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総会 第617回 / 2025-09-17 開催 / 24ページ

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中医協 総-4参考3 7 . 9 . 1 7 最適使用推進ガイドライン ドナネマブ(遺伝子組換え) 令和 6 年 11 月(令和 7 年 8 月改訂) (厚生労働省) 目次 1.はじめに .......................................................................................................... P1 2.本剤の特徴、作用機序 ....................................................................................... P2 3.臨床成績 ......................................................................................................... P3 4.投与対象となる患者及び投与施設 ..................................................................... P15 5.投与に際して留意すべき事項 ............................................................................ P22 1.はじめに 医薬品の有効性・安全性の確保のためには、添付文書等に基づいた適正な使用が求めら れる。さらに、近年の科学技術の進歩により、抗体医薬品等の革新的な新規作用機序を有す る医薬品が承認される中で、これらの医薬品を真に必要とする患者に適切に提供することが 喫緊の課題となっており、経済財政運営と改革の基本方針 2016(平成 28 年6月2日閣議決 定)においても、革新的医薬品等の使用の最適化推進を図ることとされている。 新規作用機序を有する医薬品は、薬理作用や安全性プロファイルが既存の医薬品と明ら かに異なることがある。このため、有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積されるまでの間、 当該医薬品の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに、副作用が発 現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件を満たす医療機関で使用することが重 要である。 また、認知症については、認知症施策推進大綱(令和元年6月)に基づき、認知症の発症 を遅らせ、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指し、認知症の人や 家族の視点を重視しながら「共生」と「予防」を車の両輪として施策を推進してきたところである。 さらに、共生社会の実現を推進するための認知症基本法(令和5年6月成立、令和6年1月施 行)に基づき、今後、認知症施策推進基本計画等を策定し、認知症の人が尊厳を保持しつつ 希望を持って暮らすことができるよう、認知症施策を総合的かつ計画的に推進することとなる。 本剤はN3pG Aβ(N末端第3残基においてピログルタミル化されたAβ)を標的とする抗体 医薬品であり、既存の医薬品と治療における位置づけ、薬理作用、安全性プロファイル等が 異なることから、適切な患者選択や投与判断、重篤な副作用発現の際の迅速な安全対策等を 確保した上で、最適な薬物療法を提供できるように進めていくことが重要である。 したがって、本ガイドラインでは、開発段階やこれまでに得られている医学薬学的・科学的 見地に基づき、以下の医薬品の最適な使用を推進する観点から必要な要件、考え方及び留 意事項を示す。 なお、本ガイドラインは、独立行政法人医薬品医療機器総合機構、一般社団法人日本神 経学会、一般社団法人日本神経治療学会、公益社団法人日本精神神経学会、一般社団法 人日本認知症学会、一般社団法人日本老年医学会、公益社団法人日本老年精神医学会及 び一般社団法人日本脳卒中学会の協力のもと作成した。 対 象 となる医 薬 品:ドナネマブ(遺伝子組換え) 対象となる効能又は効果:アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行 抑制 対象となる用法及び用量:通常、成人にはドナネマブ(遺伝子組換え)として初回は350 mg、 2回目は700 mg、3回目は1050 mg、その後は1回1400 mgを4 週間隔で、少なくとも30分かけて点滴静注する。 製 造 販 売 業 者:日本イーライリリー株式会社 1 2.本剤の特徴、作用機序 ドナネマブ(遺伝子組換え)(以下「本剤」)は、脳内のアミロイド β(Aβ)プラークのみに存 在すると考えられるN3pG Aβ(N末端第3残基においてピログルタミル化されたAβ)を標的と する免疫グロブリンG1(IgG1)モノクローナル抗体である(Neuron 1995; 14: 457-66)。 アルツハイマー病(AD)では、脳内に蓄積・沈着したAβが神経変性を生じさせ、認知機能 低下に関連すると考えられている。本剤は、Aβ プラークに特異的に結合し、ミクログリアを介 した貪食作用によるAβプラークの除去を促進する(Neuron 2012; 76: 908-20)ことで、ADに よる軽度認知障害(MCI due to AD)及びADによる軽度の認知症(軽度AD-D)の進行を抑制 することが期待される。 なお、本文書では特に断りのない限り、「ADによる軽度認知障害(MCI due to AD)及びAD による軽度の認知症」を「早期AD」と略記する。 