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会議資料全体版 第643回総会資料

総会 第643回 / 2026-01-21 開催 / 92ページ

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中央社会保険医療協議会 総会(第 643 回)議事次第 令和8年1月 21 日(水) 10:00~ 議 題 ○令和8年度診療報酬改定に係る検討状況について ○意見発表者による意見発表、中医協委員からの質問 総会名簿 令和8年1月21日現在 代 表 区 分 氏 名 現 役 職 名 1.健康保険、船 鳥 潟 美夏子 全国健康保険協会理事 員保険及び国民 松 本 真 人 健康保険組合連合会理事 健康保険の保険 永 井 幸 子 日本労働組合総連合会総合政策推進局長 者並びに被保険 高 町 晃 司 日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員 者、事業主及び 奥 田 好 秀 日本経済団体連合会社会保障委員会医療・介護改革部会部会長代理 船舶所有者を代 鈴 木 順 三 全日本海員組合組合長代行 表する委員 伊 藤 徳 宇 三重県桑名市長 2.医師、歯科医 江 澤 和 彦 日本医師会常任理事 師及び薬剤師を 茂 松 茂 人 日本医師会副会長 代表する委員 黒 瀨 巌 日本医師会常任理事 小 阪 真 二 全国自治体病院協議会副会長 太 田 圭 洋 日本医療法人協会副会長 大 杉 和 司 日本歯科医師会常務理事 森 昌 平 日本薬剤師会副会長 3.公益を代表す 飯 塚 敏 晃 東京大学大学院経済学研究科教授 る委員 ◎ 小 塩 隆 士 一橋大学経済研究所特任教授 笠 木 映 里 東京大学大学院法学政治学研究科教授 永 瀬 伸 子 大妻女子大学データサイエンス学部教授 本 田 文 子 一橋大学大学院経済学研究科教授 城 山 英 明 東京大学大学院法学政治学研究科教授 4.専 門 委 員 田 島 健 一 佐賀県白石町長 木 澤 晃 代 日本看護協会常任理事 上 田 克 彦 チーム医療推進協議会代表 小 松 知 子 神奈川歯科大学全身管理歯科学講座障害者歯科学 分野教授 ◎印:会長 1 第643回 中央社会保険医療協議会 総会(公聴会) 資 料 令和8年1月21日 厚 生 労 働 省 目 次 令和8年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理 ・・・・・P1 (令和8年1月14日中央社会保険医療協議会) <参考資料> 諮問書(令和8年度診療報酬改定について) ・・・・・・・・・P31 (令和8年1月14日厚生労働大臣) 診療報酬改定について(改定率) ・・・・・・・・・・・・・・P32 令和8年度診療報酬改定の基本方針 ・・・・・・・・・・・・・P37 (令和7年12月9日社会保障審議会医療保険部会・医療部会) 令和8年度診療報酬改定に関する1号側(支払側)委員の意見 ・・・・・P45 (令和7年12月10日中央社会保険医療協議会資料総3-1「令和8年度診療報酬改定に関する1号(支 払側)の意見」) 令和8年度診療報酬改定に関する2号側(診療側)委員の意見 ・・・・・P47 (令和7年12月10日中央社会保険医療協議会資料総3-2「令和8年度診療報酬改定に対する二号(診 療側)委員の意見」) 令和8年度診療報酬改定について(中医協意見書) ・・・・・・・・・P50 (令和7年12月12日中央社会保険医療協議会) 令和8年度診療報酬改定に関する1号側(支払側)委員の意見 ・・・・・P54 (令和7年12月26日中央社会保険医療協議会資料総5-1「令和8年度診療報酬改定等に関する1号 (支払側)の意見」) 令和8年度診療報酬改定に関する2号側(診療側)委員の意見 ・・・・・P69 (令和7年12月26日中央社会保険医療協議会資料総5-2「国民が望み納得できる、安心・安全で良 質な医療を安定的に提供するための令和8年度診療報酬改定に対する二号(診療側)委員の意見」) 令和8年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(案) 【留意事項】 この資料は、令和8年度診療報酬改定に向けて、これまでの議論の整理を 行ったものであり、今後の中央社会保険医療協議会における議論により、必 要な変更が加えられることとなる。 なお、項目立てについては、令和7年12 月9日に社会保障審議会医療保 険部会・医療部会においてとりまとめられた「令和8年度診療報酬改定の基 本方針」を踏まえて行っている。 【 目 次 】 Ⅰ 物価や賃金、人手不足等の医療機関等を取りまく環境の変化への対応 Ⅰ-1 医療機関等が直面する人件費や、医療材料費、食材料費、光熱水費及 び委託費等といった物件費の高騰を踏まえた対応 Ⅰ-2 賃上げや業務効率化・負担軽減等の業務改善による医療従事者の人材 確保に向けた取組 Ⅰ-2-1 医療従事者の処遇改善 Ⅰ-2-2 業務の効率化に資するICT、AI、IoT等の利活用の推進 Ⅰ-2-3 タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の 推進 Ⅰ-2-4 医師の働き方改革の推進/診療科偏在対策 Ⅰ-2-5 診療報酬上求める基準の柔軟化 Ⅱ 2040 年頃を見据えた医療機関の機能の分化・連携と地域における医療の確保、 地域包括ケアシステムの推進 Ⅱ-1 患者の状態及び必要と考えられる医療機能に応じた入院医療の評価 Ⅱ-1-1 患者のニーズ、病院の機能・特性、地域医療構想を踏まえた医 療提供体制の整備 Ⅱ-1-2 人口の少ない地域の実情を踏まえた評価 Ⅱ-2 「治し、支える医療」の実現 Ⅱ-2-1 在宅療養患者や介護保険施設等入所者の後方支援(緊急入院等) を担う医療機関の評価 - 1 - 1 Ⅱ-2-2 円滑な入退院の実現 Ⅱ-2-3 リハビリテーション・栄養管理・口腔管理等の高齢者の生活を 支えるケアの推進 Ⅱ-3 かかりつけ医機能、かかりつけ歯科医機能、かかりつけ薬剤師機能の 評価 Ⅱ-4 外来医療の機能分化と連携 Ⅱ-4-1 大病院と地域のかかりつけ医機能を担う医療機関との連携によ る大病院の外来患者の逆紹介の推進 Ⅱ-5 質の高い在宅医療・訪問看護の確保 Ⅱ-5-1 地域において重症患者の訪問診療や在宅看取り等を積極的に担 う医療機関・薬局の評価 Ⅱ-5-2 重症患者等の様々な背景を有する患者への訪問看護の評価 Ⅱ-6 人口・医療資源の少ない地域への支援 Ⅱ-7 医療従事者確保の制約が増す中で必要な医療機能を確保するための 取組 Ⅱ-7-1 業務の効率化に資するICT、AI、IoT 等の利活用の推進(再掲) Ⅱ-7-2 タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の 推進(再掲) Ⅱ-8 医師の地域偏在対策の推進 Ⅲ 安心・安全で質の高い医療の推進 Ⅲ-1 患者にとって安心・安全に医療を受けられるための体制の評価 Ⅲ-1-1 身体的拘束の最小化の推進 Ⅲ-1-2 医療安全対策の推進 Ⅲ-2 アウトカムにも着目した評価の推進 Ⅲ-2-1 データを活用した診療実績による評価の推進 Ⅲ-3 医療DXやICT 連携を活用する医療機関・薬局の体制の評価 Ⅲ-3-1 電子処方箋システムによる重複投薬等チェックの利活用の推 進 Ⅲ-3-2 外来、在宅医療等、様々な場面におけるオンライン診療の推進 Ⅲ-4 質の高いリハビリテーションの推進 Ⅲ-4-1 発症早期からのリハビリテーション介入の推進 Ⅲ-4-2 土日祝日のリハビリテーション実施体制の充実 Ⅲ-5 重点的な対応が求められる分野への適切な評価 Ⅲ-5-1 救急医療の充実 - 2 - 2 Ⅲ-5-2 小児・周産期医療の充実 Ⅲ-5-3 質の高いがん医療及び緩和ケアの評価 Ⅲ-5-4 質の高い精神医療の評価 Ⅲ-5-5 難病患者等に対する適切な医療の評価 Ⅲ-6 感染症対策や薬剤耐性対策の推進 Ⅲ-7 口腔疾患の重症化予防等の生活の質に配慮した歯科医療の推進、口腔 機能発達不全及び口腔機能低下への対応の充実、歯科治療のデジタル化 の推進 Ⅲ-8 地域の医薬品供給拠点としての薬局に求められる機能に応じた適切 な評価、薬局・薬剤師業務の対人業務の充実化 Ⅲ-9 イノベーションの適切な評価や医薬品の安定供給の確保等 Ⅳ 効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上 Ⅳ-1 後発医薬品・バイオ後続品の使用促進 Ⅳ-2 費用対効果評価制度の活用 Ⅳ-3 市場実勢価格を踏まえた適正な評価 Ⅳ-3-1 医薬品、医療機器、検査等に関する、市場実勢価格を踏まえた 適正な評価/効率的かつ有効・安全な利用体制の確保 Ⅳ-4 電子処方箋の活用や医師・病院薬剤師と薬局薬剤師の協働の取組によ る医薬品の適正使用等の推進 Ⅳ-4-1 重複投薬、ポリファーマシー、残薬、適正使用のための長期処 方の在り方への対応 Ⅳ-4-2 医師及び薬剤師の適切な連携による医薬品の効率的かつ安全 で有効な使用の促進 Ⅳ-4-3 医学的妥当性や経済性の視点も踏まえた処方の推進 Ⅳ-4-4 電子処方箋システムによる重複投薬等チェックの利活用の推 進(再掲) Ⅳ-5 外来医療の機能分化と連携(再掲) Ⅳ-6 医療DXやICT 連携を活用する医療機関・薬局の体制の評価(再掲) - 3 - 3 Ⅰ 物価や賃金、人手不足等の医療機関等を取りまく環境の変化への対応 Ⅰ-1 医療機関等が直面する人件費や、医療材料費、食材料費、光熱水費及 び委託費等といった物件費の高騰を踏まえた対応 (1) これまでの物価高騰による医療機関等の物件費負担の増加を踏まえ、 初・再診料等及び入院基本料等について必要な見直しを行う。また、令和 8年度及び令和9年度における物件費の更なる高騰に対応する観点から、 その担う医療機能も踏まえつつ、物価高騰に対応した新たな評価を行う。 (2) 食材料費や光熱・水道費の上昇等を踏まえ、入院時の食費及び光熱水費 の基準額を引き上げる。 (3) 入院時の食事療養の質の向上を図る観点から、おいしく安全な食形態で 適切な栄養量を有する嚥下調整食について新たな評価を行うとともに、多 様なニーズに対応できるよう、特別料金の支払を受けることができる食事 の要件を見直す。 Ⅰ-2 賃上げや業務効率化・負担軽減等の業務改善による医療従事者の人材 確保に向けた取組 Ⅰ-2-1 医療従事者の処遇改善 (1) 看護職員、病院薬剤師その他医療関係職種の確実な賃上げを更に推進 するとともに、令和6年度診療報酬改定で入院基本料や初・再診料によ り賃上げ原資が配分された職種についても他の職種と同様に賃上げ措置 の実効性が確保される仕組みを構築する観点から、賃上げに係る評価を 見直す。 (2) 看護職員の夜勤負担を組織的に軽減することを促す観点から、看護職 員夜間配置加算等において、夜勤に係る負担の軽減や処遇の改善に資す る計画を立案し、体制の整備が促進されるよう要件を明確化する。 Ⅰ-2-2 業務の効率化に資するICT、AI、IoT等の利活用の推進 (1) 看護業務において、ICT 機器等を活用することで業務の更なる効率化 や負担軽減を推進する観点から、見守り、記録及び医療従事者間の情報 共有に関し、業務効率化に有用なICT 機器等を組織的に活用した場合に、 入院基本料等に規定する看護職員の配置基準を柔軟化する。 (2) ICT 等の活用による医師事務に係る業務効率化・負担軽減等の業務改 善推進の観点から、医師事務作業補助体制加算の人員配置基準を柔軟化 する。 - 4 - 4 (3) 医療機関等における医療DX への対応及び業務の簡素化を図る観点か ら、診療に係る様式の簡素化や署名・記名押印の見直し、施設基準等に 係る届出や報告事項を見直す。 (4) 入院基本料等の施設基準に係る届出を行うに当たって看護要員の必 要数及び配置数を算出するために使用する「様式9」について、医療現 場の実態を踏まえ、また、業務の簡素化の観点から、病棟における勤務 時間に算入できる内容を見直すとともに、小数点以下の処理方法を含む 注意事項の記載を整理する。 Ⅰ-2-3 タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の 推進 (1) 更なる生産年齢人口の減少に伴って医療従事者確保の制約が増す中 でも、患者像に合わせた専門的な治療やケアを提供し、患者のADLの維 持・向上等に係る取組を推進するため、重症度、医療・看護必要度の高 い高齢者等が主に入棟する病棟において、看護職員や他の医療職種が協 働して病棟業務を行う体制について、新たな評価を行う。 Ⅰ-2-4 医師の働き方改革の推進/診療科偏在対策 (1) 外科医師の減少等に対応するため、診療科偏在による医師数の減少が 課題となっている診療科の医師の勤務環境・処遇の改善を図りつつ、高 度な医療を提供する医療機関等への新たな評価を行う。また、特定地域 医療提供機関及び連携型特定地域医療提供機関において、医師の働き方 改革を更に推進しつつ、勤務環境・処遇改善等により、医師の診療科偏 在を解消して医療提供体制を確保する観点から、地域医療体制確保加算 の要件を見直す。 (2) 医師の働き方改革を推進する観点から、処置及び手術に係る休日加算 1、時間外加算1及び深夜加算1の要件を見直す。 Ⅰ-2-5 診療報酬上求める基準の柔軟化 (1) 医療現場を取り巻く人手不足の状況下で、質の高い医療提供体制の維 持とそのための人材確保の取組の両立を図る観点から、公共職業安定所 や無料職業紹介事業者、適正認定事業者を活用する等により、平時から 看護職員確保の取組を行っているにもかかわらず、やむを得ない事情に よって一時的に看護職員確保ができない場合について、看護職員の配置 基準を柔軟化する。 - 5 - 5 (2) 医療現場を取り巻く人手不足の状況を踏まえ、業務効率化の観点から、 医療安全管理加算、感染対策向上加算及び入院栄養管理体制加算におけ る専従に係る基準を見直す。 (3) 一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律に規定されている1日 当たり勤務時間を踏まえ、常勤職員の柔軟な配置を促進する観点から、 常勤職員の常勤要件に係る所定労働時間数を見直す。 (4) 質の高い摂食嚥下機能回復に係る取組を推進する観点から、摂食嚥下 機能回復体制加算の施設基準における、言語聴覚士の専従要件や実績の 計算方法を見直す。また、療養病棟入院基本料における経腸栄養管理加 算について、対象となる患者の要件を見直す。 (5) より柔軟なリハビリテーション提供体制の構築を促進するとともに、 病棟内に限らず専門性を活かした指導等を推進する観点から、疾患別リ ハビリテーションや病棟の業務に専従の理学療法士、作業療法士、言語 聴覚士が従事できる業務の範囲を広げるとともに、明確化する。 Ⅱ 2040 年頃を見据えた医療機関の機能の分化・連携と地域における医療の確保、 地域包括ケアシステムの推進 Ⅱ-1 患者の状態及び必要と考えられる医療機能に応じた入院医療の評価 Ⅱ-1-1 患者のニーズ、病院の機能・特性、地域医療構想を踏まえた医 療提供体制の整備 (1) 地域で病院が果たしている救急搬送の受入や手術等の急性期機能に 着目し、地域ごとの急性期の病院機能を確保する観点から、病院の機能 に着目した施設基準を設け、体制整備も含めた新たな評価を行う。 (2) 救急搬送症例や手術なし症例における重症度、医療・看護必要度の適 切な評価を進める観点から、重症度、医療・看護必要度による評価の方 法を見直す。 (3) 地域における拠点的な医療機関を評価する観点から、総合入院体制加 算及び急性期充実体制加算を見直し、新たな評価を行う。その際、人口 の少ない地域において、救急搬送の受入を最も担う病院について配慮す る。 (4) 特定機能病院について、高度な医療等を提供する拠点としての機能や、 地域医療における役割を積極的に果たす機能を評価する観点から、特定 機能病院入院基本料の区分を見直す。 (5) 特定集中治療室を有する病院が担う医療機能に係る実績に応じた評 価を行う観点から、特定集中治療室管理料について以下の見直しを行う。 - 6 - 6 ① 重症の救急搬送患者や全身麻酔手術後患者に特に密度の高い医学的 管理を行うこと等が特定集中治療室を有する病院が担う役割である ことを踏まえ、特定集中治療室管理料について、救急搬送件数及び全 身麻酔手術件数に関する病院の実績を要件とする。 ② 専任の医師に宿日直を行う医師が含まれる治療室とそれ以外の治療 室における診療の現状等を踏まえ、宿日直を行う医師が含まれる治療 室の範囲及び施設基準を見直す。 ③ 急性冠症候群の治療後や心停止蘇生後の患者に必要な処置等を踏ま え、特定集中治療室用の重症度、医療・看護必要度の項目を見直す。 ④ 特定集中治療室に入室する重症患者について、その臓器機能障害の 程度に応じた適切な評価を行う観点から、入室時に SOFA スコアが一 定以上である患者割合の要件を見直す。 ⑤ 集中治療領域における重症患者対応の強化及び人材育成に関する取 組を推進する観点から、特定機能病院においても重症患者対応体制強 化加算を算定可能とするよう見直す。 ⑥ 遠隔集中治療について、地域によらず特定集中治療室を有する病院 が担うべき医療機能に応じて適切に推進する観点から、特定集中治療 室遠隔支援加算の施設基準を見直す。 ⑦ 広範囲熱傷特定集中治療管理料の有無によって区分が分かれている 特定集中治療室管理料1から6までの評価体系について、簡素化の観 点からその区分を統合し整理する。 (6) ハイケアユニットを有する病院が担う医療機能に係る実績に応じた 評価を行う観点から、ハイケアユニット入院医療管理料について以下の 見直しを行う。 ① 重症の救急搬送患者や全身麻酔手術後患者に密度の高い医学的管理 を行うこと等がハイケアユニットを有する病院が担う役割であるこ とを踏まえ、ハイケアユニット入院医療管理料について、救急搬送件 数及び全身麻酔手術件数に関する病院の実績を要件とする。 ② 急性冠症候群の治療後や心停止蘇生後の患者に必要な処置等を踏ま え、ハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度の項目を見直す。 ③ ハイケアユニット入院医療管理の必要性に応じた適切な評価を行う 観点から、ハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度について、 基準を満たす患者割合の要件を見直す。 (7) 救命救急入院料について、簡素化の観点から、その区分を統合し整理 する。 - 7 - 7 (8) 脳卒中ケアユニットを有する病院が担う医療機能に係る実績に応じ た評価を行う観点から、脳卒中ケアユニット入院医療管理料について要 件を見直す。 (9) 地域包括医療病棟において、高齢者の中等症までの救急疾患等の幅広 い受入を推進する観点から、高齢者の生理学的特徴や頻度の高い疾患を 踏まえ、平均在院日数、ADL 低下割合及び重症度、医療・看護必要度の基 準を見直す。また、医療資源投入量や急性期病棟の併設状況に応じた評 価を導入する。更に、リハビリテーション・栄養管理・口腔管理の一体 的な取組を推進する観点から、加算の体系を見直す。 (10) より質の高い回復期リハビリテーション医療を推進する観点から、 回復期リハビリテーション病棟入院料、回復期リハビリテーション入院 医療管理料及び特定機能病院リハビリテーション病棟入院料の施設基準 及び要件を見直す。 (11) 療養病棟入院基本料を算定する患者の病態や医療資源投入量をより 適切に反映させる観点から、医療区分2又は3に該当する疾患や状態、 処置等の内容を見直す。あわせて、より医療の必要性が高い患者の受入 れを推進する観点から、療養病棟入院料2における医療区分2及び3の 患者の割合を引き上げる。 (12) 患者の状態に応じた適切な管理を更に推進する観点から、障害者施 設等入院基本料等について、重度の肢体不自由児(者)に該当しない廃 用症候群に係る評価を見直す。 (13) 障害者施設等入院基本料における看護職員及び看護補助者の業務分 担・協働及び夜間における看護業務の負担軽減を更に推進する観点から、 看護補助加算及び看護補助体制充実加算の評価を見直す。 (14) 入院料ごとに医療機能を適切に評価し、医療機能に応じた患者の入 棟を円滑にする観点から、入院料に薬剤料が包括されない薬剤及び注射 薬について、範囲を見直す。 (15) DPC/PDPSについて、医療の標準化・効率化を更に推進する観点から、 改定全体の方針を踏まえつつ、診断群分類点数表の改定、医療機関別係 数の設定及び算定ルールの見直し等の所要の措置を講ずる。 (16) 手術の外来移行を促すとともに、実態に即した評価を行う観点から、 短期滞在手術等基本料について、対象手術等を追加するとともに、要件 及び評価を見直す。 (17) 令和6年人事院勧告における国家公務員の地域手当の見直しに伴い、 地域加算の対象地域及び評価を見直す。 - 8 - 8 Ⅱ-1-2 人口の少ない地域の実情を踏まえた評価 (1) 医療資源の少ない地域に配慮した評価を適切に行う観点から、医療資 源の少ない地域の対象となる地域及び経過措置を見直す。 (2) 人口の少ない地域における外来・在宅を含む医療提供機能を確保する 観点から、地域の外来・在宅医療の確保に係る支援を行い、病状の急変 等により緊急で入院が必要となった患者を受け入れる体制を有する医療 機関について、新たな評価を行う。 (3) 歯科医療が十分に提供されていない地域等において歯科診療を適切 に推進するため、地方自治体等と連携して実施する歯科巡回診療車を用 いた巡回診療について、新たな評価を行う。 Ⅱ-2 「治し、支える医療」の実現 Ⅱ-2-1 在宅療養患者や介護保険施設等入所者の後方支援(緊急入院等) を担う医療機関の評価 (1) 介護保険施設や在宅医療機関の後方支援を行うに当たり、実効性のあ る連携関係を保ちつつ業務効率化を図る観点から、協力医療機関に対し て求めている協力対象施設との情報共有・カンファレンスの頻度を見直 す。 (2) 高齢者救急、在宅医療及び介護保険施設の後方支援を更に充実させる 観点から、地域包括医療病棟入院料及び地域包括ケア病棟入院料につい て、これらの体制及び一定の実績を持つ医療機関を更に評価する。 (3) 地域包括ケア病棟における在宅医療や協力対象施設の後方支援の機 能をより高く評価する観点から、初期加算の対象となる患者の範囲及び 評価並びに退院支援に係る診療報酬項目の包括範囲を見直す。 Ⅱ-2-2 円滑な入退院の実現 (1) 入退院支援において、関係機関との連携、生活に配慮した支援及び入 院前からの支援を強化する観点から、入退院支援加算等の評価や要件を 見直す。 (2) 入退院時の支援において、居宅介護支援事業所等の介護支援専門員等 との連携及び地域の入退院支援に係る情報共有等の規定に基づいた入院 前からの支援を強化する観点から、介護支援等連携指導料の要件を見直 す。 - 9 - 9 (3) 高次脳機能障害患者に対して退院後も必要な障害福祉サービス等を 適切に提供する観点から、回復期リハビリテーション病棟入院料に高次 脳機能障害患者の退院支援体制に係る要件を追加する。 (4) 感染症対策等の専門的な知見を有する者が、介護保険施設等からの求 めに応じてその専門性に基づく助言を行うことを促進する観点から、感 染対策向上加算等の要件を見直す。 