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令和6年12月19日 第190回社会保障審議会医療保険部会 資料1-2
医師偏在対策に関するとりまとめ
令和6年 12月18日
新たな地域医療構想等に関する検討会
目次
1.はじめに
2.医師偏在対策のこれまでの取組
3.現状と課題
4.医師偏在の是正に向けた基本的な考え方
5.今後の医師偏在対策の具体的な取組
(1)医師確保計画の実効性の確保
(2)地域の医療機関の支え合いの仕組み
① 医師少数区域等での勤務経験を求める管理者要件の対象医療機関の拡
大等
② 外来医師多数区域における新規開業希望者への地域で必要な医療機能
の要請等の仕組みの実効性の確保
③ 保険医療機関の管理者要件
(3)経済的インセンティブ
(4)全国的なマッチング機能の支援等
(5)リカレント教育の支援
(6)都道府県と大学病院等との連携パートナーシップ協定
(7)医師偏在指標のあり方
(8)医師養成過程を通じた取組
(9)診療科偏在の是正に向けた取組
6.おわりに
1.はじめに
○ 医師偏在対策については、令和6年6月21日に閣議決定された「経済財政
運営と改革の基本方針 2024」において、医師の地域間、診療科間、病院・診
療所間の偏在の是正を図るため、医師養成過程での取組、経済的インセンテ
ィブ、規制的手法等を組み合わせた総合的な対策のパッケージを令和6年末
までに策定することとされている。
○ 厚生労働省において、令和6年8月30日に近未来健康活躍社会戦略が公表
され、その中で、①医師確保計画の深化、②医師の確保・育成、③実効的な
医師配置を柱として、医師偏在是正に向けた総合的な対策のパッケージの骨
子案が示された。また、令和6年9月3日には、厚生労働大臣を本部長とす
る「厚生労働省医師偏在対策本部」が設置され、主な論点が示された。
○ 新たな地域医療構想等に関する検討会(以下「本検討会」という。)にお
いては、こうした政府の方針を踏まえつつ、持続可能な医療提供体制を確保
するため、医師養成過程を通じた対策を除く医師偏在対策について、新たな
地域医療構想とあわせて検討を進めてきた。医師養成過程を通じた取組につ
いては、医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会において検
討が進められてきた。
○ 今般、政府が医師偏在是正に向けた総合的な対策のパッケージを策定する
に当たり、本検討会において、これまでの議論の内容を踏まえ、今後の医師
偏在対策の考え方、取組の進め方等について整理し、とりまとめを行うもの
である。
2.医師偏在対策のこれまでの取組
○ 医師確保及び医師偏在是正に向けた対策については、累次の制度改正を経
て、医師養成過程における取組、医師確保計画に基づく取組、医師の働き方
改革を柱として、相互に連携を図りながら、地域の実情に応じた取組が進め
られてきた。
○ 医師偏在対策については、医師養成過程における取組として、特定の地域
等で診療を行うことを条件とした医学部定員の地域枠の設定に加えて、臨床
研修における都道府県別の募集定員上限数の設定、専門研修における都道府
県別・診療科別の専攻医採用数の上限(シーリング)の設定を行い、若手医
師を中心とした偏在対策が進められている。
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○ また、医師確保計画に基づく取組としては、都道府県において、地域医療
対策協議会を通じた医師の派遣や、専門医の取得など本人のキャリアパスに
配慮しつつ、医師不足地域等で診療に従事できるようにするためのキャリア
形成支援等の取組が進められている。小児科・産科については、別途、医師
確保計画を策定した上で、医師の派遣等の取組が進められている。
○ 国においては、こうした都道府県の地域の実情に応じた取組に対して、地
域医療介護総合確保基金等による財政支援や、データの分析・提供等の技術
的支援が行われている。
3.現状と課題
○ 医師養成については、平成20年度から、特定の地域等での勤務を条件とし
た地域枠を中心に、医学部定員を臨時的に増員しており、医師数は、令和4
年までの10年間で、全国で約30万3千人から約34万人3千人へ、約4万人
増加してきている。
○ こうした中、医師養成過程の取組を進めており、地域偏在については、医
師少数都道府県・医師少数区域の若手医師の数は医師多数都道府県・医師多
数区域と比較して増加しており、若手医師の地域偏在は縮小してきている。
他方、全年齢の医師でみると、地域偏在は縮小しているとは言えず、中堅・
