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費用対効果評価専門部会 第26回 / 2015-06-24 開催 / 33ページ

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費用対効果評価の試行的導入について (その1) 【参考資料】 1.データ提出 p.3~9 2.再分析 p.11~14 3.アプレイザル p.15~26 4.評価結果を活用した意思決定 P.27~33 1 費用対効果評価に係る検討の経緯と今後のスケジュール ○ これまでの経緯 ○ 平成24年度診療報酬改定に係る附帯意見(抜粋) 革新的な新規医療材料やその材料を用いる新規技術、革新的な医薬品 H24.2 平成24年度診療報酬改定に係る附帯意見(右上段) 等の保険適用の評価に際し、算定ルールや審議のあり方も含め、費用対 効果の観点を可能な範囲で導入することについて検討を行うこと。 H24.5 費用対効果評価専門部会の創設 ・対象技術 平成26年度診療報酬改定に係る附帯意見(抜粋) ・評価手法(効果指標の取り扱い等) 医薬品や医療機器等の保険適用の評価に際して費用対効果の観点を導 入することについて、イノベーションの評価との整合性も踏まえつつ、デー ・評価結果の活用方法 タ・分析結果の収集、評価対象の範囲、評価の実施体制等を含め、平成 28 等について、海外の事例も参考にしながら、月に一回 年度診療報酬改定における試行的導入も視野に入れながら、引き続き検 程度のペースで議論 討すること。 H25.11 「議論の中間的な整理」 「日本再興戦略」改訂2014(平成26年6月24日閣議決定) (抜粋) H26.2 平成26年度診療報酬改定に係る附帯意見(右中段) 第二 3つのアクションプラン 二.戦略市場創造プラン H26.4 具体例を用いた検討の公開方法等について議論 テーマ1:国民の「健康寿命の延伸」 ~12 (3)新たに講ずべき具体的施策 H27.1 具体例の分析結果等について非公開で議論 iii)保険給付対象範囲の整理・検討 ①最先端の医療技術・医薬品等への迅速なアクセス確保(保険外併用療 ~ 4 養費制度の大幅拡大) H27.5 具体例の検討に係る議論を通じた課題等を報告 ・革新的な医療技術等の保険適用の評価時の費用対効果分析の導入等 医療分野のイノベーションの恩恵を受けたいという患者ニーズと医療保険 の持続可能性という双方の要請に応えるよう、革新的な医療技術等の保険 ○ 今後のスケジュール ○ 適用の評価に際し、費用対効果の観点を2016年度を目途に試行的に導入 H27.6 個別の論点に沿ってさらに議論 する。また、費用対効果が低いとされた医療技術について継続的に保険外 併用療養費制度が利用可能となる仕組み等を検討する。あわせて、評価 H27夏(目途) 中間報告 療養において有効性等は認められたものの開発コストの回収が難しく治験 が進まない等により保険適用が見込めない医療技術の取扱いについても、 H27夏以降 残る課題について引き続き議論 保険外併用療養費制度上の在り方を検討する。 2 1.データ提出 3 1.データ提出のあり方等について 1(2)評価の実施体制等のあり方 諸外国においては、独自の公的な評価組織を設けていることが多く、その実施体制(規模 等)については様々(数名程度~50名程度)であるが、費用及び効果データの分析・提出 は、企業等が行い、それらに基づく評価や評価(appraisal)に係る調整事務等を公的な 評価組織が行う方式が多くみられる。 (平成25年11月6日費用対効果評価専門部会資料【費-2】より抜粋・下線) (1)対象技術について 対象技術については、下記の原則に基づくことが確認された。 ①希少な疾患を対象としていないこと。 ②対象となる疾病について代替性のある他の医療技術が存在すること。 ③代替する医療技術と比較して、有用性の観点から、財政影響が大きい可能性があること。 ④安全性・有効性等が一定程度確立していること。 (平成25年11月6日費用対効果評価専門部会資料【費-1(中間的な整理)】より抜粋) 4 具体例を用いた検討について ① 具体例の選定基準と対象品目 ② 具体例のデータ・分析の提出の実施について 医薬品5品目、医療機器3品目について、企業にデータと 実施要項に基づいて、 データを用いた分析の提出を依頼 ・ 対象となる医薬品・医療機器の性質 【医薬品の選定基準】 ・ 分析の設定(分析対象や比較対照、効果指標等) 1) 平成17年度以降に有用性加算のついた類似薬効比較方式又は原 ・ 有効性データ 価計算方式で算定したもの ・ 分析方法の詳細 2) 諸外国において複数の評価機関により費用対効果評価を提出さ れており、詳細な分析結果が公開されているもの(ただし、複数 ・ 分析結果と解釈 等の提出を依頼 品目を同時に評価しているものは除外する) ③ 具体例を用いた分析等の体制 3) 1)、2)を満たすもののうち、予測ピーク時売上高が原則各年度 特別研究班を構成 で一番大きいもの 厚生労働科学研究費補助金(厚生労働科学特別研究事業) 【医療機器の選定基準】 「中央社会保険医療協議会における医薬品・医療機器の費用対 1) 平成17年度以降に有用性加算若しくは改良加算のついた類似機 能区分比較方式又は原価計算方式で算定したもの 効果評価再分析に関する研究」 2) 諸外国において複数の評価機関により費用対効果評価を提出さ (研究代表者:福田敬(国立保健医療科学院統括研究官)) れており、詳細な分析結果が公開されているもの 3) 1)、2)を満たすもののうち、同一機能区分の複数の品目が該当 する場合は、そのうち保険適用時の償還価格が最も高いもの 4) 1)、2)、3)を満たすもののうち、同一企業が複数の品目で該当 する場合は、他の企業の品目で該当するものがある機能区分につ いては、他の企業の品目で保険適用時の償還価格が最も高いもの 具体例に関する検討の経緯と今後のスケジュール 平成26年1月 平成26年5月 平成27年1月~ 平成27年春(目途) 中医協において、 中医協において、 企業が提出した 費用対効果評価専門部会で 具体例の検討に 具体例を用いた検 具体例の選定基準 データ・分析を、研 具体例の分析結果等につい よって抽出できた課 討を進めることにつ と対象品目等につ 究班が再分析 て議論開始(品目を分けて行 題等を整理した上 いて了承 いて了承 うなど複数回にわたって実施) で、総会へ報告 5 主なご意見・ご議論 データ提出のあり方について • 企業による分析結果の提出に当たって、今回の検討においては社内手続きや秘密保持 契約等の問題により提出されなかったものもあったが、企業へより協力を求めていける ようにするべき。 分析期間について • 企業が分析するには1年程度かかるとのことだが、薬事承認や保険適用が遅れるのは 問題。 • 治験実施中にモデルの構築を始めるなどの対応をとることで、保険適用のタイミングに 間に合うようデータを提出できるのではないか。 • データを作る側として、既にフェーズⅢや承認申請の段階に入っている場合は、新たに データを取るのが難しいことを勘案してほしい。 6 (参考)実際の分析期間について 製品 企業の分析期間(※1) 研究班の再分析期間(※2) A 96日 36日 B 96日 70日 C 97日 85日 D 162日 45日 E 175日 61日 F 176日 60日 G 209日 34日 H 235日 16日 ※1 企業の分析期間には、契約等に係る作業期間も含まれている。 ※2 研究班の再分析期間には、研究班の指摘に伴う企業側の期間も含まれている。 7 費用対効果評価における分析の実施主体(英国) • NICEの技術評価(費用対効果評価)のガイダンスには、STA(Single Technology Appraisal)とMTA(Multi Technology Appraisal)が存在する。 • STAでは、企業の提出した分析をもとにアカデミックグループがレビューする。評価に要 する期間はSTAの方が短く、市販前から実施されることも多い。 • 現在はSTAがガイダンスのほとんどを占めている。 • MTA、STAいずれにおいても評価結果は全て公開される。提出されたデータ等も一部の 機密情報を除き、公開が原則である。 