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令和7年4月3日 第193回社会保障審議会医療保険部会 参考資料1
第3期全国医療費適正化計画
の実績に関する評価
(実績評価)
令和7年3月
厚生労働省
目次
第一 実績に関する評価の位置付け ........................................................ 1
一 医療費適正化計画の趣旨 ............................................................... 1
二 実績に関する評価の目的 ............................................................... 1
第二 医療費の動向等 ..................................................................... 2
一 全国の医療費について ................................................................. 2
二 都道府県別の医療費について ........................................................... 4
三 生活習慣病の有病者及び予備群の状況 .................................................. 6
第三 目標・施策の達成状況等 ............................................................. 8
一 国民の健康の保持の推進に関する目標の達成状況 ....................................... 8
1 特定健康診査、特定保健指導並びにメタボリックシンドローム該当者及び予備群 ...... 8
2 たばこ対策 ......................................................................... 15
3 予防接種 ........................................................................... 15
4 生活習慣病等の重症化予防の推進 ................................................... 16
5 その他予防・健康づくりの取組 ..................................................... 16
二 国民の健康の保持の推進に関する施策の取組状況 ...................................... 17
1 特定健康診査等の実施率向上等に向けた取組 ........................................ 17
2 たばこ対策に関する取組 ............................................................ 22
3 予防接種の推進に関する取組 ........................................................ 23
4 生活習慣病等の重症化予防の推進に関する取組 ...................................... 24
5 その他予防・健康づくりの推進に関する取組 ........................................ 25
三 医療の効率的な提供の推進に関する目標の達成状況 .................................... 27
1 後発医薬品の使用促進 .............................................................. 27
2 医薬品の適正な使用推進に向けた取組 ............................................... 29
四 医療の効率的な提供の推進に関する施策の取組状況 .................................... 29
1 後発医薬品の使用促進に向けた取組 ................................................. 29
2 医薬品の適正使用の推進に向けた取組 ............................................... 30
第四 第3期全国医療費適正化計画に掲げる施策による効果 ............................... 32
第五 医療費推計と実績の比較・分析 ..................................................... 33
一 第3期全国医療費適正化計画における医療費推計と実績の差異について ................ 33
二 医療費の伸びの要因分解 .............................................................. 33
第六 今後の課題及び展望 ................................................................ 36
一 国民の健康の保持の推進 .............................................................. 36
二 医療の効率的な提供の推進 ............................................................ 36
三 今後の展望 ........................................................................... 36
第一 実績に関する評価の位置付け
一 医療費適正化計画の趣旨
我が国は、国民皆保険の下、誰もが安心して医療を受けることができる医療制
度を実現し、世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を達成してきた。しかしな
がら、急速な少子高齢化、経済の低成長、国民生活や意識の変化等医療を取り巻
く様々な環境の変化により、国民皆保険を堅持し続けていくためには、国民の生
活の質の維持及び向上を確保しつつ、今後医療費が過度に増大しないようにして
いくとともに、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図っていく
必要がある。
このための仕組みとして、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和 57 年法律第
80 号。以下「法」という。)第8条第1項の規定により、厚生労働大臣は、国民の
高齢期における適切な医療の確保を図る観点から、医療費適正化を総合的かつ計
画的に推進するため、医療費適正化に関する施策についての基本的な方針(以下
「医療費適正化基本方針」という。)を定めるとともに、6年ごとに、6年を1期
として医療費適正化を推進するための計画(以下「全国医療費適正化計画」とい
う。)を定め、法第9条第1項の規定により、都道府県は、医療費適正化基本方針
に即して、6年ごとに、6年を1期として、都道府県における医療費適正化を推
進するための計画(以下「都道府県医療費適正化計画」という。)を定めることと
されている。
このため、平成 30 年度から令和5年度までを計画期間として、厚生労働大臣は
第3期全国医療費適正化計画を、都道府県は第3期都道府県医療費適正化計画を
策定し、医療費適正化に関する取組を推進してきた。
なお、現在、令和6年度から令和 12 年度までを計画期間として、厚生労働大臣
は第4期全国医療費適正化計画を、各都道府県は第4期医療費適正化計画を策定
し、これらの計画に基づき、医療費適正化に関する取組を推進している。
二 実績に関する評価の目的
医療費適正化計画は定期的にその達成状況を点検し、その結果に基づき必要な
対策を実施するいわゆるPDCAサイクルに基づく管理を行うこととしている。
このための仕組みとして、法第 12 条第1項の規定により、都道府県医療費適正化
計画については、計画期間の終了の翌年度において、目標の達成状況及び施策の
実施状況の調査及び分析を行い、保険者協議会の意見を聴いて、当該計画の実績
に関する評価(以下「実績評価」という。)を行うものとされており、第3期の計
画期間が令和5年度で終了したことから、各都道府県において、平成 30 年度から
令和5年度までの第3期都道府県医療費適正化計画の実績評価を行った。
また、厚生労働大臣は、同条第3項の規定により、全国医療費適正化計画の実
績評価を行うとともに、各都道府県からの報告を踏まえ、各都道府県における都
