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令和7年度厚生労働科学特別研究事業「再生医療に関連した新技術領域に関するリスク評価および妥当性評価のための総合的研究」についての最終報告

再生医療等評価部会 第117回 / 2026-05-28 開催 / 27ページ

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令和7年度 厚生労働行政推進調査事業補助金 (厚生労働科学特別研究事業) 再生医療に関連した新技術領域に関するリスク評価 および妥当性評価のための総合的研究 総括研究報告 研究代表者 岡田 潔 (日本再生医療学会 常務理事) 1. 研究目的・方法 本研究は、再生医療に関連する新技術領域について、安全性および妥当性 を適切に評価するための考え方や制度整備の方向性を検討することを目的 として、専門家ヒアリング、国内外制度調査、研究班討議により実施され た。 1. 細胞の分泌物を再生法の規制下とする場合の論点整理とリスク分類の考え方 2. 再生法におけるリスク分類のためのリスク評価の具体的考え方の整理 3. 自由診療で提供される再生医療等の妥当性に関する指標(案)の作成 4. 特定核酸等を用いる医療における計画において記載を求める事項の整理 2 2. エクソソーム研究および現状の課題について <有識者見解> 3 2. エクソソーム研究および現状の課題について <有識者見解> • 間葉系間質細胞(MSC)とEV MSCの効果は投与条件や製造の安定性、疾患状態に依存すると考えられており、 QbD(Quality by Design)の導入による品質設計が求められる。 MSC由来EVは多様な疾患での有用性が注目され、市場は年率30%超で拡大し、 2025年に約3億USD、2032年に約20億USD規模と予測されているが、治験は第 II/III相が複数進行中の段階であり、薬事承認例は未だない。 4 2. エクソソーム研究および現状の課題について <有識者見解> • 社会的課題と国内外での動向 日本再生医療学会(JSRM)は2021年に「エクソソーム等の調製・治療に対する 考え方」をまとめ、PMDAは2023年に「EV治療用製剤に関する報告書」を公表 した。 さらに2024年4月には、JSRMが「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダン ス」を公表し、疾患別ファンクショナルアッセイやリスクプロファイリングを推 奨した。 2024年7月には厚生労働省がエクソソーム試薬に係る監視指導についての通知を 行った。 5 2. エクソソーム研究および現状の課題について • 研究班内における質疑・議論 製品化にはQbDによる品質設計が重要であり、EVは適切な精製により有害事象 リスクを低減し得るが、クリニックで投与されている内容の実態の把握は不十分 である。 エクソソームは粒子特性や表面マーカー等により一定の定義が可能で、成分解析 も可能である。安全性確保ではEV自体より製造過程の管理が重要であり、MSC や培養上清を含めた製造プロセスの標準化と規制の整理が課題である。 EVの研究や臨床応用においては、MSCを臨床研究に用いる場合と同様に、製造 過程におけるルールや標準化が重要である。 EV以外の培養上清などについても定義は困難であるが、培養プロセス基準の未 整備といった課題があり、エクソソームだけに規制を限定するのは適切ではない。 6 3. 再生医療等におけるEV製造と品質について <有識者見解> • 細胞加工物類似技術製造に関する基本観点 EVの無菌性は細胞加工物と同等レベルが求められ、CQA(Critical Quality Attribute:重要品質特性)が不明瞭であることから、工程の安定化と品質の明確 化を並行して進める必要がある。 EVにおいても人工多能性幹細胞(iPS細胞)の誤分化のように、一度工程が乱れ ると回復しにくい特性を有するため、QbDの導入が重要である。 • EV製造プロセスの全体像と要素技術 EV製造は原料細胞選抜から懸濁培養、上清回収、EV分離・精製、分注・保管ま で複数工程で構成され、各工程に課題が存在する。 スケールアップの各段階にも技術的課題が残り、EV規格の定義が不明確な現状 では、分析技術が先導しなければCQAは確定しない。 7 3. 再生医療等におけるEV製造と品質について <有識者見解> • 製造工程からみた提言 機能設計の前倒し、分析技術の強化、ポテンシーアッセイの確立が最優先課題で ある。 