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令和7年12月18日 第208回社会保障審議会医療保険部会 資料1
議論の整理(案)
令和7年 12 月○日
社会保障審議会医療保険部会
社会保障審議会医療保険部会においては、「経済財政運営と改革の基本方針
2025」(令和7年6月 13 日閣議決定。以下「骨太の方針」という。)や「経済・
財政新生計画 改革実行プログラム 2024」(令和6年 12 月 26 日経済財政諮問
会議決定)において検討が求められていた項目を中心に、令和7年9月 18 日
以降、ヒアリングも含め、11 回(12 月 18 日現在)の議論を行った。
中長期的にあるべき姿から逆算した必要な政策、理念及び全体像を示して
いくことが国民の理解・納得感を得るためにも重要である。そのため、現時
点における我が国の医療保険制度、人口と医療費の変化、物価等の経済情勢
の変化、医療提供体制の変化について認識を共有した上で、あるべき将来像
とそれを実現するためにとるべき対応という総論的な視点の設定の議論をし
た上で、個別の改革項目についての議論を行った。
はじめに
○ 我が国は、誰もが安心して医療を受けることができる世界に誇るべき国
民皆保険を実現し、世界最高レベルの平均寿命や高い保健医療水準を達成
してきた。
○ 一方、中長期的には、人口減少及び少子高齢化は引き続き進行する。2025
年までに全ての団塊の世代が 75 歳以上となり、その後、支え手の中心とな
る生産年齢人口の減少が加速する中、医療保険制度の持続可能性を確保し、
将来世代に引き継いでいくことは重要なテーマである。その際、特に制度
を支える現役世代の減少が続く中、その負担の上昇を放置することは、医
療保険制度の観点からも適切ではない。
○ また、人生 100 年時代を迎える中、様々な地域や職場において、高齢者
が何歳であっても、様々な形で活躍する姿が見られるようになっている。
こうした現実は、「高齢者」を年齢で一括りにすることがそぐわなくなって
きたことを示している。
- 1 -
○ このような人口構造の変化及び人口減少による医療需要の変化への対応
や人材の確保、現役世代の保険料負担の抑制努力の必要性を踏まえた対応
は、物価や賃金の上昇など、日本経済が新たなステージに移行しつつある
ことを踏まえて行われることが必要である。
○ 制度の見直しにあたっては、負担能力に応じた負担を通じた所得再分配
機能の強化、予防・健康づくりのさらなる後押し、セーフティネット機能
の確保、医療 DX の推進など医療提供の効率化、社会保険の原理・原則を含
め制度をわかりやすく説明していくこと等により、幅広い世代の制度への
納得感と制度の持続可能性を高めていくことが必要である。
〇 これらを踏まえ、医療保険部会においては、以下の4つの視点を踏まえ
ての議論を進めてきた。
1.世代内、世代間の公平をより確保し全世代型社会保障の構築を一層進
める視点
2.高度な医療を取り入れつつセーフティネット機能を確保し命を守る仕
組みを持続可能とする視点
3.現役世代からの予防・健康づくりや出産等の次世代支援を進める視点
4.患者にとって必要な医療を提供しつつ、より効率的な給付とする視点
○ 今般の医療保険制度の改革においては、こうした視点を踏まえ、持続可
能な医療保険制度を構築するため、
・ 「世代内、世代間の公平の確保」の視点から、OTC 類似薬を含む薬剤自
己負担の見直し、医療保険における金融所得の勘案、長期収載品の選定
療養の見直し
・ 「セーフティネット機能の確保」の視点を踏まえた高額療養費の見直
し
・ 「現役世代及び次世代の支援強化」の視点から、標準的な出産費用の
無償化に向けた制度の創設、国民健康保険制度における子育て世代への
支援拡充
・ 「必要な医療の提供と効率的な給付の推進」の視点から、OTC 類似薬を
含む薬剤自己負担の見直し、長期収載品の選定療養の見直し、入院時の
食費・光熱水費の引上げ、医療機関の業務効率化・職場環境改善の推進
等を総合的なパッケージとして改革を進める必要がある。また、「世代内、
世代間の公平の確保」の視点から、高齢者の窓口負担割合の在り方につい
ても議論を行ったところであり、今後、政府・与党において、更に議論が深
められることを期待する。
- 2 -
○ こうした観点から、下記で、当部会での意見について議論を整理する。
1.世代内、世代間の公平の確保
【高齢者医療における負担の在り方】
○ 高齢者は一般的に、若年世代と比較し、所得が低い一方で医療費が高い
傾向にあるとされ、窓口負担割合について、70~74 歳は原則2割(現役並
み所得者は3割)、75 歳以上は原則1割(現役並み所得者は3割、一定以
上所得者は2割)とされている。また、高齢者の医療給付費は、後期高齢
者については現役世代からの支援金と公費で約9割を賄うとともに、65 歳
~74 歳については保険者間で財政調整を行う仕組みを設けており、現役世
代からの拠出金により支えられる構造となっている。
○ このような中、当部会においては、現役世代の保険料負担を抑制しつつ、
世代内、世代間の公平性を確保していく観点から、高齢者医療における負
担の在り方について議論を行った。
○ 議論に当たっては、
・ 高額療養費制度の在り方に関する専門委員会において、「高額療養費制
度だけではなく、他の改革項目も含め、医療保険制度改革全体の中で全体
感を持って議論していくことが必要」とされたこと
・ 「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」(令和5年
12 月 22 日閣議決定)において、「医療・介護の3割負担(「現役並み所
得」)の適切な判断基準設定等」について 2028 年度までに実施について
検討することとされていること
等を踏まえつつ、データにより高齢者の受診の状況や所得の状況等を丁寧
に確認したうえで、高齢者の窓口負担割合の在り方について議論を行った。
○ 高齢者の受診の状況や所得の状況等について、過去との比較や現役世代
との比較等により確認したところ、
・ 高齢者の受診率や受診日数は改善傾向にあり、医療費水準は5歳程度
若返っている。一方、現役世代と比較すると、医療にかかる頻度が高く、
日常的に受診している方も多い
・ 高齢者の就業率・平均所得は上昇傾向、所得や年金収入の分布の推移
を見ても「所得なし」の者や低年金の者の割合は減少傾向にあり、所得
は増加・多様化している。一方、所得が低い層や年金受給額が低い層も
依然一定数存在し、バラつきが大きい
・ 年齢階級別の一人当たり医療費と一人当たり自己負担額をみると、高