道府県医療費適正化計画の実績評価を行うものとされている。これを踏まえ、今
回、第3期全国医療費適正化計画及び都道府県医療費適正化計画の実績評価を行
うものである。
1
第二 医療費の動向等
一 全国の医療費について
令和4年度の国民医療費(実績)は 46.7 兆円、令和5年度の国民医療費(実績
見込み)は 48.0 兆円となっており、令和5年度の国民医療費(実績見込み)は前
年度に比べ、2.9%の増加となっている。
また、過去 10 年の推移を振り返ると、国民医療費の伸び率は、新型コロナウイ
ルス感染症による受診控えなどの影響が生じた令和2年度を除き、年度ごとにば
らつきはあるものの、毎年度2~3%程度ずつ伸びる傾向にある。また、国内総
生産に対する国民医療費の比率は、平成 21 年度以降、7%を超えて推移している。
後期高齢者の医療費についてみると、平成 12 年度の介護保険制度の導入に伴い、
後期高齢者の医療費の一部が医療保険制度の対象範囲から除外されるようになっ
たこと、平成 14 年 10 月から高齢者の医療費の対象年齢が段階的に引き上げられ
ていること等により、平成 11 年度から平成 17 年度まではほぼ横ばいとなってい
るものの、後期高齢者医療制度が開始された平成 20 年度以降、令和2年度を除き
伸び続けており、令和4年度(実績)において 17.8 兆円、令和5年度(実績見込
み)において 18.6 兆円と、全体の約 39%を占めている。(図1)
図1 国民医療費の動向
2
平成 30 年度から令和4年度までの1人当たりの国民医療費の推移を年齢階級別
に見ると、増加傾向にあり、令和4年度は 37.4 万円となっている。
令和4年度の1人当たり国民医療費を見ると、75 歳以上では年間 94.1 万円、
65 歳以上では年間 77.6 万円であるのに対し、65 歳未満では年間 21.0 万円となっ
ており、約4倍の開きがある。(表1)
表1 1人あたり国民医療費(年齢階級別、平成 30 年度~令和 4 年度、単位:万円)
75 歳~
全体 ~64 歳 65 歳~
(再掲)
平成 30 年度 34.3 18.8 73.9 91.9
令和元年度 35.2 19.2 75.4 93.1
令和2年度 34.1 18.4 73.4 90.2
令和3年度 35.9 19.9 75.4 92.3
令和4年度 37.4 21.0 77.6 94.1
出典:国民医療費
また、国民医療費の年齢階級別構成割合を見ると、65 歳以上で 60.2%、75
歳以上で 39.0%となっている。(表2)
表2 国民医療費の年齢別割合(平成 30 年度~令和 4 年度、単位:%)
~64 歳 65 歳~ 75 歳~
平成 30 年度 39.4 60.6 38.1
令和元年度 39.0 61.0 38.8
令和2年度 38.5 61.5 39.0
令和3年度 39.4 60.6 38.3
令和4年度 39.8 60.2 39.0
出典:国民医療費
3
二 都道府県別の医療費について
令和4年度(実績)の国民医療費のうち、都道府県別の1人当たり医療費(年
齢調整前)については、図2のとおりとなっており、都道府県別の1人当たり医
療費(年齢調整後)については、図3のとおりとなっている。
都道府県別の1人当たり医療費(年齢調整前)を見ると、都道府県ごとに医療
費の差があり、特に西日本において医療費が高い傾向にある。
都道府県別の1人当たり医療費(年齢調整後)を見ると、最も高い佐賀県で
428,657 円、最も低い新潟県で 318,533 円と 1.3 倍以上の開きがあり、大きな地
域差がある。
図2 都道府県別の1人当たり医療費(年齢調整前、令和4年度)
出典:医療費の地域差の分析
4
図3 都道府県別の1人当たり医療費(年齢調整後、令和4年度)
出典:医療費の地域差分析
また、都道府県ごとの地域差について診療種別の寄与度に分解したものが図4
であり、医療費の地域差については、入院医療費が大きく寄与していることが見
て取れる。
図4 地域差指数の診療種別寄与度(年齢調整後、令和4年度)
出典:医療費の地域差分析
5
三 生活習慣病の有病者及び予備群の状況
高齢化の急速な進展に伴い、疾病全体に占めるがん(悪性新生物)、心疾患、脳
血管疾患、糖尿病等の生活習慣病の割合が高い状況が続いている。
令和5年の死因別死亡割合のうち、「悪性新生物」24.3%、「心疾患」14.7%、
「脳血管疾患」6.6%、「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」1.1%、「糖尿病」1.0%、
「高血圧性疾患」0.7%となっており、生活習慣病が死因全体の約5割を占めてい
る。(図5)
図5 生活習慣病に係る死因別死亡割合(平成 30 年・令和5年)
出典:人口動態統計
生活習慣病発症のリスクが高くなるとされるメタボリックシンドロームについ
ては、令和4年度において、特定健康診査の受診者に占める該当者の割合は
16.7%、予備群の割合は 12.4%となっている。
これらの割合は男性の方が女性より多くなっており、男性では約5人に2人、
女性では約 10 人に1人の割合で、メタボリックシンドローム該当者又は予備群と
なっている。また、年齢が上昇するほど、割合が高くなる傾向にある。(図6)
都道府県別に見ても、沖縄県におけるメタボリックシンドローム該当者又は予
備群の割合が突出しているなど、地域差が見られる。(図7)
6
図6 メタボリックシンドローム該当者・予備群の割合(令和4年度)
出典:レセプト情報・特定健診等情報データ
図7 メタボリックシンドローム該当者・予備群の割合(都道府県別、令和4年度)
出典:レセプト情報・特定健診等情報データ
7
第三 目標・施策の達成状況等
一 国民の健康の保持の推進に関する目標の達成状況
1 特定健康診査、特定保健指導並びにメタボリックシンドローム該当者及び予
備群
(1)特定健康診査
第3期全国医療費適正化計画においては、特定健康診査について、令和5年
度までに、対象者である 40 歳から 74 歳までの 70%以上が特定健康診査を受診
することを目標として定めた。
特定健康診査の実施状況については、令和4年度実績で、対象者約 5,388 万
人に対し受診者は約 3,016 万人であり、実施率は 58.1%となっている。目標と
は依然開きがあり、目標は達成していないが、第3期計画期間において実施率
は 3.4 ポイント上昇している。(表3)
都道府県別に見ると、令和4年度実績で、東京都では実施率が 70%を超えてい
る一方、北海道・和歌山県・長崎県では 50%を下回っており、都道府県ごとに差
が見られる。また、平成 30 年度と令和4年度の実施率を比べると、都道府県ご
とに差が見られるものの、概ね全ての都道府県で実施率は上昇している。(図
8)
表3 特定健康診査の実施状況(平成 30 年度~令和4年度)
対象者数 受診者数 実施率
(人) (人) (%)
平成 30 年度 53,723,213 29,396,195 54.7
令和元年度 53,798,756 29,935,810 55.6
令和2年度 54,183,746 28,939,947 53.4
令和3年度 53,801,976 30,389,789 56.5
令和4年度 51,924,629 30,166,939 58.1
出典:レセプト情報・特定健診等情報データ
8
図8 特定健康診査の実施率(都道府県別、平成 30 年度~令和4年度)
出典:レセプト情報・特定健診等情報データ
保険者の種類別では、健保組合と共済組合が相対的に高くなっており、市町村
国保、国保組合、協会けんぽ及び船員保険が相対的に低いという二極構造となっ
ている。また、令和2年度は新型コロナウイルス感染症による受診控えなどの影
響により、全保険者において実施率が下がっている。(表4)
また、被用者保険の各保険者の実施率を被保険者・被扶養者別に見ると、いず
れの保険者においても、被扶養者に対する実施率が被保険者に対する実施率を下
回っており、両者には大きな開きが見られる。(表5)
表4 特定健康診査の実施状況(保険者の種類別、平成 30 年度~令和4年度)
(%) 市町村国保 国保組合 協会けんぽ 船員保険 健保組合 共済組合
平成 30 年度 37.9 49.4 52.2 49.9 78.2 79.2
令和元年度 38.0 49.8 53.7 52.9 79.0 79.5
令和2年度 33.7 45.7 52.3 51.3 77.9 79.2
令和3年度 36.4 49.0 55.9 52.0 80.5 80.8
令和4年度 37.5 51.0 57.1 52.2 82.0 81.4
出典:レセプト情報・特定健診等情報データ
9
表5 被用者保険の種別ごとの特定健康診査の実施率
(被保険者・被扶養者別、令和4年度、単位:%)
保険者の種類別 全体 被保険者 被扶養者
協会けんぽ 57.1 64.6 26.9
健保組合 82.0 93.4 49.5
共済組合 81.4 92.5 43.9
出典:レセプト情報・特定健診等情報データ
年齢階級別の実施率を見ると、40~59 歳で 60%台と相対的に高くなっており、