2 3.臨床成績 製造販売承認時に評価を行った主な臨床試験及び承認事項一部変更承認時に評価を行 った臨床試験の成績を示す。 (1) 国際共同第Ⅲ相試験(AACI試験) 【試験の概要】 本剤の有効性についてプラセボに対する優越性を検証する目的で、軽度から高度の脳内 タウ蓄積が認められる早期 AD 患者 1736 例(うち日本人 88 例)を対象としたプラセボ対照無 作為化二重盲検比較試験が国内外277施設で実施された。 本試験は導入期間(詳細なスクリーニング期間の前に随時)、詳細なスクリーニング期間(最長7 週間)、76 週間の二重盲検投与期間、78 週間の継続投与期間、最長 44 週間の追跡調査期間か ら構成された。二重盲検投与期間中は、プラセボ又は本剤 1400 mg(ただし、最初の3回は 700 mg)を4週間に1回静脈内投与することとされ、治験薬投与 24 及び 52 週時のフロルベタ ピル(18F)又はフロルベタベン(18F)を用いたアミロイド陽電子放出断層撮影(PET)検査におい てアミロイドプラークの減少が投与完了の基準1)を満たした場合、二重盲検下で本剤からプラ セボへ切り替えることとされた。 [主な選択基準] 以下を満たす60歳以上85歳以下の早期AD患者 記憶障害が6か月以上にわたって徐々に進行していることが本人又はスタディパートナー 2)から報告されている 導入期間又はスクリーニング時のMini-Mental State Examination(MMSE)スコアが20以 上28以下である フロルベタピル(18F)又はフロルベタベン(18F)3)を用いたアミロイド PET 検査により脳内に アミロイドプラークが認められる フロルタウシピル(18F)を用いたタウPET検査により軽度から高度4)の脳内タウ蓄積が認め られる スクリーニング時の核磁気共鳴画像(MRI)検査において、下記の所見が認められていな い 1)いずれか1回の測定で11センチロイド未満、又は連続する2回の測定で11以上25センチロイド未満。 2)治験参加のために同意説明文書を提出し、患者と1週間に10時間以上連絡を取れる状態にあり、患者の 試験来院に付き添うことができる又は指定した時間に電話で連絡が取れる者とされた。 3)日本ではフロルベタピル(18F)のみが用いられた。 4)脳内タウ蓄積が軽度又は中等度:視覚読影による蓄積部位のパターンが中等度のAD(JAMA Neurol 2020; 77: 829-39)に相当しSUVr 1.10以上1.46以下、又は視覚読影による蓄積部位のパターンが高度のADに 相当しSUVr 1.46以下 脳内タウ蓄積が高度:視覚読影による蓄積部位のパターンが中等度のAD又は高度のADに相当しSUVr 1.46以上 3 アミロイド関連画像異常-浮腫/滲出液貯留 5カ所以上の脳微小出血 2カ所以上の脳表ヘモジデリン沈着 1 cm超の脳出血 重度の白質病変 【結果】 [有効性] 主要評価項目であるベースラインから治験薬投与後 76 週までの integrated Alzheimer’s Disease Rating Scale(iADRS)5)の変化量は表1のとおりであり、主要評価項目の主要な解析対 象とされた全体集団で iADRS の悪化抑制効果について本剤群のプラセボ群に対する優越性 が示された。本剤群における iADRS の悪化抑制の程度は 22.3%であり、最も早い評価時点で ある投与 12 週時から投与群間で差異が認められ、投与群間の治療効果の差の絶対値は経 時的に広がった(図1)。 副次評価項目とされたベースラインから治験薬投与後76週までのClinical Dementia Rating Scale – Sum of Boxes(CDR-SB)6)、Alzheimer's Disease Cooperative Study-Activities of Daily Living Inventory, instrumental items(ADCS-iADL)7、Alzheimer's Disease Assessment Scale- 13-item Cognitive subscale(ADAS-Cog )8、及びMMSEの変化量は表2のとおりであり、各評 13 価項目について、本剤群でプラセボ群と比較して悪化抑制傾向が認められた。CDR-SB、 ADCS-iADL及びADAS-Cog の悪化抑制の程度は、それぞれ28.9%、27.8%、19.5%であった。 13 CDR-SBについて、投与群間の治療効果の差の絶対値は経時的に広がった(図2)。 ベースラインから治験薬投与後 76 週までのアミロイドPET 検査(センチロイド法)により評価 した脳内Aβ蓄積量の変化量は表3のとおりであり、プラセボ群と比較して本剤群で減少した。 本剤群のベースライン時のセンチロイドスケールの平均値は 104.0 であったが、投与後 76 週 時点で15.0となった(表3、図3)。 アミロイドプラーククリアランス(24.1 センチロイド未満9))を達成した被験者の割合の経時的 変化は表4のとおりであり、本剤群では、投与 24 週から 76 週までの全ての評価時点でプラセ ボ群と比較してアミロイドプラーククリアランスを達成した被験者の割合が高かった。 5)iADRSは、ADCS-iADL及びADAS-Cog13 から算出される認知機能及び日常生活機能を評価する尺度。合 計スコアは0から144の範囲をとり、スコア低値は障害の程度がより大きいことを示す。 6)CDR-SBは、認知機能及び日常生活機能を評価する尺度。合計スコアは0から18の範囲をとり、スコア 高値は障害の程度がより大きいことを示す。 7)ADCS-iADLは、手段的日常生活動作(電話、買い物、家事、趣味、外出等)を評価する尺度。合計スコ アは0から59の範囲をとり、スコア低値は障害の程度がより大きいことを示す。 8)ADAS-Cog13 は、アルツハイマー病で最も典型的に障害を受ける認知機能領域の評価。