対象技術 分析者 レビュー 分析期間 評価結果 アカデミック MTA 複数 - 長 グループ(※) 原則として公開 アカデミック STA 単一技術・適応 企業 短 グループ (※) 近年は企業が分析を提出することも多い。 8 費用対効果評価の実施主体(フランス) • STAでは、企業が分析したデータをHASの経済評価・公衆衛生委員会 (CEESP)に提出する。 • CEESPは、90日以内に企業が提出した分析の再分析等を実施する。 • CEESPの委員は30人程度、医療専門職や消費者代表など含む。 • 再分析等は大学などの外部専門家へも委託可能である。 9 空白 10 2.再分析 11 3.(1)再分析のあり方 (3)具体的な検討のためのデータ提出について • 評価対象技術の範囲について、医薬品、医療機器が中心となる場合は、企業が収集し たデータを提出し、提出されたデータを元に検討を行うことにより、着実に検討を進 めることができるのではないか。その中で、提出されたデータが、中立なものである かどうか、検証することが必要となるのではないか。 • 諸外国の実施状況を勘案すると、費用対効果のデータの分析・提出について、企業が 行うことが多くあることから、企業が提出したデータについて、検証する仕組みが重 要ではないか。 (平成25年12月25日費用対効果評価専門部会資料【費-1】より抜粋・下線) 12 主なご意見・ご議論 再分析のあり方について • 【再掲】分析に当たってはシステマティックレビューを必須とするなど、企業が分析する際 のルールが必要ではないか。 • (企業による分析と研究班による再分析の結果に違いがあったことを踏まえると、)参考 人等による再分析は必須だろう。その際、現実に即した十分な期間を見込むべき。 • 企業が提出した分析に基づいた再分析に加え、研究班が独自に改めて分析を実施する 必要があるとすると、今回の具体例の検討のように参考人や研究班、事務局だけに任 せるのは無理があるため、専門的に対応する体制が必要だろう。 • 当該分野の専門家と連携することで、よりよい再分析ができるのではないか。 • 企業としても、再分析は必須のプロセスであると考えている。英国では7つのグループに 外部委託しており、日本でも人材の裾野を広げることが必要。(注:現在は9つのグルー プに委託) 13 4. 実施体制 【具体例の検討における研究班の体制】 専門分野 氏名 所属・職名(当時) 役割 福田 敬 国立保健医療科学院 統括研究官 池田 俊也 国際医療福祉大学 薬学部 教授 田倉 智之 大阪大学大学院 医学系研究科 寄付講座教授 医療経済学 五十嵐 中 東京大学大学院 薬学系研究科 特任助教 (7名) 福田 治久 九州大学大学院 医学研究院 准教授 森脇 健介 神戸薬科大学 薬学部 講師 品目ごとにチームを構成(そ 白岩 健 国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部 れぞれ3名)し、再分析を実 主任研究官 施 赤沢 学 明治薬科大学 薬学部 教授 聖ルカ・ライフサイエンス研究所 臨床疫学センター 大出 幸子 上級研究員 臨床疫学 聖ルカ・ライフサイエンス研究所 臨床疫学センター (4名) 高橋 理 センター長 国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部 平塚 義宗 上席主任研究員 全体を通して再分析の内容 経済学(1名) 井伊 雅子 一橋大学 国際・公共政策大学院 教授 を検討 14 3.アプレイザル 15 3.(2)アプレイザルのあり方 について Appraisal 一般的な費用対効果評価を用いた意思決定のプロセス Assessment Appraisal Decision (分析) (評価) (最終決定) ・ 費用対効果評価の実行 ・ 分析結果の解釈 ・ 最終的な意思決定 ・ その他(臨床的、倫理的、 社会的…)影響の考慮 Appraisalにおいては、様々な要素を考慮して 評価を行う。 16 主なご意見・ご議論 アプレイザルのあり方について • 評価(アプレイザル)を進める中で、生産性損失を含んだ分析結果が必要とされた場合 には、改めて再分析を実施することも考えるべきではないか。 • 選択する効果指標や臨床試験によって分析結果が大きく異なる場合は、アプレイザル において、分析手法の違いを含めて解釈することになるのではないか。 • 今回の分析において、他の薬剤などとの比較をどのように考えるかという論点があるが、 これはまさに「アセスメント」であり、さらに保険予算全体から見てその比較が妥当かとい うのはアプレイザルの役割であり、視点は異なるもの。その際、アプレイザルを進めるに 足るアセスメントである必要があると思う。 17 で考慮される Appraisal 増分費用効果比以外の要素 (1) イギリスの例 • NICEが(QALYを用いた)費用対効果以外にも定性的に勘案する要 素の例 – Severity: 疾患の重症度 – End-of-life: 致死的な疾患での延命治療 – Stakeholder persuasion: 関係者からの意見 – Significant innovation: イノベーションの大きさ – Disadvantaged population: 障害者などの集団への配慮 – Children: 小児の疾患 Rawlins M, Barnett D, Stevens A. Pharmacoeconomics: NICE's approach to decision-making.Br J Clin Pharmacol. 2010;70(3):346-9. 18 イギリスにおける の具体例 appraisal 小児骨肉腫に対するMifamurtideの評価例 (TA235) 2011年 1. 当初の分析結果は、費用対効果が劣るとされた。 (₤56,700/QALY) 2. 下記の点を変更し、再度分析を実施した。 – 小児であることを考慮して、長期的な予後を重視するような分析方法とする。 – 価格を割り引く。 →結果、費用対効果は改善したが、まだ課題があるとされた。 (₤36,000/QALY) 3. NICEは以下の点を考慮して、 Mifamurtideを推奨した。 – Mifamurtideが革新的であること。 – 稀少疾患に対する治療薬であること。 – 家族等のQoLの損失が費用対効果に反映されていないこと。  このように、費用対効果評価の結果を機械的に用いているわけではなく、Appraisal のプロセスで様々な観点を考慮する。 ※)NICEでは1QALYあたり₤20,000~₤30,000を費用対効果が優れる目安としている。 19 で考慮される Appraisal 増分費用効果比以外の要素 2 ( ) スウェーデンの例 • スウェーデンにおける医薬品償還 3 原則 (a) ”the human value principle” すべての人間が平等に取り扱われる、年齢や人種、性別等によ る差別を受けない。 (b) ”the need and solidarity principle” 重症度の高い人は優先的に償還される (c) “the cost-effectiveness principle” 費用対効果のよい医薬品を償還する 20 オーストラリアの で考慮される Appraisal 費用対効果以外の要素 – 比較対照技術からの追加的有用性の大きさ – 保険で償還しなかったときの 患者負担額の大きさ – 保険予算全体へのインパクト 等 21 (参考)アプレイザルのあり方の検討に係る模擬パネルの概要 1.概要 趣旨: わが国における費用対効果評価のあり方の参考とすべく、医学や経済学等を背景として有する方 等をパネルメンバーとして、費用対効果の分析結果に基づいたアプレイザルのあり方について議論を 実施(結論や方向性をまとめるものでもなく、幅広く意見を収集) (アプレイザルのあり方の検討に係る業務として予算事業で実施) 2.構成 ・臨床医(2名) ・医療経済学者(2名) ・一般市民(大学院生)(1名) ・生命倫理学者(1名) ・看護師(1名) 3.主な議論 1. 年齢 1)費用対効果分析方法 通常の費用対効果分析では、対象とする集団の平均年齢を分析の前提にするが、下記のよ うな条件においては、年齢に対する考慮した、より精緻な費用対効果分析が必要となる可能 性がある。  