何が決まったか
ADRバイオメディカルホールディングス株式会社(東証スタンダード、証券コード3750)は2026年10月15日、子会社のADRセラピューティクス株式会社が製造販売承認を取得している男性腹圧性尿失禁治療用医療機器「セルーション セルセラピーキット SUI」について、2026年9月16日付で保険適用が正式に承認されたことを確認したと発表した。
保険適用区分は C2(新機能・新技術)、保険償還価格は 860,000円 である。
内示から承認までの経緯
同社の開示によれば、本製品をめぐる手続きは段階を追って進んできた。
まず2026年8月7日付で、同社は「男性腹圧性尿失禁治療用医療機器『セルーション セルセラピーキット SUI』の保険適用区分及び保険償還価格の内示に関するお知らせ」を公表している。保険医療材料等専門組織における審議を経て、保険適用区分C2(新機能・新技術)および保険償還価格860,000円の内示を受けた旨を明らかにしたものだ。
次いで2026年9月17日付で、同社は「(開示事項の経過)男性腹圧性尿失禁治療用医療機器『セルーション セルセラピーキット SUI』の中医協における審議に関するお知らせ」を公表した。2026年9月16日に開催された中央社会保険医療協議会総会(第657回)の「医療機器及び臨床検査の保険適用等について」の資料に、本製品が掲載されたことを報告する内容である。
今回の10月15日の発表は、この中医協総会での審議の結果として、2026年9月16日付で保険適用が正式に承認されたことが確認された、という位置づけになる。つまり、専門組織での審議にもとづく内示 → 中医協総会の資料掲載 → 総会での審議を経た正式承認、という流れが、約1か月半のあいだに順を追って開示されてきたことになる。
会社の位置づけ
発表主体のADRバイオメディカルホールディングスは東京都に本社を置く持株会社で、代表取締役会長は橋本征道氏、代表取締役社長は鈴木隆二氏。本社所在地は東京都千代田区麹町2-3-3 FDC麹町ビル9階、設立は2004年10月、資本金は1億円である。
持株会社として、ADRセラピューティクス株式会社、ADRアニマルセラピー株式会社、ADRバイオシステムズ株式会社の3社を統括する。グループの事業内容は、ヒトを対象とした細胞治療および再生医療サービス、動物医療分野における細胞治療、ならびに医療機器の開発・製造・販売とされている。本製品の製造販売承認を持つのは、このうちADRセラピューティクス株式会社である。
意味するもの
保険適用区分のC2は、発表文に示されているとおり「新機能・新技術」の区分である。既存の区分に当てはめるのではなく、新しい機能・技術として価格が設定されたということであり、本製品が従来品の置き換えではない扱いを受けたことを示している。
製造販売承認を得ていても、保険償還価格がつかなければ実際の診療のなかで使われる道筋は限られる。今回、860,000円という具体的な償還価格が確定したことで、承認から保険下での提供へという段階に進んだかたちだ。企業側にとっては、価格が未確定だった段階の不確実性が一つ解消されたことになる。
また、グループが細胞治療と医療機器の双方を手がける構成であることを踏まえると、今回の承認は、自社グループで製造販売承認を持つ製品を公的保険の枠組みに乗せた実例となる。今後、同社がこの区分・価格のもとでどのように供給体制を整えていくかは、現時点の発表では触れられていない。続報が待たれる点である。