合計スコアは0か ら85の範囲をとり、スコア高値は障害の程度がより大きいことを示す。 9)24.1センチロイド未満の場合、病理学的に神経突起性プラークがまばら又は全く無い状態に該当し、ア ミロイドPET検査による視覚的評価での陰性に相当する(Alzheimer’s & Dementia 2018: 14; 1565-71)。 4 人口統計学的特性、ApoE ε4保因状況、AD症状改善薬の併用有無、臨床病期(MCI due to AD及び軽度AD-D)、脳内タウ蓄積の程度、及びアミロイドPETセンチロイドスケールのベ ースライン値に基づく部分集団解析の結果、iADRS及びCDR-SBについて、いずれの部分集 団でもおおむね本剤による悪化抑制傾向が認められた。 0 -2 -4 -6 -8 -10 -12 プラセボ *** p<0.001 ドナネマブ -14 Week iADRS = Integrated Alzheimer's Disease Rating Scale; LSM = least squares mean; NCS2 = natural cubic spline model with 2 degrees of freedom; SE = standard error 図1:iADRSスコアのベースラインからの変化量(NCS2)(全体集団) 5 SRDAi )ES( egnahC naeM detsujdA *** *** *** **** **** **** 0 12 24 36 52 64 76 投与期間(週) Placebo 824 805 767 738 693 651 653 Donanemab 775 752 712 665 636 579 583 化悪 )ES±MSL(量化変のらかンイラスーベ *** プラセボ群 ドナネマブ群 0.0 ** **** 0.5 **** **** 1.0 **** 1.5 **** 2.0 2.5 0 12 24 36 52 64 76 Week 投与期間(週) Placebo 838 825 784 752 713 678 672 Donanemab 794 774 731 682 650 603 598 CDR-SB = Clinical Dementia Rating–Sum of Boxes; LSM = least squares mean; MMRM = mixed model for repeated measures; SE = standard error 図2:CDR-SBスコアのベースラインからの変化量(MMRM)(全体集団) 6 化悪 )ES±MSL(量化変のらかンイラスーベ プラセボ群 ドナネマブ群 投与期間(週) LSM = least squares mean; MMRM = mixed model for repeated measures; PET = positron emission tomography; SE = standard error 図3:アミロイドPET検査により評価した脳内アミロイドプラーク沈着(センチロイド法)のベースライ ンからの変化量(MMRM)(全体集団) 表1:ベースラインから治験薬投与後76週までのiADRSの変化量(EES) 全体集団 プラセボ群 本剤群 103.82±13.88 104.55±13.90 ベースラインa (824例) (775例) 93.82±20.38 96.98±20.87 投与後76週a (653例) (583例) ベースラインからの変化量(NCS2)b, c -13.11±0.50 -10.19±0.53 群間差[両側95%信頼区間]b - 2.92[1.508, 4.331] 群間比較のp値b,d - <0.001 a:平均値±標準偏差 b:NCS の基底展開項(2 項目)、NCS の基底展開項(2 項目)と投与群の交互作用、ベースライン時の年齢、プー ルされた施設、ベースラインの脳内タウ蓄積(軽度又は中等度、高度)、ベースライン時の AD 症状改善薬 (ChE 阻害薬及び/又はメマンチン)の使用の有無を固定効果として含めた NCS2 モデル。被験者内効果の 分散共分散行列にはUnstructuredを用いた。 c:最小二乗平均値±標準誤差 d:2つの集団での評価を実施することによる検定の多重性を考慮して、全体集団の群間比較における有意水準を 0.01(両側)と設定した。 7 )ES±MSL(量化変のらかンイラスーベ プラセボ群 ドナネマブ群 表2:ベースラインから治験薬投与後76週までの CDR-SB、ADAS-Cog 、ADCS-iADL及びMMSEの変化量(EES) 13 全体集団 プラセボ群 本剤群 3.89±2.034 3.92±2.055 ベースラインa (838例) (794例) 5.80±3.223 5.25±3.207 投与後76週a CDR-SBe (672例) (598例) ベースラインからの変化量(MMRM)b, c 2.42±0.092 1.72±0.096 -0.70 群間差[両側95%信頼区間]b - [-0.95, -0.45] 29.16±8.85 28.53±8.78 ベースラインa (841例) (797例) 34.53±12.00 32.72±12.44 ADAS- 投与後76週a (677例) (607例) Cog e 13 ベースラインからの変化量(NCS2)d, c 6.79±0.27 5.46±0.28 -1.33 群間差[両側95%信頼区間]d - [-2.086, -0.565] 47.98±7.70 47.96±7.85 ベースラインa (826例) (780例) 43.30±10.61 44.53±11.06 ADCS- 投与後76週a (661例) (591例) iADLe ベースラインからの変化量(NCS2)d, c -6.13±0.30 -4.42±0.32 1.70 群間差[両側95%信頼区間]d - [0.840, 2.566] 22.20±3.90 22.52±3.84 ベースラインa (841例) (796例) 19.79±5.51 20.71±5.52 投与後76週a MMSE e (679例) (600例) ベースラインからの変化量(NCS2)d, c -2.94±0.13 -2.47±0.14 0.47 群間差[両側95%信頼区間]d - [0.104, 0.841] a:平均値±標準偏差 b:投与群、評価時期、投与群と評価時期の交互作用、ベースライン値、ベースライン値と評価時期の交互作用、 ベースライン時の年齢、プールされた施設、ベースラインの脳内タウ蓄積(軽度又は中等度、高度)、ベースラ イン時のAD症状改善薬(ChE阻害薬及び/又はメマンチン)の使用の有無を固定効果として含めたMMRM。 