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総-1-1 医薬品の費用対効果評価案について

総会 第611回 / 2025-07-09 開催 / 7ページ

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中医協 総-1-1 7 . 7 . 9 医薬品の費用対効果評価案について うち有用性系 市場規模 総会での 品目名 効能・効果 収載時価格 費用対効果評価区分 頁 加算率 (ピーク時予測) 指定日 レケンビ点滴静 アルツハイマー病による軽度認知 45,777円(200mg2mL1瓶) H1(市場規模が ① 45% 986億円 2023/12/13 2 注 障害及び軽度の認知症の進行抑制 114,443円(500mg05mL1瓶) 100億円以上) 1 医薬品・医療機器等の費用対効果の総合的評価案について 対象品目名:レケンビ点滴静注(レカネマブ) 製造販売業者名:エーザイ株式会社 効能・効果:アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制 ICER(円/QALY)の 患者割合 対象集団 比較対照技術 区分 (%) (a)アルツハイマー病による軽度認知障害 非薬物療法 1,000万円/QALY以上 59.0 (b)アルツハイマー病による軽度の認知症 ドネペジル+非薬物療法 1,000万円/QALY以上 41.0 [公的医療の立場] ICERが500万円 価格調整※3を適用し 患者割合 対象集団 比較対照技術 /QALYとなる価格※ た場合の価格 (%) 1、2 (a)アルツハイマー病によ 13,567円(200mg) 38,910円(200mg) 非薬物療法 59.0 る軽度認知障害 33,917円(500mg) 97,277円(500mg) (b)アルツハイマー病によ ドネペジル+非薬物 11,663円(200mg) 38,910円(200mg) 41.0 る軽度の認知症 療法 29,158円(500mg) 97,277円(500mg) ※1 「レケンビに対する費用対効果評価について(令和 5 年 12 月 13 日 中央社会保険医療協議会了解)1.価格調整範囲に係る対応 (1)価格調整の方法について」による。 ※2 増分QALY、医療費等を元に、公的分析班にて算出。 ※3 ※1に掲げられた計算方法に従って算出。 [公的医療・介護の立場] ICERが500万円 価格調整※3を適用し 患者割合 対象集団 比較対照技術 /QALYとなる価格※ た場合の価格 (%) 1、2 (a)アルツハイマー病によ 16,329円(200mg) 38,910円(200mg) 非薬物療法 59.0 る軽度認知障害 40,822円(500mg) 97,277円(500mg) (b)アルツハイマー病によ ドネペジル+非薬物 14,404円(200mg) 38,910円(200mg) 41.0 る軽度の認知症 療法 36,010円(500mg) 97,277円(500mg) ※1 「レケンビに対する費用対効果評価について(令和5年12月13日 中央社会保険医療協議会了解)1.価格調整範囲に係る対応 (1)価格調整の方法について」による。 ※2 増分QALY、医療費等を元に、公的分析班にて算出。 ※3 ※1に掲げられた計算方法に従って算出。 2 (参考)レケンビにおける価格調整について ○ 価格調整の方法は、費用対効果評価の結果、ICERが500万円/QALYとなる価格と見直し前の価格の差 額を算出し、差額の25%を調整額とする。 ○ 価格が引き下げとなる場合には、調整後の価格の下限は、価格全体の85%(調整額が価格全体の15% 以下)とする。 3 (参考)レケンビ点滴静注の費用対効果評価案策定に係る主な検討事項 1. 分析枠組み 以下の患者をそれぞれ分析対象集団とする。 分析対象集団 (a)アルツハイマー病による軽度認知障害 (b)アルツハイマー病による軽度の認知症 (a)非薬物療法※ 比較対照技術名 (b)ドネペジル+非薬物療法※ ※経過観察、生活指導等を含む 「公的医療の立場」 有 (その詳細:「公的医療・介護の立場」の分析を行ってもよい。ただし、「公的医療 以外の分析の希望 の立場」の分析を実施すること。) 分析対象集団(b)の治療効果の推計においては、本分析と比較対照群の設定が異なる その他 ため、ピボタル試験(301試験 Core Study)で示された治療効果とは異なる可能性に 留意して検討する。 2. 分析枠組みに係る専門組織での主な検討事項 (専門組織の見解) ・ 治療効果が過剰推計とならないように、臨床試験の選択バイアス等については注意が必要であ り、ピボタル試験のみを使用するのではなく、その他、使用可能なデータも用いて検討するのが よいのではないか。 ・ 臨床的認知症重症度判定尺度(CDR-SB)の差について、海外ではその臨床的意義について厳しい 評価もあり、臨床的にはその変化が認識できる程度なのかどうか、評価が難しい印象がある。長 期的な効果の推計も重要であり、EQ-5D-5L 等を用いながら検証していく必要があるのではない か。 (企業の不服意見) ・ なし 3. 費用対効果評価結果案策定に係る専門組織での主な検討事項 公的分析が再分析を行った際の主な論点は以下の通りである。 (レカネマブの有効性に関する推計について) 製造販売業者は、レカネマブの有効性に関する推計について、レカネマブの投与終了後にその 効果が維持されるとする仮定を設けた。しかし、その仮定には現時点においてエビデンスが示さ れていないことから、公的分析では採用しなかった。また、レカネマブ投与開始から18か月以 降の有効性について、301試験Core studyの非盲検長期継続投与試験データと米国の高齢者コ ホートであるADNIコホートデータとの間接比較に基づき説明した。しかし、同試験に基づく結 果は、患者の選択バイアスなどの影響が含まれている可能性が否定できない。さらに、レカネマ ブの投与により生存期間が延長するというエビデンスはないことから、レカネマブによる症状 進行抑制期間を超えて生存期間が延長されるとすることは増分QALYを過剰推計するおそれがあ る。このため、公的分析ではレカネマブによる生存期間の延長効果として、軽度認知障害あるい 4 は軽度認知症において、その症状進行を遅延させる期間内とすることとした。製造販売業者が作 成したマルコフモデルでは、これらの観点を反映させた再分析を実施することがモデル上の制 約から困難であったため、公的分析では新たな分析モデルを作成した。 (患者及び家族介護者のQOL値の設定について) 製造販売業者は、同一の重症度においても、レカネマブ群と比較対照群で QOL 値に差をつけ ているが、そのことの臨床的解釈は困難であり、また臨床試験で得られた結果において群間で統 計学的に有意な差もない。そのため、公的分析は同一の重症度においては、両群で同一のQOL値 を用いることとした。 製造販売業者による家族介護者の QALY の推計方法は、その減少分ではなく家族介護者の QOL 値そのものを用いて計算している。しかしその場合は、患者の生存期間の延長が家族介護者の QALY にも反映され、本品で仮定した生存期間の延長効果が二重に計上されることになるから、 製造販売業者の分析手法は適切ではない。そのため、公的分析では、家族介護者のQOL値の絶対 値ではなく、家族介護者のQOL値の減少値を用いて増分QALYを算出した。さらに、認知症の進 行抑制期間を、介護負担が短縮する期間と捉えることとし、介護負担が減少することに関する QOL値を算出した。 また、公的分析では患者の施設居住による家族介護者の QOL 値の減少は、客観的な根拠がな いことから考慮しないこととした。 なお、製造販売業者は「公的医療の立場」からの分析においても、家族介護者のQOL値を考慮 に入れている。しかし、費用対効果評価の分析ガイドライン(中央社会保険医療協議会における 費用対効果評価の分析ガイドライン 2024 年度版)においては、「8.4 「公的医療・介護の立場」か らの分析の場合、実際のデータがあれば家族等の介護者や看護者に与える QOL 値への影響につ いて考慮に入れてもよい。」とされている一方、「公的医療の立場」において家族介護者を考慮に 入れることは想定されていないことから、公的分析による「公的医療の立場」からの分析では、 介護負担を考慮しないこととした。 (費用の推計方法について) 公的分析では軽度認知障害あるいは軽度認知症患者における施設入所費用については非関連 費用と判断したことから、公的介護費から除外することとした。 (モデルの再構成について) 製造販売業者が作成したマルコフモデルでは、公的分析のレビューにおけるすべての論点を 反映させた再分析を実施することがモデル上の制約から困難であった。そのため公的分析では 新たな分析モデルを作成し、増分費用対効果比の推計を行った。なお、その際には、重症度別の 状態間の「推移」を考えるのではなく、状態が悪化するまでの「期間」に着目した。 製造販売業者から提示された論点は以下の通りである。 (公的分析モデル構築方法について) 企業分析に用いたマルコフモデルは、海外の主要な医療技術評価機関に標準的に採用され、長期的 な費用対効果の推計において信頼性の高い検証されたモデルである。公的分析のモデルでは、レカネ 5 マブ群に対してマルコフモデルを適用しておらず、レカネマブの効果について、臨床エビデンスに基 づいた長期推計が適正に行われていない。 また、アルツハイマー病を含む認知症は致死的な疾患であり、2015 年以降、日本人の死因の1位 である。公的分析は、科学的根拠なしに、レカネマブ群の生存期間、重度 AD 期間を調整している。 AD による死亡リスクのエビデンスは多数報告されており、公的分析では死亡リスクをモデルに反映 させるべきである。 さらに、公的分析では、介護者がより良い状態の患者とより長く過ごすことができる価値が著しく 軽視された分析結果となっている。「新たに構築したモデル」における介護者 QALY の増分は、 0.028×0.44年=0.012 QALY のみで、① 重度ADの介護者QOL値が設定されず、介護者QOLの低下が 大きい重度AD期間の影響が全く反映されていない、② 軽度、中等度ADの滞在期間への影響が考慮 されず、当該介護者QOLへの影響が全く反映されていない。 (長期有効性の分析手法について) レカネマブの有効性については、36 ヵ月までの長期 OLE データが出ているにもかかわらず、 公的分析では 18 か月時の 5.3 か月の評価データのみで推計されており、長期推計していない。 