では、「Life Science industrial strategy」が作成され、この中で、科 学力強化等の5項目について具体的な数値目標が提示されている。また、韓国では、 「バイオ革新戦略 2025」が策定され、国産新薬の開発(新薬候補物質を新規 100 個、 ブロックバスター165品目を創出)を目標に掲げるなど、中長期的な戦略が策定されて いる。 ○ こうした現状を踏まえ、諸外国のように、グローバル展開も見据えた中長期的な戦略 を策定し、実効性のある取組を行う必要性が指摘されている。 (モダリティ17の変化) ○ 近年、従来型の低分子医薬ではアプローチが困難であった創薬ターゲットに対して、 バイオテクノロジーやゲノム解析などの技術が大きく進化したことに伴い、高度な個 別化医療、希少疾病、予防医療等の研究が進んだ結果、創薬のモダリティが多様化し ている18。 ○ こうした中、日本の創薬力低下の大きな要因の一つとして、製薬企業が新規モダリテ ィの変化に立ち後れてきたことが挙げられる。 13 年間売上高7億ドル以上の品目を対象に集計したもの。 14 第7回 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会 参考資料 p6 15 輸入総額:約3兆円に対して、輸出総額:5,600 億円(令和3年薬事生産動態統計調査) 16 一般的に年間 1,000 億円以上を売り上げる超大型の医薬品を指す。 17 治療手段(創薬技術・手法)。第1回 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識 者検討会 日本製薬工業協会 資料 p4 18 医薬産業政策研究所 「新薬における創薬モダリティのトレンド-多様化/高分子化の流れと、進 化する低分子医薬-」主任研究員 高橋洋介 9 ○ 日本の製薬企業がこの変化に立ち後れた原因は様々あると考えられるが、例えば、日 本製薬工業協会のレポート19によると、90 年代に世界的な医薬品のトレンドが生活習慣 病となる中で、国内の大手製薬企業は、先の見えないバイオ医薬品ではなく、生活習 慣病関連の医薬品の研究開発に集中するとともに、それら大型商品の海外販路拡大へ 投資することを選択したことが挙げられている。 ○ この結果、2000 年前後に欧米大手はバイオの技術やシーズを買収し、バイオ医薬品 のパイプライン20拡充を図ったが、国内大手はそのスピードに追いつかず遅れを取るこ とにつながったことが指摘されている。このような企業行動となった背景の一つには、 バイオ医薬品等の新しい分野の製品を開発せずとも一定程度安定的な収益を上げるこ とができている環境にあったことが考えられる。 ○ また、バイオ医薬品、再生医療等製品等の新規モダリティと従来の低分子医薬では、 創薬プロセスが異なり、モダリティの変化に伴って、研究開発のみならず、製造や販 売などのバリューチェーン全体でより広範で高度な技術や知識が求められるため、そ の事業化に当たっては、組織や人材の能力(ケイパビリティ)を変革させなければな らないが、上記のような背景の中で、日本の多くの製薬企業はこの投資に踏み切らな かったものと考えられる。 (研究開発型のビジネスモデルへの転換促進の必要性) ○ 本来、研究開発型の収益構造(ビジネスモデル)として求められるのは、以下のとお りと考えられる。 ・ 特許期間中の新薬の売上で当該新薬の開発に係る研究開発費を回収するとともに、 新たにバイオ医薬品を含む革新的新薬の創出に向けた投資を行う。 ・ 後発品上市後は、自らは市場から撤退し、後発品企業に安定供給等の役割を譲る。 ○ しかしながら、日本の製薬企業は、欧米の企業と比較し、必ずしも十分な研究開発力 を有していない中で、後述のとおり、薬価制度上の課題もあり、結果として、長期収 載品による収益に依存している先発品企業が多い傾向にある21。 ○ このような実態を踏まえ、高い創薬力を持ち国際競争力を有する産業構造へと変革 (トランスフォーメーション)していくため、新薬の開発を製薬企業に促す取組を更 に進める必要がある。 (長期収載品の置換え) ○ これまで政府においては、長期収載品に依存しない企業を育成するため、薬価制度22 において後発品の置換え状況に応じて長期収載品の薬価を引き下げることで、研究開 19 日本製薬工業協会バイオ医薬品委員会見解(平成 26 年(2014 年)2月) 20 研究開発中の医薬品候補。 21 第8回 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会 資料 p13 22 後発品の置換え率に応じ、長期収載品の薬価を段階的に引下げる制度(第8回 医薬品の迅速・安 定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会 資料 p8) 10 発型のビジネスモデルへの転換を促すとともに、長期収載品から後発品への置換え政 策を推進してきた。 ○ この結果、後発品への置換えは数量ベースで目標である約8割23に達しようとしてお り、近年はほぼ横ばいの状況にあるが、後発品への置換えが進まない長期収載品が依 然として存在している。 ○ この点については、後発品への置き換わりが進まない長期収載品を詳細に分析すると、 先発品企業による長期収載品の収益への依存24のほか、例えば、治療ガイドライン上25 で後発品への切り替えが推奨されていないといった理由により長期収載品が継続的に 使用されていること、患者自身が企業努力によって創出された薬剤の使用感等の付加 価値を選好することや、医療費助成制度等の存在により後発品を選ぶインセンティブ が働かない場合があること等によって、長期収載品が使用されているといった事情も あると考えられる。 ○ 加えて、バイオシミラーについては、後発品に比べ認知度が低いことや、先発品と効 能・効果等がそろっていない場合があること、有効性及び安全性の観点等から治療中 の切替えが行われにくいこと等の理由により、長期収載品からの置換えが進んでいな いと指摘されている。 ○ また、オーソライズド・ジェネリック(AG)26は、先発品と同一の製剤処方で製造さ れるため、先発品と同様であるといった安心感から市場シェアを獲得しやすい傾向が あるが、先発品企業が AG の製造販売業者からライセンス料等を得るケースが多く、形 を変えた先発品企業の長期収載品依存となっていると指摘されている。 ○ このような実態も踏まえながら、様々な使用実態(抗てんかん薬等での薬剤変更リス クを踏まえた処方、製剤工夫による付加価値を踏まえた選好等)や安定供給の確保を 考慮しつつ、引き続き、長期収載品からの更なる置換えを図るための取組を推進する ことが求められる。 (開発主体の変化) ○ 近年の医薬品研究開発の複雑性や専門性の高まりから、革新的新薬の創出はベンチャ ー企業が中心となっている。加えて、実用化段階に至るまでの臨床試験の実施や承認 申請、販売等については、ベンチャー企業がその技術やノウハウ、専門人材を有して 23 金額ベースでは約4割となっている。(第8回 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関 する有識者検討会 資料 p14) 24 長期収載品を扱う企業 120 社のうち、長期収載品の売上比率が 50%を超える企業は 25 社 (20.8%)であった。(第8回 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に係る有識者会議 資料 p9) 25 てんかん診療ガイドライン 2018(日本神経学会監修) 26 明確に定義はされていないが、一般的には、有効成分のみならず、原薬、添加物、製法等が先発品 と同一である後発品をいう。先発品企業の許諾(Authorize)を受けて、製造販売するため、「オー ソライズド・ジェネリック(AG)」と呼ばれている(平成 29 年8月9日中医協 薬-1p14) 11 いないことが多く、大手製薬企業との協業(オープンイノベーション)によるエコシ ステム27を構築することが必要と認識されている。 ○ ベンチャー企業を取り巻くエコシステムの構築に向けて、これまで、専門家による総 合支援を行う医療系ベンチャー・トータルサポート事業(MEDISO)や、開発資金の供 給不足を解消するための創薬ベンチャーエコシステム強化事業等が実施されてきてお り、ベンチャー支援に資するプログラムは増加し、ベンチャー企業由来の品目は徐々 に増加しつつある。 ○ 世界の医薬品売上高シェアを見ると、大手製薬企業が 64%を占める(ベンチャー企 業は 14%)一方で、開発品目数ではベンチャー企業が 80%を占めているとされている 28。世界的に創薬開発の担い手はベンチャー企業となっているが、日本国内におけるベ ンチャー企業の開発品目数の割合は2%に過ぎない。 ○ このように、日本においても、ベンチャー企業の育成やベンチャー企業と大手製薬企 業との協業を図るための取組が進められているものの、その実績は海外と比較すると 非常に少ない現状にあり、ベンチャー企業の育成やエコシステムの構築が十分である とは言えない状況にある。 ○ この背景にある課題として、以下の4点が指摘されている。 ・ まず、人材獲得の困難性についてである。ベンチャー企業の経営に当たっては、 高度な科学技術に加え、薬事規制や薬価制度の理解、財務や知財管理等、会社経営 に必要な専門知識が求められるが、ベンチャー企業では、大手製薬企業からのスピ ンアウト人材を雇用しているものの、海外と比較し日本は依然として人材の流動性 が低いことから、必要な人材の確保が困難であることが指摘されている。 ・ 2点目として、アセットが少ないことについてである。アカデミア発の創薬基盤 技術を保有しているベンチャー企業においては、自社でアセットの創出から臨床開 発まで進めている企業はまだ多いと言えない状況にあることが指摘されている。 ・ 3点目として、資金調達の困難性についてである。医薬品の研究開発に当たって は、多額の資金を要し、特に第2、第3相試験では莫大な金額が必要であるため、 投資家等による支援が不可欠である。欧米では、ライフサイエンス分野に投資する ベンチャーキャピタル(VC)が多く存在し、ファンド規模も大きいが、日本では数、 規模ともに小さく、ベンチャー企業が医薬品の研究開発に必要な資金調達が困難で あることが指摘されている。 ・ 最後に、グローバル化の問題として、人材や資金調達に関して、国内でのリソー ス確保が難しい状況にあるが、日本のベンチャー企業はグローバル化が遅れている ため、海外の豊富なリソースを活用できていないという点も指摘されている。 27 ベンチャー企業をサポートする多様な人材や組織が、一定程度揃い相互に関連しながら活動するこ とで、ベンチャー企業が次々と立ち上がり、その中から大きく成長するところが出現する、という状 況が継続的に生じる仕組み。(平成 30 年度地方創生に向けたスタートアップ・エコシステム整備促進 に関する調査事業報告書 平成 31 年(2019 年)2月 経済産業省中国経済産業局) 28 政策研ニュース No.64 2021 年 11 月 p92 12 1.2.2 ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの懸念 ○ 海外で使用されている医薬品が、日本で上市又は開発されておらず使用できないとい う、いわゆるドラッグ・ラグ問題については、かつては国内での承認審査に長期間を 要していたこと等により生じていたが、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA) による承認審査の迅速化や国際共同治験の推進等により、その解消が図られてきたと ころである。 ○ しかしながら、近年において、欧米では承認されているが国内では未承認の医薬品が 拡大する兆候が見られている。令和5年(2023 年)3月時点の日本製薬工業協会から の情報によると、欧米で承認されているにもかかわらず、国内では未承認の医薬品が 143 品目あり、このうち、国内で開発未着手となっている医薬品は 86 品目(未承認薬 のうち 60.1%)あるとの報告が行われている。国内開発が未着手の 86 品目について、 その内訳を見ると、ベンチャー企業発の医薬品や、希少疾病用医薬品、小児用医薬品 の割合が比較的多くなっている。 ○ このような状況は、過去に見られたように、欧米と比べて日本での承認時期が遅れる というドラッグ・ラグのみならず、そもそも海外企業による日本での開発が行われな いというドラッグ・ロスの懸念も生じていることを示している。 ○ この背景には、企業経営に影響を与える薬価引き下げや薬価制度の予見可能性、日本 市場への成長期待の低さが、外資系企業の日本市場への医薬品上市の敬遠につながっ ていることが指摘されている。 〇 特に、国内での開発の未着手の割合が高い希少疾病や小児、難病等を対象とした医薬 品については、相対的に市場規模が小さいこともあり、日本市場では安定的な売上げ が見込めないと捉えられているおそれがあることが指摘されている。 ○ また、こうした薬価制度に起因する課題に加え、患者数の少ない疾患であっても、薬 事承認申請において、日本人を組み入れた臨床試験で有効性、安全性を検証すること が求められることによる負担増といった薬事の課題も指摘されている。 (臨床試験、薬事制度) ○ 医薬品の開発において、最もコストを要するのは臨床試験の実施であるが、日本にお ける臨床試験の実施コストは、国際的にも比較的高い方であると言われている。その 理由としては、医療機関における臨床試験費用の算出根拠が国際標準とは異なること や、医療機関の規模が小さく、被験者の人数に比して医療機関の数が多くなることか ら、契約等の手続に要する手間が多いこと等が挙げられる29。 ○ 海外のベンチャー企業が医薬品開発を行う場合、日本での開発は行われないことが多 い。製薬企業が医薬品開発を行う地域の優先順位は、一般に、最も市場規模の大きな 米国が最優先であり、次に、人種が共通であり米国での承認申請に用いたデータをそ のまま活用しやすい欧州が優先される。その次にアジア地域が検討されるが、米国と 29 疾患領域や薬剤によっては、低コストで臨床試験を実施できる場合もあるが、平均的には高コスト であると認識されている。 13 の人種差により、通常、アジア人での追加的な臨床試験の実施が求められる傾向にあ り、事業規模が小さくとも企業経営が成立するベンチャー企業では、追加コストを要 するアジア地域での開発が行われない傾向にある。 ○ また、大手海外企業の医薬品開発においても、日本での開発が行われないケースが増 加傾向にあると指摘されている。自社創製シーズの開発にあっては、近年は世界同時 開発が主流であり、開発初期からアジア地域を含めて検討されることから、こうした 問題は生じにくいと考えられてきた。しかし、創薬環境の変化に伴い創薬シーズをベ ンチャー企業に依存する傾向が強まっており、日本での開発が着手されていない創薬 シーズを開発後期の段階で導入するケースが増加している。その際、上述したような 日本市場の魅力低下も相まって、日本での追加的な臨床試験の実施コストに見合った 市場性が認められず、開発を行わない判断がなされる場合がある30。 ○ さらに、欧米の薬事承認申請で使用した資料については、日本の承認審査において各 種データの受入れは進んでいるものの、言語や規制の観点から、各種資料をそのまま 活用できないといった課題もある。日本の薬事制度の情報が海外から得にくいことと 相まって、申請準備から承認申請までの期間が長くなり、結果として関連費用が高く なるため、特にベンチャー企業にとって日本での開発を遅延させる要因の1つとなっ ている。 ○ 臨床試験における患者募集(リクルーティング)にも課題がある。特に知名度の低い ベンチャー企業が実施する治験においては、被験者(患者)の治験への理解度、信頼 度が必ずしも高くないことや、医療機関との関係性も構築されていないことから、リ クルーティングに時間、コストが費やされる傾向にある31。 (患者団体からの意見) ○ ドラッグ・ラグやドラッグ・ロスに関する問題意識や、希少疾病用医薬品指定制度と いった薬事制度等に関して、本検討会でヒアリングを実施した患者団体からは以下の 意見があった。 ・ 企業にとっては、薬事承認に当たっては日本人データが必要とされることや、海 外企業が申請する際に日本語対応が必要であることが負担となっていると考えられ る。 ・ 希少疾病用医薬品指定制度があるが、米国では日本の 10 倍もの品目が対象になっ ており、日本の制度が使いづらいのではないか。 30 特に、第2相試験の結果が明らかになった段階で創薬シーズを導入する場合が多いが、グローバル 第3相試験の参加に当たっては、日本では第1相試験の実施を求められる場合があり、これが第3相 試験への参加を困難にし、日本での開発を断念することにつながるきっかけとなっている。 31 米国研究製薬工業協会及び欧州製薬団体連合会が令和2年(2020 年)7~8月において医療機関の 治験担当者 559 名を対象に実施したアンケート「治験コストと業務効率に関するアンケート調査への ご協力のお願い」によると、設問「「症例集積性の向上」と「治験に係るコスト」の改善は関係して いると思いますか?」について、約 66%が「思う」と回答した。 14 ・ 患者団体として、新薬開発に積極的に協力したいと考えているが、治験の情報が 患者に届いていないことが問題。既に整備されている厚生労働省のデータベース (jRCT32)の情報は専門家向けであり、一般の患者は理解するのが難しい。 ・ ドラッグ・ロスの問題に関し、各関係者がばらばらに対応している印象を抱いて いる。国内の治験実施数を倍増させるには患者の協力をどうするのかなど、患者側 も含めて関係者全員で考える場を速やかにつくる必要がある。 1.2.3 薬価基準制度上の課題 (原価計算方式による課題) ○ 新薬の薬価は、類似薬効比較方式33又は原価計算方式34により算定され、医薬品の革 新性及び有用性については、薬価に補正加算35を行うことで評価がなされる。 ○ 革新的な医薬品の多くは原価計算方式が採用されるが、当該方式は、価格設定の根拠 となる費用に係る情報が必要となり、現状では、その多くが海外企業の開発品である ことから、原価開示度36が極めて低くなるケースが多く、価格設定の透明性に対する課 題が指摘されている。 ○ 一方で、海外のベンチャー企業が革新的新薬の主な担い手になり、水平分業による医 薬品開発が広がるなど、創薬環境が複雑化し原価の算出が困難になっている現在にお いては、原価計算方式において透明性を求めることに限界があると指摘されている。 ○ また、原価計算方式については、当該品目の研究開発費用は計上されているものの、 創薬に係るリスク負担が十分に考慮されていないといった算定に係る課題も指摘され ている。 (補正加算の妥当性) 〇 医薬品の革新性及び有用性については、現行の薬価制度上は補正加算という形で評価 が行われている。補正加算については、適用の要件や定量的評価の指標が定められて 32 臨床研究データベース「jRCT(Japan Registry of Clinical Trials)」 33 市場での公正な競争を確保する観点から、新薬の1日薬価を類似性が最も高い類似薬(最類似薬) の1日薬価に合わせる形で算定。 34 薬価算定単位あたりの製造(輸入)原価に、販売費及び一般管理費、営業利益、流通経費並びに消 費税を加えた額で薬価を算定。 35 客観的に評価されたデータ(承認審査で用いられた臨床試験成績等)に基づき、医薬品の有用性等 の程度により、画期性加算(70%~120%)、有用性加算(Ⅰ)(35~60%)、有用性加算(Ⅱ)(5~ 30%)により評価を行う。市場規模が小さいが医療上の必要性が高い医薬品については、画期性加算 や有用性加算とは別に、市場性加算Ⅰ・Ⅱ(5~20%)、特定用途加算(5~20%)、小児加算(5~ 20%)により評価を行う。世界に先駆けて日本で承認を取得した先駆的医薬品については、先駆加算 (10~20%)により評価を行う。 36 原価計算方式においては、製品総原価のうち、薬価算定組織での開示が可能な部分の割合(開示度) に応じて加算係数を設定し、補正加算の加算率に差を設けている。 具体的には、開示度が 80%以上であれば加算係数 1.0、50~80%であれば 0.6、50%未満であれば 0 となる。 15 いることに加え、薬価算定結果や薬価算定組織37の議事録の公表により、企業における 予見性を持たせる対応が行われている。 ○ 現行制度では、薬事承認から原則 60 日以内、遅くとも 90 日以内に薬価収載されるこ とになっており、この点は高い予見性を維持しているが、このような迅速な対応が可 能なのは、薬事承認プロセスにおける医薬品の有効性や安全性の評価を活用して医薬 品の価値を評価しているからである。 〇 補正加算の適用については、薬機法に基づく製造販売承認に係る審査報告書で評価さ れた臨床試験成績における評価を基本として判断されるが、当該報告書は品質、有効 性及び安全性を確認、評価し、薬事承認の可否を判断するものであるため、「品質・有 効性・安全性を判断するために必要ではないことから審査報告書に記載されないデー タ」、「審査報告書に記載があっても、主要評価項目以外のデータ等であって有用性評 価の根拠とされていないデータ」などについては、結果的に補正加算の判断に使用さ れない傾向がある38。 〇 また、補正加算のうち有用性加算の要件には、対象となる疾患に対して既存治療(医 薬品以外の治療法を含む。)がある場合、当該既存治療と比べて客観的に優れている ことが求められるものがあるが、例えば、希少疾病や小児、難病を対象とした医薬品 においては、患者数が少ないため他治療群を比較対象とした臨床試験を実施すること が困難な場合が多く、既存治療との比較を客観的に示せないことがある。そのため、 特に開発が望まれる希少疾病用医薬品等については、有用性の観点の補正加算を取り にくい傾向がある39。 (新薬創出等加算の企業要件) ○ 新薬創出・適応外薬解消等促進加算(新薬創出等加算)は、薬価改定による薬価引き 下げが開発コスト等の回収の遅れにつながり、ドラッグ・ラグに影響しているとの指 摘があったことを踏まえ、後発品が上市するまで等の間、薬価を維持することで、研 究開発コストを回収しやすくすることにより、革新性や有用性の高い医薬品の研究開 発を促進する制度として導入された40。 〇 新薬創出等加算の対象品目は、当初は新薬のうち乖離率が全品目の平均以下の品目が 対象となっていたが、平成 30 年度薬価制度改革において真に有効な医薬品を適切に見 極めてイノベーションを評価することとしたため、真に革新性や有用性の高い医薬品 に限定され(品目要件)、さらに、製薬企業による革新的新薬の開発やドラッグ・ラグ 37 新薬の薬価算定等について、調査審議する必要があるときに、中央社会保険医療協議会が意見を聞 く会議体のこと。医学、⻭学、薬学、医療経済学等に係る専門的知識を有する者により構成される。 38 第6回 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会 資料 p15 39 補正加算の加算率と補正加算の適用数は、平成 30 年度薬価制改革前後のいずれも、加算率として最 も低い5%に多くが集中していた。 40 平成 22 年度薬価制度改革から試行的に導入され、平成 30 年度薬価制度改革から本格的に導入され た。 16 解消の実績や取組等に関する指標を設定し、企業ごとの当該指標の達成度及び充足度 に応じて、加算に傾斜を付ける仕組み(企業要件)が設けられている41。 〇 品目要件の追加により、新薬創出等加算の対象品目数及び成分数が減少42した。また、 企業要件により、全ての新薬創出等加算対象品目の薬価が維持できることにはならな いため、特許期間中の薬価が維持できる諸外国の制度43と比べ、日本市場の魅力低下を 招いていると指摘されている。 〇 また、企業要件は、これまでの研究開発実績を評価することから、多数の品目を取り 扱う大企業に有利な制度であり、近年、開発主体となりつつあるベンチャー企業等の 少数の品目を扱う企業44にとっては、完全に薬価を維持することが困難な仕組みとなっ ている。 (市場拡大再算定の対象品目) ○ 市場拡大再算定45は、国民皆保険の持続性の確保を目的に、薬価改定の際、薬価収載 時の前提条件が変化し46、市場規模が予想に比べて一定以上拡大した医薬品について、 拡大率に応じて薬価を引き下げる仕組みとして導入されている。 ○ また、市場拡大再算定については、市場における公平性の観点から、全ての薬理作用 類似薬について、同時に市場拡大再算定が適用される制度となっている47。 ○ 一方、以前は、単一の効能・効果を有している医薬品が多く、複数の効能・効果を有 する医薬品は多くなかった。しかし、現在は、新薬の主流であるバイオ医薬品を中心 に、特に抗がん剤や代謝性疾患分野において、1つの薬剤で幅広い効能・効果を有す るものが多くなっている48。 ○ このような効能・効果が多い製品では、他社の品目が市場拡大再算定を受けることに 伴い、類似品として再算定の対象となる可能性が増加し、企業が事前に想定していな い再算定が行われるなど、予見可能性の低さが問題として顕在化してきた。その結果、 効能・効果を追加することで新たな治療の選択肢を提供しようと努力している企業に 41 指標に基づきポイント制で評価され、合計ポイントの上位 25%(区分Ⅰ)が、薬価を維持できる仕 組みとなっている。 42 平成28年度(2016年度):823品目(416成分)、平成30年度(2018年度):560品目(314成分)、 平成 30 年度(2018 年度)以降は横ばい。 43 第6回 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会 資料 p27 44 世界では、ベンチャー企業が医薬品開発の主流となってきているが、日本では2%に過ぎない。ま た、ベンチャー企業自らが、FDA で薬事承認を取得するケースが増えてきている。(第6回 医薬品 の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会 資料 p26) 45 国民皆保険の維持を目的に、薬価収載時の前提条件が変化し、市場規模が予想に比べて一定以上拡 大した医薬品について、拡大率に応じて薬価を引き下げる制度。市場拡大再算定、用法用量変化再算 定、効能変化再算定がある。 46 原価計算方式で算定された品目は、市場規模を勘案し算定されることから、売上の拡大等があった 場合で、それ以外の品目は、使用方法や適用患者の変化等があった場合。 47 平成 20 年度薬価制度改革において、市場で競合している医薬品について公平な薬価改定を行う観点 から、「薬価収載の際の比較薬が市場拡大再算定の対象品である既収載品」だけでなく、「市場拡大再 算定対象品の全ての薬理作用類似薬」について、市場拡大再算定類似品として扱い、再算定を行うこ ととされた。 48 例えば、バイオ医薬品は悪性腫瘍をターゲットとして開発されていることが多く、結果として複数 の効能を取得することとなる傾向がある。 17 とって、投資コスト回収の見込みが立たないリスクにつながり、日本への上市の魅力 を低下させている懸念も指摘されている。 (外国平均価格調整) 〇 外国平均価格調整により薬価引上げを行うルールがあるのは、新規収載時のみである ため、特に革新性が高く原価計算方式により算定されるような医薬品については、海 外複数国で上市した後に日本で薬価収載する方が、外国引上げ調整により高い薬価を 算定される可能性が高い。そのため、世界に先駆けて開発された新薬であっても、日 本より海外で先に上市することを助長するとの指摘もある。 (薬価制度改革の頻度) ○ 新薬の薬価収載に関しては、原則として、薬事承認を受けた医薬品は薬価収載される が、企業は上市判断時(概ね第3相臨床試験結果の判明時)までに、複数回、投資に 対する利益回収の可能性を予測し、研究開発の継続と上市の可否を検討している。 〇 しかし、薬価改定の際には、イノベーションの推進と国民皆保険の持続性を両立する 観点等から薬価制度の見直しが行われるが、企業経営に大きな影響を与えるような薬 価制度改革が頻回に行われると、不確実性が増大し、当初計画していた投資コスト回 収が困難となるリスクが高くなる。