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中医協 総-4-1
8 . 7 . 8
最適使用推進ガイドライン
ニバドストロセル
(販売名:アロステム®シート)
~栄養障害型、接合部型及び
単純型(重症汎発型に限る)表皮水疱症~
令和8年7月
厚生労働省
1
目次
1. はじめに ........................................................................ 3
2. 本品の特徴、作用機序 ............................................................ 4
3. 臨床成績 ........................................................................ 5
4. 施設について ................................................................... 13
5. 貼付対象となる患者 ............................................................. 15
6. 貼付に際して留意すべき事項 ..................................................... 16
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1. はじめに
再生医療等製品の有効性・安全性の確保のためには、添付文書等に基づいた適正な使用が求
められる。さらに、近年の科学技術の進歩により革新的な新規作用機序を示す再生医療等製品
が承認される中で、これらの再生医療等製品を真に必要な患者に提供することが喫緊の課題と
なっており、経済財政運営と改革の基本方針2016(平成28年6月2日閣議決定)においても革新
的医薬品等の使用の最適化推進を図ることとされている。
新規作用機序を示す再生医療等製品は、薬理作用や安全性プロファイルが既存の医薬品等と
明らかに異なることがある。このため、有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの
間、当該再生医療等製品の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するととも
に、本品との因果関係が否定できない有害事象が発現した際に必要な対応をとることが可能な
一定の要件を満たす医療機関で使用することが重要である。 したがって、本ガイドラインで
は、開発段階やこれまでに得られている医学薬学的・科学的見地に基づき、以下の再生医療等
製品の最適な使用を推進する観点から必要な要件、考え方及び留意事項を示す。本ガイドライ
ンは国内外での使用実績等の最新の知見に基づき、適宜必要な改訂を行う。
なお、本ガイドラインは、独立行政法人医薬品医療機器総合機構、公益社団法人日本皮膚科
学会、日本小児皮膚科学会、公益社団法人日本小児科学会、一般社団法人日本再生医療学会、
一般社団法人日本臨床皮膚科医会の協力のもと作成した。
対象となる再生医療等製品:アロステムシート(一般名:ニバドストロセル)
対象となる効能、効果又は性能:栄養障害型、接合部型及び単純型(重症汎発型に限る)表皮水疱症
難治性又は再発性のびらん・潰瘍を有する栄養障害型、接合部型及び単純型
(重症汎発型に限る)表皮水疱症の患者を適応対象とする。本品は、難治性
又は再発性のびらん・潰瘍部に適用し、再上皮化を促すことを目的とする。
対象となる用法及び用量又は使用方法:通常、週1回、皮膚潰瘍の面積に応じて貼付枚数を定め、皮膚潰瘍をそ
の辺縁を含めて本品同士が重なり合わない様に覆い、貼付する。
製 造 販 売 業 者:イシンファーマ株式会社
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2. 本品の特徴、作用機序
アロステムシート(一般名:ニバドストロセル、以下、「本品」という)は、健康成人の皮下
脂肪組織に由来する間質性血管分画から単離・培養して得られたヒト(同種)脂肪組織由来間