65~74 歳で 40%台と相対的に低くなっている。
また、性別ごとの実施率を見ると、70~74 歳以外の年代では男性の方が女性
よりも実施率が高くなっている。(表6)
表6 特定健康診査の実施状況(性・年齢階級別、令和 4 年度)
5歳階級別
年齢(歳) 40~74
40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65~69 70~74
全体(%) 58.1 63.3 64.1 63.8 63.0 57.7 48.4 44.8
男性(%) 63.1 69.6 70.0 69.5 69.1 63.6 50.9 44.8
女性(%) 53.0 56.4 57.6 57.6 56.7 51.8 46.2 44.9
出典:レセプト情報・特定健診等情報データ
第4期全国医療費適正化計画においては、特定健康診査の実施率について、
令和 11 年度までに 70%以上とすることを目標として定めた。
(2) 特定保健指導
第3期全国医療費適正化計画においては、特定保健指導について、令和5年
度までに、特定保健指導が必要と判定された対象者の 45%以上が特定保健指導
を終了することを目標として定めた。
特定保健指導の実施状況については、令和4年度実績で、対象者約 511 万人
に対し終了者は約 135 万人であり、実施率は 26.5%となっている。目標とは依
然開きがあり、目標は達成していないが、第3期計画期間において実施率は、
令和2年度は新型コロナウイルス感染症による受診控えなどの影響が考えられ
るものの、3.3 ポイント上昇している。(表7)
都道府県別に見ると、令和4年度実績で、長野県・徳島県・香川県・熊本
県・沖縄県では実施率が 35%を超えている一方、北海道・群馬県・埼玉県では
実施率が 20%前後であり、都道府県ごとに差が見られる。また、平成 30 年度と
令和4年度の実施率を比べると、都道府県ごとに差が見られるものの、ほぼ全
ての都道府県で実施率は上昇している。(図9)
10
表7 特定保健指導の実施状況(平成 30 年度~令和4年度)
対象者数 終了者数 実施率
(人) (人) (%)
平成 30 年度 5,094,255 1,183,786 23.2
令和元年度 5,200,519 1,205,961 23.2
令和2年度 5,225,668 1,200,740 23.0
令和3年度 5,262,265 1,294,289 24.6
令和4年度 5,118,152 1,353,893 26.5
出典:レセプト情報・特定健診等情報データ
図9 特定保健指導の実施率(都道府県別、平成 30 年度・令和4年度)
出典:レセプト情報・特定健診等情報データ
保険者の種類別では、市町村国保、健保組合及び共済組合が相対的に高くなっ
ている。(表8)また、被用者保険の各保険者の実施率を被保険者・被扶養者別に
見ると、いずれの保険者においても、被保険者に対する実施率が被扶養者に対す
る実施率を上回っており、両者には大きな開きが見られる。(表9)
11
表8 特定保健指導の実施状況(保険者の種類別、平成 30 年度~令和4年度)
(%) 市町村国保 国保組合 協会けんぽ 船員保険 健保組合 共済組合
平成 30 年度 28.8 10.1 16.8 8.4 25.9 30.8
令和元年度 29.3 10.1 15.6 10.3 27.4 30.7
令和2年度 27.9 11.6 16.0 11.7 27.0 30.8
令和3年度 27.9 13.2 16.5 13.4 31.1 31.4
令和4年度 28.8 13.5 17.5 14.3 34.0 34.5
出典:レセプト情報・特定健診等情報データ
表9 被用者保険の種別ごとの特定保健指導の実施率
(被保険者・被扶養者別、令和4年度、単位:%)
保険者の種類別 全体 被保険者 被扶養者
協会けんぽ 17.5 17.8 11.4
健保組合 34.0 35.3 17.4
共済組合 34.5 35.9 13.2
出典:レセプト情報・特定健診等情報データ
年齢階級別の実施率を見ると、男女いずれも 45 歳以上で 25%を超えている。
また、性別ごとの実施率を見ると、40~64 歳では男性の方が女性よりも、65
~74 歳では女性の方が男性よりも実施率が高くなっている。(表 10)
表 10 特定保健指導の実施状況(性・年齢階級別、令和4年度)
年齢 5歳階級別
40~74
(歳) 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65~69 70~74
全体
26.5 23.7 25.9 27.0 28.1 25.8 27.1 30.3
(%)
男性
26.8 24.3 26.5 27.5 28.9 26.3 26.4 29.4
(%)
女性
25.3 21.3 23.7 25.3 25.7 24.6 28.9 32.1
(%)
出典:レセプト情報・特定健診等情報データ
第4期全国医療費適正化計画においては、特定保健指導の実施率について、
令和 11 年度までに 45%以上とすることを目標として定めた。
12
(3) メタボリックシンドローム該当者及び予備群
第3期全国医療費適正化計画においては、メタボリックシンドローム該当者
及び予備群の減少率について、令和5年度までに、平成 20 年度と比べて 25%以
上減少することを目標として定めた。
メタボリックシンドローム該当者及び予備群については、令和4年度実績で、
平成 20 年度と比べて 16.1%減少となっている。目標とは依然開きがあり、達成
できていない。(表 11)
都道府県別に見ると、令和4年度実績で、岩手県・長野県・沖縄県では減少
率が 25%を超えている一方、大阪府・鳥取県では減少率が▲5%を下回ってお
り、都道府県ごとに差が見られる。(図 10)
表 11 メタボリックシンドローム該当者及び予備群の減少率
(平成 20 年度比、平成 30 年度~令和4年度)
メタボリックシンドローム該当者
及び予備群の減少率(%)
平成 30 年度 ▲13.7
令和元年度 ▲13.5
令和2年度 ▲10.9
令和3年度 ▲13.8
令和4年度 ▲16.1
出典:レセプト情報・特定健診等情報データ
図 10 メタボリックシンドローム該当者及び予備群の減少率
(平成 20 年度比、都道府県別、令和4年度)
出典:レセプト情報・特定健診等情報データ
13
第4期全国医療費適正化計画においては、メタボリックシンドローム該当者
及び予備群の減少率について、令和 11 年度までに、平成 20 年度と比べて 25%
以上減少することを目標として定めた。
なお、特定保健指導の対象者に絞る観点から、メタボリックシンドローム該
当者及び予備群のうち生活習慣病に係る服薬治療者を除外するため、薬剤服用
者の増減にも留意する必要がある。
薬剤を服用している者の割合を保険者の種類別にみると、市町村国保の薬剤
服用者の割合が高く、特定保健指導の対象から除外される者が比較的多いとい
える。(表 12)
表 12 薬剤を服用している者の割合(保険者種別、令和4年度、単位:%)
市町村国保 国保組合 協会けんぽ 船員保険 健保組合 共済組合
薬剤服用者 71.4 50.9 48.6 40.7 48.4 48.8
出典:レセプト情報・特定健診等情報データ
(※)メタボリックシンドローム該当者及び予備群のうち、高血圧症・糖尿病・脂質異常症の治療に係
る薬剤を、1種類以上服薬している者の割合
【参考】
○メタボリックシンドローム該当者と特定保健指導対象者の関係(イメージ図)
特定健康診査受診者
薬剤服用者
特定保健指導対象者
メタボリックシンドローム該当者及び予備群者
(26.4%)
○メタボリックシンドローム該当者及び予備群者数の減少率の推計方法
平成 20 年度メタボリックシンドローム該当者及び予備群推定数※-令和4年度メタボリックシンドローム該当者及び予備群推
計算式=
定数※ 平成20年度メタボリックシンドローム該当者及び予備群推定数
(※)特定健康診査の実施率の変化による影響及び年齢構成の変化による影響を排除するため、性別・年齢階層
別(5歳階級)に各年度のメタボリックシンドローム該当者及び予備群者の出現割合を算出し、令和5年住
民基本台帳人口に乗じて算出した推定数。
14
2 たばこ対策
第3期全国医療費適正化計画においては、がん、循環器疾患等の生活習慣病
の発症予防のためには、予防可能な最大の危険因子の一つである喫煙及び受動
喫煙による健康被害を回避することが重要であるとし、こうした喫煙による健
康被害を予防するため、たばこの健康影響や禁煙についての普及啓発に取り組
むことを目標として定め、定量的な数値目標は設定しなかった。
その上で、たばこに関する定量的な数値について見ると、国民健康・栄養調
査の結果における「現在習慣的に喫煙している者の割合」の推移は以下に示す
とおりである(表 13)。令和5年の調査によれば、年齢階級別にみて、40~50
歳代男性でその割合が高く、3割を超えている。(表 14)
第4期全国医療費適正化計画においても、引き続き、たばこの健康影響や禁
煙についての普及啓発に取り組むことを目標として定めた。
