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費用対効果評価専門部会 第60回 / 2022-01-19 開催 / 29ページ

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中医協 費-1-2 4 . 1 . 1 9 中央社会保険医療協議会における費用対効果評価の分析ガイドライ ン 第 3 版(案) 2022年●月●日 中央社会保険医療協議会了承 目次 1 ガイドラインの目的 ............................................................................... 12 2 分析の立場 .......................................................................................... 23 3 分析対象集団 ....................................................................................... 34 4 比較対照技術 ....................................................................................... 45 5 追加的有用性 ....................................................................................... 56 6 分析手法 ............................................................................................ 89 7 分析期間 .......................................................................................... 910 8 効果指標の選択 ................................................................................ 1011 9 データソース(費用を除く) ................................................................... 1213 10 費用の算出 .................................................................................... 1314 11 公的介護費用・生産性損失の取り扱い .................................................... 1516 12 割引 ............................................................................................ 1718 13 モデル分析 .................................................................................... 1819 14 不確実性の取り扱い ......................................................................... 1920 用語集 .............................................................................................. 2021 略語一覧 ........................................................................................... 2627 1 1 ガイドラインの目的 1.1 本ガイドラインは、中央社会保険医療協議会において、評価対象として選定された医薬 品・医療機器(以下、評価対象技術)の費用対効果評価を実施するにあたって用いるべき分 析方法を提示している。 1.2 本ガイドラインは製造販売業者により提出される分析と公的分析を対象としている。 2 2 分析の立場 2.1 分析を行う際には、分析の立場を明記し、それに応じた費用の範囲を決めなければな らない。 2.2 費用や比較対照技術、対象集団などについて公的医療保険制度の範囲で実施する 「公的医療の立場」を基本とする。 2.2.1 「公的医療の立場」以外の他の立場から分析を実施する場合でも、「公的医 療の立場」の分析を実施しなければならない。 2.2.2 一部の予防技術(検診やワクチン等)など厳密には公的医療保険制度に含 まれないものでも、それに準ずる医療技術であれば、公的医療保険制度に含まれる ものと同様の取り扱いをした分析を実施する。 2.3 公的介護費へ与える影響が、医療評価対象技術にとって重要である場合には、「公的 医療・介護の立場」の分析を行ってもよい。 2.4 評価対象技術の導入が生産性に直接の影響を与える場合には、より広範な費用を考 慮する立場からの分析を行い、生産性損失を費用に含めてもよい。 3 3 分析対象集団 3.1 製造販売業者による分析実施品目の指定時点において、評価対象技術の適応症とな る患者を分析対象集団とする。 3.1.1 品目の指定から製造販売業者による分析結果の提出時枠組み決定までの 間に適応症が追加される(あるいは用法用量が追加される)場合は、それらの適応 (也用法用量)についても原則として分析対象に含める。 