葉系幹細胞をフィブリンを支持体としてシート状に培養して製した再生医療等製品である。本
品を潰瘍に貼付することで、HGF等の成長因子、細胞外マトリックスタンパク質等を分泌するこ
とにより、抗炎症作用、細胞保護作用、血管新生促進作用及び細胞増殖・遊走促進作用を示す
と考えられる。これらの作用により、表皮水疱症((Epidermolysis Bullosa)以下、「EB」とい
う)患者における皮膚損傷の治癒及び皮膚組織再生を誘導することが期待される。また、栄養
障害型EB及びラミニン332変異接合部型EBに対しては、本品が産生する細胞外マトリックスタン
パク質(Ⅶ型コラーゲン及びラミニン332)の補充による創傷治癒の促進作用も期待される。
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3. 臨床成績
表皮水疱症の承認時に評価を行った主な臨床試験の成績を示す。
3.1. 国内第Ⅰ/Ⅱ相試験(EB-01試験)
6歳以上の日本人栄養障害型EB患者(目標症例数:5例)を対象に、本品の安全性及び有効性評
価を目的とした非盲検非対照試験が、国内4施設で実施された。
主な選択・除外基準は、表1のとおりであった。
表1 主な選択・除外基準
以下の基準をすべて満たす患者。
免疫染色検査により栄養障害型EBと確定診断された患者。
同意取得時の年齢が6歳以上70歳以下の患者。
観察開始日及び治療開始日において、以下の基準を満たす栄養障害型EBによる皮膚潰
瘍を有する患者。
➢ 治療前観察期間において、継続的に皮膚潰瘍が認められる病変領域を有する。
本品貼付病変領域は以下の条件を満たす。
1) 選択可能な領域・部位(ただし、首より上部、手首を除く手掌・手背、くる
ぶしより下部の足底・足背は除く)
・体幹:胸部、腹部、背部、臀部
選択基準
・上肢:上腕、前腕
・下肢:大腿、下腿
2)皮膚潰瘍面積の測定に適した平坦な部位にある。
➢ 病変領域内の皮膚潰瘍面積の合計が10~250 cm2。病変領域が複数ある場合は、
少なくとも各病変領域内の皮膚潰瘍面積の合計が10 cm2以上であり、かつ全体を
本品10枚以内で覆うことが可能。
➢ 観察開始日に対する治療開始日時点において、病変領域内の皮膚潰瘍面積の合計
の変化率が±50%以内。
➢ 病変領域内の皮膚潰瘍に感染に起因すると思われる臨床的徴候を認めず、肉眼的
に判断しても壊死像が認められない。
以下の既往がある患者。
➢ SCC、重篤なアレルギー(ショック、アナフィラキシー様症状)、局所投与医薬品
に対する皮膚過敏症、異種タンパク質(ウシ・ブタ由来タンパク質)やフィブリ
ンゲルに対するアレルギー、ペニシリン・ストレプトマイシン・アムホテリシン
Bに対するアレルギー
観察開始日前4週間(28日)以内に以下の治療を受けた患者。
➢ 副腎皮質ステロイド0.5 mg*1/kg/日以上を2週間投与された18歳未満の患者
➢ 副腎皮質ステロイド20 mg*1/日以上を2週間投与された18歳以上の患者
➢ 副腎皮質ステロイドの局所投与治療を受けた患者。ただし、本品貼付予定領域以
外はこの限りでない。
除外基準 ➢ 生物学的製剤(ワクチン製剤を除く)や細胞治療(再生医療等製品及びそれに準
ずる治療を指す)を受けた患者
➢ 放射線療法や免疫抑制剤による治療を受けた患者
観察開始日の臨床検査値が以下のいずれかの基準に該当する患者。
➢ 血清尿素窒素値又は血清クレアチニン値が基準値上限の2倍超
➢ 血清AST、ALT、ALP、総ビリルビン又は総蛋白値が基準値上限の2倍超
➢ 血中アルブミン値が2.0 g/dL未満
➢ 血中ヘモグロビン値が6.0 g/dL未満
本品貼付予定領域に対し皮膚感染症治療のため抗菌剤投与が必要な患者。
治療開始日において、本品貼付予定領域と本品非貼付部位にまたがる皮膚潰瘍を有す
る患者。
*1:プレドニゾロン換算
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EB-01試験は、治療前観察期間(本品貼付開始前4週間)、治療期間(本品貼付開始後3週間、
最大7週間)、後観察期間(治療期間後5週間)及び追跡観察期間(後観察期間後20週間)から
構成された。
用法及び用量又は使用方法は、本品を週1回の頻度で1回あたり10枚以内を4回連続して病
