何が公表されたか
TechSuite株式会社(本社:東京、代表:畠山夏輝)が運営するAI検索最適化(LLMO/AIO/GEO/AEO)支援サービス「AI検索パートナーズ」は、2026年11月3日、CRO(治験受託機関)・治験支援会社選びに関するAI検索の実測調査を公表した。対象は2026年11月時点で取得したAI回答72件である。
調査は、ChatGPT、Google AI Overviews、Microsoft Copilotの3プラットフォームに対し、製薬会社の開発担当者などが行うCRO・治験支援会社選びについて日本で実際に検索される質問を投げかけ、AIがどの会社を挙げ、何を根拠に回答しているかを記録したもの。対象地域は日本、クエリ数は24、指標は各AI回答に登場した企業名と引用元URLの集計・分類となっている。
結果は大きく4点に整理されている。第一に、AIが名前を挙げる会社は上位に集中した。最も多く登場したのは内資系大手の総合型CRO2社で、登場率はともに90.3%。上位5社の合計で、のべ言及の61.0%を占めた。回答全体で観測された会社は37社にのぼる。
第二に、質問者の立場(ペルソナ)によって挙がる会社が入れ替わった。製薬会社の開発担当者向けの質問では外資系大手CROが63.0%で上位に入った一方、医療機器メーカーの臨床開発担当者向けの質問では20.5%にとどまり、代わりに医療機器に強い中堅の内資系CROが35.9%で4位に入っている。
第三に、AIごとの違いも大きい。ヘルスケア領域に広く展開する日系グループは、Microsoft Copilotで75.0%登場したのに対し、Google AI Overviewsでは8.3%だった。
第四に、AIが根拠とした情報源は、CRO比較・情報メディアが41.9%で最多、CRO・関連企業の自社サイトが35.4%で続いた。発表元は、自社での情報発信と、比較メディア・業界団体での掲載の両面が重要であることがうかがえるとしている。
調査の背景
発表によれば、製薬会社の開発担当者などによるCRO・治験支援会社選びを「まずAIに聞く」という行動が広がりつつある。しかし、AIがどの会社をどのように提示し、何を根拠にしているかは、これまで十分に可視化されてこなかった。今回の調査は、その回答内容そのものを集計・記録する目的で実施されたものだと説明されている。
同社は、本調査が特定会社の優劣を評価するものではない点を明記している。また注記として、集計は各AIが生成した回答の記録に基づくものであり、特定の事業者・サービスの推奨や品質の保証ではないこと、AIの回答は非決定的で、モデルの更新・質問文・時点により変動すること、数値は調査時点のものであることを挙げている。
なお、企業名を含むAI登場率ランキング、質問プロンプト、AI別の比較、引用元ドメインのランキングまでを収録した詳細版レポートが配布されている。
業界にとっての意味
この調査結果を業界の側から読むと、三つの論点が浮かぶ。
一つは、上位集中の構造である。観測された会社が37社ある一方で、上位5社でのべ言及の61.0%を占め、首位2社は90.3%という水準にある。AIの回答がCRO選定の入り口として使われる場面が増えるほど、「名前が挙がる会社」と「挙がらない会社」の差は、検討リストに載る段階で生じうる。
二つめは、ペルソナによる入れ替わりである。外資系大手CROが製薬向けで63.0%、医療機器向けで20.5%と大きく動き、医療機器に強い中堅の内資系CROが35.9%で4位に入った点は、AIの回答が一枚岩ではなく、質問の文脈に応じて別の企業群を提示していることを示す。領域特化の訴求が回答に反映される余地がある、と読める。
三つめは、プラットフォーム差と情報源の構成だ。同じ日系グループがCopilotで75.0%、Google AI Overviewsで8.3%という差は、どのAIを使うかで見える景色が変わることを意味する。引用元はCRO比較・情報メディアが41.9%、自社サイトが35.4%で、外部メディアと自社発信の双方が根拠として参照されている。CROの広報・マーケティング実務においては、自社サイトの整備と外部掲載の両輪が、AI経由の露出に関わる要素として位置づけられることになる。
ただし、発表元自身が断っているとおり、AIの回答は非決定的で、モデル更新や質問文、時点によって変動する。今回の数値はあくまで2026年11月時点、72件の回答に基づく一断面である。