Ⅱ-2-3 リハビリテーション・栄養管理・口腔管理等の高齢者の生活を 支えるケアの推進 (1) リハビリテーション・栄養管理・口腔管理の一体的な取組を更に推進 する観点から、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算の算定要 件を見直す。また、地域包括医療病棟のリハビリテーション・栄養・口 腔連携加算についても同様の見直しを行う。更に、地域包括ケア病棟に おいてもリハビリテーション・栄養・口腔連携加算を算定可能とする。 (2) 質の高い摂食嚥下機能回復に係る取組を推進する観点から、摂食嚥下 機能回復体制加算の施設基準における、言語聴覚士の専従要件や実績の 計算方法を見直す。また、療養病棟入院基本料における経腸栄養管理加 算について、対象となる患者の要件を見直す。(Ⅰ-2-5-(4)再掲) (3) 入院患者が有する口腔状態の課題への質の高い対応を推進する観点 から、医科点数表により診療報酬を算定する保険医療機関が歯科医療機 関とあらかじめ連携体制を構築し、口腔状態の課題を有する入院患者が 歯科診療を受けられるよう連携を行った場合について、新たな評価を行 う。 (4) 医科歯科連携を推進し入院患者の口腔管理を充実させる観点から、医 科点数表により診療報酬を算定する保険医療機関からの依頼に基づき入 院患者に対して歯科訪問診療を実施した場合について、新たな評価を行 う。 Ⅱ-3 かかりつけ医機能、かかりつけ歯科医機能、かかりつけ薬剤師機能の 評価 (1) かかりつけ医機能に係る体制整備を推進する観点から、機能強化加 算の要件等を見直す。 (2) 生活習慣病に対する質の高い疾病管理を推進する観点から、生活習 慣病管理料(Ⅰ)及び(Ⅱ)を見直す。 - 10 - 10 (3) 特定疾患療養管理料は、プライマリケア機能を担う地域のかかりつ け医師が計画的に療養上の管理を行うことを評価したものであること を踏まえ、当該管理が適切に実施されるようその対象疾患の要件を見直 す。 (4) 地域包括診療加算等について、対象疾患を有する要介護高齢者等へ の継続的かつ全人的な医療を推進する観点や、適切な服薬指導の実施を 推進する観点から、対象患者や要件を見直す。 (5) 休日・夜間等の問い合わせや受診へ対応する体制整備を更に推進す る観点から、時間外対応加算の評価を見直す。 (6) かかりつけ歯科医による歯科疾患・口腔機能の管理等といった生活 の質に配慮した歯科医療を推進するため、歯科疾患管理料、小児口腔機 能管理料並びに口腔機能管理料の要件及び評価を見直すとともに、小児 口腔機能管理料及び口腔機能管理料の対象となる患者の範囲を拡大す る。 (7) ライフコースを通じた継続的・効果的な歯周病治療を推進する観点 から、歯周病安定期治療及び歯周病重症化予防治療について評価体系を 見直す。 (8) かかりつけ薬剤師の本来の趣旨に立ち返り、かかりつけ薬剤師の普 及及び患者によるかかりつけ薬剤師の選択を促進する観点から、かかり つけ薬剤師指導料及び服薬管理指導料について評価体系を見直す。 Ⅱ-4 外来医療の機能分化と連携 Ⅱ-4-1 大病院と地域のかかりつけ医機能を担う医療機関との連携によ る大病院の外来患者の逆紹介の推進 (1) 外来機能の明確化及び医療機関間の連携を推進する観点から、紹介患 者・逆紹介患者の割合が低い特定機能病院等を紹介状なしで受診した患 者等に係る初診料及び外来診療料について、以下の見直しを行う。 ① 紹介患者・逆紹介患者の割合が低い特定機能病院等を紹介状なしで 受診した患者等に係る初診料及び外来診療料について、逆紹介割合の 基準を引き上げる。 ② 紹介患者・逆紹介患者の割合が低い特定機能病院等において、初診 料及び外来診療料が減算となる対象患者について、頻繁に再診を受け ている患者を含むよう見直す。 - 11 - 11 (2) 診療所又は許可病床数が 200 床未満の病院において、特定機能病院 等からの紹介を受けた患者に対する初診を行った場合について、新たな 評価を行う。 (3) 病院の専門医師と地域のかかりつけ医師が連携しながら共同で継続 的に治療管理を行う取組を推進する観点から、連携強化診療情報提供料 の評価体系を見直す。 Ⅱ-5 質の高い在宅医療・訪問看護の確保 (1) 利用者の状態像を適切に把握し、適正な訪問看護の提供を推進する観点 から、訪問看護ステーションに作成を求めている指定訪問看護の実施に係 る記録書の記載内容の明確化等を行う。 (2) 適切な訪問看護提供体制の構築や、指定訪問看護事業者の適正な手続き の確保等を推進する観点から、指定訪問看護に係る安全管理に関する内容 や適正な請求等について、指定訪問看護の運営基準に新たな規定を設ける。 (3) 健康保険事業の健全な運営を確保する観点から、療養担当規則において、 保険医療機関が、特定の訪問看護ステーション等を利用するべき旨の指示 等を行うことの対償として、財産上の利益を収受することを禁止する規定 を新たに設ける。 Ⅱ-5-1 地域において重症患者の訪問診療や在宅看取り等を積極的に担 う医療機関・薬局の評価 (1) 在宅緩和ケア充実診療所・病院加算について、在宅医療において積極 的役割を担う医療機関を更に評価する観点から、名称を変更した上で、 要件及び評価を見直す。 (2) 地域における24 時間の在宅医療提供体制を面として支える取組を更 に推進する観点から、往診時医療情報連携加算の要件を見直す。 (3) 入院中に栄養管理の必要性が高い患者が、安心・安全に在宅療養に移 行し、在宅療養を継続できるよう支援する観点から、退院直後の一定期 間に入院医療機関が行う訪問栄養食事指導について、新たな評価を行う。 (4) 連携型の機能強化型在宅療養支援診療所において、地域の24時間医 療提供体制を支える医療機関を更に評価する観点から、自ら実際に医療 提供体制を確保している時間に応じて評価を見直す。 (5) 在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院について、災害時における 在宅患者への診療体制を確保する観点から、要件を見直す。 - 12 - 12 (6) 患者の医療・介護の状態を踏まえた適切な訪問診療の提供を推進する 観点及び安心・安全な医療提供体制を確保する観点から、在宅時医学総 合管理料及び施設入居時等医学総合管理料並びに在宅療養支援診療所及 び在宅療養支援病院について、要件を見直す。 (7) 患者ごとの適切な医療提供を推進する観点から、在宅療養指導管理材 料加算の算定要件を見直す。 (8) 在宅医療におけるポリファーマシー対策及び残薬対策を推進する観 点から、医師及び薬剤師が同時訪問することについて、新たな評価を行 う。 (9) 患家における残薬の整理や適切な服薬指導の実施を推進する観点か ら、地域包括診療加算等並びに在宅時医学総合管理料及び施設入居時等 医学総合管理料の要件を見直すとともに、指定訪問看護の運営基準にお いて残薬対策に係る取組を明確化する。 (10) へき地における在宅医療の提供体制を確保する観点から、在宅時医 学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料の要件を見直す。 (11) 質の高い在宅歯科医療の提供を推進するため、以下の見直しを行う。 ① 在宅で療養する患者に対する歯科訪問診療の内容を充実させる観点 から、歯科訪問診療1の評価を見直すとともに、患者又はその家族等 の依頼により、診療を予定していなかった患者を急遽診療する必要性 が生じた場合の歯科訪問診療1の運用を明確化する。 ② 同一建物に居住する多数の患者に対する歯科訪問診療を適切に提供 する観点から、歯科訪問診療4及び歯科訪問診療5の施設基準を新た に設ける。 ③ 在宅療養支援歯科病院について、病院歯科等での診療実態を踏まえ、 施設基準を見直し、歯科診療所からの依頼により患者を受け入れた場 合の実績を要件に加える。 ④ 在宅療養支援歯科診療所及び在宅療養支援歯科病院について、今後 の在宅歯科医療体制の確保に資するよう、施設基準を見直し、歯科医 師臨床研修施設における歯科訪問診療の研修・教育体制を要件に加え る。 ⑤ 訪問歯科衛生指導料について、指導を実施した人数に応じた評価を 見直すとともに、特別の関係の施設等に対する評価を適正化する観点 から、歯科訪問診療料を踏まえた運用に見直す。 ⑥ 在宅歯科栄養サポートチーム等連携指導料について、効率的な歯科 医療を提供する観点から、要件を見直す。 - 13 - 13 (12) 今後、在宅で療養する患者の増加が見込まれることを踏まえ、高度 な在宅訪問薬剤管理指導を含め、薬局において必要な在宅医療提供体制 を整備する観点から、在宅薬学総合体制加算について、要件及び評価を 見直す。 (13) 今後在宅で療養する患者の増加が見込まれることを踏まえ、訪問薬 剤管理指導の円滑な実施及びその実効性の改善に向けて、在宅患者訪問 薬剤管理指導料について、要件を見直す。 Ⅱ-5-2 重症患者等の様々な背景を有する患者への訪問看護の評価 (1) 住み慣れた地域で療養しながら生活を継続することができるよう、過 疎地域等における訪問看護について、遠方への移動負担を考慮し、特別 地域訪問看護加算の対象となる訪問の要件を見直す。 (2) 手厚いケアの必要がある、重症な難治性皮膚疾患を持つ利用者に対す る訪問看護の充実を図る観点から、在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料 を算定する利用者について、訪問看護基本療養費等を算定できる回数を 見直す。 (3) 在宅での療養を行っている利用者に対して、訪問看護ステーションの 看護師等が指定訪問看護の実施に関する計画的な管理を行う際に、当該 利用者の医療・ケアに携わる関係職種がICTを用いて記録した診療情報 等を活用した場合について、新たな評価を行う。 (4) 精神科訪問看護の質の向上を推進する観点から、地域の関係者と連携 して支援ニーズの高い利用者に対して精神科訪問看護を提供する等の役 割を担う訪問看護ステーションについて、機能強化型訪問看護ステーシ ョンとして新たな評価を行う。 (5) 乳幼児に対する訪問看護について、状態に応じた質の高い訪問看護が 提供されるよう、乳幼児加算の評価を見直す。 (6) 適切な指定訪問看護に係る管理を推進するとともに、利用者のニーズ や療養環境の多様化に適切に対応するために、訪問看護管理療養費の評 価を見直す。 (7) 訪問看護基本療養費(Ⅱ)等やその加算について、1月当たりの訪問 日数や建物内の訪問看護実施人数等に応じたきめ細かな評価に見直す。 (8) 高齢者住まい等に併設・隣接する訪問看護ステーションは、居住者に 短時間で頻回の訪問看護を効率的に実施できることを踏まえ、訪問看護 療養費に包括で評価する体系を新設する。 - 14 - 14 Ⅱ-6 人口・医療資源の少ない地域への支援 (1) 医療資源の少ない地域に配慮した評価を適切に行う観点から、医療資源 の少ない地域の対象となる地域及び経過措置を見直す。(Ⅱ-1-2-(1) 再掲) (2) 人口の少ない地域における外来・在宅を含む医療提供機能を確保する観 点から、地域の外来・在宅診療の確保に係る支援を行い、病状の急変等に より緊急で入院が必要となった患者を受け入れる体制を有する医療機関に ついて、新たな評価を行う。(Ⅱ-1-2-(2)再掲) (3) へき地における在宅医療の提供体制を確保する観点から、在宅時医学総 合管理料及び施設入居時等医学総合管理料の要件を見直す(。Ⅱ-5-1- (10)再掲) (4) 歯科医療が十分に提供されていない地域等において歯科診療を適切に 推進するため、地方自治体等と連携して実施する歯科巡回診療車を用いた 巡回診療について、新たな評価を行う。(Ⅱ-1-2-(3)再掲) Ⅱ-7 医療従事者確保の制約が増す中で必要な医療機能を確保するための 取組 Ⅱ-7-1 業務の効率化に資するICT、AI、IoT 等の利活用の推進(再掲) (Ⅰ-2-2を参照) Ⅱ-7-2 タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の 推進(再掲) (Ⅰ-2-3を参照) Ⅱ-8 医師の地域偏在対策の推進 (1) 医療資源の少ない地域に配慮した評価を適切に行う観点から、医療資源 の少ない地域の対象となる地域及び経過措置を見直す。(Ⅱ-1-2-(1) 再掲) (2) 人口の少ない地域における外来・在宅を含む医療提供機能を確保する観 点から、地域の外来・在宅診療の確保に係る支援を行い、病状の急変等に より緊急で入院が必要となった患者を受け入れる体制を有する医療機関に ついて、新たな評価を行う。(Ⅱ-1-2-(2)再掲) (3) 改正医療法に基づき都道府県知事が行う、地域で不足している医療機能 等に係る医療提供の要請に応じず、保険医療機関の指定が3年以内とされ た医療機関は、地域医療への寄与が不十分との位置付けであることを踏ま - 15 - 15 え、当該医療機関については機能強化加算、地域包括診療加算及び地域包 括診療料の対象としない等、評価を見直す。 Ⅲ 安心・安全で質の高い医療の推進 Ⅲ-1 患者にとって安心・安全に医療を受けられるための体制の評価 (1) 治療と仕事の両立を推進する観点から、療養・就労両立支援指導料につ いて、対象患者、算定可能な期間及び評価を見直す。 (2) 健康診断、検診及び予防接種等(健診等)の受診後に、健診等に関する 疾病に対して保険診療を実施する場合について、当該保険診療に係る初再 診料等の算定方法を明確化する。 (3) 手術等の医療技術について、以下の見直しを行う。 ① 医療技術評価分科会における検討結果等を踏まえ、医療技術の評価 及び再評価を行い、優先的に保険導入すべきとされた新規技術(先進 医療として実施されている技術を含む。)について新たな評価を行うと ともに、既存技術の評価を見直す。 ② 新規医療材料等として保険適用され、現在準用点数で行われている 医療技術について、新たな評価を行う。 ③ 外科的手術等の医療技術について、適正かつ実態に即した評価を行 うため、外保連試案の評価等を参考に評価を見直す。 ④ 医療技術の体系的な分類について、外科系学会社会保険委員会連合 の手術基幹コードである STEM7の分類に基づく解析により手術時間の 差が明らかになったこと等を踏まえ、整形外科領域のKコードの分類 を見直す。 (4) 内視鏡手術用支援機器を用いた手術について、多数の手術を実施してい る保険医療機関における医療機器の効率的な活用及び高額医療機器の集約 化を図る観点から、ロボット手術について、年間手術実績に応じた新たな 評価を行う。 (5) 安全で質の高い麻酔管理を評価する観点から、全身麻酔の評価について、 麻酔の深度、気道確保デバイスの有無及び麻酔管理体制に応じた評価に見 直す。 (6) 質の高いゲノム医療を推進する観点から、遺伝学的な検査の実施時等に おける遺伝学的な情報に基づく療養指導に係る評価について、療養指導を 実施できる回数等、要件の見直しを行う。 (7) 難病患者に対する診断のための検査を充実させる観点から、指定難病の 診断に必要な遺伝学的検査について、対象疾患を拡大する。 - 16 - 16 (8) フィブリノゲン製剤の適正使用の観点から、同剤の投与に際し必要とな る迅速なフィブリノゲン測定を行う場合について、新たな評価を行う。 (9) 質の高い臨床検査の適正な評価を進めるため、新規臨床検査として保険 適用され、現在準用点数で行われている検査について、新たな評価を行う。 (10) 関係学会における骨粗鬆症の治療管理での骨塩定量検査の位置付けを 踏まえ、算定回数を見直す。 (11) 近視の進行抑制を効能・効果として有する医薬品の処方に係る一連の 検査を適切に評価するため、同医薬品の処方に係る検査について、新たな 評価を行う。 (12) 患者への安心・安全な医療の提供を更に推進する観点から、検体検査 管理加算の要件を見直す。 (13) カルタヘナ法を遵守した薬剤投与や医学管理を推進する観点から、新 たな評価及び特定薬剤治療管理料の対象薬剤の見直しを行う。 (14) 心不全治療による再入院予防を推進する観点から、急性心不全で入院 した患者に対して、早期から多職種による介入を実施し、退院後も必要な 治療を地域で連携して実施した場合について、新たな評価を行う。 (15) 血液透析患者に対するより安心・安全で質の高い診療体制を確保する 観点から、人工腎臓に関して、腎代替療法に関する情報提供、災害対策及 びシャントトラブルに係る医療機関間連携等を実施した場合について、新 たな評価を行う。 (16) 経皮的シャント拡張術・血栓除去術について、シャント閉塞及び高度 なシャント狭窄とその他の場合の治療効果の違いを踏まえ、算定要件を見 直す。 (17) 腹膜透析の管理を行う医療機関が乏しい二次医療圏が多いことを踏ま え、腹膜透析を導入する基幹病院とかかりつけ医師の連携により、そうし た地域の患者にとっての医療アクセスを確保しつつ、質の高い管理を提供 することが可能となるよう、在宅自己腹膜灌流指導管理料の算定要件を見 直す。 Ⅲ-1-1 身体的拘束の最小化の推進 (1) 身体的拘束の最小化に向けた取組を更に推進する観点から、質の高い 取組を行う場合の体制について新たな評価を行うとともに、身体的拘束 を行った日の入院料の評価を見直す。 - 17 - 17 (2) 認知症を有する患者へのアセスメントやケアの充実を図りながら身 体的拘束の最小化の取組を推進する観点から、認知症ケア加算について 評価を見直す。 Ⅲ-1-2 医療安全対策の推進 (1) 患者への安心・安全な医療の提供を更に推進する観点から、医療安全 対策加算の要件及び評価を見直す。 Ⅲ-2 アウトカムにも着目した評価の推進 (1) 回復期リハビリテーション病棟において、より質の高いアウトカム評価 を推進する観点から、リハビリテーション実績指数の算出方法及び除外対 象患者の基準を見直す。 (2) 入院基本料並びに特定入院料における平均在院日数、及び在宅復帰率の 計算対象を明確化する。あわせて、短期滞在手術等基本料3を算定する患 者について、特定入院料における患者割合等の計算から除外する。また、 病棟が1看護単位として機能するに当たり、患者割合等の要件が過度に複 雑となることを避ける観点から、1病棟において届け出ることのできる特 定入院料の種類数を明確化する。 Ⅲ-2-1 データを活用した診療実績による評価の推進 (1) データに基づくアウトカム評価を推進する観点から、データ提出加算 に係る届出を要件とする入院料の範囲を拡大する。 (2) 外来医療について、データに基づく適切な評価を推進する観点から、 データ提出に係る評価を見直す。 (3) 質の高い在宅持続陽圧呼吸療法の提供を推進する観点から、在宅持続 陽圧呼吸療法指導管理料並びに終夜睡眠ポリグラフィーの要件及び評価 を見直す。 Ⅲ-3 医療DXやICT 連携を活用する医療機関・薬局の体制の評価 (1) 医療DX 関連施策の進捗状況を踏まえ、普及した関連サービスの活用を 基本としつつ、更なる関連サービスの活用による質の高い医療の提供を評 価する観点から、診療録管理体制加算、医療情報取得加算及び医療 DX 推 進体制整備加算の評価を見直す。 - 18 - 18 Ⅲ-3-1 電子処方箋システムによる重複投薬等チェックの利活用の推 進 (1) 向精神薬の処方実態を踏まえ、情報通信機器を用いた診療に当たっ て、向精神薬を処方する場合には電子処方箋管理サービス等による重複 投薬等チェックを行うことを要件とする。 (2) 情報通信機器を用いた診療の更なる利便性の向上と、電子処方箋シ ステムを活用した質の高い処方を評価する観点から、情報通信機器を用 いた医学管理において重複投薬等チェックを行い、電子処方箋を発行す る場合について、新たな評価を行う。 Ⅲ-3-2 外来、在宅医療等、様々な場面におけるオンライン診療の推進 (1) 「オンライン診療の適切な実施に関する指針」及び情報通信機器を用 いた診療の実態を踏まえ、情報通信機器を用いた診療の施設基準に、チ ェックリストのウェブサイト等への掲示及び医療広告ガイドラインの遵 守等を追加する。 (2) D to P with Nによるオンライン診療の適正な推進の観点から、診療 時の看護職員の訪問に関する評価、訪問看護療養費等との併算定方法や、 検査及び処置等の算定方法を明確化する。 (3) D to P with Dによるオンライン診療について、期待される役割や調 査結果を踏まえ、遠隔連携診療料の対象疾患を見直すとともに、入院及 び訪問診療における活用について、新たな評価を行う。 (4) 向精神薬の処方実態を踏まえ、情報通信機器を用いた診療に当たって、 向精神薬を処方する場合には電子処方箋管理サービスによる重複投薬等 チェックを行うことを要件とする。(Ⅲ-3-1-(1)再掲) (5) 情報通信機器を用いた診療の更なる利便性の向上と、電子処方箋シス テムを活用した質の高い処方を評価する観点から、情報通信機器を用い た医学管理において重複投薬等チェックを行う際に電子処方箋を発行す る場合について、新たな評価を行う。(Ⅲ-3-1-(2)再掲) (6) 情報通信機器等を用いた外来栄養食事指導を推進する観点から、外来 栄養食事指導料について、情報通信機器又は電話による指導の評価を見 直すとともに、情報通信機器による指導のみでも算定を可能とする要件 の明確化を図る。 (7) 情報通信機器を用いた診療における不随意運動症に対する脳深部刺 激療法の有用性や、「脳深部刺激療法(DBS)における遠隔プログラミン - 19 - 19 グの手引き」を踏まえ、情報通信機器を用いた場合の在宅振戦等刺激装 置治療指導管理料について、新たな評価を行う。 (8) 情報通信機器を用いた療養指導について、対面と組み合わせた実施を 適切に推進することにより、患者のセルフケア支援の充実や負担軽減を 図る観点から、在宅療養指導料の算定対象者のうち、在宅自己注射指導 管理料を算定している患者及び慢性心不全の患者に係る要件を見直す。 (9) プログラム医療機器等指導管理料が併算定できるニコチン依存症管 理料や生活習慣病管理料(Ⅱ)に情報通信機器を用いた場合の規定があ ることを踏まえ、プログラム医療機器等指導管理料に情報通信機器を用 いた場合の規定を設ける。 Ⅲ-4 質の高いリハビリテーションの推進 (1) 退院時リハビリテーション指導料の目的を踏まえた適切な患者への指 導を推進する観点から、対象患者について要件を見直す。 (2) より質の高い生活機能回復に資する取組を促進する観点から、医療機関 外における疾患別リハビリテーション料の上限単位数を見直す。 (3) 適切な疾患別リハビリテーション料の算定を推進する観点から、運動器 リハビリテーション料等に係る算定単位数の上限が緩和される対象患者を 見直す。 (4) より質の高いリハビリテーションを推進する観点から、疾患別リハビリ テーション料について、訓練内容に応じた評価に見直す。 (5) リハビリテーションに係る書類の簡素化の観点から、リハビリテーショ ン総合計画評価料の評価等を見直す。 (6) リンパ浮腫複合的治療料について、より実態に即した評価を行う観点か ら、リンパ浮腫複合的治療料の評価を見直す。 Ⅲ-4-1 発症早期からのリハビリテーション介入の推進 (1) 入院直後における早期リハビリテーション介入の推進及び効果的な リハビリテーションを推進する観点から、より早期に開始するリハビリ テーションを評価する。 Ⅲ-4-2 土日祝日のリハビリテーション実施体制の充実 (1) 休日であっても平日と同様のリハビリテーションを推進する観点か ら、休日におけるリハビリテーションについて、新たな評価を行う。 - 20 - 20 Ⅲ-5 重点的な対応が求められる分野への適切な評価 Ⅲ-5-1 救急医療の充実 (1) 救急医療機関における、夜間休日を含めた応需体制の構築及び地域の 救急医療に関する取組等の現状を踏まえ、院内トリアージ実施料及び夜 間休日救急搬送医学管理料等を見直し、救急外来医療を 24 時間提供す るための人員や設備、検査体制等に応じた新たな評価を行う。 (2) 高次の救急医療機関と他の医療機関との連携を強化し、救急患者の適 切な転院搬送の実施及び受入を更に推進する等の観点から、救急患者連 携搬送料の要件及び評価を見直す。 Ⅲ-5-2 小児・周産期医療の充実 (1) 周産期医療の体制構築に係る評価を適切に推進する観点から、母体・ 胎児集中治療室管理料について、要件を見直す。 (2) 新生児集中治療室を有する病院における低出生体重児の入院数が減 少傾向であることを踏まえ、周産期医療体制を適切に維持する観点から、 新生児特定集中治療室管理料2について、低出生体重児の新規入院患者 数に関する実績の基準を見直す。 (3) 成人移行期の小児について、良質な医療の継続を推進する観点から、 難病外来指導管理料の要件を見直す。 (4) 小児医療に係る高額な検査・薬剤の必要性等の実態を踏まえ、小児入 院医療管理料等、小児科外来診療料について必要な見直しを行う。 (5) 分娩件数の減少に伴い、分娩を取り扱う産科病棟の混合病棟化や他科 患者の増加に配慮した対応が必要となっていることを踏まえ、母子の心 身の安定・安全に配慮した産科における管理や、妊娠・産後を含む継続 ケアを行う体制について、新たな評価を行う。 (6) 療養病棟入院基本料を算定する患者の病態や医療資源投入量をより 適切に反映させる観点から、医療区分2又は3に該当する疾患や状態、 処置等の内容を見直す。(Ⅱ-1-1-(11)再掲) (7) 6歳以上の小児の薬剤調製において体重による投与量調整が発生す ること等を踏まえ、無菌製剤処理加算の評価対象を見直す。 Ⅲ-5-3 質の高いがん医療及び緩和ケアの評価 (1) 悪性腫瘍の患者に対する外来における安心・安全な化学療法の実施を 推進する観点から、外来腫瘍化学療法診療料について、要件を見直すと ともに、皮下注射を実施した場合についても評価を行う。 - 21 - 21 (2) 質の高いがんゲノム医療の効率的な提供を推進する観点から、がんゲ ノムプロファイリング評価提供料及びがんゲノムプロファイリング検査 について、エキスパートパネルを省略可能な症例に係る知見が集積され たことを踏まえ、要件及び評価を見直す。 (3) 地域における強度変調放射線治療(IMRT)の提供体制を確保する観点 から、がん診療連携拠点病院等におけるIMRT について、遠隔の医師と共 同で放射線治療計画を作成できるよう医師配置に係る要件を見直す。 (4) 悪性腫瘍の患者に対する診療方針等に関する患者の意思決定支援や、 患者の心理的不安を軽減するための指導の実施を推進する観点から、が ん患者指導管理料について、算定要件を見直す。 (5) 遺伝性乳癌卵巣癌症候群の患者のうち、乳癌及び卵巣癌を発症してい ない患者に対する両側乳房切除及び卵管・卵巣切除の有効性に関するエ ビデンスを踏まえ、診断に必要な BRCA1/2遺伝子検査及びがん患者指 導管理料の要件を見直す。 (6) 抗がん剤のばく露リスクに関する国内の疫学調査や、閉鎖式接続器具 を用いた場合の抗がん剤による環境汚染の低減に関する報告を踏まえ、 無菌製剤処理料について、抗がん剤投与時に閉鎖式接続器具を使用した 場合について新たな評価を行う。 (7) 末期呼吸器疾患患者及び終末期の腎不全患者等に対する質の高い緩 和ケアを評価する観点から、緩和ケアに係る評価の対象に末期呼吸器疾 患患者及び終末期の腎不全患者を加えた上で、緩和ケア病棟入院料の包 括範囲を見直す。 (8) 療養病棟入院基本料を算定する患者の病態や医療資源投入量をより 適切に反映させる観点から、医療区分2又は3に該当する疾患や状態、 処置等の内容を見直す。(Ⅱ-1-1-(11)再掲) Ⅲ-5-4 質の高い精神医療の評価 (1) 多職種の配置による質の高い精神医療の提供を推進する観点から、急 性期等の入院料における精神保健福祉士、作業療法士又は公認心理師の 病棟配置について新たな評価を行う。 (2) 精神病床に入院する患者数が減少する中で、精神障害にも対応した地 域包括ケアシステムの構築に貢献する医療機関を将来にわたって確保す る必要があること等を踏まえ、小規模医療機関又は病床数を削減する取 組を行っている医療機関が、多職種の配置等による質の高い入院医療、 - 22 - 22 地域定着に係る外来医療や障害福祉サービス等の提供等を一体的に行う ことについて、新たな評価を行う。 (3) 様々な精神疾患に対応できる精神科リエゾンチームの専門性を評価 する観点から、精神科リエゾンチーム加算の要件及び評価を見直す。 (4) 精神病床に入院する患者の高齢化が進む中で、慢性的に身体合併症へ の対応を要する患者への精神科以外の医師による診療の体制を確保し、 適切な対応を推進する観点から、継続的な管理が必要な身体合併症に対 応した場合について、新たな評価を行う。 (5) 維持透析を必要としながら精神病床へ入院する必要のある患者への 対応を推進する観点から、精神病床において算定可能な入院料における 包括範囲を見直す。 (6) 精神科救急医療体制加算について、充実した精神科救急医療体制の構 築を更に推進する観点から、要件及び評価を見直す。 (7) 非自発的入院を促進しないような配慮を行う観点から、精神科救急急 性期医療入院料等について、医療保護入院等の割合に係る要件を、緊急 的な入院医療の必要性等に関する指標に見直す。 (8) 精神疾患と身体疾患を併せ持つ患者の医療提供体制の普及を更に推 進する観点から、精神科救急急性期医療入院料等の要件を見直す。 (9) 長期入院患者に対する地域移行に係る取組を更に推進する必要があ ること等を踏まえ、人員配置基準の低い精神病棟入院基本料について、 長期入院患者に対する評価を見直す。 (10) 精神疾患と身体疾患を併せ持つ患者、急性期の精神疾患患者及び治 療抵抗性統合失調症患者の医療提供体制の普及を更に推進する観点から、 精神科急性期医師配置の要件を見直す。 (11) 質の高い精神医療の提供を推進する観点から、通院・在宅精神療法 について要件及び評価を見直す。 (12) 同一の精神保健福祉士による継続的な伴走支援を推進する観点から、 病棟に専従配置されている精神保健福祉士に係る要件を見直す。 (13) 神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害に対する公認 心理師による心理支援を推進する観点から、心理支援加算の要件及び評 価を見直す。 (14) 精神疾患を有する患者に対する質の高い医療の提供を推進する観点 から、認知療法・認知行動療法の要件及び評価を見直す。 (15) 公認心理師の養成状況を踏まえ、臨床心理技術者に係る経過措置を 見直す。 - 23 - 23 (16) 児童思春期の精神疾患患者の受入体制を更に確保する観点から、児 童思春期支援指導加算の要件及び評価を見直す。 (17) 精神疾患の早期発見及び早期からの重点的な診療を更に推進する観 点から、早期診療体制充実加算の要件及び評価を見直す。 (18) 「情報通信機器を用いた精神療法の適切な実施に関する指針」の策 定を踏まえ、情報通信機器を用いた精神療法の要件を見直す。 Ⅲ-5-5 難病患者等に対する適切な医療の評価 (1) 認定ドナーコーディネーターを保険医療機関に配置することにより、 臓器提供を希望する国民の意思がより尊重され、脳死臓器提供機会の確 保等に繋がることが期待されること、脳死判定基準に係る関係省令の改 正により、法的脳死判定に当たって脳血流消失判定検査等を実施するこ とや、法的脳死判定後にも継続して補助循環装置等を使用しながら脳死 患者の管理を実施することが可能となったこと等を踏まえ、脳死臓器提 供管理料の評価を見直す。 (2) 臓器移植を実施する体制の確保を推進する観点から、臓器採取術及び 臓器移植術について、新たな評価を行う。 (3) 質の高い造血幹細胞移植を推進する観点から、臍帯血移植の評価を見 直す。 (4) 病歴から抗 HLA 抗体陽性が疑われる患者以外の移植待機患者におい ても、抗HLA 抗体陽性患者が一定程度存在することを踏まえ、臓器生着 率の向上に資する観点から、抗HLA 抗体スクリーニング検査の対象患者 を見直す。 Ⅲ-6 感染症対策や薬剤耐性対策の推進 (1) 抗菌薬の適正使用を推進する観点から、薬剤感受性検査の要件を見直す とともに、関係学会による提言も踏まえ、一部の感染症に係る検査の要件 を見直す。 (2) 感染対策向上加算1について、微生物学的検査室が果たす役割を踏まえ、 抗菌薬適正使用を推進する観点から、微生物学的検査室を有する医療機関 について新たな評価を行う。 (3) 入院患者数の減少により、医療機関が結核病棟を維持することが難しく なっている中で、結核患者受入体制の確保の観点から、結核病棟と一般病 棟を併せて1看護単位とするいわゆる「ユニット化病床」やモデル病床等 における重症度、医療・看護必要度等の対象となる患者の範囲等を見直す。 - 24 - 24 (4) 院内感染対策において感染対策が特に必要となる感染症の入院患者に ついて、標準予防策に加えて適切な感染対策を推進する観点から、特定感 染症入院医療管理加算及び特定感染症患者療養環境特別加算の対象疾病の 範囲を見直す。 Ⅲ-7 口腔疾患の重症化予防等の生活の質に配慮した歯科医療の推進、口腔 機能発達不全及び口腔機能低下への対応の充実、歯科治療のデジタル化 の推進 (1) 障害者の歯科治療を推進する観点から、障害者歯科治療を専門に担う歯 科医療機関が歯科医学的管理を行った場合について、新たな評価を行う。 (2) かかりつけ歯科医による歯科疾患・口腔機能の管理等といった生活の質 に配慮した歯科医療を推進するため、歯科疾患管理料、小児口腔機能管理 料及び口腔機能管理料の要件並びに評価を見直すとともに、小児口腔機能 管理料及び口腔機能管理料の対象となる患者の範囲を拡大する。(Ⅱ-3- (6)再掲) (3) 新製有床義歯管理料について、有床義歯の構造や形態によって指導方法 が異なることを踏まえ、装置ごとに管理が実施できるよう、算定単位を見 直すとともに、義歯の指導及び調整について要件を見直す。 (4) ライフコースを通じた継続的・効果的な歯周病治療を推進する観点から、 歯周病安定期治療及び歯周病重症化予防治療について評価体系を見直す。 (Ⅱ-3-(7)再掲) (5) 小児の咬合機能の獲得の観点から、診療実態を踏まえ、小児保隙装置に 対する調整及び修理並びに可撤式保隙装置の製作について、新たな評価を 行う。 (6) 保険診療における歯科矯正を適切に推進する観点から、歯科矯正治療の 対象患者について、連続する3歯以上の先天性欠損歯を有する者を追加す るとともに、歯科矯正相談料に係る説明書の標準様式を示す。 (7) 医科歯科連携を推進する観点から、周術期等口腔機能管理計画策定料等 について評価を見直すとともに、歯周病安定期治療の算定要件を見直す。 (8) 歯科衛生士による実地指導を更に推進する観点から、口腔機能指導加算 について、患者の口腔内の状況に応じて指導を行うとともに、口腔機能低 下症等に対する指導を効果的に行うために、評価体系や要件を見直す。 (9) 歯科医師と歯科技工士の連携を更に推進する観点から、歯科技工士連携 加算の評価の範囲や施設基準を見直すとともに、補綴物が円滑に製作・委 - 25 - 25 託できるよう、歯冠修復及び欠損補綴の評価や取扱いを見直し、明確化す る。 (10) 昨今の歯科用貴金属材料の価格動向やデジタル技術の普及状況等を踏 まえ、患者にとって安心・安全な補綴治療を進めるため、以下の見直しを 行う。 ① CAD/CAM インレー及び CAD/CAM 冠の活用が更に進むよう、大臼歯の 咬合支持等の要件を見直すとともに、当該対象患者を含め、クラウン・ ブリッジ維持管理料の対象範囲を見直す。 ② 局部義歯に附属されるクラスプやバーについて、製作の実態に即し て、原則として歯科用貴金属材料以外の材料を使用する運用に見直す。 ③ 印象精度が良好であることを踏まえ、CAD/CAM 冠製作時の光学印象 について、新たな評価を行う。 (11) 歯科治療のデジタル化を推進する観点から、新規医療機器等として保 険適用され、現在準用点数で行われている3次元プリント有床義歯につい て、新たな評価を行う。 (12) 歯科点数表において、歯科診療の実態を踏まえつつ、以下の項目につ いて整理する。 ① 歯科点数表で解釈が示されていない内容を明確化する。 ② 内容が類似する項目や、複数年にわたり算定実績がない項目を整理 する。 ③ 算定告示と算定要件が一致していない項目を整理する。 ④ 歯科治療に伴い麻酔を行った場合に、麻酔薬剤料が算定できない項 目の一部を整理する。 (13) 歯科固有の技術について、以下の見直しを行う。 ① 歯科医療の推進に資する技術について、医療技術評価分科会等にお ける検討結果を踏まえて、評価や運用を見直す。 ② 歯冠修復及び欠損補綴等の評価について、歯科技工料調査の結果等 を踏まえて、評価や運用を見直す。 ③ その他、個別の評価について臨床現場の実態等を踏まえつつ、評価 や運用を見直す。 Ⅲ-8 地域の医薬品供給拠点としての薬局に求められる機能に応じた適切 な評価、薬局・薬剤師業務の対人業務の充実化 - 26 - 26 (1) 「患者のための薬局ビジョン」の策定から10年が経過した現在の保険 薬局の実態及び損益率の状況を踏まえ、保険薬局が立地に依存する構造か ら脱却し、薬剤師の職能発揮を促進する観点から、調剤基本料を見直す。 (2) 健康保険事業の健全な運営の確保の観点から、特別調剤基本料Aの対象 薬局について、要件を見直す。 (3) 地域での医薬品供給を通じた適切な医療提供体制の構築を促進する観 点から、地域支援体制加算の要件を見直す。 (4) 対人業務である薬学的管理の質を適切に評価する観点から、内服薬の調 剤日数によって4つに区分されている調剤管理料を見直す。 (5) かかりつけ薬剤師の推進並びに服用薬剤の継続的・一元的把握に基づく 薬剤調整及び実効性の高い残薬対策を評価する観点から、重複投薬・相互 作用等防止加算等の見直しを行う。 (6) かかりつけ薬剤師の本来の趣旨に立ち返り、かかりつけ薬剤師の普及及 び患者によるかかりつけ薬剤師の選択を促進する観点から、かかりつけ薬 剤師指導料及び服薬管理指導料について評価体系を見直す。(Ⅱ-3-(8) 再掲) (7) 保険薬局におけるインフルエンザ吸入薬指導について、慢性疾患と同様 の服薬指導や曝露対策を実施している現状を踏まえ、吸入薬管理指導加算 の要件と評価を見直す。 (8) 必ずしも服用薬剤数の削減によらない服用薬剤調整支援の手法が策定 されている状況を踏まえ、服用薬剤調整支援料について、要件及び評価を 見直す。 (9) 調剤報酬の簡素化の観点から、類似する算定項目を統合する。 Ⅲ-9 イノベーションの適切な評価や医薬品の安定供給の確保等 (1) 医薬品・医療機器等のイノベーションの適切な評価や医薬品・特定保険 医療材料の安定供給の確保等の観点から、薬価専門部会・保険医療材料専 門部会の議論を踏まえて取りまとめられた「令和8年度薬価制度改革の骨 子」や「令和8年度保険医療材料制度改革の骨子」に基づき対応する。 Ⅳ 効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上 Ⅳ-1 後発医薬品・バイオ後続品の使用促進 (1) 後発医薬品の使用促進等の観点から、処方等に係る評価体系を見直す。 - 27 - 27 (2) バイオ後続品の使用を促進するための体制が整備されている医療機関 をより適切に評価する観点から、バイオ後続品使用体制加算の要件を見直 す。 (3) 後発医薬品の使用が定着しつつある一方、主に後発医薬品において不安 定な供給が発生することが課題となっており、これにより医療機関及び薬 局において追加的な業務が生じている状況を踏まえ、医薬品の安定供給に 資する体制について、新たな評価を行う。 (4) バイオ後続品の使用を促進する観点から、薬局におけるバイオ後続品の 調剤体制の整備及び患者への説明について、新たな評価を行う。 (5) 長期収載品の選定療養について、後発医薬品の供給状況や患者負担の変 化にも配慮しつつ、創薬イノベーションの推進や後発医薬品の更なる使用 促進に向けて、患者負担の見直しを行う。 Ⅳ-2 費用対効果評価制度の活用 (1) 費用対効果評価専門部会の議論を踏まえて取りまとめられた「令和8年 度費用対効果評価制度改革の骨子」に基づき対応する。 Ⅳ-3 市場実勢価格を踏まえた適正な評価 Ⅳ-3-1 医薬品、医療機器、検査等に関する、市場実勢価格を踏まえた 適正な評価/効率的かつ有効・安全な利用体制の確保 (1) 薬価専門部会の議論を踏まえて取りまとめられた「令和8年度薬価制 度改革の骨子」及び保険医療材料専門部会の議論を踏まえて取りまとめ られた「令和8年度保険医療材料制度改革の骨子」に基づき対応する。 (2) 衛生検査所検査料金調査による実勢価格等を踏まえ、検体検査の実施 料等について、評価を見直す。 Ⅳ-4 電子処方箋の活用や医師・病院薬剤師と薬局薬剤師の協働の取組によ る医薬品の適正使用等の推進 Ⅳ-4-1 重複投薬、ポリファーマシー、残薬、適正使用のための長期処 方の在り方への対応 (1) 処方変更理由や服薬状況等の薬剤情報が適切に共有されないことに より、ポリファーマシー対策が途切れてしまうことを防止する観点(転 院・退院等があっても継続的な薬物治療を行う観点)から、病院薬剤師 による施設間の薬剤情報連携が促進されるよう、薬剤総合評価調整加算 の要件及び評価を見直す。 - 28 - 28 (2) 向神薬の処方実態を踏まえ、情報通信機器を用いた診療に当たって、 向精神薬を処方する場合には電子処方箋管理サービスによる重複投薬等 チェックを行うことを要件とする。(Ⅲ-3-1-(1)再掲) (3) 情報通信機器を用いた診療の更なる利便性の向上と、電子処方箋シス テムを活用した質の高い処方を評価する観点から、情報通信機器を用い た医学管理において重複投薬等チェックを行う際に電子処方箋を発行す る場合について、新たな評価を行う。(Ⅲ-3-1-(2)再掲) (4) 保険薬局において、患家に残薬があることを確認した場合に、保険医 療機関と保険薬局が連携して円滑に処方内容を調整することができるよ う、処方箋様式を見直す。 (5) 長期処方及びリフィル処方箋による処方を適切に推進する観点から、 計画的な医学管理を継続して行うこと等を評価する医学管理料の要件を 見直すとともに、処方箋様式を見直す。 Ⅳ-4-2 医師及び薬剤師の適切な連携による医薬品の効率的かつ安全 で有効な使用の促進 (1) 処方変更理由や服薬状況等の薬剤情報が適切に共有されないことに より、ポリファーマシー対策が途切れてしまうことを防止する観点(転 院・退院等があっても継続的な薬物治療を行う観点)から、病院薬剤師 による施設間の薬剤情報連携が促進されるよう、薬剤総合評価調整加算 の要件及び評価を見直す。(Ⅳ-4-1-(1)再掲) (2) ポリファーマシー対策や施設間の薬剤情報連携、転院・退院時の服薬 指導等に資する薬学的介入の実績を適切に評価する観点から、病棟薬剤 業務実施加算について、薬剤総合評価調整や退院時薬剤情報管理指導の 実績に応じた評価に見直す。 (3) 在宅医療におけるポリファーマシー対策及び残薬対策を推進する観 点から、医師と薬剤師が同時訪問することについて、新たな評価を行う。 (Ⅱ-5-1-(8)再掲) Ⅳ-4-3 医学的妥当性や経済性の視点も踏まえた処方の推進 (1) 保険給付の適正化の観点から、栄養保持を目的とした医薬品の保険給 付の要件を見直す。 Ⅳ-4-4 電子処方箋システムによる重複投薬等チェックの利活用の推 進(再掲) (Ⅲ-3-1を参照) - 29 - 29 Ⅳ-5 外来医療の機能分化と連携(再掲) (Ⅱ-4を参照) Ⅳ-6 医療DXやICT 連携を活用する医療機関・薬局の体制の評価(再掲) (Ⅲ-3を参照) ※ この他、「令和8年度診療報酬改定の基本方針」においては、OTC類似薬を 含む薬剤自己負担の在り方の見直しも含まれているが、中央社会保険医療協 議会において議論が行われていないため、「令和8年度診療報酬改定に係る これまでの議論の整理」には含めていない。社会保障審議会医療保険部会に おける議論や、令和8年度予算案に係る「大臣折衝事項」(令和7年12月24 日)も踏まえ、今後、必要に応じて、中央社会保険医療協議会においても議 論する。 - 30 - 30 厚生労働省発保0114 第1号 令 和 8 年 1 月 1 4 日 中央社会保険医療協議会 会 長 小塩 隆士 殿 厚生労働大臣 上 野 賢 一 郎 諮 問 書 (令和8年度診療報酬改定について) 健康保険法(大正 11 年法律第 70 号)第 82 条第1項、第 85 条第3項、 第 85 条の2第3項、第 86 条第3項、第 88 条第5項及び第 92 条第3項、 船員保険法(昭和 14 年法律第 73 号)第 59 条において準用する健康保険 法第 82 条第1項(船員保険法第 54 条第2項及び第 58 条第2項に規定す る定めに係る部分に限る。)及び船員保険法第 65 条第 12 項において準用 する健康保険法第 92 条第3項(船員保険法第 65 条第 10 項に規定する定 めに係る部分に限る。)、国民健康保険法(昭和 33 年法律第 192 号)第 46 条において準用する健康保険法第82条第1項及び国民健康保険法第54条 の2第 12 項において準用する健康保険法第 92 条第3項並びに高齢者の 医療の確保に関する法律(昭和 57 年法律第 80 号)第 71 条第1項、第 74 条第8項、第 75 条第5項、第 76 条第4項、第 78 条第5項及び第 79 条第 3項の規定に基づき、令和8年度診療報酬改定について、貴会の意見を求 めます。 なお、答申に当たっては、別紙1「診療報酬改定について」(令和7年 12 月 24 日)及び別紙2「令和8年度診療報酬改定の基本方針」(令和7年 12 月9日社会保障審議会医療保険部会・社会保障審議会医療部会)に基づ き行っていただくよう求めます。 31 別紙1 診療報酬改定について 12 月 24 日の予算大臣折衝を踏まえて、令和8年度の診療報酬改定 は、以下のとおりとなった。 令和8年度診療報酬改定は、当初予算段階から所要の歳出歳入を 可能な限り織り込む運営への質的転換を図る観点に立ち、令和7年 度補正予算における「医療・介護等支援パッケージ」による措置に引 き続き、「経済財政運営と改革の基本方針 2025」(令和7年6月 13 日 閣議決定)及び「「強い経済」を実現する総合経済対策」(令和7年 11 月 21 日閣議決定)に基づき、施設類型ごとの費用構造や経営実態を 踏まえて経営の改善や従事者の処遇改善につながる的確な対応を行 う。あわせて、現役世代の保険料負担の抑制のため、後発医薬品への 置換えの進展を踏まえた対応、適切な在宅医療の推進のための対応、 調剤報酬の適正化、長期処方・リフィル処方の取組強化などを行う。 具体的には、以下のとおりとし、その際、令和6年度診療報酬改定 以降の経営環境の悪化を踏まえた緊急的な対応その他の特例的な措 置を図ることとする。 1.診療報酬 +3.09%( 令和8年度及び令和9年度の2年度平均。令和8年度 +2.41%(国費 2,348 億円程度(令和8年度予算額。以下同じ。))