CQAの明確化と標準化に向け、QbDおよびPAT(Process Analytical Technology:プロセス解析技術)に基づく開発ドキュメントとして、 1.QTPP(Quality Target Product Profile:品質目標製品プロファイル 2.CQA(Critical Quality Attribute:重要品質特性) 3.CPP(Critical Process Parameter:重要工程パラメータ)/ DS(Design Space:設計領域) 4.変更管理 を段階的に整備する必要がある。 8 3. 再生医療等におけるEV製造と品質について <有識者見解> • AMED研究班における取組の概要 AMED「医薬品等規制調和・評価研究事業」研究班の取組として、特性解析法の 開発(構造・物性・生物活性)、MSC由来EVの特性指標探索、薬理・動態評価、 および天然型EV(細胞が自然に分泌するもの、意図的な改変を行っていないも の)の品質確保ガイドライン案を策定した。 EVは由来・組成・粒径が多様で不均一であり、培養条件・精製法により品質が 変動する。 上流は初代/不死化/株化細胞が想定され、下流はTFF(Tangential Flow Filtration:タンジェンシャルフローろ過)を中心に、純度要求・コストに応じ た組合せ最適化が必要である。 臨床試験の8割超は天然型(MSC由来が最多)で、改変型は2割弱である。 9 3. 再生医療等におけるEV製造と品質について <有識者見解> • 製造工程における課題と品質管理 製造工程では細胞老化、がん原性(不死化・株化)、ウイルス安全性が製造工程 における課題として考えられる。 QTPPからCQAの管理戦略の基本線は、ICH Q9をベースに考えられる。 • 製造工程における合意形成の要点 EVは分析・ウイルス安全性・老化/不死化の影響といった未確定因子が多く、 工程標準化には特性解析の強化が前提となる。 天然型を先行整備し、改変型は用途に応じて、原薬/中間体/添加物としての扱 いを整理しつつ、品質管理の差分を明確化する。 MoAの解明度に応じてポテンシーアッセイを段階設定するとともに、管理戦略 については、より高度なQbDの考え方を適用し、製造方法の変更にも柔軟に対応 可能なものとする。 10 3. 再生医療等におけるEV製造と品質について • 研究班内における質疑・議論 EVではMoA(Mechanism of Action:作用機序)やポテンシーアッセイが未確 立であるため、現時点でのCQA運用は困難である一方、細胞レベルでのQbDに は適用余地があるため、その段階で得られるEVの安定性を間接的に評価するこ とが現実的である。 臨床応用に重要なのは分析技術の精緻化であり、機能評価およびポテンシーアッ セイを高い再現性で確立できるかが鍵である。 EVの特性解析技術および目的成分のみを取得する製造技術はいずれも開発途上 であり、現時点では有効性の実証が最も不足している。 一般的な工程内ウイルスクリアランス(ICH Q5A準拠)はEVには適用しづらく、 原料バンクをウイルスフリーとする対応が一案とされる。 低分子医薬品と同等の厳密なQbD適用は現実的ではなく、EVではリスクベース の管理を進めることが妥当である。 EVの抽出・精製では、特定成分のみの抽出や不純物・ウイルス等の除去が困難 なため、原料の品質管理および工程内試験・品質管理の重要度が相対的に高い。 11 4. 現在の再生医療の取り組みと現状について <有識者見解> • 再生医療等安全性確保法を取り巻く状況 再生医療等安全性確保法は第一種・第二種・第三種に区分されて運用されている が、第二種・第三種では不適切事例が報道され、運用上の課題が指摘されている。 認定再生医療等委員会の実効性について、専門性・科学的根拠・広告適正化の不 足が問題とされている。技術の妥当性、細胞加工物の妥当性、提供後評価の妥当 性、実用上の有用性と安全性の実証については確認をする必要があり、例えば、 委員会の審査業務と細胞培養過程の審査を分離するなど、培養工程の安全性を確 認する体制を強化する方策を検討すべきである。 細胞培養加工施設の実地インスペクションの明確化・実施が抑止力として有効で ある。また、製造施設関係者の審査出席・インタビュー・提供実績確認を求め、 製造手順・品質管理・設備構造について改めて適切な審査が行われるべきである。 エクソソームに限らず培養上清等も含め、最終製品規格・特性解析、原材料品質 管理、製造工程管理を再生医療等安全性確保法の提供基準にならって実施すべき であり、運用体制(監視・監督)自体も強化すべきである。 12 4. 現在の再生医療の取り組みと現状について <有識者見解> • データベース(REAP)による検証型診療(※) (※)JSRMが2024年にYOKOHAMA宣言で提唱したものであり、政府の見解ではない。 