← 資料を探す  /  総会 第614回の一覧

総-7 参考1

総会 第614回 / 2025-08-06 開催 / 15ページ

この資料の本物(PDF)は厚生労働省にあります。

図や表を含め、正しい形で読めるのはこちらです。

PDFを開く(厚生労働省)↗
取り出した文字を見る(15,782字)

⚠️ これはPDFから文字だけを取り出したものです。 表や図の形は失われ、行が入り組んで読みにくくなっています。 探すためのものとお考えください。 内容を確かめるときは、上のPDFをご覧ください。

中医協 総-7参考1 7 . 8 . 6 中 医 協 総 - 1 7 . 5 . 1 4 医薬品の費用対効果評価案について うち有用性系 市場規模 総会での 品目名 効能・効果 収載時価格 費用対効果評価区分 頁 加算率 (ピーク時予測) 指定日 234.10円(5mg1錠) 透析中の慢性腎臓病患者における 345.80円(10mg1錠) H1(市場規模が ① フォゼベル錠 40% 193億円 2023/11/15 2 高リン血症の改善 510.90円(20mg1錠) 100億円以上) 641.80円(30mg1錠) H1(市場規模が ② レクビオ皮下注 ※1 443,548円 40% 195億円 2023/11/15 6 100億円以上) 1,876円(0.25mg0.5mL1キット) 3,201円(0.5mg0.5mL1キット) H1(市場規模が ③ ウゴービ皮下注 ※2 5,912円(1mg0.5mL1キット) 5% 328億円 2023/11/15 12 100億円以上) 7,903円(1.7mg0.75mL1キット) 10,740円(2.4mg0.75mL1キット) ※1 効能・効果:家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症。ただし、以下のいずれも満たす場合に限る。 ・心血管イベントの発現リスクが高い ・HMG-CoA還元酵素阻害剤で効果不十分、HMG-CoA還元酵素阻害剤による治療が適さない ※2 効能・効果:肥満症。ただし、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。 ・BMIが27kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する ・BMIが35kg/m2以上 1 医薬品・医療機器等の費用対効果の総合的評価案について 対象品目名:フォゼベル錠(テナパノル) 製造販売業者名:協和キリン株式会社 使用目的又は効果:透析中の慢性腎臓病患者における高リン血症の改善 ICER(円/QALY)の区分 患者割合 対象集団 比較対照技術 ※1、2 (%) (a) 未治療又は、治療されて 既存の鉄含有リン吸着薬※のう おり既存治療でコントロー ち、より安価なもの※クエン酸第 費用増加 72.8 ル可能な透析中の高リン血 二鉄、スクロオキシ水酸化鉄 症患者 (b) 治療されており既存治 200万円/QALY以上 療でコントロール不能な透 既存のリン吸着薬 27.2 500万円/QALY未満 析中の高リン血症患者 ※1 価格決定に当たっては、その時点における対象品目並びに比較対照技術の最新の価格及びその価格を用いたICERの区分を用い る。 ※2 決定されたICERの区分について、価格決定の時点における対象品目及び比較対照技術の最新の価格を用いて、機械的に再計算 し、区分が変更される場合がある。 (補足)分析対象集団のICERの区分(有用性系加算等の価格調整係数) (b) 注)以下は左図に示せない (a) 費用増加 2 (参考)フォゼベル錠(テナパノル)の費用対効果評価案策定に係る主な検討事項 1.分析枠組み (a)未治療又は、治療されており既存治療でコントロール可能な透析中の高リン血症患 分析対象集団 者 (b)治療されており既存治療でコントロール不能な透析中の高リン血症患者 (a): 既存の鉄含有リン吸着薬※のうち、より安価なもの(※クエン酸第二鉄、スクロオ 比較対照技術名 キシ水酸化鉄 (b): 既存のリン吸着薬 その他 該当なし 2.分析枠組みに係る専門組織での主な検討事項 (専門組織の見解)  血清リンはある程度保たれているが、既存のリン吸着薬は錠数が多いため飲めないというような 患者も存在するが、そのような患者は分析対象集団(a)に含まれると考えられる。  分析対象集団(b)に関しては、既存のリン吸着薬による治療で効果不十分で、それ以上のリン 吸着薬の継続・増量が不適切な場合を指すと考える。 (企業の不服意見)  なし 3.費用対効果評価結果案策定に係る専門組織での主な検討事項 公的分析が再分析を行った主な点は以下の通りである。 (分析対象集団(a)の比較対照技術について) 製造販売業者は、1日薬価がより安価であるとしてクエン酸第二鉄を比較対照技術に設定し、服薬 負担の軽減をアウトカムとした追加的有用性の評価を行った。しかし、服薬負担はアウトカムとして 妥当ではなく、スクロオキシ水酸化鉄の方が1日当たりの服薬錠数や剤形の観点から比較対照技術 として適切であると考えられる。そこで公的分析では、分析の一貫性を保つために、分析全体の比較 対照技術をスクロオキシ水酸化鉄として再分析を実施した。 (服薬負担をアウトカムとして考慮することについて) 製造販売業者は分析対象集団(a)の追加的有用性を、服薬負担の軽減をアウトカム指標として評価 した。さらに費用対効果評価においても、一般の人々を対象にビニエットを用いた TTO 法で収集し た QOL 値をデータソースとして、服薬負担に由来する QOL 値の差を設定した。しかし服薬負担はプ ロセス指標であることから費用対効果評価のアウトカムとして妥当ではなく、仮に考慮する場合は 比較対照技術をスクロオキシ水酸化鉄として評価し直す必要がある。加えてテナパノルの 7791-007 試験では、EQ-5D-5LによるQOL 値の評価が行われており、服薬負担が軽減する前後でQOL 値に差が 認められていない。公的分析はまず、テナパノルのスクロオキシ水酸化鉄に対する追加的有用性を血 3 清リン濃度の低下度から評価したが、優越性が明らかでないため追加的有用性は示されていないと 判断した。仮に服薬負担を考慮する場合でも、スクロオキシ水酸化鉄に対する優越性を示すデータソ ースは特定されなかった。分析対象集団(a)の基本分析として費用最小化分析を実施し、費用効果分 析による感度分析として、服薬負担に由来する QOL 値の差を変動させた場合の結果の変動を評価し た。 (患者割合について) 製造販売業者は、各分析対象集団の割合を我が国の疫学データに基づき推計しているが、分析対象 集団(a)に未治療例が考慮されていない。公的分析では、製造販売業者が推計に用いているデータを 利用し、分析対象集団(a)の患者数に血清リン濃度が管理目標上限でかつリン吸着薬未使用例の患者 数を加えて患者割合を推計し直した。 製造販売業者から提示された論点は以下の通りである。 (追加的有用性に服薬負荷の妥当性について) 透析患者における服薬負荷は重大な医療課題であり、健康状態との関連が示されている。服薬は飲 水を伴うことから、服薬量の増大は水分制限を困難とし、透析間体重の管理不良に繋がる可能性があ り、透析間体重の変化は透析患者の予後と関連する。透析患者における服薬負荷は、重要な臨床的ア ウトカムであり、追加的有用性の指標として妥当と考える。 (テナパノルの錠剤サイズについて) クエン酸第二鉄は、スクロオキシ水酸化鉄に比べて使用割合が大きく、臨床的に幅広く用いられ ている。スクロオキシ水酸化鉄は顆粒剤やチュアブル錠が存在し、250mg錠、500mg錠のサイズ は、テナパノルとは異なる特性であり、体積量の観点でテナパノルの飲みやすさも期待されてい る。 (QOL値の評価について) 公的分析は、製造販売業者が提示したビニエット法を精査し、1名の回答者が服薬錠数の異なる複 数のシナリオに回答を行っており、参照点バイアスが生じている可能性を指摘した。しかし、製造販 売業者が実施したQOL値調査では、参照点との差異に関するバイアス対処のため、被験者毎に、錠数 をランダムに変更して質問を行っている。EQ-5DやDCE等を含むいずれのQOL値の測定尺度において も、様々な課題や限界があり、被験者の主観による影響や結果の標準化の限界等が存在しており、参 照点についても共通の課題であると認識しており、企業の提示したデータは妥当と考える。 以上を踏まえ、専門組織で議論し、分析対象集団(a)における比較対照技術、服薬負担をアウトカ ムと考慮すること及び患者割合について、下記のとおり、公的分析結果が妥当であると考えられた。  スクロオキシ水酸化鉄の方が、クエン酸第二鉄より、1日当たりの服薬錠数や剤形の観点から 比較対照技術として適切であると考えられる。  服薬負担はプロセス指標の側面が強く、ビニエットによる QOL 値をデータソースとして、服薬 負担を QOL 値の差として設定することは、妥当ではない。  公的分析による患者割合の設定は妥当である。 4 上記専門組織の決定について、製造販売業者から、分析対象集団(a)の追加有用性として服薬負担 が考慮されなかった点、表「各集団の背景と血清リン濃度低下度」は試験期間等に差異があるため、 削除についての不服意見が出された。専門組織では、以下の通り議論され、分析結果等については公 的分析結果が妥当であると結論付けられた。  