、 令和9年度 +3.77%) (注)令和8年6月施行 ※1 うち、賃上げ分 +1.70%(令和8年度及び令和9年度の2 年度平均。令和8年度 +1.23%、令和9年度 +2.18%)。 医療現場での生産性向上の取組と併せ、令和8年度及び令 和9年度において、それぞれ+3.2%分のベースアップ実現を 支援するための措置(看護補助者及び事務職員についてはそ れぞれ 5.7%)を講じ、施設類型ごとの職員の規模や構成に応 じた配分となるよう措置する。 賃上げ分+1.70%のうち+0.28%については、医療機関等 の賃上げ余力が足元で乏しくなっている中で、今回の改定か 1 32 ら、令和6年度診療報酬改定においてベースアップ評価料の 対象とされた職種に加えて、入院基本料等で措置することと された職種の賃上げについても、後述する賃上げの実効性確 保の取組と併せて賃上げ分として措置することとすることも 踏まえ、医療機関等における賃上げ余力の回復・確保を図りつ つ幅広い医療関係職種での賃上げを確実にすべく、賃上げ対 応拡充時の特例的な対応として措置することとし、今後の関 係調査等において実績等を検証し、所要の対応を図る。 ※2 うち、物価対応分 +0.76%(令和8年度及び令和9年度の 2年度平均。令和8年度 +0.55%、令和9年度 +0.97%)。 特に、令和8年度以降の物価上昇への対応としては、+ 0.62%(令和8年度 +0.41%、令和9年度 +0.82%)を充 て、診療報酬に特別な項目を設定することにより対応するこ ととし、それぞれの施設類型ごとの費用関係データに基づき、 以下の配分とする。さらに、病院の中でも、その担う医療機能 に応じた配分を行う。 病院 +0.49% 医科診療所 +0.10% 歯科診療所 +0.02% 保険薬局 +0.01% また、我が国経済が新たな「成長型経済」に移行する段階を 迎え、賃金と物価がともに緩やかに上昇していくメカニズム が維持されるとの認識の下、今回の改定から本格的な物価対 応を講じることとする中で、特に、高度機能医療を担う病院 (大学病院を含む。)については、医療技術の高度化等の進展 の影響を先行的に受けやすい一方で、汎用性が低く、価格競争 原理の働きにくい医療機器等を調達する必要性から物価高の 影響を受けやすいこと等を踏まえ、+0.14%を物価対応本格 導入時の特例的な対応として措置することとする。今後の関 係調査において実績等を検証し、所要の対応を図る。 ※3 うち、食費・光熱水費分 +0.09%。 入院時の食費基準額の引上げ(40 円/食)(患者負担につい ては、原則 40 円/食、低所得者については所得区分等に応じ て 20 円~30 円/食)及び光熱水費基準額の引上げ(60 円/日) (患者負担については、原則 60 円/日、指定難病患者等につ いては据え置き)の措置を講じることとする。 2 33 ※4 うち、令和6年度診療報酬改定以降の経営環境の悪化を踏ま えた緊急対応分 +0.44%。 配分に当たっては、令和7年度補正予算の効果を減じるこ とのないよう、施設類型ごとのメリハリを維持することとす る。 病院 +0.40% 医科診療所 +0.02% 歯科診療所 +0.01% 保険薬局 +0.01% ※5 うち、後発医薬品への置換えの進展を踏まえた処方や調剤に 係る評価の適正化、実態を踏まえた在宅医療・訪問看護関係の 評価の適正化、長期処方・リフィル処方の取組強化等による効 率化 ▲0.15% ※6 うち、※1~5を除く改定分 +0.25% 各科改定率 医科 +0.28% 歯科 +0.31% 調剤 +0.08% 2.薬価等 薬価 ▲0.86%(国費▲1,052 億円程度) 材料価格 ▲0.01%(国費▲11 億円程度) 合計 ▲0.87%(国費▲1,063 億円程度) (注)令和8年4月施行(ただし、材料価格は令和8年6月施行) 3.診療報酬制度関連事項 ① 令和9年度における更なる調整及び令和 10 年度以降の経済・ 物価動向等への対応の検討 実際の経済・物価の動向が令和8年度診療報酬改定時の見通しか ら大きく変動し、医療機関等の経営状況に支障が生じた場合には、 上記2.(1)※1~※3(特例的な対応を除く。)について、令和 9年度予算編成において加減算を含め更なる必要な調整を行う。そ のために必要な足元の情報を正確に把握するため、令和8年度の医 療機関の経営状況等について調査を実施する。なお、令和 10 年度 以降の診療報酬改定における実際の経済・物価の動向や経営状況等 を踏まえた対応(上記2.(1)※1~※3(特例的な対応を除く。)) のあり方についても、あわせて検討を深めることとする。 3 34 ② 賃上げの実効性確保のための対応 今回の賃上げ措置は、幅広い医療関係職種において物価上昇を超 える賃上げを実現するためのものであり、さらに、看護補助者と事 務職員に対しては、他産業との人材獲得競争に直面していることも 踏まえた上乗せ措置を講じるものである。こうした政策目的が確実 に果たされるよう、令和6年度改定で入院基本料や初・再診料によ り賃上げ原資が配分された職種(40 歳未満の勤務医師・勤務歯科 医師・薬局の勤務薬剤師、事務職員、歯科技工所等で従事する者) についても、令和6年度改定でベースアップ評価料の対象とされた 職種(看護職員、リハビリテーションを担う職員、病院薬剤師その 他の医療関係職種(上記の入院基本料等で措置される職種を除く。)) と同様に、実際に支給される給与(賞与を含む。)に係る賃上げ措 置の実効性が確保される仕組みを構築する。これにより、賃上げ実 績の迅速かつ詳細な把握を行うこととする。 ③ 医師偏在対策のための対応 改正医療法に基づき、外来医師過多区域において無床診療所の新 規開業者が都道府県知事からの要請に従わない場合には、診療報酬 上の減算措置を講じることで、医師偏在対策の実効性を高めること とする。加えて、医師多数区域での診療報酬上での更なるディスイ ンセンティブ措置の在り方や、重点医師偏在対策支援区域における 医師手当事業に関する診療報酬での財源確保の在り方については、 令和 10 年度診療報酬改定において結論を得ることとする。 ④ 更なる経営情報の見える化のための対応 今回の診療報酬改定から、医療法人の経営情報のデータベース (MCDB)等の活用が可能となっており、データ分析をより精緻 化させ、保険料や税を負担する国民が納得できるよう、さらにエビ デンスに基づく改定が実施されていく必要がある。例えば、診療所 の費用項目には「その他の医業費用」の占める割合が高いが、その 実態は把握できず、また、職種別の給与・人数については法人によ るデータ提出が任意となっている。 令和 10 年度以降の診療報酬改定に向けては、「その他の医業費 用」の内容も含め、医療機関の経営実態がより詳細に把握可能とな るようなMCDB及び医療経済実態調査の報告様式の精緻化に向 4 35 けた検討を行う。 MCDBにおける職種別の給与・人数の報告の義務化を含め、報 告のあり方や内容について検討し、令和8年中に必要な見直しにつ いて結論を得る。 さらに、医療法人以外の設置主体による経営情報との連携、デー タの分析・公表の在り方等について、必要な対応を検討する。 4.薬価制度関連事項 ① 令和8年度薬価制度改革及び令和9年度の薬価改定の実施 令和8年度薬価制度改革において、イノベーションの推進につい て、製薬企業の予見可能性を高める観点から、市場拡大再算定の類 似品の薬価引下げ(いわゆる共連れ)を廃止し、薬価改定以外の機 会も含め、自品の販売額による市場拡大再算定の対象とすることと するほか、要件の明確化を行う。また、医薬品の安定供給の確保の 観点から、最低薬価について物価動向を踏まえた対応等を行う。 さらに、上記2.(3)①を踏まえ、令和9年度の薬価改定を着 実に実施する。その際の対象品目の範囲や適用される各種ルールの 在り方については、創薬イノベーションの推進、医薬品の安定供給 の確保、現役世代の保険料負担を含む国民負担の軽減といった要請 についてバランス良く対応するとの基本的な考え方を踏まえて検 討する。 ② 費用対効果評価制度の更なる活用 医療保険制度の運営の中で費用対効果評価を推進する観点から、 費用対効果評価制度の更なる活用のため、令和8年中に、同制度の 客観的な検証も踏まえ、既存の比較対照技術と比べて追加的な有用 性がなく、単に費用増加となる医薬品に係る価格調整範囲の拡大を 図る。引き続き、同制度における適切な評価手法の確立や実施体制 の強化を進める中で、対象品目や価格調整の範囲の拡大、診療ガイ ドラインへの反映を含めた医療現場での普及など、同制度の発展に 向けた更なる見直しについて具体的な検討を進め、令和9年度の薬 価改定の中で一定の結論を出す。 5 36 別紙2 令和8年度診療報酬改定の基本方針 令 和 7 年 1 2 月 9 日 社会保障審議会医療保険部会 社会保障審議会医療部会 1.改定に当たっての基本認識 (日本経済が新たなステージに移行しつつある中での物価・賃金の上昇、人口 構造の変化や人口減少の中での人材確保、現役世代の負担の抑制努力の必要性) ○ 現下、日本経済は持続的な物価高騰・賃金上昇の中にあり、30 年続いたコ ストカット型経済から脱却し、新たなステージに移行しつつある。一方で、医 療分野は公定価格によるサービス提供が大宗を占めているため、この経済社 会情勢の変化に機動的な対応を行うことが難しく、サービス提供や人材確保 に大きな影響を受けていることから、医療機関等の経営の安定や現場で働く 幅広い職種の賃上げに確実につながる的確な対応が必要な状況である。 ○ 高齢化による増加分に相当する伸びに経済・物価動向等を踏まえた対応に 相当する増加分を加算することとした「経済財政運営と改革の基本方針2025」 を踏まえ、令和8年度診療報酬改定において、物価高騰・賃金上昇、人口の減 少、支え手が減少する中での人材確保の必要性等、医療機関等が厳しい状況に 直面していることや、現役世代の保険料負担の抑制努力の必要性を踏まえつ つ、地域の医療提供体制を維持し、患者が必要なサービスが受けられるよう、 措置を講じる必要がある。 (2040 年頃を見据えた、全ての地域・世代の患者が適切に医療を受けることが 可能かつ、医療従事者も持続可能な働き方を確保できる医療提供体制の構築) ○ 2040 年頃に向けては、全国的に生産年齢人口は減少するものの、医療・介 護の複合ニーズを有する 85 歳以上人口が増加していくこと、また 65 歳以上 の高齢者人口については、増加する地域・減少する地域と地域差が生じていく ことが見込まれる。こうした人口構造や地域ごとの状況の変化に対応するた め、限りある医療資源を最適化・効率化しながら、「治す医療」と「治し、支 1 37 える医療」を担う医療機関の役割分担を明確化し、地域完結型の医療提供体制 を構築する必要がある。 ○ また併せて、医療従事者も持続可能な働き方を確保できるよう、働き方改革 による労働環境の改善、医療 DXやタスクシフト・シェア等の医療従事者の業 務負担軽減の更なる推進が必要である。 (医療の高度化や医療 DX、イノベーションの推進等による、安心・安全で質の 高い医療の実現) ○ 安心・安全で質の高い医療の実現のため、医療技術の進歩や高度化を国民に 還元するとともに、ドラッグ/デバイス・ラグ/ロスへの対応が求められてい る。また、デジタル化された医療情報の積極的な利活用を促進することや、医 療現場において AI・ICT等を活用し、更なる医療 DXを進めていくことが、個 人の健康増進に寄与するとともに、より効率的・効果的かつ安心・安全で質の 高い医療を実現していくために重要である。 ○ 医療分野のイノベーションの推進により創薬力・開発力を維持・強化すると ともに、革新的医薬品を含めた必要な医薬品・医療機器等を国民に安定的に供 給し続けるための生産供給体制の構築等の取組を通じて、医療と経済の発展 を両立させ、安心・安全な暮らしを実現することが重要である。 (社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和) ○ 制度の安定性・持続可能性を確保しつつ国民皆保険を堅持し、次世代に継承 するためには、経済・財政との調和を図りつつ、現役世代の保険料負担の抑制 努力の必要性を踏まえながら、限られた人材の中でより効率的・効果的な医療 政策を実現するとともに、国民の制度に対する納得感を高めることが不可欠 である。 ○ そのためには、「経済財政運営と改革の基本方針2025」や「新しい資本主義 のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版」等を踏まえつつ、更なる適 正化、医療資源の効率的・重点的な配分、医療分野におけるイノベーションの 評価等を通じた経済成長への貢献を図ることが必要である。 2 38 2.改定の基本的視点と具体的方向性 (1)物価や賃金、人手不足等の医療機関等を取りまく環境の変化への対応【重 点課題】 (基本的視点) ○ 医療機関等は、現下の持続的な物価高騰により、事業収益の増加以上に、人 件費、医療材料費、食材料費、光熱水費及び委託費等といった物件費の事業費 用が増加しており、事業収益が悪化している状況にある。また、2年連続5% を上回る賃上げ率であった春闘等により、全産業において賃上げ率が高水準 となっている中、医療分野では、事業収益の悪化を背景に、全産業の賃上げ水 準から乖離し、人材確保も難しい状況にあり、厳しい状況に直面している。 ○ 医療機関等が資金繰り悪化等により、必要な医療サービスが継続できない 事態は避けなければならないことから、物価高騰による諸経費の増加を踏ま えた対応や、必要な処遇改善等を通じた、医療現場を支える医療従事者の賃上 げ・人材確保のための取組を的確に進めることが急務である。 ○ 加えて、医師の働き方改革を進め、全ての医療従事者が健康に働き続けるこ とのできる環境を整備することは、患者・国民に対して提供される医療の質・ 安全を確保すると同時に、持続可能な医療提供体制を維持していく上で重要 である。また今後は、ICT 、AI、IoT等の利活用の推進や、診療報酬上求める 基準の柔軟化等により、医療従事者の業務効率化・負担軽減等を行っていく必 要がある。 (具体的方向性) ○ 医療機関等が直面する人件費や、医療材料費、食材料費、光熱水費及び委託 費等といった物件費の高騰を踏まえた対応 ○ 賃上げや業務効率化・負担軽減等の業務改善による医療従事者の人材確保 に向けた取組 ・ 医療従事者の処遇改善 ・ 業務の効率化に資する ICT 、AI、IoT等の利活用の推進 ・ タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の推進 3 39 ・ 医師の働き方改革の推進/診療科偏在対策 ・ 診療報酬上求める基準の柔軟化 等 (2)2040 年頃を見据えた医療機関の機能の分化・連携と地域における医療の 確保、地域包括ケアシステムの推進 (基本的視点) ○ 2040 年頃を見据えては、中長期的な人口構造や地域の医療ニーズの質・量 の変化を見据えた上で医療提供体制を構築していく必要があるところ、それ に向けて、地域医療構想に基づき、医療機関の機能に着目した分化・連携・集 約化を図るとともに、入院医療だけでなく、外来医療・在宅医療、介護との連 携も含め、地域の課題解決を図ることが重要である。 ○ 併せて、こうした医療提供体制の構築に当たっては、更なる生産年齢人口の 減少に伴って医療従事者確保の制約が増す中で、ICT、AI、IoT 等の利活用の 推進等により医療従事者の業務効率化・負担軽減等を行うこと、タスク・シェ アリング/タスク・シフティング、チーム医療の推進等により多職種が連携し て医療現場を支えること、また都市部と比較して人口減少がより顕著な地方 部の人口・医療資源の少ない地域を支援すること等により、どの地域でも必要 な医療機能を確保することが必要である。 (具体的方向性) ○ 患者の状態及び必要と考えられる医療機能に応じた入院医療の評価 ・ 患者のニーズ、病院の機能・特性、地域医療構想を踏まえた医療提供体 制の整備 ・ 人口の少ない地域の実情を踏まえた評価 ○ 「治し、支える医療」の実現 ・ 在宅療養患者や介護保険施設等入所者の後方支援機能(緊急入院等)を 担う医療機関の評価 ・ 円滑な入退院の実現 4 40 ・ リハビリテーション・栄養管理・口腔管理等の高齢者の生活を支えるケ アの推進 ○ かかりつけ医機能、かかりつけ歯科医機能、かかりつけ薬剤師機能の評価 ○ 外来医療の機能分化と連携 ・ 大病院と地域のかかりつけ医機能を担う医療機関との連携による大病院 の外来患者の逆紹介の推進 ○ 質の高い在宅医療・訪問看護の確保 ・ 地域において重症患者の訪問診療や在宅看取り等を積極的に担う医療機 関・薬局の評価 ・ 重症患者等の様々な背景を有する患者への訪問看護の評価 ○ 人口・医療資源の少ない地域への支援 ○ 医療従事者確保の制約が増す中で必要な医療機能を確保するための取組 ・ 業務の効率化に資する ICT、AI、IoT等の利活用の推進(再掲) ・ タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の推進(再 掲) ○ 医師の地域偏在対策の推進 等 (3)安心・安全で質の高い医療の推進 (基本的視点) ○ 患者の安心・安全を確保しつつ、医療技術の進展や疾病構造の変化等を踏ま え、第三者による評価やアウトカム評価等の客観的な評価を進めながら、イノ ベーションを推進し、新たなニーズにも対応できる医療の実現に資する取組 の評価を進める。 (具体的方向性) ○ 患者にとって安心・安全に医療を受けられるための体制の評価 ・ 身体的拘束の最小化の推進 ・ 医療安全対策の推進 5 41 ○ アウトカムにも着目した評価の推進 ・ データを活用した診療実績による評価の推進 ○ 医療 DXやICT連携を活用する医療機関・薬局の体制の評価 ・ 電子処方箋システムによる重複投薬等チェックの利活用の推進 ・ 外来、在宅医療等、様々な場面におけるオンライン診療の推進 ○ 質の高いリハビリテーションの推進 ・ 発症早期からのリハビリテーション介入の推進 ・ 土日祝日のリハビリテーション実施体制の充実 ○ 重点的な対応が求められる分野への適切な評価 ・ 救急医療の充実 ・ 小児・周産期医療の充実 ・ 質の高いがん医療及び緩和ケアの評価 ・ 質の高い精神医療の評価 ・ 難病患者等に対する適切な医療の評価 ○ 感染症対策や薬剤耐性対策の推進 ○ 口腔疾患の重症化予防等の生活の質に配慮した歯科医療の推進、口腔機能 発達不全及び口腔機能低下への対応の充実、歯科治療のデジタル化の推進 ○ 地域の医薬品供給拠点としての薬局に求められる機能に応じた適切な評価、 薬局・薬剤師業務の対人業務の充実化 ○ イノベーションの適切な評価や医薬品の安定供給の確保等 等 (4)効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上 (基本的視点) ○ 高齢化や技術進歩、高額な医薬品の開発等により医療費が増大していくこ とが見込まれる中、国民皆保険を維持するため、医療資源を効率的・重点的に 配分するという観点も含め、制度の安定性・持続可能性を高める不断の取組が 必要である。 ○ 医療関係者が協働して、医療サービスの維持・向上を図るとともに、効率化・ 6 42 適正化を図ることが求められる (具体的方向性の例) ○ 後発医薬品・バイオ後続品の使用促進 ○ OTC 類似薬を含む薬剤自己負担の在り方の見直し ○ 費用対効果評価制度の活用 ○ 市場実勢価格を踏まえた適正な評価 ・ 医薬品、医療機器、検査等に関する、市場実勢価格を踏まえた適正な評価 /効率的かつ有効・安全な利用体制の確保 ○ 電子処方箋の活用や医師・病院薬剤師と薬局薬剤師の協働の取組による医 薬品の適正使用等の推進 ・ 重複投薬、ポリファーマシー、残薬、適正使用のための長期処方の在り方 への対応 ・ 医師及び薬剤師の適切な連携による医薬品の効率的かつ安全で有効な使 用の促進 ・ 医学的妥当性や経済性の視点も踏まえた処方の推進 ・ 電子処方箋システムによる重複投薬等チェックの利活用の推進(再掲) ○ 外来医療の機能分化と連携(再掲) ○ 医療 DXやICT連携を活用する医療機関・薬局の体制の評価(再掲) 等 3.今後の課題 ○ 我が国の医療制度が直面する様々な課題に対応し、持続可能な「全世代型社 会保障」を実現するためには、診療報酬制度のみならず、医療法、医療保険各 法等の制度的枠組みや、国や地方自治体の補助金等の予算措置等により社会 保障が支えられていることを踏まえ、総合的に政策を講じることが求められ る。 ○ 現下のような持続的な物価高騰・賃金上昇局面において、諸経費や設備投資 の増加及び処遇改善に対応するための支援を、保険料負担の抑制努力の必要 性にも配意しつつ、報酬措置においても適時適切に行えるよう検討する必要 7 43 がある。 ○ 患者自身が納得して医療を受けられるよう、患者にとって身近で分かりや すい医療提供体制を実現していくとともに、国民の医療保険制度に対する納 得感を高めるため、政府において、診療報酬制度を分かりやすくするための取 組を継続していくこと、また、国民に対して社会保障制度の意義等に関する丁 寧な説明を行い、理解を得ていくことや、国民が議論の場へ参加する機会が重 要である。 ○ 予防・健康づくりやセルフケアの推進、ヘルスリテラシーの向上等が図られ るよう、住民、医療提供者、保険者、民間企業、行政等の全ての関係者が協力・ 連携して国民一人一人を支援するとともに、国はこうした取組に向けた環境 整備に引き続き取り組むことが必要である。 ○ 医療DXへの投資は医療機関等のコストの増加だけではなく業務負担の軽減 や医療の質の向上につながるものであることから、必要な国の対応を検討し ながら、その推進により、国民の健康の増進、地域医療連携の円滑化、将来に わたる安心・安全で質の高い医療サービスを実現することが必要である。 8 44 令和7年12月10日 中央社会保険医療協議会 会長 小塩 隆士 殿 中央社会保険医療協議会 1号(支払側)委員 鳥潟 美夏子 松本 真人 永井 幸子 高町 晃司 奥田 好秀 鈴木 順三 伊藤 徳宇 令和8年度診療報酬改定に関する1号(支払側)の意見 (基本認識) これまで長期にわたり物価・賃金が停滞する中で、高齢化に相当する医療費の増加に 加え、医療の高度化等により医療費が高騰し続け、被保険者と事業主の保険料負担は 既に限界に達している。今こそ成長と分配の好循環による保険料負担の抑制と医療保 険制度の安定化が不可欠である。 一方で、第 25 回医療経済実態調査の結果、令和6 年度における一般病院の平均損益 率は、前年度から0.2ポイント改善したものの、7%程度の赤字であり、病院の経営 を安定化させることや、医療機関に勤務する方々の賃金を引き上げる必要性は理解で きる。ただし、医療法人の一般診療所と歯科診療所、法人の薬局はいずれも平均損益 率が 5%程度の黒字で、病院と診療所・薬局の経営状況には格差がある。さらに、病 院の中でも相対的に急性期の病院で赤字が大きく、回復期と慢性期の病院で赤字が小 さい等の機能別格差や、同じ機能の中でも施設間格差があることを強く認識すべきで ある。 45 また、新たな地域医療構想、かかりつけ医機能報告制度、医師偏在是正の総合的な対 策パッケージ、医療DXの推進や医療のICT化等の動きは、更なる少子高齢化に伴う 医療ニーズの変化と地域差の拡大を念頭に、限りある医療資源を有効活用し、患者に とって安全・安心で効果的・効率的な医療を目指すものであり、スピード感を持って 取り組む必要がある。 (診療報酬改定・薬価改定の方向性) 基本診療料の単純な一律の引上げは、病床利用率や受療率の低下による影響を含めて 医療機関の減収を医療費単価の増加によって補填する発想であり、患者負担と保険料 負担の上昇に直結するだけでなく、医療機関・ 薬局の経営格差や真の地域貢献度が反 映されず、非効率な医療を温存することになるため、妥当ではない。 地域において医療ニーズに沿うかたちに医療機能の分化・強化・連携を推進し、医療 提供体制を最適化することや、医療機関の経営マネジメントを強化し、それぞれの医 療機関・薬局において医療DXやICTを活用しながら各医療職が活躍できるよう、組 織運営を効率化する視点が必要である。 薬価制度・材料価格制度の改革においては、医療保険財政の持続可能性、創薬イノベ ーションの推進、医薬品の安定供給という3つの視点が重要である。 【要望事項】 現役世代を中心とした保険料負担の抑制と物価上昇局面での保険給付の両立を図り、 将来にわたり国民皆保険制度と医療提供体制を維持するために、医療の在り方を着実 に改革して医療機関・薬局の経営を健全化し、確実に医療従事者の賃上げを担保する こと。 充実すべき部分についても、税制や補助金との明確な役割分担を前提として優先順位 を意識し、確実な適正化とセットで真にメリハリの効いた診療報酬改定を行うこと。 その際には、診療所・薬局から病院へ財源を再配分する等、硬直化している医科・歯 科・調剤の財源配分を柔軟に見直すこと。 医薬品・医療材料について、ライフサイクルに応じた市場の棲み分け、根拠に基づ く適切な価格設定と適切な使用方法、費用対効果評価制度のより一層の活用を追求 すること。 以上 46 令和7年12月10日 令和8年度診療報酬改定に対する二号(診療側)委員の意見 中央社会保険医療協議会 二 号 委 員 江 澤 和 彦 茂 松 茂 人 黒 瀨 巌 小 阪 真 二 太 田 圭 洋 大 杉 和 司 森 昌 平 診療報酬は、全国一律の公定価格として厚生労働大臣により定められ、国民にとって安 全で、安心できる医療を提供するための原資であり、原則2年毎に改定される際に、その 間の2年間の賃金や物価の動向が適切かつ十分に反映されるものでなければならない。 しかし、昨今、急激な物価高騰・人件費上昇がみられる中、診療報酬の改定がこれらの 社会情勢に追いついておらず、医科・歯科医療機関及び薬局等は経営状況が著しくひっ迫 しており、閉院や倒産が過去最多のペースとなっている。病院の約7割、診療所の約4割、 歯科診療所・薬局の約3割が赤字であり、この状況は業界として、かつてない異常事態と 言える。 また、診療報酬は、医学の進歩・高度化に対応するための設備投資、患者ニーズの多様 化に応える医療従事者の確保及び拡充に不可欠な役割を担っている。 令和8年度診療報酬改定においては、地域の医療提供体制をこれ以上崩壊させないため にも、その基盤となる医科・歯科医療機関及び薬局等の経営が、国民の安全・安心な医療 の実現に資するよう、その健全化が早急に実現されなければならない。 これまで「適正化」という名の下で社会保障費は削られ続けてきた。 令和8年度診療報酬改定においては、骨太方針に示されている如く、財源 を純粋に上乗せするいわゆる「真水」による思い切った対応が必要であり、 賃金上昇と物価高騰、高齢化、医療の高度化・技術革新に対応し、経営基盤 の強化を図るための大幅なプラス改定が求められる。 ◇ 医療における賃上げが人材確保を支え、地域医療提供体制を守る 第25回医療経済実態調査において、病院、診療所ともに給与費は伸びているもの の、他産業の賃上げを大きく下回った。 歯科医療機関においても、人材確保の観点から賃上げ対応しているものの、歯科衛生 1 47 士等の給与水準は依然として低い水準であり、スタッフ給与のさらなる引き上げは喫緊 の課題となっている。 薬局においても、同一グループの店舗数規模、調剤基本料の区分などの違いにかかわ らず、すべての薬局において給与費が増加している。従業員の賃上げに積極的に取り組 んでいるが、その内訳は管理薬剤師または薬剤師の処遇改善よりも事務職員の賃上げ対 応を優先して、いずれの薬局においても他産業への人材流出に苦慮している。 令和7年度最低賃金はプラス6%強、人事院勧告はプラス 3.62%、また「骨太の方針 2025」でも示された 2025年春季労使交渉の平均賃上げ率は 5.26%等となっているが、医 科・歯科医療機関、薬局等においては、とてもこれらに対応できる状態とはなっていな い。 この状況が続けば、医療人材の他産業への流出に歯止めがかからず、人材確保がより 一層、困難となり、医療提供体制に支障が生じることが危惧される。 ◇ 物価高騰への対応 第25回医療経済実態調査では、医業・介護費用は、物価・人件費等の高騰の影響を 受け、給与費や材料費等の諸費用が病院、診療所ともに上昇した。物価高騰が続く中で 費用削減のみでこれをしのぐことには限界がある。 歯科医療機関においても、経費等の増加は明らかであり、特に金パラ価格は令和7年 に入ってから再び急騰しており、歯科材料や医療機器等の価格上昇も含め、引き続き物 価高騰の影響を強く受けていることが推測される。 薬局のうち、特に「1店舗」、「2~5店舗」の損益状況は厳しく、さらなる賃上げ・ 物価高騰に対応することは極めて困難である。また、依然として医薬品供給不足の状態 が続き、医薬品確保に係る業務および備蓄医薬品の管理コストもさらなる負担増となっ ている。 これらの実態は、もはや自助努力では、到底対応できない状況に陥っており、急激な 物価高騰へ対応し得る大幅な診療報酬改定が不可欠である。 ◇ 医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革のさらなる推進 令和6年4月からはじまった医師等の働き方改革に関しては、働き方改革を支える目的 として設定された「地域医療体制確保加算」や、医師から他の医療関係職種へのタスク・ シフト/シェアに活用された「医師事務作業補助体制加算」など、これまでに多くの診療 報酬項目により、医師等の働き方改革の推進、医療従事者の負担軽減が図られてきた。 これらの診療報酬項目については、様々な検証等調査により、その効果が認められてい るところであり、令和8年度診療報酬改定においても、この歩みを着実に継続し、すべて の医療従事者の負担軽減を加速させていくため、現場に有効に活用されるような見直しと 評価の継続が求められるものである。 また、業務効率化・職場環境改善のさらなる推進に関する検討が行われており、各医療 2 48 機関等における医療DXの取組が業務の効率化に大いに効果的であり、すべての医師・歯 科医師が医療を継続できることを前提として、推進していくべきものである。 そのためには、DX化の推進に伴い生じる多大な費用負担に対する支援は、導入時の費 用支援だけでなく、維持に係る費用、各種電子化の取組の費用やサイバーセキュリティ費 用などの負担を含む全体的な視点をもった十分な対応が必要である。 さらに、DXに対応できない医療機関等も、見通しをもって、DX化に踏み切れるよう な工夫も必要である。 ◇ 経営基盤強化へシフトするための「真水」による大幅な診療報酬改定とする 令和8年度診療報酬改定は、患者さんへの質の高い医療を継続的に提供するために、医 療従事者に対する賃上げとその人材確保が急務であり、経営基盤を強化し、経営の安定化 にシフトするための極めて重要な改定である。 国民の安全・安心を守るために医療の質を向上させる取組を進める中で、物価高騰、賃 金上昇への対応に加え、医療DX対応に向けた環境整備の必要性もあることから、十分な 「真水」による財源を確保することで、この局面を乗り切るべきである。その際、病院、 診療所、薬局などを分断するような改定率議論ではなく、医療提供体制全体を俯瞰した改 定率の決定が必要であり、医療界一丸となって対応していく必要がある。 公定価格で運営する医療機関等が賃上げや人材確保を継続的かつ安定的に行い、物価高 騰にも対応するため、令和8年度診療報酬改定では、十分な財源が必要であり、対応は待 ったなしである。 3 49 令和8年度診療報酬改定について 令和7年 12 月 12 日 中央社会保険医療協議会 本協議会は、医療経済実態調査の結果、薬価調査及び材料価格調査の結果等を踏 まえつつ、令和8年度診療報酬改定について審議を行ってきたところであるが、そ の結果を下記のとおり整理したので、厚生労働大臣に意見を申し述べる。 記 1.医療経済実態調査の結果について ○ 本協議会は、医業経営の実態等を明らかにし、診療報酬に関する基礎資料を 整備することを目的として、第 25 回医療経済実態調査を実施し、その結果等に ついて検討した。 2.薬価調査及び材料価格調査の結果について ○ 薬価調査の速報値による薬価の平均乖離率は約 4.8%、材料価格調査の速報値 による特定保険医療材料価格の平均乖離率は約1.3%であった。 3.令和8年度診療報酬改定について ○ 我が国の医療については、人口減少・少子高齢化が進展するとともに、人生 100 年時代に向けた「全世代型社会保障」の構築が求められる中で、世界に冠た る国民皆保険を堅持し、あらゆる世代の国民一人一人が安全・安心で効率的・ 効果的な質の高い医療を受けられるようにすることが必要である。また、医療 を取り巻く環境の変化や多様な国民のニーズに柔軟に対応することが重要であ る。 ○ 社会保障審議会医療保険部会及び医療部会において取りまとめられた「令和 8年度診療報酬改定の基本方針」(以下「基本方針」という。)では、物価や賃 金、人手不足等の医療機関等を取り巻く環境の変化への対応、2040 年頃を見据 えた医療機関の機能の分化・連携と地域における医療の確保、地域包括ケアシ ステムの推進、安心・安全で質の高い医療の推進を行いつつ、効率化・適正化 を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上を図ることとされた。 ○ 本協議会は、この基本方針に基づき、全ての国民が質の高い医療を受け続け るために必要な取組についての協議を真摯に進めていく。こうした基本認識に 1 50 ついては、支払側委員と診療側委員の意見の一致をみた。 ○ しかし、このような基本認識の下で、どのように令和8年度診療報酬改定に 臨むべきかについては、次のような意見の相違が見られた。 ○ まず、支払側の意見は次のとおり。これまで長期にわたり物価・賃金が停滞 する中で、高齢化や医療の高度化等により医療費が増加し続け、被保険者と事 業主の保険料負担は既に限界に達している。一方で、第 25 回医療経済実態調査 の結果、病院の経営を安定化させることや、医療機関に勤務する方々の賃金を 引き上げる必要性は理解できるものの、病院と診療所・薬局の経営状況には格 差があるほか、病院の中でも機能別や同じ機能の中でも施設間での格差がある ことを強く認識すべきである。また、新たな地域医療構想やかかりつけ医機能 報告制度等の動きは、限りある医療資源を有効活用し、患者にとって安全・安 心で効果的・効率的な医療を目指すものであり、スピード感を持って取り組む 必要がある。こうした基本認識のもと、基本診療料の単純な一律引上げは、患 者負担と保険料負担の上昇に直結するだけでなく、医療機関・薬局の経営格差 や真の地域貢献度が反映されないため妥当ではないほか、地域における医療ニ ーズに沿う形での医療機能の分化・強化・連携を推進することや、経営マネジ メントの強化・医療DXやICTを活用した組織運営の効率化が重要である。 以上より、現役世代を中心とした保険料負担の抑制と物価上昇局面での保険給 付の充実の両立を図り、将来にわたり国民皆保険制度と医療提供体制を維持す るために、医療の在り方を着実に改革して医療機関・薬局の経営を健全化し、 確実に医療従事者の賃上げを担保すること、充実すべき部分についても、税制 や補助金との明確な役割分担を前提として優先順位を意識し、確実な適正化と セットで真にメリハリの効いた診療報酬改定を行うとともに、診療所・薬局か ら病院へ財源を再配分する等、硬直化している医科・歯科・調剤の財源配分を 柔軟に見直すこと、医薬品・医療材料について、ライフサイクルに応じた市場 の棲み分け、根拠に基づく適切な価格設定と適切な使用方法、費用対効果評価 制度のより一層の活用を追求することを要望する。 ○ これに対し、診療側の意見は次のとおり。昨今、急激な物価高騰・人件費上 昇がみられる中、診療報酬の改定がこれらの社会情勢に追いついておらず、医 科・歯科医療機関及び薬局等は閉院や倒産が過去最多のペースとなっているな ど、かつてない異常事態と言える。診療報酬は、医学の進歩・高度化への対応 や医療従事者の確保等に不可欠な役割を担っており、地域の医療提供体制をこ れ以上崩壊させないためにも、その基盤となる経営の健全化が早急に実現され なければならない。令和8年度診療報酬改定においては、財源を純粋に上乗せ 2 51 するいわゆる「真水」による思い切った対応が必要であり、賃金上昇と物価高 騰、高齢化、医療の高度化・技術革新に対応し、経営基盤の強化を図るための 大幅なプラス改定が求められる。第 25 回医療経済実態調査では医療機関・薬局 の給与費は伸びているものの、最低賃金や人事院勧告、2025 年春季労使交渉の 平均賃上げ幅に対応できる状態とはなっておらず、医療人材の他産業への流出 に歯止めがかからず、医療提供体制に支障が生じるおそれがある。また費用に ついても、物価・人件費等の高騰の影響を受けて、医療機関における諸費用や 歯科材料等の価格が上昇しているほか、薬局では医薬品供給不足や管理コスト が負担増となっているなど、自助努力では到底対応できない状況に陥っている。 令和6年4月から始まった医師等の働き方改革について、様々な検証等調査に よりその効果が認められているところであり、全ての医療従事者の負担軽減を 加速させていくための見直しと評価の継続が求められる。また、業務効率化・ 職場環境改善の更なる推進には医療DXの取組が大いに効果的であり、それに 伴う費用負担への支援は、導入時だけでなく維持に係る費用などを含む全体的 な視点で十分な対応が必要である。こうしたことを踏まえれば、令和8年度診 療報酬改定は十分な「真水」による財源を確保するべきであり、その際、病院、 診療所、薬局などを分断するような改定率議論ではなく、医療提供体制全体を 俯瞰して改定率を決定する必要がある。公定価格で運営する医療機関等が賃上 げや人材確保を継続的かつ安定的に行い、物価高騰にも対応していくための対 応は待ったなしである。 ○ 本協議会は、社会保険医療協議会法でその組織構成や、審議・答申事項等を 法定されており、医療保険制度を構成する当事者である支払側委員と診療側委 員、そして公益委員が、医療の実態や医療保険財政等の状況を十分考慮しつつ、 診療報酬改定の責任を果たしてきた。診療報酬改定は、基本方針に沿って、診 療報酬本体、薬価及び特定保険医療材料価格の改定を一体的に実施することに より、国民・患者が望む安心・安全で質の高い医療を受けられるよう、医療費 の適切な配分を行うものである。そのために、本協議会においては、これまで も医療制度全体を見渡す幅広い観点から、膨大な時間を費やしデータに基づい た真摯な議論を積み重ね、診療報酬改定に取り組んできており、これからもそ のように取り組み続けていく。 ○ 厚生労働大臣におかれては、これまでの本協議会の議論を踏まえ、令和8年 度予算編成に当たって、診療報酬改定に係る改定率の設定に関し適切な対応を 求めるものである。 ○ 令和8年度診療報酬改定に当たっては、物価や賃金動向に対応した改定が必 3 52 要であり、医療機能の特性を踏まえて的確に対応するとともに、少子高齢化・ 人口減少による人口構造の変化や医療資源の逼迫といったさまざまな課題に対 応していくことが求められる。そのためにも、施策の成果や影響等を、データ やエビデンスに基づいて正確・迅速に把握・検証し、更なる施策の見直しに役 立てていくことが引き続き重要であり、そのための人材・体制の充実が望まれ る。 ○ さらに、国民一人一人が医療提供施設の機能に応じ、適切に医療を選択し受 けることができるような環境を実現することも重要である。医療が高度化し、 制度が複雑化する中でも、できるだけ仕組みを分かりやすくし、患者の主体的 な選択を可能とする医療の質を含めた情報提供を行うなど、国民の理解を一層 深める工夫についても配慮が行われるよう望むものである。 4 53 令和7年12月26日 中央社会保険医療協議会 会長 小塩 隆士 殿 中央社会保険医療協議会 1号(支払側)委員 鳥潟 美夏子 松本 真人 永井 幸子 高町 晃司 奥田 好秀 鈴木 順三 伊藤 徳宇 令和8年度診療報酬改定等に関する1号(支払側)の意見 Ⅰ.基本的考え方 社会保障審議会の医療保険部会、医療部会が定めた基本方針において、「物価や賃金、人 手不足等の医療機関等を取りまく環境の変化への対応」が重点課題とされ、政府予算編成 の大臣折衝において、診療報酬本体引上げ財源の大部分を賃上げと物価への対応に充当す ることが合意された。現下の経済状況に即応して医療サービスの対価としての正当性を担 保し、費用を負担する患者・国民と事業主が納得できるよう、確実な賃上げやきめ細かい 物価高への対応を行い、その結果を検証できる仕組みにするべきである。 一方で、国民皆保険制度と医療提供体制の持続可能性を両立することも重要である。そ のためには、外来受診の抑制や残薬対策、短時間・頻回な訪問看護の是正、門前薬局や敷 地内薬局の合理化等を通じた適正化の徹底が不可欠である。また、医療の質を確保しつつ 効率化するためには、医療DXやICT連携の本格的な活用とAI等による生産性向上が課 題である。さらに、かかりつけ医機能報告制度や新たな地域医療構想をはじめとする、2040 年頃を見据えた医療提供体制の再構築も意識するべきである。医療機能の強化・分化・連 携を推進して地域の医療ニーズを過不足なく充足することは、限られた医療資源を有効活 用するものであり、医療機関の健全な運営にとっても必要な要素である。メリハリのある 診療報酬により政策課題の解決に取り組むべきである。 1 54 Ⅱ.重点事項 (1) 医科 ① 入院医療 人口構造と医療ニーズの変化に合わせて機能の分化・連携・集約化を進め、医療資源の 配置を最適化することが必要である。手術なし症例や救急搬送への対応を「重症度、医 療・看護必要度」に反映する等の修正を行いつつ、引き続き患者の状態と医療資源の投入 量に応じた病棟機能の評価を維持したうえで、新たな地域医療構想で目指すべき方向性 や病院の機能や規模による経営状況の違いも踏まえ、全身麻酔手術と救急搬送受入れの 実績を主な指標として、これまで以上に病院機能を重視した評価体系に見直すことによ り、ケアミックスの在るべき姿も念頭に入れて、病院の再編・統合につなげるべきである。 高度急性期や急性期については、選択と集中が必要である。専門性の高い人材や高額 な医療機器は基幹病院に集約化し、重篤な救急搬送の受入れや難易度の高い全身麻酔手 術等を集中的に実施する拠点的な急性期機能を確立するべきである。その結果、治療成 績の向上と医療の効率化が同時に期待できるが、相対的に病床当たりのコストが高くな らざるを得ず、物価・賃金上昇による影響を最も大きく受けるため、財源を重点配分する べきである。高齢者等の軽度から中等症までの救急搬送や一般的な手術等に身近な地域 で対応する急性期機能も重要である。看護職員や看護補助者のみならず、リハビリ職、管 理栄養士、臨床検査技師等がそれぞれの専門性を病棟で発揮することにより、短期間で 効率的に急性期の治療を完了することが期待できる。現役世代の人口減と高齢者の人口 増が更に進むなかで、高齢者救急を強く意識した地域包括医療病棟への移行を見据えつ つ、現時点においては地域包括医療病棟に比べて多様な患者への対応を想定し、患者の 安全と質の担保を前提に、様々な職種を柔軟に配置することが考えられるが、多職種が それぞれの専門性を生かし、円滑に協働するには、病棟業務を中心的に担う看護職員の 病棟マネジメントが不可欠である。看護職員に負荷が偏ることなく地域の急性期機能を 十分に発揮できる場合には、多職種による病棟業務の成果に見合う評価が考えられる。 併せて、DPC/PDPSによる急性期入院の標準化も追求する。 包括期については、複数の医療・ 介護ニーズを併せ持つ高齢者が増加するなかで、急性 増悪した高齢者が入院し、ADLや栄養状態を維持したまま治療を終えて早期の在宅復帰 につなげる機能を拡充する必要がある。地域包括医療病棟と地域包括ケア病棟は患者像 に共通点が多いが、地域包括医療病棟は令和6年度改定で創設したばかりで、急性期一 般病棟や地域包括ケア病棟から直ちに移行できる病棟に届出が限られており、実態とし て地域に定着するまで一定の期間を要すると考えられる。令和 8 年度改定においては、 地域包括医療病棟は高齢者救急の中心的な受け皿としての役割を確立し、地域包括ケア 病棟は急性期と在宅の中間的な幅広い役割を強化するべきである。その際には、急性期 2 55 一般病棟とのケアミックスの妥当性も考慮するべきである。一方で、現役世代の急速な 人口減少を踏まえれば、急性期の治療を終えた患者に対する専門的なリハビリテーショ ンに特化した医療ニーズは縮小していく。回復期リハビリテーション病棟については、重 症患者を集中的に受け入れ、身体機能を確実に回復させた実績をより厳格に評価し、全 体として病床数を絞り込むべきである。リハビリ職が活動領域を広げ、多職種配置の急性 期一般病棟や地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟における積極的な専門性の発揮につ なげる視点も必要である。 慢性期については、医療保険を適用する療養病棟として、在宅医療や介護保険施設で対 応できない患者を受け入れる機能をより明確化することが不可欠である。令和6年度改 定で細分化した評価区分に医療資源の投入量を適切に反映することや、引き続き中心静 脈栄養からの早期離脱を推進することも重要である。療養型病院は経営状況が相対的に 安定的であることも踏まえ、メリハリのある対応が必要である。 【高度急性期】 特定集中治療室管理料とハイケアユニット入院医療管理料に救急搬送受入れと全身 麻酔手術の実績要件を導入するべき。「 重症度、医療・看護必要度」の項目を見直す 場合は該当患者割合の基準を妥当な水準に設定するべき。 特定集中治療室管理料におけるSOFAスコアの該当患者要件を厳格化するべき。 脳卒中ケアユニットに超急性期脳卒中加算と経皮的脳血栓回収術の実績基準を導入 し、評価にメリハリを付けるべき。 救命救急入院料1、3について、ハイケアユニット用「 重症度、医療・看護必要度」 の該当患者割合に関する基準を設定するべき。 【急性期】 急性期一般入院料 1 について、救急搬送受入れと全身麻酔手術の基準を導入し、実 績が一定以上の場合のみ看護配置7対1の拠点的な急性期一般病棟として認める等、 評価を細分化するべき。 看護配置7対1と10対1の差分を多職種配置で補充する場合には、患者の安全と質 の担保を前提に、それぞれの職種の専門性を生かした協働となるよう、看護職によ る病棟マネジメントと業務負担のモニタリングの仕組みを実装するべき。 急性期一般入院料2~6は、多職種の柔軟な配置の導入や地域包括医療病棟への移 行も念頭に入れ、評価区分を整理するべき。 総合入院体制加算と急性期充実体制加算について、急性期の拠点的な病院機能の加 算として統合し、診療領域等の総合性と手術等の集積性に応じた評価体系とし、産 科・小児科・精神科等の総合性を底上げするべき。