- 3 -
齢になるにつれ一人当たり医療費は高くなるが、一人当たり自己負担額
のピークは 60 代後半であり、70 代前半は 60 代後半より、70 代後半は 70
代前半より自己負担額が低くなり、一人当たり医療費と自己負担額の逆
転が生じている
といった状況が確認された。
○ こうした高齢者の状態像を踏まえたうえで、窓口負担割合の在り方につ
いて議論を行ったところ、
・ 高齢者1人当たりの医療費水準は5歳若返っており、健康状態も改善
傾向にある。後期高齢者の所得額や就業率なども踏まえると、高齢者の
年齢区分や負担割合の見直しを含めた構造的な見直しを図る時期に来て
いると考えられる
・ 年齢階級別の1人当たり医療費は年代に応じて増えていく一方で、1
人当たり自己負担額はパラレルになっていない。特に 69 歳から 70 歳で
大きく下がることについては議論の余地が大いにあるのではないか
・ 所得のばらつきの問題があり、住民税非課税世帯など所得の低い層を
精緻に分析する必要。低所得の方の負担を含め、全体としてバランスが
取れた負担を考えていく必要がある
・ 高齢者は収入を増やす可能性が少なく、大病等のリスクもあるため、
年齢という考慮を全く外すことは反対
・ 年齢にかかわらず能力に応じて負担するという視点は理解するが、高
齢者の収入構造の特性や多くの疾患を抱えがちな傾向であるといった身
体的特徴、高額療養費の議論も踏まえて丁寧に議論してほしい
・ 医療保険がリスクへの備えではなく医療サービスへの補助金という形
になってしまっている。現役世代よりも高齢者に対して特段に受診を促
す制度設計は問題
・ 高齢者医療における負担の在り方については、年齢で区切らない制度
への抜本改革とセットで議論することが必要ではないか
などの意見があった。
○ また、とりわけ「現役並み所得(3割負担)」の判断基準については、
・ 賃金や物価が上昇している局面においては、単純に基準額を更新する
と、「現役並み所得」の判断基準の金額があがり、対象となる高齢者が減
少することとなること
・ 収入要件(総収入)の金額については、年金収入と給与収入の両方を
有する高齢者世帯をモデルとして設定し、高い控除額が反映されており、
現役世代との公平性等に係る指摘があること
・ 後期高齢者の現役並み所得者への医療給付費については公費負担がな
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いため、判断基準の見直しに伴い現役世代の負担が増加すること
といった点に留意しつつ議論を行ったところ、
・ 現在の「現役並み所得」の基準は高い水準になっているが、現役世代
は養育費など色々な費用がかかっており、扶養しなければならない子ど
もの数等の違いを考えると、この水準を低く考えてもいいのではないか
・ 現役並み所得の後期高齢者の給付費について、公費の在り方や高齢者
支援金について見直しを検討するべき
などの意見があった。
○ さらに、窓口負担割合の見直しの方法について、①3割負担や2割負担
の対象者の拡大、②負担割合の区切りとなる年齢の引き上げ、③負担割合
のきめ細かい設定といった例示を踏まえて議論を行ったところ、
・ 3割負担の拡大は、まずは現役並み所得の後期高齢者の給付費への公費
の投入が必要
・ 現役並み所得の判断基準については、現役世代と高齢者の生活の違い
に対応できていないという課題がある
・ 高齢者の健康状態の改善や就業率の上昇といった高齢者像の変化を踏
まえると、現行の年齢区分については、5歳引き上げるべき
・ 2割負担の対象を拡大する場合、1割から2割となり負担が倍になる。
高額療養費の外来特例の議論も踏まえ、きめ細かい配慮が必要
・ 高齢者世代内での所得再分配効果を高めていくことが必要。1割から
2割になると負担が倍になるので、例えば 15%といった割合の設定もあ
るのではないか。逆に、70~74 歳についても低所得層は 15%とするなど
の配慮が必要ではないか
・ きめ細かい負担割合の設定については、年齢ではなく負担能力に応じ
た応能負担の観点から必要ではないか
・ 高額療養費の見直しや介護保険における負担割合の見直しなどの議論
も行われており、高齢者にとって急激な負担増とならないよう、激変緩
和措置も含めて検討することが必要
といった意見があった。
○ 高齢者の窓口負担割合の在り方については、「「強い経済」を実現する総
合経済対策~日本と日本人の底力で不安を希望に変える~」(令和7年 11
月 21 日閣議決定。以下「経済対策」という。)において「医療費窓口負担
に関する年齢によらない真に公平な応能負担の実現」について「令和7年
度中に具体的な骨子について合意し、令和8年度中に具体的な制度設計を
行い、順次実施する」項目とされていることから、政党間の議論の状況を
注視しつつ、上述の当部会における議論の内容を踏まえて、引き続き検討
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すべきである。
【医療保険における金融所得の勘案について】
○ 上場株式の配当などの金融所得については、確定申告を行う場合は課税
所得とされ、結果として保険料や窓口負担等の算定においても所得として
勘案されるが、確定申告を行わない場合(源泉徴収で課税が終了する場合)
は課税所得に含まれず、保険料や窓口負担等の算定においても勘案されな
い不公平な取扱いとなっている。
○ 医療保険における負担への金融所得の反映に向けては、骨太の方針にお
いて、「税制における金融所得に係る法定調書の現状も踏まえつつ、マイナ
ンバーの記載や情報提出のオンライン化等の課題、負担の公平性、関係者
の事務負担等に留意しながら、具体的な制度設計を進める。」とされ、経済
対策においても、「医療費の窓口負担について、年齢にかかわらず公平な応
能負担を実現するための第一歩として、高齢者の窓口負担割合等に金融所
得を反映するため、具体的な法制上の措置を令和7年度中に講じる。」とさ
れている。
○ これらを踏まえて、①金融所得の把握方法、②金融所得勘案の対象とな
る医療制度について、事務局から以下の取組の方針案について提示があり、
それについて議論を行った。
<①金融所得の把握方法>
・ 金融所得の把握方法については、本人の確定申告の有無に関わらず、
金融機関等に対し所得税法などの規定により税務署に提出が義務付けら
れている法定調書(個人ごとの配当所得等を記載した資料)を活用する
・ その際、社会保険法令で法定調書の提出義務を課した上で、金融機関
等の事務負担に配慮し、税制上の法定調書の提出とのワンストップ化を
図る