2024年の日本再生医療学会のYOKOHAMA宣言では、妥当性のない医療を念頭に 「検証を伴う再生医療」を明確化し、無検証診療と区別して有効性・安全性の検証 の必要性について発信された。 日本再生医療学会において、再生医療等のデータベース事業として、 1.NRMD-PMS(薬機法) 2.NRMD-CR(臨床研究) 3.REAP(自由診療) が整備されており、これらを活用して検証型診療を推進するべきと考える。 13 4. 現在の再生医療の取り組みと現状について <有識者見解> • 再生医療等安全性確保法に対する5つの提言 1. 特定認定再生医療等委員会の審査・監督を強化し、独立公正性・科学的根拠・ 関与医師の専門性の確認の徹底が必要である。 2. 重篤な有害事象について徹底検証を行い、当該施設だけでなく同様の治療を実 施する他施設にも検査命令等、治療のチェック体制の見直しの検討が必要であ る。 3. 製造・加工施設やクリニックの監督を強化し、無予告の抜き打ちサイトビジッ ト等の実地インスペクションを導入して抑止力を高めるような考えも重要であ る。 4. REAP等のデータベース登録を徹底し、検証型診療を推進して自由診療でも安 全性・有効性・科学的根拠を積み上げて進めてほしい。 5. エクソソーム等の生物・人由来で直接投与される製剤の適用範囲を安全性確保 法内に拡大し、製造・品質管理のチェックを制度的に担保すべきと考える。 14 4. 現在の再生医療の取り組みと現状について <有識者見解> • 再生医療等製品の運用の一例(自家培養表皮:ジェイス)について 自家培養表皮は1985年に国内で患者に使用され、現在「ジェイス」は再生医療 等製品として承認されている。 受入検査・工程内試験・出荷試験による品質保証体制の下、GCTP運用を継続し、 長期にわたり定期的な査察を受審している。自由診療下では瘢痕治療への応用も 進められている。 • EVの規制的枠組み・法的位置づけ 安確法見直しにより核酸が対象に含まれる方向性が示され、EV中のmiRNA等を 踏まえた対象範囲の早期整理が必要である。 EVを安確法で扱う場合、取扱い方針や薬機法との整合性、認定再生医療等委員 会のEVの正確な理解と審査能力を担保する審査体制強化が課題である。 製造方法の基準整備は産業的機会になり得るが、製造・品質管理に関する最小要 件について合意形成が不足している。 15 4. 現在の再生医療の取り組みと現状について • 研究班内における質疑・議論 医療・製造・法規を横断的に理解する人材育成が追いついておらず、大学・ベン チャー・CDMOを含めた体系的な育成枠組みの整備が急務である。 エクソソームや培養上清も高度な製造工程・品質管理で運用すべきであり、安全 確保法の製造工程規制の見直しと対象範囲拡大、実地精査体制の強化が求められ る。現行の安確法では「投与時の品質」がGCTP/GQP/GVPで担保されず、「出 荷時品質」への依存が大きな課題である。 他家EVは培養医薬品の考え方(ICH Q5A)で一定の安全性確保が可能と考えら れる一方、自家EVはリスク評価が複雑であり、既存前例を参照した制度設計が 必要である。 EVは法的枠組みに位置づけて実態把握とリスク調査を可能とすべきであり、投 与直前の製品状態の評価系の確立と基準の共有が、規制と産業化の前提となる。 16 5. 遺伝子治療、ファージ療法、mRNA を用いた治療について <有識者見解> • 遺伝子治療 日本の遺伝子治療は、「遺伝子治療臨床研究指針」に基づく臨床研究として発展 してきており、指針は技術進展に応じて改定され、現在はin vivo遺伝子治療にお ける申請・評価の参考枠組みとしても活用されている。 技術は、従来のウイルスベクターやプラスミドによる遺伝子導入から、ゲノム編 集技術を用いた特定遺伝子改変へと発展しており、塩基置換やエピゲノム制御、 N-of-1試験など適用範囲も拡大している。 レンチウイルス/レトロウイルスでは染色体組込みに伴う造腫瘍性や生殖細胞へ の影響が課題であり、ゲノム編集技術においてもon-target/off-target作用、転 座、p53関連リスク等の安全性課題が指摘されている。現在主流のAAV(Adeno- associated virus:アデノ随伴ウイルス)ベクターは、高い安全性を有する一方、 高用量投与では肝毒性、神経毒性、サイトカインストーム等の有害事象が報告さ れている。 in vivo遺伝子治療では、導入遺伝子、発現制御、ベクター設計、製造・品質管理 に加え、感染性因子、力価、生物活性等を含めた包括的評価が必要とされている。 17 5. 遺伝子治療、ファージ療法、mRNA を用いた治療について <有識者見解> • バクテリオファージ療法 バクテリオファージ療法は、現時点で再生医療等安全性確保法上の位置づけが明 確ではない一方、PMDAや欧州では開発・評価に関する整理が進められている。 