決まったこと
テバ・ファーマシューティカル・インダストリーズ(NYSE・TASE: TEVA)とサムスン・バイオエピスは2026年11月3日、FDA承認済みの免疫領域バイオシミラー2品目について、ライセンスおよび販売契約を締結したと発表した。対象はインフリキシマブ-abda(レミケードのバイオシミラー)と、ETICOVO(エタネルセプト-ykro、エンブレルのバイオシミラー)の2品目である。
契約条件によると、テバはクロージング時点でエタネルセプト-ykroの米国販売権を取得し、インフリキシマブ-abdaの米国販売権は2027年第3四半期にテバへ移管される。エタネルセプト-ykroを米国でいつ発売するかについては、後日あらためて公表するとしている。サムスン・バイオエピスは2品目とも、規制当局対応と製造の責任を引き続き負う。本取引は必要な規制当局の承認取得を含む通常のクロージング条件に服し、現時点では2026年末までの完了が見込まれている。
金銭条件については、テバが一定の条件のもとで今後3年間にわたり一時金をサムスン・バイオエピスに支払うこと、サムスン・バイオエピス側が追加の上市マイルストンおよび売上マイルストンの受領資格を得る可能性があること、両社が本製品の販売による利益を分け合うことが示されている。個別の金額は公表されていない。
対象となる2品目
2品目はいずれも腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬で、慢性炎症性疾患・自己免疫疾患の治療に用いられる。
インフリキシマブ-abdaは2017年にFDAの承認を受けており、適応にはクローン病(成人・小児)、潰瘍性大腸炎(成人・小児)、関節リウマチ(メトトレキサートとの併用)、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、尋常性乾癬が含まれる。テバは2027年第3四半期から新たに同製品の販売を引き継ぐ。
エタネルセプト-ykroは2019年にFDAの承認を受けているが、現時点では米国市場で販売されていない。適応には関節リウマチ、多関節型若年性特発性関節炎(2歳以上)、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、尋常性乾癬(4歳以上)が含まれる。
なお発表資料には、インフリキシマブ製剤に関する重要な安全性情報として、入院や死亡に至りうる重篤な感染症のリスク、結核の再活性化や侵襲性真菌感染症、小児・青年におけるリンパ腫を含む悪性腫瘍の報告、B型肝炎ウイルスの再活性化、肝毒性、血液学的事象などが列挙されている。
両社の関係はどこまで来たか
今回の契約は、テバとサムスン・バイオエピスが重ねてきた一連のバイオシミラー提携の延長線上にある。2025年には、EPYSQLI(エクリズマブ-aagh、ソリリスのバイオシミラー)について米国での契約を公表。2026年には、カナダにおけるOPUVIZ(アフリベルセプト)の契約と、初期開発段階にある最大6つのバイオシミラー候補を対象とするグローバル契約の2件を発表している。後者にはFasenra(ベンラリズマブ)およびIlaris(カナキヌマブ)を参照するバイオシミラー候補が含まれる。
テバのリチャード・フランシス社長兼CEOは、本契約がサムスン・バイオエピスとの協業を強化し、米国の免疫領域ポートフォリオに2つの生物学的製剤の選択肢を加えるものだと述べ、バイオシミラーが同社の「Pivot to Growth」戦略の重要な一部であると位置づけた。サムスン・バイオエピスのキム・キョンア社長兼CEOは、インフリキシマブ-abdaが上市以来の臨床的有効性と供給の信頼性で実績を築いてきた一方、ETICOVOは患者の治療選択肢を広げうるFDA承認済みの治療薬だとし、既存患者の治療継続を途切れさせないことを目指すと述べている。
業界にとっての意味
役割分担が明快な契約である。開発・製造・規制対応をサムスン・バイオエピスが持ち続け、米国の流通・販売チャネルをテバが担う。発表文でも「サムスン・バイオエピスのバイオシミラーの専門性」と「テバの商業力」の組み合わせとして説明されており、バイオシミラー事業における製造者と販売者の分業が、1品目単位ではなく複数品目・複数地域にまたがる継続的な関係として組み立てられつつあることを示している。
2品目の置かれた状況が異なる点も見逃せない。インフリキシマブ-abdaはすでに市場にある製品の販売主体が入れ替わる案件であり、エタネルセプト-ykroは2019年に承認されながら米国で未発売の製品を動かす案件である。承認を得ていても市場に出ていない資産が存在すること、そしてそれを動かす鍵が販売チャネル側にあることが、今回の契約からは読み取れる。発売時期が未公表である以上、実際にいつ患者に届くかは今後の発表を待つことになる。