何が発表されたか
株式会社ペルセウスプロテオミクス(コード番号:4882、東証グロース、代表取締役社長 執行役員 横川拓哉)は2026年11月5日、第68回米国血液学会(ASH)年次総会において、同社が実施した抗トランスフェリン受容体1(TfR1)抗体PPMX-T003の真性多血症(PV)第I相試験に関する報告が発表演題に採択され、抄録が公開されたと発表した。
採択された演題は「真性多血症および赤血球増加症患者における抗トランスフェリン受容体1モノクローナル抗体PPMX-T003の長期有効性および安全性:第1b相試験後の追跡調査」。発表日時は2026年12月13日 午後6:00~8:00(米国中部標準時)、抄録番号は3802、発表場所はアーネスト・N・モーリアル・コンベンションセンター ホールFである。ASH年次総会そのものは2026年12月12~15日に、ルイジアナ州ニューオリンズおよびオンラインで開催される。
報告の内容は、治験に参加した患者の治験参加前の状況と、治験終了後の3か月・6か月・1年・2年の各時点における病状を調査したもの、と説明されている。治験期間中のデータにとどまらず、投与終了後の経過を複数の時点で追った点が、今回の報告の輪郭である。なお、具体的な症例数や有効性・安全性の数値については、今回のリリースでは示されていない。
PPMX-T003とは何か
ペルセウスプロテオミクスは2001年2月に設立され、本社を東京都中央区に置く。主にがん領域で抗体医薬品の創薬を目指すバイオベンチャーと位置づけられている。
PPMX-T003は、同社が持つ多様性に富む抗体ライブラリと、目的の抗体を効率的にスクリーニングするICOS法(特許第4870348号)によって取得された抗体で、ファーストインクラスのTfR1ブロッキング抗体であると説明されている。
同社はPPMX-T003について、真性多血症に加え、アグレッシブNK細胞白血病(ANKL)を対象とした医師主導治験も実施している。さらに、放射性同位体標識抗体のPPMX-T002、抗体薬物複合体(ADC)のPPMX-T004の開発も進めている。すなわち、TfR1という標的と自社の抗体取得基盤を軸に、適応と改変技術の両面でパイプラインを広げている構図になる。
追跡調査が持つ意味
第I相(第1b相)試験は、本来は安全性と用量を確かめる段階であり、そこで得られる有効性の情報は限定的だ。今回の報告は、その試験に参加した患者を治験終了後も3か月・6か月・1年・2年と追いかけ、投与前の状態と比べる形をとっている。開発初期の品目にとって、投与終了後に病状がどう推移したかというデータは、次の段階の試験をどう設計するかを考えるうえでの手がかりになり得る。
また、発表の場がASH年次総会であることにも実務上の意味がある。血液領域の研究者・臨床医が集まる国際学会で抄録が公開され、現地とオンラインの双方で開催される場に演題が並ぶことは、PPMX-T003という開発品の存在を、同領域の専門家に直接示す機会になる。
ただし、現時点で公表されているのは採択の事実と演題名、発表枠の情報にとどまる。追跡調査が何を示したのか、その中身は2026年12月13日の発表を待つことになる。真性多血症とアグレッシブNK細胞白血病という二つの適応を並行して進める同社にとって、今回の報告がどのような数字を伴って示されるかが、次の注目点となる。