6月11日、武田薬品がTYK2阻害薬ザソシチニブ(zasocitinib/ TAK-279)が、ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)の同じ作用機序の先行薬デュークラバシチニブ(Deucravacitinib)を、Head to headの第3相試験で上回ったと発表した。
試験名はLATITUDE Atlasで、中等症から重症の尋常性乾癬の成人を対象に、ザソシチニブ30mg/日とデュークラバシチニブ6mg/日を二重盲検で直接比較している。
主要評価項目である16週時点のPASI100(皮膚病変が100%消失)の到達率は、ザソシチニブ群で35%超となり、これはデュークラバシチニブ群の2.5倍超水準で主要評価項目を達成している。と主張する。さらにPASI90やsPGAゼロなど主要な副次評価項目のすべてでデュークラバシチニブに統計的優越性を示し、両群の差は8週目から確認された。安全性は過去試験と一貫し、新たな懸念は見られなかった。

競合比較も含めたプロモーション規制が厳格な製薬業界において、直接比較のRCTで有意差を示した意義は極めて大きい。
ザソシチニブは元はバイオテックNimbus Therapeuticsと計算化学企業Schrödingerの協業から生まれた化合物で、AI支援の構造ベース設計と計算モデリングによって、高選択的なアロステリックTYK2阻害薬として設計された。そのため、報道ではAI設計薬とも呼ばれている。

従来のJAK阻害薬が多くの酵素で共有されるJH1領域に結合するのに対し、ザソシチニブはTYK2のJH2領域を標的とし、JAK1/2/3をほとんど阻害せずにTYK2だけを選択的に遮断するとされる。in vitronoのデータではJAK1/2/3に対し先行薬デュークラバシチニブの選択性が約109倍とされるのに対し、ザソシチニブはその約1万3000倍と主張されている。選択性が高いほど、JAK阻害薬で懸念されたいたリスクが低いということになる。
この化合物を、武田は2022年12月13日に取得を発表し、2023年2月8日にNimbusのTYK2プログラム子会社を買収して取得している。条件は頭金40億ドルに加え、年間純売上が40億ドル・50億ドルに達した時点で各10億ドルのマイルストン2件があるため、合計で最大60億ドルの投資となっている。タケダのウェバー CEOは、この取得を「ENTYVIOの先を見据えた成長戦略の強化」と位置づけた。同社の最大製品であるIBD領域のEntyvioの後継品という位置付けになる。

なおBMSのデュークラバシチニブは、いまも市場で唯一の経口TYK2阻害薬となっている。JAK阻害薬よりも安全性が高いことを売りとしており、BMSはピーク売上40億ドルを見込んでいたが、2025年の売上は2.91億ドルにとどまっている。

https://www.fiercebiotech.com/biotech/takedas-tyk2-inhibitor-beats-bristol-myers-sotyktu-psoriasis-showdown

今後この領域は更なる開発が見込まれており、武田のザソシチニブに加え、Alumisのエンブデウシチニブ(envudeucitinib)もより良いTYK2阻害薬となることが期待されている。さらに経口IL-23の薬剤も出てくる。ジョンソン・エンド・ジョンソンとProtagonist Therapeuticsの経口IL-23受容体拮抗薬イコトロキンラ(icotrokinra)が2026年3月18日にFDA承認を取得しているが、第3相ICONICプログラムでデュークラバシチニブに対して有意差を示している。

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乾癬治療において次世代の経口薬は、生物製剤の注射に迫る奏効率を出し始めていることも踏まえ、アナリストは経口乾癬市場が2030年に50億ドルを超えうると見立てている。