被験者内効果の分散共分散行列にはUnstructuredを用いた。 c:最小二乗平均値±標準誤差 d:NCS の基底展開項(2 項目)、NCS の基底展開項(2 項目)と投与群の交互作用、ベースライン時の年齢、プー ルされた施設、ベースラインの脳内タウ蓄積(軽度又は中等度、高度)、ベースライン時の AD 症状改善薬 (ChE 阻害薬及び/又はメマンチン)の使用の有無を固定効果として含めた NCS2 モデル。被験者内効果の 分散共分散行列にはUnstructuredを用いた。 e:CDR-SB、ADAS-Cog 、ADCS-iADL、及び MMSE の下位項目の欠測は次のとおりに取り扱うこととされた。 13 CDR-SBについて、6項目のうち1項目が欠測の場合は欠測していない5項目の合計スコアが最大満点とな るように重みづけがなされ、2項目以上が欠測の場合はCDR-SBは欠測となる。ADAS-Cog について、13項 13 目のうち3個以下の項目が欠測の場合は欠測していない項目の合計スコアが最大85点満点となるよう重みづ けがなされ、4 個以上の項目が欠測の場合は ADAS-Cog は欠測となる。ADCS-iADL について、30%未満の 13 項目が欠測した場合は、上記と同様に、欠測していない項目の合計スコアが最大満点となるよう重みづけがな され、30%超の項目が欠測の場合は、ADCS-iADL は欠測となる。MMSE については、いずれかの項目が欠測 している場合、MMSEは欠測となる。 8 表3:ベースラインから治験薬投与後76週までの アミロイドPETセンチロイドスケールを指標とした脳内Aβ蓄積量の変化量(EES) 全体集団 プラセボ群 本剤群 101.75±34.371 104.02±34.417 ベースラインa (812例) (765例) 101.78±35.710 14.95±22.820 投与後76週a (690例) (614例) ベースラインからの変化量(MMRM)b, c -0.67±0.909 -87.03±0.950 -86.37 群間差[両側95%CI]b - [-88.87, -83.87] a:平均値±標準偏差 b:投与群、評価時期、投与群と評価時期の交互作用、ベースライン値、ベースライン値と評価時期の交互作用、 ベースライン時の年齢、ベースラインの脳内タウ蓄積(軽度又は中等度、高度)を固定効果として含めた MMRM。被験者内効果の分散共分散行列にはUnstructuredを用いた。 c:最小二乗平均値±標準誤差 表4:アミロイドプラーククリアランスを達成した 被験者の割合の経時的変化(EES、全体集団) プラセボ群 本剤群 (812例) (765例) 投与後24週 0.2(2/805例) 29.7(226/761例) 投与後52週 0.1(1/730例) 66.1(443/670例) 投与後76週 0.3(2/690例) 76.4(469/614例) %(例数) 9 [安全性] 二重盲検投与期間における有害事象の発現状況は、表5のとおりであった。 表5:有害事象の発現状況(安全性解析対象集団) プラセボ群 本剤群 (874例) (853例) 全有害事象 82.2(718) 89.0(759) 主な事象a アミロイド関連画像異常-浮腫/滲出液貯留 1.9(17) 24.0(205) アミロイド関連画像異常-微小出血およびヘモジデリン沈着 7.4(65) 19.7(168) COVID-19 17.6(154) 15.9(136) 頭痛 9.8(86) 14.0(119) 転倒 12.6(110) 13.4(114) 注入に伴う反応 0.5(4) 8.7(74) 脳表ヘモジデリン沈着症 1.1(10) 6.8(58) 浮動性めまい 5.5(48) 6.2(53) 関節痛 4.8(42) 5.7(49) 尿路感染 6.8(59) 5.3(45) 下痢 5.7(50) 5.0(43) 疲労 5.1(45) 4.9(42) %(例数) a:いずれかの群で5%以上に発現した事象 死亡は、プラセボ群で1.1%(10/874例)、本剤群で1.9%(16/853例)に認められ、このうちプ ラセボ群で認められた動脈硬化症、並びに本剤群で認められた1例の死亡、アミロイド関連画 像異常-微小出血およびヘモジデリン沈着及びアミロイド関連画像異常-浮腫/滲出液貯 留は治験薬との因果関係ありと判断された。重篤な有害事象は、プラセボ群で15.8%(138/874 例)、本剤群で17.4%(148/853例)に認められた。 治験薬の投与中止に至った有害事象は、プラセボ群で 4.3%(38/874 例)、本剤群で 13.1% (112/853例)に認められた。 治験薬との因果関係が否定されない有害事象は、プラセボ群で 19.8%(173/874 例)、本剤 群で48.1%(410/853例)に認められた。 10 (2) 海外第Ⅲ相試験(AACQ試験) 【試験の概要】 本剤を異なる投与レジメンで投与したときのアミロイド関連画像異常-浮腫/滲出液貯留関 連事象10)の発現割合を比較する目的で、早期 AD 患者 843 例を対象とした実薬対照無作為 化二重盲検比較試験が海外49施設で実施された。 本試験はスクリーニング期間(最長7週間)、76 週間の二重盲検投与期間、及び最長 12 週 間の追跡調査期間から構成された。