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総会 第518回 / 2022-03-23 開催 / 36ページ

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第107回先進医療会議(令和4年2月3日)における先進医療Aの科学的評価結果 保険給付される 保険外併用 保険給付されない 整理 費用※2 療養費分 その他 技術名 適応症等 申請医療機関 費用※1※2 受付日 総評 番号 (「保険外併用療養費 に係る一部 (事務的対応等) (「先進医療に係る費用」) に係る保険者負担」) 負担金※2 子宮内膜刺激胚移植法: 英ウィメンズセ Stimulation of Endometrium 340 胚移植を必要とする不妊症 ントラルファティ 4万円 - - R3.8.30 適 別紙資料1 –Embryo Transfer; リティクリニック (SEET法) ミオ・ファティリ 341 タイムラプス 胚移植を必要とする不妊症 2万3千円 - - R3.8.31 適 別紙資料2 ティ・クリニック 胚移植を受ける不妊症患者 英ウィメンズセ 342 子宮内膜スクラッチ (これまで反復して着床・妊娠に ントラルファティ 3万円 - - R3.10.4 適 別紙資料3 至らないものに限る) リティクリニック 胚移植を受ける不妊症患者 医療法人社団 PICSI (Physiologic intracytoplasmic sperm (胚移植後に反復して流産を認 神徳会 芝公園 344 2万4千円 - - R3.11.30 適 別紙資料4 injection) めたもの、あるいは奇形精子を かみやまクリ 伴うものに限る) ニック 胚移植を受ける不妊症患者 京野アートクリ 345 子宮内膜受容能検査(ERA) (これまで反復して着床・妊娠に 13万8千円 - - R4.1.4 適 別紙資料5 ニック高輪 至らないものに限る) 神谷レディース 346 子宮内細菌叢検査 慢性子宮内膜炎疑い 5万6千円 - - R4.1.4 適 別紙資料6 クリニック ※1 医療機関は患者に自己負担を求めることができる。 ※2 典型的な1症例に要する費用として申請医療機関が記載した額。(四捨五入したもの。) 【備考】 ○ 先進医療A 1 未承認等の医薬品、医療機器若しくは再生医療等製品の使用又は医薬品、医療機器若しくは再生医療等製品の適応外使用を伴わない医療技術(4に掲げるものを除く。) 2 以下のような医療技術であって、その実施による人体への影響が極めて小さいもの(4に掲げるものを除く。) (1)未承認等の体外診断薬の使用又は体外診断薬の適応外使用を伴う医療技術 (2)未承認等の検査薬の使用又は検査薬の適応外使用を伴う医療技術 (3)未承認等の医療機器の使用又は医療機器の適応外使用を伴う医療技術であって、検査を目的とするもの ○ 先進医療B 3 未承認等の医薬品、医療機器若しくは再生医療等製品の使用又は医薬品、医療機器若しくは再生医療等製品の適応外使用を伴う医療技術(2に掲げるものを除く。) 4 医療技術の安全性、有効性等に鑑み、その実施に係り、実施環境、技術の効果等について特に重点的な観察・評価を要するものと判断されるもの 1 先進医療A評価用紙(第1-1号) 評価者 構成員: 佐藤 典宏 先生 先進技術としての適格性 先 進 医 療 子宮内膜刺激胚移植法:Stimulation of Endometrium – Embryo Transfer; の 名 称 (SEET法) ○A.妥当である。 適 応 症 B.妥当でない。(理由及び修正案: ) A.従来の技術を用いるよりも大幅に有効。 有 効 性 ○B.従来の技術を用いるよりもやや有効。 C.従来の技術を用いるのと同程度、又は劣る。 ○A.問題なし。(ほとんど副作用、合併症なし) 安 全 性 B.あまり問題なし。(軽い副作用、合併症あり) C.問題あり(重い副作用、合併症が発生することあり) ○A.当該分野を専門とし経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば行える。 B.当該分野を専門とし数多く経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば 技 術 的 行える。 成 熟 度 C.当該分野を専門とし、かなりの経験を積んだ医師を中心とした診療体制を とっていないと行えない。 社会的妥当性 (社会的倫理 ○A.倫理的問題等はない。 的 問 題 B.倫理的問題等がある。 等 ) A.罹患率、有病率から勘案して、かなり普及している。 現 時 点 で の ○B.罹患率、有病率から勘案して、ある程度普及している。 普 及 性 C.罹患率、有病率から勘案して、普及していない。 既に保険導入されている医療技術に比較して、 効 率 性 A.大幅に効率的。 B.やや効率的。 ○判定困難 C.効率性は同程度又は劣る。 将来の保険収 ○A.将来的に保険収載を行うことが妥当。 載 の 必 要 性 B.将来的に保険収載を行うべきでない。 総合判定: ○適・ 条件付き適・ 否 コメント: 特定不妊治療における胚移植の一方法として既に多くの施設で実施 されている(厚労省研究班調査で実施施設38.9%)。現時点で明らか 総 評 な有効性は示されていないが、安全性には大きな問題はなく、先進 医療で有効性を証明することには意義があると考えられる。なお、 「効率性」の判断を「判定困難」としたのは、現時点で保険導入さ れている特定不妊治療の医療技術が存在せず、比較が困難なためで ある。 2 先進医療A評価用紙(第1-1号) 評価者 技術委員:北脇 城 先生 先進技術としての適格性 先 進 医 療 子宮内膜刺激胚移植法:Stimulation of Endometrium – Embryo Transfer; の 名 称 (SEET法) A.妥当である。 適 応 症 B.妥当でない。(理由及び修正案: ) A.従来の技術を用いるよりも大幅に有効。 有 効 性 B.従来の技術を用いるよりもやや有効。 C.従来の技術を用いるのと同程度、又は劣る。 A.問題なし。(ほとんど副作用、合併症なし) 安 全 性 B.あまり問題なし。(軽い副作用、合併症あり) C.問題あり(重い副作用、合併症が発生することあり) A.当該分野を専門とし経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば行える。 B.当該分野を専門とし数多く経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば行 技 術 的 える。 成 熟 度 C.当該分野を専門とし、かなりの経験を積んだ医師を中心とした診療体制を とっていないと行えない。 社会的妥当性 (社会的倫理 A.倫理的問題等はない。 的 問 題 B.倫理的問題等がある。 等 ) A.罹患率、有病率から勘案して、かなり普及している。 現 時 点 で の B.罹患率、有病率から勘案して、ある程度普及している。 普 及 性 C.罹患率、有病率から勘案して、普及していない。 既に保険導入されている医療技術に比較して、 効 率 性 A.大幅に効率的。 B.やや効率的。 C.効率性は同程度又は劣る。 将来の保険収 A.将来的に保険収載を行うことが妥当。 載 の 必 要 性 B.将来的に保険収載を行うべきでない。 総合判定: 適 ・ 条件付き適・ 否 コメント:SEET法は一般的に安全かつ簡便な手法であると考えられる。一方 総 評 で、いかなる臨床背景を持つ症例の胚移植においても妊娠率が上昇するのか、あ るいは特定の反復着床不全においてのみ有用なのかという点についてはエビデ ンスが不足している。保険収載にあたっては、RCT等によるエビデンス構築が求 められる。 3 様式第5号 先進医療の内容 (概要) 先進医療の名称:子宮内膜刺激胚移植法:Stimulation of Endometrium –Embryo Transfer; (SEET法) 適応症:胚移植を必要とする不妊症 内容: (先進性) 生殖補助医療における反復不成功例のなかに、形態良好胚を移植しているにもかかわらず妊 娠にいたらない着床不全症例が存在する。着床不全の原因のうち、子宮および卵管側の器質的 要因として子宮粘膜下筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮内膜症、子宮奇形、卵管水腫などが挙げ られる。一方、機能的要因として性ステロイドホルモンや胚因子の刺激に対する子宮内膜の反 応異常に起因する胚受容能の異常がなど考えられている。これらのうち胚由来因子の欠如また は減少による子宮内膜の胚受容能の低下に起因する着床率低下を改善する方法として、1999年 に滋賀医科大学にて二段階胚移植が考案された。二段階胚移植は着床周辺期の胚と子宮内膜は シグナル交換(クロストーク)をしており、胚は着床に向けて子宮内膜の局所環境を修飾して いることを示したマウスを用いた基礎研究に基づいている。