シニア世代を対象とする取組が課題となっている。
○ また、第7次医師確保計画(令和2~5年度)では、当該計画期間中に医
師偏在指標が下位1/3である医師少数都道府県や医師少数区域が当該下位1/3
基準値に達することを目標としていたところ、16 の医師少数都道府県のうち
6都道府県(38%)が目標を達成し、105 の医師少数区域のうち 43 区域
(41%)が目標を達成しているが、依然として一部の都道府県・地域では地
域偏在が解消されていない。都道府県における取組とともに、都道府県域を
超えた全国的な医師偏在対策の基盤となる取組を行うことが求められている。
○ 診療所については、診療所医師の高齢化が進行している中で、診療所医師
が 80 歳で引退し、承継がなく、新規開業がないと仮定した場合、2040 年に
おいては、診療所がない市区町村が 170 程度増加すると推計されており、診
療所の地域偏在への対応も求められる。
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○ 診療科偏在については、平成20年度から令和4年度までの診療科別の医師
数の推移をみると、総数は約 1.2 倍に増加している中、診療科別の増加幅は
様々であり、リハビリテーション科、形成外科、麻酔科、放射線科で約 1.4
~1.6 倍に増加しているが、外科等の一部の診療科は横ばいとなっている。
また、近年、特に若手医師において、美容医療に従事する医師が増加傾向に
ある。
○ さらに、診療科別の時間外・休日労働時間について、年 1,860 時間を超え
ている医師の割合をみると、脳神経外科、外科等で高く、一部の診療科で長
時間労働により医師の負担が大きくなっている。このような中、診療科偏在
の是正に向けて、地域医療構想を通じた医療機関の機能分化・連携の推進や、
働き方改革の推進による医師の負担軽減とあわせて、対策を強化する必要が
ある。
4.医師偏在の是正に向けた基本的な考え方
○ 医師少数の地域や診療科における医師の配置は、これまで基本的に職業選
択の自由・営業の自由に基づき医師が働く場所や診療科を自由に選択するこ
とができるという考え方の下、へき地保健医療対策とともに、医師養成過程
での取組を中心に進めてきた。
○ しかしながら、今後、地域ごとに人口構造が急激に変化していく中で、地
域や診療科の医師配置の不均衡が拡大しかねない状況にある。また、 日本の
人口減少が進み、人材制約が大きくなる一方、医師数は毎年増加しており、
医師の需要と供給は2029年頃に均衡する推計もある中、医師確保対策につい
て、総数の確保から適切な配置へと重心をシフトしていく必要がある。
○ こうした中、将来にわたり地域で必要な医療提供体制を確保し、適切な医
療サービスを提供するため、3の現状と課題を踏まえ、次の3つの観点から、
実効性のある医師偏在対策を進めていく必要がある。
○ 一点目は、医師偏在対策を総合的に実施することである。医師偏在は一つ
の取組で是正が図られるものではなく、医師の価値観の変化、医師の意向や
地域の実情等を踏まえながら、様々な取組を幅広く実施することが必要であ
り、医師確保計画に基づく取組を進めるとともに、経済的インセンティブ、
地域の医療機関の支え合いの仕組み、医師養成過程を通じた取組等を組み合
わせた総合的な対策を進めるべきである。
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○ 二点目は、全ての世代の医師にアプローチすることである。若手医師を対
象とした医師養成過程中心の対策から、中堅・シニア世代を含む全ての世代
の医師へのアプローチが求められる。アプローチに当たっては、医師の価値
観の変化やキャリアパス等を踏まえ、医師の勤務・生活環境、柔軟な働き方
等に配慮することが求められる。
○ 三点目は、へき地保健医療対策を超えた取組を行うことである。へき地で
なくても、人口規模、地理的条件、今後の人口動態等から、医療機関の維持
が困難な地域もあることから、医師偏在指標だけではなく、可住地面積あた
りの医師数、住民の医療機関へのアクセス状況、医師の高齢化の状況、今後
の人口動態等の地域の実情を十分に踏まえ、都道府県において、支援が必要
な地域を明確化した上で、従来のへき地保健医療対策を超えた対策を進めて
いくべきである。
○ さらに、人口減少が進む中で、定住人口が見込まれる地域であっても、
「保険あってサービスなし」という事態に陥る可能性があることから、将来
にわたって国民皆保険を維持し、こうした地域を守るため、地域の必要な医
療機能を確保することが必要であり、国、地方自治体、医療関係者、保険者
