何が起きたか
株式会社ヘリオス(コード番号:4593、東証グロース、代表執行役社長CEO 鍵本忠尚)は2026年10月5日、株式会社JENECELLへの培養上清製品について、初回発注分1億4,400万円相当の出荷を完了し、売上を計上したと発表した。
出荷された製品は、化粧品の原材料となる培養上清である。ヘリオスは今回の出荷について、同社の細胞培養上清を基盤とした製品群における「初めての商業出荷」であり、再生医薬品パイプラインに続く収益機会の獲得に向けた具体的な一歩であると位置づけている。
会計上の取り扱いについては、本売上を2026年12月期第4四半期に計上するとしている。問合せ先は執行役CFOのリチャード・キンケイド氏(TEL:03-6807-5937)。
これまでの経緯と取引先
今回の発表は、2026年9月30日付で公表された「JENECELL社への培養上清製品の初回発注分の出荷時期に関するお知らせ」に続くものである。同社は9月30日の時点で、JENECELL社への化粧品原材料となる培養上清の出荷予定時期を開示していた。今回、その予定どおり出荷と売上計上が実行されたかたちだ。
取引先のJENECELL社は、ソウル市瑞草区(397 Seochodae-ro #A-1907, Seocho-gu, Seoul, 06616, South Korea)に本社を置く企業で、医療用医薬品卸売上高国内No.1の企業グループであるアルフレッサホールディングス株式会社の子会社、アルフレッサ株式会社の韓国子会社にあたる。幹細胞を基盤とした医薬品、医療機器、化粧品など多様な分野で製品開発を手がけており、とくに幹細胞培養上清液(Stem Cell Conditioned Media、MSC-CM)を基盤としたプレミアム・コスメティック事業を通じ、高機能スキンケア製品の開発を推進している。韓国のバイオ・ヘルスケア企業との戦略的協力を基盤に、イン&アウト(In & Out)ビジネスやM&Aを積極的に進めるオープンイノベーション戦略を掲げている。
ヘリオス側は、再生医療分野における治療法および製品の開発・提供を目指す事業展開の一環として、体性幹細胞培養上清液を基盤とした製品の研究開発および製造販売を推進してきたと説明している。
開発型バイオに「売上」が立つ意味
ヘリオスは2011年設立、2015年に株式上場したバイオテクノロジー企業で、iPS細胞などを用いた再生医薬品開発を主軸としてきた。体性幹細胞再生医薬品分野では、健康な成人ドナー骨髄由来の体性幹細胞から成るHLCM051について、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、脳梗塞急性期、外傷由来急性腎不全(AKI)の治験を実施している。iPSC再生医薬品分野では、免疫拒絶のリスクを低減する次世代iPS細胞であるユニバーサルドナーセル(UDC)を作製し、遺伝子導入により固形がんへの殺傷能力を強化した次世代NK細胞(eNK®細胞)AKT-01/HLCN061の開発を、開発パートナーである株式会社Akatsuki Therapeuticsの主導で治験開始に向けて進めている。
こうした開発パイプラインは、承認・上市まで収益を生まない。今回の出荷は、その構造に対して「再生医薬品パイプラインに続く収益機会」をつくる動きと自ら説明されている点に意味がある。しかも販売先は、国内最大手の医薬品卸グループの韓国子会社であり、化粧品という、医薬品に比べて製品化までの道のりが短い用途である。
ヘリオスは今後の継続的な受注に向け、製品の出荷量・出荷時期等をJENECELL社と引き続き協議しているとしている。また培養上清は医薬品や化粧品の材料など様々な分野での活用が期待されるとして、その他複数の有力な取引先とも関係構築や交渉を進めるとした。初回分が単発で終わるのか、継続的な収益源に育つのかは、この協議と交渉の進展にかかっている。同社は、今後開示すべき事項が発生した場合には速やかに知らせるとしている。