<②金融所得勘案の対象となる医療制度>
・ 対象となる医療制度としては、保険料の賦課や窓口負担等の区分決定
において、市町村の税情報を活用している後期高齢者医療制度と国民健
康保険が挙げられる
・ 後期高齢者医療制度は一律に 75 歳以上の高齢者が対象となるが、一方
で、国民健康保険は賃金をベースに保険料等を賦課する被用者保険との
バランスや地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化のスケジュ
ールに留意する必要がある
- 6 -
・ また、経済対策においても、「医療費の窓口負担について、年齢にかか
わらず公平な応能負担を実現するための第一歩として、高齢者の窓口負
担割合等に金融所得を反映」とされていることから、まずは後期高齢者
医療制度から金融所得を勘案する
○ この方針案に対し、
・ 負担能力に応じた負担や負担の公平性という観点から、負担に金融所
得を勘案することの方向性について賛成
・ 事務負担への影響など実務面において様々な課題があり、様々な省庁
の施策と関係するため、関係省庁と連携し、検討していくべき
・ 短期間での導入には無理があるため、慎重な検討と段階的な対応が必
要。
・ 自治体等におけるシステム改修等が必要となるため、現場の意見を十
分に踏まえたスケジュールを設定するとともに、運営に支障が生じるこ
とのないよう改修等に係る費用について十分な財政支援が必要
・ 後期高齢者医療制度は年齢一律の仕組みであり、まずは後期高齢者を
対象に検討していくことが、合理性もあり現実的ではないか
・ 世代間の公平性ということを考えるならば、現役世代の金融所得につ
いても勘案するべきではないか
・ 被用者保険においては、保険者が金融所得を把握していくことは実態
上極めて難しい
・ 現役世代の負担軽減とあるが、もう一つあるのは高齢者内での世代内
の助け合いであり、所得再分配効果を高めていく視点も必要
・ 証券口座を通じた所得だけではなく、他の所得を含むトータルの所得
や資産を把握するための方策について、関係省庁と連携し、検討してい
くべき
・ 患者負担について考えると、特に医療費が高額になった場合の負担能
力は所得よりもむしろ資産に依存するところが多いため、金融資産の把
握が必要
などの意見があった。
○ これらの意見を踏まえ、関係省庁とも連携し、実務的な検討を行うとと
もに、金融機関や保険者等の関係者との調整を丁寧に行った上で、後期高
齢者医療制度において、法定調書を活用する方法により、保険料や窓口負
担区分等の決定に金融所得を勘案すべきである。
○ また、具体的な保険料や窓口負担への金融所得の反映の方法については、
経済対策においても、「医療費窓口負担に関する年齢によらない真に公平な
- 7 -
応能負担の実現」について「令和7年度中に具体的な骨子について合意し、
令和8年度中に具体的な制度設計を行い、順次実施する」項目とされてい
ること、システム改修等に一定の期間が必要となることから、政党間の議
論等を踏まえつつ、引き続き検討する。
【OTC 類似薬を含む薬剤自己負担の見直し】
(P)
【長期収載品の選定療養の見直しについて】
○ 令和6年度診療報酬改定において、長期収載品(後発医薬品がある先発
医薬品)を選定療養の対象とし、患者の希望により長期収載品を使用する
場合には、長期収載品と後発医薬品の価格差の4分の1相当を患者負担と
した。
○ 施行後、後発医薬品の数量ベースでの使用割合は約4ポイント上昇し、
90%以上になっており、長期収載品の選定療養によって、後発医薬品の使
用促進に一定の効果があったと言える。他方で、特に後発医薬品を中心に
医療用医薬品の供給不足の状況が数年にわたって続いているとともに、後
発医薬品の需要増などに伴う供給停止により、医療現場に負担がかかって
いるとの指摘もある。
○ 長期収載品の選定療養の在り方については、令和6年度診療報酬改定に
係る答申書附帯意見において「選定療養の仕組みを用いた、長期収載品に
おける保険給付の在り方の見直しについては、患者の動向、後発医薬品へ
の置換え状況、医療現場への影響も含め、その実態を把握するとともに、
制度の運用方法等に関して必要な検証を行うこと」とされているほか、令
和6年 12 月 25 日の大臣折衝事項において、「選定療養の仕組みを用いた、
長期収載品における保険給付の在り方の見直しについては、患者の動向、
後発医薬品への置換え状況、医療現場への影響も含め、その実態を把握し
た上で、更なる活用に向けて引き続き検討する」とされている。
○ こうしたことを踏まえ、長期収載品の保険給付の在り方について、施行
後の後発医薬品への置換え状況や医療現場への影響も踏まえつつ、患者負
担の水準についての事務局の例示も含め、議論を行った。
○ 当部会では、患者負担の水準について、
・ 今後さらに後発品の使用を推進するためには、より積極的に選定療養
を活用すべきである。今回、患者負担の水準について、2分の1、4分
- 8 -
の3、1分の1と複数の案が示されているが、患者負担の影響等を踏ま
えつつ、負担額を拡大していくべき
・ 制度導入1年が経過し、国民に制度が徐々に浸透してきていると考え
るので、ゴールであるこの差額の全額を適用するという方向性をもって
制度の見直しをお願いしたい
・ どの程度の負担にするかという絶対的な基準は無いため、医療上の必
要性、あるいは納得感といったところで考えていくしかない
・ 患者負担の引上げに当たっては、まず、後発医薬品の安定供給に向け
た取組に着実に対応した上で検討を進めていただきたい
・ 薬剤の種類によっては、患者に大変多くの自己負担が発生するという
可能性もあると思うので、もう少し精査をし、その分析を踏まえた上
で、十分この見直しの議論を進めていきたい
などの意見があった。
○ これらの意見を踏まえ、後発医薬品の供給状況や患者負担の変化にも配
慮しつつ、創薬イノベーションの推進や後発医薬品の更なる使用促進に向
けて、患者負担の水準を価格差の2分の1以上へと引き上げる方向で、検
討すべきである。
【先行バイオ医薬品の薬剤自己負担の在り方について】
○ 令和6年度診療報酬改定において、長期収載品については上記のように
選定療養の対象とされたが、バイオ後続品のある先行バイオ医薬品につい
ては、選定療養の対象外とされた。
○ 先行バイオ医薬品の薬剤自己負担の在り方については、「新しい資本主義
のグランドデザイン及び実行計画 2025 年改訂版」(令和7年6月 13 日閣
議決定)において、「バイオ後続品について、国民皆保険を堅持しつつ患者
の希望に応じて利用できるよう、2024 年 10 月から施行された長期収載品
