何が決まったか

塩野義製薬とセオリアファーマは、減感作療法薬(アレルゲン免疫療法薬)「アシテア®ダニ舌下錠」の製造販売承認の承継および販売移管に関わる契約を締結した。2026年10月6日付のプレスリリースで公表された。

契約に基づき、アシテアの製造販売承認は本年12月に塩野義製薬からセオリアファーマへ承継される。販売移管は2027年2月に行われる予定としている。

両社の所在地と代表者は、塩野義製薬が本社・大阪市北区、代表取締役会長兼社長CEO 手代木功氏、セオリアファーマが本社・東京都中央区、代表取締役社長 杉本徹也氏である。

これまでの経緯

アシテアは、塩野義製薬がStallergenes Greerから導入した製品である。両社は2010年にライセンス契約を締結しており、その契約に基づいて塩野義製薬が製造販売承認を取得し、製造販売を行ってきた。

製品の扱いは、今回の契約に先立ってすでに一度変更されている。2025年7月3日からは、セオリアファーマが本剤のプロモーション活動を担当し、塩野義製薬が製造販売業者として本剤の安定供給を担う体制となっていた。この変更は、同日付のプレスリリース「減感作療法薬『アシテア®ダニ舌下錠』のプロモーション会社変更について」で公表されている。

つまり今回の発表は、2025年7月に販売促進の役割がセオリアファーマへ移ったのに続き、製造販売承認という製品の根幹部分までがセオリアファーマへ移る、という二段階目の動きにあたる。プロモーションの担当変更から承認承継の契約締結までは、約1年3か月である。

リリースでは、両社が「ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に苦しむ患者さまに本剤を継続的かつ安定的にお届けできるよう、引き続き努めてまいります」としている。

両社の位置づけから読めること

セオリアファーマは、リリースの会社紹介において「耳鼻咽喉科領域の多様なヘルスケアニーズに応えることを使命とするスペシャリティカンパニー」と自社を説明しており、耳鼻咽喉科領域を中心とした医療用医薬品、医療機器ならびに診断試薬の開発・製造および販売を行っているとしている。アシテアの適応はダニ抗原によるアレルギー性鼻炎であり、同社が主戦場とする領域と重なる。プロモーション担当の引き受けから承認承継へと段階的に進んだ流れは、領域特化型の企業へ製品を集約していく形として整理できる。

一方の塩野義製薬は、マテリアリティ(重要課題)の一つとして「健やかで豊かな人生への貢献」を特定しているとし、「アンメットメディカルニーズの高い領域に対する治療法を患者さまにお届けできるよう努力」すると述べている。今回の承継は、同社がリリースで掲げるこの方針の文脈の中に置かれている。

承認承継という手続きの意味

今回の取引で注目されるのは、プロモーションの委託と承認の承継が明確に分けて進められている点である。2025年7月からの体制では、販売促進活動はセオリアファーマ、製造販売業者としての責任と安定供給は塩野義製薬、という分担だった。製造販売承認が承継されれば、この責任の所在そのものがセオリアファーマへ移る。

さらに、承認承継(本年12月)と販売移管(2027年2月)の時期にも差が設けられている。承認の名義が移った後、実際の販売が移るまでに期間が置かれる設計になっており、リリースが繰り返し強調する「継続的かつ安定的」な供給の確保と整合する進め方といえる。

アシテアはもともと塩野義製薬がStallergenes Greerから導入した製品であり、導入元のライセンス契約は2010年にさかのぼる。長期にわたり国内で供給されてきた製品の管理が、領域特化型の企業へ引き継がれることになる。医療現場や患者にとっては、問い合わせや情報提供の窓口が最終的にセオリアファーマへ一本化されていく形となる。

今回のリリースで明らかにされたのは契約締結の事実と、承認承継・販売移管それぞれの時期である。対価や契約条件については記載がない。