モデルナ・ジャパン(東京都港区)は10月13日、2026/2027シーズン用のオミクロン株XFGに対応した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「スパイクバックス®筋注シリンジ6ヵ月~11歳用」を発売した。
何が発売されたのか
本剤は、生後6ヵ月以上11歳以下を対象とし、1回の接種量である0.25mLをあらかじめ充填したプレフィルドシリンジ製剤である。1シリンジ(0.25mL)中に、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質をコードするmRNAを0.025mg(25μg)含有する。抗原株はSARS-CoV-2オミクロン株XFG、一般名はコロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチンで、効能又は効果はSARS-CoV-2による感染症の予防。剤形・性状は白色~微黄白色の懸濁液となっている。
用法及び用量は年齢で分かれる。5歳以上11歳以下では1回0.25mLを筋肉内に接種する。接種時期は、通常、前回のSARS-CoV-2ワクチンの接種から少なくとも3ヵ月経過した後。過去にSARS-CoV-2ワクチンの接種歴のない者には、およそ4週間の間隔をおいて2回目接種を行うことができる。
生後6ヵ月以上4歳以下では、初回免疫として1回0.25mLを2回、通常4週間の間隔をおいて筋肉内に接種し、追加免疫としては1回0.25mLを接種する。過去に初回免疫又は追加免疫としてSARS-CoV-2ワクチンの接種歴のある者には、通常、前回の接種から少なくとも3ヵ月経過した後に追加免疫として接種することができる。
製造販売元(輸入)はモデルナ・ジャパン株式会社で、プロモーション提携は田辺ファーマ株式会社。
承認から発売までの経緯と、供給・保存の条件
モデルナ・ジャパンは2026年8月、2026/2027シーズン用としてオミクロン株XFG対応の新型コロナワクチンとして、承認事項一部変更承認を取得している。今回の発売は、この一変承認を受けたものだ。
取り扱いに関する条件も明示されている。貯法は-20±5℃、有効期間は9ヵ月。解凍後は、使用前であれば遮光して2~8℃で最長30日間、8~25℃で最長24時間保存することができる。いずれの場合も有効期間内に使用することとされている。
そのうえで、医療機関へは冷蔵状態で供給される予定で、納品後は冷蔵(2~8℃)で保存し、納品日から28日以内に使用する。同社は、これにより医療機関における保管や接種に際しての利便性向上が期待されるとしている。
また、医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することも可能とされている。同社は、日本小児科学会が、特に乳児期には多くのワクチン接種が複数回必要であり、必要なワクチンを適切な時期に適切な回数接種することが重要であるとしている点に言及した。出典として挙げられているのは、日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会「日本小児科学会の予防接種の同時接種に対する考え方」(2026年6月3日改訂)である。
現場にとって何が変わるか
ポイントは三つに整理できる。第一に、抗原株がオミクロン株XFGに更新されたこと。第二に、1回分の0.25mLが充填されたプレフィルドシリンジという剤形であること。第三に、医療機関へは冷蔵状態で供給され、納品日から28日以内に使用するという供給形態である。
mRNAワクチンは超低温での貯法が前提となる製剤であり、本剤の貯法も-20±5℃と記載されている。しかし医療機関側の運用としては、冷蔵状態で納品され、納品日から28日以内に使い切る形になる。希釈や分注を伴わない1回量充填のシリンジであることとあわせて、接種の現場で求められる作業と設備は、製剤の技術的な前提よりも軽い水準に収まる設計といえる。同社が「保管や接種に際しての利便性向上」を挙げているのは、この点を指している。
一方で、納品日から28日という使用期限は、医療機関にとって発注量と接種予定のすり合わせがそのまま在庫管理の精度に直結することを意味する。小児、とりわけ生後6ヵ月以上4歳以下では初回免疫として4週間間隔で2回の接種が必要になるため、接種計画は複数回にわたる。他のワクチンとの同時接種が医師の判断で可能とされている点は、乳児期に複数のワクチン接種が重なるスケジュール上、接種機会の設計に関わる要素となる。
モデルナ・ジャパンは、本剤の発売を通じて生後6ヵ月以上11歳以下の小児における新型コロナウイルス感染症の予防に新たな選択肢を届けるとし、ワクチン接種の重要性に関する啓発とワクチンへのアクセス向上に引き続き努めるとしている。