二重盲検投与期間中、16 週目までは、表6に示した投与 レジメン 1 及び 2 を含めた複数のレジメンで本剤又はプラセボを 2 週間に1回静脈内投与す ることとされ、以後は、本剤 1400 mg を4週間に1回静脈内投与することとされた。治験薬投与 24 及び 52 週時のフロルベタピル(18F)又はフロルベタベン(18F)を用いたアミロイド PET 検査 においてアミロイドプラークの減少が投与完了の基準1)を満たした場合、二重盲検下で本剤か らプラセボへ切り替えることとされた。 表6:投与レジメン(AACQ試験) 投与レジメン1 初回は350 mg、2回目は700 mg、3回目は1050 mg、以降は1回1400 mgを (350 mg開始群) 4週間隔で静脈内投与 投与レジメン2 最初の3回は1回700 mg、以降は1回1400 mgを4週間隔で静脈内投与(初 (700 mg開始群) 回承認時の用法及び用量) [主な選択基準] 以下を満たす60歳以上85歳以下の早期AD患者 記憶障害が6か月以上にわたって徐々に進行していることが本人又は情報提供者から報 告されている スクリーニング時のMMSEスコアが20以上28以下である アミロイドPET検査により脳内にアミロイドプラークが認められる スクリーニング時MRI検査において、下記の所見が認められていない アミロイド関連画像異常-浮腫/滲出液貯留 5カ所以上の脳微小出血 2カ所以上の脳表ヘモジデリン沈着 1 cm超の脳出血 重度の白質病変 10)アミロイド関連画像異常-浮腫/滲出液貯留、脳浮腫、血管原性脳浮腫 11 【結果】 [安全性] 主要評価項目は投与24週時のアミロイド関連画像異常-浮腫/滲出液貯留関連事象10)の 発現割合とされ、350 mg開始群を含む複数の新用法・用量群について、それぞれ「700 mg開 始群と比較して投与24週時のアミロイド関連画像異常-浮腫/滲出液貯留関連事象の相対リ スクが少なくとも 20%減少する事後確率」が評価された11)。その結果、表 7 のとおり 350 mg 開 始群では当該事後確率が事前に規定した閾値(80%)を上回った。 表7:投与24週時のアミロイド関連画像異常-浮腫/滲出液貯留関連事象の発現割合 (安全性解析対象集団) 350 mg開始群 700 mg開始群 (212例) (207例) アミロイド関連画像異常-浮腫/滲出液貯留関連事象の 13.7(29) 23.7(49) 発現割合a 40.5 相対リスク減少率b, c - [13.5, 61.6] 相対リスクが少なくとも20%減少する事後確率(%)c 94.1 - a:%(例数) b:%[両側95%信用区間] c:投与群、APOE遺伝子型、ベースライン時の脳微小出血の有無、ベースライン時の脳表ヘモジデリン沈着症の 有無、ベースライン時のアミロイド PET 検査結果を因子として含めたベイズ流ロジスティック回帰分析に基づく 700 mg開始群との群間比較結果。当該モデルでは、傾きパラメータには群間差を0と仮定した事前分布N(0, 4)を、切片項にはAACI試験安全性補遺9の結果(24週時のアミロイド関連画像異常-浮腫/滲出液貯留発 現割合:18.43%)及び拡張分布に基づく混合事前分布N(-1.49, 8.10)を適用した。 また、投与24週時における有害事象の発現状況は、表8のとおりであった。 11)試験の成功基準は、ベイズ推定により 700 mg 開始群と比較して少なくとも 1 つの新用法・用量群 (350 mg開始群他)で投与24週時のアミロイド関連画像異常-浮腫/滲出液貯留関連事象の相対リスク が少なくとも20%減少する事後確率が80%を超えることとされた。 12 表8:24週時の有害事象の発現状況(安全性解析対象集団)) 350 mg開始群 700 mg開始群 (212例) (207例) 全有害事象 85.4(181) 84.5(175) 主な事象a 注入に伴う反応 17.0(36) 13.5(28) 頭痛 15.1(32) 19.8(41) アミロイド関連画像異常-浮腫/滲出液貯留 13.7(29) 23.7(49) アミロイド関連画像異常-微小出血およびヘモジデリン沈着 13.2(28) 15.9(33) 転倒 9.0(19) 7.7(16) COVID-19 9.0(19) 4.8(10) 浮動性めまい 8.0(17) 9.2(19) 尿路感染 7.5(16) 3.4(7) 関節痛 6.1(13) 3.9(8) 疲労 5.7(12) 5.3(11) 下痢 2.8(6) 5.8(12) 脳表ヘモジデリン沈着症 2.4(5) 5.8(12) %(例数) a:いずれかの群で5%以上に発現した事象 死亡は、350 mg 開始群で 0.5%(1/212 例:脳出血)に認められ、治験薬との因果関係なしと 判断された。重篤な有害事象は、350 mg 開始群で 9.9%(21/212 例)、700 mg 開始群で 8.7% (18/207例)に認められた。 治験薬の投与中止に至った有害事象は、350 mg開始群で5.2%(11/212例)、700 mg開始 群で3.9%(8/207例)に認められた。 治験薬との因果関係が否定されない有害事象は、350 mg 開始群で 48.6%(103/212 例)、 700 mg開始群で50.2%(104/207例)に認められた。 [有効性] AACQ 試験では臨床的有効性を評価していない。副次評価項目とされたベースラインから 治験薬投与後 76 週までのアミロイド PET 検査(センチロイド法)により評価した脳内 Aβ 蓄積 量の変化量は表9のとおりであり、350 mg開始群と700 mg開始群の間に明らかな違いは認め られなかった。 