二段階胚移植法ではday2に初期胚 を移植し、残りの胚は培養を継続し、引き続きday5に胚盤胞を移植する。初期胚にはクロスト ークにより子宮内膜の胚受容能を高める働きを期待し、継続培養によって選択された胚盤胞が より高い確率で着床することを期待している。以来、特に反復ART不成功例に対する移植方法 として他施設にても用いられ良好な成績を挙げており、誌上報告もなされている。しかしなが ら、二段階胚移植法は少なくとも胚を2個移植するため多胎の問題を回避することはできなか った。近年、多胎予防を目的として単一胚移植が推奨されるようになってきた。単一胚移植を 行う場合は、初期胚移植か胚盤胞移植のいずれかを行うことになるが、これらの移植方法では 二段階胚移植法のように胚と子宮内膜の相互作用を利用することができない。この問題を克服 するために新たに考案した方法が子宮内膜刺激胚移植法:Stimulation of Endometrium – Embryo Transfer; (SEET)である。 近年、胚培養液上清には子宮内膜胚受容能促進に関与する胚由来因子が存在することが報告 されている。そこで、胚培養液上清を子宮腔内に注入することにより子宮内膜が刺激を受け、 胚受容に適した環境に修飾される可能性があると考え、胚盤胞移植(BT)に先立ち胚培養液上 清を子宮腔内に注入する方法を考案し、これを子宮内膜刺激胚移植法:Stimulation of Endometrium –Embryo Transfer; SEETと命名した。 胚盤胞移植は継続培養により移植胚の選択が容易になることや、胚発生と子宮内膜が同調す ることなどにより、高い着床率を得ることができるとされる移植方法である。しかしながら、 その妊娠率は50%前後にとどまっている。胚盤胞移植における着床不全の機能的原因として、 移植胚盤胞の子宮内での発生停止や透明帯から孵化できないなどの胚に起因する要因と、子宮 環境の不全による要因などが考えられる。 着床に適切な子宮内膜の分化、すなわちimplantation windowは性ステロイドホルモンの制 御のみならず、胚と子宮内膜のクロストークによって導き出されると考えられており、クロス 4 トークは初期胚の段階からなされているとも考えられている。ところが、ホルモン調節周期に おける胚盤胞移植では、性ステロイドによる子宮内膜の分化は行われているものの、胚盤胞が 移植されて初めてクロストークが開始するため、子宮内膜の着床準備が遅れ、着床不全が起き 妊娠不成立となる、または着床遅延が生じている可能性がある。 Zhang らはday3移植例とday5移植例の妊娠周期でのhCG濃度を比較し、day5の方が低値 であることを報告している。かれらは、day5移植例のhCG濃度が低値であるのは長期培養に よる胚へのダメージが原因であると考察しているが、胚と子宮内膜のクロストークの開始が day5移植ではday3移植に比べて遅れるために生じたことに起因する着床遅延によるものと考 えることもできよう。私どもの研究においても、妊娠判定日(day30)におけるhCG値が SEETではBTと比べ有意に高値となったことより、BTに対し、SEETでは培養液注入時よ りクロストークが開始するため、適時着床が成立しBTと比較して着床時期が早くなったこと が推察できる。SEETは胚由来因子により子宮内膜のimplantation windowに作用し胚受容能 を亢進している可能性があると考えている。 SEETは簡便で副作用もなく、BTと比較して妊娠率・着床率が高くなるため、臨床的に有 用な移植法となりうると考えている。 (概要) 対象:胚移植を必要とする不妊症 方法: 体外受精により作出された受精卵を体外で5~6日間培養し、得られた胚盤胞は一旦凍結保存す る。この際に体外培養に使用された培養液(当院ではSAGE 1-Stepメディウムを約50~100 ㎕使用)を、胚盤胞とは別の容器に封入した後に凍結保存しておく。この培養液(リンス液と いう)の中に、受精卵が成長する過程に排出される伝達物質が含まれていると考えられる。 胚盤胞移植(凍結融解胚移植)は自然排卵周期またはホルモン補充周期で行う。 自然排卵周期の場合は月経開始10日目頃より数回の診察を経て排卵日が確定すれば、排卵後2 ~3日目にリンス液を子宮内に注入する。さらに排卵後4~5日目に凍結保存した胚盤胞を1個 融解して移植を行う。 ホルモン補充周期では月経開始2日目から卵胞ホルモン製剤の投与を開始し、月経12~14日目 の診察でホルモン値や子宮内膜厚の確認後問題なければ月経15日目より黄体補充を開始する。 黄体補充開始後2~3日目に、リンス液を子宮内に注入する。さらに黄体補充開始後4~5日目 に、凍結保存しておいた胚盤胞を1個融解して移植を行う。 排卵または黄体補充開始後15日目頃に血中hCGを測定し妊娠判定を行う。妊娠判定が陰性 であれば、観察は終了とする。 妊娠判定が陽性となれば、引き続き経過を観察し超音波検査により胎嚢が確認できれば臨床妊 娠と判定し観察終了とする。胎嚢が確認できなければ化学流産として観察は終了とする。 5 (効果) 妊娠率の向上が期待できる。 (先進医療にかかる費用) 先進医療にかかる費用は39,910円である。 6 子宮内膜刺激胚移植法: Stimulation of Endometrium –Embryo Transfer; 法の概要図 SEET 【概要】 本技術は体外受精治療に体外受精により作出された受精卵を体外で5~6日間培養 し、得られた胚盤胞は一旦凍結保存する。この際に体外培養に使用された培養液を 凍結保存しておく。この培養液(リンス液という)には子宮内膜胚受容能促進に関与 する胚由来因子が存在し、これを子宮内に注入することで子宮内膜とのクロストーク が開始され、胚受容に適した環境に修飾される可能性があると考えられ、妊娠率の 向上が期待できる。 7 保険収載までのロードマップ 先進医療技術名:子宮内膜刺激胚移植法 Stimulation of Endometrium –Embryo Transfer; (SEET法) 先進医療での適応疾患:体外受精-胚移植を必要とする不妊症(反復着床不全を含む) 臨床研究 先進医療 多 施 ・ 試験名:Stimulation of ・ 試験名: endometrium embryo transfer can 子宮内膜刺激胚移植法: 設 保 improve implantation and Stimulation of Endometrium – 共 pregnancy rates for patients Embryo Transfer; (SEET法) 険 同 undergoing assisted reproductive ・ 試験デザイン: technology for the first time with a 単施設前向き観察研究 研 収 high-grade blastocyst ・ 期間:2022.4.1~2023.3.31 究 ・ 試験デザイン:RCT 3群比較試験 ・ 被験者数:1,000症例 載 ・ 期間:2007.4~2008.3 ・ 主要評価項目:臨床妊娠率 ※単施設前向き 被験者数:144 ・ 副次評価項目: 観察研究の結果 結果の概要:SEETは、ART患 者の着床率 血中hCG陽性率、有害事象の発現 を評価し、 とPRを高めるための効果的な方法である可 能性が示唆された。 率ほか 更なるエビデンス 構築を行う。 当該先進医療における 欧米での現状 薬事承認:米国(無) 欧州(無) 選択基準:胚移植を受ける不妊症患者 ガイドライン記載:(無) 除外基準:これまでの治療経過より感染のリスクが高いと判断された症例 予想される有害事象:下腹部痛、出血を伴うことがある。また、ごくまれに感染 国内のガイドライン記載(有) (子宮付属器炎、卵管周囲炎、骨盤腹膜炎)を起こすことがある 日本生殖医学会:SEET法の有効性を示唆 する報告もあるため、治療オプションの一 つとして考慮される(推奨レベルC) 8 ○先進医療A評価用紙(第1-1号) 評価者 構成員: 福井 次矢 先生 先進技術としての適格性 先 進 医 療 タイムラプス の 名 称 適 応 症 A.妥当である。 B.妥当でない。(理由及び修正案: ) A.従来の技術を用いるよりも大幅に有効。 B.従来の技術を用いるよりもやや有効。 有 効 性 C.従来の技術を用いるのと同程度、又は劣る。 A.問題なし。(ほとんど副作用、合併症なし) 安 全 性 B.あまり問題なし。(軽い副作用、合併症あり) C.問題あり(重い副作用、合併症が発生することあり) A.当該分野を専門とし経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば行える。 B.当該分野を専門とし数多く経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば 技 術 的 行える。 成 熟 度 C.当該分野を専門とし、かなりの経験を積んだ医師を中心とした診療体制を とっていないと行えない。 