服薬負担そのものはアウトカムとして適切ではない。アドヒアランスが改善してアウトカムが改 善するエビデンスは乏しい。  服薬負担をQOL値に換算し、いわゆるprocess utilityとしてQALYに反映させる手法は技術的 に可能かもしれないが、それを本費用対効果評価制度において健康改善として含めてよいかにつ いては十分なコンセンサスが得られていない。また、臨床試験で用いられたEQ-5D-5LによるQOL 値で差が認められていない。  製造販売業者の示すアウトカムとしてのアドヒアランスは、実際のアウトカムではなく、服薬錠 数の多寡を示しているに過ぎないという指摘は妥当と考える。また、より服薬錠数の少ないスク ロオキシ水酸化鉄との比較データを示していないという指摘も妥当である。服薬錠数の多寡を QALYに反映させても、費用対効果はおよそ 1000 万円/QALY 前後であることが感度分析により示 されており、製造販売業者の主張を取り入れても、最終的な評価への影響が小さい。 <参考:本資料に係る留意事項> ・ 総合的評価では、企業分析及び公的分析双方とも一定の科学的妥当性が認められている。 ・ 「専門組織での主な検討事項」は、双方の主な見解の相違部分を抜粋したものである。 ・ 費用対効果評価の詳細については、国立保健医療科学院から公表される報告書を参照されたい。 (以上) 5 医薬品・医療機器等の費用対効果の総合的評価案について 対象品目名:レクビオ皮下注(インクリシランナトリウム) 製造販売業者名:ノバルティスファーマ株式会社 使用目的又は効果:家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症(ただし、以下のいずれも満た す場合に限る。) ・心血管イベントの発現リスクが高い ・HMG-CoA 還元酵素阻害剤で効果不十分、又は HMG-CoA 還元酵素阻害剤による治療が適さない 最大耐用量の HMG-CoA 還元酵素阻害剤(かつ必要に応じて小腸コレステロールトランスポーター阻害剤 (エゼチミブ)の併用)で効果不十分な患者のうち、以下を対象とする。 ICER(円/QALY)の区 患者割合 対象集団 比較対照技術 分※1,2 (%) (a) 動脈硬化性疾患の既往が ある者のうち、(自己)注射に 標準治療(SoC 500万円/QALY以上 9.5 よる継続的な治療実施が困難 ※5) 750万円/QALY未満※4 [非家族性高コレ である者※3 ステロール血症] (b) 動脈硬化性疾患の既往が ある者のうち、(a)に該当し 74.9 ない者 エボロクマブ +標準治療 費用増加 (c) 動脈硬化性疾患の既往が 6.8 (SoC※5) ある者 [家族性高コレス テロール血症] (d) 動脈硬化性疾患の既往が 8.8 ない者 ※1.価格決定に当たっては、その時点における対象品目並びに比較対照技術の最新の価格及びその価格を用いたICERの区分を用いる。 ※2.決定されたICERの区分について、価格決定の時点における対象品目及び比較対照技術の最新の価格を用いて、機械的に再計算し、 区分が変更される場合がある。 ※3.継続的なエボロクマブの(自己)注射による治療が、一定の合理的かつ不可避な理由(例:身体的理由により頻回の通院が困難など)に より実施困難であるものに限定する。 ※4.価格調整における配慮への該当性について、該当あり。 ※5.最大耐用量のHMG-CoA 還元酵素阻害剤(スタチン)に加えて、臨床的に必要と判断された場合は小腸コレステロールトランスポータ ー阻 害剤(エゼチミブ)を併用するもの。 (補足)分析対象集団のICERの区分(有用性系加算等の価格調整係数) (a) 注)以下は左図に示せない (b)(c)(d) 費用増加 6 (参考)レクビオ皮下注の費用対効果評価案策定に係る主な検討事項 1.分析枠組み 最大耐用量の HMG-CoA 還元酵素阻害剤(かつ必要に応じて小腸コレステロールトランス ポーター阻害剤(エゼチミブ)の併用)で効果不十分な患者のうち、以下を対象とする。 [非家族性高コレステロール血症] (a) 動脈硬化性疾患の既往がある者のうち、(自己)注射による継続的な治療実施が困難 である者* 分析対象集団 (b) 動脈硬化性疾患の既往がある者のうち、(a)に該当しない者 [家族性高コレステロール血症] (c) 動脈硬化性疾患の既往がある者 (d) 動脈硬化性疾患の既往がない者 *継続的なエボロクマブの(自己)注射による治療が、一定の合理的かつ不可避な理由 (例:身体的理由により頻回の通院が困難など)により実施困難であるものに限定する。 ・ 分析対象集団(a) 標準治療(SoC**) (評価対象技術:インクリシラン+SoC**) ・ 分析対象集団(b)(c)(d) エボロクマブ+標準治療(SoC**) (評価対象技術:イン クリシラン +SoC**) 比較対照技術名 **最大耐用量のHMG-CoA 還元酵素阻害剤(スタチン)に加えて、臨床的に必要と判断さ れた場合は小腸コレステロールトランスポーター阻 害剤(エゼチミブ)を併用するも の。 その他 該当せず 2.分析枠組みに係る専門組織での主な検討事項 (専門組織の見解)  分析枠組みにおける(a)の対象集団にあるように、一定の合理的かつ不可避な理由により、継続的 な自己注射による治療が実施困難な患者に使用する場合があるということに異論はない。実際に どのくらいの患者割合になるのか、根拠となるデータを示して議論するべきである。  慢性疾患で通院できていない患者も一定数存在するため、本薬剤はそのような患者さんにベネフ ィットとなると考える。  非家族性高コレステロール血症の患者に本剤を使用する場合には、動脈硬化性疾患の既往がある、 いわゆるハイリスクの患者に限って使用するのであれば、特に問題ないのではないか。 (企業の不服意見)  なし 3.費用対効果評価結果案策定に係る専門組織での主な検討事項 公的分析が再分析を行った主な点は以下の通りである。 7 (追加的有用性の評価について) 分析対象集団(b) 製造販売業者の分析対象集団(b)における追加的有用性評価では、アウトカムとしてLDLコレステ ロール(LDL-C)変化量および治療中断・治療アドヒアランスが用いられた。しかし、分析ガイドライ ン上で「アウトカム(O)指標は、臨床的な有効性・安全性・健康関連QOLの観点のうち、評価対象技 術の特性を評価する上で、適切なもの(真のアウトカム指標など)を用いる」とされている。よって、 公的分析においてはLDL-C変化量をアウトカムとして評価を行った。 製造販売業者は、LDL-C変化量の評価について、日本人集団を対象とした臨床試験であることや患 者集団における FH の取り扱い(対象集団が非 FH である場合、FH の集団を含まない試験のみを用い る)を勘案して臨床試験を選択している。その結果、製造販売業者は各集団におけるインクリシラン のエビデンスとして、日本人を対象とした臨床試験であるORION-15試験のサブグループ解析結果の みを用いた。しかしながら、ORION-15以外の臨床試験の患者集団におけるFHの割合が約1-10%程度 であることを考慮すると、FH 患者をわずかにでも含むことを理由に、他の海外試験をすべて除外す るのは課題がある。なお、審査報告書によれば、インクリシランの有効性には民族差は確認されてい ないとされている。したがって、公的分析ではインクリシランの臨床試験としてORION-15試験のほ かに4試験を含めた。 公的分析ではインクリシランおよびエボロクマブに関する試験について、それぞれプラセボとの 比較によるメタ解析を実施した。その結果、インクリシランとプラセボの比較では、LDL-C変化率に おける固定効果モデルおよび変量効果モデルの群間差[95%CrI]は、それぞれ-53.11%[-54.62, - 51.59]、および-56.01%[-64.61, -47.41]であった。エボロクマブとプラセボの比較では、固定効果 モデルおよび変量効果モデルにおける群間差[95%CrI]は、それぞれ-62.05%[ 77 62.91, -61.18]、- 68.53%[-71.71, -65.34]であった。インクリシランよりもエボロクマブの方がプラセボと比較した LDL-C変化量が大きい結果が得られたものの、インクリシランとエボロクマブの試験間の異質性が非 常に大きいことから、2剤の有効性の優劣について明確に解釈することは困難であると考えられる が、少なくともインクリシランがエボロクマブよりも LDL-C を有意に減少させることを示す結果で あるとは考えられないことから、公的分析はインクリシランのエボロクマブに対する追加的有用性 は示されていないと判断した。 したがって、公的分析では分析対象集団(b)について費用最小化分析を行った。 分析対象集団(c)(d) 製造販売業者の分析対象集団(c)(d)における追加的有用性の評価では、アウトカムとしてLDL-C変 化量および治療中断・治療アドヒアランスが用いられた。前記分析対象集団(b)における検討と同様 の理由より、公的分析では集団(c)(d)についても LDL-C 変化量を追加的有用性評価のアウトカムと して用いた。また、製造販売業者と同様に、システマティックレビューにより特定されたすべての試 験において、FH 集団の動脈硬化性疾患イベントの既往有無によるサブグループ解析結果が報告され ていないため、分析対象集団(c)(d)を統合して評価した。 