等の全ての関係者が協働して医師偏在対策に取り組むことが重要である。
5.今後の医師偏在対策の具体的な取組
(1)医師確保計画の実効性の確保
○ 医師確保計画に基づく取組の更なる実効性を確保するためには、国による
サポートを行いながら、都道府県の地域の実情に応じた医師偏在対策を促進
することが必要である。
① 「重点医師偏在対策支援区域(仮称)」
○ 早急に医師確保を要する地域については、今後も一定の定住人口が見込ま
れるものの、必要な医師が確保できず、人口減少よりも医療機関の減少のス
ピードの方が早い地域など、へき地でなくても、人口規模、地理的条件、今
後の人口動態等から、医療機関の維持が困難な地域もある。このため、まず
早急に取り組む地域の対策として、「重点医師偏在対策支援区域(仮称)」を
設定した上で、優先的かつ重点的に対策を進めることが適当である。
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○ 「重点医師偏在対策支援区域(仮称)」の設定に当たっては、厚生労働省に
おいて候補区域を提示することとし、都道府県において、この候補区域を参
考としつつ、地域の実情に応じて、医師偏在指標、可住地面積あたり医師数、
住民の医療機関へのアクセス、診療所医師の高齢化率、地域住民の医療のか
かり方、今後の人口動態等を考慮して選定することが考えられる。当該区域
については、二次医療圏単位のほか、地域の実情に応じて、市区町村単位、
地区単位等も考えられる。また、対策の実施に当たっては、地域の関係者の
理解が重要であることから、地域医療対策協議会及び保険者協議会で協議し
た上で当該区域を選定することが適当である。
○ 厚生労働省が提示する候補区域については、
① 各都道府県の医師偏在指標が最も低い二次医療圏
② 医師少数県の医師少数区域
③ 医師少数区域かつ可住地面積当たりの医師数が少ない二次医療圏(全国
下位1/4)
のいずれかに該当する区域を提示することが考えられる。
② 「医師偏在是正プラン(仮称)」
○ 都道府県において、医師確保計画の中でより実効性のある医師偏在対策の
取組を進めるため、「重点医師偏在対策支援区域(仮称)」を対象とした「医
師偏在是正プラン(仮称)」を策定することが適当である。
○ 「医師偏在是正プラン(仮称)」においては、「重点医師偏在対策支援区域
(仮称)」、支援対象医療機関、必要な医師数、医師偏在是正に向けた取組等
を定めることとし、策定に当たっては、地域医療対策協議会及び保険者協議
会で協議することが適当である。また、「医師偏在是正プラン(仮称)」は、
国の定めるガイドラインを踏まえ、緊急的な取組を要する事項から先行して
策定し、令和8年度に全体を策定することが考えられる。
(2)地域の医療機関の支え合いの仕組み
① 医師少数区域等での勤務経験を求める管理者要件の対象医療機関の拡大等
○ 平成30年の医療法改正により、医師少数区域等で勤務した医師を厚生労働
大臣が認定する制度が創設された。その際、一定の医療機関の管理者には、
財務・労務管理といった経営能力のみならず、地域への貢献を含めた幅広い
マネジメント能力が求められるため、地域医療支援病院の管理者については、
医師少数区域等での勤務経験を要件とすることとされ、令和2年4月から施
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行された。
○ 医師確保等の地域への貢献が求められる医療機関においては、地域の状況
等を踏まえながら、行政や医育機関、他医療機関、多職種等と連携して、地
域全体の医療提供における役割を一層発揮する観点から、管理者が医師少数
区域等での勤務を行い地域医療等の実情を経験していることが一つの重要な
要素として考えられる。このため、管理者の要件として医師少数区域等にお
ける一定期間の勤務経験を求める対象医療機関について、医療法第31条にお
いて医師の確保に関する事項の実施に協力すること等が求められている公的
医療機関及び国立病院機構・地域医療機能推進機構・労働者健康安全機構が
開設する病院を追加することが考えられる。
○ 医師少数区域等での勤務の実効性を確保するためには、全ての医療機関を
対象とするべきとの意見があったが、上記の病院を対象に追加し、その効果
等を検証することが適当である。
○ 対象医療機関の拡大に際しては、管理者には医師少数区域等での勤務のみ
でない幅広い経験が求められることや、若い医師を中心に管理者となること
を避ける傾向があり、対象医療機関の管理者の確保に課題が生じるおそれが
あることを踏まえ、施行に当たっては柔軟な対応も必要である。医師少数区