表 13 現在習慣的に喫煙している者の割合(20 歳以上、平成 30 年~令和5年、単位:%)
平成 30 年 令和元年 令和2年 令和3年 令和4年 令和5年
総数 17.8 16.7 - - 14.8 15.7
現在習慣的に
喫煙している 男性 29.0 27.1 - - 24.8 25.6
者の割合
女性 8.1 7.6 - - 6.2 6.9
出典:令和5年「国民健康・栄養調査」の概要
(※)「現在習慣的に喫煙している者」とは、たばこを「毎日吸っている」又は「時々吸う日がある」
と回答した者。なお、平成 24 年は、これまでたばこを習慣的に吸っていたことがある者のうち、
「この1ヶ月間に毎日又はときどきたばこを吸っている」と回答した者。
(※)令和 2 年及び 3 年は調査中止
表 14 現在習慣的に喫煙している者の割合(20 歳以上、性・年齢階級別、令和5年)
年齢階級別
年齢(歳) 総数
20~29 30~39 40~49 50~59 60~69 70~
男性(%) 25.6 20.6 29.9 33.4 31.5 28.5 16.2
女性(%) 6.9 5.2 8.7 10.1 11.7 7.1 2.3
出典:令和5年「国民健康・栄養調査」の概要
3 予防接種
第3期全国医療費適正化計画においては、疾病予防という公衆衛生の観点及
び国民の健康の保持の観点から、予防接種の適正な実施が重要であることから、
予防接種の対象者が適切に接種を受けられるようにするために、関係団体との
連携や普及啓発等の取組を行うことを目標として定め、定量的な数値目標は設
定しなかった。
第4期全国医療費適正化計画においても、関係団体との連携や普及啓発等の
取組を行うことを目標として定めた。
15
4 生活習慣病等の重症化予防の推進
第3期全国医療費適正化計画においては、生活習慣病等の症状の進展及び合
併症の発症等の重症化予防のために、日本健康会議の動きとも連動して、都道
府県や保険者等の取組を推進し、先進的な取組を横展開することを目標設定と
して定め、定量的な数値目標は設定しなかった。
その上で、平成 30 年度から令和4年度にかけては、日本健康会議を計5回、
地方版日本健康会議を計 10 回実施し、都道府県や保険者等の取り組みを推進し、
先進的な取組の横展開を行った。
第4期全国医療費適正化計画においても、引き続き、日本健康会議の動きと
も連動して、都道府県や保険者等の取組を推進し、先進的な取組を横展開する
ことを目標として定めた。
5 その他予防・健康づくりの取組
第3期全国医療費適正化計画においては、健康寿命の延伸の観点から、保険
者等に対してインセンティブを付与すること等により、保険者等の予防・健康
づくりの取組を推進することを目標設定として定め、定量的な数値目標は設定
しなかった。
その上で、平成 30 年度から令和4年度にかけては、保険者等の共通指標とし
て、特定健康診査・特定保健指導の実施、糖尿病等の重症化予防、ヘルスケア
ポイントなどによる個人へのインセンティブの付与等といった指標を設定し、
保険者等の予防・健康づくりの取組を推進した。
第4期全国医療費適正化計画においても、引き続き、同計画に掲げた取組以
外の取組についても、健康寿命の延伸の観点から、保険者等に対してインセン
ティブを付与すること等により、保険者等の予防・健康づくりの取組を推進す
ることを目標として定めた。
16
二 国民の健康の保持の推進に関する施策の取組状況
1 特定健康診査等の実施率向上等に向けた取組
(1)特定健康診査等の実施率向上等に向けた取組
第3期全国医療費適正化計画においては、特定健康診査等の実施率向上等
に向けた国の取組として、以下のような取組を記載した。
①保健事業の人材養成
②特定健康診査等の内容の見直し
③集合的な契約の活用の支援
④好事例の収集及び公表
⑤被用者保険の被扶養者の特定健康診査の実施率向上に向けた対策
⑥特定健康診査等の効果の検証及び医療費適正化効果の検証
⑦特定健康診査の情報等に係る保険者と関係者の連携の推進
⑧国庫補助
⑨保険者に対するインセンティブの付与
⑩保険者別の特定健康診査等の実施率の公表
(2)特定健康診査等の実施率向上等に向けた取組に対する評価・分析
(1)で列挙した国の取組の実施状況については、表 15 のとおり。
表 15 第3期全国医療費適正化計画における記載及び対応する取組(特定健康診査等)
第3期全国医療費適正化計画におけ
項目 国が行った取組
る記載
①保健事業 保険者による特定健康診査等実施 「標準的な健診・保健指導プログ
の人材養 計画(法第 19 条第1項に規定する ラム(平成 30 年度版)」(平成 30 年
成 特定健康診査等実施計画をいう。) 2月 健康・生活衛生局)におい
の策定及び同計画に基づく着実な保 て、 「健診・保健指導の研修ガイ
健事業の展開を支援するため、各保 ドライン」を提示した。
険者における保健事業の企画立案、 また、国立保健医療科学院におい
実施及び実施後評価を行うことがで て、本ガイドラインに基づく研修を
きる人材の養成を支援する。 実施し、保健事業の企画立案等を担
特に、保健指導の実施者の質及び う人材の養成を行った。
量的な確保が重要であり、保健指導
の実施に携わる医師、保健師及び管
理栄養士等に対する実践的な特定保
健指導のプログラムの習得のための
研修の実施を支援する。
②特定健康 平成 30 年度より、特定保健指導 「第4期特定健診・特定保健指導
診査等の における積極的支援(特定健康診査 の見直しに関する検討会」等での議
内容の見 及び特定保健指導の実施に関する基 論を踏まえ、第4期特定健康診査等
直し 準(平成 19 年厚生労働省令第 157 実施計画期間(令和6年度~令和 11
号)第8条第1項に規定する積極的 年度)より、特定保健指導につい
支援をいう。)対象者について、保 て、
健指導の実施量による評価に代え、 ・保健指導の介入に加えて、腹囲・
保健指導による腹囲・体重の改善状 体重の減少、行動変容を達成した
況による評価を可能とするなど、特 場合のアウトカム評価を導入
17
定保健指導の運用を柔軟にしてお ・保健指導の介入は、介入時間から
り、今後、当該運用の実践例の分析 介入回数の評価に
等を行う。 ・ICT を活用した遠隔で行う保健指
さらに、特定健康診査等に関する 導の評価水準や時間設定等は対面
データや現場での優れた実践例の分 と同等
析等を踏まえ、より効果的かつ効率 とする見直しを行った。
的な特定健康診査等が実施できるよ
う、特定健康診査の項目、特定保健
指導の基準等を必要に応じて見直
す。
③集合的な 生活習慣病対策の実効性を高める 複数の保険者による複数の健診・
契約の活 ためには、多くの被保険者及び被扶 保健指導機関との集合的な契約の標
用の支援 養者が特定健康診査等を受けられる 準的な枠組みを国で提示し、必要に
ようにすることが必要である。 応じてQ&A等を発出した。
そのためには、自宅や職場に近い
場所で受診でき、被保険者及び被扶
養者の立替払い等の負担を避けられ
る体制づくりが必要となるが、この
ような体制を全国の保険者が効率的
に実現できるよう、複数の保険者に
よる複数の健診・保健指導機関との
集合的な契約の枠組みの活用を支援
する。
④好事例の 日本健康会議の動きとも連動して 日本健康会議において、当会議の
収集及び 保険者又はその委託を受けた健診・ 「健康づくりに取り組む5つの実行
公表 保健指導機関における好事例(特定 宣言 2025」に掲げられた事項の達成
健康診査等の実施率を高めるための 状況の把握のために行っている保険
受診勧奨や結果通知等の取組例、生 者データヘルス全数調査において、
活習慣の改善率の高い特定保健指導 好事例の収集・公表を行った。ま
の提供例等)を収集し、公表する。 た、「健康寿命をのばそう!アワー
また、特に優れた取組を行ってい ド」においても、好事例に対する表
る保険者に対しては、表彰等を行う 彰等を行った。
。
⑤被用者保 被用者保険の被扶養者の特定健康 「特定健康診査・特定保健指導の
険の被扶 診査の実施率向上には、被扶養者が 円滑な実施に向けた手引き」におい
養者の特 特定健康診査を受診しやすい環境の て、がん検診等との同時実施につい
定健康診 整備等が必要であり、市町村(特別 て方法等を記載した。
査の実施 区を含む。以下同じ。)が実施する また、被用者保険の保険者におけ
率向上に がん検診と特定健康診査を同時に実 る、被扶養者への受診意欲向上の取
向けた対 施する取組や、市町村への特定健康 組については、「健康寿命をのばそ
策 診査の実施の委託を推進する。また う!アワード」で好事例に対する表
、被扶養者の特定健康診査の受診意 彰等を行った。
欲を高めるための保険者による取組
を推進する。
18
⑥特定健康 診療報酬明細書及び特定健康診査 大規模実証事業(特定健診・保健
診査等の 等の実施状況に関する結果(以下「 指導)において、NDB データを用い
効果の検 レセプト等」という。)の分析を行 て特定保健指導が健診結果に与える
証及び医 い、特定保健指導を実施することに 影響を検証し、体重・HbA1c につい
