令和6年度 厚生労働科学特別研究事業 再生医療等安全性確保法におけるリスク分類の見直しに資する調査研究 総括研究報告書
再生医療等評価部会 第107回 / 2025-06-13 開催 / 19ページ
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厚生労働省科学特別研究事業
令和6年度 厚生労働行政推進調査事業費補助金
(厚生労働科学特別研究事業)
再生医療等安全性確保法における
リスク分類の見直しに資する調査研究
総括研究報告
2025年6月13日
研究代表者 岡田 潔 (日本再生医療学会 常務理事)
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厚生労働省科学特別研究事業
1. 調査の背景
本調査では、再生医療等製品の適応外使用の可能性、安全性、リスク分類の見直し
について議論を行った。
特に、同種死体膵島移植、間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cell: MSC)、細胞
外小胞(Extracellular vesicles:EVs)/ 培養上清に注目し、それぞれの技術に関する
課題を明確化した。
再生医療等製品の適応外使用
リスク分類の見直し(同種死体膵島移植、間葉系幹細胞治療、EVs/培養上清)
臨床研究の動向(文献調査内容)
細胞外小胞等による治療および臨床試験に関する調査報告
再生医療に関する諸外国の規制動向
再生医療等提供計画・定期報告書改定
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厚生労働省科学特別研究事業
2. 再生医療等製品の適応外使用
® ®
CAR-T療法、ウイルス療法(デリタクト 注)、テムセル HS注について、現時点
では適応外使用の実例がほとんど確認されていない。
一方で、各製品における適応拡大の動きが活発化しており、将来的に適応外使用
される可能性が十分に考えられる。
再生医療等製品の適応外使用は、投与部位や投与経路が一般的な医薬品と類似し
ていても、製品特有のリスクが存在するため、安確法の適用除外の範囲について
は慎重な対応が必要である。
現時点では、再生医療等製品の適応外使用について、安確法からの適用除外が妥
当とされる技術は存在しないが、今後の研究の進展に基づき議論が必要である。
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3. リスク分類の見直し
同種死体膵島移植
・第1種再生医療等として治療が実施され、安全性と有効性に関する知見が蓄積
されている。
・リスク分類に関しては、急ぎ分類の変更を求める意見は乏しい一方で、膵島移植
に係る投与プロトコールの規格化を行うことにより、当該規格化された計画に関
する審査手続きの簡略化等の安確法上の取り扱いについて引き続き議論が必要で
あることを確認した。
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3. リスク分類の見直し
間葉系幹細胞(MSC)
• 安全性に関する知見は蓄積されつつあり、現時点で自家・同種ともにMSC特有の大きな
安全性の懸念の指摘は少ない。ただし、全身投与時の血栓リスクには注意が必要である。
• 由来組織に応じたMSCの性質や、投与方法、生体内の環境等により有効性や安全性が異
なる可能性に留意が必要である。
• 今後の安全性確保には、MSCの製造方法や品質管理に対する基準を整備し、管理できる
体制を構築することが重要との意見が多く見受けられた。
• リスク分類の見直しについては慎重な対応が必要であり、現時点ではリスク分類の見直し
は行わず、引き続き症例を蓄積し、安確法の適用のあり方を見極めることが重要との意見
が認められた。
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3. リスク分類の見直し
細胞外小胞(EVs) /培養上清
• 世界中でEVsの研究開発が活発化し、EVsの定義も明確化されつつあり、製造法や品質管理手
法も着実に開発されている。
• 諸外国においては、現時点では、EVsを用いた臨床試験では、重篤な有害事象の報告は確認
されていないが、自由診療での敗血症事例等が報告されている。
• iPS細胞や不死化細胞等の遺伝子導入・改変を行なった細胞由来のEVsに特有の安全性に関す
る知見は乏しく引き続き評価が必要である。