3.1.2 「3.1.1」で定める期間以降に新たな適応症が追加され、評価結果に影響を 与えると考えられる場合、当初の評価終了後に改めて評価を実施する。 3.2 複数の適応がある場合、あるいは同一疾患内においても治療成績や使用方法・用法用 量、比較対照技術が異なる主要な集団がある場合は、各集団についてそれぞれ分析を実施 することを原則とする。 3.2.1 ただし、「3.2」を実施することが困難な場合は、患者数や疾患の性質等を 勘案して、協議における両者(製造販売業者と国立保健医療科学院/公的分析班: 以下同様)の合意のもとで集団を選択することとする。 3.3 各集団の患者割合は、評価対象技術の対象患者に係る最新の臨床実態に基づくことを 原則とする。 4 4 比較対照技術 4.1 評価を行う際の比較対照技術は、評価対象技術が分析対象集団への治療として導入さ れた時点で、臨床的に幅広く使用されており、評価対象技術によって代替されると想定される もののうち、治療効果がより高く、臨床現場等において幅広く使用されているいものを一つ選 定することが原則的な考え方である。 4.1.1 比較対照技術としては無治療や経過観察を用いることもできる。 4.1.2 「4.1.1」の場合を除いて、比較対照技術は原則として公的医療保険で償還 されて使用が認められているものとする。 4.1.3 ただし、「4.1」において、一意に決めることが難しい場合は、無作為化比較 試験(Randomized controlled trial: RCT)等における比較対照技術、価格算定 上の類似技術、費用対効果の程度等も考慮して最も妥当と考えられる比較対照技 術を両者の協議により選定する。 4.2 比較対照技術として選定した理由については十分に説明する。 5 5 追加的有用性 5.1費用対効果を検討するにあたっては、評価対象技術の比較対照技術に対する追加的な 有用性の有無がデータによって示されているか、示されていないかをまず評価する。 5.2追加的な有用性を検討する際に、「4.」で選定した比較対照技術に対するRCTのシステ マティックレビュー(Systematic review: SR)を実施し、追加的有用性の有無を評価する。 適切なものであれば公開されていない臨床研究や治験の結果等を含めてよい。 5.2.1 SRを実施する際には、クリニカルクエスチョン(Clinical question: CQ)を 明確に提示する。例えばPICO(P: 患者(Patient), I: 介入(Intervention), C: 比較対照(Comparator), O: アウトカム(Outcome))などで構造化されたCQを 定義する。 5.2.2 評価対象技術あるいは「4.」で選定した比較対照技術とアウトカムが同等で あると考えられる同一作用機序あるいは同一機能区分等の類似技術について、協 議の上で適切と判断されれば、それらをSRにおける介入(I)あるいは比較対照(C) に含めてもよい。 5.2.3 「5.2.1」におけるアウトカム(O)指標は、臨床的な有効性・安全性・健康関 連 QOL の観点のうち、評価対象技術の特性を評価する上で、適切なもの(真のア ウトカム指標など)を用いる。 5.2.4 PRISMA(Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses)声明の原則に従い、研究の組み入れ基準・除外基準、使用した データベース、検索式、論文選択のプロセス(情報フロー図を含む)等を記載する。 5.2.5 信頼できる既存のSRが存在する場合、それらを活用することは可能である が、CQ に合致するか、最新の文献まで含まれているか等を検討した上で、そのま ま使用するあるいは追加的なSRを実施して研究を追加する等の検討を行う。 5.2.6 実施することが適切な場合は、メタアナリシスの手法を用いて各試験を統合 した結果を提示する。その場合、用いた統計手法、異質性の評価、フォレストプロッ ト、統合した値とその信頼区間等を明らかにする。 6 5.2.7 RCTが存在しないことが明らかな場合、協議における両者の合意のもとで、 「5.2」のプロセスは省略できるものとする。 5.2.8 SRにおける文献検索終了時点は、分析枠組みが決定された後から製造販 売業者による分析提出までの一時点に決める。 5.2.9 「5.2.8」の文献検索期間終了後に費用対効果評価において重要と考えら れる臨床研究(症例数の多い主要な研究結果、現在の知見と異なる結果が得られ た信頼性の高い研究等)が公表等された場合、それらを含めることの必要性につい て検討する。その際には追加的なSRを実施しなくてもよい。 5.3 「5.2」の SR の結果、適切なものが存在しない場合、協議の上で適切と判断されれば、 「5.2」のプロセスに基づき、アウトカムを比較した非RCT(観察研究等)のSRを実施し、追加 的有用性の有無を評価する。ただし、研究の質(研究デザイン、群間での患者背景の差異、 統計解析手法、サンプル数や施設数等)について十分に説明しなければならない。 5.4 より信頼性の高い結果が得られると考えられる場合、協議の上で適切と判断されれば、 既存の観察研究やレジストリーデータなどを再解析した結果をもって、追加的有用性の有無 を評価してもよい。ただし、研究の質(研究デザイン、群間での患者背景の差異、統計解析手 法、サンプル数や施設数等)について十分に説明しなければならない。 5.5 「4.」で選定した比較対照技術とのRCTは存在しないが、その他のRCTが存在する場 合、協議の上で適切と判断されれば、SR の結果を用いて、間接比較により、追加的有用性 の有無を評価をしてもよい。 5.5.15.6 ただし、「5.5」の可否は分析の質に依存する。単群試験しか存在しない場合は、 評価対象技術と比較対照技術それぞれについてのSRに基づき、間接比較を実施する。 5.7 間接比較を行う場合、以下を原則とする。 