療費適正 よる特定健康診査における検査値の て有意な減少が認められた。
化効果の 改善効果及び医療費適正化の効果の
検証 検証を進める。
⑦特定健康 労働安全衛生法(昭和 47 年法律 高確法では、労働者が労働安全衛
診査の情 第 57 号)に基づき事業者が実施す 生法その他の法令に基づき行われる
報等に係 る健康診断の結果の保険者への提供 特定健康診査に相当する健康診断を
る保険者 の促進を図る等、特定健康診査の情 受診した場合は、特定健康診査の全
と関係者 報等について、保険者と関係者の間 部又は一部を行ったものとし、保険
の連携の の連携を推進する。 者から健康診断に関する記録の写し
推進 の提供を求められた事業者は、その
記録の写しを提供しなければならな
いこととされている。そのため、
「定期健康診断等及び特定健康診査
等の実施に係る事業者と保険者の連
携・協力事項 について」の一部改
正について 」(令和5年7月 31 日
付け厚生労働省労働基準局長・保険
局長連名通知)では、事業者から保
険者に健康診断等の結果を提供する
ことで、事業者と保険者とが連携し
て労働者の健康管理等に取り組むよ
う依頼した。
⑧国庫補助 保険者に対し、特定健康診査等の 特定健康診査等の実施に要する費
実施に要する費用の一部を助成する 用の一部について、国庫で補助する
。 ため、毎年度予算を確保した。
⑨保険者に 保険者の特定健康診査等の実施率 平成 30 年度以降、保険者等の共
対するイ 等に応じて、インセンティブを付与 通指標として、特定健康診査・特定
ンセンテ することにより、保険者による特定 保健指導の実施、糖尿病等の重症化
ィブの付 健康診査等の取組を推進する。 予防、ヘルスケアポイントなどによ
与 る個人へのインセンティブの付与等
といった指標を設定し、保険者等の
予防・健康づくりの取組を推進し
た。
⑩保険者別 保険者機能の責任を明確にする観 平成 29 年度から毎年度、全保険
の特定健 点から、平成 29 年度実績より、全 者の特定健康診査の実施率を公表し
康診査等 保険者の特定健康診査等の実施率を た。
の実施率 公表する。
の公表
19
⑪広報活動 国は、特定健康診査等をはじめと 特定保健指導の質向上に向けた取
の強化と する健康診査及び保健指導等の実施 組に関する好事例集をとりまとめ、
先進的な 率向上等のため、国民一人一人の健 周知した。
事例の横 康への意識付けに向けた広報活動を
展開 強化するとともに、都道府県や市町
村における取組に対して適宜助言そ
の他の支援を行うほか、先進的な事
例等については広く他の地方自治体
に横展開する等の取組を行う。
⑫スマー また、国としても、国民の健康寿 健康増進・生活習慣病予防等に資
ト・ライ 命の延伸と健康格差の縮小を図り、 する優れた取組を行っている企業・
フ・プロ 健やかで心豊かに生活できる活力あ 団体・自治体を表彰する「健康寿命
ジェクト る社会を実現するため、運動、食生 をのばそう!アワード」を通じ、他
の推進 活、禁煙及び健診・検診の受診をテ の模範となる取組を奨励・普及する
ーマにスマート・ライフ・プロジェ 等、スマート・ライフ・プロジェク
クトを推進し、地方自治体や企業等 トを推進した。
と協力・連携しながら国民運動を進
める。
⑬保険者等 健康・医療情報を活用することに 「データヘルス計画作成の手引
によるレ より、PDCAサイクルに沿った効 き」により、保険者によるデータヘ
セプト等 果的かつ効率的な保健事業の実施を ルス計画の策定等の支援を行った。
の利活用 推進するため、データヘルス計画の
の促進 策定等、保険者がレセプト等に基づ
き分析を行い、当該結果に基づき実
施する保健指導を推進する。
⑭糖尿病性 レセプト等により抽出した糖尿病 「糖尿病性腎症重症化予防プログ
腎症患者 性腎症患者であって、生活習慣を改 ラム」の策定・改定を実施し、保険
の重症化 善することにより重症化を予防する 者における糖尿病性腎症重症化予防
予防の取 ことが期待される者に対し、保険者 の取組を推進した。
組の展開 等が医療機関及び薬局や地域の医療
関係者と連携して保健指導を実施す
ることを推進する。
⑮重複受診 レセプト等により抽出した重複受 保険者努力支援制度など保険者イ
者及び頻 診者及び頻回受診者等に対して訪問 ンセンティブにおいて、レセプト等
回受診者 指導等を実施することにより、適正 により抽出した重複受診者及び頻回
等に対す 受診の促進を図る取組を推進する。 受診者等に対する訪問指導等の実施
る訪問指 を評価した。
導等
⑮特定保健 特定健康診査を受診した者のうち 「標準的な健診・保健指導プログ
指導の対 、服薬者であるため特定保健指導の ラム」において、特定健康診査を受
象になら 対象とならないが高血圧である者等 診した者のうち、服薬者であるため
ない者へ について、特定健康診査の結果に基 特定保健指導の対象とならないが高
の対応 づき健康の保持増進のために保健指 血圧である者等について、特定健康
導が必要と認められる者に対する保 診査の結果に基づき健康の保持増進
健指導を推進する。 のために保健指導が必要と認められ
20
る者に対する保健指導を推進した。
⑯保険者等 各都道府県の保険者協議会(法第 保険者協議会における保健事業の
の連携の 157 条の2第1項に規定する保険者 効果的な実施支援事業により、都道
促進 協議会をいう。以下同じ。)におけ 府県内の医療費の調査分析など、保
る特定健康診査の実施等に関する保 険者が行う加入者の健康の保持増進
険者と関係者間の連絡調整及び医療 や医療費適正化の効果的な取組を推
に要する費用に関する情報について 進するために必要な体制を確保でき
の調査・分析等に関する業務の実施 るよう支援した。
の徹底を図るとともに、都道府県が
医療費適正化計画又は医療計画(医
療法(昭和 23 年法律第 205 号)第
30 条の4第1項の規定に基づく医療
計画をいう。以下同じ。)を策定す
る際には保険者協議会の意見を聴く
こととされていることも踏まえ、保
険者協議会が十分に機能を発揮でき
るよう取組を行う。
また、一部の都道府県や保険者においては、新聞・ラジオ等の情報媒体や
ポスター・リーフレット等を活用した普及啓発、ハガキ・電話・個別訪問に
よる受診勧奨、土日・祝日や夜間帯における健診実施等の取組を行った。
加えて、一部の都道府県においては、栄養・食生活に関する普及啓発・食
育活動、各都道府県内の企業等とも連携した減塩や野菜摂取量の増加を目的
としたキャンペーン、アプリ等を活用したウォーキングイベントの開催等の
取組を行った。
(3)特定健康診査等の実施率向上等に向けた課題と今後の施策について
第3期全国医療費適正化計画においては、令和5年度までに、特定健康診
査の実施率を 70%以上、特定保健指導の実施率を 45%以上とすることを目標
として定めたが、令和4年度実績はそれぞれ 58.1%、26.5%であり、着実に
実施率は上昇しているものの、目標は達成できなかった。
また、メタボリックシンドローム該当者及び予備群の減少率についても、
令和5年度までに、平成 20 年度と比べて 25%以上減少することを目標として
定めたが、令和4年度実績において、平成 20 年度と比べて 16.1%減少してい
る。
今後の実施率向上に向けた国の取組としては、保険者機能の責任を明確に
する観点から、引き続き保険者ごとの特定健康診査等の実施率を公表するこ
ととしているほか、保険者インセンティブ制度の活用等により特定健康診査
等の実施を推進していく。
特定健康診査については、特に市町村国保の被保険者や被用者保険の被扶
養者の実施率が低い傾向にあることから、これらの者に向けたアプローチが
必要となる。各保険者において、特定健康診査とがん検診の同時実施や、受
診環境の整備を行うことにより、実施を推進していくことが期待される。
また、特定保健指導については、令和6年度から始まった第4期の特定健
21
康診査等実施計画において、特定保健指導の成果を評価する評価体系(アウ
トカム評価)の導入やICTの活用を図ることとしており、各保険者におい
て、こうした取組により実施率の向上を図ることで、より効果的かつ効率的
な取り組みを進めていくことが期待される。
2 たばこ対策に関する取組
(1)たばこ対策に関する取組
第3期全国医療費適正化計画においては、たばこ対策に関する国の取組と
して、以下のような取組を記載した。
①禁煙希望者に対する禁煙支援
②未成年者の喫煙防止対策
③受動喫煙防止対策
④たばこによる健康への影響や禁煙についての教育、普及啓発等
(2)たばこ対策に関する取組に対する評価・分析
(1)で列挙した国の取組の実施状況については、表 16 のとおり。
表 16 第 3 期全国医療費適正化計画における記載及び対応する取組(たばこ対策)
項目 国が行った取組
①禁煙希望者に対する より効果的な禁煙支援が行えるよう、禁煙支援に携わる
禁煙支援 者の養成や活動支援等を行う自治体への補助を実施した。
また、保健医療従事者等が参照できる「禁煙支援マニュ
アル」を改定した。
②未成年者の喫煙防止 未成年者や子供への影響の大きい父母等の喫煙防止に資