分析対象集団(b)と同様に、これらの試験間の異質性が大きく、間接比較の結果の不確実性が大きい ことが予想されるため、間接比較は実施せずインクリシランに関する試験について、それぞれプラセ ボとの比較によるメタ解析を実施した。その結果、固定効果モデル及び変量効果モデルにおける、イ ンクリシランのプラセボと比較した LDL-C 変化量の群間差[95%CrI]はそれぞれ-45.59%[-49.55,- 8 41.62]、-48.76%[-120.95,23.44]であった。エボロクマブ群の試験はRUTHERFORD-2試験のみであり、 プラセボと比較した LDL-C 変化量の群間差[95%CI]は-59.2%[-65.1,-53.4]であった。いずれも点推 定値はインクリシランに比べ、エボロクマブの方が LDL-C を減少させる傾向であったが、前述した 試験間の異質性から、2剤の優劣について明確に判断することは困難であると考えられる。しかしな がら公的分析は、少なくとも上記結果はインクリシランがエボロクマブよりも LDL-C を有意に減少 させることを示すものとは考えられないことから、インクリシランのエボロクマブに対する追加的 有用性は示されていないと判断した。 したがって、公的分析では分析対象集団(c)(d)について費用最小化分析を行った。 (インクリシランのLDL-Cに関する有効性 (分析対象集団(a)) 製造販売業者の分析対象集団(a)についての分析モデルでは、インクリシランのLDL-C変化量につ いての有効性が、製造販売業者の追加的有用性評価と同様にORION-15のサブグループ結果のみに基 づいて設定されていた。上記の分析対象集団(b)と同様の理由から、公的分析はインクリシランの有 効性パラメータをORION-15試験のサブグループ解析結果のみに基づいて設定することは適切ではな いと考えた。 したがって、公的分析では、インクリシランの臨床試験としてORION-15試験のほかに4試験を含 めたプラセボ比較のメタアナリシスを行い、その結果に基づいて費用効果分析における LDL-C 変化 量のパラメータを設定した。 (心血管(CV)イベント発生後の長期費用(分析対象集団(a)) 製造販売業者のモデルでは、CV イベントが発生した場合、急性期より後の費用については、脳卒 中で2,987,847円/年、心筋梗塞で900,432円/年が発生すると設定された。これらの費用について、 過去の費用対効果評価における評価品目における設定値よりも非常に大きかった。これらの費用推 計の方法等について、参考文献からは詳細な評価が困難であった。したがって、公的分析ではNDBを 用いたパネルデータ分析を行い、その結果に基づいてCVイベント後の長期費用の設定を行った。 製造販売業者から提示された論点は以下の通りである。 (追加的有用性評価について) 脂質領域において治療中断・治療アドヒアランスが特に重要であるという臨床的コンセンサスが 存在することが、国内臨床ガイドライン及び先行文献等から明らかである。生涯におけるイベント発 症リスク低減は服薬アドヒアランスに強く依存するというエビデンスから、脂質低下剤等のすべて の長期薬物療法では、服薬アドヒアランス不良が重大な懸念となり、高いアドヒアランスの治療法が 求められている。 日本動脈硬化学会(JAS)ガイドラインにはアドヒアランスについて、「スタチンの良好な服薬アド ヒアランスは、血清脂質の改善や動脈硬化性疾患発症の減少と関連している」の記載があり、治療中 断・治療アドヒアランスについて、追加的有用性の評価に含めるべきである。 (LDL-C評価のエビデンスについて) 分析ガイドラインにおいては日本人データの優先と記載している点で、公的分析の主張は矛盾し ており、なぜ本品においては日本人データ以外のデータを重視したのかが不明瞭である。 9 (心血管(CV)イベント発生後の長期費用について) 公的分析は、CV イベント発生後、3 年未満で死亡した比較的重度とみられる患者が系統的に除外 されているため、CVイベント費用は実際よりも過小評価されている。実際、重症例はCVイベント発 生から 1 年以内に約 5%が死亡するという報告があり、3 年未満に死亡で脱落する症例に費やされた 医療費が考慮されていない。 また、繰り返し事象を推計する手法として、非関連医療費を除くという点で Fukuda et al. の手 法を用いるのは妥当と考える。一方で、繰り返し事象の定義として、異質な「急性期 CV イベント」 と「慢性期 CV イベント」を同じ事象として扱っているのが統計的に不適切と考える。これにより、 慢性期の費用を過小推計する方向にバイアスが生じている可能性がある。 