変領域に貼付することとされた。貼付4回目で表皮形成が認められなかった領域が存在する場合
は、表皮形成が認められるまで最大 8 回まで貼付が可能とされた。複数の領域に貼付された場
合、すべての本品貼付領域で表皮化(完全閉鎖)に至るまで、表皮化(完全閉鎖)を認めた領域
も含めて、継続して貼付することとされた。
EB-01試験に登録された6例全例に本品が貼付され、安全性解析対象集団とされた。本品貼付
開始後に除外基準に該当していることが判明し有効性解析対象から除外された 2 例を除く 4 例
がFASとされ、FASが有効性解析対象集団とされた。
EB-01試験に参加した患者の背景及び治療対象となった皮膚潰瘍の状況は、表2のとおりであ
った。
表2 患者背景及び治療対象となった皮膚潰瘍の状況(EB-01試験、安全性解析対象集団)
ベースライン*1の潰瘍面積
患者番号 性別 診断 潰瘍部位
(cm2)
1-①*2 女 RDEB、中等症汎発型*3 背部 102.375
1-② 女 RDEB、中等症汎発型*3 背部 22.625
1-③ 女 RDEB、中等症汎発型*3 背部 15.875
1-④ 男 RDEB、中等症汎発型*3 背部 62.875
1-⑤ 男 RDEB、中等症汎発型*3 背部 40.000
1-⑥*2 男 RDEB、重症汎発型*4 胸腹部 28.750
*1:ベースラインは治療開始日の本品貼付直前において選択基準を満たす本品貼付領域の潰瘍面積とさ
れた。
*2:有効性解析対象から除外された。
*3:重症発汎発型より症状が軽く、Ⅶ型コラーゲンの発現は減弱しているが確認される。
*4:症状が重症で、Ⅶ型コラーゲンの発現がない。
【有効性】
主要評価項目は、FASにおける本品最終貼付5週後におけるベースライン(治療開始日の本品
貼付直前の皮膚潰瘍面積)からの皮膚潰瘍面積の変化率とされた。
主要評価項目の有効性達成基準は、事前に以下のように規定された。
1)観察開始日に対する治療開始日の皮膚潰瘍面積の変化率が±33%未満の部位については、最
終貼付5週後の皮膚潰瘍面積が治療開始日の皮膚潰瘍面積と比較し50%以上縮小すること。
2)観察開始日に対する治療開始日の皮膚潰瘍面積の変化率が±33~±50%の部位については、
最終貼付 5 週後の皮膚潰瘍面積が治療開始日の皮膚潰瘍面積と比較し、観察開始日に対す
る治療開始日の皮膚潰瘍面積の変化率の1.5倍以上(49.5~75%)縮小すること。
主要評価項目の結果は表3のとおりであり、主要評価項目の有効性達成基準を満たした患者は
4例中2例であった。
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表3 最終貼付5週後におけるベースラインからの皮膚潰瘍面積の変化率(EB-01試験、FAS)
基準達成
患者番号 ベースライン 最終貼付5週後 変化率(%)
の有無 *1
1-② 22.625 5.875 -74.033 有
1-③ 15.875 5.375 -66.142 有
1-④ 62.875 49.000 -22.068 無
1-⑤ 40.000 35.500 -11.250 無
平均値±標準偏差 35.344±20.980 23.938±21.853 -43.373±31.328
中央値 31.313 20.688 -44.105
(範囲) (15.875, 62.875) (5.375, 49.000) (-74.033, -11.250)
*1:いずれの患者も観察開始日に対する治療開始日の皮膚潰瘍面積の変化率が±33%未満であり、有効性達成基準1)
に基づいて判定された。
3.2. 国内第Ⅲ相試験(EB-02試験)
日本人EB患者[栄養障害型、接合部型、単純型(重症汎発型に限る)](目標症例数:6例)
を対象に、本品の有効性及び安全性の検討を目的とした多施設共同非盲検非対照試験が、国内5
施設で実施された。
主な選択・除外基準は、表4のとおりであった。
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表4 主な選択・除外基準
以下の基準をすべて満たす患者。
厚生労働省の指定難病診断基準により診断された栄養障害型 EB、接合部型 EB 又は単純
型EB(重症汎発型に限る)患者。
同意取得時の年齢が1歳以上70歳以下の患者。
