アッヴィ(NYSE: ABBV)は2026年10月17日、スペイン・バルセロナで10月17〜20日に開かれる2026年欧州消化器病週間(UEG Week、UEGW)で、炎症性腸疾患(IBD)ポートフォリオに関する20件の新規抄録を発表すると公表した。

発表される主なデータ

中心となるのは、スカイリジ(リサンキズマブ)とリンボック(ウパダシチニブ)の長期成績である。

潰瘍性大腸炎(UC)を対象としたCOMMANDでは、最長3年間の維持治療にわたり臨床的・内視鏡的な効果が持続した。180mg群のas-observed解析で、96週時点の臨床的寛解率は54.0〜73.1%、内視鏡的寛解率は38.8〜53.5%で、これは先進治療歴のない患者と治療歴のある患者の双方にわたる値として示されている。臨床的寛解は排便回数スコア1以下かつベースライン以下、直腸出血スコア0、内視鏡サブスコア1以下で脆弱性所見がないこと、内視鏡的寛解は内視鏡サブスコア0と定義されている。

クローン病(CD)では、U-ENDUREのas-observed解析で約4年間にわたり効果が維持された。144週時点の臨床的寛解は15mg群で78.9%、30mg群で86.6%、内視鏡的寛解はそれぞれ47.1%、64.2%だった。内視鏡的寛解は中央判定によるSES-CD 4以下かつベースラインから2点以上の低下、個別項目のサブスコアが1を超えないこと、と定義されている。

このほか、リサンキズマブのCDにおける病変部位別の有効性を見たFORTIFY非盲検継続試験の144週データも口演で取り上げられる。

実臨床データと開発段階の新薬

実臨床データも複数提示される。中等症から重症のCDを対象とした実臨床研究UPliftの中間解析では、評価可能患者497例のうち70.2%がウパダシチニブ投与開始から12週以内に臨床的奏効を達成し、初回奏効までの期間の中央値は13日だった。

UCまたはCDの患者514例を対象としたレセプトデータ解析では、TNF阻害薬から別のTNF阻害薬に切り替えた群と比べ、TNF阻害薬からウパダシチニブに切り替えた群で、12カ月間のIBD関連入院率(9.5%対16.3%)と手術率(6.9%対10.6%)が低かった。傾向スコアマッチング解析として、10月20日の口演で発表される。

皮下投与に関しては、CDにおけるリサンキズマブ皮下導入・維持療法を評価した第3相AFFIRM試験のデータが扱われる。AFFIRMの結果は2026年の米国消化器病学会(ACG)年次学術集会で初めて発表されており、UEGWでは先行する先進治療の使用歴別の解析や、皮下導入に奏効して治療を継続した患者の臨床的・内視鏡的アウトカムをさらに詳述する解析が示される。12週結果の口演と、24週結果のモデレーテッドポスターが予定されている。

開発段階の品目では、デュアルターゲティング療法ABBV-466の第2a相TARGET-CD試験の主要結果と分子プロファイリングが、10月19日のレイトブレイキングIBD試験セッション(LB08)で口演される。中等症から重症のCDにおける内視鏡的寛解に関するデータと位置づけられている。

背景と意味

スカイリジはIL-23のp19サブユニットに結合してIL-23を選択的に阻害する薬剤で、ベーリンガーインゲルハイムとアッヴィの提携に基づき、アッヴィが世界で開発と商業化を主導している。米FDAと欧州EMAから、中等症から重症の尋常性乾癬、乾癬性関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎の治療薬として承認されている。アッヴィは2026年8月27日、中等症から重症の活動性CDの成人患者に対する皮下導入について、EMAへ承認申請したことを公表している。

アッヴィの免疫学・国際メディカルアフェアーズ領域責任者であるSofie Berg氏は、クローン病と潰瘍性大腸炎は慢性かつ生涯にわたる疾患であり、患者が時間の経過とともに、また日常の臨床の中でどのように治療に反応するかを理解することが重要だとコメントしている。

今回の発表群は、既承認薬をより長い治療期間と実臨床の場で検証する内容が軸になっている。3年・4年という時間軸での内視鏡的寛解の数字と、実臨床での入院・手術という医療資源の指標が同じ学会で並ぶ構成は、IBD治療の評価軸が症状の改善だけでなく、長期の粘膜治癒と治療シークエンスの選択に移りつつあることを示す。TNF阻害薬で効果が不十分だった患者を同系統で回すか、作用機序の異なる薬剤に切り替えるかという実務上の判断に、比較データが加わる意味は小さくない。皮下導入の申請と第2a相の新規モダリティが同時に並ぶ点も、同社がこの領域で投与経路と作用機序の両面から選択肢を広げようとしていることを示している。

なお安全性については、リサンキズマブは有効成分または添加剤に過敏症のある患者、活動性結核などの臨床的に重要な活動性感染症のある患者に禁忌とされる。感染リスクの増加、投与前の結核評価、生ワクチン接種の制限、アナフィラキシーを含む重篤な過敏症反応への注意が示されており、最も高頻度の副作用は上気道感染(乾癬13%、クローン病15.6%、潰瘍性大腸炎26.2%)である。