対策 するよう、児童・生徒や父母等を対象としたたばこの健康
影響に関する知識についての講習会や、喫煙防止のための
好事例の紹介等普及啓発に関する事業を行う自治体への補
助を行った。
③受動喫煙防止対策 望まない受動喫煙が生じない社会環境の整備の推進を図
るため、受動喫煙対策の普及啓発事業を行う自治体への補
助を行った。
④たばこによる健康へ WHOが定めた5月 31 日の「世界禁煙デー」に始まる一
の影響や禁煙につい 週間を「禁煙週間」と定め、世界禁煙デー記念イベントの
ての教育、普及啓発 開催をはじめとした、たばこと健康に関する正しい知識の
等 普及に向けた取組等を実施したほか、受動喫煙による健康
影響等の普及啓発を行う自治体への補助を行った。
また、一部の都道府県においては、関係団体と連携したキャンペーンの実
施による受動喫煙防止に向けた機運醸成、喫煙施設設置等の標識ステッカー
や施設管理者向けハンドブックの作成・配布による制度周知と施設管理者等
の取組の後押し、受動喫煙・禁煙防止をテーマとしたポスターコンクールの
実施等を行った。
(3)たばこ対策に向けた課題と今後の施策について
22
がん、循環器疾患等の生活習慣病の発症予防のために、予防可能な最大の
危険因子の一つである喫煙及び受動喫煙による健康被害を回避することが重
要であることから、第4期全国医療費適正化計画においても引き続きたばこ
対策の取組を推進していくこととしている。
特に受動喫煙対策については、望まない受動喫煙の防止を図ることを目的
として、多数の者が利用する施設等の類型に応じ、その利用者に対して、一
定の場所以外の場所における喫煙を禁止する等を定めた健康増進法の一部を
改正する法律(平成 30 年法律第 78 号)が令和2年4月より全面施行された。
平成 29 年度からは「喫煙環境に関する実態調査」を実施し、令和4年度の調
査では、第一種施設における敷地内全面禁煙の割合が 86.3%、第二種施設に
おける屋内全面禁煙が 74.1%、喫煙専用室設置が 9.7%となっており、より
一層受動喫煙対策を徹底していく。
また、一部の都道府県においても、受動喫煙対策を推進するため、条例の
制定・改正を行っており、国としても、自治体と連携しながら、たばこ対策
を推進していく。
3 予防接種の推進に関する取組
(1)予防接種の推進に関する取組
第3期全国医療費適正化計画においては、予防接種の推進に関する国の取
組として、以下のような取り組みを記載した。
①予防接種に関する啓発及び知識の普及
②予防接種の研究開発の推進及びワクチンの供給の確保等の必要な措置
③予防接種事業に従事する者に対する研修の実施等必要な措置
④予防接種の有効性及び安全性の向上を図るために必要な調査及び研究
⑤副反応報告制度の運用及び健康被害の救済についても円滑な運用を行う。
(2)予防接種の推進に関する取組に対する評価・分析
(1)で列挙した国の取組の実施状況については、表 17 のとおり。
表 17 第 3 期全国医療費適正化計画における記載及び対応する取組(たばこ対策)
項目 国が行った取組
①予防接種に関する啓 令和2年にロタウイルスワクチンを新たに定期接種に追
発及び知識の普及 加し、自治体の予防接種担当者や医療従事者が被接種者等
に適切かつ丁寧な説明等ができるよう、研修や自治体向け
説明会を実施するとともに、普及啓発のための資材を作
成・公表し、周知を行った。
②予防接種の研究開発 国民の健康保持並びに感染症の発生及びまん延の予防の
の推進及びワクチン ため、医療ニーズ及び疾病負荷等を踏まえ、疫学情報を基
の供給の確保等の必 に公衆衛生上必要なワクチンの研究開発を推進し、ワクチ
要な措置 ンの生産体制を整備するとともに、卸売業者・ワクチン製
造販売業者等との連携等を通じてワクチンの安定供給に努
めた。
令和3年2月から令和5年度までの間には、計約9億回
分のワクチンを契約し、国民の新型コロナワクチンの接種
機会を確保した。
23
③予防接種事業に従事 医療従事者等の予防接種従事者を対象として、予防接種
する者に対する研修 に関する医学的・制度的な基礎知識及び最新知識の修得に
の実施等必要な措置 関する研修を予防接種リサーチセンターにおいて毎年全国
7ブロック計8回行い、予防接種にかかる事故等の未然防
止、安全かつ有効な予防接種の実施を図るための人材育成
を行った。
なお、平成 30 年度から令和5年度までで延べ約 15,000
人が研修に参加した(オンライン配信の受講者を含む)
④予防接種の有効性及 ワクチンの有効性及び安全性に関する調査・研究を実施
び安全性の向上を図 している。また、接種記録や副反応疑い報告等の利活用を
るために必要な調査 進めるため、令和4年に予防接種法を改正し、予防接種デ
及び研究 ータベースの構築に必要な法的措置を行った。現在、デー
タベースの構築に向けて具体的な検討を進めている。
⑤副反応報告制度の運 副反応疑い報告については、審議会に報告の上評価いた
用及び健康被害の救 だき、適正な接種の実施に必要な対応を行った。
済についても円滑な 健康被害救済制度については、審査の迅速化のため、審
運用を行う。 査会の開催頻度の増加や審査会の増設、事務局機能の増強
等を行った。
また、一部の都道府県においては、ホームページやSNSを活用した情報
発信等を行った。
(3)予防接種の推進に向けた課題と今後の施策について
疾病予防という公衆衛生の観点及び国民の健康の保持の観点から、予防接
種の適正な実施は重要であり、第4期全国医療費適正化計画においても、引
き続き予防接種の推進に向けた必要な取り組みを進める。
予防接種の対象者が適切に接種を受けられるようにするため、関係団体と
の連携や予防接種の普及啓発等に取組を引き続き実施する。
4 生活習慣病等の重症化予防の推進に関する取組
(1)生活習慣病等の重症化予防の推進に関する取組
第3期全国医療費適正化計画においては、生活習慣病等の重症化予防の推
進に関する国の取組として、以下のような取り組みを記載した。
①多くの保険者等で取組が推進されるよう、日本健康会議とも連携しつつ、
実施に当たっての民間事業者の育成や普及に加え、効果的な事例の収集、
取組を広げるための課題の検証や推進方策の検討を行い、保険者等に提供
する等の必要な支援を行う。
②高齢者の特性に応じた保健事業を推進する観点から、効果的な事例の周知
を行う。
(2)生活習慣病等の重症化予防の推進に関する取組に対する評価・分析
(1)で列挙した国の取組の実施状況については、表 18 のとおり。
24
表 18 第 3 期全国医療費適正化計画における記載及び対応する取組(生活習慣等の重症化予防)
項目 国が行った取組
①多くの保険者等で取 日本健康会議で策定している「健康づくりに取り組む5
組が推進されるよ つの実行宣言」の宣言4において「加入者や企業への予
う、日本健康会議と 防・健康づくりや健康保険の大切さについて学ぶ場の提
も連携しつつ、実施 供、及び上手な医療のかかり方を広める活用に取り組む、
に当たっての民間事 保険者を 2000 保険者以上とする」としており、こうした取
業者の育成や普及に 組の好事例を横展開している。
加え、効果的な事例
の収集、取組を広げ
るための課題の検証
や推進方策の検討を
行い、保険者等に提
供する等の必要な支
援を行う。
②高齢者の特性に応じ 高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の取組を推進
た保健事業を推進す し、高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン等での
る観点から、効果的 事例の周知を行った。
な事例の周知を行
う。
また、一部の都道府県においては、関係団体と連携し、国民健康保険のデ
ータベース等を分析し、糖尿病が重症化するリスクの高い未受診者等に対す
る受診勧奨等を行った。
(3)生活習慣病等の重症化予防の推進に向けた課題と今後の施策について
生活習慣病等の症状の進展及び合併症の発症等の重症化予防のために、日
本健康会議の動きとも連動して、引き続き、都道府県や保険者等の取組を推
進し、先進的な取組を横展開することとする。
5 その他予防・健康づくりの推進に関する取組
(1)その他予防・健康づくりの推進に関する取組
第3期全国医療費適正化計画においては、1から4まで以外の予防・健康
づくりの推進に関する国の取組として、以下のような取り組みを記載した。
①加入者に健康情報を分かりやすく伝える取組
②加入者が自主的に健康づくりに取り組んだ場合等に還元可能なポイントを
提供する等の個人の健康づくりに向けた自助努力を喚起する取組
25
(2)その他予防・健康づくりの推進に関する取組に対する評価・分析
(1)で列挙した国の取組の実施状況については、表 19 のとおり。
表 19 第 3 期全国医療費適正化計画における記載及び対応する取組(その他予防・健康づくり)
項目 国が行った取組
①加入者に健康情報を 令和3年 10 月から、特定健康診査等の結果をマイナポー
分かりやすく伝える タルで閲覧可能とした。また、40 歳未満の事業主健診の結