点数の設定においては、入院初期 を手厚くする急性期充実体制加算の方式を基本とすることにより、短期集中的な治 療を促進することが考えられる。人口規模の少ない地域へ配慮する場合には、単純 3 56 な地域シェア率を考慮するだけでなく、地域に貢献する拠点的な急性期の機能を担 保するべき。 【特定機能病院入院基本料】 特定機能病院の承認制度の見直しを踏まえ、医師派遣等の地域医療に対する人的協 力が要件化された大学病院本院、全国の医師に対する高度な教育等を行う国立高度 専門医療研究センター、従来基準が適用されるその他の病院の3類型に評価区分を 細分化するべき。 【DPC/PDPS】 全ての急性期病棟にDPC/PDPSへの参加を義務付け、急性期医療の標準化を徹底 すべき。 標準病院群のうち、救急搬送の受入れ件数が少ない病院で包括範囲出来高点数が特 に低い傾向を踏まえ、標準病院群を細分化して基礎係数を設定するべき。 複雑性指数について、入院期間が長い疾病で係数が高くなり得る仕組みであるため、 入院初期の一定期間を評価の対象とするべき。 地域医療指数について、体制評価指数に緊急の入院等に柔軟に対応できることを反 映するほか、定量評価指数に疾患領域毎の地域シェアを反映させるべき。 入院期間Ⅱの基準を在院日数の平均値から中央値に見直し、激変緩和は最小限にと どめ、将来的に中央値に統一するべき。 同一傷病で再転棟する場合は、7日間を超えても一連の入院とするべき。 患者の重複負担や保険者の重複給付を防止するために、入院での薬剤処方を徹底す るべき。 【包括期】 地域包括医療病棟入院料については、令和6年度改定で新設したコンセプトが損な われる見直しは行うべきでない。平均在院日数の基準やADL低下患者5%未満の要 件は一律に緩和せず、特に入院期間が長くならざるを得ない患者が多い場合や、ADL が低下しやすい患者が多い場合の基準を設定する等、限定的な対応とすべき。一方 で、現行では外科系症例に比べて内科系症例において十分に医療資源投入量が評価 に反映されていない実態を踏まえ、内科系疾患の高齢者救急の受入れを阻害しない よう、きめ細かな評価体系に見直すことは合理的である。 地域包括ケア病棟において地域包括医療病棟に患者の重症度等は及ばないものの、 概ね同等の機能を発揮している場合があることを踏まえ、高機能型の地域包括ケア 病棟又は軽装備型の地域包括医療病棟かいずれかの方法で新たな評価が考えられる。 高齢者救急や在宅医療の後方支援といった病院機能を評価する場合には、緊急往診、 24時間入院体制、下り搬送の受入れ、急性期病棟の併設等の要素を考慮すべき。 4 57 回復期リハビリテーション病棟入院料は、重症患者割合や実績指数の計算方法を是 正したうえで適切な基準値を設定するとともに、入院料2、4にも実績指数の基準値 を設定するべきである。実績指数における除外範囲の厳格化や、休日リハビリテーシ ョンの徹底も必要である。 【慢性期】 療養病棟入院基本料2の医療区分2・3の該当患者を6割以上とし、将来的には療 養病棟入院基本料1への一本化を検討するべき。 ADL区分や医療区分の疾患・状態及び処置の組み合わせに応じた医療資源投入量に 着目し、よりメリハリのある評価とするべき。 経腸栄養管理加算や摂食嚥下機能回復体制加算について、中心静脈栄養からの早期 離脱を推進する方向で、実績要件を見直すことは妥当である。 【障害者施設等入院基本料】 廃用症候群について、療養病棟に準じた包括評価とするべき。 【短期滞在手術等基本料】 短期滞在手術等基本料 1 については、包括評価による効率化の効果が極めて乏しい ことを踏まえ、診療実態に見合った評価に適正化すべき。 短期滞在手術等基本料3については、入院で実施することが合理的な範囲を明確化 し、外来で実施可能な手術等の評価を適正化するべき。また、同様の手術等は同じ評 価とすることが公平であることから、DPC対象病院であるかどうかに関わらず、短 期滞在手術等基本料3の算定に統一するべき。 【身体的拘束】 身体拘束の定義を明確化したうえで、実施した日の減算を厳格化するべき。 ② 外来医療 外来患者数が全国的に減少していく一方で、診療所の経営状況が相対的に堅調なこと を踏まえ、かかりつけ医機能報告制度や新たな地域医療構想、医師偏在是正に向けた総 合対策を念頭に、限られた医療資源で医療ニーズを過不足なく充足する必要がある。 かかりつけ医機能報告制度の要素を指標にした段階的な加算により、診療所と中小病 院の体制・実績の評価にメリハリを付けることで、かかりつけ医機能の発揮を促すこと が重要である。その際、外来医師過多区域で開業する場合に都道府県の要請に応じなか った場合の経済的なディスインセンティブとして、当該加算の算定を制限することが考 えられる。 患者の納得を得る観点から、診療実績に基づいて生活習慣病管理料Ⅰを適正化するこ とや、医薬分業のインセンティブとしての役割を終えた処方箋料の更なる引下げ、特定疾 5 58 患療養管理料の更なる見直し、外来管理加算の廃止又は包括化を進めるべきである。患 者の通院負担を軽減する観点からは、長期処方とリフィル処方・分割調剤について、疾患 や薬剤の特性に応じて使い分けながら一体的に活用を推進することや、オンライン診療 や遠隔医療について、有効な場面や方法を想定しながら適切に活用の幅を広げていくこ とも必要である。 大病院の逆紹介に関連する減算を厳格化することや、二人主治医制の活用により、地域 の診療所や中小病院との役割分担を推進することも重要である。 【かかりつけ医機能】 機能強化加算について、地域包括診療料や在宅療養支援診療所等と紐づいた現行の 仕組みから離れ、かかりつけ医機能報告制度と整合的な仕組みへと、名称を含めて 発展的に組み替えるべき。 一次診療が可能な診療領域や疾患の範囲、かかりつけ医機能の研修受講、学生実習・ 研修医の受入れ、BCP 等を指標とし、機能の充実度に応じた評価体系とするべき。 かかりつけ医機能の報酬体系をエビデンスに基づいて設計する観点で、外来データ の提出を求めるべき。 地域包括診療料・加算等について、処方前の残薬確認を要件化するとともに、長期処 方やリフィル処方を積極的な活用が実効的に促される仕組みとするべき。 【生活習慣病管理料】 長期処方・ リフィル処方をより積極的に活用して、状態が安定した患者の受診間隔を 延長して通院負担を軽減しつつ、予約診療を活用して治療を継続しやすくするべき。 療養計画書を定期的に交付する運用やガイドラインに沿って適切なタイミングで検 査を実施していない場合、継続受診率が低い場合の減算を導入するべき。糖尿病の管 理においては、歯科や眼科の受診指導を適切に行わない場合にも減算するべき。 生活習慣病管理料Ⅰについて、検査をはじめとする包括範囲内の医療資源投入量に 見合った評価に適正化するべき。 【外来管理加算】 地域包括診療加算や特定疾患療養管理料等との計画的な管理の重複評価は依然とし て解消されておらず、是正するべき。 算定要件である「丁寧な問診や詳細な診察、懇切丁寧な説明」等は再診料に含まれる 当然の行為であり、加算としての評価を廃止するべき。 【特定疾患療養管理料】 診療所と病院の違いや病院の病床規模で差を付けている評価体系を一本化したうえ で月1回の算定に見直すとともに、対象疾患を整理すべき。 【処方箋料】 医薬分業のインセンティブとして院外処方の評価を高める必要性が乏しいことを踏 まえ、処方箋料を更に引き下げるべき。 6 59 特定の疾患や高齢者に限らず、幅広い患者について、長期処方やリフィル処方の積極 的な活用を促すとともに、薬局が服薬状況に応じて調剤日数を柔軟に変更できるよ うに処方箋様式を見直すべき。 リフィル処方箋について、特別調査における医師の回答結果も踏まえ、処方制限の ある医薬品にも活用できるようにするべき。 【逆紹介】 病院側から逆紹介の申出がない患者には減算が適用されないことや、逆紹介割合の 基準が低いこと等により、患者が身近な地域の医療機関で治療を受ける機会が失わ れている可能性があるため、逆紹介の運用と基準を厳格化するべき。 連携強化診療情報提供料を見直し、大病院と地域の医療機関による二人主治医制を 推進することが考えられる。 【療養・就労両立支援指導料】 両立支援コーディネーターの活用や支援カードを使った円滑な運用や対象疾患の拡 大により、治療を受けながら仕事を続けることができる患者を増やすべき。 【情報通信機器を用いた診療】 オンライン診療の健全な活用に向けて、不適切な広告等の禁止や急病急変時の対面 診療への確実な切替えを担保しつつ、オンライン診療の更なる普及を推進するべき。 遠隔医療については、医療の質や医療資源の有効活用等の観点から、特に人口・医療 資源の少ない地域において積極的な役割が期待される手段であり、エビデンスに基 づいて保険給付の必要性を判断しつつ、「D to P with D」「D to P with N」「D to D」 それぞれについて、対象疾患や活用場面を拡大していくべき。 (2) 歯科 ライフステージや個々の患者の特性によって口腔機能の課題が異なることを踏まえ、 限られた歯科医療資源で充実が必要な領域や適正化の余地がある領域を判断し、メリハ リのある評価により、多様な歯科医療ニーズを過不足なく充足することが重要である。 高齢者の口腔機能低下症や小児の口腔機能発達不全症について、機能的な特性だけ でなく、通常と異なる特別な管理を行うのであれば、学会の診断基準に基づき口腔 機能管理料や小児口腔機能管理料の対象範囲を拡大することは合理性がある。 歯科疾患管理料について、歯科医師の手間が初診と再診で変わらないのであれば、 初診減算の廃止と合わせて再診時の評価を適正化するべき。継続的な歯科疾患の管 理という趣旨が徹底されるよう、算定対象となる患者像を明確化し、初診時に管理 計画を患者に説明して理解を得ることも必要である。 7 60 患者に違いが分かりにくい歯周病安定期治療と歯周病重症化予防治療は財政中立で 統合するとともに、実質的に3か月毎のメンテナンスとして運用されている状況を 改め、病態に応じた治療を運用面で担保するべき。 多職種連携を推進する観点から、周術期等口腔機能管理計画を変更する際も評価す ることや、医科のリハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算や生活習慣病管理料 における歯科受診勧奨の受け皿となった場合の評価が考えられる。 障害者歯科については、専門施設による重点的な対応を新たに評価する場合には、 口腔保健センター等の専門施設が障害児や障害者に対して歯科医学的管理を実施し た場合に限る等、適切な運用を担保するべき。 へき地等の特に人口が少ない地域の患者に必要な歯科医療を提供する観点から、巡 回診療車の活用が考えられる。 業務の効率化や貴金属価格の影響を受けないようにする観点から、光学印象や CAD/CAM冠の活用を拡大する等、歯科治療のデジタル化を推進するべき。 補綴物維持管理料について、患者に不利益が生じないように見直すべき。 (3)調剤 医療機関に依存する門前薬局から脱するために 10 年前に厚労省が「患者のための薬局 ビジョン」で掲げた「 2025年までに全ての薬局がかかりつけ薬局の機能を持つ」との目標 は達成できておらず、むしろ敷地内薬局まで現れて目標に逆行している状況である。同ビ ジョンでは、今後10年で薬局の立地を門前から地域へ移行させる目標も掲げられており、 まずは早急に医療機関からの経営的な独立を担保する必要がある。病院と薬局の薬剤師偏 在を是正することも念頭に入れ、大都市に小規模乱立する薬局を大規模化して薬局業務を 効率化することも重要である。さらに、地域の医薬品供給拠点としての役割や一元的な服 薬管理等の在宅を含めた本来の「かかりつけ薬剤師」機能を効果的に発揮できるようにす べきである。 敷地内薬局の定義を厳格化し、医療モールを含めて特別な関係にある場合には、全 て特別調剤基本料Aを適用することを原則とするべき。 医療モールにある薬局は、処方箋枚数が上位3番目までに限らず、モール内にある全 ての医療機関を集中率の分子に含めるべき。 在宅患者については、訪問指導の有無にかかわらず、処方箋が複数枚の場合に1枚と カウントとするか、集中率の計算から除外して、分母を小さくすることにより、門前 薬局等のすり抜けを是正すべき。 8 61 医療資源が少ない地域で自治体が運営する医療機関の敷地内に薬局を誘致する場合 には、条件を明確に定めることや機能としての独立性の担保、妥当な賃借料で契約す ることを前提として、通常の調剤基本料を例外的に認めることが妥当である。 調剤基本料については、将来的に薬局の立地が変わっていくなかで一本化すること が望ましいが、経営効率に応じた評価の徹底が必要であり、門前薬局の損益率が高 いことを踏まえて調剤基本料2を適正化するべき。 調剤処方箋600回超かつ集中率85%の小規模薬局は、薬剤師の人数や医薬品の備蓄 が少なく、効率的に後発医薬品を調剤している実態があり、特に損益率が高い大都市 の場合は調剤基本料1から除外し、薬局の集約化・大規模化にもつなげるべき。 後発医薬品調剤体制加算は廃止して減算の仕組みに移行し、後発医薬品の数量割合 の維持は地域支援体制加算の基準として位置付けることも考えられる。 地域支援体制加算について、地域の医薬品供給拠点としての機能を担保するために、 一定以上の薬剤師の配置や調剤室の面積を要件化し、薬剤師の集約化と薬局の大規 模化にもつなげるべき。セルフメディケーション関連機器の設置や高額薬剤の調剤 が自薬局で対応できない場合の患者への案内等も推進するべき。 特定薬剤管理指導加算3のロについて、長期収載品の選定療養の対象患者を引き続 き算定対象とする場合、後発医薬品に変更した場合のみ算定できる実績評価に見直 すべき。 調剤管理料について、内服薬の処方日数に応じた評価区分を整理し、財政中立で一 律点数にするべき。ポリファーマシー対策に逆行する懸念が払拭されない調剤管理 加算は廃止するべき。 重複投薬・相互作用等防止加算は、電子処方箋の普及により疑義照会の専門的判断 や手間の減少を踏まえた適正化や、加算の位置づけを改めて明確化すべき。 服用薬剤調整支援については、服薬回数を少なくする取組みや薬物療法への介入を 強化し、着実な減薬と有害事象の抑制につなげるために見直すべき。 服薬管理指導料については、服薬指導後のフォローアップによる副作用の検出を評 価することや、吸入管理指導加算の対象にインフルエンザ等の急性疾患を追加する ことが考えられる。 かかりつけ薬剤師指導料・かかりつけ薬剤師包括管理料は廃止し、かかりつけ薬剤 師として実施した業務の内容を評価するべき。 (4) 在宅医療 更なる高齢化により在宅医療のニーズの増加は確実であり、医療資源と財源に限りが あることを踏まえ、訪問診療・往診、訪問看護、歯科、調剤いずれも、多くの医療機関・ 薬局の参画を促すとともに、患者の状態や提供する医療やケアの内容、施設と自宅の訪 9 62 問先の違い等を踏まえたメリハリのある評価とすることが重要である。特に短時間で効 率的な訪問を繰り返す場合の評価は適正化する必要がある。 ① 在宅医療を積極的に担う医療機関の評価 機能強化型の在宅療養支援診療所・病院について、在宅緩和ケア充実加算の要件を 上回る緊急往診や看取りの実績がある医療機関が多いことや、在宅担当医を機能強 化型の基準より多く配置する医療機関があること、さらに、在宅医療の教育を通し て地域に貢献している医療機関が一定程度あること等を踏まえ、在宅緩和ケア充実 加算を統合するかたちで、実績・体制・役割の違いに着目して、よりきめ細かい評価 体系に見直し、更に積極的な機能の発揮を促すべき。 連携型の機能強化型在宅療養支援診療所については、連携や往診の体制を確保して いる時間が二極化していることを踏まえ、24時間体制に協力する度合いに応じて評 価にメリハリを付けるべき。 ② 往診・訪問診療 時間外や夜間の連絡・往診代行の民間の第三者サービスについて、在宅療養支援診 療所・病院が活用している場合、「誰が連絡を受け」「誰が往診するのか」を患者が知 らない場合、連絡や往診体制の要件を満たしているとは言えないと考えられるため、 適切な第三者サービスを活用する枠組みを明確化し、患者の了解を得たうえで運用 するべき。 包括的支援加算の算定患者割合等が低い医療機関における月2回訪問診療について、 在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料において評価にメリハリを付 けるべき。 ③ 訪問看護 精神科訪問看護について、機能強化型以外の訪問看護ステーションで重点的に実施 している実態を適正化する観点から、精神科重症患者を想定している機能強化型3 の訪問看護ステーションによる対応を推進するべき。また、精神科訪問看護の支援 ニーズの高い利用者の状態像を追加する場合には、真に必要な患者に適切な訪問看 護が提供されるよう、自治体や公的機関等と連携を条件とすることや、身体症状への 対応も併せて促すことも必要である。 同じ集合住宅等に居住する利用者2人を訪問した場合について、1人を訪問した場 合と同じ評価であることや、介護保険と同一建物の定義が異なることを踏まえ、介護 保険に揃えるかたちで同一建物の範囲を広げたうえで、2人を訪問した場合の評価 を適正化するべき。 10 63 高齢者住宅等に隣接する訪問看護ステーションについては、医療機関に入院中の患 者への看護に似たかたちで短時間の訪問看護が頻回に続けて提供されることにより、 加算が積み上がって医療費が高額化している実態があるため、効率性も踏まえて適 正化する観点から、一連の訪問看護を包括評価する仕組みを導入するべき。併せて、 頻回な訪問看護が必要な場合に主治医の指示書に明記することを求めるべき。 ④ 歯科訪問診療等 歯科訪問診療料について、同一建物に居住する多人数を訪問して1人当たり診療時 間が20分未満の場合、適切な処置等が実施されていないと考えられるため、適正化 するべき。 訪問歯科衛生指導料について、同一建物の患者数が多いほど指導時間が短い傾向を 踏まえ、時間区分によるメリハリのある評価体系に見直すべき。 ⑤ 訪問薬剤管理指導 在宅薬学総合体制加算2について、無菌製剤処理の実績が極めて乏しく、高い加算 を算定するために無菌調剤設備を設置している可能性があることから、施設基準か ら無菌調剤設備を除外するべき。 訪問薬剤管理指導を実施している薬局に夜間や休日に連絡がつかず、他の薬局が代 わりに対応する事例がみられることを踏まえ、訪問薬剤管理指導料の要件に時間外 対応を位置づけるべき。 (5) 賃上げへの対応 医療機関に勤務する労働者の確実な賃上げに向けて、検証が可能な手当ての仕組みを創 設するべき。その際、看護職員処遇改善評価料やベースアップ評価料は幅広い職種を対象 とし、統合した分かりやすい報酬体系とすることや、夜勤における人材確保に向けて夜勤 手当の増額等の対応が考えられる。月額給与の引上げに伴い賞与を減額する等の不適切な 運用が生じないよう、正当な処遇改善を担保する要件を設定することも必要である。 (6) 物価上昇への対応 医療機関の機能等により物価高の影響が異なることを踏まえ、費用構造の違いを反映し た手当てとするべきである。物価水準は常に変動するものであり、長期推移も念頭に置き、 物価上昇率の見込み値と実績値に差異が生じることを想定した検討も必要である。 11 64 Ⅲ.個別事項 (1) 医療DX 医療の効率化と医療の質向上の恩恵を医療機関・薬局、患者、保険者が享受するため に、医療 DX の本格的な活用は不可欠である。マイナ保険証とオンライン資格確認等シ ステムは医療 DX の基盤となるものであるが、既に環境整備は完了し、従来の保険証の 発行が停止され、マイナ保険証による受診が原則となったことから、現行の医療 DX 推 進体制整備加算と医療情報取得加算を継続する必要性は乏しく、速やかに廃止すべきで ある。 また、電子処方箋管理サービスと電子カルテ情報共有サービスは医科、歯科、調剤で活 用場面や有用性の程度が異なり、一体的に推進することは現実的でない。今後の評価を 検討する際には、医科においては電子処方箋と電子カルテの普及を一体的に推進する国 の方針や夏頃に普及計画が示されることを踏まえる必要がある。歯科においては、薬剤 処方の範囲が限られていることや電子カルテ情報共有サービスに歯科の情報が含まれて おらず、閲覧のみに活用が限られる想定であること、調剤においては、電子処方箋が既に 普及している一方、電子カルテ情報は閲覧のみに限られることが想定される。こうした違 いや、医療 DX を患者との情報共有を進めるツールとして生かしていくことを念頭に入 れるとともに、システム運用費用が全国民の保険料で賄われていることを前提とし、減算 も含めた対応とすべきである。 (2)明細書の無料発行 患者中心の透明性のある医療の観点から、明細書を完全に無料発行とすべきであり、 診療所のみを対象とする明細書発行体制等加算は、かたちを変えて発行費用を患者もし くは保険料で負担するものであり、直ちに廃止するべき。 (3)働き方改革 地域医療体制確保加算については、救急搬送 2,000 件以上を要件とする他の加算との 統合を含め、加算のあり方を見直すことが望ましい。仮に現行の枠組みを継続するので あれば、時間外労働の上限基準を確実に引き下げることが不可欠である。 また、AIやICT機器を積極的に活用して医師や看護職等の事務作業を軽減し、労働生 産性を高める取組みは推進すべきである。ただし、現時点では活用できる機器や対応で きる医療機関が限られており、実際にどの程度の業務を省力化できるか、引き続き検証 が行われるべきことに留意すべきである。 12 65 (4)後発医薬品・バイオ後続品 後発医薬品とバイオ後続品の積極的な使用は、医療関係者、保険者、患者が一体となっ て医療費を適正化するための最も基礎的な取組みである。 後発医薬品の使用については、数量割合、金額割合ともに相当程度まで上昇したこと を踏まえ、薬価制度上の措置による長期収載品の早期薬価引下げも念頭に入れ、長期収 載品の選定療養を厳格化することで、後発医薬品の更なる使用促進を図ることが考えら れる。医療機関・薬局における後発医薬品の使用に伴うかかり増し経費等を考慮したと しても、これまでと同様の加算の仕組みを継続する妥当性は低い。特に薬局については、 地域の医薬品供給拠点機能を評価する他の加算があることを踏まえ、減算を中心とする 仕組みに切り替えるべきである。 その一方で、バイオ後続品については、薬剤費が包括評価となっていない成分でバイオ 先行品からの置換え率が低調であることを踏まえ、外来における包括評価を検討すべき である。また、医師による一般名処方を評価し、薬局においてバイオ先行品から切り替え る取組みを推進することは妥当である。 (5) 救急医療 救急患者連携搬送料について、急性疾患の治療を終えた患者を算定対象から除外した うえで、安全性の担保を前提として、自院の緊急自動車を使わずに下り搬送した場合 にも算定を可能とすることや、近隣に搬送先が見つからず、搬送が長時間にならざる を得ない場合を想定して長時間加算を設定することが考えられる。 入院の医療資源を必要な患者に集中するためには、緊急外来の役割が重要である。院 内トリアージ実施料や夜間休日救急搬送医学管理料の評価を再編するとともに、現行 では直接的な評価を実施していない体制や取組みについて、救急外来の充実度に応じ た評価を導入することが考えられる。 救急医療管理加算については、患者の状態を評価する指標に基づいて定量的な基準を 設定するべきであり、救急車等やウォークインの救急患者の対応実績に応じて評価に メリハリを付けることも考えられる。 (6)リハビリテーション 急性期のリハビリテーションについて、早期リハビリテーション加算、初期加算、急 性期リハビリテーション加算の要件として、発症日から3日以内にリハビリテーショ ンを開始することを規定するとともに、休日にリハビリテーションを中断しないよう、 必要な体制確保を急性期病棟に求めるべき。 運動器リハビリテーションについて、回復期リハビリテーション病棟と同様に他の病 棟においても算定上限を1日6単位とするべき。 13 66 ベッド上の訓練については、業務負担が小さく、1日3単位を超えてもFIM利得の改 善が乏しいことを踏まえ、評価の適正化と算定上限の厳格化が必要である。 退院時リハビリテーション指導料は、入院中にリハビリを実施した患者に算定を限定 するべき。 (7) 小児・周産期医療 母体・胎児集中治療室(MFICU)について、現行の医師配置要件でユニットを維持で きない地域で施設基準を緩和する場合には、周産期医療の体制構築に係る指針に基づ く適切な運用を担保するべき。一方で、周産期医療の集約化に向けて、母体搬送や帝 王切開の実績要件をMFICUに導入するべき。 新生児特定集中治療室(NICU)の実績基準の引下げについては、周産期母子医療セン ターを集約化する流れに逆行しないよう、適切な基準を設定するべき。 小児科療養指導料を算定する患者が成長するなかで、継続的に医療を受けられるよう に、内科等においても適切な医学管理を担保するべき。 (8) 感染症対策 抗菌薬適正使用体制加算について、ガイドラインを踏まえてサーベイランスの評価方 法を見直す場合には、Access抗菌薬の使用比率が低い医療機関の適正使用の底上げも 併せて対応するべき。 感染症の検査について、マルチプレックス PCR の算定要件を厳格化するとともに、 単独の検査等について、スクリーニング目的での実施を厳しく制限するべき。 感染対策向上加算1について、薬剤耐性菌の検出割合の違いを踏まえ、微生物学的検 査室の有無により、評価にメリハリを付けるべき。 (9) 医療安全 医療安全対策加算の要件に、「 医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会」の報告書 案に基づく対応を位置付けるべき。 検体検査管理加算の施設基準でパニック値の報告・対応を義務付けるべき。 (10)精神医療 精神病床を削減し、医療資源を入院から外来に振り向け、地域移行を進める取組みを 推進していくことで、入院期間の短縮を図るべきである。看護配置20対1及び18対 1以下の精神病棟入院基本料については、経過措置を終了するか、平均在院日数の要 件を設定して着実に病床数を削減し、看護配置15対1以上に集約するべき。 14 67 患者の特性に応じた治療・ケアの観点で、過度な強制入院につながらないよう、入院 の必要性を判断する指標やチェックリストを患者割合要件として活用するべき。 補助金事業の指定類型に応じた評価となっている精神科救急医療体制加算について、 時間外、休日、深夜の入院件数が指定類型と相関しないことを踏まえ、実態が伴うよ うに要件を見直すべき。 精神科急性期医師配置加算について、精神身体合併症への対応を特定機能病院や拠点 的な急性期病院に促す方向で見直すべき。 通院・在宅精神療法について、初診待機を抑制する観点から、初診日の60分未満を再 診時と分けて評価する場合には、指定医とそれ以外でメリハリを付けるべき。 児童思春期支援指導加算について、患者数が少ない地域があることを踏まえ、患者数 の実績要件に応じて評価を細分化するべき。 (11)透析医療 慢性維持透析1について、算定回数が極めて多い場合の評価を適正化するべき。 血液透析から腹膜透析や腎移植に切り替えて患者の QOL を高める観点から、導入期 以外でも適切なタイミングで情報提供する場合を評価することが考えられる。 慢性維持透析患者のシャントトラブルへの対応について、自院や連携する医療機関で 対応することを基本とするべき。 以上 15 68 令和7年12月26日 国民が望み納得できる、安心・安全で良質な医療を安定的に提供するための 令和8年度診療報酬改定に対する二号(診療側)委員の意見 中央社会保険医療協議会 二 号 委 員 江 澤 和 彦 茂 松 茂 人 黒 瀨 巌 小 阪 真 二 太 田 圭 洋 大 杉 和 司 森 昌 平 〔 医 科 〕 Ⅰ 基本的考え方 わが国では世界に類をみない少子高齢社会が進展し、人生 100年時代を迎えようとして いる。国民が幸せな生活を持続するために、安心して医療・介護を受けられるようにする ことは不可欠である。そして、日本の「国民皆保険」という財産を守り抜き、次世代へつ ないでいかなければならない。 しかし、昨今、急激な物価高騰・人件費上昇がみられる中、これまで適正化の名の下、 社会保障費は削られ続け、診療報酬改定が追いついていないため、医療機関は経営状況が 著しくひっ迫しており、過去に例をみない閉院や倒産が続いている。 診療報酬は、国民にとって安心・安全で質の高い医療を提供するための原資であり、原 則2年ごとに改定される際に、その間の2年間の賃金や物価の動向が適切かつ十分に反映 されるものでなければならない。 社会保障審議会が本年 12月9日にとりまとめた「令和8年度診療報酬改定の基本方 針」の基本認識では、現下、日本経済は持続的な物価高騰・賃金上昇の中にあり、30年 続いたコストカット型経済から脱却し、新たなステージに移行しつつあるとされた。一方 で、医療分野は公定価格によるサービス提供が大宗を占めているため、この経済社会情勢 の変化に機動的な対応を行うことが難しく、サービス提供や人材確保に大きな影響を受け ていることから、医療機関等の経営の安定や現場で働く幅広い職種の賃上げに確実につな がる的確な対応が必要とされている。 その上で、安心・安全で質の高い医療を実現するためには、医療技術の進歩や高度化を 国民に還元するとともに、医療現場において ICT 等を活用し、更なる医療 DXを進めて いくことが必要である。 そして高齢者人口がピークを迎える 2040年の医療提供体制の展望を見据え、実効性の ある医師・医療従事者の働き方改革を推進し、総合的な医療提供体制改革を遂行すること で持続可能な制度を実現し、社会保障の更なる充実を図ることも重要である。 1 69 以上を踏まえ、令和8年度診療報酬改定では、地域における医療資源を有効活用しつ つ、継続して改革を進めるために必要な財源を配分すべきであり、医療者として地域医療 を面で守る使命感と倫理観に基づき、国民に質の高い医療を提供し、わが国の医療制度を 維持・発展させるため、以下に示す事項を基本方針として捉え、その実現に向けて取り組 むことを求める。 なお、これまで中医協で検討してきた項目については、現下の論点を幅広く議論してき たものであるが、医療機関が置かれている窮状を認識した上での優先順位等を前提に、議 論したものであっても実施しないものが出てくることは当然である。 1.診療報酬体系の見直し ○医療機関の創意工夫による運営を可能とする告示、通知等を含めた見直し ○施設基準等の簡素化や要件緩和も含めた適切な見直し ○人件費、医療材料費、食材料費、光熱水費及び委託費等の高騰を踏まえた適切な対応 2.あるべき医療提供体制コスト等(医業の再生産費用を含む)の適切な反映 ○「もの」と「技術」の分離の促進(ものから人へ) ○医学・医療の進歩への速やかな対応 ○無形の技術を含めた基本的な技術評価の重視 ○出来高払いを原則として、包括払いとの適切な組み合わせの検討 ○医学の進歩・高度化に対応するための設備投資、医療DXやICT 連携、業務効率化の ためのICT 、AI、IoT 等に必要な経費への確実な手当 3.大病院、中小病院、診療所が各々に果たすべき機能に対する適切な評価と、地域の医 療提供システムの運営の安定化 ○急性期から慢性期に至るまで良好に運営できる診療報酬体系の整備と十分な評価 ○救急医療、精神科救急医療等の不採算医療・政策医療を引き受けてきた医療機関が健 全に運営できる診療報酬の設定 ○地域の診療所や中小病院のかかりつけ医が地域包括ケアシステムにおいて担う中核的 機能を踏まえた手厚い評価 4.医師・医療従事者の働き方の実状を踏まえた診療報酬上の対応 ○医師等の働き方改革の推進 ○医療従事者の負担軽減策や勤務環境の改善に向けての取組への評価 ○タスク・シェア、タスク・シフトの推進による業務負担の軽減 5.小児・周産期医療の充実 6.不合理な診療報酬項目の見直し 7.その他必要事項の手当 Ⅱ 具体的検討事項 以上の基本方針を前提として、特に検討すべき具体的な事項を以下に列挙する。 2 70 1.初・再診料 (1)初・再診料、外来診療料の適切な評価(引上げ) 医師の技術料の最も基本となる部分であるとともに、経営原資となるものである。 急激な物価高騰、人件費の上昇など、現下の経済社会情勢にも対応し、医療機関の健 全な経営のために医師の技術を適正に評価し、職員等の人件費や施設費等のコストに 見合った点数に引上げること (2)同一医療機関における同一日複数科受診の評価 同一医療機関において、同一日に複数の診療科をそれぞれ異なる疾患で受診した場 合、すべての診療科について、初・再診料の区別なく、逓減することなく算定できる ようにすること (3)医療DXのさらなる推進のための評価 医療DXを行うための費用(導入費、保守・点検料、維持費)は、医療機関にとっ て大きな負担となっている。また、今後の電子カルテ情報共有システムの導入など、 電子カルテ等の改修に伴う多大な費用負担が発生することから、医療DXに係る診療 報酬上の評価の見直しを行うこと (4)かかりつけ医機能のさらなる評価 超高齢社会及び新興感染症対応(ワクチン接種など)のため、地域包括ケアシステ ムの確立に向け、診療報酬上のかかりつけ医機能をより充実させる必要がある。具体 的には、地域包括診療加算・地域包括診療料、認知症地域包括診療加算・認知症地域 包括診療料、小児かかりつけ診療料における要件を見直すとともに、点数を引上げる こと 外来管理加算や特定疾患療養管理料等のかかりつけ医機能の評価に係る点数は、対 象疾患への関わりや機能の違いについて中医協で審議した上で導入されたものであ り、質の高い生活習慣病の治療・管理に貢献してきたことを踏まえれば、これまでの 経緯・運用を軽視するような見直しはすべきではないこと かかりつけ医は、患者が自由に選択できるものであり、皆保険である日本の優れた 医療保険制度において、その根幹であるフリーアクセスを阻害するような評価となら ないよう注意が必要であること(受診抑制につながる過度な機能分化やかかりつけ医 の制度化などは導入しないこと) (5)外来感染対策向上加算の見直し 外来感染対策向上加算は、カンファレンスに年2回、訓練に年1回参加すること、 連携強化加算は年4回感染状況を報告すること、サーベイランス強化加算は JANIS等 に参加することなど、様々な施設基準等が設定されている。業務の煩雑さや急激な物 価高騰による感染対策費用の増加を考慮すれば、それに見合った適切な評価が必要で あること 等 2.入院基本料 (1)入院基本料の適切な評価 急激な物価高騰、光熱費等の高騰に対応するとともに、医療機関の設備投資・維持 管理費用について明確に評価し、多職種協働によるチーム医療の推進を踏まえ、医療 3 71 従事者の人件費について適切に評価すること (2)重症度、医療・看護必要度 重症度を適切に示す評価指標は必要であるが、改定のたびに評価項目を変更するこ と自体、医療現場にとって大きな負担となっており、今改定での評価項目の大幅な見 直しは避け、内科系技術の評価等、不合理点の是正に留めるべきである (3)入院医療の評価体系 より質の高い入院医療の提供を促す見直しを行うとともに、物価高騰、賃金上昇等 が続く中、医療機関は非常に厳しい経営を強いられており、医療機関の運営が継続で きる評価体系とするとともに、急激な変更は現場に過大な負担となることから避ける べきである 各医療機関が地域の医療提供体制も踏まえながら、時間をかけて対応できる仕組と すること (4)入院中の患者の他医療機関受診の取扱いの更なる見直し 多くの疾患を有する高齢者の増加や、専門医療が高度化している現在、他医療機関 受診時の出来高入院料・特定入院料等の減算は懲罰的な規則であり、国民の受療する 権利を阻害している また、他医療機関での保険請求ができないことで、手続きが非常に煩雑になるとと もに、特定入院料等算定医療機関では保険請求すらできず全額持ち出しとなっている ため、他医療機関での保険請求を可能とすること (5)地域包括ケアシステムに欠かせない有床診療所の評価 地域における身近な入院施設として、地域包括ケアシステムの中でも様々な役割が 期待されており、そのニーズに応じた機能を支援すること 複数医師の配置や夜間の医師、看護職員配置が可能となるような入院料の引上げ 等 3.入院基本料等加算、特定入院料 (1)医師事務作業補助体制加算の算定病棟拡大、施設基準の見直し 医師の事務作業が多いのはすべての医療機関の問題であり、全病床種別で算定可能 とすること。また、緊急入院患者数や全身麻酔による手術年間件数など厳しい施設基 準要件となっており、見直しを要する さらに、外来のみの診療所での算定も可能とすること (2)特定集中治療室管理料等の見直し 宿日直を行う医師を配置しつつ地域の高度急性期治療を支える治療室を維持するた め、特定集中治療室管理料や母体・胎児集中治療室管理料等の管理料については、臨 床現場の実態に合致した適切な評価へと見直しを行うこと (3)地域包括医療病棟入院料の施設基準の見直し 施設基準が全般的に厳しく、高齢者救急等を積極的に受け入れても要件のハードル が高く、病棟本来の機能を十分に活かせないため、要件緩和を行うこと (4)精神科地域包括ケア病棟入院料の施設基準の見直し 入院期間が通算180 日を超える患者については特別入院基本料の算定とされてお り、在宅復帰に向けた多職種による継続的な支援が不可欠である実態と乖離がみられ 4 72 ることから、180日を超えた患者に対する実態に即した評価として、15:1入院基本料 の算定を可能とすること また、多職種による退院支援体制は、精神病棟入院基本料と同様の負担を伴ってい ることから、看護配置加算及び看護補助加算等の算定も可能とすべき さらに、「入院患者の7割以上が180日以内に自宅等に退院すること」が施設基準 として定められているが、地域における適切な退院先の受皿整備が十分に進んでいな い現状を踏まえれば、自宅等移行率に関する要件の緩和が必要であるとともに、各施 設基準の一部については経過措置が設けられているものの、地域移行・退院支援の推 進を実効性のあるものとするためには、より多くの医療機関が当該入院料を算定でき るよう、経過措置期間の再設定を行うこと (5)精神病床の適切な評価 入院期間にかかわらず重度の精神症状を呈する患者が増加しているが、多くの精神 科病院では急性期以外の低評価な入院料を算定せざるを得ず、医療資源投入量が診療 報酬に十分に反映されていないため、精神病床の評価を正当に行うこと (6)短期滞在手術等基本料3の見直し 全身麻酔による短期滞在手術等基本料3の手術については、適切な点数がなされて いないため医療機関の持ち出しとなっており、地域の医療提供体制にも影響を与える ことから、適正な評価とすること 水晶体再建術については、改定の度に点数が引き下げられており、不採算のために 手術をやめざるを得なくなる可能性があることから、適切な対応を行うこと 等 4.医学管理等 (1)特定疾患療養管理料の対象疾患拡大 医療の進歩により新しい疾患概念や治療法が増加したことや、超高齢社会による疾 病構造の変化に適切に対応するために、対象疾患を拡大すること 本管理料は自身では体調などを管理できない患者に対して、医師が早期に介入する ことによって重症化予防や健康寿命の延伸に寄与しており、その役割に応じた積極的 な評価が求められる (2)二次性骨折予防継続管理料の適応拡大 入院を要する脊椎椎体骨折症例においても、新たな椎体骨折の発生を予防する観点 から骨粗鬆症の継続治療は必須であり、適応を拡大すること (3)小児科外来診療料・小児かかりつけ診療料の見直し 初期小児救急において、診療終了前後の駆け込み受診や夜間救急の受診ニーズは非 常に高く、診療終了後の患者受け入れ拡大が必要であることから、小児科外来診療料 の時間外加算等の見直しを行うこと 小児かかりつけ診療料については、小児に対するかかりつけ医機能の強化と安定的 な維持を図るため、算定要件及び施設基準の見直しを行うこと (4)生活習慣病管理料の算定要件の見直し 患者への丁寧な説明や同意取得の手間等を考慮し、療養計画書のデジタル化または 廃止、あるいは様式内容や交付頻度の見直しを行うこと 5 73 同月において、主病とは関連のない他の医学管理料を算定できるようにすべきであ るとともに、糖尿病を主病とする場合においても、インスリンと関連のない在宅自己 注射指導管理料は、算定を可能とすること (5)ロコモ・フレイル指導管理料の新設 健康寿命の延伸の阻害因子であり、フレイルの大きな要因であるロコモティブシン ドロームの改善のため、ロコモのリスクを高める疾患を対象とし、多職種が個別計画 的に指導を行う「ロコモ・フレイル指導管理料」を新設すること 等 5.在宅医療 (1)機能強化型在宅療養支援診療所における病床の有無による点数格差の是正 有床、無床にかかわらず医療行為は同等であり、無床診療所においては連携後方支 援病院への入院依頼などの対応が発生している。このため、無床であっても有床の場 合と同等の点数とすること (2)下り搬送を受け入れた側の医療機関への評価 前回改定において、三次救急医療機関等に救急搬送された患者を連携する他の医療 機関に転院搬送する場合、いわゆる下り搬送の評価が新設されたが、転院搬送を受け 入れた側の医療機関に対する評価もあわせて行うこと (3)在宅患者訪問診療料(Ⅰ)・(Ⅱ)の要件緩和 多様で複雑な疾患をもつ患者が増加しており、在宅医療のさらなる推進のために は、主治医の専門以外の診療科を加えたチーム医療が必須であることから、専門的な 処置を要する場合など、月に複数回の訪問診療料の算定を可能とすること (4)小児在宅医療の充実 在宅小児経管栄養法指導管理料について、「経口摂取が著しく困難な 15歳未満の患 者、又は15歳以上であっても 15歳未満から継続して経口摂取が著しく困難な患者 (体重20kg未満に限る)」が算定要件となっているが、15歳未満から経管栄養を継続 していれば算定可能とすること (5)終末期に向けての意思決定支援管理料の新設 終末期医療において、本人の意思を尊重するための人生会議(ACP)が推奨されて いるが、医療従事者を交えた ACPを評価することにより、本人が望む終末期医療が提 供され、尊厳が保持される 等 6.検査・画像診断 (1)DPC病院を退院した月と同月の外来における検査料の算定要件緩和 診断群分類(DPC)点数表による算定を行った患者が退院した場合、退院した月と同 じ月に外来において月 1回のみ算定することとなっている点数(診断群分類点数表に より包括される点数に限る。)は別に算定することができない規定となっており、他 科疾患で入院した場合も、退院後同月内には算定できない検査がある。他科の検査を 認める等の除外項目を設けるなどの対応を求める (2)原材料費の高騰に伴う検査料の見直し 原材料費のコスト上昇の影響を受け、いわゆる逆ザヤとなっている検査について評 6 74 価の見直しを行うこと (3)休日夜間の緊急遠隔読影における医師の要件の見直し 働き方改革、外来医師の負担軽減が可能となるよう画像診断管理加算2(夜間また は休日の緊急遠隔読影)の要件を見直すこと (4)コンピューター断層診断の算定回数の見直し CT及びMRの特性と診療上の役割を踏まえコンピューター断層診断の算定回数を見 直すこと 等 7.投薬・注射 (1)ポリファーマシーは、単に服用する薬剤数が多いことではなく、それに関連して薬 物有害事象のリスク増加、服薬過誤、服薬アドヒアランス低下等の問題につながる状 態であり、7種類以上の内服薬処方時及び向精神薬多剤投与時の処方料、薬剤料、処 方箋料の減算の撤廃 多数の疾患を抱える患者、特に高齢者をかかりつけ医が担当するためには多剤投与 が必要となるケースは避けられない。かかりつけ医機能を発揮する観点からも、7種 類以上の処方箋料等の減算の廃止を求める (2)院内処方、院内調剤の適正評価 院内処方を行う医療機関と調剤薬局では同一の手間とコストが必要になるにもかか わらず、報酬格差が大きいため、分包した際の評価を行うなど、院内処方の評価を見 直すこと (3)高額医薬品管理のための評価の新設 各医療機関においては、高額医薬品は使用に至るまでの適切かつ慎重な薬剤保管及 び解凍作業等が必要であるとともに、当該医薬品の管理コストと使用不可・破損のリ スクを負っていることから、高額医薬品の管理料を新設する 等 8.リハビリテーション (1)リハビリテーションに係る医療・介護・障害連携の推進 医療・介護・障害連携を行うための情報共有を推進するため、ICTシステム導入の 財政的支援も踏まえ診療報酬で評価を行うこと リハビリ専門職等を含む医療従事者の確保が困難となる中、限られた医療資源にお いてスタッフの兼務、設備の兼用を更に推進していくこと (2)運動器リハビリテーション料に係る急性増悪の定義の変更 急性増悪の判定は FIMでは十分な評価ができないことが明らかとなってきているこ とから、運動器疾患の急性増悪の定義として「ロコモ 25」(ロコモ度テスト)を評価 の指標として用いることを求める 等 9.精神科専門療法 (1)精神保健福祉法改正に伴う通院・在宅精神療法の評価の新設 精神保健福祉法改正に伴い、令和7年6月より精神保健指定医を目指す精神科医師 に対する病院勤務指導医の役割がより厳格化されたが、この指導的業務に対する評価 7 75 は現在設けられていない。精神保健指定医は厚生労働省が指定する国家資格であり、 その取得に必要な指導体制の確立・維持についても治療と同様に適正に評価すべき (2)精神保健福祉法改正に伴う医療保護入院等診療料の評価 改正精神保健福祉法では、医療保護入院等に関する判断がより明確化かつ厳格化さ れ、家族や地域との連携体制に係る新たな業務等が拡充されたことから、現行の医療 保護入院等診療料については更なる評価が必要である 等 10.処置・手術・麻酔 (1)人工腎臓における効率性を基にした点数設定の見直し 現在、透析の効率性に基づく評価として、各施設の透析監視装置1台あたりの患者 数による評価がなされているが、人員の確保等を工夫し、効率良く治療を行っている 医療機関に対して不合理な点数設定となっている。医療の質と関係のない効率性によ って処置点数に区分を設ける点数設計を見直す (2)治療用装具の価格上昇に伴う処置の適切な評価 治療用装具の価格上昇に伴い、頸部固定帯、胸部固定帯、腰部固定帯加算の点数よ りも納入価格が高くなっていることから、評価を見直す (3)手術料の適正な評価 9割以上の術式において、外保連手術試案上の人件費のみで実際の診療報酬額を上 回っていることから、今回改定における一層の増点を求める (4)同一手術野で実施する複数手術の評価 同一手術野又は同一病巣につき、2以上の手術を同時に行った場合の費用の算定に ついて、主たる手術の所定点数のみならず、同時併施手術すべての所定点数を加える こと。一部の複数手術の組み合わせでは、従たる手術の 50%の加算が認められている が、併施されるすべての手術の診療報酬を 100%合算すること (5)診療材料を多く使う手術点数の評価 診療材料の実費が、診療報酬の 50%以上を占める術式が数多く存在している。