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中 医 協 費 − 1
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試行的導入にかかる評価基準の設定方法等について
1.背景及び目的
〇 費用対効果評価の試行的導入については、これまで対象品目の選定(既収載 13品目(医
薬品7、医療機器6))、企業による分析・データ提出が行われ、現在第三者による再分
析が行われているところ。
○ また、平成29年8月23日の当部会において、以下の通り今後の対応につき決定した。
〇 このうち、総合的評価(アプレイザル)を行うために必要となる「④ⅰ.増分費用効果
比(ICER)の評価基準の設定方法」等について検討を行うとともに、一つの品目でICER
が複数得られる場合の対応について検討する。
2.試行的導入に係る検討
(1)検討事項
試行的導入にあたっては、以下の項目に関する具体的な実施方法につき検討する必要が
あり、当部会において検討を実施してきた。
① 対象品目の選定のあり方
② 企業によるデータ提出
③ 再分析の実施
④ 総合的評価(アプレイザル)における
i. 増分費用効果比(ICER)の評価基準の設定方法
ii. 倫理的、社会的影響等に関する考慮
⑤ 価格調整方法
(2)(略)
(3)今後の対応(案)
○ ④については、試行的導入においては、過去に行われた国内の支払い意思額(仮称)
に関する調査の結果や、諸外国における評価基準を活用して評価基準の設定を行うこ
ととし、新たな調査は行わない。
○ ⑤については、今後、当部会での検討状況を踏まえながら、薬価専門部会及び保険
医療材料専門部会と合同で開催して検討することとしてはどうか。
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2.評価基準の設定について
○ 基本的な考え方
・費用対効果の評価については、これまでの当部会での議論を踏まえ、増分費用効果比
(ICER)の値に基づき5段階とする(表1)。
・また、5段階で評価するに当たり、評価の基準となる値を設定する必要があるが、その
値は、支払い意思額(仮称)に関する国内で行われた過去の調査(以下:過去調査)及
び諸外国における評価基準を参考として設定することとされている。
(表1)評価の段階
ICER 段階 評価
大 5 費用対効果がとても悪い
4 費用対効果が悪い
3 費用対効果は受け入れ可能である
2 費用対効果が良い
小 1 費用対効果がとても良い
(1)過去調査について
○ 過去調査として確認されている4つの調査の概要は以下の通り。
(表2)支払い意思額(仮称)に関する国内で行われた過去の調査
受諾確率曲線
著者 論文名(雑誌名) 調査の対象 質問形式
作成への活用
1.大日 QALYあたりの社会負担の上限に関する調査研究 社会としての 金額を
○
2003年 (医療と社会 Vol. 13 No. 3) 負担 直接尋ねる
2.大日ら 1QALY獲得に対する最大支払い意思額に関する研究 社会としての
コンジョイント
×※1
2006年 (医療と社会 Vol. 16 No. 2) 負担 法
International survey on willingness-to-pay (WTP) 社会としての
3.白岩ら 二段階
for one additional QALY gained: what is the 負担 ○
2010年 threshold of cost effectiveness? 二項選択法
(HEALTH ECONOMICS. 19) 個人の自己負担
WTP for a QALY and Health states: More money for
4.白岩ら 二段階
severer health states?
個人の自己負担 ○
2013年 (Cost Effectiveness and Resource Allocation 2013, 二項選択法
11:22 )
(※1)治療法の費用、延命期間、健康状態等の複数の要素を同時に変化させて質問を行うため、受諾
確率曲線を推計することができない。
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○ 検討の視点
①評価基準の設定の参考とするためには、調査結果を活用した受諾確率曲線の作成が可
能である等、適切な調査設計であることが必要ではないか。
②設定する評価基準は、公的医療保険制度において用いることから、「個人の自己負担
(全額)」ではなく「社会としての負担」を尋ねた調査を参考とすることが必要では
ないか。
③調査における質問形式については、以下の傾向が指摘されているが、よりバイアスが
少ない形式とすることが適当ではないか。
ⅰ)支払うべき金額を直接尋ねる方法では、それぞれの回答者が想定する金額を直接
把握できるが、質問内容が日常の消費活動における決断(購買の判断)とは大きく
異なり、特定の金額を提示して支払うべきと考えるか否かを尋ねる方法と比較して
バイアスが大きいとされている。
ⅱ)二段階二項選択法は、特定の金額を提示して支払うべきと考えるか否かを尋ねる
方法であり、それぞれの回答者が想定する具体的な金額を把握できないが、質問内
容が日常の消費活動における決断に近く、支払うべき金額を直接尋ねる方法と比較
してバイアスが少ないとされている。
④社会状況の変化の影響を小さくするためには、より最近に行われた調査を参考とする
ことが望ましいのではないか。
(2)諸外国における評価基準等について
○ 諸外国における費用対効果評価の現状は表3〜5の通り。
(表3)各国の費用対効果の評価基準及び活用方法(中医協資料(平成29年2月8日)に追記)
スウェーデン 英国 オーストラリア フランス ドイツ オランダ
①評価基準の
× ○ × × × ×
公表
②償還の可否
○ ○ ○ (活用せず) (活用せず) (活用せず)
の判断材料
③償還価格へ
(活用せず) ○ ○ ○ △ ○
の反映
※ 支払い意思額の調査を元に評価基準を設定したことが確認されている国はない。
(出典)平成28年度「諸外国における費用対効果評価実施に関する状況調査」(医療課)
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(表4)英国以外で評価基準を公表していることが確認できた国