その結果として、日本市場はリスクが高いとして 医薬品の開発が先送りにされる、あるいは他国での開発が優先されるおそれがある。 〇 また、仮に投資コスト回収に要する期間が延長した場合、企業は投資コストを早期回 収するため、後発品が上市された後も特許満了後の新薬の販売を継続することが必要 となり、結果として長期収載品による利益への依存を誘導する一因となることが懸念 される。 18 1.3 医薬品流通における課題 1.3.1 薬価基準制度と医薬品流通の変遷 ○ 医薬品は、薬価基準に基づき、国によって価格(薬価)が決められ、主に製薬企業か ら医薬品卸売販売業者を介して医療機関や薬局に販売されている。医療保険から医療 機関等に対して償還する価格(薬価)は統一的に定められている中で、製薬企業、医 薬品卸売販売業者及び医療機関等との取引は、自由取引に委ねられていることから、 医薬品卸売販売業者と医療機関等との間で取引される価格(実勢価格)と薬価の間に は差額(薬価差)が発生している。 〇 その上で、医薬品が適正な薬価により流通されることを目的に、薬価を実勢価格に近 づけるため、これまで実勢価格の調査(薬価調査)を行った上で、薬価改定が行われ てきた。その際、薬価改定のルールは、薬価基準制度の下、時代とともに変更され、 それにより流通の在り方も変遷してきている。以下、薬価基準制度と医薬品流通の変 遷について記載する。 ①バルクライン方式 ○ 医療用医薬品の薬価改定方式として、最初に導入されたのは、昭和 26 年(1951 年) から実施されたバルクライン方式である。これは医薬品全体の取引量を安い方から並 べて一定の数量をカバーする1点の取引価格を基準価格とするという方式であった49。 ○ 昭和 36 年(1961 年)の国民皆保険制度の導入後、医薬品卸売販売業者と医療機関等 の取引(川下取引)では、医薬品卸売販売業者の主力取引先は医療機関が中心となっ ていた。 ○ 当時の製薬企業と医薬品卸売販売業者の取引(川上取引)では、製薬企業が値引きの 範囲をコントロールして医療機関への販売価格を決める「値引補償制度」50であったが、 平成3年(1991 年)には再販売価格維持が疑われる行為として廃止され、製薬企業が 医薬品卸売販売業者に販売する価格(仕切価)を提示し、医薬品卸売販売業者が医療 機関等と交渉して納入価を決定する「仕切価制」へと移行した。 ○ 医療機関と医薬品卸売販売業者の取引では、当初、製薬企業ごとに取引をしていたが、 市場では市場規模が大きく汎用性の高い生活習慣病治療薬などの新薬が多数登場し、 個別の価格交渉が煩雑になったため、医療機関は複数の製薬企業の医薬品を一括して 購入することを要望し、医薬品卸売販売業者が販路拡大のためにこれを受け入れ、「総 49 実勢価格の集計方法の変更に伴い、昭和 28 年(1953 年)に 90%方式に変更され、その後、薬価と 実勢価格のばらつきの差が大きくなったことから、これを解消するため、昭和 58 年(1983 年)に 81%方式が導入された。 50 値引補償制度:医薬品卸売販売業者が製薬企業から購入した仕入価格以下の価格で、医薬品を医療 機関に販売した場合、医薬品卸売販売業者は製薬企業と再度仕入価格の交渉を行い、製薬企業がこれ を下げることで医薬品卸売販売業者の利益を補償した。平成元年(1989 年)から始まった日米構造 協議において、医薬品取引における透明性と公平性の確保が求められ、平成3年(1991 年)には公 正取引委員会が「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」を公表し、再販売価格維持が疑われ る行為として廃止された。 19 価山買い方式」、「仮納入」が広がり、現在の「総価取引」、「未妥結・仮納入」につな がる取引慣習となっていった。 ○ かつて、医療機関は、薬価差を得るために患者への過剰な医薬品の処方を行っている という指摘があったことから、医薬品の適正処方等を目的として、医薬分業が推進51さ れた。 ②加重平均値一定幅方式(R幅方式)、市場実勢価格加重平均値調整幅方式の導入 ○ 平成4年(1992 年)からは、実勢価格をより適切に反映し、価格の不自然なばらつ きの一層の是正、算定方式の簡素化等を図るため、バルクライン方式に代わって加重 平均値一定幅方式(R幅方式)が導入された。R幅方式は、市場実勢価格の加重平均 値に一定の幅を加算して薬価の引き下げ率を緩和させる方式である52。 ○ 平成 12 年(2000 年)からは、不合理な薬価差の解消を目的とし、R幅方式に代わり、 加重平均値に調整幅2%を加算する市場実勢価格加重平均値調整幅方式が導入された。 ○ 川上取引では、仕切価制において、医薬品卸売販売業者は市場における価格交渉を担 っているものの、医薬品の仕切価は高い値で推移し、平成 15 年(2003 年)以降、仕切 価が納入価よりも高い「一次売差マイナス」が発生している。卸売販売業の利益は、 実質、製薬企業から支払われるリベートやアローアンスで補填される構造となってお り、「値引補償制度」から続く、収益の二重構造は実態として解消されていない。 ○ 一方、川下取引では、医薬分業の進展とともに、医薬品卸売販売業者の売上げシェア は、医療機関から薬局へと移行したことにより、医療機関における薬価差は減り、薬 局の薬価差は増えている。一部の取引においては、総価取引による一括値引きなど、 過去の商習慣に基づいた取引が行われている。 〇 また、近年取引される医薬品のカテゴリーについて、生活習慣病治療薬などの新薬の 特許が満了し、その多くが後発品に置き換わっている中で、競合品の少ない希少疾病 用医薬品などの占める割合が増加している。これらの医薬品は高価格であったり、特 殊な品質管理を要することであったり対象となる患者が限定されているといったもの が多く、これまでの大量生産・大量販売とは異なる流通体制の構築が必要となってい る。 (取引価格のばらつきと薬価差) ○ 取引価格のばらつきが発生する要因としては、以下の2つが考えられる。 ① 市場における個々の取引条件や競争条件の違いから必然的に発生していると考え られるもの。例えば、取引量が多く配送コストのスケールメリットが働く場合、配 送先が広範囲に存在する地方や離島に比べ、配送先が集約している都市部のコスト が少なくなるなどにより取引価格に違いが生じている。 51 令和3年度(2021 年度)の医薬分業率は 75.3%となっている。 52 R幅は、平成4年度(1992 年度):15%、平成6年度(1994 年度):13%、平成8年度(1996 年 度):11%、平成9年度(1997 年度):10%(長期収載品は8%)、平成 10 年度(1998 年度):5% (長期収載品は2%)と段階的に引き下げられた。 20 ② 薬価差を得ることを目的とした値下げ交渉や販路拡大のための値下げ販売により 発生していると考えられるもの。 ○ ここで問題となるのは、上記の②において、適切な流通取引を阻む過度な薬価差が発 生している場合である。 ○ 薬価差を得ることを目的とした値下げ交渉の背景には、薬価差が医療機関等の経営原 資となっていることが挙げられる。 ○ 近年では、チェーン薬局や価格交渉を代行する業者が大規模化することで価格交渉力 を強めるとともに、全国の取引価格をデータ化しベンチマークを用いた価格交渉が常 態化し、一部の医療機関や薬局はこれを利用して値引き交渉するなど、薬価差を得る ことを目的とした取引が増えている。これらにより、過度な薬価差が発生しており、 こうした取引の一部では、他の医療機関等よりも薬価の乖離幅が拡大し、結果として 「過度な薬価差の偏在」が生じている53。 (調整幅) ○ 調整幅は、市場実勢価格の加重平均値に調整幅として2%が加えられている。中央社 会保険医療協議会では「薬剤流通安定のため」に必要なものとされてきたが、その根 拠は明示されていないものの、上記の①のばらつきを吸収しているものとも考えられ る。 ○ しかし、調整幅が導入されてから 20 年以上が経過し、医薬品のカテゴリーが多様化 する中で価格のばらつきに変化が生じてきており、一律2%とされてきた調整幅につ いては、実態と整合がとれなくなってきていると指摘されている。 1.3.2 医薬品取引と医薬品卸売販売業者の実態 (価格交渉の実態) ○ 医薬品の取引においては、新薬や長期収載品、後発品など製品の特性によって、乖離 率に差が出ているが、その要因の1つには、カテゴリーごとの取引体系の違いがある と考えられる。 ○ 長期収載品や後発品においては、医薬品の品目数が極めて多いという製品の特徴によ り、個別の品目について価格を交渉し、合意することが実務的な負担につながること から、医療機関等は、医薬品卸売販売業者との取引において前回改定時の値引き率を ベースに総額での一律値下げを求める総価取引が行われることが多い。 ○ このような取引では、競合する品目が少ない新薬の価格は比較的維持されているもの の、汎用性が高く競合品目が多い長期収載品や後発品は、医療上の必要性に関わりな 53 令和3年度(2021 年度)の販売先別薬価差額の割合は、20 店舗以上の調剤チェーンが 36.8%、20 店舗未満の調剤チェーン・個店が 26.2%、200 床以上の病院が 26.3%、200 床未満の病院・診療所 が 10.7%となっている(第 10 回 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検 討会 資料 p35)。 