域等に所在する対象医療機関の管理者となる場合は、その後に医師少数区域
等の勤務を経験することとなるため、対象から除外することが考えられる。
また、地域医療対策協議会において調整された医師派遣の期間や、地域医療
対策協議会で認められた管理者に求められる幅広い経験の機会となる期間
(例えば医育機関や臨床研修指定病院で医療従事者等の指導等に従事した期
間等)について、医師少数区域等での勤務経験の期間に一部認めることも考
えられる。
○ こうした見直しの適用に当たっては、管理者の確保等に配慮する観点から、
現行の地域医療支援病院の管理者と同様、令和2年度以降に臨床研修を開始
した医師を管理者とする場合に適用することが適当である。
○ また、医師少数区域等での勤務経験期間について、医師少数区域等での勤
務をさらに促進し、地域における安定的な医療提体制を確保する観点から、
現行の「6か月以上」から「1年以上」に延長することが適当である。
○ あわせて、医師少数区域等で勤務する医師の意向や出産、育児、介護等の
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ライフプランを考慮するため、
・ 医師免許取得後9年以上経過している場合は断続的な勤務日の積み上げ、
・ 医師免許取得後9年以上経過していない場合、最初の6か月以上の勤務
は原則1か月以上の連続した勤務(妊娠・出産等による中断は可)の積み上
げとし、残りの期間は断続的な勤務日の積み上げ
を可能とすることが適当である。
② 外来医師多数区域における新規開業希望者への地域で必要な医療機能の要
請等の仕組みの実効性の確保
○ 外来医療については、地域で中心的に外来医療を担う診療所の開設状況が
都市部に偏っているほか、初期救急医療提供体制の構築等の医療機関の連携
の取組が、個々の医療機関の自主的な取組に委ねられている。例えば、在宅
当番医制については、外来医師偏在指標が高い二次医療圏は、その他の二次
医療圏と比べて、在宅当番医制に参加している診療所の割合が少ない。
○ こうした中、国が定める「外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガ
イドライン」(以下「ガイドライン」という。)において、都道府県は、外来
医療機能に関する協議の場を設置し、少なくとも外来医師多数区域において
は、新規開業希望者に対して、協議の内容を踏まえて、地域に必要とされる
医療機能を担うよう求めることとしている。都道府県において、ガイドライ
ンに基づき、地域で不足する医療機能の要請がなされているが、対応してい
ない新規開業者が一定数存在すること等を踏まえ、要請やフォローアップの
仕組みを強化することが求められる。
○ このため、地域で不足している医療機能の確保によってより適切な医療提
供体制を構築する観点から、現行のガイドラインによる外来医師多数区域に
おける新規開業希望者への地域で必要な医療機能の要請等の仕組みについて、
実効性を確保することが必要である。
○ 具体的には、都道府県において、外来医師偏在指標が一定数値(例えば標
準偏差の数倍)を超える地域(外来医師過多区域)における新規開業希望者
に対して、医療法に基づき、開業の6か月前に、提供する予定の医療機能等
を記載した届出を求めた上で、当該届出の内容等を踏まえ、地域の外来医療
の協議の場への参加を求めることができ、また、地域で不足している医療機
能(夜間や休日等における地域の初期救急医療、在宅医療、公衆衛生等)の
提供や医師不足地域での医療の提供(土日の代替医師としての従事等)を要
請することができることとすることが適当である。
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○ その際、外来医師過多区域、地域で不足している医療機能、医師不足地域
での医療の提供の内容は、都道府県において、地域の外来医療の協議の場に
おける協議内容を踏まえ、事前に公表することが適当である。また、要請に
当たっては、今後の人口動態等も踏まえつつ、人口あたり医師数や可住地面
積あたり医師数等が特に高い市区町村や地区がある場合は、要請の対象区域
について、外来医師過多区域単位ではなく、市区町村単位や地区単位とする
ことも考えられる。
○ 開業前に行われた要請等の実効性を確保するための仕組みとして、開業後、
要請に従わず、地域で不足している医療機能の提供や医師不足地域での医療
の提供を行わない開業者に対して、都道府県において、都道府県医療審議会
での理由等の説明を求めた上で、やむを得ない理由と認められない場合は勧