不安定狭心症の症例が心筋梗塞の症例より過大であり疫学データと逆の傾向を示していることか ら、傷病特定の不適切性があると考える。また、より軽度の安定狭心症が含まれている可能性があり、 不安定狭心症に費やされる医療費が過小推計されていると考えられる。 また、脳梗塞が広く定義されており、今回の分析対象集団であるアテローム血栓性脳梗塞に絞られ ていない。分析前協議において、脂質管理目標値として LDL-C 70mg/dL を目指すようなハイリスク 集団に絞ることで合意されていることを踏まえると、JASガイドラインに従ってアテローム血栓性脳 梗塞に対象を絞った費用算出をすべきと考える。 (集団(a)の割合について) 「自宅で自己注射を打つことについて抵抗や不安を感じている」あるいは「自己注射用の薬剤を自 宅野冷蔵庫等で保管することについて抵抗や不安を感じている」患者が除外されたが、これらは必ず しも患者の指向性や治療へのモチベーションが低いからではなく、様々な合理的な背景があること が考えられる。例えば医学的な理由(認知機能)や生活上の制約(同居家族の都合)などで難しいこ とも多い。そのため、簡単に変えられるものではない。 また、こういった患者さんが環境やそれに 付随する治療アドヒアランスにとらわれず良好な LDL-C を維持できるようにすることが脂質領域で の重要な課題であり、製造販売業者の用いた患者割合の方がより妥当と考える。 以上を踏まえ、専門組織で議論し、追加的有用性の評価及び心血管イベント発生後の長期費用につい て、下記のとおり、公的分析結果が妥当であると考えられた。  アドヒアランスとアウトカムの関連に係るエビデンスが示されていないため、アドヒアランスを 追加的有用性として用いないことは妥当である。  インクリシランの有効性には民族差が確認されていないため、追加的有用性の評価において ORION-15 試験のほかに海外の 4 試験を含めた公的分析は妥当である。  NDB を用いたパネルデータ分析の結果に基づいて設定された心血管イベント後の長期費用は妥 当である。 上記専門組織の決定について、製造販売業者から、アドヒアランスと心血管アウトカムとの関連性を示 す新データ、企業分析提出タイミングを考慮したデータ解釈の必要性、他品目(ユルトミリス)との整合性 という観点で公的分析の再評価について不服意見が出された。専門組織では、以下の通り議論され、企業 が提示した継続率の設定について一定の見解が得られるが、分析結果等については公的分析結果が妥当 10 であると結論付けられた。  企業は、本剤と対照薬の間のアドヒアランスの違いが、アウトカムに影響するというエビデンス を新データとして提出しているが、学会発表にとどまり、追加的有用性の判断に関しての不服意 見を補強するエビデンスとしては不十分。  但し、以下の2点で分析対象集団(b)~(d)での公的分析の追加的有用性の判断には、不確実性が あることには注意が必要と考える。(1)「本剤と対照薬の間のアドヒアランスの違いが、アウト カムに影響する」という学会発表はあるものの、論文等ではなく判断材料のエビデンスとしては 不十分であるなかでの判断であること、(2)異質性が高いとの判断でプラセボをアンカーとし た間接比較を行わず、プラセボとの点推定値を見比べていること。  NDBから得られる数値には一定の限界があるものの、製造販売業者の使用した数値にも課題はあ り、両者を比較するとNDBを用いた分析の方がより妥当である。 <参考:本資料に係る留意事項> ・ 総合的評価では、企業分析及び公的分析双方とも一定の科学的妥当性が認められている。 ・ 「専門組織での主な検討事項」は、双方の主な見解の相違部分を抜粋したものである。 ・ 費用対効果評価の詳細については、国立保健医療科学院から公表される報告書を参照されたい。 (以上) 11 医薬品・医療機器等の費用対効果の総合的評価案について 対象品目名:ウゴービ皮下注(セマグルチド) 製造販売業者名:ノボノルディスクファーマ株式会社 効能・効果:肥満症 ICER(円/QALY)の区 患者割合 対象集団 比較対照技術 分※1,2 (%) (a) 2型糖尿病を合併している肥満症患者 食事療法・運動療法 1,000万円/QALY以上 7.58 (b) 2型糖尿病を合併していない肥満症患者 食事療法・運動療法 1,000万円/QALY以上 92.42 ※1 価格決定に当たっては、その時点における対象品目並びに比較対照技術の最新の価格及びその価格を用いたICERの区分を用い る。 ※2 決定されたICERの区分について、価格決定の時点における対象品目及び比較対照技術の最新の価格を用いて、機械的に再計算 し、区分が変更される場合がある。 (補足)分析対象集団のICERの区分(営業利益の価格調整係数) (a)(b) 12 (参考)ウゴービ皮下注の費用対効果評価案策定に係る主な検討事項 1.分析枠組み 肥満症(肥満に起因ないし関連する健康障害†を合併するか、その合併が予測され、医学 的に減量を必要とする病態であり、疾患単位として取り扱う)‡を有する以下の患者をそ れぞれ分析対象集団とする。 (a) 2型糖尿病を合併している肥満症患者 (b) 2型糖尿病を合併していない肥満症患者 分析対象集団 †健康障害の定義は肥満症診療ガイドライン2022に準ずる。 ‡ただし、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法 を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。  BMIが27kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する BMIが35kg/m2以上 比較対照技術名 分析対象集団(a)(b):食事療法・運動療法 食事療法・運動療法の詳細については「最適使用推進ガイドライン セマグルチド(遺伝 子組換え)」5.投与対象となる患者(https://www.pmda.go.jp/files/000265450.pdf)に その他 基づくものとし、費用対効果の推計にあたっては日本における診療実態(継続率等)や治 療効果を反映させるものとする。 2.分析枠組みに係る専門組織での主な検討事項 (専門組織の見解) ・ 肥満症の QOL 値について、健康関連 QOL として評価することが難しいため、分析の過程での慎 重な議論が必要となるのではないか。 ・ 本剤は68週で治療を中止した後にリバウンド等も認められるため、十分長い期間で分析する必 要があると考える。 (企業の不服意見) ・ なし 3.費用対効果評価結果案策定に係る専門組織での主な検討事項 公的分析が再分析を行った主な点は以下の通りである。 (肥満症治療(セマグルチドおよび食事療法・運動療法)の継続率) 製造販売業者は「肥満症治療は継続率に課題を抱える」として、セマグルチド投与期間におい て、一定の確率で肥満症治療(セマグルチドおよび食事療法・運動療法)から脱落することをモデ ルで設定した。この肥満症治療の継続率にはイタリアの研究とアメリカのデータが外挿された。 しかし、イタリアやアメリカにおける食事療法・運動療法の継続率データが、わが国の肥満症治 療の継続率と一致するかは明らかでなく、公的分析では日本の高度肥満(BMI 35kg/m2以上)患者 の減量治療からの脱落を2年間観察した研究のデータを利用して再分析を行った。 13 (セマグルチドにおける肥満症治療の継続率上昇効果) イタリアの肥満症患者を対象に食事療法・運動療法の継続率を検討した臨床研究において、治 療早期の体重減少が食事療法・運動療法の高い継続率と相関したことから、製造販売業者は、比 較対照技術群と比較してセマグルチド群の食事療法・運動療法の継続率を高く設定した。しか し、当該研究は、食事療法・運動療法を実施している肥満症患者において、体重減少と食事療法・ 運動療法継続率の関連を検討したものであり、そこで示された治療早期の体重減少効果をセマ グルチドによる治療継続効果としてモデルへ外挿することには課題があると考えられた。そこ で、公的分析では、治療早期の体重減少と肥満症治療の継続率上昇に関係がないとした設定で再 分析を行った。 (生涯にわたる食事療法・運動療法の継続率) 製造販売業者は、セマグルチド投与期間において、一定の確率で肥満症治療(セマグルチド及 び食事療法・運動療法)から脱落することをモデルで設定した。一方で、セマグルチド投与終了 時点において、食事療法・運動療法を実施していた患者は、生涯にわたって食事療法・運動療法 を継続することを仮定した。しかし、セマグルチド投与終了時点において、食事療法・運動療法 を実施していた患者が生涯にわたって食事療法・運動療法を継続するといった十分なデータは 示されていなかった。そこで、公的分析では、その肥満症治療の継続率上昇効果が治療開始1年 後(治療期間終了)から10年目まで線形に減弱すると仮定して再分析を行った。 (生涯にわたる食事療法・運動療法の有用性) 製造販売業者は、セマグルチドの費用対効果分析において、食事療法・運動療法による生理学 的パラメータ(BMI、血圧、脂質等)の改善効果を考慮していた。この BMI、脂質等に対する食事 療法・運動療法の治療効果は、一定期間後は時間経過に伴う変化が設定されておらず、すなわち、 食事療法・運動療法の効果は、その介入が続いていれば、減弱することなく生涯にわたって治療 効果を保持することが仮定されていた。