社会的妥当性 (社会的倫理 A.倫理的問題等はない。 的 問 題 B.倫理的問題等がある。 等 ) A.罹患率、有病率から勘案して、かなり普及している。 現 時 点 で の B.罹患率、有病率から勘案して、ある程度普及している。 普 及 性 C.罹患率、有病率から勘案して、普及していない。 既に保険導入されている医療技術に比較して、 効 率 性 A.大幅に効率的。 B.やや効率的。 C.効率性は同程度又は劣る。 将来の保険収 A.将来的に保険収載を行うことが妥当。 載 の 必 要 性 B.将来的に保険収載を行うべきでない。 総合判定: 適・ 条件付き適・ 否 コメント: 将来的には、臨床的妊娠率や生産率といった最終的アウトカムを主 総 評 要評価項目とした研究を行うべきと思う。 9 先進医療A評価用紙(第1-1号) 評価者 技術委員:北脇 城 先生 先進技術としての適格性 先 進 医 療 タイムラプス の 名 称 A.妥当である。 適 応 症 B.妥当でない。(理由及び修正案: ) A.従来の技術を用いるよりも大幅に有効。 有 効 性 B.従来の技術を用いるよりもやや有効。 C.従来の技術を用いるのと同程度、又は劣る。 A.問題なし。(ほとんど副作用、合併症なし) 安 全 性 B.あまり問題なし。(軽い副作用、合併症あり) C.問題あり(重い副作用、合併症が発生することあり) A.当該分野を専門とし経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば行える。 B.当該分野を専門とし数多く経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば行 技 術 的 える。 成 熟 度 C.当該分野を専門とし、かなりの経験を積んだ医師を中心とした診療体制を とっていないと行えない。 社会的妥当性 (社会的倫理 A.倫理的問題等はない。 的 問 題 B.倫理的問題等がある。 等 ) A.罹患率、有病率から勘案して、かなり普及している。 現 時 点 で の B.罹患率、有病率から勘案して、ある程度普及している。 普 及 性 C.罹患率、有病率から勘案して、普及していない。 既に保険導入されている医療技術に比較して、 効 率 性 A.大幅に効率的。 B.やや効率的。 C.効率性は同程度又は劣る。 将来の保険収 A.将来的に保険収載を行うことが妥当。 載 の 必 要 性 B.将来的に保険収載を行うべきでない。 総合判定: 適 ・ 条件付き適・ 否 コメント:タイムラプスを用いることにより、大きな妊娠率/出生率改善が 総 評 得られるというエビデンスの構築にはいまだ至っていない。保険収載にあたって は、RCT等によるエビデンス構築が必要であると考える。さらに、高額な機器導 入が必要であることから、保険収載にあたっては、効率性も勘案されるべきであ る。 10 様式第5号 先進医療の内容 (概要) 先進医療の名称:タイムラプス 適応症:胚移植を必要とする不妊症 内容: (先進性) 2008 年頃からタイムラプスによる胚の観察が行われ始め、1 日 1 回程度の形態学的観察より、 タイムラプスのほうが正確な胚の評価が可能であることが明らかになっている。 胚をインキュベーターから出さずにこれらのタイムラプスによる評価から、移植胚の選択を行う ことにより、通常の観察による胚の選択に比べて妊娠率が20%向上するという報告もある。タイ ムラプスによる胚の評価は、移植する胚の選定に有用であると考えられる。 しかし、タイムラプスによる胚の評価の基準は各施設によってさまざまであり、評価基準を作成 することが必要である。 (概要) 1)対象:胚移植を必要とする不妊症 2)各症例への実施: 体外受精や顕微授精後の卵子をタイムラプス装置搭載型培養器と従来型培養器を用いて培 養し、Pronucleus(PN)出現、細胞分裂様式、多核、割球間のサイズ、胚盤胞の細胞数、卵割に 要する時間などを比較検討する。 3)分析結果の評価: タイムラプス搭載型培養器で得られた胚の形態的評価と従来型培養器での胚の形態学的観 察による評価をもとに選択した胚を移植し、生産率等を比較する。 (効果) 臨床的妊娠率の上昇、培養成績の向上、着床率・生産率の上昇 (先進医療にかかる費用) 先進医療に係る費用は23,000円である。 11 医療技術の概要図 タイムラプス 申請医療機関:ミオ・ファティリティ・クリニック 12 保険収載までのロードマップ 先進医療技術名:タイムラプス 先進医療での適応疾患:胚移植を必要とする不妊症 先進医療 臨床研究 ・ 試験名:タイムラプス培養器と通常培養器での体外培養成績の比較に 関する多施設共同研究 保 ・ 研究名:高解像度のタイ ・ 試験デザイン:多施設前向きランダム化比較試験 ムラプス撮像による胚発育 ・ 期間:2022年4月~2023年12月末日 の評価 険 ・ 被験者数:200例 ・ 観察研究 ・ 主要評価項目:分割率、良好分割胚率、胚盤胞発生率、有効利用率 ・ 期間:2003.4~2014.12 (胚移植、凍結胚の割合) 収 ・ 被験者数:272胚 ・ 副次評価項目:臨床的妊娠率、着床率、生産率 ・ 結果の概要: 【安全性評価】 載 高解像度のタイムラプス撮 流産率、早産率、多胎妊娠率、異所性妊娠の発生率、 像により、胚の詳細な発生 胎児奇形(染色体異常、形態異常、解剖学的異常)の発生率 (正常、異常)を理解できた。 無侵襲なこの手法により詳 多施設共同研究 細な画像評価を行うことで、 妊娠率が改善する可能性が ・AMED成育疾患克服等総合研究事業 「卵子活性化・タイムラプス・ERAの有効性・安全性検証による生殖補助医療のエビデンス創出」 ある。 ・試験デザイン:前方視的コホート多施設共同研究 ・期間:2022年4月~2024年3月 ・被験者数:100例 ・主要評価項目:臨床妊娠率 ・副次評価項目:培養成績(分割率、良好分割胚率、胚盤胞発生率、有効利用率)及び臨床成績(着床率、生産率) 選択基準: 欧米での現状 1)日本産科婦人科学会の定めるART適応基準に合致する患者 ガイドライン記載:(有) 2)採卵により得られた卵子から、正常受精卵数が4個以上の患者 欧州生殖医学会(ESHRE)のガイド 3)研究の参加に配偶者と共に文書による同意の取得が可能な患者 除外基準: ライン (2019)では、タイムラプス培養 1) 夫婦両方の染色体検査の結果、いずれかに均衡型構造異常が認められる患者 は、生殖医療に不可欠な手法となっ 2) 重篤な合併症を有する患者 てきたと結論付けている。 3) その他、研究責任者又は研究分担者が不適切と判断した患者 進行中の臨床試験(無) 予想される有害事象:無し ※本法はすべて体外で行われるため、患者への直接的な侵襲はない。 13 先進医療A評価用紙(第1-1号) 評価者 構成員: 横井 香平 先生 先進技術としての適格性 先 進 医 療 子宮内膜スクラッチ の 名 称 適 応 症 A.妥当である。 B.妥当でない。(理由及び修正案: ) A.従来の技術を用いるよりも大幅に有効。 有 効 性 B.従来の技術を用いるよりもやや有効。 C.従来の技術を用いるのと同程度、又は劣る。 A.問題なし。(ほとんど副作用、合併症なし) 安 全 性 B.あまり問題なし。(軽い副作用、合併症あり) C.問題あり(重い副作用、合併症が発生することあり) A.当該分野を専門とし経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば行える。 B.当該分野を専門とし数多く経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば 技 術 的 行える。 成 熟 度 C.当該分野を専門とし、かなりの経験を積んだ医師を中心とした診療体制を とっていないと行えない。 社会的妥当性 (社会的倫理 A.倫理的問題等はない。 的 問 題 B.倫理的問題等がある。 等 ) A.罹患率、有病率から勘案して、かなり普及している。 現 時 点 で の B.罹患率、有病率から勘案して、ある程度普及している。 普 及 性 C.罹患率、有病率から勘案して、普及していない。 既に保険導入されている医療技術に比較して、 効 率 性 A.大幅に効率的。 B.やや効率的。 C.効率性は同程度又は劣る。 将来の保険収 A.将来的に保険収載を行うことが妥当。 載 の 必 要 性 B.将来的に保険収載を行うべきでない。 総合判定: 適・ 条件付き適・ 否 コメント:本研究は単施設の観察研究であり、また患者さんの状態も一定しな 総 評 い可能性が高いため、その有用性を自施設の本法非実施群と比較し て検証するのは難しいのではと危惧する。本研究で有用性が示唆さ れた場合には、保険収載にあたって多施設によるエビデンスの構築 が必要と考える。 14 先進医療A評価用紙(第1-1号) 評価者 技術委員:北脇 城 先生 先進技術としての適格性 先 進 医 療 子宮内膜スクラッチ の 名 称 A.妥当である。 適 応 症 B.妥当でない。(理由及び修正案: ) A.