骨太方針2026が閣議決定されたが、日本医師会の松本会長は7月22日の定例会見で、その一部条項について「到底容認できない」とコメントしている。
https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=80589
https://www.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20260722_1.pdf
その内容は下記の3つの論点となる。
1. 医療給付費の対GDP比の数値目標導入
2. 社会保障費(医療・年金・介護等)の対GDP比の数値目標導入
3. 70歳以上の高齢者の医療費窓口負担原則3割、外来特例の廃止
① 医療給付費の対GDP比
2000年度から2023年度までの医療費とGDPの伸びを指数化したグラフを示している。2000年度を1.000とすると、2023年度の医療費は1.596(+59.6%)、GDPは1.107(+10.7%)。1年当たりの伸び率で見ると、医療費は+2.1%(内訳は人口要素+1.2%、高度化分+1.5%、診療報酬改定分▲0.6%)、GDPは+0.4%にとどまる。

仮にこの23年間医療費の伸びを完全にGDPの伸びに抑え込んだとすれば、日医の試算では1年当たりさらに▲1.6%程度、累積では▲31%程度の自動的な価格調整が必要だったとしており、診療報酬のが1点あたり10円なのが6.9円になると主張している。資料の中では、日本の医療費水準は高齢化が進む中で相対的に低く、他国と比べ医療費の抑制余地はありませんと述べており、この目標が設定されれば毎年約5,000億円程度の更なる削減が見込まれ、医療崩壊を招くとしている。
ただし、この試算は「対GDP比を一定に保つ」という仮定を過去23年間に遡って適用した場合の話であり、骨太方針2026が実際に求めているのはこれからの数年間の抑制のため別の時間軸の話である。
② 社会保障負担率
社会保障負担率は「社会保障負担の額(医療・介護・年金等の保険料負担)」を「国民所得の額(雇用者報酬+企業所得+財産所得)」で割った値であり、年度ごとに分母と分子両方の伸び率次第で大きく変動する。2001年度から2026年度までの年次データでは2001年の13.7%から緩やかに上昇し、リーマンショック後の2008年度に15.9%へ、その後も上昇を続けて2019年度に18.5%に達している。さらに新型コロナウイルスの影響で国民所得が急落し、2020年には社会保障負担率は19.4%まで急騰している。その後は低下基調にある。

その低下基調である理由については主に、国民所得の伸びが大きくなったことが大きい。
日医の提言としては、今の社会保障負担率の計算式の分母に公費負担(税金)がほとんど含まれていないため、それを含めることで現役世代の保険料を減らすことができるとしている。つまり、伸びている税収を、社会保障、特に医療に投入すべきというのが主張となる。
③ 70歳以上「原則3割」問題
70歳以上の窓口負担原則3割に対しても大きく反対している。資料のデータでは後期高齢者の窓口負担割合は、現在、3割が7%、2割が23%、1割が70%となっており、いきなり一律3割負担というような議論は乱暴と主張している。

さらに年齢階級別の1人当たり医療費と自己負担額を並べたデータも出されており、1人当たり医療費は、年齢が上がるにつれて一貫して増加しているのに対して、1人当たりの自己負担額は、65〜69歳の9.0万円をピークに、70〜74歳では7.3万円、75〜79歳では7.1万円へと、むしろ下がっていく。医療費は増えているのに、自己負担は減っている。これは70歳以降の窓口負担割合の低下と、高額療養費制度による部分が大きい。

日医は「応能負担の観点は必要ですが、自助、共助、公助のバランスをとりながら、少しずつ段階を経る必要があります」としている。一方で、このグラフはいかに後期高齢者部分に公費・社会保障による支援があてがわれているかということの証左でもある。