2026年8月28日、厚生労働省が令和7年度の概算医療費を公表した。総額49.2兆円で前年度比2.6%増となり過去最高を更新し続けている。

https://www.mhlw.go.jp/topics/medias/year/25/dl/iryouhi_data.pdf

5年間の推移を追うと、令和3年度44.2兆円、4年度46.0兆円、5年度47.3兆円、6年度48.0兆円と積み上がってきているものの、成長率は令和3年度の4.6%から、4年度4.0%、5年度2.9%、6年度1.5%と縮小傾向にあったが、今回の令和7年度では2.6%へと拡大に転じている。

医療費の推移
医療費の推移(厚生労働省 概算医療費をもとに筆者作成)

変動の内訳を見てみると、受診は減っているが単価が上がっている。医療機関を受診した延患者数に相当する受診延日数は、24.9億日から24.7億日へと0.16億日減少しており伸び率は▲0.7%となっている。前年度は+0.3%だったので、増加から減少へ転じている。
一方、1日当たり医療費は19.3千円から19.9千円へ上昇しており、伸び率は+3.3%で前年度の+1.1%から3倍になっている。つまり、医療機関にかかる回数は減っているが1回あたりにかかる費用が上がったことで、総額が押し上げられている。

診療種類別に見ると伸び率は、医科入院+2.3%、医科入院外+1.6%、歯科+3.5%、調剤+3.9%で、最も高いのは調剤となっている。
1日当たり医療費は、医科入院+2.8%、医科入院外+3.2%、歯科+3.2%、調剤+5.0%で、ここでも調剤が最も高くなっている。

各項目別の伸び率
各項目別の伸び率(厚生労働省 概算医療費をもとに筆者作成)

金額ベースだと総額1.25兆円の増加のうち、医科入院が0.44兆円、調剤が0.33兆円、医科入院外が0.26兆円、歯科が0.12兆円を占めている。

調剤における受診延日数 (=処方箋枚数)は令和7年度は▲1.1%で、9.0億回から8.9億回へ減少した。前年度は+1.2%だったので、増加から減少へ転じている。これに対し、1日当たりの調剤医療費は+5.0%で前年度の+0.3%から大きく変化しており、全診療種類の中で最大の単価上昇率となっている。
つまり、処方箋の枚数が減るなかで、1枚あたりの金額が上がることで、調剤全体の医療費が押し上げられている。

調剤費のトレンド
調剤費のトレンド(厚生労働省 概算医療費をもとに筆者作成)

この単価上昇について時事通信の報道では、厚労省の担当者は「抗がん剤など高額な薬剤の利用が増えたことが一因」と分析したとしている。また、日本経済新聞は調剤の伸びについてがんの治療に使う腫瘍用薬やホルモン剤などが増えたことが影響したと報じている。
https://sp.m.jiji.com/article/show/3854774

患者構成別でも医療費の内訳が掲載されている。医療保険適用の75歳以上は20.3兆円で+3.9%。総額49.2兆円に対して41%を占めている。一方の医療保険適用の75歳未満は26.5兆円で+1.7%であった。
75歳未満の内訳をさらに見ると、被用者保険は16.4兆円で+3.5%、うち本人が9.7兆円で+5.3%と、制度別で最も高い。一方、家族は5.8兆円で+0.8%増にとどまる。国民健康保険は10.1兆円で▲1.2%と減少、未就学者は1.3兆円で▲5.3%と減少している。公費(生活保護など)は2.4兆円で+0.6%だった。
1人当たり医療費は、総計で40.0万円となり、初めて40万円台に達している。伸び率は+3.1%。75歳未満は26.1万円(+2.7%)、75歳以上は98.9万円(+1.6%)となっている。

1人あたりの医療費
1人あたりの医療費(厚生労働省 概算医療費をもとに筆者作成)