何が発表されたか
ジョンソン・エンド・ジョンソン(NYSE: JNJ)は2026年10月9日(米ペンシルベニア州スプリングハウス)、中等症から重症の尋常性乾癬(プラーク乾癬)を対象とした第3相試験「ICONIC-LEAD」の2年成績(112週時点)を公表した。データはFall Clinical Dermatology(FCD)2026で発表された。
対象はICOTYDE®(一般名:イコトロキンラ/icotrokinra)。IL-23受容体を選択的に阻害する「最初で唯一」の標的経口ペプチドと位置づけられており、成人および12歳以上の小児(青少年)患者が試験に組み入れられている。
数字で見た112週データ
発表された主な結果は以下のとおり。
- 112週時点で、ICOTYDE投与群の72%以上がPASI 90を達成。64週から112週にかけて、70%以上がIGA 0/1(皮疹が消失またはほぼ消失)を維持した。
- 完全な皮疹消失も64週から112週にかけて持続し、44%以上がPASI 100、46%以上がIGA 0(消失)を達成した。
- かゆみについては、臨床的に意味のある改善が64週から112週にかけて78%の患者で維持された。
- 24週時点でICOTYDEの投与を中止したPASI 90達成者のうち、85%が再投与開始から24週以内にPASI 90を再び達成した。
- 112週までの安全性所見は既知のプロファイルと一致し、新たな安全性シグナルは認められなかった。
ICONIC-LEADは、中等症から重症のプラーク乾癬をもつ12歳以上の684例(ICOTYDE群456例、プラセボ群228例)を対象とした無作為化比較試験で、PASI 90と、2段階以上の改善を伴うIGA 0/1を共主要評価項目に置いている。組み入れられた青少年患者は66例。投与中止と再投与の反応は、24週時点でPASI 75またはIGA 0/1を達成した患者で評価された。
試験医師であるマウントサイナイ医科大学皮膚科のMark Lebwohl氏は「乾癬は生涯続く慢性疾患であり、治療選択では持続的な効果が不可欠だ」とコメントし、成人・青少年双方における一次全身療法としての位置づけに言及した。同氏はジョンソン・エンド・ジョンソンの有償コンサルタントだが、今回のメディア対応に対する報酬は受けていない。同社グローバル免疫領域責任者のDavid M. Lee氏も、慢性疾患ゆえに長期管理が鍵になると述べている。
背景:ICONICプログラムと承認状況
第3相ICONICプログラムは、中等症から重症のプラーク乾癬を対象とする4試験で構成される。ICONIC-LEADのほか、頭皮・性器・手足といった特定部位の乾癬を対象とするICONIC-TOTAL、プラセボに加えデュークラバシチニブとも比較するICONIC-ADVANCE 1および2がある。さらに、活動性乾癬性関節炎を対象とするICONIC-PsA 1/2、プラーク乾癬のICONIC-ASCEND、中等症から重症の活動性潰瘍性大腸炎のICONIC-UC、同クローン病のICONIC-CDが進行中である。
ICOTYDEは米国で、全身療法または光線療法の適応となる体重40kg以上の成人および12歳以上の小児の中等症から重症プラーク乾癬に承認済み。用法は1日1回1錠、起床時に空腹で水とともに服用し、服用後30分以上あけてから食事をとる。欧州、日本、中国でも成人および青少年の乾癬に対して承認されている。本剤はプロタゴニストとジョンソン・エンド・ジョンソンのライセンス・共同研究契約に基づき共同で創製・開発され、第2相以降の開発と製品化の独占的全世界権利は同社が保持する。
疾患背景として、プラーク乾癬は皮膚細胞の過剰産生を招く慢性の免疫介在性疾患で、米国で推定800万人、世界で1億2500万人以上が罹患している。うち約4分の1が中等症から重症とされる。
意味:経口薬の「長期データ」という論点
今回の発表の要点は、新しい有効性の上積みではなく、2年という時間軸での持続性が数字で示された点にある。64週から112週という区間を通じてPASI 90、IGA 0/1、PASI 100、IGA 0、かゆみ改善のいずれもが一定水準で維持されたことは、慢性疾患の治療選択において「どこまで効くか」だけでなく「どこまで続くか」が判断材料になることを示している。
もう一つ注目されるのが、24週での投与中止と再投与のデータである。中止したPASI 90達成者の85%が24週以内に再びPASI 90に到達したという結果は、服薬の中断が生じた場合の回復可能性に関する実地の情報となる。1日1回の経口投与で起床時・空腹時という服用条件がある薬剤であるだけに、この点の臨床的な意味は小さくない。
安全性については、112週まで新たなシグナルが認められなかったと報告されている。一方で、免疫系に作用する薬剤として感染症および結核に関する注意喚起が米国の添付文書に置かれており、頭痛、悪心、咳嗽、真菌感染、疲労が主な副作用として挙げられている点は変わらない。日本でもすでに成人および青少年の乾癬に対して承認されている薬剤であり、今回の長期データは国内の処方現場にとっても参照材料となる。