の選定療養を参考にしながら保険給付の在り方について検討を行う」とさ
れている。
○ こうしたことを踏まえ、先行バイオ医薬品の薬剤自己負担の在り方につ
いて、バイオ医薬品と低分子医薬品との差異や、先行バイオ医薬品とバイ
オ後続品の差異等も踏まえつつ、議論を行った。
○ 当部会では、
・ バイオシミラーについては、診療報酬上の評価は中医協で議論が進め
られているが、置き換えを促していくとともに、バイオシミラーへの置
- 9 -
き換えが一定程度進んでいる先行バイオ医薬品については選定療養の対
象とするなど、推進を図るべき
・ さらなる使用促進という観点から、バイオシミラーのある先行バイオ
医薬品の選定療養制度の導入も、ぜひ検討を進めていただきたい。ま
た、一般名処方を可能とすることや、診療報酬上の加算要件の見直しな
ど、医療機関がバイオシミラーを使用する環境整備も、ぜひ進めていた
だきたい
・ バイオ後続品は後発医薬品と違って、選定療養の活用という段階では
ない。置き換え状況に差があることも資料から分かるので、急激に置き
換えが進んでいるものもあるなど様々。こうした置き換え状況の差につ
いて、より詳細に分析した上で議論を進めていく必要がある
・ バイオ後続品に関しては、様々な問題がある。バイオ後続品の推進に
関しては、一定の理解はしているが、ドクターや患者からの不安な意見
もある。そのため、その双方がバイオ医薬品そのものに関しての特性を
十分に理解した上で進めるということで、拙速な推進にならないように
する必要がある
・ 長期収載品と同じように一般名処方ができるようになってくると、薬
剤の変更といったところもセットで考えられると思うが、バイオシミラ
ーに関しては、先行品と似て非なるものなので、この辺の制度化をきち
んと促進していかないと、バイオシミラーの利用促進にはつながらない
などの意見があった。
○ こうした意見を踏まえ、まずは、バイオ後続品の使用が進まない要因の
1つである、バイオ後続品に対する有効性・安全性への懸念を払拭するた
め、バイオ後続品の有効性・安全性について医師や薬剤師、患者向けの普
及啓発を行うことで、バイオ後続品の使用が進む環境整備を行うべきであ
る。
○ また、バイオ医薬品に係る一般名処方のルール整備や、医療機関・薬局
におけるバイオ後続品の備蓄等の体制評価について、中央社会保険医療協
議会において議論されているところであるが、令和8年度診療報酬改定に
向けて、引き続き議論がなされることを期待する。
○ その上で、先行バイオ医薬品の薬剤自己負担の在り方については、これ
らの取組や環境整備の進捗状況を注視しつつ、引き続き検討すべきである。
2.セーフティネット機能の確保
- 10 -
【高額療養費制度の見直し】
(P)
3.現役世代及び次世代の支援強化
【医療保険制度における出産に対する支援の強化】
○ 我が国の周産期医療は、比較的小規模な多数の分娩施設が分散的に分娩
を担うという特徴を有している。また、諸外国に比べ妊産婦死亡率・周産
期死亡率がともに低く、安全な提供体制が確保されている。出産費用につ
いては、少子化の進行や物価・賃金の上昇等を背景に、令和5年度に出産
育児一時金の支給額が原則 42 万円から原則 50 万円に引き上げられた後も
上昇し、妊産婦の経済的負担が増加している。また、妊産婦にとって費用
に関する予見可能性が低いことも指摘されている。
○ こうした中、出産に対する支援の強化については、厚生労働省とこども
家庭庁が共同で開催した「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等
に関する検討会」において議論が行われ、本年5月 14 日に議論の整理が公
表された。
○ 当部会では、同検討会の議論を踏まえ、地域の周産期医療提供体制の確
保を前提としつつ、出産に伴う妊産婦の経済的負担を軽減していくための
方策として、医療保険制度における出産に対する給付体系の骨格の在り方
について議論を行った。本テーマについては、妊産婦の当事者及び産科医
療関係者(公益社団法人日本産婦人科医会、公益社団法人日本産科婦人科学
会、公益社団法人日本助産師会)に専門委員として議論に参画いただいた。
<出産に対する給付体系の骨格の在り方>
○ 公的医療保険制度は、出産に伴い一時的に発生する被保険者の経済的負
担を軽減することを目的の1つとしているが、出産費用が上昇し、また、
地域差や施設間での差が顕著になっている中で、現行の出産育児一時金と
いう給付方式では必ずしもその目的が十分に達せられなくなりつつあると
考えられる。
○ このため、現行の出産育児一時金に代えて、保険診療以外の分娩対応に
要する費用について、全国一律の水準で保険者から分娩取扱施設に対して
直接支給することにより、現物給付化を図るべきである。
- 11 -
○ その際、妊婦・胎児の状況や分娩の経過によって臨床現場で必要となる
対応は様々であることを踏まえ、分娩1件当たりの基本単価を国が設定し
た上で、手厚い人員体制を講じている場合やハイリスク妊婦を積極的に受
け入れる体制を整備している場合など、施設の体制・役割等を評価して基
本単価に加算を設けることが適当である。
○ その上で、分娩を取り扱う病院、診療所及び助産所(出張助産を含む。)
における分娩を対象に、疾病・負傷に対する給付類型である療養の給付と
は異なる、出産独自の給付類型を設けた上で、妊婦に負担を求めず、設定
した基本単価(加算を含む。)の 10 割を保険給付とするべきである。これ
により、保険診療以外の分娩対応に要する費用について、妊婦の自己負担
が生じない仕組みとなる。
○ また、既に療養の給付がなされている診療行為(いわゆる保険診療)に
ついては、軽微なものも含め、全体の約8割の分娩で何らかのものが実施
されていることが、令和6年度の協会けんぽ加入者の分娩に関するデータ
から推計された(( ))。分娩の安全を確保する観点から、分娩の経過におい
て必要となる診療行為については、引き続き、従来どおり療養の給付を行
うことができるようにすることが適当である。
) 保険局医療課調べ(令和7年度入院・外来医療等の評価に関する調査研究)
○ 現在、産科医療補償制度の掛け金相当額が保険者から出産育児一時金の
上乗せ額として妊婦に支給されており、引き続き、妊婦の負担のない形を
維持することが適当である。
○ 現行の出産育児一時金は、出産に伴い一時的に発生する経済的負担全体
の軽減を目的としており、保険診療以外の分娩対応の費用が出産育児一時
金の支給額を下回る場合には、差額は妊婦に支給され、保険診療が実施さ
