何が決まったか
持田製薬株式会社(東京都新宿区、代表取締役社長:持田直幸)は2026年10月9日、神経再生誘導材ReFeel®について、米国のPBC Biomed Inc.(米国・テネシー州メンフィス、President:Paul Burke)と米国における販売提携契約を締結したと発表した。
本契約に基づき、持田製薬の米国子会社であるMochida Medical USA, Inc.(米国・テネシー州コルドバ、President:毛利文彦)がPBC Biomed Inc.と連携し、ReFeel®の本格的な販売を開始する。販売体制については、PBC Biomed Inc.が複数の代理店を通じて全米各地に販路を広げ、ReFeel®の販売を推進するとしている。
つまり、日本の親会社が開発・保有する製品を、現地子会社と現地パートナーの二者がかりで売る形である。Mochida Medical USA, Inc.が米国側の拠点としてPBC Biomed Inc.と連携し、実際の販路拡大は代理店網を持つPBC Biomed Inc.が担う。リリースでは契約の金額や期間、対象地域の細目には触れられていない。
ReFeel®とはどのような製品か
ReFeel®は、アルギン酸ナトリウムとポリグリコール酸不織布で構成されたシート材の医療機器である。
持田製薬の説明によれば、アルギン酸ナトリウムは生体親和性のあるバイオマテリアルであり、神経損傷部位において神経再生に適した環境を維持し、神経の修復・再生を促す。一方、ポリグリコール酸不織布はシート材の柔軟性と強度を保つ役割を担う。二つの素材が、それぞれ「再生の場を整える」役割と「形状を保つ」役割を分担している構成だ。
製品特長として挙げられているのは、神経損傷部位の状態に応じて使用できること、そしてシート形状による扱いやすさの二点である。
なお、ReFeel®は日本国内においては未承認の医療機器である。日本の製薬企業が自社で手がけるバイオマテリアル製品を、本国に先行して米国市場で展開する構図になる。
パートナーはすでに製造の委託先
提携相手のPBC Biomed Inc.は、アイルランドのシャノンに本社を置くPharmaceutical Business Consultants Limited(PBC Biomed)の米国子会社である。PBC Biomedは、医療機器、バイオマテリアルおよび医薬品分野における新技術の事業化を通じて医療イノベーションを推進することを目的に、2010年に設立された。医療技術の開発・事業化に関する幅広い知識と経験を活かし、企業、医師、大学などと連携して、革新的な医療技術の実用化に取り組んでいるという。
重要なのは、今回が初めての取引相手ではない点だ。リリースには、持田製薬がPBC BiomedにReFeel®の製造を委託していることが明記されている。すでに製造を担っている先に、米国での販売も任せる形になる。
業界にとっての意味
今回の発表から読み取れるのは、製造から販売までを同一パートナーの枠組みに寄せるという選択である。製造委託先に販売提携まで広げれば、供給と需要の情報が一本の線でつながる。代理店網を通じた全米への展開を、自社単独ではなく既知のパートナー経由で進める判断とみることができる。
また、国内未承認の医療機器を米国で先に本格販売する点も特徴的だ。バイオマテリアルという領域で、日本企業が海外市場を先行させる事例として位置づけられる。持田製薬は、米国におけるこれらの取り組みを通じて患者のQOL向上に貢献するとともに、バイオマテリアル事業のさらなる成長を目指すとしている。
発表文には、販売開始の具体的な時期、売上目標、対象となる適応の範囲といった数値は示されていない。今後、実際にどの程度の代理店網が稼働し、バイオマテリアル事業の中でReFeel®がどのような位置を占めるかは、続く開示を待つことになる。