5.7.1 個人レベルのデータを用いることができる場合、MAIC(Matched adjusted indirect comparison: マッチング調整された間接比較)等を用いて患 者背景の違いなど適切な補正を行う必要がある。 7 5.7.2 個人レベルのデータを用いることができない場合、複数の RCT を用いた adjusted indirect comparison(調整された間接比較)あるいはネットワークメタ アナリシスなどに基づくことが望ましい。 5.7.3 個人レベルデータも比較試験結果も利用できない場合、その他の代替手段 が存在しなければ naïve indirect comparison(単純な間接比較)を用いて評価 をすることもできる。この場合、結果の不確実性について慎重に検討する。 5.7.4 間接比較を行う場合は、間接比較を可能とする前提条件(疾患、重症度、患 者背景等の異質性や試験の同質性など)についても十分に説明しなければならな い。 5.6 単群試験しか存在しない場合は、評価対象技術と(必要であれば)比較対照技術につ いてのSRを実施し、その結果を提示する。 5.6.1 この場合の追加的有用性の評価については、医療技術や疾患の性質、患 者背景、研究の質等に依存するので、協議における両者の合意のもとで判断する。 5.75.8 「5.3」から「5.67」までの手法において得られた結果が、研究の質に課題がある と判断され、かつるものの治療効果が劣っているとは考えられない場合には、評価対象技術 のアウトカムが比較対照技術と同等であるという前提で、「6.」の分析を実施する。 5.89 ヒトを対象とした適切な臨床研究が存在しない場合、協議の上で適切と判断されれば ならば、医薬品医療機器総合機構からの承認により、比較対照技術と同等であるという前提 で、「6.」の分析を実施する。 5.910 「5.2」から「5.67」までの結果、アウトカムが比較対照技術と比べて劣ると判断され る場合は、費用対効果の分析は実施しない。 8 6 分析手法 6.1 効果を金銭換算せず、費用と効果を別々に推計する費用効果分析を分析手法として用 いることを原則とする。 6.2 「5.」の分析に基づき、追加的有用性が示されていると判断される場合には、各群の期 待費用と期待効果から増分費用効果比(Incremental cost-effectiveness ratio: ICER) を算出する。 6.3 ただし、以下の場合については、各群の期待費用と期待効果のみを提示のみをして、 ICERは算出しないこととする。 6.3.1 比較対照技術と比べて効果が同等以上(増分効果の大きさが非負)で高く、 かつ費用が安い場合。このとき、ICER を算出せずに優位(dominant)であるとす る。 6.3.2 「5.」の分析により、追加的有用性が示されていないものの、アウトカムは同 等と考えられるものの、追加的有用性を有すると判断できない場合には、比較対照 技術との費用を比較する。(いわゆる「費用最小化分析(Cost-minimization analysis :CMA)」)。このとき、結果は費用削減あるいは費用増加とする。 6.4 「3.2」あるいは「3.2.1」により、分析対象となる複数の疾患や、同一疾患内での複数の 分析集団がある場合、ICERは疾患や集団ごとに算出する。 6.5 評価対象技術に関する既存の費用効果分析や主要な諸外国の医療技術評価機関に おけるいて公表された評価結果が既に存在する場合は、それらもあわせて示す。 9 7 分析期間 7.1 評価対象技術の費用や効果におよぼす影響を評価するのに十分に長い分析期間を用 いる。 7.2 費用と効果は、原則として同じ分析期間を用いる。 7.3 分析期間については、そのように設定した理由を説明すること。 10 8 効果指標の選択 8.1 効果指標は質調整生存年(Quality-adjusted life year: QALY)を用いることを原則 とする。 8.1.1 QALY を算出することが困難であり、かつ CMA を実施する場合は、協議に おける両者の合意のもとで、適切であれば、QALY 以外の評価尺度を使用すること もできる。 8.2 QALY を算出する際の QOL 値は、一般の人々の価値を反映したもの(選好に基づく尺 度(preference-based measure: PBM) で測定したもの、あるいは基準的賭け (Standard gamble: SG)法、時間得失(Time trade-off: TTO)法などの直接法で測定し たもの)を用いる。ただし、TTO と SG での測定値には系統的な差がある可能性について留 意することにより測定したものを用いることを原則とする。 8.2.1 費用効果分析を行うために、新たに日本国内で QOL 値を収集する際には、 TTO 法を用いて国内データに基づき換算表が開発された(あるいは TTO 法で測定 されたスコアにマッピング等された)PBMEQ-5D-5Lを第一選択として推奨する。 8.2.2 「8.2」に該当するデータが存在しない場合、その他の適切な健康関連 QOL(Health-related quality of life: HRQOL)データからQOL値へマッピングし たものを使用してもよい。マッピングにより得られた値を使用する場合、適切な手法 を用いてQOL値に変換していることを説明しなければならない。 8.3 PBMによりQOL値を測定する場合には、対象者本人が回答することが原則である。 8.3.1 PBM を用いる場合、対象者本人から QOL 値が得られない場合に限り、家 族や介護者等による代理の回答を用いてもよい。 8.3.2 PBMを用いる場合、医療関係者による代理回答は、対象者本人の回答と乖 離する可能性があるので、その点について説明する避けることが望ましい。 