• EVsや培養上清については、安全性の観点では製造に細胞培養を伴うこと、また微生物等の
混入リスクがあること等、現状の細胞加工物と同等程度のリスクを有していると考えられる。
• ヒトへの有効性や安全性に対するエビデンスはまだ乏しい中で、一部の自由診療において
「エクソソーム療法」と銘打った治療の実態を懸念する意見が多かった。
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3. リスク分類の見直し
EVs /培養上清
• EVsと培養上清の明確な定義については線引きが難しく、それらを明確に区別するよりも、その中に
どのような成分がどの程度入っているかという観点で両者を捉え、医療技術としての許容範囲を検討
するのが良いのではないかという意見も複数認められた。
• EVsの製造工程の違いが有効性や安全性に大きな影響を与えることが指摘されている一方で、現状製
造方法を管理する基準や体制が整っておらず、製造管理体制整備の重要性も複数指摘されていた。
• 以上よりEVsを用いる医療については、安確法の対象である細胞加工物と同等程度の品質・安全性の
管理等が求められることを確認した。
• EVsを医療技術として活用する世界市場の成長率が高く見込まれており、それに合わせたレギュレー
ションの議論も世界的に活発化し、アジア圏では日本の動向が注目されている。
• 安確法を含めた適切な方法による規制の対象と位置づけるかどうかについては、引き続き
議論が必要である。
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3. リスク分類の見直し
新規技術:オルガノイド
• 臨床応用として、臓器の代用として移植医療として活用する方法、診断ツールとして活用
する方法、薬剤の評価ツールとして活用する方法が開発されている。オルガノイドとオ
ミックス解析、ゲノム編集、AIなどの他分野技術との融合で加速度的な発展が期待される。
• 安全性リスクとして、嚢胞形成やオフターゲット組織形成が懸念されている。
• ヒトへ投与した事例は、ES細胞由来膵島オルガノイド(2021年)、生検由来消化管上皮オ
ルガノイド(2022年)、iPS細胞由来網膜オルガノイド(2023年)の3例が報告されてい
る。
• 臨床応用をする上で、製造上の課題(生物由来原料の選定、スケールアップ時の細胞極性
保持、機能活性を維持した保存法)と規格上の課題(規格基準、投与量を規定できる指標、
機能を担保する指標)が存在している。
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3. リスク分類の見直し
新規技術:オルガノイド(研究班内での議論)
• 安全性:対象疾患の重症度によってリスクの捉え方が変わる可能性がある。体外デバイ
スとして利用する場合は問題になりにくい。また、移植したオルガノイドが傷害を受け
た際に組織全体の機能の統制が乱れてしまう可能性の懸念もある。
• 製造法の違いで最終産物の性質が異なる可能性があり、製造方法を一定に管理すること
が重要。また規格を考える上で、細胞極性の品質を管理することが重要。
• 世界的にはオルガノイドの不純物とオルガノイドの定義が議論されている。
• リスク分類としては、自家組織由来のオルガノイドは第2種再生医療等の位置付けでヒ
トへの投与が実施されている。複雑な機能を有する組織として細胞とは異なるオルガノ
イド特有の性質を考慮しつつ安全性、製造、保存方法について引き続き検討してく必要
がある。
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3. リスク分類の見直し
新規技術:ゲノム編集
• CRISPR/Cas9を用いたβサラセミアや鎌状赤血球症に対してゲノム編集治療が2023年に
FDAに承認され、他疾患での研究開発が進行している。
• 安全性の懸念として、オフターゲット変異、異所性遺伝子発現、発癌リスクなどが注目
されている。CRISPR/Cas9によるゲノム編集では変異頻度が1%を超えることが知られ
ており慎重な対応が求められている。FDAにおいても、ヒトへの臨床研究において
20-25年の経過観察を求めている。
• 改変Cas9やCas3などを用いた新たなゲノム編集技術が登場し臨床応用を目指した研究開
発が進められている。Cas3は我が国独自の技術であり、ゲノム編集効率はCas9にやや劣