しかし、食事療法・運動療法の長期的効果のエビデンス は限定的であることから、食事療法・運動療法の治療効果が治療開始1年後(治療期間終了)か ら10年目まで線形に減弱すると仮定した再分析を行った。 製造販売業者から提示された論点は以下の通りである。 (食事・運動療法の継続率の上昇効果について) 食事療法・運動療法の継続率の設定は、公的・企業分析ともに一定の課題があると考えられる。 公的分析では、食事・運動療法の継続率が投与終了後に急速、かつ大幅に下がる設定になってい る。つまり、「本剤による治療(薬物治療)を行うと、食事・運動療法をやめやすくなる」仮定 が反映されている。このような仮定を支持する国内外のエビデンスは存在しておらず、臨床的に も不自然な設定であると考えられる。一方で、食事・運動療法の継続率の設定は不確実性が高く、 エビデンスも不十分である。そのため、継続率(脱落率)の設定をモデルに反映させることには 限界がある。 治療期間後の食事・運動療法継続率については、企業分析では本剤群と対照群の継続率に差を 設けていないため、「企業分析ではセマグルチド+食事・運動療法で得られた継続率の上昇が生 涯継続している」との公的分析の指摘には誤解があると考えられる。 14 治療期間後の食事・運動療法継続率の設定は、公的分析・企業分析のどちらも明確なエビデン スを基に設定されたものではなく、継続率を設定することによる不確実性も高いため、継続率の 設定をモデルに反映させることには限界がある。公的分析報告書にて言及されたStopping rule の考え方をもとに、脱落率の代わりにNICEで使用されたStopping ruleを反映させるのは、実 臨床において想定される本剤の使用実態を反映し得る点で、妥当性がある。そのため、 NICEで 使用されたStopping ruleに基づく分析を基本分析とすることが妥当と考える。 (Stopping ruleに基づく分析について) 公的分析では、Non-responderは無治療に移行し、治療期間終了後に食事・運動療法を再開す るとしているが、NICE での設定と同様に、無治療へ移行せずに食事・運動療法に移行するべき と考える。また、公的分析では「5%未達の割合」と「脱落率」が併用されているが、両者の重 複部分を適切にモデル上で処理できないことから、「5%未達の割合」のみを設定すべきである。 以上を踏まえ、専門組織で議論し、肥満治療の継続率及び継続率上昇効果、ならびに生涯にわた る食事療法・運動療法の継続率と有効性について、下記のとおり、公的分析の結果が妥当であると 考えられた。 ・ 海外における食事療法・運動療法の継続率データが、わが国の肥満症治療の継続率と一致す るかは明らかでなく、日本の高度肥満患者の減量治療における研究のデータを利用した公的 分析の再分析は妥当である。 ・ 早期の体重減少による治療継続効果をセマグルチドによるものとしてモデルへ外挿するこ とに課題があるため、早期の体重減少効果と肥満症治療の継続率上昇に関係がないとしたこ とは妥当である。 ・ 生涯にわたる食事療法・運動療法の継続率及び有用性について、治療開始1年後(治療期間 終了)から10年目まで線形に減弱するとした仮定は妥当である。 上記専門組織の決定について、製造販売業者から、本剤終了後の食事運動療法の継続率について不 服意見が出された。専門組織では、以下の通り議論され、分析結果等については公的分析結果が妥当 であると結論付けられた。 ・ 公的分析が設定した 10 年という数字に明確な根拠がないものの、製造販売業者の提案にもエビ デンスはない。相対的に評価すると、10 年経過すれば食事運動療法の継続率が比較対照技術と 同じになる設定は臨床的には妥当であると考えられる。 ・ 68 週以降に食事運動療法が一定期間継続され、ウゴービの影響が続く可能性は否定しないが、 永久に非治療群との差が縮まらないというのは、考えにくい。 ・ 臨床データが蓄積した時点で、再評価も考慮してもよいのではないか。 <参考:本資料に係る留意事項> ・ 総合的評価では、企業分析及び公的分析双方とも一定の科学的妥当性が認められている。 ・ 「専門組織での主な検討事項」は、双方の主な見解の相違部分を抜粋したものである。 ・ 費用対効果評価の詳細については、国立保健医療科学院から公表される報告書を参照されたい。 (以上) 15

この資料について

出典:厚生労働省ホームページ (https://www.mhlw.go.jp/)

当サイトが保存しているのは、PDFから取り出した文字だけです。 これは言葉で探せるようにするためのもので、 厚生労働省が公表した資料そのものではありません。 図表・画像・レイアウトは失われています。

正確な内容は、必ず厚生労働省のPDFをご確認ください。