従来の技術を用いるよりも大幅に有効。 有 効 性 B.従来の技術を用いるよりもやや有効。 C.従来の技術を用いるのと同程度、又は劣る。 A.問題なし。(ほとんど副作用、合併症なし) 安 全 性 B.あまり問題なし。(軽い副作用、合併症あり) C.問題あり(重い副作用、合併症が発生することあり) A.当該分野を専門とし経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば行える。 B.当該分野を専門とし数多く経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば行 技 術 的 える。 成 熟 度 C.当該分野を専門とし、かなりの経験を積んだ医師を中心とした診療体制を とっていないと行えない。 社会的妥当性 (社会的倫理 A.倫理的問題等はない。 的 問 題 B.倫理的問題等がある。 等 ) A.罹患率、有病率から勘案して、かなり普及している。 現 時 点 で の B.罹患率、有病率から勘案して、ある程度普及している。 普 及 性 C.罹患率、有病率から勘案して、普及していない。 既に保険導入されている医療技術に比較して、 効 率 性 A.大幅に効率的。 B.やや効率的。 C.効率性は同程度又は劣る。 将来の保険収 A.将来的に保険収載を行うことが妥当。 載 の 必 要 性 B.将来的に保険収載を行うべきでない。 総合判定: 適 ・ 条件付き適・ 否 コメント:本法は一般的に安全かつ簡便な手法であると認められる。欧米で 総 評 も広く行われているが、格式ある複数の大規模RCTでは妊娠率の有意な上昇は得 られなかった。そのような背景のもとで、妊娠率上昇効果を、単一施設、one arm、 かつ60例という少ない症例数で示そうとする研究計画には改良の余地がある。 15 様式第5号 先進医療の内容 (概要) 先進医療の名称:子宮内膜スクラッチ 適応症:胚移植を受ける不妊症患者のうち、これまで反復して着床・妊娠に至らないもの 内容: (先進性) 生殖補助医療における反復不成功例のなかに、形態良好胚を移植しているにもかかわらず妊娠 にいたらない着床不全症例が存在する。着床不全の原因のうち、子宮および卵管側の器質的要因 として子宮粘膜下筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮内膜症、子宮奇形、卵管水腫などが挙げられる。 一方、機能的要因として性ステロイドホルモンや胚因子の刺激に対する子宮内膜の反応異常に起 因する胚受容能の異常などが考えられている。この問題に対処するためのさまざまなアプローチ が検討されており、最近のいくつかの研究では、原因不明の再発性着床障害のある患者の着床率 と妊娠転帰の両方を、局所子宮内膜スクラッチにより改善できることが示されている。 2003年に実施されたAmihai Barashらによる研究2)では、生検カテーテルを使用してIVF 患者の子宮内膜をサンプリングすると、その後の IVF-胚移植サイクル中に妊娠する可能性が大 幅に増加したことが報告されている。また、Neelam Potdarらによる研究3)においては、原因 不明の着床障害が繰り返された症例を対象とし、子宮内膜スクラッチの有効性を評価するために 実施されたシステマティックレビュー及びメタアナリシスでは、卵巣刺激周期の前周期における 局所子宮内膜スクラッチが、有益な効果をもたらすことが報告されている。 (概要) 胚移植を行う予定の前周期の黄体期に、婦人科用剥離子(子宮内膜細胞採取具)を子宮頸管よ り挿入し、子宮の形状に沿って子宮内膜腔にゆっくりと進め、デバイスを同じ方向に数回回転さ せることによりスクラッチを行う。 翌周期に胚移植を行い、胚移植後 10~14 日後頃に血中 hCG を測定し妊娠判定を行う。妊娠 判定が陰性であれば、観察は終了とする。 妊娠判定が陽性となれば、引き続き経過を観察し超音波検査により胎嚢が確認できれば臨床妊 娠と判定し観察終了とする。胎嚢が確認できなければ化学流産として観察は終了とする。胚移植 当たりの臨床妊娠率を算出し、日本産科婦人科学会より報告されている胚移植による妊娠率との 比較を行い有用性の検証を行う。 (効果) 胚盤胞移植における妊娠率の向上が期待できる。 (先進医療にかかる費用) 先進医療に係る費用は 30,300円 である。 16 子宮内膜スクラッチの概要図 【概要】 局所子宮内膜損傷が原因不明の反復着床障害のある患者の着床率と妊娠転帰の 改善できることが示されている。胚移植が予定されている前周期の黄体期に子宮内 膜スクラッチを実施し、翌周期に胚移植を行うことで臨床妊娠率の向上が期待できる 可能性がある。 ①胚移植を予定している前周期の黄体期 ②子宮内膜スクラッチを実施した翌周期 子宮内膜スクラッチを実施 胚移植を実施 17 保険収載までのロードマップ 先進医療技術名:子宮内膜スクラッチ 先進医療での適応疾患:胚移植を受ける不妊症患者のうち、 これまで反復して着床・妊娠に至らないもの 臨床研究 先進医療 ・ 試験名:子宮内膜スクラッチ ・ 試験名Effects of endometrial ・ 試験デザイン: 保 injury on frozen‐thawed blastocyst 多施設共同非ランダム化比較対照研究 transfer in hormone replacement ・ 期間:2022.4.1~2025.3.31 険 cycles. 松本由紀子ほか ・ 被験者数:340例(実施群・非実施群各170例) ・ 試験デザイン:無作為割付 ・ 主要評価項目:臨床妊娠率 収 2群間比較試験 ・ 期間:2013.2~2013.6 ・ 副次評価項目:血中hCG陽性率、 被験者数:124 流産率、 載 結果の概要:凍結融解胚盤胞移植を受け 異所性妊娠の発生率、 た女性の妊娠率を増加させ、流産率を減少 有害事象の発現率ほか させました。 当該先進医療における 選択基準:・胚移植時の年齢が39歳以下である ・胚移植を受ける不妊症患者のうち、これまで良好胚盤胞移植を1回以上行っ たものの着床・妊娠に至らない症例 欧米での現状 薬事承認:米国(無) 欧州(無) ・良好胚盤胞(day5グレード3BB以上)を用いた凍結融解胚盤胞移植を予定 している症例 等 ガイドライン記載:(無) 除外基準:・PGT-Aを行った胚を移植予定の症例 国内ガイドライン記載:(有) ・2個胚移植を行う症例 日本生殖医学会:着床に与える影響は定 ・他の子宮内膜刺激(SEET法など)を実施予定の症例 等 まっていない(推奨度レベルC) 予想される有害事象:下腹部痛、出血を伴うことがある。また、ごくまれに感染(子宮 内膜炎、子宮付属器炎、卵管周囲炎、骨盤腹膜炎)を起こすことがある 18 先進医療A評価用紙(第1-1号) 評価者 構成員: 新井 一 先生 先進技術としての適格性 先 進 医 療 PICSI (Physiologic intracytoplasmic sperm injection) の 名 称 A.妥当である。 適 応 症 B.妥当でない。(理由及び修正案: ) A.従来の技術を用いるよりも大幅に有効。 B.従来の技術を用いるよりもやや有効。 有 効 性 C.従来の技術を用いるのと同程度、又は劣る。 A.問題なし。(ほとんど副作用、合併症なし) B.あまり問題なし。(軽い副作用、合併症あり) 安 全 性 C.問題あり(重い副作用、合併症が発生することあり) A.当該分野を専門とし経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば行える。 B.当該分野を専門とし数多く経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば 技 術 的 行える。 成 熟 度 C.当該分野を専門とし、かなりの経験を積んだ医師を中心とした診療体制を とっていないと行えない。 社会的妥当性 (社会的倫理 A.倫理的問題等はない。 的 問 題 B.倫理的問題等がある。 等 ) A.罹患率、有病率から勘案して、かなり普及している。 現 時 点 で の B.罹患率、有病率から勘案して、ある程度普及している。 普 及 性 C.罹患率、有病率から勘案して、普及していない。 既に保険導入されている医療技術に比較して、 効 率 性 A.大幅に効率的。 B.やや効率的。 C.効率性は同程度又は劣る。 A.将来的に保険収載を行うことが妥当。 将来の保険収 B.将来的に保険収載を行うべきでない。 載 の 必 要 性 総合判定: 適・ 条件付き適・ 否 コメント: 2019年にLancetに掲載されたICSIとPICSIに関するRCT論文では、両者に妊娠 総 評 率や出産率に有意差はみられず、PICSIを広く用いることは推奨できないと結論されている (Lancet 2019;416-22)。このLancet論文の結果を覆してPICSIの有用性を確認するにはかなりの 困難が予測されることから、単独施設ではなく多施設共同のもとICSIとPICSIを比較するRCT を実施し日本発のエビデンスが創出されることを期待したい。 