21 く、総価値引きの目標金額の調整に使用される傾向があり、薬価の下落幅が大きくな っている54。 ○ 安定確保医薬品55の中にも、薬価調査のたびに高い乖離率を示している品目があり、 こうした品目の中には、上記のような総価取引における調整弁として値引きがされて いるものもあると考えられる56。さらに、最低薬価が適用される医薬品においても、薬 価差が発生している現状を踏まえると、乖離率にかかわらず改定前薬価まで薬価が戻 るという仕組みがあるため、総価取引の調整に使われている要因になっている可能性 があると考えられる57。 〇 価格交渉における負担についてみると、令和3年度(2021 年度)から実施された毎 年薬価改定により、薬価改定頻度が増加したことから、医薬品卸売販売業者のみなら ず製薬企業や医療機関等といった流通関係者において価格交渉の機会が増えることに なり、結果として負担が増加している。 〇 また、このことが、医療機関等が価格交渉を代行する業者にこれらの業務を委託する 一つの要因となっていると考えられ、結果として、医療に直接関与しない価格交渉を 代行する業者が事業規模を拡大し、医薬品の価格形成にも影響を与えていると考えら れる。 (配送等の実態) ○ 医薬品卸売販売業者は、へき地や離島も含めて、全国に毛細血管のような流通網を構 築している。また、災害時においても医薬品を安定的に供給することで、地域医療を 支えており、医療提供には必要不可欠の存在となっている。 ○ 医薬品の配送については、医薬品が多品目であることや生命関連商品であることから、 緊急時にも即応しなければならないなど、欠品を発生させない対応が求められる。そ れに加えて、昨今では後発品を中心とした医薬品の出荷調整や欠品が常態化しており、 製薬企業や医療機関等との調整業務等により、医薬品卸売販売業者に過度な負担がか かっていることが指摘されている。 54 令和3年度(2021 年度)の医薬品のカテゴリー別の乖離率は、新薬創出等加算品を 100 とした場合、 長期収載品は 232、後発品は 308 となっている。(第3回 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総 合対策に関する有識者検討会 資料 p59) 55 医療上必要不可欠であって、汎用され、安定確保が求められる医薬品として、日本医学会傘下の主 たる学会の各専門領域において提案されたもので、我が国の安全保障上、国民の生命を守るため、切 れ目のない医療供給のために必要で、安定確保について特に配慮が必要とされる医薬品。 56 令和3年度(2021 年度)の安定確保医薬品のうち、内用薬の平均乖離率については、最も優先度の 高いカテゴリーAが14.3%となっており、カテゴリーB7.2%やカテゴリーC12.9%よりも高い乖離 率となっている。(第 10 回 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会 資料 p41) 57 令和3年度(2021 年度)の改定前薬価に最低薬価制度が適用されていた全品目の平均乖離率は、 9.3%となっている。(第 10 回 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討 会 資料 p40) 22 (医薬品卸売販売業者の経営実態) ○ 元来、市場実勢価格加重平均値調整幅方式で薬価改定が行われるということは、改定 後の薬価が従前の市場実勢価格を下回るケースも生じうるが、結果として薬価改定後 に市場実勢価格との逆転が発生していないのは、製薬企業が仕切価を下げ、医薬品卸 売販売業者が販売管理費を削減することにより、これを吸収していることによるもの とも考えられる。 ○ それに加えて、現下の価格交渉の実態等や毎年薬価改定の影響により、医薬品卸売販 売業者の業務上の負担は増加しており、こうした中で、医薬品卸売販売業者において は販売管理費をさらに削減し、営業利益を捻出している状況にあると考えられる。 ○ このような状況の中、近年では、ガソリン代、電気料金などの高騰により医薬品卸売 販売業者の収益構造がさらに悪化しており、その経営は非常に厳しいものとなってい る。 23 第 2 章 医 薬 品 の 迅 速 ・ 安 定 供 給 実 現 に 向 け た 対 策 の 方 向 性 ○ 第1章に記載した課題に対して、政府が取り組むべき対応策を以下にて提言する。 2.1 医薬品の安定供給の確保に向けて 2.1.1 後発品産業構造の見直し ○ 資金や人材などが限られている中、製薬企業は事業を戦略的に集中させていく必要が ある。その上で、国民に高水準の医療を持続的に提供できる世界を目指すためには、 先発品企業は革新的な医薬品を創出し続け、後発品企業は、特許が切れた医薬品を安 定的に供給し続けるという役割分担を形成することが必要である。 ○ この中において、後発品企業は、国民にとって必要不可欠となった後発品について、 品質を確保しつつ将来にわたって安定的に供給し続けることが求められる。そのため にも、製造管理及び品質管理の徹底は当然として、製造ラインの品目切り替えを極力 減らすこと等による生産の効率化を行うとともに、非常事態に対応できる余力を持っ た製造体制を確保することが求められる。 ○ しかしながら、現状では第1章で記載したように、複数の後発品企業において、製造 管理及び品質管理の不備による薬機法違反が発覚し、これを端緒として多くの医薬品に おいて出荷停止や限定出荷が発生するとともに、これが長期化し、国民に必要な医薬品 が供給されない状況が続いている。 ○ こうした事態は、これまで政府において後発品の使用促進が進められ、市場が大きく 拡大する中で、必ずしも十分な製造能力や体制を確保できない多くの企業が新規品目を 上市することや、十分な製造管理も行われない中で少量多品目生産が行われるといった 後発品産業特有の産業構造上の課題がその大きな背景の一つと考えられる。このため、 今後、これまでのような大きな市場拡大が見込めない中にあっても、後発品の安定供給 を確保していくためには、このような産業構造の在り方そのものを見直していくことが 必要である。 ○ その際には、医薬品の種類は非常に多く様々なカテゴリーがある中で、各企業がそれ ぞれの特性を活かしつつ分業を行うことで安定供給が実現できる産業を目指していく 必要がある。 ○ 政府においては、今後の後発品産業の在るべき姿を策定するとともに、その実現を図 るため、以下に掲げる方策について、これらを更に具体化するための会議体を新設し、 速やかに検討に着手すべきである。 (上市に当たって十分な製造能力等を求める仕組みの構築) ○ 第1章でも述べたように、これまで後発品の使用促進を進める中で、共同開発が導入 されたことに伴い、必ずしも十分な製造能力を確保できない多くの企業が新規品目を上 市し、激しい価格競争による薬価の引下げや、先発品の特許切れに伴う更なる品目の増 加を招いてきた。しかも、一部の企業においては、一定期間後には市場から撤退してい るという実態も把握されたところである。 24 ○ このような実態が結果として、後発品の不安定供給につながったという経緯を踏まえ、 特にこれまでのような大きな市場拡大が見込まれない中にあっては、新規品目の上市に 当たって、十分な製造能力を確保していることや継続的な供給計画を有しているといっ た安定供給を担保するための一定の要件を求め、これらの要件を満たさない企業は結果 として市場参入することができなくなる仕組みを検討すべきである。 (安定供給を行う企業の評価) ○ 新規品目の上市時における対策の検討に加えて、品質が確保された後発品を安定供給 できる企業が市場で評価され、結果的に優位となるような対策が求められる。 ○ このような観点から、医薬品の安定供給等に係る企業情報(製造能力、生産計画、生 産実績等)の可視化(ディスクロージャー)を行った上で、これらの情報を踏まえた 新規収載時及び改定時の薬価の在り方を検討すべきである。 (品目数の適正化・業界再編に向けた取組) ○ 以上の取組に併せて、少量多品目生産といった構造的課題を解消し、企業における品 目ごとの生産能力を高める観点から、業界再編も視野に入れつつ、品目数の適正化や、 適正規模への生産能力の強化を進めることが必要である。 ○ こうした観点から薬価の在り方を検討するとともに、他産業での業界再編に向けた取 組も参考にしつつ、例えば、品目数の適正化に併せた製造ラインの増設等への支援や 税制上の優遇措置を検討するなど、政府において、ロードマップを策定した上で、期 限を設けて集中的な取組を行うべきである。 (医薬品の安定供給の確保に向けた政府による基盤整備) ○ 後発品企業においては、これまでの数次にわたる法令違反の事案を踏まえ、引き続き、 製造管理及び品質管理の徹底を図ることが必要である。 ○ その上で、製造所における管理体制に係る評価項目の見直しを含め都道府県における 薬事監視の体制を強化するとともに、国と都道府県の薬事監視の速やかな情報共有を 含めた連携体制の整備を行い、薬事監視の質的な向上を図る必要がある。 ○ また、各製造所において製造効率の向上と品質確保の両立が図れるよう、異業種にお けるノウハウの活用について検討するとともに、迅速な薬事承認を可能とする体制の 確保や変更手続のあり方を明確化することで、製造効率の向上に向けた企業マインド を醸成することについても検討すべきである。 