観察開始日及び治療開始日において、以下の基準を満たすEBによる皮膚潰瘍を有する患
者。
➢ 治療前観察期間において、継続的に皮膚潰瘍が認められる病変領域を有する。
本品貼付病変領域は以下の条件を満たす。
1) 選択可能な領域・部位(ただし、首より上部、手首を除く手掌・手背、くるぶ
しより下部の足底・足背は除く)
・体幹:胸部、腹部、背部、臀部
・上肢:上腕、前腕
選択基準 ・下肢:大腿、下腿
2) 病変領域内の皮膚潰瘍面積の合計が10~250 cm2。病病変領域の選定は2カ所
までとし、病変領域を潰瘍周囲の瘢痕領域を含めて本品 16 枚以内で覆うこと
が可能なこと。
3) 可動部は避け、皮膚潰瘍面積測定に適した平坦な部位を選択すること。
4) 湾曲している部位に存在する潰瘍を選択する際には、湾曲面を円柱面と想定し
た中心軸から潰瘍境界の両端までの中心角度が 120 度を上回る可能性がある
潰瘍は原則選択しないこと。
5) 観察開始日に対する観察開始2週後及び観察開始4週後の治療開始日時点での
本品貼付予定領域において、皮膚潰瘍面積の合計の変化率がいずれの時点でも
±20%以下。
6) 本品貼付予定領域に細菌等の感染に起因する臨床的徴候を認めず、肉眼的に判
断しても壊死像が認められない。
以下の既往がある患者。
➢ 重篤なアレルギー(ショック、アナフィラキシー様症状)、局所投与医薬品に対する
皮膚過敏症、異種蛋白質(ウシ・ブタ由来蛋白質)やフィブリンハイドロゲルに対
するアレルギー、ペニシリン・ストレプトマイシン・アムホテリシンBに対するア
レルギー
観察開始日前4週間以内に以下の治療を受けた患者。
➢ 副腎皮質ステロイド0.5 mg*1/kg/日以上を2週間投与された18歳未満の患者
➢ 副腎皮質ステロイド20 mg*1/日以上を2週間投与された18歳以上の患者
➢ 副腎皮質ステロイドの局所投与治療を受けた患者。ただし、本品貼付(予定)領域
以外はこの限りでない。
➢ 生物学的製剤(ワクチン製剤を除く)の治療を受けた患者
➢ 放射線療法や免疫抑制剤による治療を受けた患者
観察開始日の臨床検査値が以下のいずれかの基準に該当する患者。
除外基準 ➢ 血清尿素窒素値又は血清クレアチニン値が基準値上限の2倍超
➢ 血清AST、ALT、ALP、総ビリルビン又は総蛋白値が基準値上限の2倍超
➢ 血中アルブミン値が2.0 g/dL未満
➢ 血中ヘモグロビン値が6.0 g/dL未満
本品貼付予定領域に対し皮膚感染症治療のため抗菌剤投与が必要な患者。
悪性腫瘍を合併する患者又は観察開始日前5年以内に悪性腫瘍の既往がある患者(有棘
細胞癌については、切除手術後1年以上再発していない場合はこの限りでない)。
治療開始日において、本品貼付予定領域と本品非貼付部位にまたがる皮膚潰瘍を有する
患者。
治療開始日前の4カ月以内に医薬品又は医療機器の治験及び臨床研究(介入研究)に参
加した患者。
治療開始日前の1年以内に他の再生医療等製品の治験及び臨床研究(介入研究)に参加
した患者並びに細胞治療(再生医療等製品及びそれに準ずる治療を指す)を受けた患者。
ヒト(自己)表皮由来細胞シート(販売名:ジェイス)を使用中の患者又は治療開始日
前の1年以内にジェイスの最終移植を実施した患者。
*プレドニゾロン換算。
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EB-02 試験は、治療前観察期間(本品貼付開始前 4 週間)、治療期間(本品貼付開始後 11 週
間)、後観察期間(治療期間後 5週間)、追跡観察期間(後観察期間後20週間)及びフォロー
アップ調査期間(追跡観察期間後27週間)から構成された。
用法及び用量又は使用方法は、病変領域に対して、皮膚潰瘍とその周辺を含め十分に覆うよう
に、本品を治療期間の12週間に週1回1)、1回あたり16枚以内を最大12回貼付するとされた。
ISN001-EB-02試験に登録された6例全例に本品が貼付され、1例が最終貼付34週後の評価後
に同意を撤回し、試験を中止した。全例がFASとされ、FASが有効性解析対象集団及び安全性解
析対象集団とされた。
EB-02試験に参加した患者の背景及び治療対象となった創傷の状況は、表5のとおりであった。