13 表9:ベースラインから本剤投与後76週までの アミロイドPETセンチロイドスケールを指標とした脳内Aβ蓄積量の変化量 350 mg開始群 700 mg開始群 ベースライン (平均値) 84.33 84.78 -56.96±1.713 -59.08±1.738 投与後24週a, b (201例) (194例) -70.56±1.546 -71.10±1.564 投与後52週a, b (183例) (179例) -70.92±1.409 -72.14±1.421 投与後76週a, b (169例) (169例) a:最小二乗平均値±標準誤差 b:投与群、評価時期、投与群と評価時期の交互作用、ベースライン値、ベースライン値と評価時期 の交互作用、およびベースライン時の年齢を固定効果として含めたMMRM。被験者内効果の分 散共分散行列にはUnstructuredを用いた。 14 4.投与対象となる患者及び投与施設 本剤は「1.はじめに」でも記載したように、認知症に対する新規作用機序の医薬品であり、 臨床試験における有効性及び安全性を踏まえ、適切な患者選択や投与判断、重篤な副作用 発現の際の迅速な安全対策等を確保した上で、最適な薬物療法を提供できるように進めてい く必要があることから、本項で規定する患者・施設において使用すべきである。 なお、本ガイドラインで定める要件は、臨床試験の情報等を踏まえ、製造販売を開始された 段階で適当と考えられる規定であり、今後の本剤に係る有効性・安全性の情報の集積等の状 況を踏まえ、必要に応じて今後見直しを行うこととする。 (1) 投与対象となる患者 投与の要否の判断にあたっては、以下のすべてに該当するアルツハイマー病による軽度認 知障害及び軽度の認知症の患者であることを確認する。無症候で Aβ 病理を示唆する所見 のみが確認できた者及び中等度以降のアルツハイマー病による認知症患者には投与開始し ないこと。 ① 患者本人及び家族・介護者の、安全性に関する内容も踏まえ本剤による治療意思が 確認されていること。 ② 本剤の禁忌に該当しないこと。 【禁忌】 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者 本剤投与開始前に血管原性脳浮腫、5 個以上の脳微小出血、脳表ヘモジデ リン沈着症又は1 cmを超える脳出血が確認された患者 ③ MRI検査(1.5 Tesla以上)が実施可能であること。(例:金属を含む医療機器(MR装置 に対する適合性が確認された製品を除く)を植込み又は留置した患者は不可) ④ 認知機能の低下及び臨床症状の重症度範囲が以下の(a)及び(b)の両方を満たすこ とが、投与開始前1か月以内の期間を目安に確認されていること。 (a)認知機能評価 MMSEスコア20点以上、28点以下 (b)臨床認知症尺度CDR全般スコア0.5又は1 独居者の場合は、患者の周囲の者、地域包括支援センター、医療ソーシャルワ ーカー等の協力を得て、独居者の日常生活の様子を聴取することにより客観的な 評価を行い、CDR全般スコアを評価すること。 ただし、患者の周囲の者、地域包括支援センター、医療ソーシャルワーカー等 からの情報が得られない等、CDR 全般スコア評価が困難な場合は、他の評価方 法により、認知症の重症度の範囲が同等であることを確認した上で用いること。 ⑤ ①~④を満たすことを確認した上で、アミロイド PET 又は脳脊髄液(CSF)検査を実施 し、Aβ 病理を示唆する所見が確認されていること。なお、タウ蓄積に関しては、添付 15 文書の効能又は効果に関連する注意において、本剤の投与に先立ち、Aβ 病理に関 する検査結果、AD の病期、フロルタウシピル(18F)を用いた PET 検査を実施した場合 はその結果等を考慮した上で、本剤投与の可否を判断することと記載されているが、 現時点におけるタウ PET 検査の医療実態等を踏まえ、当面の間はタウ蓄積の検査を 求めないこととする。 (2) 投与施設 ① 初回投与~6か月まで (1)の患者に対して初回投与する際には、以下のア~ウを満たす施設で対応すること。 また、初回投与後6か月までは、同施設で投与すること。 ア 初回投与に際して必要な体制 認知症疾患医療センター等の、アルツハイマー病の病態、経過と予後、診断、治 療(参考:認知症疾患診療ガイドライン(日本神経学会監修))を熟知し、ARIA※の リスクを含む本剤についての十分な知識を有し、認知症疾患の診断及び治療に 精通する医師が本剤に関する治療の責任者として配置され(以下の「(ⅰ)施設に おける医師の配置」)、かつ、投与に際して必要な検査体制(以下の「(ⅱ)検査体 制」)及びチーム体制(以下の「(ⅲ)チーム体制」)が構築されている医療機関で あること。 ※アミロイド関連画像異常。ARIA-E:浮腫/浸出、ARIA-H:ARIA による脳微小出血、脳 表ヘモジデリン沈着、脳出血(臨床試験において、1 cmを超える脳出血はARIA-Hと 別に評価した)。 (ⅰ)施設における医師の配置 認知症疾患の診断及び治療に精通する医師として、以下のすべてを満たす医師 が本剤に関する治療の責任者として常勤で複数名配置されていること。 アルツハイマー病の診療に関連する以下のいずれかの学会の専門医の認定を 有していること。 日本神経学会 日本老年医学会 日本精神神経学会 日本脳神経外科学会 医師免許取得後2年の初期研修を修了した後に、10年以上の軽度認知障害の 診断、認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした臨床経験を有 していること。 16 画像所見からARIAの有無を判断した上で、臨床症状の有無と併せて本剤の投 与継続、中断又は中止を判断し、かつ適切な対応ができる医師であること。 製造販売業者が提供するARIAに関するMRI読影の研修を受講していること。 日本認知症学会及び日本老年精神医学会の実施するアルツハイマー病の病 態、診断、本剤の投与対象患者及び治療に関する研修を受講していること。 (ⅱ)検査体制 投与に際して適切な検査ができる体制として、以下のすべてを満たす医療機関で あること。 MRI 検査(1.5 Tesla 以上)が実施可能な医療機関であり、かつ、ARIA が認めら れた場合に、画像所見や症状の有無から、本剤の投与継続、中断又は中止を 判断し、かつ施設内で必要な対応ができる体制(以下の「(ⅲ)チーム体制」)が 整っていること。 