8.3.3 対象者本人から QOL 値を得ることが困難な場合などには、一般の人々を 対象に健康状態を想起させることにより直接法を用いて測定してもよい。ただしその 11 提示するシナリオの妥当性等については臨床家のチェックを受けることが望ましい。 また、直接法を用いる場合、TTO 法により測定することを推奨する SG(Standard gamble: 基 準 的 賭 け ) 法 や TTO(Time trade-off: 時 間 得 失 ) 法 、 DCE(Discrete choice experiment: 離散選択実験)法などの手法を用いて測 定してもよい。ただし、これらの手法で測定されたQOL値は、提示するシナリオによ り結果に大きな影響を与えるため、同一の健康状態においては同一のQOL値を用 いるなどの留意が必要である。 8.4 QOL値は、「8.2」および「8.3」を満たすものがある限り、国内での調査結果を優先的に 使用することを推奨する。 8.4.1 ただし、国内における研究がないあるいは不十分で、海外で質の高い研究 がなされている場合は、海外で測定されたものを使用してもよい。 8.5 「公的医療・介護の立場」からの分析の場合、実際のデータがあれば家族等の介護者 や看護者に与えるQOL値への影響について考慮に入れてもよい。 12 9 データソース(費用を除く) 9.1 ICER 等を算出するにあたって使用する有効性・安全性・QOL 値等のデータ(モデル分 析を実施するにあたって使用する推移確率等のパラメータも含める)については原則として、 研究の質やエビデンスレベルが高く、かつ日本における現実の臨床成績を反映しているもの を優先的に使用する。 9.1.1 有効性・安全性・QOL 値等のデータ選定においては、国内外の臨床研究の SR に基づくことを推奨する。適切なものであれば公開されていない臨床研究や治 験の結果等を含めてよい。 9.1.2 原則としてエビデンスレベルの高いデータの使用を優先すべきであるが、研 究の質や分析における対象集団、結果の外的妥当性等を勘案して適切なものを使 用することを推奨する。(例:RCT の結果が、実際の臨床成績と大きく乖離している 可能性があるなど) 9.1.3 適切な場合は、既存の臨床研究やデータベース等を再解析してもよい。そ の場合は、患者背景や解析手法等について詳細を明らかにする。 9.2 国内外でデータに明確な異質性が存在する際には、国内データを優先して使用する。 9.3 評価対象技術と比較対照技術で統計的に有意な差がデータ上認められない場合は、 両群をプールした同一ので同じ値を用いることを原則とする。そうでなければ、「5.」両群で同 じ値を用いない場合は、支持するデータや理由、治療効果の大きさ(臨床的に規定されたプ ロセス等意味のあるものか)などにより追加的有用性ついてあわせて検討を有する行い、そ れが妥当であることを説明しなければならない。 9.4 医療機器等の評価において、科学的に信頼できる定量的なデータがある場合は、協議 における両者の合意のもとで、上記のデータに基づく分析とは別に、いわゆる習熟効果(経験 の蓄積による治療効果等の改善)や製品改良による効果を反映した分析をあわせて提出し てもよい。 13 10 費用の算出 10.1 「公的医療の立場」においては公的医療費のみを費用に含める。 10.2 各健康状態の費用は、評価対象技術によって直接影響を受ける関連医療費のみを 含め、非関連医療費は含めないことを原則とする。 10.3 各健康状態の費用の推計においては、日本における平均的な使用量や標準的な診 療過程等が反映されている必要がある。 10.4 各健康状態の費用の推計において、適切な場合には、「10.3」の観点から実臨床を 反映した国内におけるレセプトのデータベースを用いることを推奨する。ただし、レセプト上で 健康状態の定義が困難である、評価時点においてデータの十分な蓄積がないなど、推計の 実施が困難な場合はその限りではない。 10.4.1 レセプトデータを用いて推計する場合、各健康状態の定義とその根拠を示 さなければならない。 10.4.2 費用を推計するために用いた手法(外れ値処理や非関連医療費の除外な どを含む)については、用いた手法ものとその根拠を示さなければならない。 10.5 各健康状態の費用の推計において、レセプトデータベースを用いることが困難と判断 される場合、あるいはより適切であると判断される場合は、標準的な診療プロセス等に基づき 積み上げで算定してもよい。 10.5.1 積み上げで算定する場合は、「10.3」の観点から、その算定根拠につい て示すこと。関連する資源消費項目と消費量について、レセプト等のデータベースを 用いて同定するなどしてもよい。 10.5.2 費用を積み上げで推計する場合は、医療資源消費量と単価を区分して集 計、報告することを原則とする。 10.5.3 「10.5.2」の資源消費量の集計において、注射剤のバイアルについては、 残量廃棄を原則とする。 14 10.6 評価対象技術や比較対照技術の費用のみでなく、有害事象や将来の関連する合併 症等の費用も含めて推計する。 10.7 公的医療費については、保険者負担分のみならず公費や患者負担分も含めて費用と して取り扱う(公的医療費の全額)。 10.7.1 「2.2.2」の原則に応じて、検診やワクチン等の公的医療費に準じる費用 も費用として含める。 10.8 単価は可能な限り最新時点の診療報酬点数表や薬価基準等を使用する。特に評価 対象技術あるいは比較対照技術については必ず最新時点の価格を用いなければならない。 10.8.1 既存の疾病費用分析やレセプトデータを用いた分析などの場合、単価は 医療資源が消費された時点ではなく、分析実施時点にそろえたものを用いる。その 際に、診療報酬改定率を乗じる等により調整してもよい。 10.8.2 結果に与える影響が無視できる程度である場合には、分析実施時点に調 整しないことも許容する。 