リスク因子 特定の年齢層であることが疾患のリスク因子となっている場合は、その点を考慮した費用対 効果分析が必要ではないか。  治療効果 特定の年齢層が他の年齢(層)と比較して治療効果が高いときは、その点を考慮した費 用対効果分析が必要ではないか。 22 (参考)アプレイザルのあり方の検討に係る模擬パネルの概要 3.主な議論 1. 年齢(前ページの続き) 2)施策決定に係る判断  世代間の公平性 人生の諸段階を全うする機会を平等にするという「フェア・イニング」の観点から、若年者を優先し た判断がなされるべきではないか。また、その際は世代間のこれまでの社会的な取扱いに違いが ないかという点も含めたうえで、検討してはどうか。  予算制約の逼迫度 資源の配分を決めるうえで、予算制約がどの程度逼迫しているかという点や、またその共通認識 が国民も含めてどの程度出来ているかという点が影響してくる。ある程度逼迫度が高く、またその 共通認識がなされている状況であれば、費用対効果分析結果に則った判断を行うことが受け入 れやすいのではないか。  対象となる疾患の属性 限られた予算の配分を考えるうえでは、できる限り国民1人あたりの制限が少ないような状況が、 社会的な不公平さが薄いため望ましいのではないか。つまり、集中治療や救命にかかわるような 医療技術よりは、慢性疾患の治療のような多くの人へ関わる医療技術に対し、ある程度の制限 を設けるべきではないか。  施策決定参加への乏しさ 小児に関しては参政権等の都合から、施策に対して自分の意見を反映することが出来ない。そう した点による不利益を被らないような判断としてほしい。 23 (参考)アプレイザルのあり方の検討に係る模擬パネルの概要 3.主な議論 2. 救命原則 多くの人が救われる可能性を少し変化させるようなタイプの医療技術(治療A)と、致命的な疾患 の患者を救命するようなタイプの医療技術(治療B)について、費用対効果分析結果をもとに選択 を行う場合、下記のような様々な視点が挙げられた。  異なる要素をもつ医療技術の比較 費用対効果分析結果で算出される1QALYあたりの費用を判断の基準としつつも、予防的側 面を含む医療技術(治療A)と、致命的な疾患の患者を救命できる医療技術(治療B)は、 各医療技術の評価に係る要素が異なることが想定され、比較困難である。たとえば治療Bは、 救命というアウトカムにより、短期的に効果がみられるのに対して、治療Aは公衆衛生学的な視 点のもと、長期的な死亡率逓減等に効果が現れてくる可能性が高く、単純に比較することは出 来ないのではないか。  医療費削減への影響 治療Aと治療Bでは、対象となる患者の規模が大きく異なる。施策の目標に医療費の抑制が含 まれるのであれば、治療Aのような広範囲の患者に対して使用される医療技術について、使用の 是非を検討するほうが影響も大きいため、効果的ではないか。また、疾病構造を考えると、特定 の治療法の存在よりも、社会的な要因(経済状況や生活環境等)のほうが、医療費等のアウ トカムへの影響が大きい場合もあり得る。  将来的な集団全体への影響 治療Aのような予防的側面を含む医療技術を推進することにより、将来的に治療Bの患者数が 減少する可能性もある。また、治療Bを実施する医療機関が大学病院等の専門性の高い治療 を行う場である場合、将来の患者増加に備えて、技術の発展や推進を行う必要もあるかもしれ ない。 24 (参考)アプレイザルのあり方の検討に係る模擬パネルの概要 3.主な議論 2. 救命原則(前ページの続き)  医療の原則や信頼性への影響 救命原則は人間の自然感情にも則しているし、長期にわたって医療の根幹をなし、医学教育の 前提として存在している。これらを明白な形で否定することで、医療の信頼性や教育のあり方へ大 きく影響するのではないか。瀕死の状態にある人を「治療ができない」と判断することが、人に対する 尊厳を守ることに反すると評価される可能性もある。  患者の意思、QOL 治療Bが長期にわたって治療が必要になる場合は、患者本人・家族の意思やQOLの維持可能 性を鑑みて判断を行うべきではないか。