るものの遺伝子挿入も可能であり、大規模なゲノム欠失が可能な特徴もありオフター
ゲットの頻度も低い可能性があり臨床応用が期待される。
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3. リスク分類の見直し
新規技術:ゲノム編集
• プライム編集はDNA二本鎖切断なく特定の配列を挿入可能な画期的な技術であり、オフ
ターゲットの頻度も低い可能性があり、臨床試験も予定されている。
• ゲノム編集技術に対する懸念としては、生殖細胞への影響、受精胚に対する治療適応、
疾患の治療ではなく個体の機能強化や疾病予防のためのゲノム編集の可否などが議論さ
れている状況にある。
• ゲノム編集技術は誰もが扱うことができる技術となりつつありことから、技術を適切に
扱えその効果や安全性を担保できる施設で実施するような規制が必要。
• ゲノム編集技術はR6年度の安確法改正にて第1種再生医療等の位置付けとなっており、
個々の技術について安全性の評価と知見の集積が重要。一方で、希少疾患患者等へ遺伝
子治療が届けられるよう安確法の制度をうまく活用した研究開発が取り組まれていくこ
とが期待される。
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4. 臨床研究の動向(文献調査内容)
EVsの開発状況
• 2024年10月時点でClinicalTrials.govに登録された介入試験は128件。
・第Ⅰ相(41件):安全性の確認を目的とした早期段階の試験が多数を占める。
・第Ⅱ相(36件):有効性や用量設定を評価する段階のものが多い。
・第Ⅲ相(6件) :米国、トルコ、エジプト、インドネシアで実施中、対象疾患は多様。
・第Ⅳ相 :まだ行われておらず、上市後の評価段階には至っていない。
• 国内では、2024年10月時点で jRCTおよびUMIN-CTRにおいてEVsを用いた介入試験の登録
は確認されておらず、大半は、診断目的やバイオマーカー探索を目的とした観察研究であ
り、治療介入を伴う試験には至っていない。
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厚生労働省科学特別研究事業
4. 臨床研究の動向(文献調査内容)
培養上清を用いた治療
• 2024年10月時点でClinicalTrials.govに登録された臨床研究:2件
・血液疾患患者における皮膚・粘膜病変に対するMSC由来培養上清の効果を評価する研究
・胚培養上清を子宮腔へ注入し、着床率・妊娠率への影響を評価する研究
• UMIN-CTRに登録された臨床研究:13件
・幹細胞由来の培養上清を用いた研究:10件
・そのうち、由来組織が確認できたもの:3件(乳歯、歯髄、骨髄由来)
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5. 細胞外小胞等による治療および臨床試験に関する調査報告
EVs試験のモダリティと特徴
• EVs関連の臨床試験は計172件(2024年12月8日時点、CTI調査)で実施され、第I相試験が
最多(49件)、第II相(42件)、I/II相(28件)と続き、開発は初期段階が中心である。
• 適応疾患はCOVID-19が最多(24件)、呼吸器・神経・悪性腫瘍等、多岐にわたる。
• モダリティはEVs単独による試験が最多(67件)で、その他、低分子医薬(45件)、幹細
胞(31件)など。第I相試験(26件)、第II相(8件)、第III相(2件)となっている。
• 主な作用機序は抗炎症(97件)・抗ウイルス(96件)・抗腫瘍(67件)。標的分子が特定
されている試験は 35件で、PDE阻害やTLR4阻害等が挙げられる。一方、半数以上の試験に
おいては標的が未記載である。
• 試験実施国は米国が最多(75件)で、本邦での試験は1件のみ。企業主導の試験が多く、24
件実施した企業も存在する。
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5. 細胞外小胞等による治療および臨床試験に関する調査報告
安全性と国際ガイドライン
• EVsを用いた治療において、重篤な有害事象の報告はほとんど認められていない。
• 国際的には、CTTI(2021)、ISEV(2020)、FDA(2022)などの国際ガイドラインに準拠
した試験が推奨されている。
• EVs関連の特許は286件で、2023年以降急増しており(2022年 12報→2023年 123報)、特