10.9 比較対照技術に後発医薬品が存在する場合は、それらの価格を用いた分析もあわせ て提出する。 10.10 評価対象技術あるいは比較対照技術の費用が包括支払いの対象となっている場合 は、出来高で費用を算出する。 10.11 将来時点に発生する費用も、現時点における医療資源消費や単価に基づき推計し たものを用いる。 10.12 海外データを用いる際には、医療資源消費量について、国内外における医療技術 の使用実態等の違いに配慮する必要がある。単価は国内のものを反映させなければならな い。 15 11 公的介護費用・生産性損失の取り扱い 11.1 「公的医療・介護費用や当該疾患によって仕事等ができない結果生じる生産性損失 の立場」では、基本分析においては含めない加えて、公的介護費を含める。 11.1.1 追加的な分析においては、を実施することができる。なお、公的介護費は国内の知 見に基づき推計された公的介護費や生産性損失を含めてもよい。ただし、生産性損失を含 めることができるかどうかは、疾患の特性等による就業可能性ものを考慮しなければならな い用いる。 11.2 公的介護費用を費用に含める場合は、要介護度・要支援度別に費用を集計すること を推奨する。 11.3 要介護度ごとの公的介護保険の利用額は、対象疾患等における実際の資源消費量 に基づくことが原則であるが、測定することが困難な場合は平均的な受給者 1 人当たり費用 額等を用いてもよい。 11.4 生産性損失を含めた分析を行う場合、基本分析に加えて、追加的分析を実施すること ができる。ただし、生産性損失を含めることができるかどうかは、疾患の特性等による就業可 能性を考慮しなければならない。また、生産性損失は国内の知見に基づき推計されたものを 用いる。 11.45 生産性損失の減少は、 (A) 医療技術に直接起因するもの(治療にともなう入院期間の短縮等) (B) アウトカムの改善(病態の改善や生存期間の延長等)を通じて間接的に生じるもの に分けて考えることができる。 生産性損失を分析に含める場合には、原則として(A)のみを費用に含めることとする。 11.56 生産性損失は、人的資本法を用いて推計することを基本とする。これは、当該疾患 に罹患していなければ、本来得られたであろう賃金に基づき推計する方法である。 11.56.1 生産性損失を推計する際に単価として用いる賃金は、公平性等を考慮 して、最新の「賃金構造基本統計調査」(賃金センサス)に基づき、全産業・全年齢・ 全性別の平均あるいは全産業・全性別の年齢階級別の平均を用いることとする。 16 11.56.2 生産性損失を推計するにあたっては、対象となる集団において就業状 況を調査し、実際に仕事等に従事できなかった日数や時間を測定する。これに全産 業・全年齢・全性別の平均賃金を乗じて生産性損失を推計することが原則である。 11.56.3 「11.56.2」の実施が困難な場合、対象集団において仕事等に従事でき ないと推計される日数(休日は除く)や時間に全産業・全年齢・全性別の平均賃金を 乗じて生産性損失とする。18歳以上の就業率を 100%と仮定する。ただし、この方 法は 18 歳以上の就業率を 100%と仮定するものであり、生産性損失を過大推計 する可能性のあることに留意が必要である。 11.67 家族等による看護や介護のために本人以外の生産性が失われることが明らかな場 合は、本人の生産性損失と同じ条件・取り扱いのもとで費用として含めてもよい。 11.78 仕事等の減少とは無関係な時間費用等については含めないこととする。 17 12 割引 12.1 将来に発生する費用と効果は割引を行って、現在価値に換算しなければならない。 12.1.1 ただし、分析期間が 1 年以下、あるいは短期間でその影響が無視できる 程度であるときは、割引を行わなくてもよい。 12.2費用・効果ともに年率2%で割引を行うこととする。 12.3 割引率は、感度分析の対象とし、費用・効果を同率で年率0%から4%の範囲で変化 させる。 18 13 モデル分析 13.1 「7.」の原則に基づき、予後や将来費用を予測するために決定樹モデル、マルコフモ デル等を用いたモデル分析を行ってもよい。 13.2 モデル分析を行う際には、そのモデルの妥当性について示さなければならない。例え ば、 (A) 内的妥当性: なぜそのような構造のモデルを構築したのか、病態の自然経過を十分に とらえられているか、使用しているパラメータは適切なものか等 (B) 外的妥当性: 既存の臨床データ等と比較して、モデルから得られた推計が適切なもの であるか等 13.3 モデルを構築する際に使用した仮定については明確に記述する。 13.4 モデルを構築する際に使用したパラメータとそのデータソースについてはすべて提示 する。 13.5 使用したモデルや計算過程については電子ファイルの形式で、第三者の専門家が理 解でき、かつ、原則としてすべての主要なパラメータ(推移確率、QOL 値、費用)を変更できる 形で作成し、提出する。 13.5.1 費用については、その全体額のみでなく、それらの詳細(積み上げの場合 は各資源消費量と単価など)を変更できるようにしておくことが望ましい。特に評価 対象技術や比較対照技術の単価については、第三者が変更できるようにしなけれ ばならない。 13.6 マルコフモデルを用いて解析する場合、1サイクルあたりの期間が長く、結果に影響を 与える場合は、半サイクル補正を実施する。 19 14 不確実性の取り扱い 14.1診療パターン分析の設定等が一意に定まらず、それらの違いが結果に影響を与える 可能性がある場合は、複数のシナリオ設定に基づいた分析を行う。 14.2 分析期間が長期にわたり不確実性の大きい状況では、臨床研究のデータが存在する 期間を分析期間とするなど、より短期の分析もあわせて行う。 14.3 「5.」において比較対照技術との比較試験が存在しない場合、特に単群試験の結果 同士を比較した場合は、不確実性が大きいので十分に広い範囲での感度分析を実施する。 