何が承認されたか
日本ケミカルリサーチ(兵庫県芦屋市、社長・芦田信、大証2部・コード番号4552)は平成11年12月21日、遺伝子組換えヒト成長ホルモン製剤「グロウジェクト注4IU」について、「骨端線閉鎖を伴わないターナー症候群における低身長」の効能・効果および用法・用量に係る承認事項の一部変更承認を12月9日付で取得し、販売を開始したと発表した。
同製剤はこれまで下垂体性小人症の治療薬として承認を取得していた。今回の一部変更承認の特徴は二点ある。第一に、成長ホルモン分泌不全の有無に関係なく、骨端線閉鎖を伴わないターナー症候群における低身長を効能・効果としたこと。第二に、投与量を欧米と同じく1.0国際単位/kg/週としたことである。会社によれば、この内容での承認は国内で初めてとなる。
既存の承認事項と比べると、違いは明確だ。既存の効能・効果は「骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全を示すターナー症候群における低身長」で、分泌不全があることが前提だった。用法・用量も、1週間に体重kg当たりソマトロピン(遺伝子組換え)として0.5国際単位を2〜4回に分けて筋肉注射、あるいは6〜7回に分けて皮下注射するというもので、今回の1.0国際単位はその倍にあたる。投与回数の区分(2〜4回の筋注、6〜7回の皮下注)は変わらない。
対象となる疾患と患者
資料によれば、ターナー症候群は低身長、性発育遅延等の特徴を持ち、性染色体(XX)の一方の完全欠如または部分的欠失による染色体異常が原因の、女性特有の病気と定義される。日本における発生は、出生女児の2,000〜2,500人に1人とされる。
確定診断の時期は、生まれてすぐ診断される場合が最も多いと考えられている。1〜2歳の頃は診断がつきにくく、3歳以降はほとんど低身長によって診断される。14歳以降は、2次性徴がないことで染色体検査が行われ確定診断されることが多くなる。
低身長については、生まれたときの平均身長は47.1cmで一般の平均より2cmほど小さいだけだが、その後の伸びが少ないため3歳頃に早くも差がついてくる。さらに思春期に身長が急激に伸びる「思春期スパート」がないため差が大きくなり、一般の女性の平均よりも背が低くなる。
低身長の治療には成長ホルモンが有効とされ、低年齢から使用した方がよいという点で専門家の意見は一致している、と資料は説明する。早い時期に身長の伸びが得られれば、身長を心配せずに性発育遅延の治療のための女性ホルモン補充療法を必要な時期に開始できるようになる。これらの治療は外見だけでなく精神面の発達にも必要であり、学校生活や社会生活を円滑に進めるためにも早期診断と早期治療が必要と考えられている。
高単位製剤と新工場の計画
同社は主力製品のヒト成長ホルモン製剤について、平成11年10月1日付で高単位(24単位)製剤「グロウジェクト注24IU」およびペン型製剤「グロウジェクトBC24」の製造承認を取得している。薬価収載は平成12年7月(予定)で、平成12年5月の予定で稼動を準備中の新工場「神戸工場」で製造し、6月頃から出荷を開始する予定という。この高単位製剤についても、「骨端線閉鎖を伴わないターナー症候群における低身長」の効能追加に係る一部変更承認を申請した。
同社のヒト成長ホルモン製剤は、自社販売のほか住友製薬および日研化学を通じて販売されている。
何が変わるのか
今回の承認で実際に動くのは、治療を受けられる患者の範囲と、投与できる量の二つである。会社は、成長ホルモン分泌不全を伴わない(成長ホルモンの分泌のある)ターナー症候群による低身長の患者も治療を受けられるようになり、また、すでに成長ホルモン治療を受けていても薬量が少なく十分な効果を得られていない患者に対しても治療効果が期待できるとしている。分泌不全の有無という線引きが外れることと、用量が0.5から1.0国際単位に引き上げられることが、それぞれこの二つに対応している。
用量が欧米と同じ水準に揃ったことは、国内の治療が海外の投与設計と同じ土俵に乗ることを意味する。加えて、1週間あたりの投与量が倍になれば必要な製剤量も増える。同社が高単位製剤を承認取得し、新工場での製造と出荷を準備していること、その高単位製剤についても同じ効能追加を申請していることは、この流れと整合的だ。
同社は昭和50年9月設立、資本金49.0億円(平成11年9月期)、売上高91.2億円(平成11年3月期)、従業員数137名(同)。ヒト成長ホルモン製剤を主力製品と位置づけており、今回の効能追加でターナー症候群のすべての患者の治療に新たな貢献ができるとしている。