特に患者が高齢であれば、治療Bを行わないという選択も 考えられる。 3. 著しく高額で費用対効果に課題のある医療技術 費用対効果に課題がある医療技術の使用を許容しうる条件として、下記のような様々な論点が挙げ られた。  希少性 患者数が少ないいわゆる希少疾患の場合は、1回の治療実施に対する費用が高額になることは やむを得ない。一定期間、治療データを収集するといった研究に準ずる扱いを条件として、利用を 推奨することも考えられる。ただし、稀少性の定義については、透明性のある検討が必要となる。  当該治療実施者の専門性 疾病について、一定以上の知識と経験を持っている医療機関および専門医の使用に制限し、か つ使用後の報告や事後評価を義務づけることにより、効果を可能な限り大きくし、費用対効果分 析を良い条件で実施できる可能性がある。 25 (参考)アプレイザルのあり方の検討に係る模擬パネルの概要 3.主な議論 3. 著しく高額で費用対効果に課題のある医療技術(前ページの続き)  将来性のある革新的治療技術の発展可能性 疾病に対する新しい治療法や医薬品が導入されるきっかけを育てていくことを妨げることは、最 終的に国民の健康に悪影響を与えかねないため、望ましくない。たとえば、専門的な技術評価 を行うことを条件として高額な技術を認めていく方法もあり得るのではないか。ただし、将来性の ある革新的治療技術の定義については、透明性のある検討が必要となる。  代替医療技術、類似薬 仮に既存の治療法が副作用等の影響で、当該患者に合わなかった場合に、高額であったとし ても、他の選択肢があることは重要である。他の選択肢がないとすれば、治療自体を諦めるほ かない。 4. パネル参加者からのフィードバック パネル参加者からは、臨床現場の医療従事者・研究者が意見を交わすことで、事前の検討結果と 異なる見解を覚えたという意見が挙げられ、今後も他分野の関係者に因る議論を継続する仕組み の必要性についても、言及があった。 26 4.評価結果を活用した意思決定 27 結果活用の原則 2-2 下記のような考え方を原則として、評価結果を活用する ○医療技術の評価については、安全性・有効性の評価をはじめ、様々な観点からの 評価を総合的に勘案するという考え方を基本的に維持しつつ、費用対効果評価の 結果を活用し、より妥当な医療技術の評価を目指すものとする。 ○費用対効果評価は医療技術の評価の一部分であり、費用対効果評価の結果のみ をもって保険収載の可否や償還価格を判定・評価するものではない。また、費用 対効果評価の結果の判定の目安等についても、一定の柔軟性を持ったものとし、 硬直的な運用を避けるものとする。 ○費用及び効果の双方の観点からの評価を行うものであり、費用の観点のみの評 価を行うものではない。 28 4.評価結果の活用方法について (2)具体的な評価の活用手法 ①-1費用対効果評価の活用方法について 諸外国における費用対効果評価の取り組みを踏まえ、結果活用方法としては、下記に大別で きるとの確認がなされた。 (ア)保険償還の可否の判断を行う。 (イ)保険償還価格への反映を行う。 また、諸外国において保険償還の可否の判断に使用する際には、患者アクセスを確保するため の措置として、「予め定めた使用回数や使用期間までは償還し、上回った部分は、公的医療保 険以外[事実上の値引き等]による提供とする」等の対応が行われることがあることが確認さ れた。 ①-2結果活用の時期について 結果活用の時期については、下記の場合に分けて検討がなされた。 (ア)保険収載の前後 (イ)保険収載後、1~2年を経過した後 (ウ)保険収載後、数年経過後 保険収載の前後に結果活用を行う際は、早期に費用対効果評価の結果が反映される一方で、評 価に時間を要する場合、保険収載の遅延につながる可能性があることが指摘された。 (平成25年11月6日費用対効果評価専門部会資料【費-1(議論の中間的な整理)】より抜粋) 29 主なご意見・ご議論① 評価結果を活用する時期について • 本邦での制度化に当たって、評価結果を活用できるタイミングには保険収載時と市場導 入後一定期間後とがあるが、収載時点で利用可能なデータを使うことで、収載時にも評 価可能ではないか。