れた場合の一部負担金を含め、様々に発生する出産時の費用負担軽減に充
てられている実態がある。こうした保険給付の目的を引き継ぐ等の観点か
ら、新たな給付体系において、分娩1件当たりの基本単価とは別に、全て
の妊婦を対象とした現金給付を設けることが適当である。
○ なお、出産に関する妊産婦のニーズは多様であり、分娩取扱施設におい
ても、これらのニーズに対応するため、様々なサービス(アメニティ等)
が提供されている。これに関し厚生労働省研究班(( ))が実施した調査によ
れば、例えば「お祝い膳」の有無を妊産婦が選択できる施設は回答施設の
3.3%で、88.1%の施設で「お祝い膳」の料金が入院料等の他の料金に含ま
- 12 -
れており、他のサービスについても同様の傾向にあることが明らかとなっ
た。
) 令和6年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(政策科学総合研究事業(政策科学
推進研究事業))(研究代表者(野口晴子氏)
○ 妊産婦が納得感を持ってサービスを選択できるよう、これらのサービス
の内容と費用の「見える化」を徹底することが必要である。厚生労働省が
運営する「出産なび」は、現在、年間 21 件以上の分娩を取り扱うほぼ全て
の分娩取扱施設の同意に基づき情報が掲載されているが、これを法令上の
義務とした上で、妊産婦の自己決定に一層資するような情報提供ツールと
すべく、「出産なび」をさらに拡充していくべきである。
○ その場合、妊産婦が自身のニーズに基づきサービスを取捨選択し、自己
の負担で支弁することになる。これらのサービスの費用は新たな給付体系
の射程に含まれるものではない以上、分娩取扱施設と妊産婦との間の契約
関係に基づき、双方の合意と納得の下に自由に設定されるべきものである。
○ こうした出産に対する新たな給付体系の骨格について、当部会では、委
員及び専門委員から、
・ 出産育児一時金の増額は、施設が同じタイミングで値上げをするため、
当事者にとっては負担軽減に繋がらない
・ 出産費用は子育ての入り口で妊婦の負担感が強いため、子育てを社会
全体で支援するというメッセージとして、早期の負担軽減策の実施を期
待する
・ 少子化や物価高騰を背景に一次施設は厳しい運営状況に置かれており、
一次施設を守るという観点から制度を検討すべき
・ 一次施設で受け入れていたローリスク妊婦を高次施設で受け入れるこ
とになると、地域の周産期医療提供体制全体に影響が生じるため、医療
アクセスを確保し、拙速な集約化を招かないようにすべき
・ 事務局から提案された新たな給付体系の骨格が一次施設を守るものと
なるかどうかは、給付水準と加算の水準にかかっており、現在の出産育
児一時金より引き上げるべき
・ 医療行為や助産師によるケアについて、適切に対応できるための人員・
設備等の体制は基本単価の給付水準に含めて考えるべき
・ 医療・助産の質を守るためには質・量両面で体制を評価し必要な額が
手当されるべき
・ 現状、自由診療を前提としたコスト構造で各施設が運営されているこ
とに留意が必要
・ 各分娩取扱施設は分娩数が減少する中で、地域で求められる役割や妊
- 13 -
婦のニーズに応じて、様々な経営上の工夫・努力を行っており、新たな
制度でも、こうした各施設の経営上の自由度が確保されるような、硬直
的でない緩やかな評価の仕組みが必要
・ 医療安全に取り組む施設を適切に評価し、医療安全の向上に繋がる制
度設計とすべき
・ 帝王切開としないために産科医療現場で行われている努力を評価し、
安易な医療介入を助長しないような制度設計とすべき
・ 双子の場合は新生児の管理に追加のコストがかかるなど、個別の分娩
について加算する仕組みも検討すべき
・ 給付内容はその後の検証を行うことを前提とした分かりやすいものと
すべき
・ 周産期医療体制の確保は重要な課題であるが、これは国としての体制
整備の問題であり、新たな給付体制とは切り離して考えるべき
・ 保険者の財政運営の安定性や保険料負担者の納得感に配慮すべき
・ 妊婦の出産場所・出産方法の希望によって不利益が生じないような制
度とすべき
・ 分娩時のケアや入院・入所中の育児指導などの助産師による助産ケア
を適切に評価すべき
・ 高齢出産の増加により、医療的措置を必要とする出産が増えているこ
とを考慮すべき
・ 帝王切開をはじめ、保険診療が必要となるかどうかは妊婦がコントロ
ールできず、その自己負担についても何らかの負担軽減が必要
・ 妊婦に一律に支給される現金給付によって、結果的に、保険診療の自
己負担についても負担軽減となることが期待される
・ 母児の救命のために多くの医療資源を投入した場合等の自己負担の取
扱いについては、慎重に議論し、国民に誤解のないよう周知すべき
・ 現金給付については、子ども・子育て支援法に基づく妊婦のための支
援給付など、保険料財源以外で実施されている他施策との棲み分けを整
理すべき
・ 一律の経済的負担の軽減策としてでなく、個別に生じることのある出
産に伴う保険診療の一部負担金の軽減策という観点での整理もあり得る
のではないか
・ 制度改正により現物給付化を図るのであれば、出産育児一時金の給付
の性格は変更されるので、必ずしも引き継ぐ必要はないとも考えられる
・ 現金給付については、保険で給付するものなのか、保険料負担者の納
得感や、自治体から支給されている伴走型支援の給付との整合性から、
慎重に検討すべきであり、保険適用の範囲とは切り離して、公費で手当
すべき
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・ 現在、保険適用の対象となっていない正常分娩と、保険適用の対象と
なっている帝王切開等の異常分娩の取扱いの整合性をどう図るかも重要
な課題となる
・ 給付水準の設定に当たっては、保険診療を伴う分娩と伴わない分娩の
コスト構造の違いを明らかとすべき
・ 無痛分娩をはじめ、WHO が推奨するエビデンスに基づいた産痛緩和ケア
も、自己負担のないようにする方向で検討すべき
・ 無痛分娩に対する妊婦のニーズが高いことは理解しているが、リスク
やデメリットもあるため、まずは安全に無痛分娩を提供できる体制整備
が必要であり、自己負担のない範囲に含めるかどうかについては慎重に
検討すべき
・ 個室料については、全室個室の施設も多い現状も踏まえて検討すべき
・ 費用負担を減らしたい妊産婦はアメニティ等のサービスを選択しない
ことができるようにすべき
・ 分娩取扱施設から保険者や患者へ分娩費用を含む提供内容と費用内訳
が分かる明細書の無料発行を義務付けるべき
・ 自己負担が生じないこととなる範囲について国が妊婦に対して丁寧に
