何が明らかになったか
TechSuite株式会社(本社:東京、代表:畠山夏輝)が運営するAI検索最適化(LLMO/AIO/GEO/AEO)支援サービス「AI検索パートナーズ」は、2026年11月4日、医薬品卸会社選びに関するAI検索の実測調査結果を公表した。主要3つのAI(ChatGPT・Google AI Overviews・Microsoft Copilot)が提示する卸会社は、全国規模の大手医薬品卸グループ4社(いわゆる「4大卸」)に極端に集中していた。
調査の事実関係
調査は、薬局経営者・病院薬剤部の担当者向けの医薬品卸会社選びに関して日本で実際に検索される質問をAIに投げかけ、AIがどの会社を挙げ、何を根拠に回答しているかを記録・集計したもの。対象は2026年11月時点で取得したAI回答72件、クエリ数は24件。対象地域は日本。指標は、各AI回答に登場した企業名と引用元URLの集計・分類である。
結果のポイントは4つ挙げられている。
第一に、4大卸の登場率はいずれも94.4%以上(最大98.6%)で、上位4社を合計するとのべ言及の85.2%を占めた。回答に観測された会社・事業者は35社にのぼるが、うち24社は1回答のみの登場にとどまった。少数の社名に言及が集まり、残りは「一度きり」で消えていく構図である。
第二に、質問者の立場(ペルソナ)を変えても、この集中は崩れなかった。病院薬剤部の担当者向けの質問では4大卸が93.3〜100.0%、薬局経営者向けの質問では90.9〜97.0%だった。差が現れたのは4大卸の外側で、東北の地域卸、日用品・OTCに強い大手卸、共同購買サービス事業者などの顔ぶれが入れ替わった。
第三に、4大卸以外で挙がる会社はAIごとに大きく異なる。東北の地域卸はMicrosoft Copilotで16.7%登場した一方、ChatGPTでは0.0%だった。同じ質問でも、使うAIによって視界に入る選択肢が変わることになる。
第四に、AIが根拠とした情報源は、比較・情報メディアが42.9%で最多、次いで卸・関連サービス事業者の公式サイトが34.2%だった。リリースは、自社での情報発信と比較メディアへの掲載の両面が重要であることがうかがえる、としている。
調査の背景
リリースによれば、薬局経営者や病院薬剤部の担当者が医薬品卸会社選びを「まずAIに聞く」という行動が広がりつつある。一方で、AIがどの会社をどのように提示し、何を根拠にしているかは、これまで十分に可視化されてこなかった。本調査は、特定会社の優劣を評価するものではなく、各AIが生成した回答の内容そのものを集計・記録したものだと明記されている。
また、本調査は各AIが生成した回答の記録に基づく集計であり、特定の事業者・サービスの推奨や品質の保証ではないこと、AIの回答は非決定的で、モデルの更新・質問文・時点により変動すること、数値は調査時点のものであることも注記されている。この前提は、数字を読むうえで外せない。
なお同社は、企業名を含むAI登場率ランキング、質問プロンプト、AI別の比較、引用元ドメインのランキングまでを収録した詳細版レポートを配布している。本調査は同社の「業界特化調査」の第32弾にあたる。
業界にとっての意味
数字から読み取れるのは、AI検索という新しい入口においても、医薬品卸の「見え方」は既存の市場構造をなぞっているという点だ。4大卸の登場率が9割を超え、のべ言及の85.2%を占める一方、35社のうち24社は1回答のみ。AIの回答を入口にすると、中堅・地域卸や共同購買サービス事業者が検討対象に入る確率は、構造的に低くなる。
ただし、ペルソナ別・AI別の差は、そこに余地があることも示している。病院薬剤部向けと薬局経営者向けで4大卸以外の顔ぶれが入れ替わり、東北の地域卸はCopilotで16.7%、ChatGPTで0.0%と、プラットフォームによって結果が割れた。どのAIで、どの立場の質問に対して自社が現れるのか(あるいは現れないのか)は、一律ではない。
引用元の内訳も実務的な示唆を含む。比較・情報メディアが42.9%、事業者公式サイトが34.2%。AIが参照する情報の大半は、この2系統に集まっている。自社サイトの整備だけでも、メディア掲載だけでも片手落ちになる、という読み方ができる。
もっとも、この調査はあくまで2026年11月時点の72件の回答を記録したものであり、AIの回答は時点や質問文で変動する。固定的な序列ではなく、ある一時点のスナップショットとして扱う必要がある。