許保有者としては、韓国の複数のアカデミアが上位に入っている。
• 特許の対象疾患は「がん」が最多(106報)、他に炎症性疾患、免疫疾患、神経変性疾患、
感染症、代謝疾患が含まれる。特許はEV組成、治療法、製造工程、診断技術など多岐にわた
り、特にCD81、CD63、CD9といったEVマーカーを用いた検査・診断に関する出願が多い。
• EV自体に関する技術だけでなく、EVを産生する細胞に関する技術も数多く出願されていた。
作用機序はmiRNA、幹細胞刺激・修飾などが多くみられた。
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6. 再生医療に関する諸外国の規制動向
韓国
• 2024年2月20日に「先端再生バイオ法」が改正。臨床研究に限定されていた治療が自由
診療まで範囲が拡大された。さらに、製品の品質と安全性だけではなく、有効性も確保
することが総則に明示された。
• 臨床研究や治療は、本邦の安確法と同様に3つに区分され、遺伝子治療も対象範囲と
なった。
• 再生医療を実施するには、臨床研究を完了している上で、保健福祉部(MOHW)の指定
を受けるとともに、食品医薬品安全処(MDFS)での審査が必要。
• 保健福祉部(MOHW)が先端再生医療安全管理機関を設置し、合併症・副作用の原因究
明のための追跡調査の実施、先端再生医療実施に関する情報集及び管理、長期追跡調査
の実施などの業務を担い、安全性情報を中央管理する体制を構築。
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6. 再生医療に関する諸外国の規制動向
台湾
• 「再生医療製剤条例」と「再生医療法」が2024年6月4日に成立。本邦の薬機法における
条件・期限付き早期承認と同様の方針に基づいた制度が導入。
• 再生医療法では、安全性と品質だけではなく、有効性も確保し、患者の権利と医の倫理
を守ることが総則に明示。遺伝子治療も法の対象範囲に定められている。
• 再生医療実施に際しては、臨床試験の実施・終了が義務付けられ、その上で中央主管庁
へ申請し、認可・登録の必要がある。
• 細胞操作は医療機関以外の外部企業へ委託可能であり、細胞操作機関は、中央の所轄庁
の確認及び認可を受けた上で実施可能となる。
• 再生医療実施機関は治療記録を作成し少なくとも15年間保管する必要があり、中央所管
庁の情報システムへ記録する義務がある。
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6. 再生医療に関する諸外国の規制動向
研究班での検討内容
• 韓国や台湾では本邦の制度の良い部分をうまく活用し、管理体制はより厳しくし
た制度を構築している。台湾では企業団体が全国細胞治療技術登録プラット
フォームを運営しており、本邦でもこのような運営体系を取り入れることは有用
かもしれない。
• EVsを用いた医療については、それぞれの法律で明確な記載を読み取れなかった。
• もともと、両者で再生医療は自由診療での実施は禁止されていたが、今回の法改
正に伴い自由診療の可能性が示された。その前提として、臨床研究の実施が必須
となっており、加えて医療データの登録が義務付けられている。日本においても
臨床研究の成果を適切に集積させる仕組みを作ることが必要である 。
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7. 再生医療等提供計画・定期報告書改定
研究班での検討内容
・提供計画および定期報告書に科学的妥当性の評価項目(有効性の見込みを含む)
を追加する改正案に関して、研究班内で基本的に異論はなかった。
・また記載すべき科学的妥当性の具体的な評価項目については、引き続き検討が必
要であるといった意見があった。
・提供計画には再生医療を提供する者の専門性に係る資格情報等を具体的に記載さ
せることを求めた方が良いのではないかという意見もあった。
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この資料について
出典:厚生労働省ホームページ (https://www.mhlw.go.jp/)
当サイトが保存しているのは、PDFから取り出した文字だけです。 これは言葉で探せるようにするためのもので、 厚生労働省が公表した資料そのものではありません。 図表・画像・レイアウトは失われています。
正確な内容は、必ず厚生労働省のPDFをご確認ください。