「(1)投与対象となる患者」に掲げる患者選択に必要となる認知機能のスコア (MMSEスコア)及び臨床認知症尺度(CDR全般スコア)の評価が可能な者が配 置されていること。 「(1)投与対象となる患者」に掲げる患者選択に必要となる検査(PET 検査又は CSF検査)が実施可能であること。 (ⅲ)チーム体制 投与に際して必要な対応ができる体制として、同一施設内で以下のすべてを満た すチーム体制が構築されている医療機関であること。 「(1)投与対象となる患者」及び「(3)投与期間中の対応」に掲げる患者評価を 実施するために、「(ⅰ)施設における医師の配置」を満たす常勤の医師が複数 名いること。 CDR 全般スコア評価に精通し、一定以上の評価経験を有する医療従事者がい ること。 ARIAのリスク管理に必要な知識を有し、かつ、MRI読影に関する医療従事者向 け研修を受講した、ARIAの鑑別を含む MRI 読影が適切に行える常勤医が1名 以上いること。 認知症疾患医療センター以外の施設で本剤を使用する場合、認知症疾患医療 センターと連携がとれる施設で実施すること。 本剤の製造販売後の使用患者の背景情報の把握並びに安全性及び有効性を評 価するための全例調査が課せられていることから、初回投与時及び初回投与後 において当該調査を確実に実施できる施設であること。 17 ただし、以下の事項に関しては、同一施設内で要件を満たさなくても、当該医療 機関と連携がとれる施設で実施することが可能である。 「(ⅱ)検査体制」のうち、「(1)投与対象となる患者」に掲げる患者選択に必要と なる検査(PET検査又はCSF検査)の実施。 「(3) 投与期間中の対応」のうち、投与完了の判断に必要となる PET 検査の実 施。 イ 院内の医薬品情報管理の体制 製薬企業等からの有効性・安全性等の薬学的情報の管理や、有害事象が発生し た場合に適切な対応と報告業務などを速やかに行うこと等の医薬品情報管理、 活用の体制が整っていること。 医薬品リスク管理計画書(RMP)の安全性検討事項に記載された副作用や、重要 な基本的注意等に記載された副作用に対して、当該施設又は他の医療機関の 専門性を有する医師と連携し、副作用の診断や対応に関して指導及び支援を受 け、適切な処置ができる体制が整っていること。 ウ 副作用への対応 添付文書に記載された副作用に対して、副作用の診断や対応に関して、直ちに 適切な処置ができる体制が整っていること。 ARIAがあらわれることがあるので、本剤はARIA管理に関する適切な知識を有す る医師、かつ投与に際して必要な検査体制及びチーム体制が構築されている医 療機関において投与し(「ア 初回投与に際して必要な体制」参照)、ARIA が認め られた場合には、画像所見や症状の有無から、本剤の投与継続、中断又は中止 を判断し、かつ適切な処置を行うこと(「(3)投与期間中の対応」及び「5.投与に際 して留意すべき事項」参照)。 ② 初回投与後6か月以降 初回投与後6か月以降は、「(3)投与期間中の対応」に掲げる患者の評価・検査、本剤 の投与完了及び投与継続・中止の判定時の投与は本剤の初回投与を行った施設(以下、 「初回投与施設」という。)での実施が必要であるが、それ以外の期間の投与は、以下の 要件をすべて満たす施設で投与することができる。 初回投与時の患者情報等の共有も含め、初回投与施設と連携がとられていること。 下記の要件をすべて満たした医師が当該施設の本剤に関する治療の責任者とし て配置されていること。 18 アルツハイマー病の診療に関連する以下のいずれかの学会の専門医の認定を 有していること。 日本神経学会 日本老年医学会 日本精神神経学会 日本脳神経外科学会 医師免許取得後2年の初期研修を修了した後に、10年以上の軽度認知障害の 診断、認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした臨床経験を有 していること。 画像所見から ARIA の有無を判断し、臨床症状の有無と併せて本剤の投与継 続、中断又は中止を判断し、かつ適切な対応ができる医師であること。 製造販売業者が提供するARIAに関するMRI読影の研修を受講していること。 日本認知症学会及び日本老年精神医学会の実施するアルツハイマー病の病 態、診断、本剤の投与対象患者及び治療に関する研修を受講していること。 本剤の製造販売後の使用患者の背景情報の把握並びに安全性及び有効性を評 価するための全例調査が課せられていることから、当該調査を確実に実施できる 施設であること。 「① 初回投与~6か月まで」の「イ 院内の医薬品情報管理の体制」及び「ウ 副 作用への対応」の要件を満たす施設であること。 (3) 投与期間中の対応 ① 投与期間中の有効性及び安全性の評価、投与完了及び投与継続・中止の判断 本剤投与期間中は、初回投与施設において定期的に以下の有効性及び安全性 の評価に係る対応を行うこと。 ア 本剤投与開始後、6か月に1回、CDR 全般スコア推移、MMSE スコア推移、患 者及び家族・介護者から自他覚症状の聴取等による臨床症状の評価を行い、臨 床症状の経過から本剤の有効性が期待できないと考えられる場合は本剤の投与 を中止すること。なお、本剤投与開始後 12 か月の評価は、以下の投与完了の要 否の検討もあわせて行うこと。 イ 本剤投与開始後は、本剤の2回目の投与前、3回目の投与前、4回目の投与前 及び7回目の投与前、以降6か月に1回、MRI検査を実施し、ARIA発現の有無を 確認すること。また、ARIA を示唆する症状が認められた場合には、臨床評価を行 い、必要に応じてMRI検査を実施すること。ARIAが認められた場合には、添付文 書の注意喚起に基づいて、本剤の投与中止又は投与継続の可否を判断すること。 安全性上の理由等からドナネマブ(遺伝子組換え)として1回1400 mgまで増量で きない又は1400 mgが維持できない場合は、投与を中止すること。 