19 先進医療A評価用紙(第1-1号) 評価者 技術委員:北脇 城 先生 先進技術としての適格性 先 進 医 療 PICSI (Physiologic intracytoplasmic sperm injection) の 名 称 A.妥当である。 適 応 症 B.妥当でない。(理由及び修正案: ) A.従来の技術を用いるよりも大幅に有効。 有 効 性 B.従来の技術を用いるよりもやや有効。 C.従来の技術を用いるのと同程度、又は劣る。 A.問題なし。(ほとんど副作用、合併症なし) 安 全 性 B.あまり問題なし。(軽い副作用、合併症あり) C.問題あり(重い副作用、合併症が発生することあり) A.当該分野を専門とし経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば行える。 B.当該分野を専門とし数多く経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば行 技 術 的 える。 成 熟 度 C.当該分野を専門とし、かなりの経験を積んだ医師を中心とした診療体制を とっていないと行えない。 社会的妥当性 (社会的倫理 A.倫理的問題等はない。 的 問 題 B.倫理的問題等がある。 等 ) A.罹患率、有病率から勘案して、かなり普及している。 現 時 点 で の B.罹患率、有病率から勘案して、ある程度普及している。 普 及 性 C.罹患率、有病率から勘案して、普及していない。 既に保険導入されている医療技術に比較して、 効 率 性 A.大幅に効率的。 B.やや効率的。 C.効率性は同程度又は劣る。 将来の保険収 A.将来的に保険収載を行うことが妥当。 載 の 必 要 性 B.将来的に保険収載を行うべきでない。 総合判定: 適 ・ 条件付き適・ 否 コメント:本来求められる妊娠率上昇や流産率減少については、世界的に十 総 評 分なエビデンスが得られていない中で、本研究においても副次評価項目とし、良 好胚形成率を主要評価項目としている点は、むしろ慎重な研究計画であり評価で きる。 20 様式第5号 先進医療の内容 (概要) 先進医療の名称:PICSI (Physiologic intracytoplasmic sperm injection) 適応症:胚移植を受ける不妊症患者(胚移植後に反復して流産を認めたもの、あるいは奇形精子 を伴うものに限る) 内容: (先進性) ICSI における精子の選別は、手技を行う胚培養士が顕微鏡下で精子の形態と運動性を評価し 選別を行う形態学的選別が主流である。しかしながら、形態学的にbest lookingな精子が必ずし も良好な精子とは限らないとの報告がある。さらに ICSI では in vivo や体外受精の過程で自然 に行われている成熟精子の選別を省略してしまっている。このことから、形態学的評価のみで精 子を選別し ICSI を行うと本来卵子の中に侵入できない未成熟な精子が注入されてしまう可能性 がある。その結果として、受精率や胚の発生率が低下し流産率が増加するという報告もある。 卵子に注入する精子は成熟を完了していることが望ましい。成熟を完了した精子は、原形質膜 のリモデリング、細胞質の押し出し、核の成熟が起きていて高密度のヒアルロン酸レセプターが 発現しており透明帯とヒアルロン酸の両方に接着することができる。この特徴を利用して生理学 的に精子を選別する方法が Huszar らにより報告され、PICSI (Physiologic intracytoplasmic sperm injection) として広く行われるようになった。ヒアルロン酸を利用した精子選別は特別な 器具や染色は必要なく簡便であり、選別した精子を直ちに使用することが可能である。すなわち PICSIは、精子の形態学的評価だけではなく、成熟度をその場で判別しながら卵子に注入できる という点で従来のICSIよりも先進性がある。 (概要) 1)対象及びランダム化 ・ICSI適応患者で、ICSI後に反復流産や着床不全がみられた患者。または、夫が奇形精子症の 患者を対象とする。説明後同意が得られた対象をICSI群とPICSI群の2群にランダムに振り分 ける。 2)卵子・精子の処理 ・採卵の3時間後にヒアルロニダーゼを使用して裸化を行い。第一極体が放出されている卵子を 成熟卵とし、ICSIの対象とする。 ・採卵の朝に採精してもらい 15~30 分液化させた後マクラーカウンティングチャンバーで一般 精液検査を行う。正常形態率は精液の塗抹標本作成後にDiff-Quikで染色を行い、strict criteria に準じて求める。 ・精子の処理は Isolate2 層法で行い、再度洗浄した後に沈渣を 0.5ml に調整してインキュベー トしておく。 3)HBAアッセイ ・調整後精子はICSIの前にHBA○R Assayを使用してHBAスコアを求める。 ・ヒアルロン酸がコーティングされているスライドガラスに調整後精子を 5~10μℓ滴下し、カ バーガラスを被せる。 ・室温またはインキュベーターでしばらく静置し、ヒアルロン酸に結合している運動精 子の割合を求める。 21 4)ICSI手技と胚培養 ・精子の選別、不動化、インジェクションピペット内への充填は ICSI 群では PVP を PICSI 群 ではSpermSlowTMを使用する。 ・ICS 群の精子選別は、PVP の上端まで泳ぎ上がった中で形態の良好な精子を培養士が目で見 て行う。 ・PICSI群の精子選別は、SpermSlowTMとGamete Bufferのドロップの境界でヒアルロン酸の 3次元ネット構造に捕まり限りなくゆっくり動いている精子を選んでいく。 ・精子の注入を終えた卵子は、single step mediumを使用し30μℓでドロップ培養を行う。 5)胚凍結と胚移植 ・培養5日目から6日目に胚盤胞になった胚をvitrification法で凍結保存する。 ・胚移植は原則として凍結融解単一胚移植にて行い、移植の際はグレードの高い胚盤胞から優先 的に移植し両群に偏りが生じないように注意して行う。 6)評価項目と評価タイミング ・評価する項目と評価するタイミングは以下の通り行う。 ① Day1 正常受精の確認。雌性前核と雄性前核の両方が確認できた胚(2PN胚)を正常受精卵と判断する。 受精率は、正常受精卵数/MⅡ卵子数×100 (%)で算出する。 ② Day3 形態評価によりグレード1胚率を求める。Veeckの分類に基づきDay3における胚の分割速度も 考慮し、割球の数は6細胞以上、割球の大きさが均等でfragmentの無い胚をグレード1胚とす る。グレード1胚率は、グレード1胚数/正常受精卵数×100 (%)で算出する。 ③ Day5 Gardner の分類に基づき、胚盤胞の形態評価を行う。3BB 以上の胚盤胞へ発生した割合を求め る。胚盤胞到達率は、3BB以上の胚盤胞数/継続培養数×100 (%)で算出する。 ④ 妊娠率と流産率 移植後14日目前後の血中hCG濃度が陽性で、移植から6~8週の時点で胎嚢(GS)が確認できた 時点で臨床的妊娠と判断し、妊娠率を求める。妊娠率は、臨床的妊娠数/移植数×100 (%)で算出 する。臨床的妊娠後、流産が起きた場合は流産率として記録する。流産率は、流産数/臨床的妊娠 数×100 (%)で算出する。 ⑤HBAスコア 処理後の精子を ICSI または PICSI に使用する前に HBA○R Assay を用いて HBA スコアを求め る。HBAスコアは合計で200個の精子をカウントし、ヒアルロン酸に結合した運動精子/ヒアル ロン酸に結合した運動精子+ヒアルロン酸に結合していない運動精子×100(%)で算出する。 (効果) ICSI後に反復流産や着床不全を経験した患者を対象に、ICSI群とPICSI群の成績を前方視的 かつ無作為に比較することで PICSI が胚発育能を向上させ流産率を低下させるために有効であ るのかを示すことができるようになる。それによって、ICSI 後に反復流産や着床不全を経験し た患者に次回採卵時の治療選択として PICSI の情報を提供することが可能となる。奇形精子患 者においても、射出精子の中に含まれている成熟精子を PICSI で選別し卵子に注入することが 可能となり、結果的に流産率の減少が期待できるようになると考えられる。 22 (先進医療にかかる費用) 先進医療に係る費用は23,751円である。 23 医療技術の概要図 PICSI (Physiologic intracytoplasmic sperm injection) 申請医療機関:芝公園かみやまクリニック 【概要】PICSIは顕微授精の際に、DNA損傷の少ない成熟精子はヒアルロン酸に結合できるという特徴を利用し、ヒアルロン 酸に接着した精子を選別することで異数性胚の発生割合を下げ、流産率を低下させると報告されている。 成熟精子の特徴 PICSI ・原形質膜の再構築が完了していて透明帯 Physiologic=生理的な とヒアルロン酸に結合できる。 