ファージ療法では溶菌サイクルを利用し、単一ファージだけでなく複数ファージ によるカクテル製剤も想定されるため、各ファージの特性解析が必要とされる。 製造ではセルバンクやシードロット管理を基本とするが、対象細菌との適合性が 重要であり、重症例では院内調製型の運用も想定されている。 品質・安全性評価では、微生物純度、汚染、力価、生物学的試験に加え、宿主細 菌由来エンドトキシンやLPS(Lipopolysaccharide:リポ多糖)放出に伴う免疫 原性・免疫毒性評価が重要であり、投与量や投与設計の最適化が課題とされてい る。 18 5. 遺伝子治療、ファージ療法、mRNA を用いた治療について <有識者見解> • mRNA mRNAは、ゲノム編集ツールに加え、がん免疫療法等の治療手段としても利用が 拡大しており、日本では安確法の対象として位置付けられている。 FDAやEUでは、in vitro転写由来mRNAを遺伝子治療に含める考え方が示されて おり、日本でも薬機法上「遺伝子発現治療製品」と整理されている。 mRNA自体は恒久的なゲノム組込みを前提としないが、テンプレート由来DNA 残存による挿入変異リスクが議論されており、製造・純度管理や残留DNA評価 が重要とされている。 in vivo転写反応を用いるmRNA製造では、遺伝子治療臨床研究指針を参考とした 情報提出が求められ、ゲノム編集以外のmRNA利用技術にも同様の考え方が適用 されると考えられている。 さらに、生体由来mRNAを特定核酸等として利用する場合の評価項目整理も課題 であり、mRNAやタンパク質の合成法・製造法を含めた品質・安全性評価への対 応が必要とされている。 19 5. 遺伝子治療、ファージ療法、mRNA を用いた治療について • 研究班内における質疑・議論 ゲノム改変、特にゲノム編集では ex vivo と in vivo の両方のアプローチが可能 であるが、現時点で ex vivo と in vivo のどちらがヒトへの応用へ適切かを科学 的に明確に結論づけることは難しい。 バクテリオファージは細胞内感染菌を対象とした研究も進んでおり、遺伝子改変 によって細胞内や核内侵入を可能にするものもある。その場合は安全性上の課題 は大きい。リスク・ベネフィットの観点から検討する必要がある。 肝毒性は当初 AAV 抗原に対するクロスプレゼンテーションが原因と考えられて いたが、近年は製造時に用いるプラスミド由来配列の混在の可能性も指摘されて いる。活性が高く純度の高い AAV を製造することが重要である。 20 6. 自由診療における科学的及び倫理的妥当性 <有識者見解> • 自由診療における課題 自由診療では、妥当性の評価が不十分なケースや情報の非対称性が存在し、患者 が合理的判断を行いにくい。 再生医療の増加やエビデンスのばらつき、期待値の上昇により問題が顕在化して いる。 実際の有害事象(敗血症事例等)もあり、社会的関心と規制上の検討ニーズが高 まっている。 • 妥当性の基本構造 妥当性は「便益がリスクを上回ると合理的に予測できる状態」と整理できる。 評価は、法的適合性・科学的妥当性・倫理的妥当性の三層構造で捉える必要があ る。特に自由診療では各層の水準がばらつくため、整理と可視化が求められてい る。 21 6. 自由診療における科学的及び倫理的妥当性 <有識者見解> • 科学的妥当性 科学的妥当性は、安全性・有効性双方の観点から、同一細胞・同一疾患における 臨床研究データなどの科学的根拠に基づき評価され、細胞品質、製造方法、治療 技術、評価方法の妥当性を総合的に確認することが重要である。再生医療は個別 性や長期予後の不確実性が高く、評価基準の設定が難しいという課題がある。 • 倫理的妥当性 倫理的妥当性は、自律尊重・無危害・善行・公正といった医療倫理の原則に基づ いて判断され、説明の十分性、誇張のない情報提供、費用の正当性、標準治療と の比較などが重要となる。今後は、科学的妥当性とあわせてグラデーションとし て可視化し、判断主体や最低基準の整理が求められる。 自由診療における妥当性の確保は、制度的基準の設定や認定再生医療等委員会審 査のみならず、医師が個々の患者に対して科学的根拠に基づいた合理的説明と判 断をどの程度尽くすかという専門職としての責務にも依存する。 22 6. 自由診療における科学的及び倫理的妥当性 • 研究班内における質疑・議論 これまで再生医療では、研究内容と治療内容の厳密な一致が必ずしも求められて こなかったが、現在は治療と同等の基準に加え、追加要件を含めた整理が進めら れている。 