その場合、主に治験のデータが用いられると思われる。 • データがないと言ってばかりでは費用対効果の分析を実施できない。例えば、ある時点 で存在するデータを用いて分析を行い、その後、新たに収集されたデータも含めて再評 価していくという方法もあり得るのではないか。 • 治療法は時代と共に変遷するものであることを踏まえると、専門家の意見を聞きながら、 市販後の再評価を取り入れていくのがよいのではないか。 結果の解釈について • 英国NICEでは2万~3万ポンド/QALYを推奨の目安としているが、抗がん剤など終末期 (End of Life)に用いる医薬品については、4万~5万ポンド/QALYまで推奨している。なお、 費用対効果評価の観点から推奨されないおそれがある場合には、患者の新薬へのアク セスを確保するため、薬剤費の一部を企業が負担することとして、条件付き推奨とするこ ともある。 • WHOでは一人当たりGDPを目安とした解釈の仕方を提示している。 30 主なご意見・ご議論② 適応症や用法により結果が異なる場合の考え方について • 一部の適応症等では費用対効果がよいが、それ以外では費用対効果が悪い場合、他国 では、費用対効果評価の結果を踏まえて適応症を決定したり、学会のガイドラインで非推 奨としたりしている。 現在の制度との関係について • 新規収載品の価格を決定する際には、製品原価、マーケットスケール、研究開発費等が 必要であり、これらがないと製品の価格がわからず、分析が行えないのではないかと考え ている。 • 現在の薬価制度・材料制度との関係をみながら制度に組み込む必要があるのではないか。 試行的導入のあり方について • 費用対効果の議論は、そもそも日本の保険財政が厳しい中で、何が出来るかということで 始まったもの。日本のデータが十分に整うのを待っていると、制度の導入まで10年、20年 かかってしまうため、諸外国の例に倣い、まずは試行的に制度を導入して、少しずつ修正 していくのがよいのではないか。 31 5. 評価結果の活用 • 評価結果の活用に当たっては、分析結果に加えて、社会的・倫理 的要素を見込むことが多いが、その際、どのように見込むかにつ いては、結果の活用方法によって異なってくる。 使用の推奨/非推奨・償還の可否(イギリスなど) アクセス制限が生じうるので倫理的に慎重な検討が必要 価格への反映(ドイツ・フランスなど) 代替技術が十分にあるもの等における適応疾患や使用方法 の限定など。(イギリスなど) アクセスの問題は生じにくい。 32 【参考】増分費用効果比(ICER)の解釈について • 1QALYあたりの増分費用効果比(ICER)の解釈方法の一つとして、基準となる値と比較して、医療 技術の費用対効果を評価することがある。 • 一律の値を機械的に運用している国はないが、目安となる値を保持している国もある。 • およそ目安となる値の設定方法としては下記の方法などが考えられる。 (Value Health. 2004;7(5):518- 28.) ①一般的に広く受け入れられている既存の医療にかかる費用を目安とする。 ② 国民がいくらまでなら支払ってもよいと考えるか(=支払意思額)  例えば日本では1QALYあたり500~600万円程度という調査がある。(大日ら(2006), Shiroiwa et al. (2010) ) ③ 一人あたりGDP等の経済指標  例えばWHOでは一人あたりGDPの1~3倍程度と提示されている。(WHO (2002))  日本の一人あたりGDPの大きさは380万円 (内閣府 (2013))  例えば、イギリスNICEの20,000~30000ポンドの基準値は、イギリスの一人あたり GDPが25,000ポンド(2013年)であることから、0.8~1.2倍程度である。  アメリカでしばしば参照される50,000~100,000ドルはアメリカの一人あたりGDPが 53,000ドル(2013年)であることから、0.9~1.9倍程度である。 33

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