費用対効果評価制度
基準値(※2)
導入時期(※1)
ポーランド 2005年 一人あたりGDPの3倍/QALY
アイルランド 2006年 45,000ユーロ/QALY
スロバキア 2010年 平均賃金の24倍/QALY
※ 支払い意思額の調査を元に評価基準を設定したことが確認されている国はない。
(※1)平成25〜29年度厚生労働科学研究「医療経済評価を用いた意思決定のための標準的な
分析手法および総合的評価のあり方に関する研究」より
(※2)出典
・The Reimbursement Act 2012(ポーランド)
・Framework agreement between the Irish pharmaceutical healthcare association ltd and
the department of health and the health service executive on the supply terms,
conditions and prices of medicines(アイルランド))
・The law Nr.363/2011(スロバキア)
(表5)英国における費用対効果の評価について(概要)
増分費用効果比(ICER)(1QALYあたり) 対応
£30,000を上回る場合 強い根拠がある場合に、当該技術が推奨される
£20,000から£30,000の間にある場合 当該技術受け入れ可能性は個別に判断される
£20,000を下回る場合 当該技術は推奨される
※ ただし、致死的疾患、終末期における治療については、増分費用効果比(ICER)が1QALYあたり
£50,000を下回る場合、当該技術は推奨される。
※ 英国における基準の金額評価は以下の通り。
英国の一人あたりGDP 日本の一人あたりGDP
1ポンド=138円(※1)
金額 (£28,762:2015年) (418万円:2015年)(※2)
で換算した額
(※2)との比(X) にXを乗じた金額
£20,000 276万円 0.70倍 291万円
£30,000 414万円 1.04倍 436万円
£50,000 690万円 1.74倍 727万円
(※1)平成28年9月〜平成29年8月の為替レートの平均
(※2)一人あたりGDPの出典:World Economic Outlook Database, April 2017 (IMF)
(出典)Guide to the methods of technology appraisal 2013 (NICE)
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○ 検討の視点
①参照する国
具体的な評価基準が公開されている国のうち、できるだけ医療体制や生活の状況等
が日本と近い国の評価基準を参考とすることとしてはどうか。
②外貨で示される金額の円換算
ⅰ)一定期間の為替レートを用いて金額を直接換算する
ⅱ)各国の一人あたりGDP等を用いて、金額を日本の一人あたりGDP等との比
率を乗じて算出する
の2つの方法が考えられる。
・このうち、為替レートについては、各国の貨幣の価値の直接の比較であるが、どの期
間の値をとるかにより、値の変動が大きくなるものと考えられる。
・例えば、一人あたりGDP比は、当該金額の一人あたり所得に占める割合を示すもの
であり、各国の貨幣の価値の直接の比較ではないが、為替レートの変動の影響は小さ
くなるものと考えられる。
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3.その他の検討事項について
○ 個別品目の費用対効果評価については、総合的評価(アプレイザル)の結果を用いて
価格調整を行うこととされている。その際、総合的評価(アプレイザル)に用いる増分
費用効果比(ICER)の取り扱いについて、以下のような課題がある。
(1)課題
・費用対効果評価の対象となる医薬品、医療機器等については、複数の適応疾患を持つこ
となどにより、複数の分析結果(ICER)が得られる場合がある(表6)。
(表6)試行的導入における対象品目で、複数の適応疾患を有するものの例
対象品目 製品概要 適応疾患(※1)
オプジーボ 抗がん剤 悪性黒色腫、非小細胞肺癌、腎細胞癌
パーキンソン病の運動障害、本態性振戦、
アクティバRC 脳深部刺激装置
ジストニア
(※1)試行的導入において評価対象となった適応疾患を記載。
・このような品目についても調整後の価格が単一となるよう、その具体的な評価の方法に
ついて検討する必要がある。
(2)論点
・一つの品目について複数の分析結果(ICER)が得られた場合、以下の対応が考えられる。
(案1)分析結果で得られた複数のICERを用いてそれぞれ総合的評価(5段階)を行
い、その結果を使用患者割合等で加重平均したものを評価結果とする。
(案2)分析結果で得られた複数のICERを使用患者割合等で加重平均し総合的評価に
用いる。
(案3)費用対効果が最も良い、又は最も悪い分析結果をもって、当該品目の分析結果
とし、総合的評価に用いる。
・(案1)については、分析結果で得られた複数の ICERが大きく異なっていたとしても、
5段階の定性評価を加重平均するため、元々の分析結果が十分に反映されない可能性が
ある。
・(案2)については、分析結果でICERを算出困難な集団がある場合に留意が必要であ
るが、(案1)と比較して、元々の分析結果がより反映されるのではないか。
・(案3)については、例えば「費用対効果が最も悪い」結果を用いて評価する場合、費
用対効果の悪いことが見込まれる疾患に対する医薬品等の開発に影響を及ぼす可能性
がある。
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(3)今後の検討
・複数の分析結果が得られる場合の評価の方法については、当部会、薬価専門部会及び保
険医療材料専門部会における、価格調整のあり方の検討状況を踏まえつつ、さらに検討
してはどうか。
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この資料について
出典:厚生労働省ホームページ (https://www.mhlw.go.jp/)
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