何が発表されたか

ノボ ノルディスク(Novo)は2026年10月20日、米ニュージャージー州プレインズボロとデンマーク・バウスベアから、第3相試験REDEFINE 1の2件の事後解析(post hoc analysis)の結果を発表した。いずれもサンディエゴで開かれたThe Menopause Society 2026 Annual Meetingで報告されたものだ。

1件目は、REDEFINE 1に登録された女性2,309人を対象とした解析である。CagriSema 2.4 mg / 2.4 mg(カグリリンチド2.4 mgとセマグルチド2.4 mgの配合)群の68週時点の平均体重変化は−25.0%で、プラセボ群の−3.0%と比較された(efficacy estimand、すなわち全患者が治療を継続し他の減量療法を併用しなかったという理想的な状況下での推定値)。

同じ解析で、ベースライン体重の平均はCagriSema群(n=1,441)が101.5 kg、セマグルチド2.4 mg群(n=199)が100.2 kg、カグリリンチド2.4 mg群(n=208)が101.4 kg、プラセボ群(n=461)が102.2 kgだった。体重変化はセマグルチド群が−19.0%、カグリリンチド群が−13.4%。腹部脂肪の指標であるウエスト周囲径の変化は、CagriSema群が−20.5 cm、セマグルチド群が−17.4 cm、カグリリンチド群が−11.7 cm、プラセボ群が−4.7 cmだった。ウエスト周囲径はREDEFINE 1の副次評価項目である。

体重減少の達成率では、10%以上の減少がCagriSema群93.3%、セマグルチド群82.2%、カグリリンチド群62.0%、プラセボ群12.7%。20%以上の減少はそれぞれ68.7%、38.0%、17.9%、1.8%だった。CagriSema群の各数値はプラセボに対し統計学的に有意(推定平均、p<0.0001)だが、p値は多重性の調整を受けておらず、治療×性別の正式な交互作用検定も行われていない。

更年期の段階別に見た解析

2件目の解析は、CagriSema 2.4 mg / 2.4 mgまたはプラセボの投与を受けた女性1,902人を、更年期(メノポーズ)の段階別に事後的に分類したものだ。68週時点の平均体重変化は、閉経前(premenopausal、CagriSema 408人/プラセボ122人、ベースライン104.3/107.1 kg)が−26.7%対−2.1%、閉経移行期(perimenopausal、256人/81人、102.7/99.6 kg)が−24.8%対−1.7%、閉経後(postmenopausal、530人/168人、99.1/99.3 kg)が−23.1%対−2.6%。いずれもプラセボに対し統計学的に有意(推定平均、p<0.0001)だったが、ここでも多重性調整と正式なサブグループ交互作用検定は行われていない。

分類は年齢、病歴、記録された症状から事後的に導出されたもので、前向きに収集された生殖段階の評価や生化学的な確認に基づくものではない。具体的には、閉経前は45歳未満で閉経の兆候がない者、閉経移行期は45〜54歳で閉経の証拠がない者または40〜54歳で閉経症状や臨床的疑いがある者、閉経後は55歳以上、または40〜54歳で閉経もしくは両側卵巣摘出の記録がある者と定義された。ホルモン療法(HT)を使用中の女性は、年齢・閉経状態・HTの適応にかかわらず別グループとして評価された。

ノボの臨床開発・メディカル・薬事担当暫定責任者でメディカルアフェアーズ担当バイスプレジデントのMichelle Skinner Moore氏は「肥満や過体重の多くの女性が更年期を通じて体重増加を経験する」とし、CagriSemaが「体重管理におけるアミリンアナログとGLP-1受容体作動薬の初の配合療法となる可能性がある」と述べた。解析の筆頭著者であるMayo Clinic Alix School of MedicineのMaria D. Hurtado Andrade氏は、各群で観察された体重減少を「心強い」としつつ、群間の数値差は「生殖年齢の進行が女性の減量成績にどう影響するかを理解するため、さらなる研究が必要であることを示す」とコメントしている。

背景と安全性、今後

REDEFINE 1は、2型糖尿病を伴わず1つ以上の併存疾患を持つ肥満または過体重の成人3,417人を対象に、週1回投与のCagriSema(カグリリンチド2.4 mg+セマグルチド2.4 mg)をプラセボおよび実薬と比較した68週間の二重盲検第3相試験である。参加者の平均年齢は47歳で、約3分の2が女性だった。

安全性については、有害事象による投与中止はCagriSema群5.9%、プラセボ群3.5%。有害事象は主に消化器系で(CagriSema群79.6%対プラセボ群39.9%)、悪心55%対12.6%、便秘30.7%対11.6%、嘔吐26.1%対4.1%といった内訳であり、多くは一過性で軽度から中等度だった。

ノボは発表資料で、米国では40歳以上の女性が8,600万人超に上る一方、肥満研究で生殖段階が要因として評価されることはまれだと指摘している。更年期の各段階ではホルモンの大きな変動が起こり、腹部脂肪の蓄積や体組成、体重、心代謝リスクに影響しうるとしている。

意味するもの

今回示されたのは、既存の第3相試験データを後から切り出した探索的な解析である。ノボ自身が「探索的な事後解析は仮説生成的なものであり、臨床的妥当性を検証するさらなる作業が価値を持つ」と明記しており、数値の解釈には多重性未調整・交互作用検定なしという制約が付く。

そのうえで、肥満治療の議論に「生殖段階」という切り口を持ち込んだ点は注目に値する。閉経前26.7%、閉経移行期24.8%、閉経後23.1%という数値差が臨床的に意味を持つかどうかは、本解析の設計からは結論できない。だからこそ筆頭著者も追加研究の必要性に言及している。

CagriSemaについてノボは2025年12月、体重管理の適応で米食品医薬品局(FDA)に新薬承認申請(NDA)を提出しており、判断は2026年第4四半期に見込まれる。米国では未承認で、有効性・安全性は確立されていない。CagriSemaは肥満・過体重を対象とするREDEFINEプログラムに加え、2型糖尿病を対象とするREIMAGINEプログラムでも開発が進められている。