周知することが必要
などの意見があった。
<新たな給付体系による出産に対する支援の強化>
○ 出産に対する新たな給付体系を導入することにより、保険診療以外の分
娩対応に要する費用については現物給付化により妊婦の自己負担が生じな
い仕組みとなり、また、現金給付によって、保険診療が行われた際の一部
負担金など、それ以外に生じる費用についても、一定の負担軽減が図られ
ることとなる。
○ また、サービスと費用の関係の見える化を通じて、妊産婦が自身のニー
ズに応じて出産に関する自己決定を行える環境が整備され、費用に関する
予見可能性の確保と納得感の向上に繋がる。
<給付体系の詳細設計>
○ 新たな給付体系の導入に向けては、当部会で議論した骨格の在り方に加
え、施設の体制・役割等を評価した分娩1件当たり基本単価の加算の具体
的な設計など、さらに詳細を整理することが求められる。その際は、産科
医療現場の実態を十分に踏まえた制度設計となるよう、丁寧に議論を行う
ことが必要である。
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○ 分娩1件当たりの基本単価や加算の給付水準については、我が国の周産
期医療提供体制、特に一次施設を守ることが重要であるとの認識の下、具
体的な給付水準が保険財政と産科医療機関の経営の双方に与える影響のバ
ランスを考慮しつつ、保険料を負担する被保険者の理解を得られるか否か
という観点も含めて検討することが必要である。
○ また、具体的な給付水準は、新たな給付体系の導入後も、物価・賃金の
動向等を踏まえた分娩取扱施設の経営実態等も考慮しつつ定期的に検証を
行うことができるよう、各施設の提供内容と費用に関するデータの収集・
把握・分析が行えるような仕組みを講じることが必要である。
○ なお、出生数が減少する中、妊婦が安心して出産できる環境を整備する
ため地域の周産期医療提供体制を確保することは行政の責任であり、税と
保険の性格の違いを踏まえた総合的な検討が必要である。当部会の所掌を
超えるものではあるが、医療保険制度のみで考えるのではなく、地域医療
構想、こども未来戦略に基づく様々な施策など、政府におかれては、総合
的な視座に立って施策を進めていくことを求めたい。
<新たな給付体系への移行時期>
○ 新たな給付体系への移行時期については、負担軽減に対する妊産婦の期
待が大きく、できる限り早い段階での施行を求めるとの妊産婦当事者等か
らの意見があった一方で、個々の施設が対応できるよう十分な時間的余裕
を確保すべきとの意見があったことも踏まえ、妊婦が希望に応じて施設を
選択できるようにした上で、当分の間、施設単位で現行の出産育児一時金
の仕組みも併存し、可能な施設から新制度に移行していくことが適当である。
○ 新制度の導入に当たっては、妊産婦や産科医療関係者に混乱が生じるこ
とのないよう、国が十分に説明を行うことが求められる。また、既に保険
医療機関としての指定を受けている病院及び診療所と異なり、新たに指定
取得等が必要となる助産所や、給付事務を行う保険者にとって過大な事務
負担となることのないよう、新制度の導入に向けた準備は関係者の意見を
丁寧に聴きながら進める必要がある。
○ なお、法的安定性等の観点から給付体系は統一することが望ましく、移
行対応はあくまでも時限的な経過措置とすべきとの意見があったことを踏
まえるとともに、分娩取扱施設の選択肢が限られている地域があることも
念頭に、なるべく多くの施設が早期に新たな給付体系に移行するような方
策の検討が求められる。
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【国民健康保険制度における子育て世代への支援拡充】
○ 国民健康保険においては、令和4年4月から、未就学児に係る均等割保
険料について、その5割を公費(国 1/2、都道府県 1/4、市町村 1/4)によ
り軽減する措置が講じられている。
○ 当該軽減措置について、地方団体からの拡充の要望も多い中で、子育て
世帯の更なる負担軽減のため、その対象を高校生年代まで拡充することに
ついて、国と地方、その他の関係者の間で調整が行われ、その議論を踏ま
え、国として、法改正を含め対応してはどうかという方向性が当部会に報
告された。
○ 当部会では、この報告に対し、
・ 子どもに係る均等割保険料の軽減措置の対象拡充は、子育て世帯の負
担軽減のため、地方団体からも要望してきたものであり実現すべき。地
方負担分については確実に地方財政措置をしてほしい。また、対象のほ
か、軽減割合についても、現行の5割からの拡充を引き続き検討してほ
しい
などの意見があった。
○ こうした意見を踏まえ、地方分権の趣旨に反しないこと、国が一方的に
議論等を押しつけないことといった点を十分に尊重しつつ、当部会で議論
した方向性に沿って必要な措置を講じるべきである。
4.必要な医療の提供と効率的な給付の推進
【医療機関における業務効率化・職場環境改善の推進】
○ 2040 年に向けて、医療従事者を安定的に確保し、質が高く効率的な医療
提供体制を構築するために、医療機関の業務効率化・職場環境改善による
生産性向上、タスク・シフト/シェアの推進、地域における医療職種の養
成体制の確保や養成課程を含めた環境整備等について、必要な制度的対応
を含め、取り組むことが必要である。
○ 当部会では、社会保障審議会医療部会における議論の報告を受けつつ、
議論を行った。
特に、医療機関の業務の DX 化の推進については、業務効率化に取り組む
医療機関の裾野を広げ、医療界全体の実効ある取組とするため、以下の対
応等を行う必要がある。
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・ 令和7年度補正予算において、生産性向上支援として、200 億円を計
上。さらに、今後、継続的な支援の在り方を検討
・ DX 化の効果等に関するデータの収集(労働時間の変化、医療の質や安
全の確保、経営状況に与える影響等)
・ 医療の質や安全の確保と同時に、持続可能な医療提供体制を維持する
視点から、業務効率化を図る場合における診療報酬上求める基準の柔軟
化の検討
・ 都道府県の医療勤務環境改善支援センターについて、体制拡充・機能
強化を図るとともに、医療法上、業務効率化に関する助言・指導を行う
旨を明確化
・ 業務効率化・勤務環境改善に積極的・計画的に取り組む病院を公的に
認定する仕組みを医療介護総合確保法に位置づけ
・ 医療機関の責務の明確化(医療法上、病院又は診療所の管理者は業務
効率化に取り組むよう努める旨を明確化。健康保険法上の保険医療機関