告を行い、勧告に従わない場合は公表を行うことができることとすることが
適当である。
○ その上で、要請等の実効性を確保する観点からの意見として、
・ これまでの医師不足対策で十分な成果が得られなかったことを踏まえ、
過多区域で特に厳しい規制をかけるべきであり、都道府県からの要請に応
じず、勧告にも従わない新規開業者に対して、勧告等の基準を明確にした
上で、保険医療機関の指定の可否について、開業時だけではなく、更新時
にも厳しく判断すべき、
・ 要請・勧告後にどうなるか意識しながら外来医師過多区域での開業を判
断いただくことが重要であり、要請・勧告を行った場合の牽制効果という
意味でも、保険医療機関の不指定や取消を規定すべき、
との意見があった。
○ 一方で、保険医療機関の指定をしない、又は保険医療機関の取消を行うこ
とについては、
・ 保険医療機関の不指定や指定取消については、診療所の経営に関わる強
い規制であり、憲法上の職業選択の自由や営業の自由に抵触するおそれが
あるもので、認める余地はない、
・ 健康保険法上の保険医療機関の不指定や指定取消は、医療保険制度を著
しく毀損するような場合に認められるものであり、一方、今回検討してい
る医療法上の不足する医療機能の要請等は、医療保険制度の外にある学校
医、公衆衛生上の貢献を含めたもので、そうした貢献をしないからといっ
て著しく医療保険制度を損なうことにはならず、不指定や指定取消の議論
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に論理的に結びつかない、
・ 診療所の新規参入に対する過度な抑制を行った場合、その地域の新規開
業が減少し、競争原理が働かず、医療の質の低下を招きかねない、
・ 駆け込み開業が発生し、診療所医師の年齢構成にひずみが出るなど、地
域医療をゆがめる可能性があり、慎重に検討するべき、
との意見もあった。
○ これらの意見も踏まえ、今般の制度改正に当たっては、要請等の実効性を
確保するため、下記の見直しを行うことが適当である。その上で、この見直
しも含めて医師偏在対策の効果を施行後5年目途に検証し、十分な効果が生
じていない場合には、更なる医師偏在対策が検討されるべきである。
○ 開業前に要請された診療所が当該要請後に保険医療機関の指定を受けた場
合などは、有限な保険料財源を原資とする保険医療機関として、より効率的
な医療提供を行うよう、その提供内容の見直しを促す観点から、厚生労働大
臣が行う保険医療機関の指定については、その指定期間を6年でなく3年と
することが考えられる。これによって、医療法に基づく都道府県知事の要
請・勧告・公表と、健康保険法に基づく厚生労働大臣の保険医療機関の指定
を連携して運用することが可能となる。
○ 都道府県は、指定期間が3年となった保険医療機関が3年後の更新を行う
前に、地域で不足している医療機能の提供や医師不足地域での医療の提供と
いった地域医療への貢献等を都道府県医療審議会等において確認した上で、
必要に応じて、前述の勧告を行い、厚生労働大臣は勧告を受けた診療所の保
険医療機関の指定期間を3年より短い期間とすることを可能とし、事例によ
って標準的な期間を示しておくことも考えられる。
○ あわせて、これらの開業者に必要な対応を促す観点から、都道府県医療審
議会や外来医療の協議の場への毎年1回の参加を求めるとともに、要請又は
勧告を受けたことの医療機能情報提供制度による報告・公表、都道府県のホ
ームページ等での勧告に従わない医療機関名や理由等の公表、保健所等によ
る確認、診療報酬上の対応、補助金の不交付等を行うことが考えられる。
○ なお、上記の対応の対象とならない外来医師多数区域等や新規開業者以外
の者については、引き続き、ガイドラインによる地域で必要な医療機能の要
請等の取組を推進することが適当である。
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③ 保険医療機関の管理者要件
○ 2040 年頃に向けて、複数疾患や医療・介護の複合ニーズを抱えた高齢者の増
加及びこれによる医療費の増加が見込まれるところ、当該高齢者を支える中
心となる保険医療機関については、適正な保険医療を効率的に提供すること
が求められる。このためには、地域内の他の医療機関や他職種との連携の強
化、自機関内におけるチーム医療の推進をより一層求めていくことが必要で
あり、これを担う適切な管理能力を有する医師を各保険医療機関において確
保することが必要である。
○ 適切な管理能力を有する医師を各保険医療機関において確保することが必
要であることを踏まえ、保険医療機関に運営管理の責任者として管理者を設