表5 患者背景及び治療対象となった皮膚潰瘍の状況(EB-02試験、FAS)
ベースラインの潰瘍面積*1
患者番号 性別 診断 潰瘍部位
(cm2)
背部 42.30
RDEB、
2-① 男 大腿 21.50
中等症汎発型*2
合計 63.80
2-② 女 DDEB 下腿 8.98
上腕 21.55
RDEB、
2-③ 女 上腕 38.25
中等症汎発型*2
合計 59.80
背部 15.36
RDEB、
2-④ 男 背部 12.96
中等症汎発型*2
合計 28.31
RDEB、
2-⑤ 女 背部 13.28
重症汎発型*3
RDEB、
2-⑥ 女 上腕 22.52
重症汎発型*3
*1:ベースラインは本品貼付前4週、2週及び貼付直前の平均値とされた。
*2:重症発汎発型より症状が軽く、Ⅶ型コラーゲンの発現は減弱しているが確認される。
*3:症状が重症で、Ⅶ型コラーゲンの発現がない。
【有効性】
主要評価項目は、FASにおける治療前観察期間(本品貼付前4週、2週及び貼付直前)の平均
潰瘍面積に対する最終貼付1~5週後(評価期間1)及び最終貼付21~25週後(評価期間2)の
潰瘍面積平均変化率(%)とされた。主要評価項目の有効性達成基準は、評価期間 1 の潰瘍面積
平均変化率(%)で治療前観察期間の平均潰瘍面積と比較し統計的な有意差が認められることと
された。各期間における主要評価項目の結果は表6のとおりであり、評価期間1において治療前
観察期間と比較して潰瘍面積平均変化率(%)について統計的な有意差が認められた。
1) 治療開始時点から3回の貼付において、貼付領域内の皮膚潰瘍面積が貼付開始時に比べて2回以上明らかに
拡大した場合、又は3回とも25%以下の縮小率に留まっていると治験担当医師が判断した場合、週2回の貼
付が可能とされた。その場合は12週間で最大計21回の貼付とされたが、EB-02試験において該当する患者
はいなかった。
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表6 治療前観察期間の平均潰瘍面積に対する
評価期間1及び評価期間2の潰瘍面積平均変化率(EB-02試験、FAS)
例数 変化率(%) p値*1
評価期間1 6 -54.242±13.3863 0.0098
評価期間2 6 -29.853±18.8147
平均値±標準誤差
*1: 有意水準両側5%、1標本t検定
患者ごとの潰瘍面積の変化率は、表7のとおりであった。
表7 患者ごとのベースラインからの皮膚潰瘍面積の変化率(EB-02試験、FAS)
評価期間1のベ 評価期間2のベ 潰瘍面積変化
評価期間1の 評価期間2
ベースライ ースラインから ースラインから 率の差(評価
患者番号 潰瘍面積*2 の潰瘍面積
ン*1(cm2) の潰瘍面積変化 の潰瘍面積変化 期間2-評価期
(cm2) *3(cm2)
率(%) 率(%) 間1)
2-① 63.80 14.79 19.48 -76.81 -69.47 7.35
2-② 8.98 2.35 1.76 -73.83 -80.36 -6.53
2-③ 59.80 20.36 39.76 -65.95 -33.51 32.44
2-④ 28.31 5.02 20.23 -82.26 -28.56 53.70
2-⑤ 13.28 12.87 19.86 -3.09 49.61 52.70
2-⑥ 22.52 17.23 18.73 -23.52 -16.83 6.69
*1:貼付前4週、2週及び貼付直前の平均値。
*2:最終貼付1、3及び5週後の平均値。
*3:最終貼付21、23及び25週後の平均値。
3.3. 国内第Ⅰ/Ⅱ相試験(EB-01試験)及び国内第Ⅲ相試験(EB-02試験)併合解析
【安全性】
EB-01試験及びEB-02試験における安全性の概要は表8のとおりであり、死亡及び貼付中止に
至った事象は認められなかった。
表8 安全性の概要(EB-01試験及びEB-02試験の併合解析)
EB-01試験*1 EB-02試験*2 全体
(6例) (6例) (12例)
例数(%) 例数(%) 例数(%)
全有害事象 5(83.3) 4(66.7) 9(75.0)
本品との因果関係が否定できない有害事象 0 1(16.7) 1(8.3)
重篤な有害事象 1(16.7) 1(16.7) 2(16.7)