の責務として、業務効率化・勤務環境改善に取り組むよう努める旨を明
確化。)
【入院時の食費・光熱水費について】
<入院時の食費について>
○ 入院時の食費については、1食当たりの食事療養基準額(総額)と標準
負担額(自己負担額)を国が定め、その差額が入院時生活療養費として保
険給付されている。
○ この標準負担額については、食材料費が高騰していることを踏まえ、令
和6年6月より1食当たり 30 円の引上げ、またその後の更なる食材料費
の高騰等を踏まえ、令和7年4月より 1 食当たり 20 円の引上げが行われ
たが、令和7年4月以降も食材料費等の上昇は続いている状況にある。
○ こうした状況を踏まえ、中央社会保険医療協議会において、入院時の食
事療養基準額(総額)の更なる見直しについて議論されており、当部会に
おいても、標準負担額(自己負担額)の更なる見直しについて議論を行っ
た。
○ 当部会では、
・ 患者さんにとって、食事は非常に重要な意味を持っている。過去2回
の見直しで 50 円上がったが、これでは経営が続かないということになる
と患者にとっても不幸であるから、引上げを考えるべき
・ 低所得者の場合は自己負担が大きくならないようにするということは
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必要だと思うが、低所得者の負担額は、入院せずに自宅で普通に食事す
る場合においても、これでは十分に食事ができないような額ではないか。
通常の食費よりも著しく低く抑えられているように思う
・ 近年の物価高や人件費の上昇などを踏まえると、見直しはやむを得な
い。食費は入院の有無にかかわらず、日常生活においても発生する費用
であることから、低所得者に配慮しつつも、自己負担の適切な反映が求
められる
・ 入院時の食事は療養の一環という基本を踏まえ、保険給付の部分も併
せて検討が必要
などの意見があった。
○ これらの意見を踏まえ、入院時の食費について、食事療養基準額(総額)
の見直しに関する議論の動向も踏まえつつ、標準負担額(自己負担額)に
ついても同様に引上げの方向で見直しを行うとともに、仮に引き上げる場
合には所得区分等に応じて一定の配慮を行うべきである。
<入院時の光熱水費について>
○ 療養病床に入院する 65 歳以上の者の入院時に必要な光熱水費は、1日
当たりの生活療養基準額(総額)と標準負担額(自己負担額)を国が定め、
その差額を入院時生活療養費として保険給付している。
○ 消費者物価指数の光熱・水道費は令和4年に大きく増加し、その後に減
少傾向に転じたものの、足下では再び増加しているところ、入院時生活療
養費の基準額(総額)については、平成 18 年の創設時から据え置かれてい
る。
○ 一方で介護保険制度では、令和6年度介護報酬改定において、家計にお
ける光熱・水道支出を勘案し、多床室の居住費の基準費用額・負担限度額
について、60 円の引上げが行われた。
○ こうした状況や近年の光熱・水道費の上昇を踏まえ、中央社会保険医療
協議会において、入院時生活療養費の生活療養基準額(総額)の更なる見
直しについて議論されており、当部会においても、入院時生活療養費の標
準負担額(自己負担額)の更なる見直しについて議論を行った。
○ 当部会では、入院時生活療養費の見直しについて、
・ 入院時の光熱水費については、介護保険における対応も踏まえると、
当然低所得者の方への配慮は必要だが、基準額の見直しについては異論
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はない
・ 光熱水費に関しても食費と同じように上がってきていることから、こ
れもある程度上げざるを得ない。金額は別にして、そういうことを考え
なくてはいけない
などの意見があった。
○ これらの意見を踏まえ、入院時生活療養費について、生活療養基準額(総
額)の見直しに関する議論の動向も踏まえつつ、標準負担額(自己負担額)
についても同様に引上げの方向で見直しを行うとともに、仮に引き上げる
場合には所得区分等に応じて一定の配慮を行うべきである。
5.国民健康保険制度改革の推進
○ 国民健康保険については、平成 30 年改革以降様々な見直しが行われて
きたが、依然以下のような課題がある。
・ 被保険者の年齢構成が高く、医療費水準が高い。また、被保険者の所
得水準が低い。加えて、国保は小規模保険者が多く、財政運営が不安定
になるリスクが高い
・ 人口減少・少子高齢化に伴い、地方公共団体における人材不足が深刻
化しており、保険者における事務処理を持続可能なものにしていく必要
○ 国民健康保険制度が、国民皆保険を支える仕組みとして、引き続き、持
続可能な制度となるよう、国と地方、その他の関係者の間で調整が行われ、
その議論を踏まえた取組強化の方向性が当部会に報告された。
○ 具体的には、
・ 令和4年4月から、未就学児に係る均等割保険料について、その5割
を公費(国 1/2、都道府県 1/4、市町村 1/4)により軽減する措置が講じ
られているところ、子育て世帯の更なる負担軽減のため、当該軽減措置
の対象を高校生年代まで拡充すること
・ 都道府県国民健康保険運営方針の中間見直しの作業年度に当たる令和
8年度に向けて、保険料水準統一加速化プランの改定について検討し、
納付金ベースの統一や完全統一に係る目標年度の設定や前倒しの検討を
含め、保険料水準の統一に向けた議論を積極的に行うこと
・ 財政安定化基金の本体基金分について、保険料水準の統一や制度改正
により納付金(保険料)が著しく上昇する場合や、災害等が発生した翌
年度以降に従来の保険料で賦課することが難しい場合に、納付金(保険
料)の抑制のための取崩しを認めるとともに、従来の積戻し期間(3年
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間)よりも長い期間での積戻しを可能とすること
・ 市町村の事務負担軽減に向け、都道府県国保連合会の役割を強化する
ため、国保連を活用した自治体支援の在り方の検討を行うこと
・ 国民健康保険では資格喪失の原因たる事実が発生した日の翌日に資格
を喪失することとされているところ、令和7年度地方分権提案において
も支障事例が報告されていることを踏まえ、保険者の異動を原因とする
資格喪失日を1日前倒し、資格喪失の原因たる事実が発生した日を資格
喪失日とすること
について、国として、法改正を含め対応してはどうかというものであった。
○ 当部会では、この報告に対し、
・ 子どもに係る均等割保険料の軽減措置の対象拡充は、子育て世帯の負