取組 果についても、令和6年1月からマイナポータルで閲覧可
能とした。
②加入者が自主的に健 個人の予防・健康づくりに向けたインセンティブを提供
康づくりに取り組ん する取組について、平成 28 年にガイドラインを作成すると
だ場合等に還元可能 ともに、こうした取組を行う保険者等について、保険者イ
なポイントを提供す ンセンティブ制度により推進した。
る等の個人の健康づ
くりに向けた自助努
力を喚起する取組
(3)その他予防・健康づくりの推進に関する取組の推進に向けた課題と今後
の施策について
健康寿命の延伸の観点から、1から4まで以外の予防・健康づくりの推進
のために、引き続き、保険者等に対してインセンティブを付与すること等に
より、保険者等の予防・健康づくりの取組を推進することとする。
26
三 医療の効率的な提供の推進に関する目標の達成状況
1 後発医薬品の使用促進
第3期全国医療費適正化計画においては、後発医薬品の使用促進について、
平成 29 年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針 2017」に基づ
き、令和2年9月までに後発医薬品の使用割合を 80%以上とすることを前提に、
令和5年度までに 80%以上とする目標を定めた。
その上で、後発医薬品に関する定量的な数値について見ると、後発医薬品の
全国の使用割合は、令和4年度末の実績で 81.2%であり、全国平均で目標を達
成している。(表 18)
都道府県ごとに差が見られるものの 36 都道府県は 80%を上回っており、未達
の都道府県においても 70%以上を超えている。また、平成 30 年度末と令和4年
度末の後発医薬品の使用割合を比べると、都道府県ごとに差が見られるものの、
全ての都道府県で上昇している。(図 12)
表 20 後発医薬品の使用割合(平成 30 年度末~令和4年度末、単位:%)
後発医薬品の使用割合
平成 30 年度末 75.1
令和元年度末 77.9
令和2年度末 79.6
令和3年度末 79.6
令和4年度末 81.2
(※)いずれも各年度末における使用割合を記載
出典:NDB データ
27
図 12 後発医薬品使用割合(都道府県別、平成 30 年度末・令和4年度末)
出典:NDB データ
保険者の種類別では、国保組合が相対的に低くなっている。また、いずれの
保険者種別についても、平成 30 年度末よりも令和5年度末において、使用割合
が上昇している。(表 21)
表 21 後発医薬品の使用割合(保険者の種類別、平成 30 年度末~令和5年度末、単位:%)
市町村国保 国保組合 協会けんぽ 健保組合 共済組合 広域連合
平成 30
76.3 69.4 76.1 75.5 75.2 74.4
年度末
令和元
79.1 72.2 79.0 78.3 78.0 77.4
年度末
令和2
80.8 73.9 80.7 80.0 79.9 79.2
年度末
令和3
80.6 74.4 80,6 80.0 79.7 79.5
年度末
令和4
82.0 76.2 82.1 81.5 81.4 81.2
年度末
令和5
83.7 78.3 84.0 83.5 83.3 82.9
年度末
出典:NDB データ
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2 医薬品の適正な使用推進
第3期全国医療費適正化計画においては、重複投薬の是正等、医薬品の適正
使用を推進することが重要であることから、医薬品の適正使用に関する普及啓
発や保険者等による医療機関及び薬局と連携した訪問指導の取組の横展開等を
行うこととした。
また、複数疾患を有する患者は、複数種類の医薬品の投与を受けている可能
性が高いが、それが副作用の発生や医薬品の飲み残し等につながっているとの
指摘があることから、複数種類の医薬品の投与の適否については一概に判断で
きないことに留意しつつ、適切な投薬に関する普及啓発や保険者等による医療
機関及び薬局と連携した服薬状況の確認及び併用禁忌の防止の取組の実施等、
複数種類の医薬品の投与の適正化に関する取組の横展開等を行うこととした。
これらを目標設定として定め、定量的な数字目標は設定しなかった。
四 医療の効率的な提供の推進に関する施策の取組状況
1 後発医薬品の使用促進に向けた取組
(1)後発医薬品の使用促進に向けた取組
第3期全国医療費適正化計画においては、後発医薬品の使用促進に向けた
国の取組として、以下のような取組を記載した。
①後発医薬品と先発医薬品の自己負担の差額を加入者に対し通知する取組
②加入者が医療機関等に対し後発医薬品を希望することを示すカードを配布
する取組
③医療機関に対する啓発資料の送付や情報提供を進めるとともに、安定供給
体制の確保について医薬品製造販売業者への指導等を行う。
④保険者別の後発医薬品の使用割合を公表する。
(2)後発医薬品の使用促進の取組に対する評価・分析
(1)で列挙した国の取組の実施状況については、表 22 のとおり。
表 22 第 3 期全国医療費適正化計画における記載及び対応する取組(後発医薬品の使用促進)
項目 国が行った取組
①後発医薬品と先発医 各保険者における後発医薬品利用差額通知の作成を国と
薬品の自己負担の差 しても推進しており、市町村の取組については、国保の特
額を加入者に対し通 別調整交付金において支援している。
知する取組
②加入者が医療機関等 各保険者における後発医薬品希望カードの作成を国とし
に対し後発医薬品を ても推進しており、市町村の取組については、国保の特別
希望することを示す 調整交付金において支援している。
カードを配布する取
組
③医療機関に対する啓 厚生労働省が作成した「ジェネリック医薬品 Q&A」やリー
発資料の送付や情報 フレット等を厚生労働省ホームページに掲載し自由に利用
提供を進めるととも できるようにするなど情報提供を実施した。
に、安定供給体制の 供給不安等の問題がある医療用医薬品について厚生労働
確保について医薬品 省に報告を行った上で、原因究明、改善方策、再発防止策
製造販売業者への指 等を講ずるよう指導を実施した。
29
導等を行う。 その上、安定供給が確保できる企業を可視化し、当該企業の
品目を医療現場で選定しやすくするため、企業が公表すべき内
容やその方法等を定めたガイドラインを策定した。
④保険者別の後発医薬 平成 30 年度実績から、保険者別の後発医薬品の使用割合
品の使用割合を公表 を公表した。
する。
また、一部の都道府県において、後発医薬品への理解を促進するための出
前講座、ポスター・リーフレット等の作成・配布による普及啓発等の取組を
行った。
(3)後発医薬品の使用促進に向けた課題と今後の施策について
後発医薬品の使用割合については、令和 11 年度末までに医薬品の安定的な
供給を基本としつつ、後発医薬品の数量シェアを全ての都道府県で 80%以上
とすることを主目標とし、バイオ後続品に 80%以上置き換わった成分数を全
体の成分数の 60%以上とすること及び後発医薬品の金額シェアを 65%以上と
することを副次目標とすることとしており、第4期全国医療費適正化計画に
おいても引き続き後発医薬品の適切な使用の促進に向けた取組を推進する。
具体的には、①から④までの取組を引き続き実施するほか、後発医薬品の
ある先発医薬品の選定療養の取扱について周知等を行う。また、医薬品の適
正使用の効果も期待されるという指摘もあるフォーミュラリの運用について
周知を行うとともに、「安定供給の確保を基本として、後発医薬品を適切に
使用していくためのロードマップ」(令和6年9月策定)及び「バイオ後続
品の使用促進のための取組方針」(令和6年9月策定)に掲げられた取組を
推進する。
2 医薬品の適正使用の推進に向けた取組
(1)医薬品の適正使用の推進に向けた取組
第3期全国医療費適正化計画においては、医薬品の適正使用に向けた国の
取組として、以下のような取組を記載した。
①保険者協議会を活用した重複投薬の是正に向けた取組
②処方医と連携したかかりつけ薬剤師・薬局による取組
③複数種類の医薬品の投与を受けている患者に対して、その服薬状況の分析
も踏まえた、保険者協議会を通じた保険者等による医療機関及び薬局と連
携した服薬状況の確認及び併用禁忌の防止の取組
(2)医薬品の適正使用の推進に向けた取組に対する評価・分析
(1)で列挙した国の取組の実施状況については、表 23 のとおり。
表 23 第 3 期全国医療費適正化計画における記載及び対応する取組(医薬品の適正使用の推進)
項目 国が行った取組
①保険者協議会を活用 毎年度、国から都道府県に対し重複投薬に係るデータを
した重複投薬の是正 提供した。
に向けた取組
30
②処方医と連携したか 「薬と健康の週間」などの機会に国民、自治体や薬局関係
かりつけ薬剤師・薬 団体に向けて周知を実施した。
局による取組
③複数種類の医薬品の 毎年度、国から都道府県に対し多剤投与に係るデータを
投与を受けている患 提供した。
者に対して、その服
薬状況の分析も踏ま
えた、保険者協議会
を通じた保険者等に
よる医療機関及び薬
局と連携した服薬状
