何が発表されたか

ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(BMS、NYSE: BMY)は2026年10月29日(米ニュージャージー州プリンストン)、2026年第3四半期の決算を発表した。あわせて通期の売上見通しを引き上げ、非GAAPベースの1株当たり利益(EPS)レンジを更新した。

第3四半期の総売上高は130億6,900万ドルで、前年同期の122億2,200万ドルから7%増(為替影響を除いても7%増)。このうち「Growth Portfolio(成長製品群)」が12%増の76億6,200万ドル、「Legacy Portfolio」が1%増の54億1,500万ドルだった。地域別では米国が9%増の90億7,400万ドル、米国外が3%増(Ex-FXで4%増)の39億9,500万ドル。

利益は、GAAP EPSが1.05ドル(前年同期1.08ドル、3%減)、非GAAP EPSが1.35ドル(同1.63ドル、17%減)。いずれもAcquired IPRD(導入した研究開発資産)費用とライセンス収入による1株当たり▲0.58ドルの純影響を含む。前年同期の同影響は▲0.20ドルだった。BMSに帰属する純利益はGAAPで22億ドル、非GAAPで28億ドル(前年同期33億ドル)。

通期見通しは、売上高を497.5億〜502.5億ドルのレンジに引き上げ。非GAAP EPSは6.35〜6.55ドルに更新した。こちらにはAcquired IPRD費用とライセンス収入による1株当たり▲0.60ドルの純影響が含まれる。

製品別の動きと費用構造

成長製品群の伸びを牽引したのは、Opdivo Qvantig、Breyanzi、Reblozyl、Camzyos、Opdualagである。四半期売上はOpdivo Qvantigが3億3,400万ドル(200%超増)、Breyanziが5億2,600万ドル(46%増)、Reblozylが7億5,000万ドル(22%増)、Camzyosが4億2,000万ドル(42%増)、Opdualagが3億6,700万ドル(23%増)。一方でOpdivoは23億7,400万ドルで6%減だった。

Legacy Portfolioでは、Eliquisが46億9,000万ドル(25%増、米国は39%増)と伸びた半面、Revlimidが3億300万ドル(47%減)、Pomalyst/Imnovidが1億3,000万ドル(81%減)など、後発品の影響が続いている。

費用面では、売上総利益率がGAAPで71.9%から68.3%へ、非GAAPで72.9%から68.4%へ低下した。会社側は主因を製品ミックスの変化とし、加えて2026年の契約解除に伴う一時費用を挙げている。販売管理費は17億ドルで5%減、研究開発費は24億ドルでGAAP6%減・非GAAP3%減。これに対しAcquired IPRD費用は15億5,800万ドルと146%増え、最近のライセンス契約の実行と継続中の協業に伴う費用が中心という。買収無形資産の償却は4億5,800万ドル(45%減、主にPomalystの償却減)、実効税率はGAAPで29.5%から14.8%へ、非GAAPで22.3%から14.1%へ低下した(所轄地域別の利益構成が主因)。その他損益の悪化については、2025年末で糖尿病関連製品のロイヤルティ収入が終了したことを反映しているとしている。

パイプラインの節目

決算発表では、直近のパイプライン進捗も列挙された。9月30日には、FDAがCamzyos(mavacamten)について、体重30kg(66ポンド)以上の成人および小児の症候性閉塞性肥大型心筋症に対し、運動耐容能と症状の改善を目的とした適応を承認。10月8日には、Zenbexus(iberdomide)とダラツムマブ・デキサメタゾン併用(ZDd)の第3相EXCALIBER-RRMM試験で、再発・難治性多発性骨髄腫における二重主要評価項目のPFSが統計学的に有意に改善し、病勢進行または死亡リスクを51%減少させたと発表した。

このほか、SystImmueおよび四川BiokinとのiZa-bren(izalontamab brengitecan)で第3相PANKU-Lung01とPANKU-Breast01の中間解析が陽性(乳がん試験では進行・死亡リスク59%減、PFS中央値8.2カ月対4.0カ月)、BioNTechとのpumitamigの第2相ROSETTA Lung-107、zola-celの第1相Breakfree-2多発性硬化症コホート、RYZ101の第3相ACTION-1、admilparantの第3相ALOFT-IPF(60mg群で主要評価項目を達成、120mg群はFVC低下を緩やかにしたが有意差なし)が並んだ。

クリストファー・ベーナー会長兼CEOは、成長製品群が12%増と2桁成長を続けたとしたうえで、「first-in-classのCELMoDであるZenbexusの承認は、多発性骨髄腫の患者に新しい治療クラスをもたらす」と述べ、規律ある実行と重点投資を続ける考えを示した。

この決算が示すもの

今回の数字で目を引くのは、増収と減益が同時に起きている構図である。売上は7%増で通期見通しも引き上げられた一方、非GAAP EPSは17%減った。その主因として会社が明示しているのが、15億5,800万ドルに膨らんだAcquired IPRD費用である。BMSはこれをGAAP・非GAAPの双方でEPSに反映させ、通期見通しにも▲0.60ドルとして織り込む形を取っている。外部からの導入・提携にかかる支出を利益指標から除外せずに示す以上、四半期ごとの利益は契約の締結時期に左右されやすくなる。

ポートフォリオの重心移動も鮮明だ。成長製品群は76億6,200万ドルと総売上の過半を占め、Legacy側ではRevlimid、Pomalyst/Imnovid、Sprycelの減少が続く。その中でEliquisが米国で39%増となっており、Legacy全体を1%増に押し上げた。

パイプラインでは、Camzyosの小児を含む適応承認、Zenbexusの第3相データ、そして複数の提携資産(iza-bren、pumitamig、RYZ101、admilparant、zola-cel)の後期データが短期間に重なった。自社品の承認と、導入・提携品の臨床進展の両方が同じ四半期に並んだことは、前述のAcquired IPRD費用の増加と表裏の関係にある。費用として先に計上されたものが、今後どの製品の売上として戻ってくるのか。次の四半期以降の開示が、その答え合わせになる。