2026年7月7日、自由民主党と日本維新の会が、社会保障改革13項目の具体的な骨子に署名した。政府が7月にまとめる骨太方針2026に反映される予定。
https://o-ishin.jp/news/2026/images/df5709b8cf1cc53480338b51b06f3fc90bf525aa.pdf

項目1は、高齢化・高度化で膨らむ医療給付費について、診療報酬に経済・物価動向を反映しつつも、医療給付費の対GDP比や雇用者報酬の伸びとの関係を参照し、医療費適正化計画の次期改定に向けて抜本的な見直しを行うとする。項目4・5は、高齢者の窓口負担の見直しと「高齢者」の定義そのものの引き上げ検討であり、マイナンバーを活用した所得・資産の把握を前提に、年齢によらない応能負担へ舵を切る。

製薬にとって関連が強い点として、薬価について。項目3は、データに基づく客観的・合理的な診療報酬決定プロセスを確立するとして、中央社会保険医療協議会(中医協)の機能を見直す。”また創薬機能の強化の観点から、令和8年度末までに社会保険医療協議会法の改正を含め、製薬、医療機器及び卸等の産業界の法令上の位置づけを明確化するよう結論を得る。”と記載されている。
項目11では、医療の費用対効果分析の指標を確立するとして、対象品目や価格調整の範囲を拡大し、診療ガイドラインへの反映まで視野に入れるとしている。今現在は薬価引き下げのアプローチとして使われることがほとんどだが、費用対効果に優れる品目は薬価を引き上げて創薬環境を改善すると明記している。
骨太方針2026の原案は、2027年度(中間年)に薬価改定を実施すると明記し、革新的新薬のイノベーション評価(初収載時の適切な評価や特許期間中の薬価のあり方)の検討を掲げている。2026年度の薬価制度改革では、長期収載品の薬価の一層の適正化、市場拡大再算定の“共連れ”ルールの廃止、そして新薬創出等加算を「革新的新薬薬価維持制度」へ改称する見直しが決まっており、全体の方向性としては革新性がありROIが認めら得る製品の薬価は適切に、それ以外は削る、という方向性になっている。
https://www.dgs-on-line.com/articles/3257
https://gemmed.ghc-j.com/?p=72110

医療機関に影響を与える項目も多く、項目8は大学病院機能の強化として、教育・研究・臨床を担う医療従事者にふさわしい給与体系の構築、手当創設等による処遇改善、大学病院のあるべき姿の明確化(令和8年度中に結論)、組織形態(法人形態を含む)の見直し、診療報酬上の評価充実、さらに患者が医師を選択する選定療養の新設まで挙げている。項目9は高度機能医療を担う病院の経営安定化として、診療報酬体系の抜本的見直し、施設類型ごとのメリハリある評価、報酬が病院従事者の賃上げや人材確保に結びつく仕組みを掲げた。

項目12においては非医師が医療法人の理事長を務めることも可能にすべきとの記載があり、これが果たして本当に適切なのかどうかについてはSNSでもかなり議論が起きている。
そして項目13は、損税となっている控除対象外消費税について。高度医療機器や設備更新、医療DX投資に際し、控除対象外消費税の負担が一時的に大きくなることを念頭に、補助金・診療報酬・税制上の措置による対応策を令和8年度末までに検討し結論を得る、としている。
興味深いのは項目7で、国民皆保険の中核を守るためとして、高度化・高額化する医療へのアクセスを、公的保険と民間保険の役割分担で確保するとしている。先進医療等の対象拡大、保険外併用療養と民間保険の相互補完、生保・損保業界を含む検討となっている。アメリカのような民間保険ベースの国で、補完的に公的保険(メディケアなど)を使う事例はあるが、逆の構想となっており、果たして民間保険側が保険商品として成立するのかどうかが注目される。