担軽減のため、地方団体からも要望してきたものであり実現すべき。地
方負担分については確実に地方財政措置をしてほしい。また、対象のほ
か、軽減割合についても、現行の5割からの拡充を引き続き検討してほ
しい
・ 財政安定化基金の使途の拡充やより長い積戻し期間の設定は、保険料
水準の統一を図るためにも重要
・ 市町村の事務負担軽減については、国保連がしっかりとその役割を果
たせるよう、必要な財源措置や人材確保等も含め、都道府県や市町村だ
けでなく国保連のニーズを把握しながら調整を進めてほしい
・ 市町村の職員も減っている中で、保険料徴収等の市町村事務への重層
的支援や、デジタルの活用、都道府県を含めた広域的な対応が必要
・ 保険料の水準統一も進めている段階であり、財政に関わる見直しを行
う場合には、市町村やその被保険者の類型に応じた、水準統一への影響
も踏まえながら検討することが必要
などの意見があった。
○ これらの意見も踏まえ、今後、国民健康保険制度改革を推進するに当た
って法改正を含めた対応を行う場合は、国と地方を中心とする協議の結果
を尊重すべきであり、地方分権の趣旨に反しないこと、国が一方的に議論
等を押しつけないことといった点を十分に尊重しつつ、結論が得られた事
項に限り実施すべきである。
○ なお、国民健康保険制度をめぐる議論において、
・ 一定の結論を得るべき検討課題とされている「普通調整交付金の在り
方」について、「医療費適正化のインセンティブ強化の仕組みについては、
普通調整交付金の在り方を引き続き検討することと併せ、保険者努力支
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援制度におけるメリハリ付けのさらなる強化を図っていく」との方向性
が示され、「普通調整交付金の所得調整機能は極めて重要であり、今後も
維持すべき」との意見があったほか、
・ 中長期的な検討課題とされている「生活保護受給者の国保等への加入」
について、「生活保護受給者を加入させることは、社会保障制度の根幹を
揺るがすものであり、国保等の制度の破綻を招きかねない」との意見が
あった。
○ また、国民健康保険組合に係る見直しとして、
・ 定率補助の補助率の下限については、これまでどおり 13%を原則とす
るが、負担能力に応じた負担等を進める観点から、財政力及び被保険者
の健康の保持増進等の取組の実施状況が一定の水準に該当する国保組合
のみ、例外的に新たな補助率(12%・10%)を適用すること
・ この補助率が適用されるのは、補助率 13%の区分に該当する国保組合
のうち、①保険料負担率が低い、②積立金が多い(かつ、被保険者数が
3,000 人以上(経過措置))、③医療費適正化等の取組の実施状況が低調、
の全てに該当する場合のみとすること
・ 健康保険適用除外に係る手続について、承認を必要とせず、申出を行
うことにより、健康保険の適用を除外するものとし、国保組合における
事務手続の簡素化及び被保険者の資格情報管理に係る申請から承認まで
のタイムラグの解消を図ること
・ 賃金上昇の影響等も踏まえ、補助率の判定に用いる各国保組合の平均
所得の算出に際して設定されている各被保険者の所得の上限額を、1,200
万円から 2,200 万円に見直すこと
・ 併せて、適用する補助率を区分する国保組合の平均所得の基準につい
て、「150 万円未満」〜「240 万円以上」と設定されているところ、これ
を「180 万円未満」〜「270 万円以上」に見直すこと
・ 国保組合に対する合併支援の拡充等を行うこと
について議論を行った。
○ これに対し、
・ 医師国保に加入している医療機関の経営状況は大変厳しく、今回の提
案は唐突・拙速なものであり、受け入れることはできない。補助率が削
減される3要件は、特定の母集団における相対評価で決まり得るもので
あり、各組合の経営努力に関係ないものとなっている。相対評価は見直
すべき
・ 補助率の見直しは国保組合にとっては、相当の影響があるもの。解散
を考えている組合もあることから、見直しは反対であるものの、見直し
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を行うのであれば、周知期間、経過措置、激変緩和措置等のきめ細やか
な制度設計が必要ではないか
という意見がある一方で、
・ 協会けんぽや健保組合との水平的公平性の観点から、要件①と要件②
を新たな補助率を適用する要件とすることでよいのではないか。また、
要件③についても、医療費適正化等の取組の実施状況が非常に低調であ
れば、あまり補助できないと明確にする観点から、要件にしてもよいの
ではないか
・ 国保組合ごとに所得の格差が大きいことを踏まえれば、国庫補助率の
見直しは避けられないのではないか
などの意見があった。
○ こうした意見を踏まえ、国保組合の実情を十分に勘案し詳細な制度設計
を行うことを前提に、当部会で議論した方向性に沿って所要の見直しを行
うべきである。
おわりに
○ 上記のとおり、現時点における我が国の医療保険制度、人口と医療費の
変化、物価等の経済情勢の変化、医療提供体制の変化に応じた医療保険制
度改革の在り方について、議論の整理を行った。
○ 整理の前提として、物価や賃金の上昇など、日本経済は新たなステージ
に移行しつつあり、その状況の変化に対応した取組が必要であることは論
を俟たない。このような変化を踏まえて、人口構造の変化及び人口減少に
よる医療需要の変化への対応、人材の確保、現役世代の保険料負担の抑制
努力の対応を進めるべきである。
○ 今般の整理は、現役世代が急速に減少し、高齢者数がピークを迎える
2040 年頃を見据えた中長期的な時間軸も視野に入れ、現役世代の負担を軽
減しつつ、年齢に関わりなく、能力に応じて負担し、個性を活かして支え
合う「全世代型社会保障」の構築が不可欠であることから、中長期的にあ
るべき姿から逆算した必要な政策、理念及び全体像を示し、もって国民の
理解・納得感を得るべくまとめたものであり、厚生労働省においては、当
部会における意見を十分に踏まえ、確実に改革を行えるよう、取組を進め
られたい。
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この資料について
出典:厚生労働省ホームページ (https://www.mhlw.go.jp/)
当サイトが保存しているのは、PDFから取り出した文字だけです。 これは言葉で探せるようにするためのもので、 厚生労働省が公表した資料そのものではありません。 図表・画像・レイアウトは失われています。
正確な内容は、必ず厚生労働省のPDFをご確認ください。