重症度が高度の有害事象 1(16.7) 1(16.7) 2(16.7)
投与中止に至った有害事象 0 0 0
死亡に至った有害事象 0 0 0
*1:治療期間(本品貼付開始後3週間、最大7週間)、後観察期間(本品最終貼付後5週間)及び追跡
観察期間(後観察期間後20週間)で認められた事象
*2:治療期間(本品貼付開始後11週間)、後観察期間(治療期間後5週間)、追跡観察期間(後観察期
間後20週間)及びフォローアップ調査期間(追跡観察期間後27週間)で認められた事象
10
併合解析において多く認められた有害事象は器官別大分類「感染症および寄生虫症」に該当す
る事象で、上咽頭炎が5例、皮膚感染が2例、爪囲炎が1例であった。いずれも非重篤で、重症
度は軽度であり、短期間で回復した。EB-01試験で本品貼付部位に皮膚感染が認められたことか
ら、EB-02試験では本品の貼付及び管理に関する手順を標準化した結果、貼付部位の皮膚感染は
認められなかった。本品との因果関係が否定できない有害事象はEB-02試験の 1例(C‐反応性
蛋白増加)のみで、非重篤で重症度は軽度であった。
EB-01試験及びEB-02試験における発現時期別の有害事象の発現状況は、表9のとおりであっ
た。
表9 発現時期別の有害事象の概要(EB-01試験及びEB-02試験、安全性解析対象集団)
EB-01試験*1(6例) EB-02試験(6例)
例数(%) 例数(%)
フォローアップ
貼付後 最終貼付後 貼付後 最終貼付後 調査期間中
全有害事象 2(33.3) 3(50.0) 4(66.7) 4(66.7) 4(66.7)
本品との因果関係が否定
0 0 1(16.7) 0 0
できない有害事象
重篤な有害事象 0 1(16.7) 0 0 1(16.7)
*1:EB-01試験ではフォローアップ調査期間が設定されていなかった
EB-01試験では、貼付後及び最終貼付後のいずれにおいても、2例以上に認められた有害事象は
なかった。重篤な有害事象は最終貼付54日後(本品貼付開始100日後)に1例(過小食)に認めら
れ、本治験参加前から同様の症状を繰り返していたことから、本品との因果関係は否定された。
EB-02試験では、貼付後に最も多く認められた有害事象は上咽頭炎3例であった。フォローアッ
プ調査期間で重篤な有害事象が1例(貧血)に認められたが、最終貼付約8カ月後に発現し、原疾
患に起因するとされ、本品との因果関係は否定された。
総貼付枚数別の安全性について、EB-01試験及びEB-02試験の併合解析における総貼付枚数別の
有害事象の発現状況は、表10のとおりであった。
表10 総貼付枚数別の有害事象の概要(EB-01試験及びEB-02試験の併合解析)
60枚以上120
60枚未満 120枚以上 全体
枚未満
(4例) (5例) (12例)
(3例)
例数(%) 例数(%) 例数(%)
例数(%)
全有害事象 3(75.0) 3(100) 3(60.0) 9(75.0)
本品との因果関係が否定できない有害事象 0 0 1(20.0) 1(8.3)
重篤な有害事象 1(25.0) 0 1(20.0) 2(16.7)
重症度が高度の有害事象 1(25.0) 0 1(20.0) 2(16.7)
総貼付枚数の増加に伴い有害事象の発現割合が増加する傾向は認められなかった。総貼付枚数
が120枚以上では、1例に本品との因果関係が否定できない有害事象(C‐反応性蛋白増加)、1例
に重篤な有害事象(貧血)が認められた。重篤な有害事象の1例(貧血)は治験担当医師により
11
本品との因果関係が否定された。
1回あたりの平均貼付枚数別の安全性について、EB-01試験及びEB-02試験の併合解析における
平均貼付枚数別の有害事象の発現状況は、表11のとおりであった。
表11 1回あたりの平均貼付枚数別の有害事象の概要(EB-01試験及びEB-02試験の併合解析)
9枚以上12枚
9枚未満 12枚以上 全体
未満
(4例) (5例) (12例)
(3例)
例数(%) 例数(%) 例数(%)
例数(%)
全有害事象 3(75.0) 3(100) 3(60.0) 9(75.0)
本品との因果関係が否定できない有害事象 0 0 1(20.0) 1(8.3)
重篤な有害事象 1(25.0) 0 1(20.0) 2(16.7)