け、保険診療に一定期間従事したことを要件とし、従業者の監督や当該機関
の管理及び運営の責務を課すことが考えられる。また、医師少数区域等にお
いては、要件の適用に当たって一定の配慮を行うことが考えられる。
(3)地域偏在対策における経済的インセンティブ
○ 不足する地域における医師の勤務を促進するためには、医師の価値観、勤
務・生活環境、キャリアパス等を踏まえた経済的インセンティブを通じて、
医師が意欲をもって勤務する環境を整備することが重要である。
○ このため、「重点医師偏在対策支援区域(仮称)」における医師確保を推進
するため、都道府県の「医師偏在是正プラン(仮称)」に基づき、経済的イン
センティブを講じることとし、「医師偏在是正プラン(仮称)」全体の策定に
あわせて、令和8年度から経済的インセンティブの本格実施とすることが適
当である。
○ 具体的には、診療所医師が高齢化し、人口規模が小さい二次医療圏等で診
療所数が減少傾向にある中、「重点医師偏在対策支援区域(仮称)」で承継・開
業する診療所の施設整備、設備整備、一定期間の地域への定着に対する支援
を行うことが考えられる。この支援については、緊急的に先行して取り組む
ことが考えられる。
また、急激な人口構造の変化や医師の高齢化により医療提供体制の維持に
課題が生じる地域を下支えする観点から、「重点医師偏在対策支援区域(仮称)」
における一定の医療機関に対して、派遣される医師及び従事する医師への手
当増額の支援を行うことが考えられる。あわせて、当該区域内の一定の医療
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機関に対して、土日の代替医師確保等の医師の勤務・生活環境改善の支援を行
うことが考えられる。
さらに、「重点医師偏在対策支援区域(仮称)」において、中核病院等からの
医師派遣により医師を確保するため、当該区域内の医療機関に医師を派遣す
る派遣元医療機関に対する支援を行うことが考えられる。
○ その際、国において、事業費の総額を設定した上で、その範囲内で、人口、
可住地面積、医師の高齢化率、医師偏在指標等に基づき、都道府県ごとに予
算額の上限を設定し、その範囲内で支援を行うことが適当である。
○ また、地域の医療提供体制の確保は、国と都道府県が連携して取り組んで
きた。一方、国民皆保険制度において「保険あってサービスなし」とならな
いよう、保険者においても、医師少数地域における適正な給付の維持・確保
の一定の役割を果たしてきたと考えられる。このため、「重点医師偏在対策
支援区域(仮称)」における支援のうち、「重点医師偏在対策支援区域(仮称)」
の医師への手当増額の支援については、医師の人件費は本来診療報酬により
賄われるものであるが、特定の地域に対して診療報酬で対応した場合、当該
地域の患者負担の過度の増加をまねくおそれがあることから、診療報酬の対
応でなく、全ての被保険者に広く協力いただくよう保険者からの負担を求め
ることも考えられる。また、医師への手当増額の支援については、診療報酬
を代替するものであることを踏まえ、給付費の中で一体的に捉えることも考
えられる。
〇 なお、①地域に必要な医療提供体制の確保は国・都道府県の責務であり、
公的責任において負担するものであること、②そのための地域医療介護総合
確保基金が消費税財源により措置されていること、③医師の人件費は医療費
の一部であり、保険者は現に診療報酬を通じて必要な負担をしていること等
の理由から、医師偏在対策にかかる費用を保険者の拠出財源に求めることに
は合理性がなく、保険給付と関連性の乏しい使途に保険料を充当することは、
著しく妥当性を欠くとの意見もあった。
○ 診療報酬において、医師偏在への配慮を図る観点から、どのような対応が
考えられるか、さらに必要な検討を行うことが考えられる。
なお、診療報酬による対応を検討する場合でも、補助金や税制との役割分
担を明確にした上で、医療の適正化も念頭に、最低限、財政中立を前提とし
てメリハリを付けるべきであるとの意見があった。
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(4)全国的なマッチング機能の支援等
○ これまで中堅・シニア世代の医師を対象とした対策が十分には行われてい
ない一方、中堅・シニア世代の医師の中には、地域医療への関心を示す者が
一定程度存在することから、これらの人材を医師不足地域における医療ニー
ズに上手くつなげていくことが求められる。また、これまでの都道府県内の
医師確保計画に基づく取組だけではなく、都道府県域を超えた全国的な地域
