何が発表されたか

ジョンソン・エンド・ジョンソン(NYSE: JNJ)は2026年10月2日(米ペンシルベニア州スプリングハウス)、第3相試験ICONIC-TOTALの2年間(112週)データを公表した。欧州皮膚科・性病科学会(EADV)Congress 2026で、レイトブレーキングの口頭発表として共有された。

対象は、頭皮・陰部・手足といった「高負荷部位(high-impact sites)」に中等度以上の病変を有する成人および青少年の尋常性乾癬患者。ICONIC-TOTALは、1日1回のICOTYDE(icotrokinra)とプラセボを比較する無作為化比較試験で、プラセボ群は16週時点でICOTYDEへ移行する設計になっている。主要評価項目は全体のIGAスコア0または1かつ2段階以上の改善である。

数字で見た112週データ

ICOTYDE投与患者において、皮膚が「クリアまたはほぼクリア」(Investigator's Global Assessment、IGA 0/1)を達成した割合は、16週の57%から24週に67%、112週には70%へと上昇した。

部位別の完全消失率も112週時点で高い水準が報告されている。頭皮乾癬の患者では60%が頭皮特異的IGA(ss-IGA)スコア0を達成。陰部乾癬では89%が陰部のPhysician's Global Assessment(sPGA-G)スコア0、手および/または足の乾癬では63%がhf-PGAスコア0を達成した。

爪乾癬は時間とともに改善し、modified Nail Psoriasis Severity Index(mNAPSI)の平均改善率は16週で33%、52週で62%、112週で71%と推移した。

安全性については、112週までの所見はICOTYDEの既知の安全性プロファイルと一致し、新たな安全性シグナルは確認されなかったとしている。

英マンチェスター大学皮膚科教授のRichard B. Warren氏は「高負荷部位に乾癬のある人は、重度の機能障害と激しい日常的な痛みを抱えている。体表面積に占める割合が小さくても、外用剤に反応しないことが多く、活動を制限し、絶え間ない症状で精神的健康を損なう」とコメント。2年データは「良好な安全性プロファイルとともに持続的な皮膚の改善をもたらすことを裏付ける」と述べた。なお同氏は同社の有償コンサルタントで、今回の広報活動に対する報酬は受けていない。

同社グローバル免疫疾患領域責任者のDavid M. Lee氏は「従来治療が十分でない難治部位を含め、長期データは治療判断に不可欠だ」とした。

ICOTYDEと開発プログラムの位置づけ

ICOTYDEは、中等症から重症の尋常性乾癬の炎症応答の基盤となるIL-23受容体を精密に阻害する、初めてかつ唯一の標的経口ペプチドと位置づけられている。IL-23受容体にシングルディジット・ピコモルの親和性で結合するが、その臨床的意義は不明とされる。服用は1日1回、起床時に空腹の状態で水とともに1錠、食事の少なくとも30分前に行う。

米国では、全身療法または光線療法の候補となる成人および体重40kg以上の12歳以上の小児の中等症から重症の尋常性乾癬に対して承認済み。欧州、日本、中国でも成人および青少年の乾癬治療薬として承認されている。本剤はProtagonistとのライセンス・共同開発契約に基づき共同で発見・開発が進められている。

第3相ICONICプログラムは4試験で構成され、ICONIC-LEAD、ICONIC-TOTALに加え、ICONIC-ADVANCE 1および2ではプラセボとデュークラバシチニブの双方と比較している。さらに活動性乾癬性関節炎のICONIC-PsA 1/2、ICONIC-ASCEND、潰瘍性大腸炎のICONIC-UC、クローン病のICONIC-CDが進行中である。

業界にとっての意味

今回のデータが示すのは、経口剤でありながら、外用剤が効きにくいとされる頭皮・陰部・手足・爪といった部位で、2年という期間にわたり奏効率が低下していないという点である。IGA 0/1の割合が16週から112週にかけて57%→70%と上昇していることは、導入期だけでなく維持期の評価軸を提供する。

乾癬は米国で800万人、世界で1億2,500万人以上が罹患すると推定され、うち約4分の1が中等症から重症とされる。生物学的製剤が中心だった全身療法の選択肢に、1日1回の経口投与という形が加わることの臨床的な意味は、長期データの蓄積によって初めて評価可能になる。今回の112週データは、適応症をIBDや乾癬性関節炎へ広げる試験群が進行中であることと併せ、同剤の位置づけを測る材料となる。

一方で安全性情報としては、免疫系に作用する薬剤として感染症リスクや結核のスクリーニングに関する注意が示されており、一般的な副作用として頭痛、悪心、真菌感染、倦怠感、咳が挙げられている。