2.1.2 薬価基準制度における対応 ○ 上述のとおり、少量多品目生産といった構造的課題を解消する観点から、薬価の在り 方を検討する。その上で、仮にこれらが解消された場合であっても、現状の薬価改定 方式であれば価格が永続的に引き下がることになり、採算性の低い品目を抱え続ける ことになる。 25 ○ このような問題に対応するために、2.3の医薬品流通における対応に加え、後発品 以外の医薬品を含め、医療上の必要性が高い医薬品の薬価を下支えしつつ、安定供給 が可能となるよう、最低薬価、不採算品再算定、基礎的医薬品といった制度やその運 用の改善を検討するとともに、中長期的には、採算性を維持するための新たな仕組み の検討を進めるべきである。その際、最低薬価、不採算品再算定、基礎的医薬品の制 度の改善等の検討に当たっては、企業努力を促す観点や医療保険財政のバランスを確 保する観点から、他の制度改善等との優先順位を考慮すべきである。 2.1.3 サプライチェーンの強靱化 ○ 医療提供の持続可能性にも関わる医薬品供給リスクに対処するため、医薬品製造に係 るサプライチェーンの強靱化を着実に図るべきである。 ○ 原薬や原材料の調達段階を中心としたグローバルサプライチェーンの断絶や災害等の 様々な供給リスクに対処するため、各企業における安定供給に向けた取組を支援する とともに、原薬等の共同調達等の取組を促すべきである。これらに加えて、供給不安 に係るリスクシナリオの整理やそれを踏まえた行動計画の整備等、医薬品のサプライ チェーン強靭化に向けた体制を構築することが必要である。 ○ また、それらの対応に当たっては、供給情報等の共有が重要となることから、上述の とおり、安定供給等の企業情報の可視化を推進することに加え、政府自らが主導して、 特に医療上必要な医薬品については、需要側とのマッチングも見据え、一連のサプラ イチェーン上の供給状況を関係者がより迅速に把握することが可能な仕組みの構築を 検討すべきである。 ○ さらに、緊急時には、政府のイニシアチブの下、医薬品の適正な供給が可能となるよ う、予め関係者間でその方策を検討しておく必要がある。 26 2.2 創薬力の強化、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消 2.2.1 創薬力の強化 ○ 製薬産業は日本の基幹産業であり、革新的新薬を海外に展開することで外貨を獲得し、 日本経済を牽引する成長ドライバーとしての役割が期待されている。 ○ 世界中で広く使われる革新的新薬を創出し続けることが先発品企業に求められるとこ ろ、第1章で記載したとおり、日本の製薬産業の現状としてはそのような創薬力を有 しているとは言えない状況にある。 ○ 今後の日本経済の成長を牽引することが期待される製薬産業の成長を後押しする観点 から、今後の大きな政策の方向性として、先発品企業がリスクを取って最新技術を活 用した革新的医薬品の創出に挑戦することを促進していく必要がある。 ○ また、昨今の環境変化を踏まえると、モダリティの移行に伴って高まる創薬の難化に 対応するため、ベンチャー企業やアカデミアに加え医薬品開発業務受託機関(CRO)や 医薬品製造受託機関(CMO)、医薬品製造開発受託機関(CDMO)といった各プレイヤー がそれぞれの専門性を活かしてバリューチェーンを構成するエコシステムを構築する ことが重要である。 ○ そのためには、政府のみならず、エコシステムの一員である産官学の各プレイヤーが 同じ目標の下、戦略的に資源を投下し、必要な施策を関係者が主体的に進めていくべ きである。 (戦略の策定) ○ 遺伝子組み換え型のバイオ医薬品、遺伝子治療系の再生医療等製品といった新規モダ リティへの移行に立ち遅れないために、積極的に新規モダリティに投資し、国際展開 を見据えた事業を展開できるよう、政府一丸となって、総合的な戦略を作成し、企業 等に示すべきである。 (新規モダリティの創出に向けた取組) ○ アカデミアにおける創薬基盤技術の研究、疾患原因や標的分子の基礎的な研究の一層 の充実が必要である。その際には、創薬基盤技術を用いた創薬研究など、実際にアセ ットを作ることを推進、強化すべきである。 ○ 新規モダリティに係る研究開発を行う企業に対しては、当該分野に係る研究開発を行 った場合の税制優遇や新薬候補探索支援(シーズ・ライブラリ構築)等を検討すべき である。 ○ バイオ医薬品等の製造や人材育成の支援として、経済産業省が推進するデュアルユー ス製造拠点58の構築に併せて、バイオ医薬品等の製造に必要な人材を育成することが重 要である。これらの取組を通じて、まずはバイオシミラーの国内製造を促進し、中長 58 平時はバイオ医薬品を、感染症有事にはワクチンを製造する拠点(ワクチン生産体制強化のための バイオ医薬品製造拠点等整備事業)。 27 期的には、バイオ医薬品の開発に係るケイパビリティを強化し、国内におけるバイオ 医薬品全般の開発につなげていくことが必要である。 (ベンチャー企業の育成・支援) ○ ベンチャー企業については、医療系ベンチャー・トータルサポート事業(MEDISO) 等による各種支援の取組を進め、国内外の企業との共同研究や、ライセンス提携、M&A のほか、資金調達、知財戦略等、開発から上市、さらには海外展開まで一貫したサポ ートを実施し、より活躍しやすいような環境整備を行うことが必要である。 ○ また、失敗した場合でも再度挑戦できる環境を作ることが重要である。このため、魅 力的なベンチャー企業のネットワーク、クラスター(集積)を作り、再度のチャレン ジが行える環境の構築に努めるべきである。 ○ ベンチャー企業がシーズの創出から臨床開発の全てを一社で実施する必要はない。海 外では、CRO、CMO、CDMO といったものが多いが、日本では、特にバイオ医薬品に関し て、それらの企業への育成施策が十分ではないことから、ベンチャー企業への支援と 併せ、これら機関の育成を図ることが必要である。 (人材の流動化) ○ 特に創薬の中心となっている米国などの海外人材を活用していくことが重要である。 例えば、米国で法人を作り、人材や資金を獲得するといった、現地のエコシステムに 入り込んで行われる医薬品開発も支援すべきである。 ○ 専門知識の共有化を図るために、製薬企業、アカデミア、国立研究開発法人日本医療 研究開発機構(AMED)や PMDA とベンチャー企業やベンチャーキャピタルが交流する仕 組み(兼業や副業を含む)を構築することが必要である。 (エコシステムの構築) ○ エコシステムを日本に構築して根付かせるためには、1つでも多くの成功事例(革新 的な医薬品の開発の進展や上市及びベンチャー企業の企業価値の向上)を生み出すこ とが必要である。アカデミアなどでシーズを創出した研究者、ベンチャー企業の起業 家、そしてベンチャーキャピタルなどの支援者の中で成功事例が生まれることによっ て、次の起業や投資につながり、エコシステムの正の循環が進むと考えられる。 ○ ベンチャー企業は、現状においては、どこかのタイミングで製薬企業へライセンスア ウトすることが想定される。このようなベンチャー企業の動きを促進するためにも、 製薬企業への働きかけ、特に製薬企業に優遇制度が適用されるような取組、ベンチャ ー企業との連携推進を促すべきである。 ○ 国内外の製薬企業やベンチャー企業、アカデミアといった関係者間のマッチングがう まく進んでおらず、産学連携に対しての期待感が上がっていない現状がある。産学間 のマッチングが促進されるよう、政府として、現在の取組を更に充実させるべきであ る。 28 (データ利活用等) ○ 創薬を行うに当たっては、電子カルテ情報の整備等の医療 DX(デジタルトランスフ ォーメーション)の推進に向けた取組など、リアルワールドデータの利活用を促進す るとともに、全ゲノム解析等実行計画の推進による情報基盤の整備と結果の患者への 還元を推進すべきである。 (革新的創薬に向けた研究開発への経営資源の集中化) ○ 研究開発型企業においては、革新的創薬に向けた研究開発への経営資源の集中化を図 るべきであり、特許期間中の新薬の売上で研究開発費の回収を行うビジネスモデルへ の転換を促進するため、薬価制度の見直し等を行うことが必要である。 ○ 第1章に記載のとおり、長期収載品については、今なお諸外国と比べその使用比率が 高くなっていること等を踏まえ、長期収載品による収益への依存から脱却するため、 原則として後発品への置換えを引き続き進めていくべきである。 ○ その際、後発品への置換えが数量ベースで約8割、金額ベースでは約4割となるもの の、近年は横ばいの状態が続いていることを踏まえると、更なる置換え促進には、こ れまでと異なるアプローチを検討することが必要である。 ○ こうした点を踏まえ、新薬の研究開発に注力する環境を整備する観点や、長期収載品 の様々な使用実態(抗てんかん薬等での薬剤変更リスクを踏まえた処方、薬剤工夫に よる付加価値等への選好等)に応じた評価を行う観点から、選定療養の活用や現行の 後発品への置換え率に応じた薬価上の措置の見直しを含め、適切な対応について、検 討すべきである。 (バイオシミラーの政府目標) ○ バイオシミラーの使用促進に係る数値目標については、令和 11 年度(2029 年度)末 までに、バイオシミラーに 80%以上置き換わった成分数が全体の成分数の 60%以上に することと設定されたことを踏まえ、これを第4期医療費適正化計画(令和6~11 年 度)に反映するとともに、各品目の特性や状況を踏まえつつ、治療の初回からバイオ シミラーを積極的に使用することを促す等の置換え推進策を順次検討すべきである。 