偏在の是正につなげる取組が求められる。
○ 中堅・シニア世代等の医師を希望に応じて医師不足地域における医療ニー
ズにつなげるため、中堅・シニア世代等の医師を対象として、医師不足地域
での医療に関心・希望を有する医師の掘り起こしを行い、必要に応じてリカ
レント教育や現場体験につなぎ、医師不足地域の医療機関とのマッチング、
その後の定着支援等を行うため、全国的なマッチング機能の支援を行うこと
が適当である。これらの取組は地域において不足する診療科への対応にも一
定程度資するものと考えられる。
(5)リカレント教育の支援
○ 総合的な診療能力を有する医師の養成については、若い世代を中心とした、
専門医制度における総合診療専門医の養成に加えて、中堅以降の医師を主な
対象として、地域で働く上で必要とされる総合的な診療能力について学び直
すためのリカレント教育に係る取組を推進することが適当である。具体的に
は、学会や病院団体等が協力して、総合診療の魅力発信、医療と介護の連携
を含めた地域における実践的な診療の場の提供、知識・スキルの研修を全国
推進事業として一体的に実施するようなリカレント教育事業を支援するとと
もに、継続的に事業の評価を実施することが考えられる。
(6)都道府県と大学病院等との連携パートナーシップ協定
○ 地域における医師確保・医師派遣の取組を進める上で、都道府県と大学病
院等との連携は重要であり、一部の都道府県においては、大学病院等との連
携パートナーシップ協定の締結を通じ、医師確保のための取組を推進してい
る例がみられるが、当該協定の内容は都道府県によって様々であり、医師確
保に向けた実効性の観点から課題がある。
○ こうした状況を踏まえ、都道府県における地域医療対策協議会等による医
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師派遣調整機能等を強化するため、都道府県と大学病院等の間で、医師派
遣・配置、医学部地域枠、寄附講座等に関する連携パートナーシップ協定の
締結を推進することが適当である。あわせて、大学病院からの派遣体制を強
化するためには、医師確保対策における大学病院の位置づけを明確化し、医
師の確保に向けた取組を進めることが重要である。
(7)医師偏在指標のあり方
○ 医師偏在指標については、医師の性別、年齢等を考慮しているが、医師不
足の実態と大きく乖離することがないよう、令和9年度からの次期医師確保
計画に向けて、必要な見直しを検討することが適当である。
(8)医師養成過程を通じた取組
○ 医学部臨時定員、臨床研修の広域連携型プログラムの制度化等の医師養成
過程を通じた取組については、医師確保計画策定ガイドラインに沿った取組
のほか、医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会等における
議論を踏まえ、個々の地域の実情や都道府県の意見を十分に聞きながら、必
要な対応を進めることが適当である。
(9)診療科偏在の是正に向けた取組
○ 診療科偏在は、地域ごとの取組のみでは十分でなく、国全体として取り組
むべき課題である。労働環境の改善や今後の医療需要の見込み等を踏まえ、
新たな地域医療構想等を通じた一定の医療の集約化を図りつつ、女性医師・
男性医師を問わず、必要とされる分野が若手医師から選ばれるための環境作
り等、処遇改善に向けた必要な支援を実施することが適当である。
○ なお、外科医師が比較的長時間の労働に従事している等の業務負担への配
慮・支援等の観点での手厚い評価について、医師養成過程を通じた医師の偏
在対策等に関する検討会等における議論を踏まえつつ、別途、必要な議論を
行うことが適当である。
6.おわりに
○ 今後の医師偏在対策については、4.の基本的な考え方に基づき、5.の
具体的な取組を進めることが重要であり、厚生労働省においては、医師偏在
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是正に向けた総合的な対策のパッケージに反映した上で、制度改正を含め、
必要な対応を行うべきである。また、今後の対策の実施に当たっても、引き
続き、医療関係者、保険者、都道府県、市町村等の意見を真摯に受け止め、
実効性のある取組が行われることを期待する。
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この資料について
出典:厚生労働省ホームページ (https://www.mhlw.go.jp/)
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