期待できる効果 ・余分な細胞質を持たず、形態が良好である。 ・成熟精子はヒアルロン酸と透明帯に結合できる。 ・核タンパクがヒストンからプロタミンに置き換 成熟精子を選別し注入すると… わっている。 ・DNA鎖に断片化が少なく、染色体の ICSIにおいて disomy,diploidyの頻度が4~5分の1である。 ⇒精子の生理的な性質を利用し、透明帯等で自然 DNA損傷の少ない精子 に行われている選別に近い形で精子を選別する。 を注入できる!! ☆ICSIの際、選択するのが理想である。 結果的に⇒ ・異数性胚の発生割合を下げる。 ・流産率を低下させる。 ICSIにおける精子選別の実際 ・ICSIを行うエンブリオロジストの経験や主観が大き い。 ・形態学的評価に頼る割合が高い。 ヒアルロン酸を使うメリット ・in vivoやC-IVFでは、必ず透明帯を通過してから卵 ・ヒアルロン酸は、卵丘細胞複合体や女性生殖道内などに元々存在 細胞質内に侵入していく。 する生体内成分であるため、安全性が高い。 ・ICSIでは、透明帯の選別を省略してしまっている。 ・精子の不動化や選別に使われているPVPより細胞毒性が低い。 24 保険収載までのロードマップ 先進医療技術名:PICSI (Physiologic intracytoplasmic sperm injection) 先進医療での適応疾患:胚移植を受ける不妊症患者(胚移植後に反復して流産を 認めたもの、あるいは奇形精子を伴うものに限る) 関係学会等の関与による 多施設共同研究 臨床研究 先進医療 ・ 試験名:ICSIにおける ・ 試験名:胚移植後の反復流産患者における SpermSlowTMを用いた成熟精子選 PICSIの治療効果に関する前方視的ランダム比 保 別と臨床成績の検討 較試験 ・ 試験デザイン:ランダム比較試験 ・ 試験デザイン:前向きランダム比較試験 険 ・ 期間:2008年1月~2009年7月 ・ 期間:2022年4月1日~2026年3月31日 ・ 被験者数:130症例 ・ 被験者数:132周期(各群66周期) 収 ・ 結果の概要:ヒアルロン酸を用い ・ 主要評価項目:ICSI群とPICSI群、各群のDay3 て精子を選別した群の方が対照群 に おけるグレード1胚率 載 と比較して受精率、Day3良好胚獲 ・ 副次評価項目: ICSI群とPICSI群、各群の受 得率が有意に高く、流産はヒアルロ 精率、胚盤胞到達率、妊娠率、流産率、HBAス コア ン酸を用いて精子を選別した群で ははみみらられれななかかっったた。。 当該先進医療における 選択基準:胚移植を受ける不妊症患者(胚移植後に反復 欧米での現状 して流産を認めたもの、あるいは奇形精子を伴うものに 薬事承認:米国(有) 欧州(有) 限る) ガイドライン記載:(有) 除外基準:TESE/TESA/PESAの対象となる男性不妊患 生殖補助医療における高度な精子選択技術を行う 者。凍結融解精子を使用する患者。採卵前の30日以内に 試験試薬を使用した患者。 ことを考慮してもよいが十分な根拠はない。(C) 予想される有害事象:特になし。 25 先進医療A評価用紙(第1-1号) 評価者 構成員: 福田 敬 先生 先進技術としての適格性 先 進 医 療 子宮内膜受容能検査(ERA) の 名 称 ○A.妥当である。 適 応 症 B.妥当でない。(理由及び修正案: ) A.従来の技術を用いるよりも大幅に有効。 有 効 性 ○B.従来の技術を用いるよりもやや有効。 C.従来の技術を用いるのと同程度、又は劣る。 A.問題なし。(ほとんど副作用、合併症なし) 安 全 性 ○B.あまり問題なし。(軽い副作用、合併症あり) C.問題あり(重い副作用、合併症が発生することあり) ○A.当該分野を専門とし経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば行える。 B.当該分野を専門とし数多く経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば 技 術 的 行える。 成 熟 度 C.当該分野を専門とし、かなりの経験を積んだ医師を中心とした診療体制を とっていないと行えない。 社会的妥当性 (社会的倫理 ○A.倫理的問題等はない。 的 問 題 B.倫理的問題等がある。 等 ) A.罹患率、有病率から勘案して、かなり普及している。 現 時 点 で の ○B.罹患率、有病率から勘案して、ある程度普及している。 普 及 性 C.罹患率、有病率から勘案して、普及していない。 既に保険導入されている医療技術に比較して、 効 率 性 A.大幅に効率的。 ○B.やや効率的。 C.効率性は同程度又は劣る。 将来の保険収 ○A.将来的に保険収載を行うことが妥当。 載 の 必 要 性 B.将来的に保険収載を行うべきでない。 総合判定: 適・ 条件付き適・ 否 コメント: これまでにもある程度実施されている方法であり、胚移植における 妊娠率や出産率の向上が期待できる技術であるが、しっかりとした 総 評 エビデンスが必要である。ERA実施後のReceptive群とNon-Receptive 群の比較の方法や、ERAを実施しない場合との比較などの解析も検討 すべきではないか。 26 先進医療A評価用紙(第1-1号) 評価者 技術委員:矢冨 裕 先生 先進技術としての適格性 先 進 医 療 子宮内膜受容能検査(ERA) の 名 称 A.妥当である。 適 応 症 B.妥当でない。(理由及び修正案: ) A.従来の技術を用いるよりも大幅に有効。 有 効 性 B.従来の技術を用いるよりもやや有効。 C.従来の技術を用いるのと同程度、又は劣る。 A.問題なし。(ほとんど副作用、合併症なし) 安 全 性 B.あまり問題なし。(軽い副作用、合併症あり) C.問題あり(重い副作用、合併症が発生することあり) A.当該分野を専門とし経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば行える。 B.当該分野を専門とし数多く経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば行 技 術 的 える。 成 熟 度 C.当該分野を専門とし、かなりの経験を積んだ医師を中心とした診療体制を とっていないと行えない。 社会的妥当性 A.倫理的問題等はない。 (社会的倫理 B.倫理的問題等がある。 的 問 題 等 ) A.罹患率、有病率から勘案して、かなり普及している。 現 時 点 で の B.罹患率、有病率から勘案して、ある程度普及している。 普 及 性 C.罹患率、有病率から勘案して、普及していない。 既に保険導入されている医療技術に比較して、 効 率 性 A.大幅に効率的。 B.やや効率的。 C.効率性は同程度又は劣る。 将来の保険収 A.将来的に保険収載を行うことが妥当。 載 の 必 要 性 B.将来的に保険収載を行うべきでない。 総合判定: 適 ・ 条件付き適・ 否 コメント: 総 評 個別化胚移植の進歩に寄与しうる医療技術と考えられる。本技術に基づいて適切 な胚移植を実施することにより、着床率等が改善する可能性があるが、さらなる エビデンス構築が必要である。 27 様式第5号 先進医療の内容 (概要) 先進医療の名称:子宮内膜受容能検査(ERA) 適応症:胚移植を受ける不妊症患者(これまで反復して着床・妊娠に至らないものに限る) 内容: (先進性) 子宮内膜受容能検査(ERA)に基づき個別化胚移植(pET)を行うという概念は、2013年に初めて 報告され、反復して着床・妊娠に至らない一部の不妊症患者では、「着床の窓」(WOI)のずれが、 着床不全の原因となることが示唆された。 (概要) 吸引用子宮カテーテルを用いて、子宮内膜を採取する。 ホルモン補充周期の場合は、エストロゲン投与により一定の厚さに子宮内膜を肥厚させ、その後、 プロゲステロン投与開始後6日目(120時間目)で子宮内膜採取を行う。自然採卵周期の場合はLH サージ後7日目またはhCG投与後の6日目に採取するが、自然周期では、血中LHが不規則に 上昇する症例もあり、医師により判断が異なる症例があるため、ホルモン補充周期のみで ERA を実施とする。 採取した子宮内膜を検体とし、次世代シークエンサーをもちいて236遺伝子を網羅的に解析し、 内膜組織がReceptive(受容期)かNon-receptive(非受容期)かを評価する。 また、Non-receptiveの際はどのくらいReceptiveまでに差があるかも評価を行う。 子宮内膜が着床を受容する期間に周期を同期させ、胚移植を行うことで着床率の向上を目指す。 (効果) 本検査結果に基づいて適切な時期に胚移植を行うことにより、着床率等が改善する可能性があ る。 (先進医療にかかる費用) 先進医療に係る費用は137,500円である。 28 子宮内膜受容能検査(ERA) 子宮内膜を採取し、次世代シークエンサーを用いて236遺伝子を網羅的に解析し、 内膜組織がReceptive(受容期)であるのか、Non-receptive(非受容期)で あるのかを評価する検査技術。 ● ERA検査の流れ Pre-Receptive Receptive Post-Receptive 移植時期を遅らせる 移植時期を早める 最適な移植時期 子宮内膜から検体を採取 236個の遺伝子発現を解析 ● ERAの実施により期待できるメリット ・ 胚移植を行う最適なタイミングについて、子宮内膜日付診(従来の方法)と比較し、より正確な判定が 可能となる。 ・ 当該検査結果に基づいて胚移植を行うことにより、着床率等の改善が得られる可能性がある。 29 薬事承認申請までのロードマップ 先進医療技術名:子宮内膜胚受容能検査(ERA) 試験薬または試験機器:子宮内膜胚受容能検査プログラムシステム(仮称) 先進医療での適応疾患:胚移植を受ける不妊症患者 (これまで反復して着床・妊娠に至らないものに限る) 臨床研究 先進医療 ・・ 試験名・試験デザイン:5-yyeeaarr 薬 ・ 試験名:子宮内膜受容能検査(ERA)の有用性確認のため multicentrerandomized controlled trial comparing の前向き研究(多施設合同研究) 事 personalized, frozen and fresh ・ 試験デザイン:多施設前向き試験 blastocyst transfer in IVF ・ 期間:2022年4月~2024年3月末 承 3群比較試験・期間:2013~ 2017・被験者数:569 ・ 被験者数:450例(ERA実施群)+450例(ERA非実施群) 認 ・ 結果の概要:初回に胚盤胞移 ・ 主要評価項目:ERA検査結果および検出率、ERA検査結果判明 植を行った患者を、ERAによるPET 後直近の胚移植あたり妊娠率 誘導、FET、新鮮胚移植に無作為 申 副次評価項目:ERA実施後の症例あたり累積妊娠率、妊娠継続率、 割付し、ERAによるPET誘導群に おける累積妊娠率が93.6%と有 流産率、出生率、移植回数、採卵時及び移植時年齢、移植胚等 請 意意にに高高かかっったた。。 当該先進医療における 分析性能試験 選択基準:対象は以下の条件を満たす症例とする。 ・42歳以下の女性 A genomic diagnostic tool for human endometrial receptivity based on the transcriptomic signature. FertilSteril. 2011 ・Gardner分類で良好胚(4BB以上)をホルモン補充周期で凍結融解胚移植する症例 Jan;95(1):50-60, 60.e1-15. ・過去に胚移植(新鮮胚移植、凍結胚移植を問わず)を2回行い、妊娠反応が得られない症例 ・子宮内膜胚受容能の検出精度 除外基準:以下のいずれかに該当する症例は除外する。 ・子宮内膜胚受容能検出プログラムの正常稼働 1)重篤な合併症を有する症例 2)子宮因子(子宮奇形、粘膜下筋腫)症例 欧米での現状 薬事承認:米国(無) 欧州(無) 進行中の臨床試験(有) 3)抗リン脂質抗体検査で異常がある症例 4)夫婦いずれかに染色体検査で異常がある症例 米国生殖医学会(ASRM)及び欧州生殖医学会(ESHRE)のガイドライン 5)精巣内精子回収術によって得た精子を使用している症例 における記載なし。 6)その他、研究担当医師が適切ではないと判断した症例 予想される有害事象:術後出血、子宮内感染、非常に稀に子宮穿孔 ※ 本邦の生殖医療ガイドラインにおいては、推奨度Cと評価がされている。 30 先進医療A評価用紙(第1-1号) 評価者 構成員: 横井 香平 先生 先進技術としての適格性 先 進 医 療 子宮内細菌叢検査 の 名 称 ○ A.妥当である。 適 応 症 B.妥当でない。(理由及び修正案: ) A.従来の技術を用いるよりも大幅に有効。 有 効 性 ○ B.従来の技術を用いるよりもやや有効。 C.従来の技術を用いるのと同程度、又は劣る。 A.問題なし。(ほとんど副作用、合併症なし) 安 全 性 ○ B.あまり問題なし。(軽い副作用、合併症あり) C.問題あり(重い副作用、合併症が発生することあり) ○ A.当該分野を専門とし経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば行える。 B.当該分野を専門とし数多く経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば 技 術 的 行える。 成 熟 度 C.当該分野を専門とし、かなりの経験を積んだ医師を中心とした診療体制を とっていないと行えない。 社会的妥当性 (社会的倫理 ○ A.倫理的問題等はない。 的 問 題 B.倫理的問題等がある。 等 ) A.罹患率、有病率から勘案して、かなり普及している。 現 時 点 で の B.罹患率、有病率から勘案して、ある程度普及している。 普 及 性 ○ C.罹患率、有病率から勘案して、普及していない。 既に保険導入されている医療技術に比較して、 効 率 性 A.大幅に効率的。 ○ B.やや効率的。 C.効率性は同程度又は劣る。 将来の保険収 ○ A.将来的に保険収載を行うことが妥当。 載 の 必 要 性 B.将来的に保険収載を行うべきでない。 総合判定: 適・○ 条件付き適・ 否 コメント:子宮内細菌叢検査は一般的に安全かつ簡便な手法であり、その結果 に基づいた子宮内細菌叢の適正化は妊孕性の向上に寄与する可能性 総 評 があると思われる。一方で、いかなる臨床背景を持つ患者においても 妊娠率が上昇するのか、あるいは特定の患者においてのみ有用なの かという点についてはエビデンスが不足している。本研究で有用性 が示唆された場合には、保険収載にあたって多施設によるエビデン スの構築が必要と考える。 31 先進医療A評価用紙(第1-1号) 評価者 技術委員:村田 満 先生 先進技術としての適格性 先 進 医 療 子宮内細菌叢検査 の 名 称 ○A.妥当である。 適 応 症 B.妥当でない。(理由及び修正案: ) A.従来の技術を用いるよりも大幅に有効。 有 効 性 ○B.従来の技術を用いるよりもやや有効。 C.従来の技術を用いるのと同程度、又は劣る。 ○A.問題なし。(ほとんど副作用、合併症なし) 安 全 性 B.あまり問題なし。(軽い副作用、合併症あり) C.問題あり(重い副作用、合併症が発生することあり) A.当該分野を専門とし経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば行える。 ○B.当該分野を専門とし数多く経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば行 技 術 的 える。 成 熟 度 C.当該分野を専門とし、かなりの経験を積んだ医師を中心とした診療体制を とっていないと行えない。 社会的妥当性 (社会的倫理 ○A.倫理的問題等はない。 的 問 題 B.倫理的問題等がある。 等 ) A.罹患率、有病率から勘案して、かなり普及している。 現 時 点 で の B.罹患率、有病率から勘案して、ある程度普及している。 普 及 性 ○C.罹患率、有病率から勘案して、普及していない。 既に保険導入されている医療技術に比較して、 効 率 性 ○A.大幅に効率的。 B.やや効率的。 C.効率性は同程度又は劣る。 将来の保険収 ○A.将来的に保険収載を行うことが妥当。 載 の 必 要 性 B.将来的に保険収載を行うべきでない。 総合判定: ○適 ・ 条件付き適・ 否 コメント:技術的には確立されていると考えられ、導入されれば不妊の原因 究明が進み、一定数の患者に対して治療が可能となる期待が持てる。検査の侵襲 総 評 も少なく、倫理的に大きな問題は見当たらない。有効性については既に有効例が 示されているが現時点ではやや有効と判定した。今後のデータ集積に期待した い。技術的成熟度については数多く経験を積んだ医師が必要と考える。NGSによ る解析で従来よりも効率的な子宮内の細菌環境の情報が得られると予想される。 32 様式第5号 先進医療の内容 (概要) 先進医療の名称:子宮内細菌叢検査 適応症:慢性子宮内膜炎疑い 内容: (先進性) 子宮内膜マイクロバイオーム検査(Endometrial Microbiome Metagenomic Analysis;以下 EMMA)や感染性慢性子宮内膜炎検査(Analysis of Infectious Chronic Endometritis;以下 ALICE)が検査法は、採取された子宮内膜の検体からDNAを抽出した後に増幅し、次世代シー クエンサー(new generation sequencer:NGS)を用い細菌の目印となる16SリボソームRNA 遺伝子の遺伝子配列を同定する検査である。子宮内に存在する菌は腟よりも菌量が大変少なく、 20~60%の細菌は培養では検出できないと言われているが、この技術を用いることで、細菌Data Bank に登録されている全ての菌種を同定することができ、子宮内膜細菌叢を分析し、培養不可 能な細菌も検出することが可能となる。