重症度が高度の有害事象 1(25.0) 0 1(20.0) 2(16.7)
平均貼付枚数の増加に伴い有害事象の発現割合が増加する傾向は認められなかった。平均貼付
枚数が12枚以上では、1例に本品との因果関係が否定できない有害事象(C‐反応性蛋白増加)、
1例に重篤な有害事象(貧血)が認められた。重篤な有害事象の1例(貧血)は治験担当医師によ
り本品との因果関係が否定された。
年齢別の安全性について、EB-01試験及びEB-02試験の併合解析における年齢別の有害事象の発
現状況は、表12のとおりであった。
表12 年齢別の有害事象の概要(EB-01試験及びEB-02試験の併合解析)
1歳以上 7歳以上 15歳以上
全体
7歳未満 15歳未満 (9例)
(12例)
(1例) (2例)
全有害事象 1(100) 2(100) 6(66.7) 9(75.0)
本品との因果関係が否定できない有害事象 1(100) 0 0 1(8.3)
重篤な有害事象 0 1(50.0) 1(11.1) 2(16.7)
重症度が高度の有害事象 0 1(50.0) 1(11.1) 2(16.7)
本品との因果関係が否定できない有害事象は、1歳以上7歳未満の1例に認められたC‐反応性蛋
白増加のみであった。重篤な有害事象は1歳以上7歳未満では認められず、7歳以上15歳未満で過
小食が1例、15歳以上で貧血が1例に認められたが、いずれの事象も重症度は高度、治験担当医師
により本品との因果関係は否定された。
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4. 施設について
本品は、表皮水疱症の診断及び治療に十分な知識・経験を持ち、かつ本品の特徴と作用機序
を熟知し、取扱いを習得した医師により使用される必要がある。そのため、本品納入前に、製
造販売業者による講習会を実施し、医療従事者向け資材を用いて、本品の適正使用に関する情
報を提供する。
以上のことから、患者の治療を行う医療機関では①~③を満たす施設において使用する必要
がある。
①施設について
①-1 以下を満たす医療機関であること。(ただし、対象患者が小児である場合には、小児治
療に関するチーム医療が確立されていることが望ましい。)
(1) 本品の貼付前の調製が可能な機材・資材を有していること
(2) 本品の有効性及び安全性に関する情報を収集するため、本品に課せられている製造販
売後調査を適切に実施することが可能であること
①-2 治療の責任者の配置
表皮水疱症の診断、治療及び不具合・副作用発現時の対応並びに十分な知識と経験を有し
(表13のすべてに該当)、製造販売業者が実施する、本品の使用にあたっての講習を修了
した医師が、本品を用いた治療の責任者として配置されていること。
表13 治療の責任者に関する要件
日本皮膚科学会専門医の資格を有すること
表皮水疱症の診療に必要な学識・技術を習得していること
製造販売業者による本品の適正使用に関する講習を受講していること
② 院内の再生医療等製品に関する情報管理体制について
再生医療等製品に関する情報管理に従事する担当者が配置され、製造販売業者からの情報
窓口、有効性・安全性等に関する情報の管理及び医師等に対する情報提供、不具合・副作
用が発生した場合の報告業務等が速やかに行われる体制が整っていること。
③ 不具合・副作用への対応について
③-1 施設体制に関する要件
重篤な不具合・副作用が発生した際に、当該施設又は連携施設において、発現した不具
合・副作用に応じて必要な検査の結果が当日中に得られ、直ちに対応可能な体制が整っ
ていること。
③-2 医療従事者による不具合・副作用への対応に関する要件
表皮水疱症の診療に携わる専門的な知識及び技能を有する医療従事者が不具合・副作用
のモニタリングを含め主治医と情報を共有できるチーム医療体制が整備されているこ
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と。なお、その体制について、患者とその家族に十分に周知されていること。
③-3 不具合・副作用の診断や対応に関する要件
不具合・副作用に対して、当該施設又は連携施設の専門性を有する医師と連携(副作用
の診断や対応に関して指導及び支援を受けられる条件にあること)し、直ちに適切な処
置ができる体制が整っていること。