301 試験 OLE 期のデータでは、投与継続により、群間差が非線形に拡大することが示されてい る。 また、公的分析による投与中止後の有効性の設定では、レカネマブの投与終了後にその効果が 維持されるという設定は、レカネマブの治療効果を過大に推計するとして、全要因による中止後 の効果 HR=1、中等度以降の中止の効果 HR=1としている。日本の Expert Opinion では、投与 中止後の効果量や持続期間を示すエビデンスは得られていないが、すぐに効果がなくなること はないとされ、またNICE guidance draftによる指摘では、レカネマブによる治療を中止した 後、患者の状態が直ちに悪化することは極めて低い、治療を中止してもアミロイドの蓄積が突然 ベースラインレベルに戻ることはなく、効果減弱シナリオを設定するべきと記載されている。 ADNI コホートからは、301 試験と背景を揃えた症例の自然病態推移を投与0か月から抽出し ているため、301 試験の実態に近く、先行研究において、J-ADNI と ADNI、すなわち、日本人と 米国人のADの病態推移はほぼ一致していると報告されている。そのため、対象集団であるADNI 群の選定は妥当であり、長期推計にOLEデータを採用することは適切である。また、レカネマブ 群でも公的分析が指摘するような18か月前後での対象集団の変化はなく、データにより分析モ デルの平均投与期間までの有効性が継続することが確認されたため、OLEデータを用いることは 適切である。301 試験の中止例を含めた評価方法と MMRM による欠測値を加味した解析手法によ り、OLE期までの投与中止後の有効性の設定はHR=0.704で適正と考える。またその後の期間に おいては効果減弱シナリオを新たに提案する。 以上を踏まえ、専門組織で議論し、レカネマブの有効性に関する推計、患者及び家族介護者の QOL値の設定、費用の推計方法及びモデルの再構築について、下記のとおり、公的分析の結果が 妥当であると考えられた。 ・ 家族介護者の QOL 値を加える Additive approach では、一人暮らしの認知症患者が相当存 在することの臨床実態について十分に評価できないのではないか。 ・ Additive approachは、レカネマブの効果を介護者のQOL値だけではなく、その生存年にも 6 直接適用させるため、QALY の過大推計となる。一方、公的分析による介護者の QOL 値減少 分を本剤の重症化遅延効果としてQALYに加算する方法は、carer QALY trapを解消する手 法として理に適っている。 ・ 延長した生存期間のすべてをMCI期の延長とする公的分析の設定では、むしろQALYが最大 化することは理解できた。 ・ 公的分析は、比較対照技術でのみマルコフモデルを用いているのではなく、評価対象技術と 比較対照技術の両方で新しいモデルを用いて解析しており、妥当と考える。 ・ 症状進行抑制期間に基づいた新しいモデルの結果と、企業の提示したマルコフモデルをそ のまま採用したシナリオ分析においても、結果に大きな違いがない点は重要である。投与 中止3ヶ月以降のデータが示されていないため、投与中止後にも進行抑制効果が継続する ことについては、現時点では科学的根拠に基づく評価は困難である。 ・ 本剤の価格調整にあたっては、特例的な対応として「レケンビに対する費用対効果評価に ついて」に基づき、ICERが500万円/QALYとなる価格を踏まえる必要がある。公的分析班 が実施した算出方法やその結果について、異論はない。 上記専門組織の決定について、製造販売業者から、長期推計方法について、分析モデルについ て、介護者QOLの算出方法について不服意見が出された。専門組織では、以下の通り議論され、分 析結果等については公的分析結果が妥当であると結論付けられた。 ・ 18 ヶ月以上の長期推計効果を見るのであれば、適切な比較対照群をおいた Extension study のデータを示すべきであり、米国の高齢者コホートである ADNI を対照群とする のは、適切でないと考えられる。 ・ 企業は、「投与中止後も中等度 AD に移行するまでは HR=0.704 を適用し続ける」ことの 妥当性を支持するエビデンスを提示するべきであるが、そのようなエビデンスは示され ていない。 ・ 企業分析では、患者の生存期間が延長すれば、その分、介護者のQOLが加算されるとい う点で、介護の「負担」を適切に評価しているとは言えない。 ・ 企業によるAdditive approachは獲得QALYを過大推計しており、介護者のQOLについ て「現実的な設定をした」という公的分析の説明に同意する。 <参考:本資料に係る留意事項> ・ 総合的評価では、企業分析及び公的分析双方とも一定の科学的妥当性が認められている。 ・ 「専門組織での主な検討事項」は、双方の主な見解の相違部分を抜粋したものである。 ・ 費用対効果評価の詳細については、国立保健医療科学院から公表される報告書を参照されたい。 (以上) 7

この資料について

出典:厚生労働省ホームページ (https://www.mhlw.go.jp/)

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