2026年8月5日、中医協はサノフィのアトピー性皮膚炎治療薬デュピクセントに対して、持続可能性特例価格調整の要件に該当したとして11月1日付で薬価改定の対象とすることを了承した。デュピクセントにとっては発売後4回目の再算定となる。

https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001733494.pdf
デュピクセント皮下注は2018年4月に発売された抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体で、発売時の予測市場規模はピーク329億円だった。薬価は300mg 2MLで81,640円。
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000203089.pdf
その後2019年には消費税改定の影響で83,152円になっている。
そして2020年に最初の拡大再算定を受けることになる。薬価は20.2%の削減となり、66,356円。
https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=68894
2022年には2回目の拡大再算定の対象となり、8月1日付で“年間販売額350億円超かつ、基準年間販売額の2倍超”の基準を満たし、11.7%引下げとなり58,593円まで低下。
https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=73054
その後2024年には生後6ヶ月以上の乳幼児・小児の適応が追加になったことで5%の小児加算適応となり、61,523円になった。しかし、そのわずか4ヶ月後には“年間販売額が1000億円超1500億円以下、かつ基準年間販売額の1.5倍以上”として拡大再算定の対象となり、13%薬価引き下げにより53,493円に引き下げられた。
https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=76982
そして今回、2026年11月1日適用となる4回目は、2025年12月の制度改正で名称変更された持続可能性特例価格調整の要件に該当し、300mgシリンジは53,493円から51,515円へと3.7%の引き下げとなっている。
中医協資料によれば、デュピクセントは2025年3月慢性閉塞性肺疾患(COPD)の効能・効果が追加されており、この効能変更の承認日から10年を経過することなくNDBデータ(3月診療分)で“年間販売額が1,500億円かつ、基準年間販売額の1.3倍以上”という、持続可能性特例価格調整の要件に該当しているとのこと。

https://answers.and-pro.jp/pharmanews/31659/
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001733494.pdf
この区分は本来10%から50%という引き下げ率だが、希少疾病の効能追加等に係る加算(10%)と小児適応の効能追加等に係る加算(5%)の補正加算が適用されて相殺されることにより最終的な引き下げ率は3.7%になっている。
ちなみにデュピクセントの薬価収載当時の資料を振り返ると、下記のような原価計算方式になっている。
製品総原価: 54,838円
営業利益:9,450円
流通経費:5,063円
消費税:5,548円
で合計74,899円。
これに補正加算(有用性加算)45%×加算計数20%で6,741円の加算が
加わって81,640円となったのが収載当時の薬価である。

そうなると、イノベーションを起こして評価された加算分(6,741円)は発売後2年の拡大再算定の際に消え去り、4回の拡大算定を受けた今の薬価は51,515円で収載時の原価より低く、原価割れを起こしていることになる。
もちろん製造量が爆発的に増えている中では原価も低くなっているはずではあるが、イノベーションを起こした製品としてはあまりに夢がないように感じる。
