2026年8月、各省が令和9年度予算の概算要求を公表しており、厚生労働省の一般会計要求は36兆5,803億円で要求段階として過去最大となっている。
https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/27syokan/

今回の要求増で大きいのは高市政権が創設した「強く豊かな日本」投資枠で、通常の概算要求には上限が設けられるがこの枠にはない。
厚生労働省の要求36兆5,803億円は前年度比で4.4%増加しており、うち1兆337億円がこの投資枠にあたる。大半は年金・医療等に関わる経費で、33兆6,872億円で3,397億円増加している。
経済産業省の要求はさらに大きく、関連合計7兆7,859億円のうち「強く豊かな日本」投資枠が6兆3,116億円を占めている。令和8年度当初予算は3兆693億円なので、4兆7,166億円増と倍以上となっている。ただし投資枠とエネルギー対策特別会計繰入を除いた一般会計は4,532億円にとどまる。
https://www.meti.go.jp/main/yosan_kanzei.html
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA26D6O0W6A820C2000000/

厚労省医薬局の概算要求額は334.9億円で対前年度342.2%、投資枠176.5億円の内訳は血しょう分画製剤が119.5億円
厚労省医薬局の概算要求額は334.9億円で対前年度342.2%、投資枠176.5億円の内訳は血しょう分画製剤が119.5億円(筆者作成)

厚労省の概算要求を局別に見ると、医薬局が突出して伸びている。概算要求額は334億8,600万円で、令和8年度予算額の97億8,400万円に対して237億100万円の増加しており対前年度342.2%となる。
このうち176億4,800万円が投資枠である。そのうち119億5,000万円を占めるのが血しょう分画製剤生産体制の整備となっている。(新規事業で、令和7年度補正予算では8億5,300万円)
血しょう分画製剤のうち免疫グロブリン製剤は重症感染症等に必須で需要が年々増大し続けており、老朽化による供給不安を未然に防止して安定供給を確保するとともに、国内自給率を高める必要がある。このため日本成長戦略に基づき国内自給率100%を目指して製造施設の更なる整備促進を図るとしている。
投資枠の第2項目が「医薬品等の審査・安全対策におけるAI導入推進」29億7,700万円で、これも新規事業となっている。
資料によれば、AI活用を前提とした審査プロセス等の確立、新薬や新技術に対応する医療機器の承認審査・安全対策業務等への生成AIの活用推進のため、厚労省とPMDAが連携してタスクフォースを設置する予定となっている。そのうえでPMDAにおける審査・安全対策等業務のAI利活用等の検討を進め、AI前提の薬事審査等の体制を確立するとしている。
このほかの投資枠には、医療安全の向上に向けた医薬品・医療機器等の物流DXの推進に資する製品データベースの構築が15億8,400万円(新規)、MID-NETの環境整備・強化が7億6,600万円(新規)、革新的医療機器等国際標準獲得推進が2億300万円、危機対応医薬品実用化促進のための早期薬事相談・支援が1億2,000万円(新規)、生成AI時代のプログラム医療機器活用推進実証が1億2,000万円(新規)、プログラム医療機器(SaMD)の審査迅速化が1億500万円、小児用医療機器実用化促進支援が4,300万円計上されている。
革新的な医薬品・医療機器等の迅速な審査・実用化の推進ドラッグラグ・ロス対策として36億5,800万円から53億4,800万円へ増加しており、内容としては国際共同治験の誘致に3,700万円(新規)、小児・希少疾病用医薬品等薬事相談センターの体制確保に9,900万円、国内発の革新的シーズへの相談・支援に7,100万円、PMDA米国事務所を拠点とした英語での情報発信・相談対応に1億2,200万円、アジア諸国の規制当局等との規制調和に8,100万円(新規)、薬事申請におけるリアルワールドデータの活用促進に2,600万円などが計上されている。

経済産業省の投資枠の中で医薬・バイオ関連の事業を見ると、最も大きいのが「医療・健康推進事業」の1,835億8,955万円。次いで「医療機器スタートアップ等エコシステム強化事業」が1,000億円で、令和8年度当初の38億円から26倍となっている。「創薬ベンチャーエコシステム強化事業」は320億円で新規計上。
製造設備に関する事業も計上されており、「バイオ医薬品等の製造拠点整備拡充事業」が150億円、「再生・細胞医療・遺伝子治療製造設備投資支援事業」が125億130万円で、このほか「ヘルスケア産業競争力強化事業」20億3,787万円、「バイオものづくりに関する大規模生産設備整備事業」5億円となっている。

経済産業省「強く豊かな日本」投資枠のうち医薬・バイオ関連6事業で約3,451億円
経済産業省「強く豊かな日本」投資枠のうち医薬・バイオ関連6事業で約3,451億円(筆者作成)