中医協は5月13日、日本イーライリリーの2型糖尿病治療薬マンジャロ皮下注の薬価を一律▲25%引き下げることを了承した。適用は2026年8月1日。

https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001699504.pdf

そもそも再算定は今や毎年となった薬価改定のタイミングではなく、収載後に“収載時の前提が大きく崩れた”場合に改定を待たずに薬価を引き下げる仕組みとなっている。
主なパターンは以下の4つに整理できる(中医協資料、2025年12月3日)。

通常の市場拡大再算定:年間販売額150億円超かつ予測の2倍以上 等、引下げ10〜25%

四半期再算定(効能追加対応):350億円超かつ2倍以上、10〜25%

市場拡大再算定の特例(中規模):1,000億円超〜1,500億円以下かつ1.5倍以上、10〜25%

市場拡大再算定の特例(大規模):1,500億円超かつ1.3倍以上、10〜50%

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特例の枠組みは2016年の薬価制度改革で導入された。きっかけは、オプジーボ」の予想を大きく超える市場拡大により、医療保険財政への影響が懸念されたためである。実際にオプジーボは特例の最初の適用品目として▲50%の薬価引下げを受けた。
その後2018年度の改革では、薬価改定を待たない四半期再算定が制度化され、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いて使用量を把握する運用が始まった。NDBは「保険診療として使用された分」だけが含まれるという特徴がある。
そして今回、2026年度には特例の名称が「持続可能性特例価格調整」(Price Adjustment for Sustainable Health System and Sales Scale: PASSS)に変更された。
マンジャロが該当したのは、上記の市場拡大再算定の特例(持続可能性特例価格調整)となる。
要件は以下の2つを同時に満たすこと。

年間販売額が1,000億円超1,500億円以下

基準年間販売額の1.5倍以上

厚労省は12月診療分のNDBデータに基づく検討を行い、マンジャロがこの要件に該当したと判定した。

そもそもマンジャロは周知の事実の通り、自由診療で多く使われている。今回の改訂ではその影響が除外されている。
昨年、2025年12月3日の中医協薬価専門部会では、“保険外での使用が一定数見込まれる品目の場合には、薬価調査の結果に基づく市場拡大再算定の特例は、保険外での使用分も含めた上で実施されることになり、医療保険財政を考慮するという本来の趣旨とは一部そぐわない側面がある。”と説明されており、そのためレセプト情報のNDBが用いられている。これは、肥満症治療目的での自由診療使用が広がっているGLP-1製剤を念頭に置いた制度改正と認識されている。

そのため、マンジャロの▲25%引下げは“保険診療下での販売額だけで判定して、なお1,000億円超の売上となる”ということであり、自由診療を含めればさらに大きいことが自明である。
引き続きルールが「自由診療分は計算から外す」という構造である以上は、製造販売業者にとっては、自由診療売上を伸ばしても薬価引下げ要因にはならないという側面がある。そのため、今後自由診療の需要を、不適切診療のマネジメントも含めてどうしていくか、業界全体の方向性が問われる。