ステラファーマ(コード番号4888、グロース)は2026年10月22日、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)用医薬品「ステボロニン」の再発髄膜腫を効能又は効果とする製造販売承認事項一部変更承認申請について、薬事審議会医薬品第二部会で審議され、承認して差し支えない旨の結論が得られたとの連絡を受けたと発表した。今後、所定の行政手続きを経て製造販売承認がなされる見込みとしている。
医師主導治験でPFS 14.4か月、対照群は1.4か月
今回の申請は、大阪医科薬科大学で実施された再発高悪性度髄膜腫を対象とする医師主導治験(第Ⅱ相ランダム化比較試験)の結果に基づくものだ。同治験は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受けて実施された。
主要評価項目である無増悪生存期間は、BNCTを実施した試験治療群が14.4か月だったのに対し、比較対照群は1.4か月で、統計学的に有意な差が認められた。副次評価項目の奏効率は試験治療群で27.3%を示し、比較対照群では奏効が認められなかった。生存に関しては、試験治療群で1年生存率100%、2年生存率90.9%という結果が得られている。同社はこれらを「本剤の有効性を支持する結果」と説明する。
医師主導治験は、医師が自ら製造販売承認のための臨床試験を企画・立案し、治験計画届を提出して実施する臨床試験で、得られた臨床データは被験薬を提供した製薬会社が引き継ぎ、薬事承認申請に活用される。今回はその枠組みを通じて、大学で実施された試験の成績が企業の一変申請につながった形だ。
オーファン指定から優先審査、そして部会了承へ
経緯を資料に沿って整理すると、ステボロニンは2024年9月に再発髄膜腫を対象として希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けている。さらに2026年2月には優先審査品目として評価され、優先審査の適用対象として審査が進められてきた。同社が再発髄膜腫を対象とした製造販売承認事項一部変更承認申請を行ったのは2026年3月で、その後、審査対応を進めてきたという。申請から約7か月での部会了承となる。
同社は、再発髄膜腫について「治療選択肢が限られており、特に本邦では承認された薬物療法がないことから、新たな治療法が求められている」と説明している。オーファン指定と優先審査品目としての評価は、この未充足の需要を踏まえた制度的な後押しと位置づけられる。
ステボロニンの既承認の効能又は効果は、切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌である。再発髄膜腫は、これに続く2つ目の適応症となる見込みだ。
「適応拡大」の成果、業績影響は軽微
ステラファーマは「適応拡大」「治療施設拡大」「海外展開」を成長戦略の柱としてBNCT事業を推進しており、今回の審議結果を「適応拡大」における重要な成果、頭頸部癌に続く新たな適応症の実現に向けた重要なマイルストーンと位置づける。再発髄膜腫への適応拡大によりBNCTによる治療対象患者の拡大を図り、本件を通じてBNCTの医療的価値を高めることで「治療施設拡大」および「海外展開」を含む成長戦略の推進につなげるとしている。
業績面では、本件による2027年3月期業績への影響は軽微と見込む一方、中長期的にはBNCT事業の成長に寄与するとの見方を示した。
BNCTは、ホウ素の安定同位体B-10の原子核が熱中性子を吸収してヘリウム原子核とリチウム原子核に分裂する現象を利用した放射線治療の一種だ。分裂で生じる原子核は細胞を破壊する能力が非常に大きい一方、影響を及ぼす範囲が4〜9ミクロンと極めて短い。B-10を含む物質ががん細胞に選択的に集積したところに熱中性子を照射することで、がん細胞を選択的に破壊する。治療にはホウ素医薬品と中性子照射を行う設備の両方が必要であり、適応症が増えることは、同社が掲げる治療施設拡大の前提となる治療対象の広がりを意味する。
同社は今後もBNCTの適応拡大を推進するとしており、開示すべき事項が生じた場合には速やかに知らせるとしている。