EMMA は子宮内に存在する各細菌の分類および相対的 定量化も行い、存在する細菌の菌生バランスや存在量などを総合的に判断する。ALICE 検査が 陽性である患者は現在CEの状態である、またはCEとなるリスクが高率であると判断される。 ALICEを行う意義としては、CEの原因となるうる細菌を早期に検出し、診断されずに放置され る子宮内膜炎発症のハイリスク患者を見つけ出し、かつ個別化された治療を提案することであ る。該当する細菌は、Enterobacteriaceae 属の Esherichia と Klebsiella、Enterococcus、 Chlamydia、Mycoplasma、Neiseria、Ureaplasma、Staphylococcus、Streptococusの9種が対 象となっている。 これまでの報告では慢性子宮内膜炎(Chronic Endometritis;以下 CE)や子宮内膜細菌叢の異 常は生殖補助医療を受けている患者では約 30%、さらに、反復着床不全(RIF)および 不育症 (RPL)患者での有病率は60%に達すると言われている。現時点におけるCEの診断は、病理検 査・子宮鏡・細菌培養検査などにより総合的に判断がされており、CE の症例に対し子宮内膜掻 爬術などの外科的治療や抗菌薬投与等が治療として行われている。子宮内膜掻破術は複数回行う と子宮内膜の菲薄化や癒着のリスクが上昇する。抗菌薬の長期投与の問題点としては耐性菌の出 現や常在菌である Lactobacillus 属の消滅が懸念される。EMMA/ALICE では NGS 技術を利用 し、これまで無菌と考えられていたほど少ない量の細菌について詳細に子宮内膜細菌を測定し、 子宮内が妊娠に適している状態かどうか細菌叢を検査する手段である。さらには細菌の特定によ り広域抗菌薬の不必要な投与を避けることができ、患者への身体的・経済的負担の軽減、さらに は菌交代現象の予防にも繋がる。適正な環境であるかどうかを判断し妊娠に向かうことは着床 率、妊娠継続率の向上と、流産率の低下が期待される。 <EMMA/ALICEの結果パターン> 検査のパターン EMMAの結果 ALICEの結果 1 NORMAL NEGATIVE 2 ABNORMAL NEGATIVE 3 ABNORMAL POSITIVE 33 4 MILD DYSBIOTIC NEGATIVE 5 NORMAL…ULTRALOW NEGATIVE 6 NON-INFORMTIVE NON- INVALID SAMPLE INFORMTIVE INVALID SAMPLE パターン1が最も良い環境で、推奨治療の必要がない。パターン2、3は Lactobacillus 属菌 が少なく、他の菌の存在割合が多いため推奨治療として抗菌薬等による治療があげられる。パタ ーン4、5は子宮内の絶対的な菌の量が少ない状態であり、絶対量によって分けられる。パター ン4、5でも妊娠は成立すると言われているが、Lactobacillus属の絶対数が少ない状態である。 パターン6は提出検体で検査ができなかった場合であるが、適切に検体を採取することで検体不 良は低減させることができ、Igenomix・Japanでの現在の検体不良は0.1%未満と報告されてい る。この結果をもとに、患者個々の状態に応じて治療などの介入が必要かどうかを担当医が判断 し、患者に結果説明し、治療計画を立てる。 (概要) 検査は外来検査である。子宮体部がん検診のように子宮内から内膜を吸引して提出する。検査 のタイミングとしては、受精卵が着床する時期の細菌叢を調べることを目的としているため、月 経周期の 15−25 日頃の黄体ホルモン作用後を推奨している。また、十分な検体量が得られるよ う、内膜の厚さは7mm以上が望ましい。 このような点に注意して行うため手技としては以下の方法で行う。 ①経腟超音波にて子宮内膜厚を測定し、子宮の方向性を確認する。 ②腟鏡診を腟に挿入し、腟内細菌の混入を防ぐため、腟内を生理食塩水を用いて洗浄する。 ③吸引式子宮内膜組織採取器を用いて、子宮内膜を含む子宮内腔液を採取する。 ④採取した検体を検査試薬に注入し、10℃以下で4時間以上保存する。 ⑤検体をクール便で検査会社に発送。 ⑥検体到着後はDNA抽出を行い、次世代シークエンサー(new generation sequencer:NGS) を用いて、子宮内腔液に含まれる細菌の16S リボソーム RNA解析を行うことで、Lactobacillus 属の占める割合及び、その他細菌叢の分布を明らかにする。 (先進医療にかかる費用) 先進医療に係る費用は56,100円である。 34 子宮内細菌叢検査の概要図 ○ 子宮内膜の細菌叢が、正常であるのか、異常であるのかを判断する検査技術。 ・ 乳酸桿菌の比率が高い状態を正常とする。 ・ 乳酸桿菌の比率が低い状態、菌共生バランスの失調状態、または病原菌 が存在している 状態を異常とする。 ○ 検査結果は、同時に行われるEMMA(Endometrial Microbiome Metagenomic Analysis)/ALICE(Analysis of infection Chronic Endometritis)にて判定する。 ・ EMMAでは、子宮内膜検体における乳酸桿菌( Lactobacilli )の割合、特に多く検出された 細菌10種類程の割合を検出する。 ・ ALICEでは、Enterococcus 属菌、腸内細菌科(大腸菌や肺炎桿菌など)、Streptococcus属菌、 Staphylococcus属菌、Mycoplasma属菌、Ureaplasma属菌、Chlamydia属菌、Neisseria属菌の8 種を検出する。 検査の流れ(イメージ) 子宮内膜生検 DNA抽出 NGS解析 報告 検査結果を踏まえて、 ※ 治療方針を策定 ※ 明らかな子宮内細菌叢の異常が検出されなければ生殖補助医療を行うが、子宮 内細菌叢の異常が検出されれば、まずは生活指導や抗生剤治療等を検討する。 35 薬事承認申請までのロードマップ 先進医療技術名:子宮内細菌叢検査 試験薬または試験機器:子宮内細菌叢検査プログラムシステム(仮称) 先進医療での適応疾患:慢性子宮内膜炎疑い 先進医療 臨床研究 ・ 試験名:子宮内細菌叢検査としての子宮内マイクロバイオーム検査(以下、EMMA)と ・ 試験名:EMMA/ALICE for 感染性慢性子宮内膜炎検査(以下、ALICE)の有効性 RIF or RPL in Japan 2019 ・ 試験デザイン:前方視的コホート研究 薬 (UMIN000036050) ・ 期間:2022年4月から2023年3月 ・ 試験デザイン:前方視的 ・ 被験者数:150症例 事 コホート研究 ・ 主要評価項目:継続妊娠率:子宮内細菌叢正常群と治療介入群(Lactobacillus<90%に対する治 ・ 期間:2018年7月から2019 療介入後)の継続妊娠率の比較 年7月 ・ 副次評価項目: 承 ・ 被験者数:反復着床不全 【有効性評価】 患者計129 ① 子宮内細菌の検出率 ・ 結果の概要:EMMA/ALICE ② 抗生剤による治療介入を要した割合 認 ③ 着床率、臨床的妊娠率 を施行群で抗生剤治療が ④ 子宮内細菌叢の異常が検出された患者において、抗生剤治療が推奨される患者割合と推奨抗生 推奨された患者は27.9%で 剤の種類の検証。また実際に結果後抗生剤治療した場合、使用した抗生剤の種類と治療後の細菌 申 あった。EMMA/ALICE未施 叢の変化についての検証 行群との比較において、継 ⑤ 子宮鏡にてCE診断とEMMA/ALICEとの一致率の検証 請 続妊娠率が統計的有意に ⑥ 反復着床不全患者、反復流産患者、CEの疑われる症例、難治性不妊患者における子宮内細菌叢 EMMA/ALICE施行群で高 と腟培養の相関性の比較 かった。 【安全性評価】 有害事象(迷走神経反射、性器出血、感染症、子宮穿孔等)の発生頻度 当該先進医療における選択基準: 試験名:子宮内マイクロバイオーム検査(以下、EMMA)と感染性 慢性子宮内膜炎を疑う患者のうち、以下のいずれかに該当するもの 慢性子宮内膜炎検査(以下、ALICE)の有効性評価試験JISART多 ・体外受精-胚移植治療を受けており2回以上移植を行っても臨床的妊娠のない 施設共同研究(UMIN000036917) 反復着床不全 試験デザイン:前方視野的コホート研究 分析性能 ・2回以上の流産既往症例 ・子宮内細菌叢検査の検出精度試験 試験 ・子宮内細菌叢検出プログラムの正常稼働試験 ・細菌性腟症難治症例 ・子宮鏡検査で慢性子宮内膜炎(CE)を疑う症例 欧米での現状 除外基準: 薬事承認:米国(無) 欧州(有) ・重篤な合併症を有する症例 ガイドラインの記載 欧米:無、米国:無 ・子宮因子(子宮奇形や粘膜筋腫)を有する症例 生殖医学会ガイドライン記載:(有) 予想される有害事象:検査に伴う出血、疼痛、迷走神経反射など →本検査の不妊治療における有効性については、明らかになっていない。(C) 36

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