何が決まったか

Meiji Seika ファルマ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:永里 敏秋)は2026年11月5日、リジェネフロ株式会社(本社:京都市、代表取締役CEO:森中 紹文)および京都大学iPS細胞研究所(CiRA、所在地:京都市、所長:江藤 浩之)臨床応用研究部門の長船健二教授の研究グループと進めている共同研究について、研究期間の延長等を定める変更契約を締結したと発表した。これにより、三者による共同研究を継続・推進する。

発表によれば、本共同研究では、リジェネフロおよび長船研究室が培ってきたiPS細胞由来ヒト疾患モデルを活用する。具体的には、疾患の病態をヒト細胞レベルで再現・解析するとともに、新たな治療候補の有効性等を評価するとしている。さらに、低分子化合物に限定されない多様な治療モダリティへの展開も視野に入れ、Meiji Seika ファルマの創薬研究に関する知見と組み合わせることで、難治性・希少疾患に対する新たな治療法の創出を目指すという。

今回の発表では、延長後の研究期間の長さや、契約金額、対象となる具体的な疾患名については示されていない。

三者の顔ぶれと、これまでの経緯

共同研究の相手方であるリジェネフロは、参考情報として、京都大学iPS細胞研究所の長船健二教授の研究シーズを基盤とする技術を駆使する、臨床ステージの創薬スタートアップと説明されている。iPS細胞技術を基盤に、腎疾患を中心とする難治性疾患の治療オプションを刷新し、世界中の人々が病に苦しまない未来を創り出すことを企業理念に掲げる。

今回の発表の形式は、新規契約の締結ではなく、既存の共同研究に関する「変更契約」である。つまり、三者の取り組みはすでに走っており、その枠組みを引き継いだうえで期間を延ばす、という位置づけになる。アカデミアの研究室(CiRA 長船研究室)、そこから生まれたスタートアップ(リジェネフロ)、そして製薬企業(Meiji Seika ファルマ)という三層の組み合わせが、そのまま継続されることになる。

Meiji Seika ファルマは、オープンイノベーションを通じた研究開発を推進しているとしており、今回の継続もその一環と位置づけられている。

業界にとっての意味

iPS細胞由来のヒト疾患モデルは、患者の細胞に由来する材料を使って病態を「ヒト細胞レベルで」再現する手法である。動物モデルでは捉えきれない病態や、患者数が限られて臨床での検証が難しい疾患において、治療候補の評価を前に進める手段になりうる。Meiji Seika ファルマは本共同研究を通じて、iPS細胞由来ヒト疾患モデルの創薬への応用範囲の拡大に貢献するとともに、多様なアンメットニーズに応える新たな創薬アプローチの確立を目指すとしている。

注目したいのは、発表が「低分子化合物に限定されない多様な治療モダリティ」に言及している点だ。疾患モデルを評価系として用いる以上、そこで試される治療手段の幅は、企業側がどこまでモダリティを広げる意思を持つかに左右される。今回の記述は、評価系の継続利用にとどまらない展開を視野に入れていることを示している。

また、スタートアップにとって、製薬企業との共同研究が期間延長という形で継続されること自体が、取り組みが一定の段階まで進んだことを示す材料になる。ただし今回の発表では、研究の進捗状況や具体的な成果については触れられていない。

Meiji Seika ファルマは、今後も産学連携をはじめとするパートナーシップを通じて研究開発の高度化を進め、未だ有効な治療法が存在しない疾患に対する新たな治療選択肢の提供に取り組むとしている。