何が出たか

製薬協がニューズレター2026年11月号(No.231)を公開した。今号は特集2本に加え、常務理事インタビュー、委員会紹介、業界データの解説、キーワード解説、Topicsで構成される。全体を通じた軸は、2026年10月の一般社団法人への移行と、それにあわせて動き出した組織体制である。

巻頭の特集は「TOWN HALL MEETING」。2026年10月15日に第2回「製薬協タウンホールミーティング」が開催された。一般社団法人化した製薬協の変革について、「なぜ、今変わるのか」「何が、変わるのか」という2つの視点から共有が行われ、対話セッションでは登壇者が事前質問と挙手質問に回答したとしている。特集の見出しには「戦略を『紙芝居』で終わらせない」「『One JPMA』で実行へ」という言葉が掲げられている。

もう1本の特集は「事業戦略本部」。2026年10月の一般社団法人化にあわせて事業戦略本部が本格始動した。会員会社・委員会・事務局をつなぐ横断的なハブとして位置づけられており、記事では運営幹事、3グループのリーダー、運営メンバーが「One JPMA」に向けた考えを語っている。

体制と活動の中身

「From JPMA」では、2026年4月に製薬協の常務理事に就任した髙橋剛氏のインタビューを掲載。国際経験を持つ立場から、「グローバルプレゼンスの向上」「国際戦略の深化」、そして「Co-creation(共創)」についての展望が語られている。

連載「私の委員会」は第8回で、医薬品評価委員会を取り上げた。同委員会は非臨床から製造販売後までを幅広く担う組織で、記事ではNAMsの推進やデジタル基盤の刷新に取り組むメンバーの活動が紹介されている。

これと対になる形で、「押さえておきたいキーワード」ではNAMs(新しいアプローチ方法論)を解説した。副題は「動物試験の『代替』から、ヒト予測性を高める評価戦略へ」。医薬品の非臨床評価が大きな転換点を迎えているとし、医薬品評価委員会でNAMsに取り組む3名への取材をもとに、日本がこの流れにどう向き合うかを扱っている。委員会紹介とキーワード解説の両方でNAMsが登場しており、今号で重点的に扱われたテーマといえる。

「ファクトから見る製薬業界」は「創薬力は、どこで生まれるのか」と題し、世界の創薬を19都市圏で比較した政策研の分析を紹介している。開発品目の53.0%がこの19都市圏に由来するという数字を示し、創薬集積の特徴と、東京・大阪の現在地および課題を読み解く内容となっている。

Topicsでは、製薬協の一般社団法人への移行、「Girls Meet STEM 夏ツアー」への参画、「BioJapan 2026」での日本の創薬エコシステム強化の発信、第81回国連総会サイドイベントの開催、「2026年度GMP事例研究会」の開催、2026年度「製薬協コード理解促進月間」を11月に実施することなどが報告されている。

この号から読み取れること

今号の構成から見えるのは、製薬協が組織の形を変えた直後に、その内実を会員や外部に向けて説明する段階に入っているということだ。一般社団法人化は10月に完了しているが、ニューズレターが紙幅を割いているのは制度上の移行そのものではなく、タウンホールミーティングでの対話や、事業戦略本部という横断組織の立ち上げといった、移行後に何をどう動かすかという部分である。「戦略を『紙芝居』で終わらせない」という特集の言葉は、計画の策定と実行の間にある距離を、協会自身が課題として意識していることを示している。

事業戦略本部が会員会社・委員会・事務局をつなぐハブと位置づけられている点も同じ方向を向く。製薬協は多数の委員会を抱える組織であり、そこを横断してまとめる機能を新設したということは、縦割りのまま個別に活動する形からの転換を狙ったものと読める。「One JPMA」という言葉が特集2本に共通して使われているのは、その意思表示だろう。

中身の面では、NAMsと創薬エコシステムの2つが今号の実質的なテーマになっている。NAMsは非臨床評価の方法論の転換であり、動物試験の代替という従来の文脈から、ヒトでの予測性を高める評価戦略へと議論の位置づけが移りつつあることが示されている。創薬エコシステムについては、開発品目の53.0%が19都市圏に由来するという集中の実態が提示された。創薬の成果が特定の都市圏に偏って生まれているという事実は、東京・大阪を含む日本の拠点をどう評価し、どこを強化するかという議論の出発点になる。髙橋常務理事のインタビューで「グローバルプレゼンスの向上」が掲げられていることと、この分析は同じ問題意識の上に並んでいる。

なお今号には、リニューアルしたニューズレターへの読者アンケートへの案内も付されている。