事実:診療データベースの実患者数が6,537万人に
メディカル・データ・ビジョン(MDV)は2026年11月2日、同社が保有する大規模診療データベースの実患者数が、2026年10月末の集計で6,537万人になったと発表した。同社の資料によれば、実患者数は2011年の349万人から毎年増えており、2025年は5,502万人だった。この1年余りで約1,000万人増えたことになる。
あわせて公表した月次データ(2026年8月分)では、2025年8月から2026年8月までデータを提出している372施設に対象を固定し、実患者数の推移を示している。DPCデータの対象施設数は372施設、対象実患者数は9,052,599人。前月比(2026年7月と2026年8月の比較)は94.3%、前年同月比(2025年8月と2026年8月の比較)は99.6%だった。
入院・外来別では、入院が対象施設数371施設、対象実患者数1,897,664人で、前月比101.3%、前年同月比98.3%。外来が対象施設数372施設、対象実患者数8,656,297人で、前月比101.0%、前年同月比99.9%だった。入院・外来はいずれも前月比が100%を超える一方、全体の前月比は94.3%と記載されており、数値は資料のとおり掲げた。
薬剤売上ランキング:首位キイトルーダ、イミフィンジが前年同月比23.5%増
同じ資料には、MDVデータにもとづく2026年8月の薬剤売上ランキング(前年同月比・12ヶ月移動累計比)も掲載されている。金額の単位は百万円。製品名の前の【注】は注射薬、【内】は内服薬を表す。
首位は【注】キイトルーダで、全体53,044、入院7,803、外来45,241。前年同月比は全体0.1%、入院-1.6%、外来0.3%で、12ヶ月移動累計比は全体10.7%、入院9.9%、外来10.9%。2位は【注】オプジーボの全体31,461(入院4,098、外来27,363)で、前年同月比は全体-4.3%、12ヶ月移動累計比は全体-4.9%。
以下、【内】タグリッソ27,990、【注】イミフィンジ26,441、【注】テセントリク19,806、【注】ダラキューロ19,774、【注】ユルトミリス19,297、【内】イクスタンジ19,179、【内】ベージニオ18,440、【内】オフェブ16,458と続く。
前年同月比で伸びが大きいのはイミフィンジで、全体23.5%、入院57.6%、外来16.0%。イクスタンジも全体17.0%、入院52.4%、外来16.3%と伸びた。一方、テセントリク(全体-5.5%)、ユルトミリス(全体-5.2%、入院-34.7%)、オプジーボ(全体-4.3%)はマイナスだった。12ヶ月移動累計比ではイミフィンジが全体17.1%、ユルトミリスが15.5%、イクスタンジが15.4%と二桁の伸びを示している。
留意点:283施設に固定し、当時の薬価で計算
資料には次の注記がある。第一に、薬剤売上ランキングは、2024年9月から2026年8月までデータを提出している283施設に対象を固定し、当時の薬価をもとに金額と比率を計算したものであること。第二に、最新年月のデータ提供施設数は、諸事情により少なくなる場合があること。ランキングの金額は283施設分の集計であり、各社が公表する売上高そのものではない。
また、ランキング表には、全体の金額と入院・外来の内訳が合わない箇所がある(例:イミフィンジは全体26,441に対し外来26,767、タグリッソは全体27,990に対し入院1,223・外来21,067)。数値は資料の記載どおりに掲げた。
意味:施設固定の患者数と、薬価ベースの薬剤動向をどう使うか
施設を固定した実患者数は、医療機関側の受療動向を一定の条件のもとで追える指標になる。全体の前年同月比が99.6%、外来99.9%、入院98.3%という水準は、少なくとも対象372施設の範囲では、前年同月から患者数が大きく動いていないことを示している。
薬剤側では、オンコロジー領域の製品が上位を占め、免疫チェックポイント阻害薬の間でも前年同月比の方向が分かれている。283施設に限った薬価ベースの集計という制約はあるものの、病院での使われ方の変化を月次で把握できる点に、この種のデータの実務的な価値がある。製薬企業が自社・競合の採用動向を見るうえでは、単月の前年同月比と12ヶ月移動累計比の両方を併せて読む必要がある。