19 投与開始後12か月を目安にアミロイドPET検査を実施し、Aβプラークの除去を 評価し、本剤の投与完了の可否を検討すること。なお、Aβ プラークの除去の評 価については、大脳灰白質にアミロイド PET 薬剤の特異的集積がなく、白質での 集積が高い場合、Aβ プラークが除去されたと判断すること。読影の詳細は、アミ ロイド PET 薬剤等の製造販売業者が提供する資材等を参照すること(アミロイド PET検査は、初回投与施設と連携がとれる施設で実施することが可能である)。 脳内のAβプラークの除去が確認された場合、本剤の投与を完了すること。 脳内のAβ プラークの除去が確認されなかった場合は、投与開始後 18 か月ま で投与を継続することが可能であること。 18 か月を超えて投与を継続することを検討する場合は、以下の有効性及び安全 性の評価に係る対応を行うこと。 ア 上記に掲げるアの臨床症状の評価及びイの評価並びに投与開始後18か月時 のアミロイドPET検査を行った上で、18か月時点での臨床的進行・病期に関する 診断、投薬の効果、CDR 全般スコア及び MMSE の認知症スコアを踏まえた認知 機能の評価、日常生活機能の評価、アミロイドPET検査によるアミロイドβプラー クの変化、有害事象の発現状況等を考慮し、投与継続の可否を慎重に判断する こと。アミロイドPET検査により、脳内のAβプラークの除去が確認された場合は、 本剤の投与を完了すること(アミロイド PET 検査は、初回投与施設と連携がとれる 施設で実施することが可能である)。 イ 中等度以降のアルツハイマー病による認知症と診断された場合、中等度以降 に進行した患者に投与を継続したときの有効性が確立していないことから、本剤 の投与を中止し、再評価を行うこと。なお、再評価に当たっては、「4.投与対象と なる患者及び投与施設」の「(1)投与対象となる患者」で規定している評価①~④ を確認した上で、投与の必要性を判断すること。 ② 投与中止後の再開 本剤の投与中止後の再開は、以下のすべてに該当する患者であることを確認すること。 ア 患者の都合で投与中止した場合:初回投与時の患者要件に準じて、再度認知 症スコアを確認の上、本剤の投与対象となる患者要件に該当することを確認する こと。なお、本剤投与中止後の再開は、原則初回投与から 18 か月までとするが、 初回投与から 18 か月を超えて再開する場合は、再度、Aβ 病理を示唆する所見 及び認知症スコアを確認の上、本剤の投与対象となる患者要件に該当することを 確認すること。 イ ARIAによる中止で投与再開する場合:添付文書の注意喚起に準じて投与再開 の可否、投与再開のタイミング等を判断すること(「5.投与に際して留意すべき事 20 項」参照)。投与再開する場合は、再度認知症スコアを確認の上、本剤の投与対 象となる患者要件に該当することを確認すること。 21 5.投与に際して留意すべき事項 (1) ARIA があらわれることがあるので、「4.投与対象となる患者及び投与施設」で規定してい るように、本剤は ARIA 管理に関する適切な知識を有する医師の下で使用し、投与開始 前及び投与中は以下の点に注意すること。 ARIAを示唆する症状が認められた場合には、4.の「(3)投与期間中の対応」の時期に かかわらず臨床評価を行い、必要に応じMRI検査を実施すること。 4.の「(3)投与期間中の対応」で規定しているように、本剤投与開始後は、本剤の2回 目の投与前、3回目の投与前、4回目の投与前及び7回目の投与前、以降6か月に1 回、MRI 検査を実施し、ARIA 発現の有無を確認すること。また、ARIAを示唆する症状 が認められた場合には、臨床評価を行い、必要に応じて MRI 検査を実施すること。 ARIA が認められた場合には、添付文書の注意喚起に基づいて、本剤の投与中止又 は投与継続の可否を判断すること。 (2) アナフィラキシーを含む infusion reaction(紅斑、悪寒、悪心、嘔吐、発汗、頭痛、胸部絞 扼感、呼吸困難、血圧変動等)があらわれることがあり、重症又は致命的な経過をたどる おそれがある。投与後少なくとも30分は患者の状態を観察すること。 (3) 患者及び家族・介護者に、患者が「治療カード」を常に携帯するよう説明すること。 抗血小板薬、抗凝固薬又は血栓溶解剤を投与される際には、「治療カード」を提示する 等して、処方医師及び薬剤師等の医療従事者に、本剤を投与している旨を伝えるよう、 本剤投与中の患者、その家族等に説明すること。 ※「治療カード」とは、本剤投与とは別の医療施設で抗血栓薬投与が行われるような場合 も含め、本剤を投与している患者に関わる医療従事者に、本剤投与中の患者であるこ とを確実に伝えることを目的としたカードである。 (4) 添付文書に加え、製造販売業者が提供する資料、研修等に基づき本剤の特性及び適正 使用のために必要な情報を十分理解してから使用すること。 (5) 本ガイドラインの規定に基づく対応を適切に実施するため、本剤の RMP を参照し、安全 性検討事項を確認すること。 【引用文献】 Saido TC, Iwatsubo T, Mann DM, et al. Dominant and differential deposition of distinct beta- amyloid peptide species, A beta N3(pE), in senile plaques. Neuron. 1995;14(2):457-466. DeMattos RB, Lu J, Tang Y, et al. A plaque-specific antibody clears existing β-amyloid plaques in Alzheimer’s disease mice. Neuron. 2012;76(5):908-920. 22

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