14.4 推定値のばらつきの大きなパラメータ、実際のデータではなく仮定に基づき設定した パラメータ、諸外国のデータで国内のデータと異質性を有する可能性があるパラメータ等につ いては、感度分析の対象とする。 14.5 推定値のばらつきのみが問題となる場合(パラメータの不確実性を取り扱う場合)、感 度分析で動かす幅としては、95%信頼区間などを参考に設定する。 14.6 確率的感度分析(Probabilistic sensitivity analysis: PSA)もあわせて実施すること が望ましい。その場合、使用したパラメータの分布についても明らかにするとともに、費用効 果平面上の散布図と費用効果受容曲線(Cost-effectiveness acceptability curve: CEAC)を提示する。 20 用語集 ・ QOL値 人々の健康状態(から得られる価値)を0(死亡)から1(完全な健康状態)に基準化して、一 次元で数値化したもの。ただし、「死ぬより悪い」健康状態として負のスコアも取りうる。 QOL 値の測定方法には大別して、仮想的な(あるいは本人の)健康状態に対して、その状 態のQOL値を一般の人々を対象に質問する「直接法」(基準的賭け(SG)法、時間得失(TTO) 法など)と、QOL 質問票により得られた回答からスコアリングアルゴリズムを用いて QOL 値を算出する「間接法」が存在する。なお、TTOとSGで測定された値には,系統的な差が 存在する可能性があるので留意が必要である。 すべての患者報告アウトカム(Patient-reported outcome: PRO)やQOL尺度での測定値 から費用効果分析で使用される QOL 値が算出できるわけではないことに注意が必要である。費 用効果分析で利用できるのは、下記のように QALY を算出するために開発された選好にもとづく (preference-based)尺度で測定したもののみである。 現在のところ、日本でスコアリングアルゴリズムが開発されている尺度としては EQ- 5D(EuroQol 5 dimension)、HUI(Health Utilities Index)等がある。 ・ 患者報告アウトカム (Patient-reported outcome: PRO) ・ 症状スケール (Symptom scale): 自覚症状等を患者に聞くための尺度 ・ 健康関連QOL (Health-related quality of life: HRQOL) ・ プロファイル型尺度: 患者のQOLを(主に多次元で)測定する ・ 全般的(generic)尺度: どの疾患でも使用できる (例) SF-36等 ・ 疾患特異的(disease specific)尺度:特定の疾患を対象に開発された尺度 (例)癌におけるFACT、EORTC等 ・ 選好にもとづく尺度: 費用効果分析で用いるQOL値の測定ができるものがある (例) EQ-5D, SF-6D, HUI等 ・ その他のPRO尺度 ・ エビデンスレベル エビデンスレベルには様々な分類法が存在するが、Minds(Medical Information Network Distribution Service)では以下のように定めている。 I システマティック・レビュー/RCTのメタアナリシス II 1つ以上のRCTによる 21 III 非ランダム化比較試験による IV a 分析疫学的研究 (コホート研究) IV b 分析疫学的研究 (症例対照研究、横断研究) V 記述研究 (症例報告やケース・シリーズ) VI 患者データに基づかない、専門委員会や専門家個人の意見 ただし、RCTのような実験的研究が現実の臨床成績と乖離している可能性はしばしば指摘されて いる。エビデンスレベルの高いものの使用を原則としつつも、状況に応じた適切なデータを採用す る必要がある。 ・ 確率的感度分析 確率的感度分析は、モデルのパラメータに分布を当てはめること等により、増分費用や増分効 果、ICERの分布を得るための手法である。確率的感度分析の結果は、費用効果平面上に散布 図をプロットし、CEACとしてf(γ)=Pr(γ・IE - IC >0)を書くことが一般的である (IC: 増分費 用、IE: 増分効果、γ:支払意思額)。 ・ 間接比較 例えば臨床試験によって“A vs. B”と“A vs. C”の結果が得られているとき、これらの結果から 直接比較のない“B vs. C”の結果を推測することを間接比較(indirect comparison)と呼ぶ。 適切な比較対照を用いて分析しようにも直接の比較試験がない場合、間接比較を適用することが できる場合がある。 間接比較が成り立つためには“A vs. B”の結果が“A vs. C”の集団にも適応できること、逆に “A vs. C”の結果が“A vs. B”の集団にも適応できることが条件となる。このことを同質性 (similarity)の仮定と呼ぶ。間接比較を行うにあたっては、このような仮定に関する検討や、適切 な統計手法(例えば、単純な(naïve)間接比較ではなく調整された(adjusted)間接比較)を使用 することが必要である。また、ネットワーク・メタアナリシス(あるいは多群間治療比較(multiple treatment comparison: MTC)とも呼ばれる)のようなより高度な手法を用いた分析について も検討しうる。 ・ 感度分析 不確実性が存在する場合等に、パラメータの値を変化させることにより、結果への影響を見るこ とを感度分析という。1つのパラメータを変化させる一次元感度分析、2つのパラメータを同時に 動かす二次元感度分析、複数のパラメータの不確実性を同時に取り扱うPSA(確率的感度分析 の項を参照)などがある。 22 ・ システマティックレビュー システマティックレビュー(SR)とは特定の課題について文献等を網羅的に探索し、可能な限り バイアスなくその結果や評価報告する手法である。