償還 されない診療材料を多く使用する手術については、手術点数を適切に引上げること (6)第11部麻酔の通則における休日・時間外・深夜加算の新設 前回改定において、手術・処置の【休日加算 1】・【時間外加算 1】・【深夜加算1】の 施設基準が見直されたが、医師の働き方改革が一段と進む中、勤務医の負担軽減の観 点から、第11部麻酔の通則においても休日・時間外・深夜加算を新設すること 等 11.ベースアップ評価料 ベースアップ評価料は対象職種が限定されている等の課題があることから、基本診 療料を中心として上乗せすること 春闘賃上げ2年連続5%超えに比べて、診療報酬改定によるベースアップ評価料は 低い水準に留まっており、医療機関に従事するすべての職員を対象とした適切な評価 の見直しを求める 等 8 76 12.その他 (1)診療上必要な文書の簡素化等 患者に説明を要するものには「文書」を必須とせず、電子媒体による説明でも可と すること (2)改定時における点数告示等の早期化、周知期間の確保、行政によるきめ細かな説 明・周知 (3)電子カルテ規格の標準化 (4)その他必要事項 等 9 77 〔 歯 科 〕 Ⅰ 基本的考え方 社会保障審議会(医療部会・医療保険部会)が取りまとめた令和 8 年度診療報酬改定の 基本認識には「2040年頃を見据えた、全ての地域・世代の患者が適切に医療を受けること が可能かつ、医療従事者も持続可能な働き方を確保できる医療提供体制の構築」が掲げら れている。 少子高齢化・人口減少といった人口構造の変化が急速に進む中、社会の活力を維持・向 上し、全世代型社会保障を構築する鍵は「健康寿命の延伸」であり、口腔の健康が全身の 健康及び健康寿命の延伸に寄与する多くのエビデンスが示される中、歯科医療の果たす役 割や責務は非常に大きいと考える。 具体的には、ライフコースに応じたう蝕や歯周病を含めた口腔疾患の重症化予防及び口 腔機能の獲得・維持・向上に資する歯科医療を「かかりつけ歯科医」が中心となって提供 することが重要である。また、超高齢社会において増加する要介護者や基礎疾患を有する 高齢者への歯科医療や口腔健康管理への対応等を通じ、生活の質の向上に寄与することも 責務である。そして、歯科医療機関を受診する患者像が多様化する中、かかりつけ歯科医 を含めた多職種連携の強化は重要で、地域において面で支える医療を確立し、歯科医療や サービスを提供する場が変わっても、連携の下、必要な医療を切れ目なく提供することが できる体制を構築する必要がある。 歯科医療においても、医療 DXの推進による医療情報の有効活用、ICTの利活用、オン ライン診療の推進は重要な課題であり、令和 8年度診療報酬改定においてさらに推進して いくべきである。また、新型コロナウイルス感染拡大時の対応を踏まえ、新興・再興感染 症の発生、まん延時にも切れ目なく歯科医療が提供できるよう、平時からの連携協力を含 めた歯科医療提供体制を強化することが重要と考える。 一方で、基本的視点の重点課題である「物価や賃金、人手不足等の医療機関等を取りま く環境の変化への対応」について、その具体的方向性として「医療機関等が直面する人件 費や、医療材料費、食材料費、光熱水費及び委託費等といった物件費の高騰を踏まえた対 応」及び「賃上げや業務効率化・負担軽減等の業務改善による医療従事者の人材確保に向 けた取組」が示されている。昨今の急激な物価上昇により歯科医療機関の経営状況は悪化 しており、医療経済実態調査の結果からも、個人立歯科診療所においては収入の増加を費 用の増加が上回り、設備投資やスタッフの処遇改善もままならない厳しい経営状況が続い ていることが明らかになった。歯科医療従事者の賃上げは、他産業の水準に追いついてお らず、かつ求人倍率も高止まりしている状況であり、歯科医療関係職種にも応分の対応が 急務である。 今後も「国民の健康な生活を支える」という歯科医療提供者の本来の責務を持続的に果 たしていくため、以下に掲げる事項を基本方針と定め、歯科診療報酬について所要の改定 を求める。 10 78 ■ 物価や賃金、人手不足等の医療機関等を取りまく環境の変化への対応(重点課題) ➢ 医療機関等が直面する人件費や、医療材料費、食材料費、光熱水費及び委託費等と いった物件費の高騰を踏まえた対応 ・ホスピタルフィーとしての評価 ➢ 賃上げや業務効率化・負担軽減等の業務改善による医療従事者の人材確保に向けた 取組 ・医療従事者の処遇改善、歯科衛生士等の定着・確保 ■ 2040年頃を見据えた医療機関の機能の分化・連携と地域における医療の確保、地域包 括ケアシステムの推進 ➢ 「治し、支える医療」の実現 ・歯科診療所と病院歯科の機能分化・連携の強化 ・リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理等の高齢者の生活を支えるケアの推進 ・周術期等口腔機能管理および回復期等口腔機能管理の更なる推進 ・更なる医歯薬連携を含めた多職種連携の推進 ➢ 人口・医療資源の少ない地域への歯科医療の提供 ・へき地等歯科医療の提供体制整備と評価の充実 ➢ かかりつけ歯科医機能の強化と評価の充実 ・ライフコースに応じた口腔疾患の継続管理・重症化予防 ・医療連携、介護連携、多職種連携、地域連携の推進 ・質の高い在宅歯科医療の更なる推進 ■ 安心・安全で質の高い医療の推進 ➢ 医療DXやICT連携を活用する医療機関の体制の評価 ・医療DXに係る情報共有等、質の高い歯科医療提供体制の評価 ・歯科医療における ICT利活用、歯科におけるオンライン診療の推進 ➢ 口腔疾患の重症化予防等の生活の質に配慮した歯科医療の推進、口腔機能発達不全 及び口腔機能低下への対応の充実、歯科治療のデジタル化の推進 ・安心・安全で質の高い歯科医療の充実 ・う蝕・歯周病等の重症化予防の推進 ・口腔機能発達不全症及び口腔機能低下症への対応の充実 ・障害児(者)への歯科医療の充実 ・歯科治療のデジタル化の推進 ・歯科固有の技術に対するあるべき評価 ・歯科用貴金属の代替材料の開発・保険収載 ■ その他 ➢ 不合理な留意事項通知等の見直し ・留意事項通知、記載要領、施設基準等の整理 ・長期継続管理の阻害要因の排除と時間要件等の見直し 11 79 ・算定できない麻酔薬剤料の評価 ・その他必要な事項 Ⅱ 具体的検討事項 ➢ 医療機関等が直面する人件費や、医療材料費、食材料費、光熱水費及び委託費等と いった物件費の高騰を踏まえた対応 1.ホスピタルフィーとしての評価 昨今の歯科医療機器や材料価格の高騰、光熱水費、歯科技工委託費や医療廃棄物 処理等の委託費等の上昇は、もはや歯科医療機関の自助努力で対応できる範疇を超 えており、今後も高騰基調が落ち強く見通しが立たない状況にある。特に歯科医療 は歯科技工物といった材料への依存度が大きいことから歯科診療所の経営状況は厳 しい状況にある。コロナ禍以降実施している従来の標準予防策より更に強化した感 染防止対策等による安心・安全で良質な歯科医療提供を継続するためにも、ホスピ タルフィーである初診料・再診料での評価拡充が不可欠である。 ➢ 賃上げや業務効率化・負担軽減等の業務改善による医療従事者の人材確保に向けた 取組 2.医療従事者の処遇改善、歯科衛生士等の定着・確保 医療経済実態調査の結果から、歯科衛生士等の給与水準は、一般病院の医療技術 員よりも低い水準にとどまっている。個人立歯科診療所における歯科衛生士の賃上 げの状況は、骨太の方針 2025でも示された 2025年春季労使交渉の平均賃上げ率 5.26%には到底及ばず、このままの状況が続けば歯科衛生士等の雇用にも大きな影 響を及ぼすことが懸念される。医療従事者の処遇改善はホスピタルフィーである初 診料・再診料の大幅なプラス改定による対応が必要不可欠である。その際、令和 6 年度改定におけるベースアップ評価料の対応を踏まえ、できる限り簡素で、かつ賃 上げの実効性が確保される仕組みとすべきである。さらに、歯科技工所に勤務する 歯科技工士の処遇は、製作物に対する技術料の評価を通じて、処遇改善に寄与して おり、製作物に対する技術料の評価の充実を求める。 ➢ 「治し、支える医療」の実現 3.歯科診療所と病院歯科の機能分化・連携の強化 歯科診療所と病院歯科との役割分担を明確にし、より高度な歯科医療に関しては病 院歯科がかかりつけ歯科医と連携の上、対応するようあるべき姿を検討すること。 また、歯科における地域医療連携の核となっている歯科併設の病院や歯科標榜のな い病院と地域歯科医療連携室等との連携機能を評価するとともに、歯科を標榜する病 院が 2 割ほどしかないことから、地域歯科診療所との更なる連携推進は重要であり、 連携の妨げになっている項目を是正し、より推進するよう見直すこと。 4.リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理等の高齢者の生活を支えるケアの推進 急性期医療におけるリハビリテーション、栄養管理及び口腔管理等と同様に、回復 12 80 期医療及び慢性期医療を担う病院における口腔健康管理の推進は重要な視点であり、 令和6年度改定で導入された回復期等口腔機能管理を更に推進すること。 5.周術期等口腔機能管理および回復期等口腔機能管理の更なる推進 周術期等口腔機能管理も長期に及ぶことがあり、放射線治療、化学療法、集中治療 室における治療又は緩和ケアを実施する患者に対する継続的な口腔機能管理の観点 から、口腔機能の管理計画の変更があった場合における周術期等口腔機能管理の評価 を見直すこと。また、回復期等口腔機能管理については、令和 6年度改定に係る検証 調査の結果から、入院患者のうち、全体や疾患別でも、リハビリテーション・栄養・ 口腔連携体制加算の算定有無による退院後の歯科受診状況に大きな差はなく歯科受 診率が低いことが明らかになっており、入院患者の口腔衛生などの取り組みととも に、退院後の歯科受診率を増やすための実効性ある取組を検討すること。 6.更なる医歯薬連携を含めた多職種連携の推進 歯科のない病院の入院患者に対する口腔衛生の取組や、糖尿病患者を含めた生活習 慣病患者に歯科への受診指導を行う観点等を踏まえ、医科歯科連携のみならず、多職 種連携の推進をさらに検討すること。 ➢ 人口・医療資源の少ない地域への歯科医療の提供 7.へき地等歯科医療の提供体制の整備と評価の充実 歯科医師の高齢化の進展等により歯科医療が十分に提供されていない地域等にお いて歯科巡回診療を適切に推進するために、地方自治体等と連携して実施する歯科巡 回診療車を用いた巡回診療に関する評価を検討すること。 ➢ かかりつけ歯科医機能の強化と評価の充実 8.ライフコースに応じた口腔疾患の継続管理・重症化予防 乳幼児期から高齢期にわたるライフコースにおける継続的・定期的な口腔管理と口 腔疾患の重症化予防に対する評価の充実を図ること。 また、歯周病や小児及び高齢者のう蝕管理等を含めた長期管理はもとより、口腔機 能に着目した小児口腔機能発達不全症や口腔機能低下症等の重症化予防も重要であ り、その評価を整理すること。 9.医療連携、介護連携、多職種連携、地域連携の推進 地域において面で支える医療を確立するために、歯科医療やサービスを提供する場 が変わっても、連携の下、必要な歯科医療が切れ目なく提供されるよう検討すること。 10.質の高い在宅歯科医療の更なる推進 かかりつけ歯科医による歯科訪問診療の更なる推進と充実のため、患者の居宅や介 護保険施設、病院等における診療の内容や要する時間を踏まえ、実態に応じた評価を 行うこと。 13 81 また、患者の外来診療から在宅診療への移行時や入退院時において、かかりつけ歯 科医と関係医療職種や医療機関等との連携強化等、幅広い取組が実施できるよう検討 するとともに、在宅専門の歯科医療機関のあり方を引き続き検討し、地域における連 携を強化すること。 併せて、超高齢社会の実態を踏まえ、様々な居住地での歯科医療提供について更に 検討するとともに、後方支援の役割を担う在宅療養支援歯科病院等の評価を見直すこ と。 ➢ 医療DXやICT連携を活用する医療機関の体制の評価 11.医療DXに係る情報共有等、質の高い歯科医療提供体制への評価 国策として実施されたオンライン資格確認導入の原則義務化から 2 年 8 か月が経 過し、オンライン資格確認端末の保守期限切れに伴う機種変更や、電子処方箋、将来 の電子カルテ共有サービスへの対応も視野に入れた医療 DXに係る取組に関し、必要 な機材の購入やインフラ整備に係る費用に一定の補助はあるものの、運用面への診 療報酬上の評価がなされておらず医療機関にとって大きな負担となっている。医療 DX により実現する患者の診療情報等を活用した安心・安全で質の高い歯科医療を更 に推進するため、サイバーセキュリティ対策を含めて実態に応じた診療報酬上の評 価の導入を検討すること。 12.歯科医療における ICT利活用、歯科におけるオンライン診療の推進 ICTを活用した歯科診療等に関する検討会における議論を踏まえ、歯科におけるオ ンライン診療の推進や医療DXの取組を加速すること。また、歯科医療の生産性向上 や医療従事者の業務の効率化に資する ICT 活用として、例えば診療録の音声入力、 検査結果の音声入力等の好事例や先進的取組を収集し、医療保険のなかで評価する こと。 ➢ 口腔疾患の重症化予防等の生活の質に配慮した歯科医療の推進、口腔機能発達不全 及び口腔機能低下への対応の充実、歯科治療のデジタル化の推進 13.安心・安全で質の高い歯科医療の充実 令和 6 年度改定で新設された歯科外来診療医療安全対策加算、歯科外来診療感染 対策加算は歯科医療機関における医療安全対策並びに感染対策に係る体制を評価す るものであり、安心・安全な歯科医療提供体制を更に推進するため評価の充実を図る こと。 14.う蝕・歯周病等の重症化予防の推進 抜歯の2大原因疾患であるう蝕・歯周病の重症化予防は「攻めの予防医療」の方向 性と一致するものであり、更に推進する方向で検討すること。 15.口腔機能発達不全症及び口腔機能低下症への対応の充実 乳幼児期における口腔機能の獲得、壮年期における口腔機能の維持、高齢期におけ 14 82 る口腔機能の回復等のライフコースに応じた口腔機能管理を推進するため、口腔機能 発達不全症及び口腔機能低下症の検査の拡大や実態に応じて頻度等を見直すこと。ま た、口腔機能管理の取組が更に進むよう診療報酬上の評価を検討すること。あわせて、 歯科医師の指示で歯科衛生士が実施する口腔機能に係る指導の評価を拡充すること。 16.障害児(者)への歯科医療の充実 障害児(者)の生活に寄り添う歯科医療の提供には、居宅、施設、外来等のシーム レスな対応が求められ、病院併設歯科や障害児(者)医療施設等と歯科診療所の連携・ 管理、更に歯科訪問診療の充実も求められる。 近年増加傾向にある重度障害を有する乳幼児の口腔(衛生・機能)管理の対象年齢 を拡大し、シームレスな管理を推進すること。 また、障害児(者)や医療的ケア児においては、障害の程度や内容によって、一般 に口腔内の衛生状態を困難にする要因を多数持っており、歯科疾患の重症化及び再発 リスクが高いため、口腔内の管理に際して配慮すべき点が多い。こうした点を踏まえ、 障害児(者)の歯科治療や口腔内の管理を行うために、障害者歯科治療を専門に行う 医療機関の評価を検討すること。 17.歯科治療のデジタル化の推進 患者・国民が求める歯科医療は日を追うごとに進歩している。患者のニーズ等に対 応できるよう新規技術、新規医療機器、新規検査を積極的に導入するとともに、その 技術に見合った適切な評価を引き続き検討すること。特に、直近の素材価格の急騰を 踏まえれば、歯科用貴金属材料を用いないデジタル技術の適用拡大は喫緊の課題であ り、一層推進する必要がある。デジタル機器を用いた歯科補綴物の製作等をはじめ、 デジタル技術の保険収載や ICT を活用した新技術や連携、新たな検査の導入は喫緊 の課題として検討すること。 18.歯科固有の技術に対するあるべき評価 歯科医療の基本的技術料の中には未だ低評価に据え置かれている項目が多くある。 日本歯科医師会が実施した各国の診療行為別歯科医療費との比較においても、日本の 歯科治療費は低く評価され厳しい状況にあることが確認されている。良質な歯科医療 提供を継続できるよう、我が国の経済情勢や、歯科診療行為の実態に応じた適正な評 価を行う必要がある。 19.歯科用貴金属の代替材料の開発・保険収載 金の価格が最高値を更新し、金パラ価格も最高値を更新し続けている。市場価格の 影響を受けやすい歯科用貴金属に代わる材料の開発、保険収載及び適用拡大を推進す ること。 ➢不合理な留意事項通知等の見直し 20.留意事項通知、記載要領、施設基準等の整理 15 83 歯科点数表で解釈が示されていない内容、及び臨床現場の実情にそぐわない、過度 な事務負担を求める不合理かつ詳細すぎる通知等の是正、並びに記載要領の整理を行 うこと。また、施設基準等は適切な整理を行うとともに、届出におけるオンライン化 を更に推進すること。 21.長期継続管理の阻害要因の排除と時間要件等の見直し 長期にわたる維持管理を推進するにあたって、阻害要因となりかねない規定を見直 すこと。特に1初診 1回の算定制限については見直しが必要である。 22.算定できない麻酔薬剤料の評価 処置、歯冠形成に包括されている浸潤麻酔に係る手技料並びに麻酔薬剤料につい て、麻酔薬剤料は別途算定できるよう見直すこと。 23.その他必要な事項 16 84 〔 調 剤 〕 <保険薬局における調剤報酬関係> Ⅰ 基本的考え方 現下の物価高騰・賃上げ等の影響により薬局の経営は年々厳しさを増しており、医薬品 の仕入価の高騰、「逆ザヤ」品目の急増及び毎年の薬価改定により、薬局の経営状況は極 めて逼迫している。薬局の経営を安定させ、医薬品供給拠点としての機能を維持すること、 従業員の賃上げを確実に実施できることが必要である。 薬剤師・薬局は国民・患者のための医薬分業を推進しつつ、地域の医薬品提供体制を担 い、かかりつけ機能を強化し、患者への個別最適化した薬物療法の提供や医療DXを活用し た医療機関等との連携強化、多職種連携による適切な医療提供に向け、薬剤師・薬局機能 の向上や薬局間連携の推進に一層取り組まなければならない。 また、国民・患者が住み慣れた地域で療養環境に関わらず必要な医療・介護が受けられ、 安全・安心に医薬品を使用できるよう、かりつけ機能を基本とした薬剤師・薬局による適 切な薬物療法の提供に資する業務の推進や適切な医薬品提供体制を確保することが必要で ある。 医薬品の供給不安の中でも国民・患者に必要な医薬品を確保できる薬局の体制整備、後 発医薬品の使用率の維持・更なる使用促進のため、以下の事項を基本とする取組を進めて いくことを求める。 1.薬局における物価高・賃上げ対応 2.医薬品供給拠点としての経営基盤・機能の強化 3.かかりつけ薬剤師・薬局機能の推進 4.医療機関や介護施設と薬局の連携強化 5.対物業務を基盤とした対人中心業務の推進 6.多職種連携による在宅薬剤管理指導の推進 7.医薬品の適正使用や医療安全確保のための病診薬連携の推進 8.医薬品供給不足問題への対応と後発医薬品・バイオ後続品の更なる普及促進 9.医療DXの推進や薬局業務の見直しによる働き方の効率化 10.その他 Ⅱ 具体的検討事項 1.薬局における物価高・賃上げ対応のための評価 2.医薬品供給拠点としての経営基盤・機能の強化 ・調剤基本料とその加算による評価 3.かかりつけ薬剤師・薬局による取り組みに対する評価 ・かかりつけ機能を活用した薬学管理指導の評価 ・かかりつけ医・歯科医をはじめとした多職種連携の強化 等 4.医療機関や介護施設と薬局の連携推進に関する評価 5.対物業務を基盤とした対人中心業務の適切な評価 17 85 ・医薬品適正使用のための薬学的知見に基づく管理・指導の評価 ・重複投薬、ポリファーマシー、残薬解消等への対応 ・服薬モニタリング、調剤後の継続的な服薬支援の充実 ・薬物療法における医療安全の確保に資する薬学的関与の充実 等 6.医療・介護連携による在宅薬剤管理指導の推進と充実 ・在宅訪問薬局の体制整備に係る評価の充実 ・医療・介護連携による在宅医療における薬学的管理・指導の評価の充実 等 7.医薬品の適正使用や医療安全確保のための病診薬連携の推進 ・病院薬剤師と薬局薬剤師の連携推進に関する評価 等 8.医薬品供給不足問題への対応と後発医薬品・バイオ後続品の更なる普及促進 ・医薬品の安定供給、後発医薬品の普及割合の維持、更なる使用促進に向けた 評価 ・バイオ後続品の使用体制の整備、使用促進の評価 9.医療DXの推進や薬局業務の見直しによる働き方の効率化 10.その他必要事項 <病院・診療所における薬剤師業務関係> Ⅰ 基本的考え方 高齢化に伴う医療・介護ニーズの変化や物価の高騰・人件費の増加等、医療機関 を取り巻く環境は一層厳しさが増している。また、2040年頃の医療・介護提供体制 を見据えた入院・外来・在宅医療・介護との機能分化や連携を含めた地域での良質 かつ適切な医療を効率的に提供する体制の構築に向けて、これらの基盤となる医療 DXの推進も課題となっている。 令和6年4月から実施された第8次医療計画には薬剤師の確保が明記されており、 各地域で様々な薬剤師確保・偏在対策が進められているものの医療機関に従事する 薬剤師の不足及び偏在問題は深刻で、あらゆる機会を捉えて就労環境の改善に努め ることが求められている。シームレスな薬物治療管理体制の構築に向けて、各医療 機関が充実した病棟業務を展開してこそ、施設間連携が機能すると考えられ、薬剤 師業務のより一層の充実が必要となる。 より良い医療環境の構築のため、以下に示す事項を基本方針として、その実現に 向けた環境の整備を求める。 1. 医療従事者の処遇改善 2. チーム医療・地域医療における薬剤情報連携の推進 3. 病棟における薬剤師業務の更なる充実 4.外来医療の機能分化・強化における薬剤師業務の推進 5.医薬品の安定供給の確保、後発医薬品・バイオ後続品の更なる普及促進 6.医療安全の向上及び薬物療法の最適化に向けた取り組みの推進 18 86 Ⅱ 具体的検討事項 1. 病院・診療所薬剤師の処遇改善 2. 転院、転所時のポリファーマシー対策を含めた薬剤関連情報の連携に関 する評価 3. 回復期リハビリテーション病棟等での病棟薬剤業務の評価 4. 救急外来における薬剤業務の評価 5. 医薬品の安定確保対策、後発医薬品・バイオ後続品の適正使用・使用促進に 関する評価 6. 外来腫瘍化学療法診療料の算定対象拡大、無菌製剤処理に関する評価 7. 訪問診療への薬剤師の同行訪問に関する評価 19 87 中央社会保険医療協議会総会(公聴会) 意見発表者名簿 (敬称略・発表順) 氏名 所属 1 ニシムラ サトル 澁谷工業健康保険組合 常務理事 西村 聡 2 ナガオ シン 医療法人社団長尾医院 理事長 長尾 信 3 タカムラ ノブユキ 日本労働組合総連合会石川県連合会 事務局長 高村 伸幸 4 サカガミ サトル 金沢医療センター 院長 阪上 学 5 ヤマモト クニヒコ 有限会社美川物流 代表取締役会長 山本 邦彦 6 マエダ ヒロシ 歯科前多 院長 前多 裕 7 マツシタ トモヒロ 金沢市市民局保険年金課 課長 松下 有宏 8 イマショウ ケイコ 丸岡らいふ薬局 薬剤師 今庄 恵子 9 フクイ カナ HPVワクチン薬害訴訟名古屋原告団 福井 香奈 白山石川医療企業団 看護局長 10 ハシモト ヨウコ 橋本 陽子 公立つるぎ病院 看護部参事

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