また、市場での状況をモニタリングし、必要に応じて追加施策を検討すべきである。 2.2.2 ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消 ○ 医療上必要な医薬品が患者に対して迅速かつ安定的に届くことが重要であることは論 を待たないが、現状では、希少疾病や小児、難病の医薬品を中心として、ドラッグ・ ラグ/ドラッグ・ロスの懸念も生じており、必要な医薬品が迅速に利用できない患者 が存在している状況にある。 ○ この背景には、第1章で述べたとおり、世界的なモダリティの変化やこれに伴う創薬 主体の変化に必ずしも現行の薬事制度や薬価制度が適合していないという現状がある と考えられる。医療上特に必要な革新的医薬品が迅速に患者に届く環境を整備するた めには、これらを大胆に見直すことが必要であり、また、現に患者に届いていない医 29 薬品に対しても、現行制度を最大限活用することで、少しでも早く患者の元に届くよ う、速やかに対策を講ずるべきである。 (国際共同治験の推進や治験環境の整備) ○ 第1章でも述べたとおり、医薬品の開発において、最もコストを要するのは臨床試験 の実施であり、特に日本における臨床試験のコストは国際的に比較的高いことが指摘 されている。 ○ 現在は、日本の治験パフォーマンスが海外に比べて低いという状況であり、特に、国 際共同治験においては、日本人症例の組入れが遅いといった理由で、日本を避けると いう意見もある。グローバルから選ばれる国になるためにも、政府が中心となって国 際的なポジションを高めることが必要であり、国際共同治験の国内治験実施施設にお ける国際対応力を強化するとともに、国際共同治験に参加するための日本人データの 要否など、薬事承認制度における日本人データの必要性を整理すべきである。 ○ また、治験コストの低減を図るため、治験 DX59の実装など、治験環境の整備を推進す ることも必要である。 (薬事関係) ○ モダリティの変化などの技術革新、創薬環境や産業構造の変化等を的確に捉えるとと もに、製薬企業が日本での開発を行わない現状を認識し、医薬品の有効性及び安全性 を適切に評価しつつ、迅速な開発に資するよう、レギュラトリーサイエンスに基づき 薬事制度の在るべき姿を検討すべきである。 ○ 日本の希少疾病用医薬品指定制度が欧米よりも指定時期が遅いこと60から、欧米に比 べ、その指定数が少ない現状を踏まえ、開発の早期段階で指定できるよう、運用の見 直しを検討する61とともに、そのために必要な PMDA の体制を整備すべきである。 ○ 製薬企業に小児用医薬品の開発を促すため、成人用を開発する段階で、製薬企業に小 児用医薬品の開発計画の策定を促すとともに、開発に当たって、新規インセンティブ を検討すべきである。 (海外へのプロアクティブな情報発信) ○ 既存のベンチャー相談支援事業の海外向け PR や遠隔相談の実施、PMDA による英語で の情報発信や相談などの取組を実施し、日本の制度を海外に正しく伝達することが必 要である。 59 レジストリの活用、電子カルテ情報等のリアルワールドデータの利用、来院に依存しない治験等。 60 日本の希少疾病用医薬品指定制度のみ、運用上「開発の可能性」を要件としているため、欧米より も指定時期が遅く(第2相又は3相試験の段階で指定)、また、指定数も少ないことが指摘されてい る。 61 希少疾病用医薬品に指定されると、優先的な治験相談や優先審査の実施、申請手数料の減額、試験 研究費への助成金交付や税制上の優遇措置、研究開発に関する指導や助言といった支援を受けること ができる。 30 (現に発生しているドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスへの対応強化) ○ 先進医療・患者申出療養等に係る AMED 研究事業により、あらかじめニーズの高い疾 患(小児がん等)について、臨床研究中核病院等が作成する研究計画を支援し、先進 医療・患者申出療養等を活用した治療が速やかに行える体制を構築すべきである。 ○ 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議の実施に当たっては、PMDA の体 制を強化し、評価や薬事承認を加速させるとともに、併せて検討会議のスキームを外 資系企業に発信し、検討会議の利用を促進することが必要である。 (患者参画) ○ 医薬品による治療等の対象者である患者に資する制度を実現するため、その意見を収 集、理解し、薬事や薬価等、医薬品に係る規制の運用等を患者視点で確認や改善を行 うことにより、医薬品の迅速な導入や安定供給に活用すべきである。 ○ さらに、近年は、医薬品開発等への患者参画の取組が活発化していることを踏まえ、 それらを支援する取組も重要である。 (薬剤耐性(AMR)の研究開発) ○ 薬剤耐性菌に対する抗菌薬については、更なる AMR を生まないために、真に必要な患 者に限り使用することが重要である。また、薬剤耐性菌に対しての新規抗菌薬開発に ついても進めていく必要があるが、適正使用上の規制がかかるため、製薬企業にとっ ては創薬に対する経済的利点が乏しい状況がある。 ○ このため、本年度から開始する抗菌薬確保支援事業を着実に実施するとともに、対象 とする抗菌薬の考え方や費用対効果等を検証し、適切なプル型インセンティブを創出 すべきである。 2.2.3 薬価基準制度における対応 ○ 製薬企業における投資回収の予見可能性を高め、日本の医薬品市場の魅力を向上させ るためには、薬価基準制度について、以下のような取組を進めるべきである。 ○ なお、これらの取組に当たっては、医療保険財政への影響を考慮し、メリハリをつけ た対応をするなど、国民皆保険との両立を可能とするような仕組みを併せて検討すべ きである。 (新規収載時薬価) ○ 再生医療等製品といった新規モダリティや、比較薬がないような革新的な医薬品につ いては、原価計算方式による透明性の確保が難しくなっていることや、薬事承認に係 るデータだけでは価格に関して十分に評価できないことから、既存の枠組にとらわれ ず、新たな評価方法を検討すべきである。 ○ 一方で、希少疾病や小児、難病等の治療薬といった医療上特に必要な革新的医薬品に ついて、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスを解消するため、迅速な導入に向けて、新 たなインセンティブを検討すべきである。例えば、革新的な医薬品を国内に迅速に導 31 入した場合(欧米への上市後一定期間内に国内上市した場合等)の薬価上の評価の在 り方を検討すべきである。 (改定時薬価) ○ 新薬創出等加算制度について、新薬創出に寄与しているベンチャー企業が開発した医 薬品の薬価に関して、新薬創出等加算における適切な評価の在り方を検討すべきであ る。 ○ また、希少疾病や小児、難病等の治療薬といった医療上特に必要な革新的な医薬品に ついては、特許期間中の薬価を維持する仕組みの強化を検討すべきである。 ○ 日本における早期上市の促進という課題も踏まえて外国平均価格調整の仕組みについ て検討を行うほか、例えば、市販後のリアルワールドデータも活用しながら、医療機 器の保険導入におけるチャレンジ申請62のような制度についても導入を検討すべきであ る。 (市場拡大再算定) ○ 市場拡大再算定について、近年のバイオ医薬品や抗がん剤において、複数薬効・効能 を持つ医薬品が多くなっている実態も踏まえ、再算定の対象となる類似品の考え方に ついて見直しを検討すべきである。 (薬価制度改革) ○ 医薬品の開発促進の観点からは、透明性があり、予測しやすい薬価制度が求められる 中で、日本においては、過去6年間にわたって毎年薬価改定が実施され、制度も複雑 化している状況にある。こうした状況を踏まえ、薬価制度改革を検討する際は、投資 回収の予見可能性の低下に対しても十分考慮することが必要である。 62 保険収載までの間に最終的な評価項目を検証することが困難な医療機器について、使用実績を踏ま えて保険収載後に再度保険上の評価を行うことができる仕組み。 32 2.3 適切な医薬品流通に向けた取組 ○ 薬価が公定価格として決められている中で、医薬品の取引は自由取引により市場に委 ねられていることから、かねてより、薬価差問題に加え、様々な取引慣行(一次売差 マイナス、総価取引、未妥結・仮納入、頻繁な価格交渉や契約等)が存在している。 ○ これまで、流通改善に関する懇談会63での議論も踏まえ、流通関係者において、ガイ ドラインに基づく取組が実施されてきたことで、こうした取引慣行については、一定 の改善が図られてきたが、未だ抜本的な改善には至っていない現状にある。 (医薬品特有の取引慣行や過度な薬価差・薬価差偏在の是正) ○ 医薬品取引においては、製薬企業、医薬品卸売販売業者、医療機関等をはじめとした 流通関係者全員が、流通改善ガイドライン64を遵守し、医薬品特有の取引慣行や過度な 薬価差、薬価差の偏在の是正を図り、適切な流通取引が行われる環境を整備していく べきである。その際には、希少疾病用医薬品や新薬創出等加算品、長期収載品、後発 品など、医薬品の特性分化により、取引体系の違いがあることを考慮する必要がある。 ○ 総価取引を改善するための措置として、医療上必要性の高い医薬品については、過度 な価格競争により医薬品の価値が損なわれ、結果として安定供給に支障を生じさせる おそれがあるため、当該医薬品を従来の取引とは別枠とするなど、流通改善に関する 懇談会等で検討の上、流通改善ガイドラインを改訂して対処していくことが必要であ る。 ○ また、購入主体別やカテゴリー別に大きく異なる取引価格の状況や、過度な値引き要 求等の詳細を調査した上で、海外でクローバックや公定マージンが導入されているこ とも踏まえ、流通の改善など、過度な薬価差の偏在の是正に向けた方策を検討すべき である。 (流通コストの状況を踏まえた対応) ○ 薬価改定時の調整幅については、「薬剤流通安定のため」のものとされてきたが、希 少疾病用医薬品については、配送場所が限定されることから、配送コスト等の地域差 が市場実勢価格に与える影響が小さく、後発品については、汎用性が高く全国に配送 されることから、地域によっては、市場実勢価格に与える影響が大きいのではないか と考えられる。また、全国にあるチェーン薬局等の本部一括交渉において、配送コス ト等が考慮されていない取引もあると考えられる。そもそも、高額で軽い医薬品は配 送コストが市場実勢価格に与える影響が小さく、低額で重い医薬品についてはその影 63 「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」:医療用医薬品の流通過程の現状を分析し、公的医療保 険制度の下での不適切な取引慣行の是正等について議論し、今後の医療用医薬品の流通改善の方策を 検討する会議体。 64 「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン」(平成 30 年1月 23 日付 医政発 0123 第9号・保発 0123 第3号厚生労働省医政局・保険局長連名通知、令和3年 11 月 30 日 付医政発 1130 第 14 号・保発 1130 第3号厚生労働省医政局・保険局長連名通知) 33 響が大きいという問題もある。このような状況を踏まえて、どのような対応をとり得 るか検討を続ける必要がある。 34 その他の課題 ○ 本検討会においては、前述のほか、以下のような意見があった。 ・ 今後、医療保険制度の下、医薬品の安定供給を確保するとともに、研究開発型の ビジネスモデルへの転換を促進し、創薬力の強化、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロ スの解消に向けて、新薬創出等加算の在り方を含め、革新的な医薬品の評価の改善 等、薬価上の対応を行うに当たっては、以下のような本検討会における指摘につい て、必要な措置を講ずるべき。 長期収載品については、現行の後発品への置換え率に応じた薬価上の措置を見直 すべきではないか。 後発品への置換えが進んでいない長期収載品については、様々な使用実態(抗て んかん薬等での薬剤変更リスクを踏まえた処方、製剤工夫による付加価値を踏ま えた選好等)や安定供給の確保を考慮しつつ、選定療養の活用など、後発品の使 用促進に係る経済的インセンティブとしての患者負担の在り方について、議論が 必要ではないか。 長期収載品以外の医薬品を含めて、薬剤一般について軽度の負担を広く求めるべ きではないか。 ・ 毎年薬価改定については、そもそも特許期間中に薬価改定が行われ、価格が引き 下がることが、日本市場の魅力を引き下げている一因だと指摘されていることや、 後発品の価格の下落と採算性の低下の加速により、医薬品の供給不足をさらに助長 するおそれがあることを踏まえ、その在り方を検討すべきではないか。 ・ 財源に関する議論は、医薬品の早期導入や安定供給というより医療保険財政政策 上の話であって、これとは別に創薬力の強化、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの 解消に向けた政策を進めるべき。 ・ 薬剤費について、少なくとも中長期的な経済成長率に沿うように、最低限伸ばし ていくというような仕組みの検討を行うべきではないか。 ・ 薬剤費は世界中で GDP の対前年度比を上回って成長しており、仮に日本において GDP の成長率に収まったとしても、世界市場から比べれば見劣りし、日本の医薬品市 場の魅力の向上につながらないのではないか。 ・ 産業育成を公的保険の枠内のみで考えるのではなく、枠外も含めて考えることも 必要ではないか。例えば、セルフメディケーションを推進し国民の選択肢を増やす という観点からOTC医薬品産業を育成するなど、医薬品全体としてのビジョンやエコ システムを検討すべきではないか。 ・ 薬価調査のデジタル化を進め、関係者の作業負担の軽減や効率化を図る。また、 薬価制度改革の政策評価を正しく行うため、政府が主導して薬剤費等のデータを収 集することが必要である。 35 おわりに ○ 本検討会は、近年発生している諸課題を中心にその課題の分析と対応策の方向性に係 る検討を行ってきた。 ○ 対応策として提案した制度の詳細や関係者との合意形成については、関係する各会議 体で実施されるべきであり、また、政府において直ちに対応できるものは、各担当省 庁において検討の上、速やかに実施すべきである。 ○ 各会議体での検討状況や、政府における対応策の実施状況のフォローアップを行うた め、本検討会は引き続き議論を行うとともに、人口構造の変化や技術革新など、医薬 品産業を取り巻く環境の変化を踏まえ、新たな課題等の検討を行うこととしたい。 36 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会構成員 令和5年6月6日現在 氏 名 現 職 あしだこういち 株式会社INCJ執行役員ベンチャー・グロース投資グループ共同グループ長 芦田耕一 いのうえこうたろう 東京工業大学工学院長 井上光太郎 えんどうひさお 学習院大学経済学部教授 遠藤久夫 おぐろかずまさ 法政大学経済学部教授 小黒一正 かとりてるゆき 兵庫県立大学大学院社会科学研究科特任教授 香取照幸 かわはらたけよし 株式会社川原経営総合センター代表取締役社長 川原丈貴 さかまきひろゆき 神奈川県立保健福祉大学大学院教授 坂巻弘之 すがはらたくま 法政大学経済学部教授 菅原琢磨 なるかわまもる 北里大学薬学部教授 成川 衛 ほりま な み 東海大学健康学部・健康マネジメント学科教授 堀真奈美 みうらとしひこ 中央大学商学部教授 三浦俊彦 みむら ゆ み こ 青山学院大学名誉教授 三村優美子 (計 12 名、氏名五十音順) 37 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会の開催実績 開催日時 議題等 業界の現状と課題に係る関係団体ヒアリング 令和4年9月 22 日 •日本製薬団体連合会、日本製薬工業協会、日本ジェネリ (第1回) ック製薬協会、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製 薬団体連合会(EFPIA)5団体からのヒアリングを実施 業界の現状と課題に係る関係団体ヒアリング 令和4年9月 29 日 •再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)、日本医薬 (第2回) 品卸売業連合会、クレコンリサーチ&コンサルティング 株式会社の3団体からのヒアリングを実施 令和4年 10 月 12 日 これまでの意見及び論点案の整理 (第3回) 令和4年 10 月 21 日 これまでの意見及び論点案の整理 (第4回) シンクタンク等からのヒアリング 令和4年 10 月 27 日 •薬価流通政策研究会、新時代戦略研究所、デロイトトー (第5回) マツコンサルティング、日本医療政策機構の4団体から のヒアリングを実施 革新的医薬品の迅速な導入①(新薬の薬価について) 令和4年 12 月9日 •新薬の薬価算定、新薬におけるイノベーションの評価に (第6回) ついて、現行制度の課題及び今後の方向性について議論 革新的医薬品の迅速な導入②(ベンチャー企業等への創薬支 援について) 令和5年1月 13 日 •ベンチャー支援等に関して、有識者(芦田構成員)、ベン (第7回) チャー企業等(アミカス・セラピュ―ティクス株式会 社、株式会社リボルナバイオサイエンス、MEDISO(株式 会社三菱総合研究所))からのヒアリングを実施 革新的医薬品の迅速な導入③(先発企業のビジネスモデルに 令和5年1月 26 日 ついて) (第8回) •現行制度の課題及び今後の方向性について議論 医薬品の安定供給について①(後発品企業のビジネスモデル 令和5年2月 15 日 について) (第9回) •品質管理不備や供給不安の課題やその要因、今後の方向 性について議論 医薬品の安定供給について②(医薬品の安定供給を担保する 令和5年3月 17 日 薬価制度や薬価差について) (第 10 回) •医薬品の安定供給を担保する薬価制度や薬価差の課題や その要因、今後の方向性について議論 積み残しの論点等について(医薬品の安定供給や総薬剤費の 令和5年4月4日 在り方について) (第 11 回) •医薬品の安定供給の課題やその要因、今後の方向性やマ クロ的な視点からの総薬剤費の在り方について議論 令和5年4月 27 日 検討会報告書骨子(案)の提示 (第 12 回) 令和5年 6 月 6 日 検討会報告書(案)の提示 (第 13 回) 38

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