ギリアド・サイエンシズは2026年10月29日、2026年第3四半期の決算を発表し、製品売上が前年同期比13%増の$8.3 billionとなり、通期の製品売上ガイダンスを引き上げた。

四半期の数字

第3四半期の製品売上は前年同期比13%増の$8.3 billion。Veklury(レムデシビル)を除くと16%増の$8.2 billionだった。増収の主因はHIV製品、Trodelvy(サシツズマブ ゴビテカン)、Livdelzi(セラデルパー)の売上増で、VekluryとCell Therapy製品の減少が一部相殺した。ロイヤルティ・契約その他収益は、前年に計上した知的財産売却関連の収益が今年は再発しなかったため減少した。

製品別では、HIV製品が18%増の$6.2 billion。Biktarvyが10%増の$4.1 billion、Descovyが49%増の$1.0 billionとなった。Liver Diseaseポートフォリオは13%増の$927 million、Trodelvyは需要増を主因に42%増の$506 million。一方、VekluryはCOVID-19関連入院の減少により69%減の$86 million、Cell Therapy製品は競合圧力が続き18%減の$355 millionだった。

希薄化後EPSは$1.94(前年同期$2.43)。持分証券の評価損益が前年の益から当期は損に転じたこと、営業費用の増加、法人税費用の増加、ロイヤルティ等収益の減少が主因で、製品売上増と取得IPR&D費用の減少が一部相殺した。非GAAPの希薄化後EPSは$2.55(同$2.47)と増加した。

製品総利益率は81.0%(前年同期78.6%)、非GAAPでは88.1%(同86.5%)で、ロイヤルティ関連債務の失効が主因。R&D費用は$1.6 billion(同$1.3 billion)、SG&Aは$1.6 billion(同$1.4 billion)。実効税率は20.7%(同16.2%)だった。

買収が財務に与えた影響

2026年9月30日時点の現金・現金同等物・市場性のある負債証券は$6.4 billionで、2025年12月31日の$10.6 billionから減少した。年初来で買収関連に$11.3 billion、債務返済に$2.8 billion、配当に$3.1 billion、自社株買いに$1.1 billionを支出し、営業キャッシュフロー$11.2 billionと負債調達による純手取り$4.1 billionが一部補った。第3四半期単独では営業キャッシュフロー$5.0 billion、配当$1.0 billion、自社株買い$370 millionだった。

通期ガイダンスは、製品売上が$31,000〜$31,300 million(従来$30,100〜$30,400 million)、Veklury除きが$30,700〜$31,000 million(従来$29,800〜$30,100 million)へ引き上げられた。Vekluryは約$300 millionで据え置き。一方、希薄化後の1株当たり損失は$(4.40)〜$(4.05)(従来$(3.75)〜$(3.40))、非GAAPでは$(1.20)〜$(0.85)(従来$(0.65)〜$(0.30))と、損失幅が拡大する見通しとなった。これは今年発表したArcellx、Tubulis、Ouro Medicines、PepStarの各取引に関連する$12.4 billionの取得IPR&D費用(Lakefrontとの提携および関連税効果の影響を控除後)による約$9.88の影響を含むためと説明されている。

ダニエル・オデイ会長兼CEOは、ベース事業の成長が10年以上ぶりの高い伸びとなったとし、通期のベース事業収益ガイダンスの引き上げ幅は2026年初から累計$1.6 billionに達したと述べた。HIV事業は18%成長し、HIV予防の売上は前年同期比でほぼ倍増したとしている。

パイプラインと承認の動き

前回の四半期発表以降の主な進展として、ウイルス学領域では、安定した抗レトロウイルス療法でウイルス学的に抑制された成人HIV患者の治療薬として、Bixlenvo(ビクテグラビル75mg/レナカパビル50mg)が米FDAの承認を取得した。複数錠レジメンからの切り替えを含む、単剤完全レジメンとして位置づけられる。また、年2回投与のレナカパビルに関する6件のロイヤルティフリーの自発的ライセンス契約を、治験段階の年1回投与レナカパビル(HIV予防、承認された場合)にも拡大。対象は高罹患率の120カ国で、第3相PURPOSE-365試験の進行中に製造準備や技術移転を支える。さらに、ラテンアメリカ・カリブ海地域の全PAHO加盟国を対象に、年2回投与レナカパビルのアクセスを加速する汎米保健機構(PAHO)との新協定も発表した。

腫瘍領域では、Trodelvyとキイトルーダ(ペムブロリズマブ)の併用について、PD-L1(CPS≥10)陽性で転移性疾患に対する全身療法歴のない切除不能な局所進行・転移性トリプルネガティブ乳がんを対象に、欧州委員会が販売承認を付与した。炎症領域では、経口IL-23R阻害薬プログラム(リード資産は第1相のHCXT-2001)を持つPepStar Therapeuticsとの買収契約を発表。経口α4β7阻害薬emvistegrastの第2相SWIFT試験では、200mg群が12週時点の臨床的奏効という主要評価項目を達成し、2027年に単剤療法としての第3相開始を計画する。企業活動では、2030年までの米国における研究開発・製造への$32 billion投資を支える3プロジェクトの第1弾として、新研究センターの開設を発表した。

意味するもの

今回の内容は、Veklury依存からの脱却が数字として表れた四半期と読める。Veklury除きの売上が16%増となり、ガイダンスも売上面では二度目の引き上げとなった一方、通期のEPSは買収に伴う取得IPR&D費用で損失見通しが拡大した。売上成長と、将来のパイプラインを買うための一時費用が同じ決算の中で同居している構図であり、評価の軸をどこに置くかで見え方が変わる。

HIVでは、予防領域の伸びとBixlenvoの承認、レナカパビルのライセンス拡大・PAHO協定が並び、治療と予防の双方で製品ラインが厚くなっている。Cell Therapyの減少が続く一方でTrodelvyが42%増となり、腫瘍領域内の構成も変化している。炎症領域は買収と第2相データで組み立て段階にあり、第3相は2027年開始予定とされる。