ロート製薬が、アセット・バリュー・インベスターズ(AVI)が出した山田邦雄会長の取締役解任議案について、拒否する姿勢を示した。
「創業家出身であることや在任期間の長さといった外形的な要素のみを理由に解任を求めることは適切ではない」として反論している。ロート社はAVIの解任議案に加え、もう一つの仏ファンドによる定款変更提案も含め、提出された複数の株主提案すべてに反対するとしている。
AVIは英ロンドンを拠点とする資産運用会社で、割安に放置された持株会社や同族企業に投資し、対話や株主提案を通じて企業価値の向上を促すアクティビストとして知られる。
AVIが保有するロート株は約2%程度とされ、持分としては大きくないが、2025年4月には「ロート製薬の目を覚ます」と題した公開キャンペーンを立ち上げ、専用サイトで分析資料を開示している。
https://www.assetvalueinvestors.com/content/uploads/2025/04/Rohto-Pharmaceuticals-JPN.pdf
AVIのレポートではロート製薬の事業について下記のように提言している。
1. スキンケア事業(成長加速と収益性強化)
・ブランドの選択と集中: 現在33あるブランドのうち、売上の半数が主要3ブランドに依存している現状を指摘し、不採算ブランドの統廃合や、苦戦する「ブルーミオ」と好調な「ケアセラ」の統合などを検討すべき
・ドラッグストアとの協業: データ活用やプライベートブランド(PB)の共同開発など、ドラッグストアとの提携を強化し、売上や認知度を向上させるべき
・ヘアケアの海外展開: 国内で急成長しているヘアマスク「Gyutto」などのヘアケアブランドを、成長が見込まれるグローバル市場(欧米など)へ展開すること検討すべき
・広告宣伝費の最適化: 従来のテレビCMなどマス広告に偏重した戦略を見直し、口コミや店頭での顧客接点を重視するマーケティングへシフトすることで、利益率の改善を図るべき
・M&Aの推進: アジア地域を中心とした新興スキンケア企業のM&A(買収)を継続して推進すべき
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内服・食事業(EYSのシナジー)
・中国本土への事業拡大: 買収した中薬企業「EYS」について、香港市場での業績低迷と、消費者が中国本土へ流れる「北上消費」のトレンドを指摘し、深圳をはじめとした中国本土への展開を早期に検討すべき -
メディカル事業(情報開示と事業の見極め)
・再生医療事業の見直し・縮小: 13年以上にわたり多額の投資を行っている再生医療事業について、いまだ収益化の道筋が立っていないと指摘。過去の累積投資額などの詳細を開示し、資本コストの観点から撤退・縮小を含めた事業見極めを行うよう指摘
・医療用眼科事業のJV化: わかもと製薬との関係を強化し、医療用眼科領域でのジョイントベンチャー(JV)を設立することで、外部資金を活用した資本効率の良い事業運営を提案 -
ガバナンス(創業家経営からの脱却)
・山田邦雄会長の解任: 27年間にわたりトップに君臨する山田会長の経営体制について、「選択と集中」の忌避や、中期計画へのコミットメント不足など、ガバナンス上の課題を指摘
・経営体制の見直し: 資本コストや株価を意識し、不採算事業の撤退基準を明確にするなど、持続的な企業価値向上に向けた経営判断ができる体制への刷新を提案
これらに対し、ロート製薬は長期支配という批判に対しては創業家出身や在任年数という外形だけで人の適否は決まらない、としている。再生医療についても、会社は中長期の成長戦略に位置づけ、医療用眼科事業などとあわせて継続する方針を明確にしている。
ヘルスケア関連企業はこれ以外にも医薬品卸などアクティビストが圧力をかける事例が多く発生しているが、アクティビスト側の資料は事業分析をする上では参考になるものが多い。