2026年8月20日、英国の調査機関PatientViewが、希少疾患領域における製薬企業の評判調査の結果を公表した。63カ国502の患者団体が、38社を10項目で評価している。

https://www.fiercepharma.com/marketing/boehringer-ingelheim-again-rises-rare-disease-reputation-rankings

7月にはがん患者団体の調査結果が発表されているが、今回は希少疾患領域となる。
https://note.com/yayota/n/ne3cb3c8d4ccd

PatientViewは2000年設立の独立系調査会社で、毎年世界の患者団体を対象に製薬業界の評価を調査している。今回の希少疾患版は2025年12月から2026年3月にかけて実施され、63カ国の502団体が回答している。対象企業は38社で前年度の32社から6社増えている。
評価指標の10項目は患者中心(Patient centricity)、患者への情報提供、患者の安全性、製品が患者にもたらす便益、価格・臨床試験データ・外部ステークホルダーへの資金提供に関する透明性、誠実性、患者団体との関係の質、Beyond the Pillのサービス、R&Dへの患者参画、そして医薬品への公平なアクセスである。

企業の評判を形成する10の評価指標
企業の評判を形成する10の評価指標(筆者作成)

回答した団体の所在国として最も多いのが米国の57団体、次いで英国27、ブラジル25、そして日本が24団体で4番目となっている。中国7、韓国6、台湾3となっておりアジア太平洋地域では日本が突出して多い。
患者団体が「協働している」と回答した企業別の団体数を見ると、ロシュが185団体、ファイザーが153団体、そして武田が147団体で3番目に多くなっている。シャイアーを買収した影響が大きいと思われるが、武田は希少疾患の患者団体との接点の広さにおいて世界の上位3社に入っている。

Fierce Pharmaの記事で注目されているのはベーリンガーインゲルハイムで、4つのランキングすべてで順位を上げて上位に位置しながら総合順位ではTop 3に届いていないとされる。
具体的には患者団体が「よく知っている」企業を対象とした全38社のランキングで4つ順位を上げたており、前年の調査でも順位を7つ上げているため急上昇している。「協働している」企業を対象とした33社のランキングでは3位、大手製薬15社に絞った「よく知っている」ランキングでは2位、大手14社の「協働している」ランキングでも2位となっている。

一方で、全38社の総合ランキング上位は前年と同じで、「よく知っている」企業ではSobiが1位、ロシュ/ジェネンテック/中外製薬が2位、BioMarinが3位。「協働している」企業ではSobiが1位、ロシュが2位で、3位にベーリンガー。Sobiは同社を知る患者団体の数が213から225に増えておりスウェーデン発の希少疾患専門企業としてレピュテーションを伸ばしている。大手製薬に絞ったランキングでは、ロシュが「よく知っている」「協働している」の両方で1位を占めた。ベーリンガーはいずれも2位。

2025/2026 総合リーダーボード(全38社)
2025/2026 総合リーダーボード(全38社)(PatientView調査をもとに筆者作成)
トップティア・ビッグファーマ(全15社)
トップティア・ビッグファーマ(全15社)(PatientView調査をもとに筆者作成)

業界全体への評価を見ると、製薬業界のレピュテーションを「Excellent」または「Good」と評価した患者団体の割合は、2020年に50%、コロナ禍の2021年に59%とピークを付け、その後2022年57%、2023年56%、2024年55%と緩やかに低下していたが、今回反転して57%となっている。

希少疾患患者団体による製薬業界の評価(Excellent/Goodの割合)
希少疾患患者団体による製薬業界の評価(Excellent/Goodの割合)(PatientView『The Corporate Reputation of Pharma』をもとに筆者作成)

改善したのは、臨床データの透明性、価格の透明性、外部ステークホルダーへの資金提供の透明性、製薬企業と患者団体の関係、誠実性、そして希少疾患患者の安全確保の6項目。一方、低下したのは、希少疾患患者のR&Dへの参画、希少疾患患者の医薬品へのアクセス、患者に便益をもたらす製品、そしてイノベーションの4項目となっている。

回復の牽引要因と、残された盲点
回復の牽引要因と、残された盲点(筆者作成)

ちなみに38社の対象企業には、日本の製薬企業3社(武田薬品工業、アステラス製薬、第一三共)が含まれている。特に武田薬品は2025/2026年調査においても、Big Pharma 15社のランキングで「よく知っている」「実際に協働している」の両カテゴリーでさらに順位を1ランクずつ上昇させている。