Mindsによれば『実際の作業面から定義する と、SRとは「クリニカルクエスチョンに対して、研究を網羅的に調査し、研究デザインごとに同質の 研究をまとめ、バイアスを評価しながら分析・統合を行うこと」』とされる。 しばしばSRとメタアナリシスが混同して使用されることもあるが、SRにおいて得られた結果は 必ずしも統計的に統合する必要はなく、このようなものを「定性的システマティックレビュー」と呼ぶ こともある。結果を統合することが適切な場合は、SRの結果に基づき、メタアナリシスを実施する こととしている。 なお、SR(メタアナリシス)の報告様式としては、国際的にPRISMA (Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses)声明が標準的に使用されている。 ・ 質調整生存年 質調整生存年(QALY)は、生存年にQOL値を乗じることにより得られる。QOL値が1は 完全な健康を、0は死亡を表す。QOL値0.6の健康状態で2年間生存した場合、生存年は 2年だが、0.6 x 2=1.2QALY(完全に健康な状態で1.2年生存したのと同じ価値)と計算さ れる。時間とともに QOL 値が変化する場合、図のように QOL 値の経時変化をあらわす曲 線下面積が獲得できるQALYとなる。 図QALYの概念図 ・ 人的資本法 生産性損失を、本来得られたであろう賃金に基づき推計する方法を人的資本法(human capital method)と呼ぶ。しかし、完全雇用が実現されていない状況下では、その人が働けなく てもかわりの誰かが働くはずであり、長期的には必ずしも生産性が失われるわけではない。その ため、社会における生産性がもとの水準に回復するまでにかかる摩擦費用(friction cost)のみ を含めるべきという意見もある。賃金は、疾病により実際に労働できなかった期間を調査すること により推計すべきであるが、そのような作業が困難な場合は、家事労働を含めたデータが存在し 23 ないため就業率を100%として取り扱ってもよい。また、賃金の単価については、公平性の観点 から、実際の単価にかかわらず全産業・全年齢・全性別の平均賃金を用いる。 ・ 生産性損失 病気が原因で仕事や家事ができなくなることによる社会的な損失(あるいは早期に回復できる ことによる社会的な便益)は生産性損失(productivity loss)として、分析の立場によっては費用 に含めることができるが、基本分析では含めないこととしている。また、生産性損失の範囲として は、本人のみならず家族等による看護や介護(インフォーマルケア)について検討してもよい。ただ し、本ガイドラインでは、効果との二重計上になる恐れがあること等から病態の改善や生存期間 の延長などアウトカムの改善を通じた間接的な生産性損失は含めないこととし、入院期間の短縮 など医療技術に直接起因するもののみを含めてもよいこととしている。 ・ 増分費用効果比 増分費用を増分効果で割ったものを増分費用効果比(ICER)という。以下の式により、治 療Bと比較した場合の治療AのICERが算出される。 24 I C E R  I I C E  C E A A   C E B B (IC: 増分費用、IE: 増分効果、C : 治療 Aの期待費用、C : 治療 Bの期待費用、E : 治 A B A 療Aの期待効果、E : 治療Bの期待効果) B 効果指標 1 単位獲得するあたり、いくらかかるかを表す指標であり、値が小さいほど費 用対効果はよい。 ・ 追加的有用性 費用効果分析を実施するにあたっては、増分費用効果比を算出する前に、比較対照技術と 比して追加的有用性等を有することを示す必要がある。追加的有用性を示す際の効果指標 については、必ずしも費用効果分析における効果指標と同一である必要はないが、臨床的に 意味のあるものを選択する必要がある。追加的有用性を有すると判断される場合は、費用効 果分析によりICERを算出する。一方で、追加的有用性を有すると判断できない場合は、い わゆるCMAにより費用の比較を実施する。 ・ 非関連医療費 医療費は、評価対象技術によって直接影響を受ける関連医療費(related medical cost)と生 命予後の延長等により間接的に影響されるもの、あるいは当該疾患と関連しないもの等の非関 連医療費(unrelated medical cost)とに分類できる。例えば、高血圧治療によって心血管疾患 や脳卒中が減少すると、期待余命が延長して、非関連医療費(例えば認知症や糖尿病、腎透析 など)が増大する可能性がある。このような非関連医療費は原則として費用に含めないこととして いる。 ・ 費用効果分析 医療技術の経済評価は下記の4パターンに分類されることが多い。(a) アウトカムを同等とお いて費用のみを検討する「費用最小化分析 (Cost-minimization analysis: CMA)」、(b) QALY以外の種々のアウトカム指標(生存年、イベント回避など)を用いる「費用効果分析 (Cost-effectiveness analysis: CEA)」、(c) QALYを用いる「費用効用分析 (Cost-utility analysis: CUA)」、(d) アウトカムを金銭化して評価する「費用便益分析 (Cost-benefit analysis: CBA)」。 しかし、CMA、CEA、CUA は費用とアウトカムを別々に推計するという点では、同種の分析で あるとも考えられるので、本ガイドラインではこれらの手法をまとめて費用効果分析と呼んでいる。 ・ 不確実性 費用効果分析を行う上では、様々な分析の不確実性(uncertainty)がともなう。 異質性(heterogeneity)は、広義の不確実性の一種であり、比較対照技術や診療パターン、 対象患者等が一意に定まらない状況を指す。