況の確認及び併用禁
忌の防止の取組
また、一部の都道府県においては、関係団体と連携したイベントの実施、
ラジオ及びSNSを通じた普及啓発、関係団体と連携した重複投薬を防止す
るためのポリファーマシー対策の実施等の取組を行った。
(3)医薬品の適正使用の推進に向けた課題と今後の施策について
今後、医療費の増大が見込まれる中では、重複投薬や多剤投与の是正等、
医薬品の適正使用を推進することが重要である。このため、第4期全国医療
費適正化計画においては、患者や医療機関及び薬局に対する医薬品の適正使
用に関する普及啓発や保険者等による医療機関及び薬局と連携した訪問指導
等の実施、医療機関及び薬局における重複投薬等の確認を可能とする電子処
方箋のメリットの周知等による普及促進等を行うこととする。
また、複数疾患を有する患者は、複数種類の医薬品の投与を受けている可
能性が高く、それが副作用の発生や医薬品の飲み残し等につながっていると
の指摘があることから、適切な投薬に関する普及啓発や保険者等による医療
機関及び薬局と連携した服薬状況の確認及び併用禁忌の防止の取組の実施等、
複数種類の医薬品の投与の適正化に関する取組の横展開等を行うこととする。
なお、施策の推進に当たっては、複数種類の医薬品の投与の適否は一概に判
断できないため、一律に一定種類以上の医薬品の投与を是正することを目的
とした取組は適当ではないことに留意する。
31
第四 第3期全国医療費適正化計画に掲げる施策による効果
32
第五 医療費推計と実績の比較・分析
一 第3期全国医療費適正化計画における医療費推計と実績の差異について
第3期全国医療費適正化計画においては、令和5年度の医療費の推計として、
医療費適正化に係る取組を行わない場合、令和5年度には約 50.3 兆円まで医療費
が増加すると推計されており、医療費適正化に係る取組を行うことで、令和5年
度の医療費は約 49.7 兆円となると推計されていた。
令和5年度の医療費(実績見込み)は約 48.0 兆円となっており、第3期全国医
療費適正化計画策定時に推計した適正化後の医療費との差異は約 1.7 兆円であっ
た。
なお、令和5年度の医療費について、計画策定時に想定されなかった新型コロ
ナウイルス感染症による受療動向の変化等の影響が考えられることから、令和5
年度推計と実績の差異については解釈に留意が必要である。
表 24 医療費推計と実績の差異
令和5年度の医療費(百億円)
推計:適正化前(第3期計画策定時の推計) 5,032
:適正化後( 〃 ) 4,973
実績:令和4実績等をもとに国で算出した見込み 4,800
令和5年度の推計と実績の差異(百億円)
推計と実績の差異 ▲173
二 医療費の伸びの要因分解
近年の医療費の伸びを要因分解すると、「人口」や「診療報酬改定」が医療費の
減少要因となっている一方、「高齢化」や「その他(※)」が減少要因を上回る医療
費の増加要因となっており、(令和2年度を除き)医療費全体は増加を続けている。
具体的に国民医療費の平成 29 年度から令和4年度(実績)及び令和5年度(実
績見込み)までの伸びを要因分解すると(表 25 のB)、人口で約▲1.9%の伸び率
となっている一方、「高齢化」は約 5.5%、「その他」は約 11.7%の伸び率となっ
ている。
また、第3期全国医療費適正化計画の計画期間中においては、平成 30 年度と令
和元、2、4年度に診療報酬改定が行われ、平成 30 年度は約▲1.19%、令和元年
度は約▲0.07%、令和2年度は約▲0.46%、令和4年度は約▲0.94%となってい
る。さらに、令和3年度に薬価改定が行われ、その影響は約▲0.90%となってい
る。
一方、第3期全国医療費適正化計画策定時に推計した国民医療費について、平
成 29 年度から令和5年度までの伸びを要因分解すると(表 25 のA)、「人口」「高
齢化」「その他」の医療費の伸びに対する影響はそれぞれ、約▲2.8%、5.6%、
16.3%としていた。なお、第3期全国医療費適正化計画策定時においては、診療
報酬改定の影響を加味していなかった。
そのため、計画策定時と実績を比較すると、人口の影響について約 5,000 億円、
高齢化の影響について約▲1,600 億円、診療報酬改定の影響について約▲16,300
億円、その他の影響について約▲21,100 億円の差異が生じている。(表 25)
33
(※)その他としては、医療の高度化や患者負担の見直し等、種々のものが考えられる。
表 25 医療費の伸びに係る推計と実績の差異状況
影響額
分解される要因 伸び率
(百億円)
計画策定 合計 19.4% 835
時に推計し 人口 ▲2.8% ▲136
た国民医療 高齢化 5.6% 258
A 費の平成 29 診療報酬改定・薬価改定 ― 0
年度から令 その他
和5年度ま 16.3% 713
での伸び
国民医療費 合計 11.5% 496
の平成 29 人口 ▲1.9% ▲85
年度から令 高齢化 5.5% 243
和4年度 診療報酬改定・薬価改定 ▲3.5% ▲163
B (実績)及 その他
び令和5年
度(実績見 11.7% 502
込み)まで
の伸び
合計 ▲7.9 ポイント ▲339
人口 1.0 ポイント 50
AとBの差異
高齢化 ▲0.2 ポイント ▲16
(B-A)
診療報酬改定・薬価改定 ▲3.5 ポイント ▲163
その他 ▲4.7 ポイント ▲211
34
図 13 医療費の伸び率の要因分解
35
第六 今後の課題及び展望
一 国民の健康の保持の推進
第3期全国医療費適正化計画における目標である特定健康診査の実施率 70%、
特定保健指導の実施率 45%、メタボリックシンドローム該当者及び予備群の減少
率 25%(いずれも令和5年度時点)については、それぞれ実績との差異が大きい
状況にある。第4期全国医療費適正化計画においても、引き続き実施率・減少率
の向上を目指すこととし、都道府県や保険者の取組がより一層進むよう、国とし
ても保険者インセンティブ等を活用しながら推進していく。
また、たばこ対策、予防接種及び生活習慣病等の重症化予防についても第4期
全国医療費適正化計画において引き続き推進していくとともに、第4期全国医療
費適正化計画において新たに取り組むこととした、高齢者の心身機能の低下等の
起因した疾病予防・介護予防を推進するため、医療と介護の連携の推進や法第
125 条第3項の規定に基づく高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施など、
医療と介護にまたがるアプローチの重要性を関係者が認識し、限られた医療・介
護資源を組み合わせて取り組むことができるよう、都道府県や市町村の取組を支
援していく。
二 医療の効率的な提供の推進
後発医薬品の使用割合については、令和 11 年度末までに医薬品の安定的な供給
を基本としつつ、後発医薬品の数量シェアを全ての都道府県で 80%以上とするこ
とを主目標とし、バイオ後続品に 80%以上置き換わった成分数を全体の成分数の
60%以上とすること及び後発医薬品の金額シェアを 65%以上とすることを副次目
標とすることとしており、第4期全国医療費適正化計画においても引き続き後発
医薬品の適切な使用の促進に向けた取組を推進していく。
また、医療費の増大が見込まれる中では、重複投薬や多剤投与の是正等、医薬
品の適正使用を推進することが重要であることから、第4期全国医療費適正化計
画においても引き続き医薬品の適正使用の取組を推進していく。
さらに、第4期全国医療費適正化計画においては、医療資源の効果的・効率的
な活用や、医療・介護の連携を通じた効果的・効率的なサービス提供を推進する。
三 今後の展望
高齢者人口がピークに達し、生産年齢人口が急速に減少する 2040 年を展望する
と、誰もがより長く元気に活躍できる社会を実現することが重要である。また、
医療保険制度の持続可能性を高める観点から、医療費適正化の取組の推進に当た
っては、国民一人一人が「自分の健康は自ら守る」と意識して行動することが重
要であり、自助と連帯の精神に基づき、自ら加齢に伴って生ずる心身の変化を自
覚して常に健康の保持増進に努める必要がある。こうした中で、国民一人一人が
生きがいを持ち、若年期からの健康に対する意識の向上や健康づくりに実効的に
取り組めるような環境づくりも重要である。
第4期全国医療費適正化計画においては、こうした視点を踏まえて、計画に記
36
載された取組を一層推進し、国民皆保険を堅持し、国民の生活の質の維持及び向
上を確保しつつ、今後、医療費が過度に増大しないようにしていくとともに、良
質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図る。
37
この資料について
出典:厚生労働省ホームページ (https://www.mhlw.go.jp/)
当サイトが保存しているのは、PDFから取り出した文字だけです。 これは言葉で探せるようにするためのもので、 厚生労働省が公表した資料そのものではありません。 図表・画像・レイアウトは失われています。
正確な内容は、必ず厚生労働省のPDFをご確認ください。