事実:中間解析でPFSの主要評価項目を達成
ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(BMS、NYSE: BMY)は2026年10月12日、米ニュージャージー州プリンストン発で、同社傘下のRayzeBio社が実施する第3相臨床試験「ACTION-1」(NCT05477576)の計画された中間解析のトップライン結果を公表した。試験は主要評価項目である盲検下独立中央判定(BICR)による無増悪生存期間(PFS)について、統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善を示し、安全性は既知のRYZ101のプロファイルと一致したという。
ACTION-1は、ソマトスタチン受容体陽性(SSTR+)の消化管膵神経内分泌腫瘍(GEP-NETs)で、ルテチウム177(Lu177)ベースの治療後に病勢進行した患者を対象とする無作為化第3相試験。RYZ101(225Ac-DOTATATE)と、治験医師が選択する標準治療(高用量または高頻度の長時間作用型ソマトスタチンアナログ、エベロリムス、スニチニブ)を比較した。現在登録中の患者は試験実施計画書に沿って治療を継続し、全生存期間(OS)について追跡される。詳細な結果は今後の医学会で発表される予定としている。
RayzeBioのチーフ・メディカル・オフィサー、Amreen Husain氏は、今回の結果について「あらゆる適応症において、アルファ線核種(225Ac)を用いた標的放射性医薬品治療(RPT)の第3相試験として初の結果だ」と述べ、FDAとの協議を急ぐ考えを示した。試験の治験責任医師であるトロント大学教授/Sunnybrook Health Sciences Centre Odette Cancer Centreの腫瘍内科医Simron Singh氏も、「Lu177後の最適な治療を示す無作為化第3相のエビデンスはこれまで存在しなかった」とコメントしている。
背景:Lu177後に選択肢が乏しい疾患領域
GEP-NETsは希少がんで、米国での新規診断は年間およそ1万8000人、有病者数は20万人未満と推定される。GEP-NETs腫瘍の80〜90%でソマトスタチン受容体2型(SSTR2)が発現し、大半の症例で診断時にすでに転移が認められる。Lu177ベースの放射性医薬品治療はSSTR陽性GEP-NETsの成人患者に承認され、臨床的有用性を示してきたが、ほとんどの患者は治療後に必ず進行し、その後に有効な選択肢は乏しい状況にあった。
RYZ101は、DOTATATEに高い効力を持つアルファ線放出核種アクチニウム225(225Ac)を結合させた治験段階の標的放射性医薬品。225Acは高エネルギーで飛程の短いアルファ粒子を放出し、がん細胞のDNA二本鎖切断を引き起こすことで細胞死の確率を高めうるとされる。Lu177による前治療歴があり病勢進行した17例を対象とした第1b相試験では忍容性が良好で、治療関連の重篤な有害事象や有害事象による投与中止は報告されなかった。FDAは2026年8月、GEP-NETsに対するRYZ101にオーファンドラッグ指定を付与している。RayzeBioは今回の中間解析結果と同指定を踏まえ、承認申請に向けた次の段階についてFDAと協議する計画だ。
意味:アルファ線RPTにとっての最初の第3相データ
発表内容のうち業界にとって重みがあるのは、個別の有効性の数値よりも「アルファ線を用いた標的RPTとして初の第3相成績」という位置づけである。ベータ線核種であるLu177を使う治療が標準として普及する一方、その後の治療選択肢が確立していないという空白に対し、無作為化比較試験のエビデンスが初めて提示された形となる。
RayzeBioは2020年設立、本社はカリフォルニア州サンディエゴで、BMS傘下として探索から開発、同位体の製造までを自社拠点で担う。パイプラインにはGPC3、ACP3、次世代SSTR2標的療法などが並び、RYZ101自体もホルモン受容体陽性(HR+)転移性乳がんで早期段階の試験が進む。主力プログラムの第3相が中間解析で成功したことは、同社のRPTプラットフォーム全体の開発方針を支える材料となる。
もっとも、今回公表されたのはトップラインにとどまり、PFSの具体的な数値や解析対象例数は示されていない。BMSは将来予測に関する注意書きで、今後の試験結果が現時点の結果と一致しない可能性、RYZ101が想定する時期に承認を得られない、あるいは承認されない可能性に言及している。評価には学会で示される詳細データを待つ必要がある。なお、今回の一次資料には投与量の高低に関する記述や、肺疾患領域に関する記述は含まれていない。