これは、次に説明する狭義の不確実性とは異なり、 統計学や医療経済学上の技術的な問題ではなく、現実が多様であることに起因する。このような 異質性が存在する場合は、複数のシナリオ設定に基づいた感度分析を行うことを推奨している。 狭義の不確実性は、大きく(a)モデルの不確実性と(b)パラメータの不確実性に分けることがで きる。前者のモデルの不確実性は、さらに(a)-1方法論上の不確実性や(a)-2モデルの構造・仮 定等に起因するものがある。 (a)-1方法論上の不確実性は、割引率や生産性損失の推計方法、QOL値の測定方法等が 理論的には一意に定められないために生じる。これらを避けるためには、標準的な共通の手法に 従って分析を行うことが重要であるが、割引率など結果に大きな影響を与える場合には、一次元 感度分析によってその不確実性の大きさを評価する。 (a)-2モデルの構造・仮定に起因する不確実性は、健康状態や治療プロセスのモデル化法、 モデルに組み込むパラメータの選択、観察期間を超えて長期的な予後を予測するための仮定等 によって生じる。感度分析等によって評価する。 (b)パラメータの不確実性は、パラメータの推定値が持つ不確実性によって生じる。例えば、あ る臨床試験の中で100人中10人にイベントが起こったとしても、真のイベント発生率(母イベン ト発生率)は10/100=0.1ではないかもしれない。このような統計的推測に起因する不確実性 に対処するには、通常の感度分析に加えてPSAを行うことも有用である。 ・ マッピング 25 選好にもとづく尺度による測定値が存在しない場合、患者報告アウトカム(PRO)での測定結果 から、費用効果分析で使用するQOL値を算出することが有用な場面もある。このような尺度間 のスコア変換をマッピング(mapping)と呼ぶ。他のデータが存在しないときなどにマッピングは次 善の手法として許容されうるものの、統計学的な妥当性などを十分に検討した上で実施すべきで ある。 ・ メタアナリシス システマティックレビューで得られた結果を統計的手法によって統合し、統合した値やその信頼 区間を求める手法である。異質性が小さい場合は、固定効果モデル、異質性が大きい場合は変 量効果モデルやベイズモデルを用いるのが一般的である。結果はフォレストプロットを用いて表記 する場合が多い。治療間の対比較ではなく、複数の治療の比較を行う場合は、ネットワークメタア ナリシスと呼ばれる手法が用いられる(→間接比較)。 ・ 優位・劣位 評価対象技術が比較対照技術と比して費用が安く効果も同等以上である場合、その医療技術 は「優位(dominant)」であるという。一方、評価技術が対照技術技術と比較して費用が高いが効 果は同等以下である場合、その医療技術は「劣位(dominated)」と呼ばれる。 ・ 割引 費用効果分析においては、将来に発生する(あるいは得られる)費用とアウトカムを現在価値に 換算するため、一定の率で割引くことが一般的である。年単位で割引を行ったあとの現在価値に 換算された費用C は、i年後の費用C と割引率dを用いて p i C C  i p (1 d)i1 によって計算することができる。効果についても同様である。 26 略語一覧 ・ CBA: Cost-benefit analysis, 費用便益分析 ・ CEA: Cost-effectiveness analysis, 費用効果分析 ・ CEAC: Cost-effectiveness acceptability curve, 費用効果受容曲線 ・ CMA: Cost-minimization analysis, 費用最小化分析 ・ CUA: Cost-utility analysis, 費用効用分析 ・ CQ: Clinical question, クリニカルクエスチョン ・ DCE Discrete choice experiment, 離散選択実験 ・ EQ-5D: EuroQol 5 dimension ・ HRQOL: Health-related quality of life, 健康関連QOL ・ ICER: Incremental cost-effectiveness ratio, 増分費用効果比 ・ MAIC: Matched adjusted indirect comparison, マッチング調整された間接比較 ・ MTC: Multiple treatment comparison, 多群間治療比較 ・ PBM: Preference-based measure, 選好に基づく尺度 ・ PRO: Patient-reported outcome, 患者報告アウトカム ・ PRISMA: Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta- Analyses ・ PSA: Probabilistic sensitivity analysis, 確率的感度分析 ・ QALY: Quality-adjusted life year, 質調整生存年 ・ RCT: Randomized controlled trial, ランダム化比較試験 ・ SG: Standard gamble, 基準的賭け法 ・ SR: Systematic review, システマティックレビュー ・ TTO: Time trade-off, 時間得失法 27 政策科学総合研究事業(政策科学推進研究事業)「医薬品・医療機器等の費用対効果評 価における公的分析と公的意思決定方法に関する研究」班 (研究代表者: 福田 敬) 28

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出典:厚生労働省ホームページ (https://www.mhlw.go.jp/)

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