科学的妥当性は有効性とリスク、患者利益を含む総合評価であるため現状では、 委員会間で判断のばらつきが生じ得る。 委員会審査は書類審査が中心であり、実際の運用遵守には限界があるため、定期 報告や治療後データ評価等のフォローアップ強化が重要である。 現行ガイダンス(認定再生医療等委員会の適切な審査等業務実施のためのガイダ ンス(手引き))等は「推奨」「望ましい」といった表現が多く拘束力に限界が あり、有効性、安全性、品質・製造、実施体制等をどこまで法的義務化するかが 今後の課題とされる。 23 7. 総括研究としてのとりまとめ • 細胞の分泌物を法の対象とする場合の論点整理とリスク分類の考え方に ついて EV(細胞外小胞)及び培養上清については、未承認・未検証のまま医療提供さ れるリスクや、培養上清をEVと称して投与する事例等を踏まえ、再生医療等安 全性確保法の対象として制度的に把握・監督する必要があると考えられた。特に、 感染因子の不活化・除去工程を含まない細胞由来加工物については、法的対象と することが妥当とされた。 EVの製造管理では、CQA、MoA、ポテンシーアッセイが未確立であり、品質規 格や管理戦略の確立には課題がある。そのため、QbD/プロセス解析技術に基づ き、QTPP、CQA、CPP/Design Space、変更管理等を段階的に整備し、特性解 析や機能評価の検討を進める必要がある。 リスク分類については、感染性、一般毒性、製造管理等の共通リスクと、由来細 胞差、体内分布、反復投与、遺伝子改変由来EV等のモダリティ固有リスクを組 み合わせて評価する必要があると考えられた。また、既存分類への位置付けに加 え、新たなカテゴリー設定も含めた検討が必要とされた。 24 7. 総括研究としてのとりまとめ • 再生医療等のリスク評価の考え方とリスク分類毎の措置について リスク分類については、従来の固定的な第一種、第二種、第三種区分に加え、薬 事的リスクと医療提供上のリスクを統合的に評価する考え方の必要性が示された。 特に、中・低リスクの定義が不明確であることから、高リスク要件やリスク低減 条件を踏まえた連続的(グラデーション)な評価体系が望ましいと考えられた。 また、分類は審査、安全性試験、実施体制、フォローアップと一体的に設計され るべきとされた。 バクテリオファージ療法については、溶菌作用、宿主特異性、免疫反応等の固有 リスクを踏まえ、既存の生物製剤・遺伝子治療の枠組みを参考にした評価の必要 性が示された。また、mRNAを用いた自家細胞療法についても、製造工程や残留 DNA等を含めた再評価の必要性が指摘された。 保険収載技術やPRPについては、費用負担、実施体制、品質管理のばらつき等の 課題があり、法の適用除外や新たなリスクカテゴリー設定を含めた検討が必要と された。また、適用除外の場合でも、有害事象報告等の情報収集体制を維持する 重要性が示された。 25 7. 総括研究としてのとりまとめ • 自由診療で提供される再生医療等の妥当性に関する指標について 再生医療等安全性確保法の運用上の課題として、安全性と妥当性が十分に検証さ れないまま提供される可能性や、患者が妥当性を適切に判断しにくい状況が指摘 された。 特に自由診療では患者側と提供者側の情報の非対称性が課題であり、認定再生医 療等委員会における高度な審査能力の確保、定期的な監査等の実施、有害事象検 証、医療機関におけるデータベースによる情報蓄積、投与時品質管理等の強化が 必要とされた。 妥当性評価指標としては、 1.安全性・有効性に関する情報の蓄積 2.品質・製造管理 3.安全性・有効性に関する科学的根拠 4.実施体制 5.情報提供の透明性の確保 の観点から客観的に評価する考え方が整理された。 26 7. 総括研究としてのとりまとめ • 特定核酸等を用いる再生医療の計画において記載を求める事項について 現行の記載内容では十分に対応できない領域が存在することが明らかとなった。 具体的には、 1.遺伝子治療臨床研究では対象としていなかった特定核酸等の設計・特性に 関する情報の充実 2.製造および品質管理に関する記載の整備 3.非臨床・臨床安全性評価に関する項目の整理 4.医療提供における管理体制 についても追記が必要な可能性が高い。 また、カルタヘナ法との関係整理も重要な論点であると考えられ、整合性に応じ て改定の必要性が挙げられた。これらの事項について別資料で添付した。 さらにファージを用いた開発やその臨床適用における考慮事項については、核酸 等として包含されることが望ましいとされた。 27

この資料について

出典:厚生労働省ホームページ (https://www.mhlw.go.jp/)

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