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5. 貼付対象となる患者
厚生労働省の指定難病診断基準により診断された栄養障害型、接合部型及び単純型(重症汎
発型に限る)表皮水疱症患者に適用すること。また、臨床試験において接合部型及び単純型表
皮水疱症患者への貼付の経験はないため、臨床上の必要性を十分に検討すること。
なお、本品は、臨床試験における条件も参考に既存治療で効果不十分であり、継続的に皮膚
潰瘍が認められる難治性又は再発性の病変に対して適用すること。また、臨床試験での適格要
件(p5,8参照)や他の治療法の適用も考慮し、以下の点も踏まえ、本品を適用する潰瘍を適切
に選択すること。
以下に該当する患者・部位は本品の貼付対象とはならない。
・本品の成分に対し、過敏症の既往歴のある患者
・皮膚悪性腫瘍が確定診断された又は疑われる部位
・皮膚移植、ジェイス又はバイジュベックゲルにより治療中の部位
・感染が疑われる部位
・皮膚潰瘍が閉鎖している部位
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6. 貼付に際して留意すべき事項
① 添付文書等に加え、製造販売業者が提供する資料等に基づき本品の特性及び適正使用のため
に必要な情報を十分に理解してから使用すること。
② 治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから貼
付すること。
【投与継続の判断について】
・ 臨床試験において、12週を超える貼付の経験はないため、原則として12週までの貼付とする
が、治療上の有益性が認められる場合にのみ12週を超えて継続できる。ただし、貼付中は定
期的に貼付継続の要否について検討(月に1回程度は本品貼付後の潰瘍面積の縮小割合等を
効果判定)し、漫然と貼付しないこと。なお、1週間1回12週投与として実施された臨床試験
(EB-02試験)においてにおいて潰瘍面積の縮小が50%になるまでの期間は中央値で17.5日で
あった。
・ 皮膚潰瘍が閉鎖したら当該病変への貼付を終了し、次の新しい皮膚潰瘍の治療を開始するこ
と。
・ 臨床試験において、1回あたり16枚を超える貼付の経験はないため、有効性及び安全性につ
いては評価されていない。医師が疾患の特性等により必要性があると判断し、やむを得ず1
回あたり16枚を超える病変を治療対象とする場合は、有益性と危険性を慎重に評価した上で
貼付すること。
≪主な留意点≫
・ -80℃(-85℃~-75℃)で保管されている製品を使用すること。
・ 本品の解凍は、貼付直前に実施し、本品の解凍完了後、60分以内を目途に貼付を終えるこ
と。
・ 本品の使用にあたっては、保存液を十分に洗浄し、除去すること。
・ 本品の貼付前に生理食塩水等で貼付箇所を十分に洗浄すること。本品の貼付直前に貼付予定
の潰瘍にワセリンなどの撥水性外用薬が使用されている場合、本品薬効成分の潰瘍患部への
到達を妨げる可能性があるため、貼付前に撥水性外用薬を洗浄した後に本品を貼付し、本品
と貼付患部との間に撥水性外用薬を介在させないこと。
・ 強力な吸湿性能を有する被覆保護材(アクアセル等)と本品を直接接触させると本品の水分
と薬効成分が被覆保護材に吸収され、薬効を発揮できない可能性があることから、本品と
直接接触するような使用法を避けること。
・ 本品を貼付したのち少なくとも48時間は本品及び非固着性ガーゼは除去せず、入浴又は貼
付部位への直接シャワー等を実施しないこと。48時間を経過し貼付箇所を洗浄した以降、
次回の貼付までの期間については、通常治療時と同様に入浴または直接のシャワー等を行
い、一般的な処置(ワセリン、被覆保護等)を行うこと。
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この資料について
出典:厚生労働省ホームページ (https://www.mhlw.go.jp/)
当サイトが保存しているのは、PDFから取り出した文字だけです。 これは言葉で探せるようにするためのもので、 厚生労働省が公表した資料そのものではありません。 図表・画像・レイアウトは失われています。
正確な内容は、必ず厚生労働省のPDFをご確認ください。