2026年8月24日、第一三共が2027年4月1日付でコマーシャライゼーションユニットを新設すると発表した。トップとなるChief Commercialization Officer(CCO)には、同社の米国子会社のCEOを務めるKen Keller氏が就く。

https://www.daiichisankyo.co.jp/files/news/pressrelease/pdf/202608/20260824_J.pdf

https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=80744

新設されるコマーシャライゼーションユニットは、グローバルの商業化体制とリソースを集約・再編する構想となっており、下記の5つの地域ビジネスと6つのグローバルファンクションで構成される。
地域ビジネスは下記の通り(順番は原文まま)。
1.     欧州(Markus Kosch氏)
2.     中国(餘舛祐一氏)
3.     日本・アジア・太平洋(村上伸夫氏)
4.     北米(茂田憲治氏)
5.     ラテンアメリカ(Marcelo Goncalves氏)

グローバルファンクションは下記のの6つ。
1.     オンコロジー アライアンス マネジメント
2.     オンコロジー ビジネスストラテジー&アナリティクス
3.     オンコロジー マーケティング・アクセス&プライシング
4.     オンコロジー メディカルアフェアーズ
5.     コマーシャル エクセレンス
6.     スペシャルティ ビジネス
このうちグローバル コマーシャル エクセレンスは新設機能となる。

同社はこの組織体制の目的として、2030年までに想定されるがん領域5製品20適応症の上市を見据えて迅速かつ一貫性のある事業運営を実現するとともに、リソース配分および意思決定の最適化を図るとしている。
実際、2026年5月に公表された第6期中期経営計画を見ると2030年度の計数目標は、売上収益3兆円以上、営業利益6,000億円以上、EPS 260円以上を目指しており、このうちがん領域については、2兆3,000億円超となっている。

前回の中期計画 (2021〜2025年度)の実績は売上収益2兆1,230億円、がん領域9,540億円だったため、それを大きく上回る目標となる。(為替の前提が1ドル105円から150.78円へと動いている影響もある)。 そして2035年には、がん領域でグローバルトップ5企業になるという目標が置かれている。
https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=80205

プレスリリースにある“5製品20適応症”の中身はエンハーツ、ダトロウェイ、パトリツマブ デルクステカン(HER3-DXd)、I-DXd(DS-7300)、R-DXd(DS-6000)の5つのDXd-ADCとなる。

5つのDXd-ADCと想定適応
5つのDXd-ADCと想定適応(第6期中期経営計画、ミクスOnline(2026年8月25日)をもとに筆者作成)

中期計画ではDXd ADC全体で3兆円以上のピークセールスポテンシャルを有するとされ、開発スケジュールでは2026年度から2028年度以降まで各年度にピークセールスの合計が20億ドルから60億ドルに達する臨床試験群のデータがリードアウトされる想定になっている。
このGlobal Top 5 Oncology Companyに向けたケイパビリティ構築のためには複数製品および20以上の適応症を遅延なく上市するためのBusiness Excellenceが必要であると記載されており、今回の組織再編はそれを踏まえたものだと思われる。

戦略のパラダイムシフト:基盤構築からグローバル・スケールへ
戦略のパラダイムシフト:基盤構築からグローバル・スケールへ(筆者作成)

なお、CCOに就くKen Keller氏はAmgenに約20年在籍し、その後Spectrum Pharmaceuticalsで社長兼最高執行責任者を務め、第一三共に2014年に入社している。2016年からはAmerican Regent社の社長兼CEOを兼務し、2019年4月にはDaiichi Sankyo, Inc.の社長兼CEOに就任、そして2021年4月にグローバルオンコロジービジネスの責任者を経て今回のCCOとなる。